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第 4 章 実用流体機器への応用

4.2 氷蓄熱装置における熱交換器内での氷水二相流の解析

4.2.4 解析結果と考察

液相流れ場の解析結果として,渦要素分布,速度分布の時刻歴を図 4.2.4,図 4.2.5 に示す.流入直後のマニホールド内に直角な曲がり部があり,角部で大きなはく離が 非定常に発生することがわかった.また,マニホールド上端角部においても,逆圧力 勾配によって流れがはく離し,死水領域が発生している.

以上のように,マニホールド内においてはく離や死水域が発生し,流れが非定常に 偏流するため,氷塊粒子が不均一に分布することが推測できる.

(2) 氷塊粒子の挙動

氷塊粒子の解析結果として,氷塊粒子のフローパターンと体積濃度分布(Ice Packing

Factor, IPF)の時刻歴を図4.2.6,図4.2.7に示す.さらに,氷塊粒子の体積濃度の時間

平均分布を図4.2.8に示す.

氷水二相流に関する既存研究[112], [113]において,氷塊の体積濃度が約6vol%以上にな ると,氷塊同士の凝集が顕著になることが示されている.このように,氷塊濃度の高 い領域では,氷塊同士あるいは氷塊と壁面との付着・凝集が発生し易いことから,本 解析で得られた氷塊濃度分布の非定常データを時間平均することで,氷塊粒子が堆積 する位置の推定を試みた(図4.2.8).

流れ場で考察したように,プレート分岐部上流のマニホールド内において,はく離 や死水域が発生し,流れが非定常に偏流するため,氷塊粒子が不均一に分布すること がわかった(図4.2.8の時間平均結果を見るとわかり易い).マニホールド部において は,時間の経過と共に,上端角部の死水領域に氷塊粒子が蓄積していく様子が捉えら れた.上端角部では,氷塊濃度が局所的に10vol%程度まで増加しており,上述のよう に付着や堆積が発生し易いことがわかった.これは,氷塊粒子の比重が水に比べて軽 いために,上端角部の死水域にトラップされた氷塊粒子の多くが,死水域を抜け出す ことができずに残留するためである.

プレート熱交への分岐特性としては,マニホールド流入口からみて,中央部からや や遠い側(図4.2.8では中央よりやや右)に氷塊が集中して分配される様子が捉えられ た.氷塊が特定のプレート分岐内に集中して流入する場合には,氷塊同士の凝集や,

プレート流路壁への付着などが発生し易くなるため,閉塞が起こる可能性がある.

以上のように,氷塊粒子の非定常挙動を把握するだけでなく,氷塊粒子濃度の非定 常データを時間平均することによって,氷塊粒子の堆積が発生し易い位置を推定でき ることを示した.

渦度 zW/U 渦度 zW/U 渦度 zW/U

図4.2.4. 瞬時の渦要素分布

時刻 tU/W=8 時刻 tU/W=16 時刻 tU/W=24

速度 | vf |/U 速度 | vf |/U 速度 | vf |/U

図4.2.5. 瞬時の液相速度の分布

時刻 tU/W=8 時刻 tU/W=16 時刻 tU/W=24

速度 | vp |/U 時刻 tU/W=8

速度 | vp |/U 速度 | vp |/U

時刻 tU/W=16 時刻 tU/W=24

図4.2.6. 瞬時の氷塊粒子の分布

体積濃度CV

時刻 tU/W=8

体積濃度CV 体積濃度CV

時刻 tU/W=16 時刻 tU/W=24

図4.2.7. 瞬時の氷塊粒子の濃度分布(IPF)

図4.2.8. 氷塊粒子の体積濃度の時間平均分布(IPF) 体積濃度CV