12 フィールドバス通信
12.1 実装プロトコル
12.1.2 コンフィグレーション、診断プロトコル
12.1.2.1 BootP(ブートストラッププロトコル)
BootP(Bootstrap Protocol)はTCP/IPネットワークで、フィールドバスカプラ/コン
トローラにIPアドレスと他のパラメータ割り当てるのに使用することができます。サブ ネットマスクとゲートウェイも、このプロトコルを用いて転送することができます。プ ロトコル通信はフィールドバスカプラ/コントローラからのクライアント要求と PCか らのサーバ応答とから成り立ちます。
ブロードキャスト要求はフィールドバスカプラ/コントローラのハードウェアアドレス
(MAC ID)の入ったプロトコルにより、ポート67(BootPサーバ)に送信されます。
このときBootPサーバはこのメッセージを受信します。サーバにはMAC IDとIPアド
レスがお互いに割り当てられているデータベースがあります。ある MAC アドレスが見 つかったとき、ブロードキャスト応答がネットワーク上で送信されます。
フィールドバスカプラ/コントローラはBootPサーバからの応答のために、規定したポ
ート 68 でListen(待ち受け)状態になります。受信パケットには、フィールドバスカ
プラ/コントローラのIPアドレスとMAC IDのような情報が含まれます。
フィールドバスカプラ/コントローラは MAC アドレスにより、そのメッセージが特定 のフィールドバスカプラ/コントローラに送られ、送信したIPアドレスがネットワーク で取得されることを認識します。
使用注意
IPアドレスはWindowsやLinux上のBootPにより割り当てることができます!
IPアドレスを設定するために、WAGO-BootPサーバをWindowsやLinuxなどのオペ レーティンシステム上で使用することができます。WAGO-BootP サーバ以外に他の
BootPサーバも使用することができます。
詳細情報
WAGO-BootPサーバについての詳細情報:
WAGO-BootPサーバを使用してアドレスを設定する手順は、第 8.2.4節「BootP サー
バによるIPアドレスの割り当て」に記載されています。
BootP クライアントは、ネットワークパラメータを動的に設定する手助けをします。
Ethernet TCP/IPフィールドバスコントローラはBootPクライアントを内蔵しており、
デフォルトの「IPアドレス」オプションに加え、次のオプションをサポートします。
187 フィールドバス通信 ワゴ I/O システム 750 ETHERNET プログラマブルフィールドバスコントローラ 750-880、750-880/025-000
表85:BootPオプション
オプション 意 味
[OPT1] Subnet mask 32ビットのアドレスマスクを使うことにより、IPア ドレスのビット列の中で、どのビットがネットワーク で、どのビットがホストなのかを識別します。
[OPT2] Time zone 現地時間とUTC(協定世界時)間の時間差
[OPT3] Gateway 他のネットワークヘのアクセスを許すルータの IP ア ドレス
[OPT6] DNS server 名前をIPアドレスに変換するネームサーバのIPアド レス。最大2個のDNSサーバを設定できます。
[OPT12] Host name ホスト名はネットワーク内のコンピュータに対する 特定の名前です。ホスト名は最大 32文字からなりま す。
[OPT15] Domain name ドメイン名はネットワークに対する特定の名前です。
ドメイン名は最大32文字からなります。
[OPT42] NTP server ネットワークタイムサーバのIPアドレスです。NTP サーバを設定したとき、SNTPクライアントがコント ローラで自動的に有効になります。
WBMページ“Features“は、“BootP Request before static OP“オプションを選択する前 に使用することもできます。再スタート後、BootP問い合わせが5回送られます。この 問い合わせのいずれにも応答がなかった場合、フィールドバスコントローラは、
EEPROMにセーブされたIPパラメータを用いて自身を設定しようとします。
ネットワークパラメータ(IP アドレス、その他)は、ノードを設定するのに BootP を 使用したときEEPROMに保管されます。
詳細情報
BootP設定はEEPROMにセーブされます:
ネットワーク設定は、DHCPによる設定と対照的に、BootPを使用したときEEPROM に保管されます。
デフォルトでは、BootPプロトコルはコントローラで有効になっています。
BootPプロトコルが有効な場合、コントローラはBootPサーバが恒久的に存在するもの
と想定します。
もし電源ONでリセット後にBootPサーバが存在しなかった場合、ネットワークは非ア クティブ状態のままになります。
EEPROM に保存された IP設定でコントローラを動作させるには、設定後に BootPプ
ロトコルを無効にする必要があります。
WEBベース管理システムを使用して、各フィールドバスコントローラの内部HTMLペ ージ“Port“画面上で、BootPプロトコルを非アクティブにします。
BootPが非アクティブの場合、フィールドバスコントローラは次に立ち上がったとき、
EEPROMにセーブされたパラメータを使用します。
セーブされたパラメータにエラーがあった場合、I/O LEDは点滅コードで知らせ、BootP による設定が自動的に駆動されます。
ワゴ I/O システム 750 フィールドバス通信 188 ETHERNET プログラマブルフィールドバスコントローラ 750-880、750-880/025-000
12.1.2.2 DHCP (Dynamic Host Configuration Protocol)
リンク先”Port”で開いたコントローラの内部HTMLページでは、ネットワークを設定す るために、BootP プロトコルの代わりにEEPROM にセーブしたデータを使用するか、
またはDHCPを利用するかのオプションを選択することができます。
DHCP (Dynamic Host Configuration Protocol)はBootPを発展させたもので、BootP とは後方互換性があります。
BootP と DHCP の両方とも、スタート時にフィールドバスノード(クライアント)に
IPアドレスを割り当てます。手順はBootPの場合と同じです。
ブロードキャスト要求は、フィールドバスカプラ/コントローラのハードウェアアドレ ス(MAC ID)が入ったプロトコルにより、ポート67(DHCPサーバ)に送信されます。
このときDHCPサーバはこのメッセージを受信します。サーバにはMAC IDとIPア ドレスがお互いに割り当てられているデータベースがあります。ある MAC アドレスが 見つかったとき、ブロードキャスト応答がネットワーク上で送信されます。
フィールドバスカプラ/コントローラはDHCPサーバからの応答のために、規定したポ
ート68でListen状態になります。受信パケットには、フィールドバスカプラ/コント
ローラのIPアドレスとMAC IDのような情報が含まれます。
フィールドバスカプラ/コントローラは MAC アドレスにより、そのメッセージが特定 のフィールドバスカプラ/コントローラに送られ、送信したIPアドレスがネットワーク で取得されることを認識します。
応答がない場合、問い合わせが、4秒後、8秒後、16秒後に再び送られます。
全ての問い合わせに対し応答がない場合、I/O LED により点滅コードが表示されます。
パラメータはEEPROMから取り出すことはできません。
使用注意
DHCP設定はEEPROMにセーブされません!
ネットワークの設定は、BootP による設定と対照的に、DHCP を使用したとき
EEPROMに保管されません。
BootPとDHCPの違いは両方とも異なった設定方法を用いており、DHCPによる設定
は時間制限があることです。DHCPクライアントは時間が経過した後、常に設定を更新 しなければなりません。通常同じパラメータは、サーバによって連続的に確認されます。
BootP は各クライアントに対して固定 IP を設定するのに使用できます。そのクライア
ントではアドレスと予約がBootPサーバデータベースに恒久的にセーブされます。
189 フィールドバス通信 ワゴ I/O システム 750 ETHERNET プログラマブルフィールドバスコントローラ 750-880、750-880/025-000 この時間に依存することにより、DHCPはクライアントリース(その後にクライアント が新しいアドレスを要求するリース期間)により可能なIPアドレスを動的に割り当てる のにも使用されます。クライアントリースでは、各DHCPクライアントのアドレスはサ ーバのデータベースで一時的にセーブされます。
更に DHCPクライアントは、DHCPサーバで設定をリバインドまたは更新するために システムの再スタートを要求しません。その代わりクライアントは、DHCPサーバでリ ースされたアドレス割り当てを更新するために、設定した時間間隔でリバインドステー トに自動的に入ります。この処理はバックグランドで行われ、ユーザに対してはトラン スペアレントです。
DHCPサーバには3種類の異なった動作モードがあります。
• 手動割り当て
このモードではIPアドレスは、DHCPサーバ上で特定のMACアドレスに永久に 割り当てられます。このアドレスはMACアドレスに無制限の間割り当てられます。
手動割り当ては主に、DHCPクライアントが固定アドレスの元で到達できることを 保証するのに使用されます。
• 自動割り当て
自動割り当てではIPアドレスの範囲がDHCPサーバ上で割り当てられます。
一旦アドレスがこの範囲からあるDHCPクライアントに割り当てられた場合、この アドレスはそのクライアントに無制限の間属することになります。割り当てられた IPアドレスはMACアドレスにも結合しているからです。
• 動的割り当て
この処理は自動割り当てと同様です。しかしDHCPサーバは設定ファイルにステー トメントを持っています。そこでは、クライアントがサーバに再びログインし、「延 長」を要求する前に、クライアントにどれぐらいの期間特定のIPアドレスをリース することができるかを規定します。
このクライアントがログインしない場合、アドレスが配布され、別の(または同じ)
クライアントに割り当てることができます。管理者によって定義された時間はリー ス期間と呼ばれます。
数台のDHCPサーバもまたMACアドレスに基づいてIPアドレスを割り当てます。
すなわち1台のクライアントは、ネットワークが長期間存在せず、リース期間(当 面IPアドレスが割り当てられない限り)が経過した後、前と同じIPアドレスを受 け取ります。
DHCPは、ネットワークパラメータを動的に設定する手助けをします。Ethernet TCP/IP フィールドバスコントローラはDHCPクライアントを内蔵しており、デフォルトの「IP アドレス」オプションに加え、次のオプションをサポートします。