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第 4 章 中国語の動詞 由 来複合 語 の語形 成 と意味機 能

4.11 終 わり に

以上 で中 国語 の動 詞由 来複合 語に つ いて考 察を 行っ た。

中国 語の 動詞 由来 複合 語で問 題と な ってい るの は、 従来 の分 類に見 られ る ように 品詞 の 問題で ある 。 す なわ ち、 中国語 の動 詞 由来複 合語 は今 まで 複合 語とい う名 の 通り、 動詞 扱 いされ てき たが 、 本 章の 考察で は形 態 的に 動 詞と 変わ らな いに も関わ らず 、 述語と して 用 いられ ない 複合 語の 存在 を明ら かに し た。

中国 語に おい て、 動詞 由来複 合語 を 含め、 ある 語の 品詞 を認 定する には 様 々な 基 準が あ る。例 えば 、次 の構 文を 通して 、あ る 語が動 詞か どう かを 判定 するこ とも 可 能であ る。

(90)[如何 _ ]( 如何 に_ )

(91)[需要 _ ]( _べ きだ。)

本章 では 、中 国語 の基 本語順 を示 す SVO 構文を 利用 し、 複合 語の その 構 文に現 れ得 る 位置を 見る こと 通し て、 複合語 の 品 詞 判定を 行っ た。 本研 究は SVO 構 文に おける V の位 置 に 現 れ 得な い 動 詞 由 来 複 合 語 を 動詞 で は な い と判 定 す る 理 由 は 、(92) ~ (96) に 見 る ように 、動 詞由 来複 合語 と同様 の二 音 節の動 詞に はそ の位 置に 現れ得 る 語 も 多いか らで あ る。

(92)颱風 登陸 台 湾 了。(述 賓式 複合 動詞)

台風 上陸 台 湾 完了 相

(台風 が台 湾に 上陸 した。)

(93)小王 打破 記録 了。( 述補 式複 合動詞 ) 王さん 打 破 記録 完 了相

(王さ んは 記録 を破 った 。)

(94)我 高舉 著 双手。( 偏正 式複合 動詞 ) 私 高 く挙 げる 進 行相 両手

(私は 両手 を高 く挙 げて いる。)

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(95)流氓 毆打 員警。(並 列式 複合 動詞 ) やくざ 殴 打 警察 官

(やく ざが 警察 官を 殴っ た。)

(96) 你 老是 磋跎 光陰。( 連綿詞38) あなた い つも 無 駄に する 光陰

(あな たは いつ も時 間を 無駄に する 。)

本章 の品 詞判 定の 基準 を表で 示す と 次の通 りで ある 。

主 語 、 目的 語 修 飾 語 述 語 品 詞 例

× ○ × (非述)形容 詞 紅焼、 洗髪

○ ○ ○ 非典型 的動 詞 合唱、 結婚

× × ○ 動詞 高挙、 得罪

○ × × 名詞 盲打

表 4-4.本章 の品 詞判定 の基 準及 び付 加 詞複合 語、 内項 複合 語の 例

最後に 、従 来の 分類 と比 べた本 章の 考 察結果 を次 の表 にま とめ る( 斜 体で 表 示した 部分 は先行 研究 の分 類で は問 題とな る箇 所 である )。

本 研 究 の分 類 機 能 、 品詞 例 従 来 の 分類 内項複 合語 行為を 表す 動名 詞 投票 述賓式 複合 動詞

属性を 表す 形容 詞 洗衣( 機)

付加詞 複合 語 動詞 高舉 偏正式 複合 動詞

行為を 表す 動名 詞 合唱 属性を 表す 形容 詞 紅燒 行為を 表す 名詞 海釣

表 4-5. 中 国語 の動詞 由来 複合 語に 関 する考 察結 果

38 音韻 的に も意味 的に も似 通っ てい る( 拘束形 態素 の)漢字 の並 列か らな る語 のこと で あ る。

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表から わか る通 り、 従来 の研究 で単 に 「述賓式複 合動 詞」、「偏正式複 合動 詞」とタ グ付 けられ た複 合語 は実 は様 々な下 位タ イ プ に分 類す るこ とが でき る。ま た、 そ れらの 品詞 、 機能も 語構 成要 素か ら予 測でき ない 。

では 、な ぜ形態 上動 詞と 変わ らな い動 詞由来 複合 語は 動詞 とし ては用 いる こ とがで きず 、 形容詞 とし て ま たは 名詞 として 用い ら れたり する の だ ろう か。 本研究 の仮 説 に基づ くと 、 例えば 、形 容詞 とし て用 いられ る 複 合 語は、 その 被修 飾語 に相 当す る 名詞 に 関する 知識 に よって 動機 づけ ら れ てい るから だ、 と いうよ うに 説明 でき る。

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