第 2 章 渦法と粒子追跡法による混相流解析手法と数値モデル
2.4 粒子追跡法による粒子挙動解析
2.4.3 並進運動
(1) 並進運動方程式
粒子の並進運動は各粒子に対しNewton の運動方程式によって記述する.粒子に作用 する外力には,流体抗力FD(定常坑力FD steadyおよび非定常坑力FD unsteady),Magnus揚 力(回転揚力)FLM,Saffman揚力(せん断揚力)FLS,重力・浮力FGを考慮する.ここ で挙げた外力の他に,圧力勾配力やBasset力等が作用するが,高濃度粒子流や大きな圧
力変化がある場合,または衝撃波を通過する流れのように粒子と流体との間に強い加速 度を持つ場合以外は,粒子運動に及ぼす影響が小さいため,本論文では無視した.以上 から,粒子の並進運動方程式は次式によって与えられる.
G LS unsteady LM
steady D D p p
M dt
du 1 F F F F F
(2.4.1) ここで,upは粒子速度ベクトルである.M pは粒子質量であり,粒子の直径dp,密度 p から算出する.上式中の粒子に作用する外力は,三次元固体球に対する実験式や理論 式から算出した.
(2) 粒子に働く外力
① 流体抗力(定常抗力および非定常抗力)
粒子に働く流体抗力は,圧力抗力と摩擦抗力から生じており,粒子周りの流れ場 によって時々刻々変化する.そのため,球の後流ではく離渦が生じるような粒子レ イノルズ数が高い場合においては,粒子と流体との相対速度が一定の場合と増減す る場合では,瞬時の流体抗力が異なる.ここでは,ある時刻における瞬時の流体抗 力を,定常抗力と非定常抗力とに分離できると仮定して,それぞれについて計算す る.
ある時刻における定常的な流体抗力FD steadyは次式で算出する.
r r f steady D
D C A u u
F 2
1 (2.4.2)
A は粒子の投影断面積,urは粒子中心位置での流体速度ベクトル ufと粒子速度 ベクトル upとの相対速度ベクトルである(ur uf up).流体抗力係数 CDは,単 一 球 の 抵 抗 式 で あ る Morsi & Alexander[73]の 式 を 用 い て , 粒 子 レ イ ノ ル ズ 数
p r
p u d
Re の関数として導出する.
2 3 2
1 Rep Rep
D
C C C
C (2.4.3)
ここで,C1,C2,C3 を表2.4.1に示す.
一方,ある時刻における非定常的な流体抗力は,付加質量力 FVM として考慮し,
次式で算出する.
dt dp d r
f VM unsteady D
F u
F 3
6 2
1 (2.4.4)
表2.4.1. 流体抗力係数の算出
Rep C1 C2 C3
Rep 0.1 0.0 24.0 0.0
0.1 < Rep 1 3.69 22.73 0.0903
1 < Rep 10 1.222 29.1667 -3.8889
10 < Rep 102 0.6167 46.5 -116.67
102 < Rep 103 0.3644 98.33 -2778.0
103 < Re p 5 103 0.357 148.62 -47500.0
103
5 < Re p 104 0.46 -490.546 578700.0
104< Re p 5 104 0.5191 -1662.5 5416700.0
② Magnus揚力
粒子同士あるいは粒子と壁面との衝突によって,流れ場のせん断速度とは無関係 に粒子は回転運動する.そのため,流体粘性によって粒子と流体の回転速度が等し くなるまでは,粒子と流体とで相対角速度が生じる.そこで,粒子と流体との相対 角速度によって粒子に働く力として,Magnus揚力を考慮する.Magnus揚力FLM は 次式で算出する.
r r r r f LM
LM C A
ω ω u u
F 2
1 (2.4.5)
ωrは粒子と流体との相対角速度ベクトルであり,ωr ωp uf 2
1 で表される.
ωpは粒子の角速度ベクトルである.回転揚力係数 CLM は,粒子表面の回転速度と相 対速度の周速比 p dp ωr 2ur の関数として与える.Maccoll[74],Davies[75], Rubinow & Keller [76] ,Oesterle & Dinh [77]によって提案された実験式や理論式から,
以下のように算出する.
p
CLM 2 : for Rep 1, (2.4.6)
7 0 4
0 Re
075 1 exp 45 0 2 45
0 p p . p .
LM . . .
C (2.4.7)
: for 10 Rep 140 and 1 p 6, ]
0.5 min[0.5, p
CLM : otherwise. (2.4.8)
③ Saffman揚力
Saffman 揚力 FLS の算出式には, Saffman[78]が導いた理論式を元に,Mei[79]が提
案した粒子レイノルズ数が高い場合に対する修正係数Cmeiを導入する.
r r
r p mei
LS
d
C . u u
F u
615 2
1 (2.4.9)
ここで, は流体の粘性係数である.
2 1 2
1
3314 10 0
exp Re 3314
0
1 . .
Cmei p : for Rep 40, (2.4.10)
p
mei .
C 00524 Re : for Rep 40. (2.4.11)
r p
r d
u u
2 (2.4.12)
④ 重力・浮力
重力・浮力FGは,重力加速度ベクトルgを用いて次式で算出する.
g
F 3
6 p
f p
G d (2.4.13)