2 HDLM の機能
2.7 ロードバランスによる負荷分散
LUに対して複数のパスが接続されている構成の場合,複数のパスを使用してI/Oを発行 することで,パスに掛かる負荷を分散します。この機能をロードバランスと呼びます。
この機能によって,一つのパスに負荷が偏ってシステム全体の性能が劣化することを防 げます。
ただし,HDLMが管理するI/Oには,パスごとに分配できるI/Oと分配できないI/Oが あります。したがって,ロードバランス機能を使用してもパスごとにI/Oが均等に割り 振られない場合があります。
ロードバランス機能を使用していないときのI/Oの流れを「図2-5 ロードバランス機能 を使用していない場合のI/Oの流れ」に,ロードバランス機能を使用しているときのI/O の流れを「図2-6 ロードバランス機能を使用している場合のI/Oの流れ」に示します。
どちらの図も,複数のアプリケーションから同一のLUにI/Oが発行された場合の例で す。
図2-5 ロードバランス機能を使用していない場合のI/Oの流れ
ロードバランス機能を使用していない場合,(A)のパスにI/Oが集中して発行されます。
(A)のパスへの負荷がボトルネックとなり,システム全体の性能が劣化する場合がありま す。
図2-6 ロードバランス機能を使用している場合のI/Oの流れ
ロードバランス機能を使用している場合,I/Oは(A),(B),(C),(D)のパスへ分散して発 行されます。一つのパスに負荷が偏ってシステム全体の性能が劣化することを防げます。
2.7.1 ロードバランスが適用されるパス
ロードバランス機能を使用したときに適用されるパスについて,ストレージサブシステ ムごとに説明します。
(1) SANRISE9500V シリーズ,または Hitachi AMS/TMS/WMS シリー ズを使用している場合
ロードバランスはオーナパス同士,またはノンオーナパス同士で行われます。オーナパ スとは,ストレージサブシステム側のLUのオーナコントローラに設定した,CHAを経 由するパスです。オーナコントローラはLUごとに異なるので,オーナパスもLUごと に異なります。ノンオーナパスとは,オーナコントローラ以外のCHA(ノンオーナコン
トローラ)を経由するパスです。使用するパスは,オーナパス,ノンオーナパスの順で 選択されます。システム全体の性能劣化を避けるために,オーナパスとノンオーナパス との間でのロードバランスは行いません。障害などで,一部のオーナパスが使用できな くなった場合,残りの使用できるオーナパスの間でロードバランスが行われます。すべ てのオーナパスが使用できなくなった場合,ノンオーナパスの間でロードバランスが行 われます。
「図2-7 ロードバランス」の例で,LUのオーナコントローラがCHA0であるとします。
このとき,LUにアクセスする場合のロードバランスは,(A)と(B)のパスの間(オーナ パス同士)で行われます。障害などで,(A)のパスが使用できなくなった場合,(B)のパ スだけでLUにアクセスします。(A)と(B)のパスが使用できなくなった場合,(C)と(D) のパスの間(ノンオーナパス同士)で行われます。
図2-7 ロードバランス
(2) SANRISE2000 シリーズ,SANRISE9900V シリーズ,Hitachi USP,
Universal Storage Platform V/VM,Hitachi AMS2000 シリーズ,また は Hitachi SMS を使用している場合
すべてのパスがオーナパスになります。したがって,同じLUにアクセスするすべての パスの間でロードバランスが行われます。障害などで,一部のパスが使用できなくなっ た場合,残りの使用できるパスの間でロードバランスが行われます。
「図2-6 ロードバランス機能を使用している場合のI/Oの流れ」の例で,LUにアクセ スする場合のロードバランスは,(A),(B),(C),(D)のパスの間で行われます。障害な どで,どれかのパスが使用できなくなった場合,残りのパスの間でロードバランスが行 われます。
2.7.2 ロードバランスのアルゴリズム
ロードバランスのアルゴリズムには,次の六つがあります。
• ラウンドロビン
• 拡張ラウンドロビン
• 最少I/O数
• 拡張最少I/O数
• 最少ブロック数
• 拡張最少ブロック数
上記のアルゴリズムは,処理方式によって二つに分類されます。それぞれのアルゴリズ ムについて説明します。
ラウンドロビン,最少I/O数,最少ブロック数
これらのアルゴリズムは,発行するI/Oごとに,使用するパスが選択されます。使 用するパスはそれぞれ次のように決定されます。
• ラウンドロビン:
接続しているすべてのパスが順番に選択されます。
• 最少I/O数:
接続しているすべてのパスのうち,処理中となっているI/O数が最も少ないパス が選択されます。
• 最少ブロック数:
接続しているすべてのパスのうち,処理中となっているI/Oのブロック数が最も 少ないパスが選択されます。
拡張ラウンドロビン,拡張最少I//O数,拡張最少ブロック数
これらのアルゴリズムは,発行するI/Oが一つ前に発行したI/Oと連続性があるか どうか(シーケンシャルなI/Oかどうか)を判別して,割り振るパスが決定されま す。
一つ前に発行したI/Oと連続性がある場合,一つ前のI/Oを割り振ったパスが使用 されます。ただし,発行したI/O数が一定数に達したときは,次のパスに切り替わ ります。
一つ前に発行したI/Oと連続性がない場合,I/Oごとに使用するパスが選択されま す。
• 拡張ラウンドロビン:
接続しているすべてのパスが順番に選択されます。
• 拡張最少I/O数:
接続しているすべてのパスのうち,処理中となっているI/O数が最も少ないパス
が選択されます。
• 拡張最少ブロック数:
接続しているすべてのパスのうち,処理中となっているI/Oのブロック数が最も 少ないパスが選択されます。
ロードバランスのアルゴリズムの特長を,「表2-4 ロードバランスのアルゴリズムの特 長」に示します。
表2-4 ロードバランスのアルゴリズムの特長
注※
HDLMの管理するI/Oには,パスごとに分配ができるものとできないものがあります。した がって,ラウンドロビンを設定しても,パスごとにI/Oが均等に割り振られない場合がありま すのでご注意ください。
なお,ロードバランスの種別にかかわらず,VxFSからの連続したI/Oについては,パスの切り 替えが行われません。
HDLMを新規にインストールしたときには,拡張最少I/O数がデフォルト値として設定 されます。アップグレードインストールしたときには従来の設定が引き継がれます。
使用しているシステム環境で,データアクセスの傾向に適したロードバランスのアルゴ リズムを選択してください。データアクセスの傾向に特徴が見られない場合は,拡張最 少I/O数の適用を推奨します。
ロードバランス機能は,HDLMコマンドのsetオペレーションで指定します。setオペ レーションについては,「6.6 set 動作環境を設定する」を参照してください。
アルゴリズムの種別 アルゴリズムの特長
• ラウンドロビン※
• 最少I/O数
• 最少ブロック数
連続性がないI/Oを多く発行する(シーケンシャルなI/Oが少ない)場合に有 効です。
• 拡張ラウンドロビン
• 拡張最少I/O数
• 拡張最少ブロック数
一つ前のI/Oと連続性があるI/OでそのI/OがRead要求の場合,ストレージ サブシステムのキャッシュ機能によって読み込み速度の向上が期待できます。
連続性があるI/Oを多く発行する(シーケンシャルなI/Oが多い)場合に有効 です。