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調査設計は、Dubé and Schmitt (1999)を参考とした。Dubé and Schmitt (1999)は、予 備調査で、消費者に具体性、イメージしやすさ、典型性度合いなどを回答させ、それを受け て、製品カテゴリーとブランドを位置づけた上で、各々を組み合わせて類似度などを聞く本調 査に入るという段取りをとっている。

い-具体的」「抽象的-具体」「同定するのが難しい-簡単」などである。この結果、スポーツ カー、ファミリーカー、ヘルスケア、NPO の4カテゴリーを選びだしている。次に、製品やブラン ドについて、多数の典型的エグゼンプラーと、フリンジエグゼンプラー130を用意し、選択させ る。その結果、フリンジエグゼンプラーとして、各カテゴリーから4ブランドが選ばれた131。次の 本調査では、得られたフリンジエグゼンプラーを提示し、これらが各カテゴリーの典型的エグゼ ンプラーと似ている度合いを評価させた。得られた結果を元に、既存ブランドとの類似戦略をと るか、非類似ポジショニングをとるかについて、消費者の製品知識や製品カテゴリー知識、お よび製品カテゴリーの具体性の影響を加味して論じた。徳山(2003)は、プリテストで製品や消 費目的の抽象度を判断させ、カテゴリーラベルと実験刺激としてのブランドを「典型的-フリン ジ」の軸上に事前調査で位置づけたうえで、本調査を行っている。

本研究では予備調査で、一般モニターに写真を評価してもらい、典型性と具体性で2軸上 に結果をプロットする。それぞれの写真刺激の位置づけを元に、本調査における消費者の認 知を検証する。プロトタイプ、エグゼンプラー、およびサブタイプの関係性は図表 6-5 の通りで ある。各タイプの定義は髙橋(2011)を参考に、以下のとおりとした。

プロトタイプ :カテゴリーの中心にある、典型的属性を持つ抽象的で代表的な存在。

パワーエグゼンプラー:カテゴリーを代表し、典型性と具体性が共に高い存在。

具体的サブタイプ :カテゴリーに属していながら見慣れない、典型性が低く具体性が高い存在。

抽象的サブタイプ :カテゴリーに属していながら見慣れない、典型性も具体性も低い存在。

仮説の導出 6.4.

6.4.1. 研究-1の仮説

製品やブランドの持つ特性として、典型性が高いほど選好や選択確率も高いことが、ブラン ド態度の研究によって明らかにされてきた(Nedungadi and Hutchinson 1985 ; Barsalou

1985 ; Loken and Ward 1990 ; 髙橋 2011)。すでに触れたように、デザインの典型性につ

いても、大半の研 究 結果 は、典 型性の高いほうが好まれることを示している(Hekkert and

Leder 2008 ; 牧野 2015 ; 図表6-3)。理由として、典型性が高いことによって親密度が増

図表6-5 本研究における認知要素の位置づけ

130 典型性エグゼンプラーは、本研究のプロトタイプまたはエグゼンプラーに相当する。フリンジエ グゼンプラーは、本研究におけるサブタイプと同様の概念で、当該カテゴリーのフリンジ(周辺)

に存在するエグゼンプラーのことである。マニピュレーションチェックとして、フリンジエグゼ ンプラーがそのように受け止められているかを確認している。

131 Pontiac Fiero(カテゴリー:スポーツカー)、ホンダアコード(同 :ファミリーカー)、禁煙

し、そのカテゴリーを代表する表象となり得るとともに、理想的な属性を保持していると受け止 められることが考えられる。また、中川(2014)によれば、製品の典型性の研究でも「デザインの 典型性が消費者の感じる審美的好みを左右する重要な要因」(Landwehr et al. 2013)とされ る。それは認知メカニズムでは、「処理流暢性」という概念で説明される。Landwehr et al.

(2013)によると、処理流暢性とは、「刺激を処理する際に人が経験する認知のしやすさ」である。

典型性が高い、すなわちよく見慣れた既視感のあるデザインの場合、流暢に認知処理できる ため、「刺激に対する解釈と認識を容易にする」。これに加え「刺激から生じた不安を減少させ る」ことも理由と考えられる(中川 2014)。

一方、具体的な刺激は、属性を含む詳細なデータを伴うため、情報量が多く、個別のケー スに分析的な接近を促す。このことから、固定観念を解消する要因となる(Fiske et al. 1999 ; Neuberg 1989)と考えた。また、髙橋(2011)は、「特定の文脈や体験と結びついたブランドは、

独自の『世界観』を持ちうるため、具体性(リアリティ)の高い存在となる。また、具体性の高さは 記憶へのアクセスしやすさを高めるため、強いブランド・エクイティの要件となる」とした。具体性 が高ければ、「視覚刺激の場合はとくに情報量が多いとされる」(杉谷 2006)ことに加え、抽象 的な情報に比べて、個性や弁別性を感じることにより、親しみやすく、選好の判断もつきやす いと考えられる。

また牧野(2015)は、「典型性の問題については、明確にされていない点が多々ある」とした

132。本研究では、まずこの点について、対象への関与水準が典型性への認知を異ならせると 考えた。すなわち、典型性の態度に及ぼす影響は、高関与層と無関心層、拒否層によって異 なるという仮定である。このことから、同じマーケティング刺激に対して、セグメントにより態度が 異なるという仮説を置いた。

【仮説1】

H1a:典型性は態度に正の影響を及ぼす。

H1b:具体性は態度に正の影響を及ぼす。

H1c:典型性の態度に及ぼす影響は、セグメントにより異なる。

続く仮説では、仮説1のH1cで仮定した「典型性の態度に及ぼす影響は、セグメントにより異 なる」とした部分を、詳細に分解し仮説化する。

「典型性と選好は、正の関係にある」というのは、無関心、拒否層には適用できない。この層 は元々その属性を好ましいとは感じていない。従来の仮説は、あくまでも一定以上の関与があ る場合を前提としている。すなわち、既に当該製品やブランドの顧客、もしくは使用経験や購 入意図がある層であり、そのような層に対して、調査がなされてきたと考えられる。したがって、

認知要素の「典型性と態度には正の関係がある」という仮説は、あくまでも当該カテゴリーに関 与がある消費者に当てはまると考えた。無関心層は、認知要素の典型性に対して関心を持た ず、その認知になんら変更を加える事がない。拒否層においては、典型性がそのステレオタイ プを強化し、かえって選好が低くなると考えた。写真の有無による企業イメージ評価に、バイア

スがかかることの研究において杉谷(2006)は、評価バイアスは「消費者の広告情報処理に対 する関与が低い場合でのみ生じる」として、関与水準を分けて論じた。

具体性について牧野(2015)は、「典型性による説明の有効性は、私達がどのぐらい具体的 なレベルで対象を捉えているかにもよる」とした。本研究においても、セグメント別にどのように 異なるのか、典型性と具体性に交互作用が存在することを前提に、以下のように条件を分けて 仮説化した。まず、高関与層では従来どおり、具体性の高低に関わらず、典型性が高くなるほ ど態度も強くなる。典型性が低い場合には、高関与層といえども見慣れない刺激となるため、

具体性をもたらす情報があったほうが好まれる。これは無関心層・拒否層でも同様である。

一方で、拒否層では、カテゴリーを表す抽象的な刺激、すなわち具体性が低い場合は、典 型性が態度に正の影響を及ぼすのに対し、具体性が高い場合は、むしろ拒否感を持っている カテゴリー色が強くなり、態度は弱まると考えた。無関心層では、その傾向ははっきり現れない と考え以下の通り仮説化した。

【仮説2~4】

H2:カテゴリー高関与層では、

H2a:典型性が低い条件では、具体性は態度に正の影響を及ぼす。

H2b:典型性は具体性にかかわらず態度に正の影響を及ぼす。

H3:カテゴリー無関心層では、

H3a:典型性が低い条件では、具体性は態度に正の影響を及ぼす。

H3b:具体性が高い場合、典型性は態度に影響を及ぼさない。

H3c:具体性が低い場合、典型性は態度に正の影響を及ぼす。

H4:カテゴリー拒否層では、

H4a:典型性が低い条件では、具体性は態度に正の影響を及ぼす。

H4b:具体性が高い場合、典型性は態度に負の影響を及ぼす。

H4c:具体性が低い場合、典型性は態度に正の影響を及ぼす。