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(注)①〜④は,宮津調査における次のような敏を示す。
①田光で京都市の人と標準語で話す人の害給。
②地元で京都寮の入と方霞で言香す入の罰合。
③京都TIVで京都の入と櫟準語で話す人の罰舎。
④京都市で京都の人と方需で話す入の割合。
図5−4 場諏による標準語と方言の使い分け
㈲地元の兇知らぬ入 ㈲地元で東京の入 ㈹東黙で東京の入
124 5.方言と標準語をめぐって
ということになる。図の場面㈲(7)では,豊中,宮津,豊岡という調査地名の 代わりに「地元jという表現を使った。
図5−4をみると,(2)の場面から(8>の場面に移るにつれて標準語を使うとする 入の比率が次第に増加し,逆に,方言を使うとする人の比率が次第に減少して いる。この順序は,話す梢手や場面との社会的な距離,あるいは,別の言い方 をすれば,横手や場面の《よそ性》の度合の1頃序として考えることができるよ うに思われる。この社会的距離の中には親しさの度合ということが含まれるが,
②から⑤までは主としてこの親しさの順序とのかかわりが深い。「近所の親し い人」は日常のさまざまなおつきあいの相手であり,親しさの尺度では一番自 分に近いところに位置する。しばしば親しい口も交わす「近所の店の人」はそ れよりは遠くなるが,親しい人も顔見知り程度の人も混じる「町内会」の場面 よりは近くにくる。「近所の親しくない入」とはおそらく,せいぜいお辞儀程 度の挨拶をする間柄であり,距離はさらに遠くなり,ヂよそ」の人と感じられ
る度舎もいっそう強まる。
ここで問題となるのは(1>の沖学時代の友人1と(2)の「近所の親しい人」の 間の順序づけである。図ひ4を見ると,豊中では「友人」に対し方雷を使う人 の比率が「近所の親しい人」よりも高くなっているが,宮津・豊岡では,逆に
「近所の親しい人」のほうが若干高くなっている。こうした違いの背景には,
大都市と地方都市での近所づきあいの違いがあるのかもしれない。大都市では 人口移動の激しさとかアパート居住者が多いなどの理由で,近所づきあいが概 して地方都市ほど濃密でなく,近所の人よりも友人をより親しく感じる人が多 くなるのであろう。また,後でも触れることになるが,若年層はr友人」に方 言を使うことが特に多いが,豊中では宮津・豊岡に比べて若年層がより多いと いうこととも関係があると思われる。
社会的な距離の中には,親しさということと並んで,空間的距離,およびそ れに対癒した社会経済的な交わりの度合という属性も含まれるであろう。⑥の
「地元の見知らぬ人と」,(7>のr地元で東京の人と」,および(8)の「東京で東京 の人と」は,(1)から㈲までの場面に対して,知らない人という意味での「よ そ」の人を相手にした時ということを共通点として持つ。その一方,お互い岡
5.1.方欝と標準語の使い分け 125 士の間では,主として,地元からどれほど離れているかという空間的距離の点 で違いがあり,その距離の近い順序に並んでいるといっていいであろう。⑥と
(7)は同じ地元での場面であるが,話し相手の属性としての空間的距離が異なっ ていると考えることができる。この点で興味深いのは,宮津調査のなかに含ま れていた「宮津市で京都の入jを相手にする場面と「京都市で京都の入」を相 手にする場面がどのような位置を占めるかということである。図5畷の①〜④ に示した調査結果をみると,標準語使用考の二合からいっても,方言使用者の 割合からいっても,「宮津市で京都の人」は(6)と(7)の闘の値を回し,「京都市で 京都の入」は(7)と(8>の問の値を示す。空闘的距離,生活上の結び付き,ことば の類似性のどれをとっても京都は東京よりも近い位置にある。調査の結果はこ のことによく対応する傾向を示していることになる。
社会的二三の順序といっても,ひとりひとりを取ってみれば個人差はあるだ ろうし,「近所の親しい入」について見られたように地域差を考慮に入れなく てはならない場合もあるのだが,全体としては,ある一般的な社会的距離の尺 度があって,その尺度によって標準語と方書の使い分けがなされているという
ことができるであろう。
ところで,これまでは二二問の順序性だけを問題にしてきたが,それだけで なくさらに,場面間の差の大きさについても注意を向けると,豊中と,宮津・
豊悶の2地域とで違いがあることが注目される。図5−4で標準語あるいは方言 の使用率が大きく変化するところをみると,宮津・豊岡では⑤の「近所の親し
くない人」と(6)の「地元の晃知らぬ入」との差が比較的大きく,標準語使用者 の割合と方言使用者の翻合がはっきりと逆転するのもこの両二二を境にしての
ことである。一一方,豊中ではこのような境i§は(4)の「町内会」の場面にあり,
その両隣の③「店の人」と⑤「近所の親しくない人」とで,標準語使用者の割 合と方言使用者の割合が大きく逆転する。このように,宮津や豊岡に比べて,
標準語使用者が方醤使用者を上回る場面が桐対的に多い分,豊中のほうがより 標準語的であるということができるであろう。また,その境目の性質を考えて みると,豊中では相乎と親しいか親しくないかが重要な決め手となり,宮津・
豊岡では相手を知っているか否かが重要な決め手となっており,標準語・方署
126 5。方言と標準語をめぐって
の使い分けの基準が双方で異なっているという捉え方をすることもできるであ
ろう。
なお,3調査のなかで,山砕の値(特に方言使用者の割合を示す値)が他の 調査の値よりも高くなっている。これは,豊岡調査では「標準語と二二が混ざ
る」という選択肢が用意されてないという調査法の違いによるものと考えられ
る。
質問1との関連
ギふだんの話をする疇どの程度標準語で話しますか」という質問1と質FnS III はともに,話しことばの中で標準語と方言をどのように使っているかについて 尋ねている点では共適しているのだから,その回答にもなんらかの共通の特徴 が現れることが十分予想される。この点を調べるためには,質問1の回答グル ープ別に分けて質問lllの回答内訳を見ればよい。図5−5,図5−6,図5−7,そ れぞれ豊中,宮津,豊岡における「方言」「混ざる」「使い分け1の3グループ 別の場面的な使い分けを示す〈注4>。
この3つの図を見てまず第1に指摘できるのは,質問1でいつも二二を使う と答えた「方雷」グループではその答えの通り,近所の人や近所の庸などふだ んよく接する二手に対してはほぼ80%以上の入が方言を使っているというこ とである。そして,「混ざる」グループや「使い分け」グループと比較すると,
すべての場面を通じて方言使用率がいちばん高く,逆に;標準語使用率はいち ばん低い。この方言專用のグループは数の上ではさほど多くはないが(全回答 者の10%以下),その土地の方言使用の中核をなしているということができ
る。
次に,「混ざる」グループと「使い分け」グループとに目を向けると,豊 中・山回と豊岡では異なった傾向が現れている。pa 5−5の豊中とec 5−6の宮津 の結果を見ると,おおむねどの場面でも,方言使用率,標準語使用率ともに,
「使い分け」グループが「混ざる」グループを上回っている。しかも,その差 は標準語使用率では「そと」の場面ほど大きく,方轡使用率では「うち」の場 面ほど大きい。つまり,「使い分ける」と答えた人の場合,ある一つの場面を
5.1.方言と標準語の使い分け 127 とってみれば,「混ざる」という答えは採らず,方醤か標準語かのどちらかを 選ぶ傾向が強い。そして,「うち」の場面からヂそと」の場面に移っていく疇 に方言から標準語へ切り替えていく人が多いということがうかがえるのである。
これに対し,図5−7の豊悶の結果を見ると,標準語使用率では「使い分け」グ
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128 5.方言と標準語をめぐって
ループが「混ざる」グループを上回っているが,方言使用率では反対に下園っ ている。つまり,豊岡では「使い分け」グループと「混ざる」グループの違い は,場面による切り替えの差というよりは,前者がより標準語的で,後者がよ
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