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第 9 章 主要投資インセンティブ

1. エネルギー改革

第23章 その他最近のトピックス

占めるメキシコにおいては、石油産業への梃入れは喫緊の課題であったため、ペニャ・ニ エト政権は憲法改正を含むエネルギー改革法案の発表に踏み切った。

図表 23-2 メキシコにおける原油生産量の推移

(出所)BP「Statistical Review of World Energy June 2014」より作成

(3) 今後の見通し

原油生産量は減少傾向にあるものの、メキシコは膨大な炭化水素資源を有している。2014 年1月時点における原油と天然ガスの確認可採埋蔵量は139億バレルと世界17位を誇り、

これら埋蔵量を狙って今後、外資企業が参入することが見込まれる。

図表 23-3 メキシコの炭化水素資源と埋蔵量の分布(2014年1月時点)

0 500 1,000 1,500 2,000 2,500 3,000 3,500 4,000 4,500

2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 (年)

(千バレル/日)

3,830

2,875

(原油)

(ガス)

(サビナス)

(タンピコミサンドラ)

(ベラクルス)

(ユカタン台地)

(メキシコ湾)

(大水深)

(ブルゴス)

エリア 累積生

産量

埋蔵量

確認 確認+

推定

確認+

推定+

予想

スレステ 454 122 182 251

タンピコミサンドラ 65 10 70 177

ブルゴス 23 4 6 8

ベラクルス 7 2 2 2

サビナス 1 0 0 0

大水深 0 1 2 7

ユカタン台地

合計 550 139 262 445

2014年8月11日、エネルギー改革を具体的に進めるための二次法(施行法)が成立し、

メキシコ連邦政府より、一連のエネルギー改革関連法が公布された。公布された関連法は 全部で21本(新規9本、改正12本)79である。

炭化水素法第1条では炭化水素資源を国家所有が前提にあることを規定しているものの、

採掘後の炭化水素資源は採掘者が契約に従って所有可能としており、実質的に炭化水素資 源が民間へ開放された形となった。また、同法第2条では同法が規定する事業範囲を、「(1) 炭化水素の探査・開発」、「(2)石油精製、譲渡、流通、輸送、保管」、「(3)天然ガスの加工、

圧縮、液化、減圧、再ガス化、輸送、保管、配送、流通、小売」、「(4)石油製品の輸送、保 管、配送、流通、小売」、「(5)石油化学品のパイプライン輸送、保管」、の5つに定めている。

このうち、(1)については政府が割当と契約を行うことにより実施、(2)~(5)については事前 承認もしくは許可制により誰でも実施可能としている80

炭化水素の探査・開発における契約はエネルギー省によって定められる。契約分類はラ イセンス契約、生産分与契約、利益分与契約、サービス契約の中から選択され、政府の取 り分と企業への対価については「炭化水素歳入法」により規定されている(図表 23-4参照)。

また、炭化水素歳入法第55条により、月単位で炭化水素探査・開発税を支払う必要があり

(探査期間中: 1,500ペソ/月・㎢、生産期間中: 6,000ペソ/月・㎢)、全ての契約形態におい て最低でも35%のローカルコンテント比率を達成しなければならない。なお、炭化水素の 探査・開発における鉱区割り当て・契約実務は国家炭化水素委員会(CNH)が担い、探査・

開発以外の多くはエネルギー規制委員会(CRE)が担う。

図表 23-4 炭化水素の探査・開発における政府取り分と企業への対価(契約別)

契約形態 政府の取り分 企業への対価

ライセンス契約 サインボーナス81、探査期間契約料、ロ イヤルティ、炭化水素契約価額に所定 の率を乗じたもの

採掘した石油などの現物の有償譲渡

生産分野契約 探査期間契約料、ロイヤルティ、営業 利益に対する一定の率

生産コスト回収分、石油などの現物の 一定割合

利益分与契約 同上 生産コスト回収分、政府取り分を差し引 いた営業利益残額

サービス契約 全ての石油等の生産物 サービス料(現金)

(出所)炭化水素歳入法(2014811日)、JETRO通商弘報(2014912日)より作成

79 新規は炭化水素法、電気産業法、エネルギー関連規制機関法、石油公社(PEMEX)法、電力公社(CFE)

法、炭化水素分野における国家産業安全環境保護庁法、地熱エネルギー法、炭化水素歳入法、石油開発安 定化基金法の9本。改正は外国投資法、鉱業法、官民連携法、連行行政機関法、連邦国営機関法、公共調 達・賃借・サービス法、公共事業・サービス法、国家水法、連邦予算財政責任法、一般公共債務法、連邦 手数料法、財政調整法の12本。

80 炭化水素分野における許認可の担当はエネルギー省とエネルギー規制委員会(CRE)で分担している。

81 契約時に契約の更新料などとして支払われる報酬やボーナスの総称。

発電・売電分野においては、民間企業は発電・売電を行うことが可能となり、新設され た国家エネルギー管理センター(CENACE)との契約を通して送配電事業、グリッドの設 備建設・拡張にも限定的に参加可能となった。また、CENACEが運営する「電力卸売市場」

が新たに開設され、大口需要家は同市場を通してスポットで電力を調達することも可能と なった。他方、ガソリンなどの流通分野においては段階的な開放となり、2018年以降、価 格の自由化が行われる見通しである。

上記、二次法(施工法)の成立は当初見込みより遅れたものの、PEMEXが今後も探査・

開発などを行う鉱区群「ラウンド・ゼロ」の内容だけでなく、民間企業に開放される鉱区 群「ラウンド・ワン」の内容も発表された結果となった。本発表を受け、民間企業各社は 2015年1月~3月にかけて実施される予定の入札の準備を進めている。