第 9 章 主要投資インセンティブ
4. 資本市場からの調達
(1) 株式市場での資金調達
メキシコ証券取引所には2013年時点で143社が上場しており、株式時価総額は約5,000 億ドルである。メキシコ株式市場は中南米ではブラジルのBM&F BOVESPA(約9,000億 ドル)に次ぐ規模である。また、上場企業143社のうち、138社が国内企業、5社が外資系 企業である。
IPC(Indice de Precios y Contizaciones)株価指数53は主要35銘柄で構成されており、
その多くは国際的にも事業展開しているため、米国のニューヨーク証券取引所にADR(米 国預託証券)を上場している。主要銘柄は図表 18-3の通りであるが、メキシコ株式市場は 特定銘柄への集中度が高く、取引高は小さいため、株式市場における資金調達は限定的と いえる54。
0 50,000 100,000 150,000 200,000 250,000 300,000 350,000 400,000
2009年 2010年 2011年 2012年 2013年
現地向け与信 クロスボーダー与信
(百万ドル)
20.2 %
79.8 %
図表 18-3 IPC株価指数を構成する代表的な銘柄
(単位: 百万ペソ)
銘柄名 業種 概要 時価総額55
America Movil 電気通信
固定・携帯電話、データ通信、有料テレビ等をメキシ コ・北米・中南米で展開。固定電話のメキシコ国内シ
ェア80%、携帯電話の国内シェア70%の業界トップ
企業。
1,234,017
FEMSA 食品・飲料 ラテンアメリカ最大のコンビニエンスストアチェーン。
子会社にコカ・コーラ・ボトラーを保有。 460,876
Alfa 資本財 石油化学、アルミ製自動車部品、冷凍食品、通信の4
事業部門を持つコングロマリット企業。 239,576
CEMEX 素材 各種セメントを製造・販売。米・欧州含む50カ国以上
で事業を展開。 208,859
Elektra 家電
家電販売チェーンや金融業を展開。2012年4月米ノ ンバンク系金融のアドバンス・アメリカを買収し、中低 所得者層向け金融を米国でも展開。
88,292
Gruma 食品・飲料 国内製粉最大手企業。とうもろこし粉・小麦粉の他、メ
キシコではトルディージャを製造販売。 60,814
(出所)各社ホームページ、BMVより作成
(2) 債券市場での資金調達
第17章で述べたように、メキシコの債券市場は拡大している。2013年末時点の社債(国 内・国外)の発行残高は約3,000億ドルと、国債を含めたメキシコ債券市場全体の約45%
の規模であり、増加傾向にある。
メキシコ企業は世界的な金融危機の影響を懸念して、一時、国際資本市場での資金調達 を停止していたが、調達環境の改善に伴って、債券発行を再開した。2008年12月には、
素材大手CEMEX(セメックス)が既存債務の借換資金として12.5億ドルの7年物ドル建
て債券、3.5億ユーロの8年物ユーロ建て債券を発行している。また、住宅メーカーのHomex
(デサロジャドーラ・オメクス)は2.5億ドルの10年物ドル建て債券を発行した。2010 年には、通信大手のAmerica Movil(アメリカモビル)が3月に総額40億ドルのグローバ ル債(5年、10年、30年)を発行し、食品大手のBimbo(ビンボ)や飲料大手のFEMSA
(フェムサ)等、主要企業による社債発行が相次いだ。
2011年以降も、海外借入コストの低下を背景に、America Movil(アメリカモビル)56、
CEMEX(セメックス)、Santander(サンタンデール・メヒコ)、BBVA Bancomer(バン
55 2014年9月22日時点の時価総額。
コメール)、日産等、主要な民間企業・金融機関は活発に起債を行ってきた。2013年5月 にバーナンキ米連邦準備制度委員会(FRB)議長が量的緩和早期縮小の可能性を示唆した ことから調達コストが上昇したものの、メキシコ民間企業の社債発行額は増加傾向にある。
現地ヒアリング調査によれば、日産やトヨタなどの完成車メーカーによる販売金融事業 においては社債発行により資金を調達しているとのことであった。日系完成車メーカーは 調達額が大きいことから社債発行により資金調達をしているが、このように社債発行の場 合はある程度の規模の金額が必要となる。なお、社債の発行にはメキシコの格付け機関か らの格付けを取得する必要がある。メキシコにおける自動車産業の成長が見込まれている ため、完成車メーカーをはじめとする日系企業の社債発行による資金調達は増えていくと 考えられる。