第 5 章で分析した個々の同形複合動詞からどのような現象として見出せる のかをこの章で述べる。
本章では、提示した三グループという立場で四つの特徴に関するデータと、
四つの特徴という立場で三グループに関するデータに基づいて、日中の同形複 合動詞を三グループ、四つの特徴それぞれの部分及び、全体での意味範疇と意 味拡張という認知的な観点で、どのような現象であるかをまとめて、述べる。
6.2節「日<中の現象」では、「日<中」グループにおいては、四つの特徴に
関するデータからどのような意味範疇と意味拡張の現象が存在するのかを述 べる。
6.3節「日=中の現象」では、「日=中」グループにおいては、四つの特徴に
関するデータからどのような意味範疇と意味拡張の現象が存在するのかを述 べる。
6.4節「日>中の現象」では、「日>中」グループにおいては、四つの特徴に
関するデータからどのような意味範疇と意味拡張の現象が存在するのかを述 べる。
6.5節「同音漢語スル動詞による意味範疇補足」では、この特徴においては、
三グループに関するデータからどのような意味範疇と意味拡張の現象が存在 するのかを述べる。
6.6節「自他動詞による意味範疇補足」では、この特徴においては、三グル
ープに関するデータからどのような意味範疇と意味拡張の現象が存在するの かを述べる。
6.7節「細かい意味分けの現象」では、この特徴においては、三グループに
関するデータからどのような意味範疇と意味拡張の現象が存在するのかを述 べる。
6.8節「独特な使い方の現象」では、この特徴においては、三グループに関
するデータからどのような意味範疇と意味拡張の現象が存在するのかを述べ る。
6.9節「全体的な現象」では、全体的に日中対照においては、どのような意
味範疇と意味拡張の現象が存在するのかをまとめて、述べる。
6.10節「まとめ」では、本章のまとめである。
6.2「日<中」の現象
5.5節「全体の結果」のデータを踏まえて、「日<中」グループにおいる現象
としては以下にまとめられる。
まず、意味範疇の数は日中でそれぞれ10と5である。
そして、日本語の方には、複合動詞の数にも、意味の数にも、四つの特徴の 中に「同音漢語スル動詞による意味範疇補足」が最も多く見受けられ、7割く らいを占めている。また、意味拡張の手段としては、全部がメタファーである。
これに対して、中国語の方は大変異なっている。中国語の複合動詞の数にも、
意味の数にも、四つの特徴の中に「独特な使い方」しか持っていない。また、
意味拡張の手段としては、メタファーとメトニミーが半々くらいを占めている。
6.3「日=中」の現象
5.5節「全体の結果」のデータを踏まえて、「日=中」グループにおいて現象
としては以下にまとめられる。
まず、意味範疇の数は日中でそれぞれ11と2である。
そして、日本語の方には、複合動詞の数にも、意味の数にも、四つの特徴の 中に「自他動詞による意味範疇補足」が最も多く見受けられ、6割くらいを占 めている。また、意味拡張の手段としては、メタファーがほぼ全部を占めてい る。
これに対して、中国語の方は大変異なっている。中国語の複合動詞の数にも、
意味の数にも、四つの特徴の中に「独特な使い方」しか持っていない。また、
意味拡張の手段としては、メタファーとメトニミーが半々を占めている。
6.4「日>中」の現象
5.5節「全体の結果」のデータを踏まえて、「日>中」グループにおいて現象
としては以下にまとめられる。
まず、意味範疇の数は日中でそれぞれ32と6である。
そして、日本語の方には、複合動詞の数にも、意味の数にも、四つの特徴の 中に「独特な使い方」が最も多く見受けられ、6割を上回っている。また、意 味拡張の手段としては、メタファーが5割を上回っている。
これに対して、中国語の方が大変異なっている。中国語の複合動詞の数にも、
意味の数にも、四つの特徴の中に「独特な使い方」しか持っていない。また、
意味拡張の手段としては、メタファーとメトニミーが半々を占めている。
6.5「同音漢語スル動詞による意味範疇補足」
の現象
5.5節「全体の結果」のデータを踏まえて、「同音漢語スル動詞による意味範
疇補足」の特徴において現象としては以下にまとめられる。
まず、意味範疇の数は日中でそれぞれ10と0である。
そして、日本語の方には、複合動詞の数にも、意味の数にも、三グループの 中に「日<中」が最も多く見受けられ、6割を上回っている。また、意味拡張
の手段としては、全部がメタファーである。この結果は6.2節「日<中の現象」
で述べた現象と整合的である。つまり、「日<中」グループに「同音漢語スル 動詞による意味範疇補足」が最も多く見受けられ、意味拡張の手段は全部メタ ファーであることと整合的である。
これに対して、中国語の方には、全部が0個である。
6.6「自他動詞による意味範疇補足」の現象
5.5節「全体の結果」のデータを踏まえて、「自他動詞による意味範疇補足」
の特徴において現象としては以下にまとめられる。
まず、意味範疇の数は日中でそれぞれ12と0である。
そして、日本語の方には、複合動詞の数にも、意味の数にも、三グループの 中に「日=中」が最も多く見受けられ、5割を上回っている。また、意味拡張 の手段としては、メタファーがほぼ全部を占めている。この結果は6.3節「日
=中の現象」で述べた現象と整合的である。つまり、「日=中」グループに「自 他動詞による意味範疇補足」が最も多く見受けられ、意味拡張の手段はほぼ全 部メタファーであることと整合的である。
これに対して、中国語の方には、全部が0個である。
6.7「細かい意味分け」の現象
5.5節「全体の結果」のデータを踏まえて、「細かい意味分け」の特徴におい
て現象としては以下にまとめられる。
まず、意味範疇の数は日中でそれぞれ4と0である。
そして、日本語の方には、複合動詞の数にも、意味の数にも、三グループの 中に「日>中」しか持っていない。また、意味拡張の手段としては、シネクド キが多く見受けられる。
これに対して、中国語の方には、全部が0個である。
6.8「独特な使い方」の現象
5.5節「全体の結果」のデータを踏まえて、「細かい意味分け」の特徴におい
て現象としては以下にまとめられる。
まず、意味範疇の数は日中でそれぞれ27と13である。
そして、日本語の方には、複合動詞の数にも、意味の数にも、三グループの 中に「日>中」が最も多く見受けられ、7割を上回っている。また、意味拡張 の手段としては、メタファーが5割を上回っている。これは6.5節「日>中の 現象」で述べた現象と整合的である。つまり、「日>中」グループに「独特な 使い方」が最も多く見受けられ、意味拡張の手段はメタファーが5割を上回っ ていることと整合的である。
これに対して、中国語の方には、複合動詞の数にも、意味の数にも、「日<
中」と「日>中」グループが半々くらいを占めている。また、意味拡張の手段 としては、メタファーとメトニミーが半々くらいを占めている。