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第 9 章 主要投資インセンティブ

1. 地域概要

(1) 概要

メキシコシティ(連邦区)はメキシコの首都であり、889万人が居住するメキシコ最大の 都市である。州には属しておらず、連邦直轄区域となっている。

標高は2,250メートルと高く、周囲を山に囲まれた盆地に位置している。隣接州はモレ ロス州、メキシコ州である。

政治、行政、司法の機能が集中しているほか、経済・金融の中心地でもある。2013年の 対内直接投資額は21,883百万ドルで、国全体の約60%を占めている。

図表 25-1 連邦区の概況82

基本事項 面積 1,485㎢

人口 8,886,708人

労働力人口 4,439,407人

天候 年平均気温 18.1℃

経済概況 GDP 2,472,925百万ペソ(メキシコ全体の16.40%)

第一次産業 1,183百万ペソ(メキシコ全体の0.23%)

第二次産業 312,328百万ペソ(メキシコ全体の5.68%)

第三次産業 2,159,415百万ペソ(メキシコ全体の23.80%)

対内直接投資額(FDI) 21,882百万ドル(メキシコ全体の62.19%)

(出所)ProMéxico、INEGIより作成

メキシコシティ

(連邦区)

(2) 主要産業及び進出日系企業数

多くの外国企業はメキシコ最大の都市メキシコシティに拠点を設置しており、進出企業 の業種は多岐にわたる。日系企業も同様で、2013年10月現在、全体の約4分の1を占め る172社が進出している。

メキシコシティの人口は889万人だが、近郊都市も含めた都市圏には2,000万人近い人 口が居住しており、国内最大の消費市場となっているため(2番目はハリスコ州のグアダラ ハラ)、小売業、サービス業の企業はまずメキシコシティに進出することが多い。

(3) 投資環境

① インフラ・物流

空港はメキシコシティ国際空港のみである。現在日本との間では、成田空港からの直行 便(復路はティファナ経由)が週4便運航している。

市内には12路線の地下鉄、5路線のメトロバス(バス専用レーンを走る路線バス)が 運行されており、市民の移動手段として利用されている。貨物用の鉄道はKCSM(カンザ ス・シティ・サザン・ド・メキシコ)とFerrosur(フェロスール)の2線を利用するこ とができる。

② 労働事情

市内には663校の後期中等教育機関(高等学校等)、471校の高等教育機関(大学等)が ある。毎年多数の卒業生が労働市場に供給されるため、他の州よりは大卒レベルの従業員 の確保が容易である。また現地調査によれば、メキシコ州のように隣接している州であれ ば、首都の大学を卒業した人材を確保することも可能とのことであった。

平均労働賃金は日給360.8ペソであり、メキシコ全体の平均270.2ペソよりも100ペソ ほど高い点に注意が必要である。

③ 生活環境

日本人駐在員はポランコなどの高級住宅街に居住しているケースが多い。日本人の多い エリアには日本食レストランや日本食材を扱う店も点在している。

市内には日本語が通じる病院、歯科医院が数機関存在する83。この他にも多数の医療機関 があるが、大半の病院の医療スタッフには英語が通じない。

日本人学校として小学部と中学部のある「日本メキシコ学院」があり、2014年5月末時 点で144名の児童・生徒が通学している。

83 外務省 海外安全ホームページ参照。

http://www2.anzen.mofa.go.jp/info/pcinfectionspothazardinfo.asp?id=264#ad-image-0

図表 25-2 日本メキシコ学院 日本コースの概要 生徒数 小学生116名/中学生28名

教員 派遣教員13名/現地採用教職員6名/(その他スタッフ6名)

所在地 Camino a Santa Teresa No.1500, Col. Jardines de Pedregal, C.P.01900, Mexico D.F.

Tel +52-55-5568-5958

(出所)日本メキシコ学院 日本コース ホームページより作成

市内でもエリアにより治安は異なる。銃による強盗、公共交通機関でのスリ、空港での 荷物盗難などの犯罪は多数報告されているため、十分に注意する必要がある。

④ 連邦区のインセンティブ

連邦区で受けることのできるインセンティブは下表のとおり。

図表 25-3 連邦区のインセンティブ

項目 適用可否 項目 適用可否

州税の一時免除 × 事業計画修正に係る費用の割引 × 新規設立企業の給与税の一時免除 × 新規雇用創出企業の給与税の割引 ○

不動産等登録税の免除 × 給与税の一時的割引 ×

土地使用許可料の免除 × 固定資産税の割引 ○

建設許可料の免除 × 不動産取得税の割引 ○

上下水道税の免除 × 建設許可証発行料の割引 ○

州税の割引 × 上下水道使用料金の割引 ×

不動産等登録税の割引 ○ 研究開発案件のインセンティブ ○ 不動産評価に係る費用の割引 × 都市圏外投資のインセンティブ ×

譲渡税の割引 × - -

(出所)ProMéxicoより作成

図表 25-4 連邦区の主要工業団地 FINSA Iztapalapa

運営企業名 FINSA 入居企業数(社) 27 総面積(ha) 35

Website www.finsa.net

Tel +52-81- 8152-4200

隣接道路 Avenida Michoacán

(出所)ProMéxicoより作成

ひとくちメモ(23): 渋滞に注意

メキシコでは、公共交通機関での移動が安全とは言えない面もあり、多くの駐在員は自動車で移動 している。自動車移動で注意が必要なのは朝夕を中心とした激しい渋滞だ。日本であれば、朝は首都 圏に向かう道路、夕方は郊外に向かう道路が混雑するが、メキシコシティの場合、都市部を通り抜けて 郊外から郊外へ移動する人も多いため、双方向の道路が混雑する。また、今回の現地調査では、デモ 隊による突然の道路占拠で夜間に渋滞が発生したこともあった。

旅行代理店やホテルを通じて手配するドライバーは、この渋滞を見越して送迎の時間を決めてくれ ることが多い。そのため場合によっては想定していた渋滞が起きず、アポイントメントの時間よりもかな り早く目的地に到着してしまうこともある。

メキシコシティは非常にタイムコントロールが難しい都市であり、滞在者は時間に余裕を持った予定 を立てることが必須と言える。

【写真説明】 帰宅ラッシュ時の市内(左)、メキシコシティの地下鉄ホーム(右)

(出所)現地調査にて撮影

ひとくちメモ(24): メキシコシティのレンタサイクル

メキシコシティにはECOBICIという有料のレンタサイクルがある。市内にあるステーションで借受 け、45分以内にステーションに返却するルールになっている(借受け場所と返却場所は同一でなくても よい)。利用には事前登録が必要で、年間利用料は400ペソである。割高にはなるが、1日、1週間と いった短期間プランも存在するため、短期滞在者でも利用することは可能である。既に3,600台の自 転車が275のステーションに配備されているが、ステーション増設が予定されており、ますます便利に なることが期待される。

【写真説明】 ECOBICIのステーション

(出所)現地調査にて撮影

ひとくちメモ(25): ビジネスマンの身だしなみは足元から

メキシコでは革靴を常に綺麗にしておくことがビジネスマンの身だしなみの常識とされている。メキ シコには「La elegancia mira en los zapatos(その上品さを見るには靴を見よ)」という言い伝えがあ り、高級なスーツで決めていたとしても、靴が汚れていたら全て台無しという意味である。

メキシコシティ等のビジネス街では、可動式の野外靴磨きスタンドを至る所に見つけることができる。

値段が15~20ペソと手ごろな価格ということもあって、出勤時には椅子に座って新聞を読むビジネスマ

ンが目立つ。現地企業と商談等をされる際には、足元に要注意である。

【写真説明】 メキシコシティ内で見られる靴磨き

(出所)現地調査にて撮影

第26章 グアナファト州概要

1. 地域概要

(1) 概要

グアナファト州はメキシコシティの北西部に位置し、ケレタロ州、ミチョアカン州、サ ン・ルイス・ポトシ州、ハリスコ州に囲まれている。2012年のGDPは588,842百万ペソ であり、州別GDPは全国7位である。また、当州への投資額(FDI)は734百万ドルであ る。

図表 26-1 グアナファト州の概況84

基本事項 面積 30,608.44㎢

州都 Guanajuato(グアナファト)

人口 5,738,720人

労働力人口 2,544,090人

天候 年平均気温 19.3℃

地理 メキシコシティから約284㎞

経済概況 州GDP 588,842百万ペソ(メキシコ全体の3.91%)

第一次産業 23,593百万ペソ(メキシコ全体の4.67%)

第二次産業 233,196百万ペソ(メキシコ全体の4.24%)

第三次産業 332,052百万ペソ(メキシコ全体の3.66%)

対内直接投資額(FDI) 734.0百万ドル(メキシコ全体の2.09%)

(出所)ProMéxico、INEGIより作成

メキシコシティ 州都 Guanajuato

(グアナファト)

(2) 主要産業及び進出日系企業数

古くは農業と畜産が盛んな地域として知られており、現在でも州内GDPに占める第1次 産業の比率は4%と全国平均よりもやや高い。約20年前にGeneral Motorsがシラオ市に生 産拠点を設置したことを契機に工業化が進んだ。

現在の主要産業は自動車産業であり、外資ではGeneral Motors、Volks Wagen、日系で はホンダとマツダが生産拠点を設けている。

ホンダとマツダの進出に伴い、近年は日系企業が急増し、2011年10月時点で14社だっ た企業数は2012年10月に46社、2013年10月に92社となった。

(3) 投資環境

① インフラ・物流

州内ではシラオ市にあるデル・バヒオ空港が主要空港だが、隣接しているケレタロ州と ミチョアカン州の空港へのアクセスも容易である。鉄道はFerromex(フェロメックス)、

KCSM(カンザス・シティ・サザン・ド・メキシコ)の2つの鉄道を利用することができ

る。最寄りの主要港はマンサニージョ港で、距離は510㎞である。

他州にはない特徴は、州内に州都グアナファト市のほかに、レオン市、シラオ市、イラ プアト市、サラマンカ市、セラヤ市といった大規模な都市が複数存在することであり、こ れらの都市を含め、グアナファト州には人口10万人を越える都市が14ある。主要都市間 は幹線道路で結ばれている。

② 労働事情

グアナファト州の人口は全国で7番目に多い。複数の都市圏が存在するため、労働力を 確保しやすい環境にあるが、近年自動車関連企業の進出が急増したことにより、以前より は労働者の確保が難しくなっている。また、進出企業からは、当地域では特にホワイトカ ラー職の確保が難しいとの声も挙がっていた。賃金は日給222.1ペソであり、メキシコの

全国平均270.2ペソよりも50ペソ程度安い。

州内には後期中等教育機関(高等学校等)が808校、高等教育機関が234校(大学等)

あり、毎年、エンジニアリング系課程の学習者を大学レベルで5,000人、高校レベルで2 万人輩出している。

現地ヒアリングによれば、2007年以降のストライキ発生回数は合わせて5回程度である。

③ 生活環境

日系企業の進出は直近2~3年で急増したため、日本人向けの生活インフラは現在発展途 上にある。医療機関は931機関あり、公立が705機関、民間226機関である。州内に日本 人医師のいる病院はないが、日本語通訳と提携している病院が5件存在する。また、これ らの病院には英語対応可能な医師もいる。