第 6 章 触覚コンテンツ 3: 粘着性粘弾性感
6.3 本提案手法の導入
6.3.3 プロトタイプ
製作したプロトタイプは,アクチュエータとして音響スピーカ(AIR WAVE, CLW060P1)を 搭載した光学式マウス(BUFFALO INC., BOMU-RHW01),LCDディスプレイ,音響ユニット,
制御用マイコン(Renesas Technology Corp. SH 7125F),アンプ(Strawberry Linux Co., Ltd.
MAX9704 Stereo Audio Amp Kit),PCから構成されている(図79 図80 ).体験者はマウスの 上部に搭載されているスピーカの上に手掌部を乗せ,横方向に動作させる.マウスの動き はPCで認識し,動作に合わせて触覚・聴覚・視覚を提示する.視覚提示に使用した画像の 中では,中央に赤いボールを,左端に粘着性粘弾性体であるスライムの面をそれぞれ描い
た(図81 ).中央の円はマウス型デバイスの位置を表しており,マウスの動作に合わせてボ
ールが左右に移動する.
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図79 プロトタイプのブロック図
図80 プロトタイプの外観
Optical mouse
Display Part
Micro Computer (SH 7125F)
Stereo Amplifer (MAX9704)
Control Part
Value of Position
Signal
Waveform
Speaker
PC Speaker Unit
LCD Display
Waveform Data Audio Signal
Visual Signal Control Box
Speaker unit LCD display
Tactile display device
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図81 使用した絵の例
実際のインタラクションは以下のような流れで行う.
1. ボールを左に移動させる:触覚・聴覚は提示されない.マウスの動作に合わせてボー ルが移動する様子がLCDディスプレイに表示される.
2. ボールが左側のスライム面に接触:接触を知らせる効果音が提示される.
3. ボールを左右に移動させる:
A) 接触面よりも左側に移動させる:手掌部に押圧力が提示されると共にスライムが 凹んだような絵が表示される.
B) 接触面よりも右側に移動させる:手掌部に吸圧力が提示されると共に,スライム がボールに張り付いて伸びているような絵が表示される.また,「キリキリ」とい う効果音も提示される.
4. ボールを大きく右側に移動させる:手掌部に振動が提示されると共に,スライムが剥 離するような絵が表示される.また,剥離を知らせる効果音が提示される.
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図82 インタラクションの流れ
波形の出力は,音響スピーカの特性を利用した制御を行った.音響スピーカは卖位時間 あたりに電圧差生じた場合に動作を行う.そして,電圧差が生じない場合は自らの復元力 で元の位置にゆっくりと戻っていく,この特性を利用し,位置の変化があった場合はその 方向に合わせて線形に入力電圧を上昇あるいは減尐させた.また,停止した場合は電圧を 一定に保つことで圧力値をゼロに戻した.
1. 2.
3. A 3. B
4.
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本制御手法の有効性を確認するため,実際に6.3.1とほぼ同じ間隔でマウス型デバイスを 動作させた場合の圧力値を計測した.結果を以下に示す.
図83 プロトタイプで提示された圧力
図83 より,スライムの押し込み時及び引っ張り時は記録時の傾向と似た波形が出力され ていることが分かった.ただし,記録時における静止状態ではヒステリシスが存在し,一 度反力が下がった後ある程度のところで安定した.しかし本実験結果ではゼロに戻ってし まった.これは,本提案手法が定常的な力を出力することができないために起きた問題で あると考える.これは静止状態でもヒステリシスを考慮し,多尐電圧を変化させる制御ア ルゴリズムを導入することである程度回避可能であると思われる.