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キャリアバランスと負のキャパシタンスの関係

法 )

8.4 キャリアバランスと負のキャパシタンスの関係

10-3 10-2 10-1 100 101 102 103

(Electron mobility µn)/(Hole mobility µp)

10-1 100 101 102 103

-C(f=10-3 Hz) (µF) (b)

10-3 100 103 106

Frequency (Hz)

10-6 10-3

-C (µF

µn/µp

10-3 101 10-2 102 10-1 103 1

8.6 再結合定数γ = 0, µp = 105 cm2/Vs, µn = 108–102 cm2/Vsに おける(a)キャパシタンスの周波数依存性および(b)f = 103 Hzに おける負のキャパシタンスの電子・正孔移動度比依存性.印加直流

電圧は5 V.それ以外の計算に使用した物理量は表8.1に示す.

負のキャパシタンスは小さくなっていく.また,負のキャパシタンスが最大になる移 動度比は再結合定数が小さいほど,より移動度のバランスが崩れた場合に負のキャパ シタンスが最大となることが分かる.

10

-6

10

-3

10

0

10

3

10

6

(Electron mobility µ

n

)/(Hole mobility µ

p

)

10

-3

10

0

10

3

10

6

-C (f = 1 0

-3

H z) ( µ F ) γ=10

-1

γ

L

γ =10

-2

γ

L

γ =10

-3

γ

L

γ=10

-4

γ

L

γ=0

8.7 f = 103 Hzにおける負のキャパシタンスの電子・正孔移動度比依 存性.再結合定数は0–0.1γL.γLはランジュバン定数を表す.印加 直流電圧は5 V.それ以外の計算に使用した物理量は表8.1に示す.

γ = 104γLにおける(a)キャリア密度の膜厚方向プロファイルと(b)キャパシタンスの周 波数依存性である.図の左側に電子・正孔移動度を示した.図8.8および図8.9において(i) は電子電流と正孔電流がバランスしている状態で,(ii)–(vii)の順にµn+µp = 2.0×105 cm2/Vsを保ちながら,電子移動度は小さくなり,正孔移動度は大きくなってバランス がより崩れていく.

比較的再結合定数の大きい図8.8について考察する.移動度のバランスが崩れてキャ リアバランスが崩れると,(i)–(iii)のキャパシタンスの周波数依存性に示すようにγ = 0 の場合と同様に負のキャパシタンスが大きくなる .さらに移動度のバランスが崩れる と,(v)–(vi)の膜厚方向プロファイルに示すように移動度の小さい電子が対向電極に到 達する密度が低くなる様子が確認され,負のキャパシタンスはなることが分かる.さ らに移動度比を大きくし,(vii)のように完全に電子がアノードに到達できなくなると,

ほぼ正孔オンリーデバイスとなり,負のキャパシタンスは観測されなくなる.

図8.9に示した比較的再結合定数の小さい場合では,キャリア密度の膜厚方向プロ ファイルより,最も移動度のバランスが崩れた(vii)の状態であっても,少数キャリア

(本章では移動度の小さいキャリアを小数キャリアと定義する)である電子は再結合に

より消滅する確率が低いために対向電極まで到達することができており,このとき負 のキャパシタンスは観測される.さらに移動度のバランスが崩れると,図8.8と同様に 少数キャリアである電子が対向電極まで到達できなくなり,負のキャパシタンスは減 少し始め,ついには現れなくなる.負のキャパシタンスは,再結合が起こらないγ = 0 の計算結果(図8.6)から分かるように,移動度のバランスが崩れると,つまりキャリア バランスが崩れると大きくなる.しかし,再結合が起こる場合,移動度のバランスが 崩れると少数キャリアが再結合によって消滅してしまい,単電荷注入に近い状態にな る.従って,移動度のバランスが崩れすぎると負のキャパシタンスは小さくなり,つ

いには現れなくなる.このようなキャリアバランスと再結合の両者の影響によって図 8.7に示すような負のキャパシタンスが最大値を示す現象を理解できた.

γ = 0の場合にはキャリア注入バランスがどれほど崩れても,注入されたキャリアは すべて対向電極に到達することができるので,負のキャパシタンスは注入バランスが 崩れるほど大きくなる.

10-3 100 103 106

Frequency (Hz) -20

-10 0

Capacitance (nF)

µn/µp=1 γ=10-2γL

10-3 100 103 106

Frequency (Hz) -20

-10 0

Capacitance (nF)

µnp=0.33 γ=10-2γL

10-3 100 103 106

Frequency (Hz) -20

-10 0

Capacitance (nF)

µn/µp=0.053 γ=10-2γL

0 0.05

x (µm) 1013

1014 1015 1016 1017 1018 1019 1020 1021

Carrier concentration (cm-3 )

0 5×1024 1×1025 1.5×1025 2×1025

Recombinationrate (s-1 cm-3 )

anode cathode

Hole Electron Recom

γ=10-2γL

µnp=0.33

0 0.05

x (µm) 1013

1014 1015 1016 1017 1018 1019 1020 1021

Carrier concentration (cm-3 )

0 5×1024 1×1025 1.5×1025 2×1025

Recombinationrate (s-1 cm-3 )

anode cathode

Hole Electron Recom

γ=10-2γL

µnp=1

0 0.05

x (µm) 1013

1014 1015 1016 1017 1018 1019 1020 1021

Carrier concentration (cm-3 )

0 5×1024 1×1025 1.5×1025 2×1025

Recombinationrate (s-1 cm-3 )

anode cathode

Hole Electron Recom

γ=10-2γL

µn/µp=0.053

(i)

(ii) (i)

(ii)

(iii)

(iii)

(b) (a)

8.8 次頁に続く.

10-3 100 103 106 Frequency (Hz) -20

-10 0

Capacitance (nF)

µn/µp=5×10-3 γ=10-2γL

10-3 100 103 106

Frequency (Hz) -20

-10 0

Capacitance (nF)

µn/µp=5×10-4 γ=10-2γL

10-3 100 103 106

Frequency (Hz) -20

-10 0

Capacitance (nF)

µnp=5×10-5 γ=10-2γL

0 0.05

x (µm) 1013

1014 1015 1016 1017 1018 1019 1020 1021

Carrier concentration (cm-3 )

0 5×1024 1×1025 1.5×1025 2×1025

Recombinationrate (s-1 cm-3 )

anode cathode

Hole Electron Recom

γ=10-2γL

µn/µp=5×10-4

0 0.05

x (µm) 1013

1014 1015 1016 1017 1018 1019 1020 1021

Carrier concentration (cm-3 )

0 5×1024 1×1025 1.5×1025 2×1025

Recombinationrate (s-1 cm-3 )

anode cathode

Hole Electron Recom

γ=10-2γL

µn/µp=5×10-3

0 0.05

x (µm) 1013

1014 1015 1016 1017 1018 1019 1020 1021

Carrier concentration (cm-3 )

0 5×1024 1×1025 1.5×1025 2×1025

Recombinationrate (s-1 cm-3 )

anode cathode

Hole Electron Recom

γ=10-2γL

µnp=5×10-5

(b) (a)

(v)

(vi)

(vii)

(v)

(vi)

(vii)

10-3 100 103 106

Frequency (Hz) Capacita-20

µn/µp=0.026 γ=10-2γL

0 0.05

x (µm) 1013

1014 1015 1016

Carrier conce

0 5×1024

Recombinatio

anode cathode

(iv)

8.8 再結合定数γ = 102γLにおける電子・正孔移動度を変化させた場 合の(a)キャリア密度および再結合レートの膜厚方向プロファイル,

(b)キャパシタンスの周波数特性.γLはランジュバン定数を表す.

印加直流電圧は5 V.それ以外の計算に使用した物理量は表8.1に 示す.

10-3 100 103 106 Frequency (Hz) -2000

-1000 0

Capacitance (nF)

µnp=1 γ=10-4γL

10-3 100 103 106

Frequency (Hz) -2000

-1000 0

Capacitance (nF)

µn/µp=0.33 γ=10-4γL

10-3 100 103 106

Frequency (Hz) -2000

-1000 0

Capacitance (nF)

µnp=0.053 γ=10-4γL

10-3 100 103 106

Frequency (Hz) -2000

-1000 0

Capacitance (nF)

µn/µp=0.026 γ=10-4γL

0 0.05

x (µm) 1013

1014 1015 1016 1017 1018 1019 1020 1021

Carrier concentration (cm-3 )

0 5×1024 1×1025 1.5×1025 2×1025

Recombinationrate (s-1 cm-3 )

anode cathode

Hole Electron Recom

γ=10-4γL

µn/µp=0.33

0 0.05

x (µm) 1013

1014 1015 1016 1017 1018 1019 1020 1021

Carrier concentration (cm-3 )

0 5×1024 1×1025 1.5×1025 2×1025

Recombinationrate (s-1 cm-3 )

anode cathode

Hole Electron Recom

γ=10-4γL

µn/µp=1

0 0.05

x (µm) 1013

1014 1015 1016 1017 1018 1019 1020 1021

Carrier concentration (cm-3 )

0 5×1024 1×1025 1.5×1025 2×1025

Recombinationrate (s-1 cm-3 )

anode cathode

Hole Electron Recom

γ=10-4γL

µn/µp=0.026

0 0.05

x (µm) 1013

1014 1015 1016 1017 1018 1019 1020 1021

Carrier concentration (cm-3 )

0 5×1024 1×1025 1.5×1025 2×1025

Recombinationrate (s-1 cm-3 )

anode cathode

Hole Electron Recom

γ=10-4γL

µnp=0.053

(i)

(ii)

(iv) (i)

(ii)

(iii)

(iii)

(iv)

(a) (b)

8.9 次頁に続く.

10-3 100 103 106 Frequency (Hz) -2000

-1000 0

Capacitance (nF)

µn/µp=5×10-3 γ=10-4γL

10-3 100 103 106

Frequency (Hz) -2000

-1000 0

Capacitance (nF)

µnp=5×10-4 γ=0.0001γL

10-3 100 103 106

Frequency (Hz) -2000

-1000 0

Capacitance (nF)

µn/µp=5×10-5 γ=10-4γL

0 0.05

x (µm) 1013

1014 1015 1016 1017 1018 1019 1020 1021

Carrier concentration (cm-3 )

0 5×1024 1×1025 1.5×1025 2×1025

Recombinationrate (s-1 cm-3 )

anode cathode

Hole Electron Recom

γ=10-4γL

µn/µp=5×10-4

0 0.05

x (µm) 1013

1014 1015 1016 1017 1018 1019 1020 10

Carrier concentration (cm-3

0 5×1024 1×1025 1.5×1025 2×10

Recombinationrate (s-1 cm-3

anode cathode

Hole Electron Recom

γ=10-4γL

µnp=5×10-3

0 0.05

x (µm) 1013

1014 1015 1016 1017 1018 1019 1020 1021

Carrier concentration (cm-3 )

0 5×1024 1×1025 1.5×1025 2×1025

Recombinationrate (s-1 cm-3 )

anode cathode

Hole Electron Recom

γ=10-4γL

µnp=5×10-5

(a) (b)

(v)

(vi)

(vii)

(v)

(vi)

(vii)

8.9 再結合定数γ = 104γLにおける電子正孔移動度を変化させた場合 の(a)キャリア密度および再結合レート,(b)キャパシタンスの周波 数特性.γLはランジュバン定数を表す.印加直流電圧は5 V.それ 以外の計算に使用した物理量は表8.1に示す.

以上の計算結果より,負のキャパシタンスが現れる原因は,電子・正孔が共に対向 電極に到達することができ,電子・正孔の走行時間効果が同時に観測され,位相が単 電荷注入時よりもさらに遅れることによると考えられる.さらに負のキャパシタンス が現れる周波数から少数キャリアの移動度を算出することができるとの報告がなされ

ており[4],負のキャパシタンスが起こる周波数域では少数キャリアの走行時間効果が

現れていると考えられる.

これを確かめるために,これまでの計算結果から実際に∆Bの周波数依存性から 移動度を算出した.再結合定数が0の場合には図8.6に示したキャパシタンスの周波数 依存性より,図8.10に示す∆Bの周波数依存性が得られた.−∆B が極大を示す周 波数を見ると,電子移動度が正孔移動度よりも小さい場合(µnp < 1)には電子移動 度が一桁増加すると,∆Bが極大を示す周波数も一桁増加していることが分かる.一 方,電子移動度が正孔移動度よりも大きい場合(µnp >1)には,電子移動度を一桁増 加させても∆Bが極大を示す周波数に変化がないことが分かる.つまり,−∆Bが極 大を示す周波数は移動度の小さいキャリアの走行時間に反比例していることが分かる.

図8.10より∆B法によって移動度を算出すると,図8.11のような電子移動度依存性 が得られた.得られた移動度は約一桁小さく見積もられるものの,走行時間の大きい キャリアの移動度と相関があることが分かる.

図8.12(a)は図8.9(b)に示した再結合定数γ = 102γLにおけるキャパシタンスの周波 数依存性である.挿入図は高周波域を拡大したものであるが,高周波側でも走行時間効 果が起こり,キャパシタンスが減少している様子が見られる.図8.12(b)は図8.12(a)よ り得られた∆Bの周波数依存性であるが,電子・正孔の移動度の比がµnp <5×103 であれば二つのピークが現れる.図8.12は入力した正孔移動度が電子移動度よりも大 きいので,∆Bの高周波側の極大が正孔の走行時間効果,低周波側の極大が電子の走 行時間効果と考え,二つの極大から∆B法によって移動度を算出した結果が図8.11 である.なお,横軸は入力した電子・正孔移動度である.電子・正孔共に誤差はあるも

なる.この場合ではµnp <5×103であれば二つのピークが現れる.入力した電子・

正孔の移動度を横軸にとり,縦軸に∆B法によって得られた移動度を図示すると図 8.15のようになり,やはり誤差はあるものの,ほぼ入力した移動度を算出できている ことが分かる.

10

-3

10

0

10

3

10

6

Frequency (Hz)

10

-6

10

-5

10

-4

10

-3

10

-2

10

-1

10

0

10

1

10

2

- ∆ B ( S )

µnp

10-3 101 10-2 102 10-1 103 1

8.10 図8.6より得られた再結合定数γ = 0, µp = 105 cm2/Vs, µn = 108–102 cm2/Vsにおける∆Bの周波数依存性.計算に使用し た物理量は図8.6と同じ.

10

-9

10

-7

10

-5

10

-3

Input electron mobility (cm

2

/Vs)

10

-9

10

-7

10

-5

10

-3

E xt ra ct e d m o b ili ty ( cm

2

/V s)

8.11 図8.10より∆B法によって得られた移動度.横軸は入力した電子 移動度.計算に使用した物理量は図8.6と同じ.

(a)

(b)

10

-3

10

0

10

3

10

6

Frequency (Hz)

-20 -10 0

C a p a ci ta n ce ( n F )

µnp

1 0.33 0.053 0.026 5×10-3 5×10-4 5×10-5

10-3 100 103 106

Frequency (Hz) 0

0.2 0.4 0.6

Capacitance (nF)

10

2

10

3

10

4

10

5

10

6

10

7

10

8

Frequency (Hz)

10

3

10

4

10

5

10

6

10

7

10

8

- ∆ B ( S )

µnp1

0.33 0.053 0.026 5×10-3 5×10-4 5×10-5

8.12 (a)図8.8(b)に示したキャパシタンスの周波数依存性.(b)(a)から 得られた∆Bの周波数依存性.計算に使用した物理量は図8.8と 同じ.

10

-9

10

-8

10

-7

10

-6

10

-5

10

-4

Input mobility (cm

2

/Vs)

10

-9

10

-8

10

-7

10

-6

10

-5

10

-4

E xt ra ct e d m o b ili ty ( cm

2

/V s)

electrons holes

8.13 図8.12より∆B法によって得られた移動度.横軸は入力した電子 移動度または正孔移動度.計算に使用した物理量は図8.8と同じ.

10

-3

10

0

10

3

10

6

Frequency (Hz)

10

3

10

4

10

5

10

6

10

7

10

8

- ∆ B ( S )

µ

n

/ µ

p

1 0.33 0.053 0.026 5 × 10

-3

5 × 10

-4

5 × 10

-5

8.14 図8.9(b)に示したキャパシタンスの周波数依存性から得られた∆B

の周波数依存性.計算に使用した物理量は図8.9と同じ.

10

-9

10

-8

10

-7

10

-6

10

-5

10

-4

Input mobility (cm

2

/Vs)

10

-9

10

-8

10

-7

10

-6

10

-5

10

-4

E xt ra ct e d m o b ili ty ( cm

2

/V s)

electrons holes

8.15 図8.14より∆B法によって得られた移動度.横軸は入力した電子 移動度または正孔移動度.計算に使用した物理量は図8.9と同じ.

有機EL素子の効率を最大化するために直接的に重要であるのは,移動度のバランス ではなく,注入電流のバランスである.キャリアバランスを議論する際にはしばしば 図8.16のように,横軸にキャリア注入バランスを,縦軸にキャリアバランス因子を表 示した三角形が用いられる[5–7].

キャリア注入バランスは式(8.8)で与えられ,全電流に対する,陽極における正孔電 流と陰極における電子電流の差の割合として定義される.

b = Jp(x= 0)−Jn(x=d)

J (8.8)

ここでdは素子の膜厚である.キャリアバランス因子は式(8.9)で与えられ,再結合に 利用された電流成分Jrと素子を流れる全電流の比として定義される量である.

r = Jr

J = Jp(x= 0)−Jp(x=d)

J = Jn(x=d)−Jn(x= 0)

J (8.9)

図8.16中の(a)の領域は,電流がバランスし,再結合確率が1に近い.(b),(c)の領 域は電流はバランスしているが,再結合確率が1よりも小さく,再結合することなく 反対側の電極に到達するキャリアが存在する.(d), (e)の領域はそれぞれ電子オンリー 素子,正孔オンリー素子に近い状態である.

実際の素子がこの三角形のどの領域にあるのかを考察することで効率向上への知見 が得られる.しかし,キャリア注入バランスやキャリアバランス因子は実測が不可能 な量であるので,この三角形のうちのどの領域にあるのかを直接的に測定して知るこ とはできない.そこで前節までの結果を踏まえ,負のキャパシタンスがキャリアバラ ンスの指標になるのではないかと考え,図8.16の三角形上に負のキャパシタンスの等 高線を図示した.図8.16中の点は実際に計算した結果を図示したものである.線で結 ばれた点同士は同じ再結合定数を用いて計算した結果であり,移動度のバランスのみ が異なる.再結合定数が同じ点を結んだ線は,ほぼ負のキャパシタンスの等高線と平 行していることが分かる.これは,負のキャパシタンスが,移動度のバランスよりも,

再結合定数に大きく依存していることを示している.

には負のキャパシタンスは現れない.効率の悪い(c), (d), (e)の領域では,注入された キャリアは再結合で消滅せずに対向電極へ到達するため,負のキャパシタンスが大き くなっていることが分かる.ただし,図8.16では判別しづらいが,注入バランスが崩 れすぎると(x1,1),単電荷素子となり,負のキャパシタンスは消滅する.従って,

負のキャパシタンスの大きさを指標にして効率を最大化するためには,素子が十分に 発光している状態で,負のキャパシタンスを消滅させることである.これまでの経験 上,実際の素子では高分子系,低分子系を問わず必ず負のキャパシタンスが観測され たため,効率を最大にするためには,素子が十分に発光している状態で負のキャパシ タンスを最小にすればよいことになる[1].実際に効率を議論する際には,一定電流下 で比較することが多いので,一定電流下で計算した結果を図8.17(a), (b)に示す.この 場合にも,図8.16と同様に,再結合定数が同じ点を結ぶ線と,負のキャパシタンスの 等高線はほぼ平行していることが分かる.

図8.18は,ポリフルオレン系高分子発光材料であるGreen K (SumationTM)を用いた ITO/PEDOT:PSS/Green K/Ba/Al有機EL素子を一定電圧で繰り返しIS測定を行っ た際のキャパシタンスの周波数依存性である.負のキャパシタンスは駆動による輝度 の低下に伴い減少している.一定電流下でも同様の実験を行ったが,やはり駆動に伴っ て負のキャパシタンスが減少した.図8.16より,再結合定数が低下すれば,負のキャ パシタンスはキャリア注入バランスの変化に依らず増加するため,駆動に伴う負のキャ パシタンスの減少は,再結合定数の低下のみでは説明できない.輝度の低下に伴う負 のキャパシタンスの減少は,図8.7に示すγ = 101γLの場合のように,比較的再結合 定数が大きい場合にキャリア注入バランスが崩れることで説明できる.つまり劣化前 では図8.16の(a)付近に位置しており,駆動によって再結合定数は低下せず,キャリア 注入バランスが崩れたのではないかと考えられる.