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福島県木質バイオマス安定供給の手引き 平成 25 年 3 月 福島県林業振興課

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福島県木質バイオマス安定供給の手引き

平成 25 年 3 月

福島県林業振興課

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I

目 次

1. 背景と目的 ... 1 1.1 はじめに ... 1 1.2 背景 ... 1 1.3 木質バイオマスエネルギーを導入する目的... 2 2. 木質バイオマスの資源量と利用状況 ... 4 2.1 森林資源量(蓄積量、成長量) ... 5 2.2 素材生産量 ... 8 2.3 燃料用木質バイオマスの賦存量、利用可能量 ... 12 2.3.1 モントリオールプロセスに基づく試算(潜在賦存量) ... 12 2.3.2 福島県再生可能エネルギー推進ビジョンによる試算(賦存量) ... 14 2.3.3 木質バイオマスの利用可能量 ... 15 2.4 木質バイオマス燃料の生産・供給・利用状況 ... 19 3. 木質バイオマスの供給 ... 21 3.1 燃料用木質バイオマスの供給量 ... 21 3.1.1 木質バイオマス資源のポテンシャルについて ... 21 3.1.2 木質バイオマス資源量のシミュレーション ... 22 3.2 素材生産力増強と持続可能な森林経営 ... 26 3.2.1 高性能林業機械の導入による生産性の向上 ... 26 3.2.2 施業の集約化 ... 31 3.2.3 路網整備の加速化 ... 32 3.2.4 担い手の確保・育成 ... 33 3.2.5 再造林の推進 ... 35 3.3 放射性物質への対応 ... 37 3.3.1 森林の放射性物質による汚染への対応 ... 37 3.3.2 森林での作業時における対応 ... 41 4. 木質バイオマス燃料の生産工程 ... 46 4.1 未利用間伐材・林地残材からの木質バイオマス燃料生産 ... 46 4.1.1 伐採・集材および搬出工程 ... 46 4.1.2 加工及び運搬工程 ... 48 4.1.3 乾燥工程 ... 51 4.2 製材工場等残材からの木質バイオマス燃料生産 ... 51 4.2.1 加工工程 ... 51

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II 4.2.2 乾燥工程 ... 52 4.3 建設廃材からの木質バイオマス燃料生産 ... 52 4.4 木質バイオマス燃料の保管上の留意点 ... 52 4.5 放射性物質への対応 ... 54 4.6 生産工程のまとめ ... 58 5. 木質バイオマスエネルギーの利用 ... 59 5.1 木質バイオマスエネルギーと林業・木材産業との関係 ... 59 5.2 木質バイオマスのエネルギー利用方法 ... 61 5.2.1 チップ燃料 ... 65 5.3 導入を検討する際の基本的な考え方 ... 70 6. 木質バイオマスエネルギーシステムの事業化手順 ... 79 6.1 前提条件の明確化 ... 80 6.2 熱需要特性の把握 ... 80 6.3 調達可能な原料・燃料の把握 ... 80 6.4 木質バイオマスエネルギープラントの検討... 83 6.4.1 立地条件 ... 83 6.4.2 木質バイオマスエネルギー利用システムの規模と構成 ... 84 6.5 経済性の評価 ... 87 6.6 実施に際しての検討 ... 89 6.6.1 事業体制の構築 ... 89 6.6.2 関係法規への対応 ... 89 6.6.3 資金調達 ... 91 6.6.4 木質バイオマスプラント建設時における住民理解 ... 92 6.7 放射性物質への対応 ... 92 7. 安定供給へ向けた課題 ... 97 7.1A,B 材の需要開拓と搬出コストの低減 ... 97 7.2 関係事業者間での連携の促進 ... 98 8. まとめ ... 99 9. 資料編 ... 101 9.1 木質ペレット燃料の特性および利用機器 ... 101 9.2 薪の特性および利用機器... 107 9.3 用語集... 110 9.4 関係機関・団体一覧 ... 112

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III 9.5 試算に関わる単位等 ... 114 9.6 木材の含水率 ... 115 9.7 木材の発熱量 ... 116 9.8 基準となる空間線量率について ... 117 9.9 関連法規 ... 118

9.10FIT(FEED-IN TARIFFS)固定価格買取制度 ... 121

9.10.1 概要 ... 121

9.10.2 FIT と木質バイオマス ... 121

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1. 背景と目的

1.1 はじめに 本手引きは、木質バイオマスの供給側と利用側双方において安定的な稼働 を図るために必要となる事項や木質バイオマスエネルギー利用によって林業 の振興を図るための課題等について整理し、自治体や事業者が木質バイオマ スエネルギー利用施設の整備計画を行う際に参考となる項目や手順について 取りまとめを行いました。 なお、本手引きで対象とする燃料用木質バイオマスの定義について表 1-1 に示します。 表 1-1 本手引きで対象とする燃料用木質バイオマスの種類と定義 林業・木材産業の副産 物 未利用間伐材・林地残材(枝葉、梢、端材、低質材等) 製材工場等残材(バーク(樹皮)や端材等) 廃 棄 物 系 木 質 バ イ オ マス 原発事故による放射能汚染の影響によって、従来の用途 (キノコ原木、堆肥等)への活用が困難な木質バイオマス 例)森林除染によって生じる木材、チップ、製材工場等で発 生するバークのうち処分が困難なもの、基準値を超えたキノ コ原木等 建設廃棄物・震災廃棄物由来の木質バイオマス 1.2 背景 平成 23 年 3 月 11 日に発生した東日本大震災及び東京電力福島第一原子 力発電所の事故は、県民生活や産業に大きな打撃を与えました。 本県においては、9 万棟以上の住宅が全、半壊し、今なお、多くの県民が仮 設住宅や県内外の借り上げ住宅での暮らしを余儀なくされています。さらに、 原発事故に起因する放射性物質による汚染は、森林・林業・木材産業にも深 刻な影響を及ぼしており、従来用途への活用が困難な木材や樹皮等が発生し ています。 一方、原発事故を契機に自立した地域のエネルギーシステムの構築が求め られるようになり、本県は、復興に向けた主要施策の一つに、原子力に依存 しない、「再生可能エネルギーの飛躍的な推進による新たな社会づくり」を位 置付けました。 また、平成24 年 7 月 1 日には再生可能エネルギーの固定価格買取制度が 施行され、木質バイオマスを含む再生可能エネルギー源を用いて発電された

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2 電気を、電気事業者が買い取ることが義務付けられました。 そのため、多くの自治体や事業体において、木質バイオマス発電施設の導 入の検討が行なわれている状況にあります。 本県は全国 4 位の森林面積を有する森林資源豊かな地域であり、木質バイ オマスのエネルギー利用を成立させることは、林業、木材産業の振興と持続 可能な地域づくりにつながります。 そのためには燃料となる木材の安定供給が必須であり、特に木質バイオマ ス発電施設では大量に燃料を使用するケースが多いことから、その重要性は より高くなります。また、木質バイオマス利用施設を経済的かつ安定的に稼 働させることも重要です。 1.3 木質バイオマスエネルギーを導入する目的 本県における木質バイオマスエネルギー導入の目的には次のようなも のがあります。 ・ 県産材の有効利用による林業・木材産業の振興 ・ 森林整備の促進 ・ 山村地域の活性化 ・ エネルギー自給率の向上 ・ 廃棄物の利活用による循環型社会の形成 ・ 二酸化炭素の排出抑制による地球温暖化防止 [解説] 木質バイオマスエネルギーを導入することによって、林業・木材産業の振興、 地球温暖化防止や山村地域の活性化や雇用促進といった多様な効果が見込まれ ます(表 1-2)。 また、平成 23 年 3 月 11 日に発生した東日本大震災及び東京電力福島第一 原子力発電所の事故からの復興や、放射能に汚染された森林の再生に貢献する 手段としても期待されています。 木質バイオマスエネルギーの導入を検討する際には、その効果や意義を把握 し、重要視する目的を明らかにする必要があります。 例えば、目的が地域雇用の創出であれば、エネルギー利用にかかる収支が良 好でなくても導入を決定するかもしれません。逆に、経費削減が目的であれば、 エネルギー利用にかかる収支の確保は必須となります。木質バイオマス導入前 に行うエネルギー利用にかかる収支の試算結果が悪ければ、たとえ地域の雇用 が確保されたとしても導入には至らないと考えられます。 したがって、木質バイオマスエネルギーを導入する目的のうち、何を重要視 するかによって事業の評価の仕方が異なってきます。そのため、木質バイオマ

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3 スエネルギーを導入する目的に優先順位をつけ、明確にする必要があります。 表 1-2 主な木質バイオマスエネルギー導入の目的 導入の目的 説明 (1) 県 産 材 の 有 効 利用による林業・ 木材産業の振興 今まで利用されなかった木材や原発事故の影響によって利用 出来なくなった木材を燃料として有効利用することにより、林 業・木材産業の振興が図られます。 (2) 森林整備の 促進 森林は、国土の保全や水源の涵養などの様々な機能を持ってい ます。 森林がこれらの機能を十分に発揮するには、間伐や伐期を迎え た樹木を伐採するなどの適切な森林整備が不可欠です。 これらの森林整備などにより、年間約 2,000 万㎥(全国推計 値)発生している未利用間伐材等(※)が燃料等として価値を持 つことが出来れば、林業経営にも寄与し、森林整備の推進にも繋 がることが期待されます。 (3)山村地域の 活性化 地域にある木質バイオマス、特に間伐材など森林由来の未利用 資源をエネルギーとして利用することで、資源の収集や運搬、バ イオマスエネルギー供給施設や利用施設の管理・運営など、新し い産業と雇用が創られ、山村地域の活性化にも貢献します。 (4)エネルギー 自給率の向上 我が国は、エネルギー需要の多くを輸入した化石燃料に頼って います。エネルギー源の多様化、リスクの分散という意味からも バイオマスエネルギーの利用を広げていく必要があります。日本 全体のエネルギーの需要は膨大であり、これを木質バイオマスだ けで賄うことはできませんが、貴重な国産のエネルギー源とし て、利用が期待されます。 (5) 廃 棄 物 の 利 活 用による、循環型 社会の形成 木質バイオマスのうち、林地残材や製材工場等残材は、利用さ れなければ廃棄物となります。しかし、これらがエネルギーとし て有効に活用されれば、廃棄物を減らし、循環型社会の形成に役 立つことになります。 (6) 二 酸 化 炭 素 の 排出抑制による地 球温暖化防止 森林を構成する個々の樹木等は、光合成によって大気中の二酸 化炭素の吸収・固定を行っています。森林から生産される木材を エネルギーとして燃やすと二酸化炭素を発生しますが、この二酸 化炭素は、樹木の伐採後に森林が更新されれば、その成長の過程 で再び樹木に吸収されることになります。 このように、木材のエネルギー利用は、大気中の二酸化炭素濃 度に影響を与えないというカーボンニュートラルな特性を有し ています。このため、化石燃料の代わりに木材を利用することに より、二酸化炭素の排出の抑制が可能となり、地球温暖化防止に 貢献します。 ※林野庁 木質バイオマスの発生量と利用状況(推計) http://www.rinya.maff.go.jp/j/riyou/biomass/con_1.html

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2. 木質バイオマスの資源量と利用状況

燃料用木質バイオマスの利用事業を計画する際には、地域における森林資源 量や関連産業(素材生産業や木質チップ生産業等)の状況を把握し、燃料の安 定供給が可能かどうかを確認する必要があります。 本項においては、木質バイオマスプラント整備可能性調査結果を概括し、燃 料用木質バイオマスの資源量および利用の現状について以下にまとめました。 なお、本手引きにおける森林資源量の定義について表 2-1 に、そのイメージ について図 2-2 に示します。 表 2-1 森林資源量の定義 蓄積量 森林における立木の材積 成長量 1 年間に立木が成長した量の合計 潜在賦存量 成長量の90%※まで資源利用できるとし、その量に、想定 した現状の森林資源の未利用率を乗じた数値。 賦存量 林地や製材工場に存在していると考えられる木質バイオマスの 量 林地残材 素材生産や間伐時に発生する用材として利用されずに林地 に残った低質材。 製材工場残渣 製材工場から排出される木屑等の廃材 利用可能量 未利用の木質バイオマスの量。調査結果で られた林地残 材の 合を素材生産量に乗じた数値。 図 2-2 森林資源量の定義(イメージ図) ※スウェーデンなどの林業先進国においては、成長量に対して約 90%の木材生 蓄積量 成長量 賦存量 利用可能量 潜在 賦存量

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5 産を実現していることから、理想的な林業経営を実現した場合の利用率として 設定しています。 なお、本手引きで取り扱う素材とチップの重量および嵩の換算について、以 下に記します。 ・チップ2.8 ㎥=素材 1 ㎥=素材生重 0.71t ・チップ生重1トン=チップ3.5 ㎥=素材換算 1.25 ㎥ ・チップ絶乾重量 1 トン=チップ生重 2 トン 2.1 森林資源量(蓄積量、成長量) 福島県の森林における蓄積量は 186,799 千㎥で、成長量は 2,910 千㎥/ 年です(平成22 年度)。 全国第4 位の蓄積を有しており、豊富な森林資源に恵まれています。 平成18~22 年度において、蓄積量は増加傾向、成長量は減少傾向にあり ます。今後、間伐や再造林などの森林整備が進まなければ、成長量の低下 が続くと考えられます。 [解説] 福島県の森林の蓄積量は増加傾向にあり、平成19 年度以降、ほぼ横ばいに推 移しています。一方、成長量は減少傾向にあることから、成長量の大きい若齢 林よりも成熟した林分の材積 合が大きくなっていることが考えられます。

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6 2,800,000 2,850,000 2,900,000 2,950,000 3,000,000 3,050,000 3,100,000 H18 H19 H20 H21 H22 (㎥/年)

成長量

0 50,000,000 100,000,000 150,000,000 200,000,000 H18 H19 H20 H21 H22 (㎥)

蓄積量

図 2-1 福島県の蓄積量および成長量の推移 エネルギー利用を含む持続可能な森林経営には、我が国を含む欧州以外の温 帯や亜寒帯林の基準や指標を定めたモントリオール・プロセスに基づき、森林 の年間成長量を超えない範囲で伐採を行うことが基本となります。 木質バイオマスのエネルギー利用を進めるにあたって、樹種別、地域別に森 林面積、蓄積量(材積)、成長量等の森林資源の構成を知ることは、今後、森林 をどのように管理・活用していくかという視点からも重要です(表 2-3)。 方部別にみると、会津地域で蓄積量・成長量が豊富にあることが分かります が、単位面積あたりの蓄積量・成長量で見ると県南・いわきで多いことが分か ります(表 2-4)。 また、森林資源構成とあわせて地域の関連産業(素材生産や木材加工等)の 状況を把握する必要があります。 図 2-2 によれば、民有林人工林の齢級別面積は、50%を超える約 11 万 ha が

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7 4~9 齢級の要間伐森林であり、10 齢級以上の主伐期にある森林面積も約 9 万 ha で 40%を超えています。したがって、伐採後の植林や保育を怠れば、成長量 はさらに低下し、蓄積量自体も漸減する可能性があります。そのため、林地残 材など未利用材の有効利用を図ると同時に、計画的に間伐や再造林による森林 整備を推進し、森林の公益的機能の発揮と木材資源の維持を図ることが重要で す。 表 2-3 福島県の森林資源(民国、人天別 面積・材積・成長量) ※平成23 年度(平成 22 年度)福島県森林・林業統計書をもとに作成 表 2-4 方部別の蓄積量と成長量 蓄積量 (千㎥) 成長量 (千㎥/年) 森林面積 (ha) 単位面積 あたりの蓄積量 (㎥/ha) 単位面積 あたりの成長量 (㎥/年/ha) 県北 18,026 241 96,245 187 2.5 県中 35,355 544 138,423 255 3.9 県南 23,189 317 78,857 294 4.0 会津 35,643 593 217,842 164 2.7 南会津 26,873 330 197,824 136 1.7 相双 22,521 455 113,712 198 4.0 いわき 25,173 433 87,469 288 5.0 合計 186,780 2,910 930,371 201 3.1 ※四捨五入の関係で合計と内訳が一致しない場合がある。 (面積千ha、材積・成長量千㎥) 面積 材積 成長量 総数 針葉樹 広葉樹 総数 針葉樹 広葉樹 総数 針葉樹 広葉樹 人工林 205 202 2 92,317 92,184 132 1,593 1,589 4 民有林 天然林 344 28 316 41,696 7,635 34,061 466 73 393 総数 549 230 318 134,013 99,820 34,193 2,060 1,662 398 人工林 133 119 14 国有林 天然林 234 36 198 総数 368 155 212 52,669 28,866 23,802 849 644 206 人工林 338 321 16 総計 天然林 578 64 514 総数 916 386 531 186,681 128,686 57,996 2,910 2,306 604 所有 人天

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8 出所:平成23 年(平成 22 年度)福島県森林・林業統計書をもとに作成 図 2-2 民有林人工林 齢級別面積・成長量(全県) 2.2 素材生産量 ・本県の素材生産量は 787 千㎥/年(平成 21 年)で、その内訳は針葉樹 592 千㎥/年 広葉樹 195 千㎥/年です。 ・過去5 年間における素材生産量(H19~H23)は平成 21 年までは増加 傾向にありました。 ・平成 23 年には震災・原発事故の影響により、素材生産量は 691 千㎥/ 年に減少しました。 [解説] 燃料用木質バイオマスのうち林地残材は、素材生産過程における副産物であ ることから、地域の素材生産量を知ることで林地残材の賦存量を大まかに把握 することができます。 素材生産量は平成 21 年には 787 千㎥(全県)で、その内訳は針葉樹 592 千 ㎥、広葉樹195 千㎥となっており、地域別に見ると、いわき(27%)、県中(22%)、 県南(19%)、相双(11%、富岡林業指導所管内含む)、会津(9%)、県北(8%)、 南会津(4%)の順で多いことがわかります(図 2-3)。また、表 2-5、図 2-4 に示した市町村別の素材生産量(平成21 年)により、地域特性を把握すること 1,117 2,417 3,311 5,189 10,058 15,338 19,418 27,431 32,033 35,746 26,584 11,149 4,796 3,210 6,703 0 50,000 100,000 150,000 200,000 250,000 0 5,000 10,000 15,000 20,000 25,000 30,000 35,000 40,000 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 面積(ha) 成長量(㎡) 齢級 面積 成長量(針葉樹) 成長量合計1,593 千㎥ 要間伐齢級 約11 万 ha 主伐齢級 約9 万 ha

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9 ができます。 また、平成21 年までは増加傾向にありましたが、平成 23 年は震災や原発事 故の影響によって、平成22 年の素材生産量に比べ更に約 9%減少しています(図 2-5)。 64 175 154 67 32 83 212 0 50 100 150 200 250 県 北 県 中 県 南 会 津 南会津 相 双 いわき H 2 1 年 素 材 生 産 量 ( 千㎥ / 年) 図 2-3 地域ごとの素材生産量(H21)

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10 表 2-5 市町村別素材生産量(平成 21 年) 市町村名 生産量 総数 針葉樹 広葉樹 市町村名 生産量 総数 針葉樹 広葉樹 福 島 市 22,447 18,935 3,512 会 津 若 松 市 10,275 3,228 7,047 二 本 松 市 14,417 10,654 3,763 喜 多 方 市 13,930 4,479 9,451 伊 達 市 14,612 5,812 8,800 北 塩 原 村 4,261 1,422 2,839 本 宮 市 1,107 276 831 西 会 津 町 6,807 2,060 4,747 桑 折 町 183 183 0 磐 梯 町 2,632 1,108 1,524 国 見 町 0 0 0 猪 苗 代 町 7,396 3,251 4,145 川 俣 町 10,348 6,248 4,100 会 津 坂 下 町 2,125 292 1,833 大 玉 村 607 604 3 湯 川 村 0 0 0 県 北 農 林 事 務 所 63,721 42,712 21,009 柳 津 町 4,473 1,061 3,412 郡 山 市 25,385 14,229 11,156 三 島 町 1,111 506 605 須 賀 川 市 6,459 3,210 3,249 金 山 町 3,285 710 2,575 田 村 市 62,215 22,884 39,331 昭 和 村 1,929 635 1,294 鏡 石 町 210 197 13 会 津 美 里 町 9,223 2,536 6,687 天 栄 村 7,278 3,434 3,844 会 津 農 林 事 務 所 67,447 21,288 46,159 石 川 町 5,321 4,054 1,267 下 郷 町 3,362 1,393 1,969 玉 川 村 1,580 446 1,134 檜 枝 岐 村 612 589 23 平 田 村 4,618 2,196 2,422 只 見 町 471 390 81 浅 川 町 23 23 0 南 会 津 町 27,944 12,266 15,678 古 殿 町 50,600 45,997 4,603 南 会 津 農 林事 務所 32,389 14,638 17,751 三 春 町 1,555 173 1,382 相 馬 市 1,161 198 963 小 野 町 10,161 3,357 6,804 南 相 馬 市 21,034 12,431 8,603 県 中 農 林 事 務 所 175,405 100,200 75,205 新 地 町 0 0 0 白 河 市 17,917 15,944 1,973 飯 舘 村 11,929 7,439 4,490 西 郷 村 7,058 5,503 1,555 相 双 農 林 事 務 所 34,124 20,068 14,056 泉 崎 村 0 0 0 広 野 町 4,053 3,021 1,032 中 島 村 0 0 0 楢 葉 町 8,187 7,970 217 矢 吹 町 0 0 0 富 岡 町 7,890 7,081 809 棚 倉 町 42,686 40,914 1,772 川 内 村 8,487 8,068 419 矢 祭 町 22,060 20,472 1,588 大 熊 町 805 611 194 塙 町 47,138 44,593 2,545 双 葉 町 0 0 0 鮫 川 村 16,695 14,919 1,776 浪 江 町 11,785 9,214 2,571 県 南 農 林 事 務 所 153,554 142,345 11,209 葛 尾 村 8,216 7,031 1,185 富 岡 林 業 指 導 所 49,423 42,996 6,427 い わ き 市 211,902 207,676 4,226 い わ き 農 林 事 務 所 211,902 207,676 4,226 県 計 787,965 591,923 196,042 (注)1 森林管理署、農林事務所(林業指導所)の調査に基づき、推計した数値である。 2 相双農林事務所の数値には、富岡林業指導所分の数値は含まれていない。 (単位:㎥)

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12 737 746 788 763 691 640 660 680 700 720 740 760 780 800 H19 H20 H21 H22 H23 素 材 生 産 量 ( 千㎥ / 年) 図 2-5 素材生産量の推移(H19~H23) 2.3 燃料用木質バイオマスの賦存量、利用可能量 2.3.1 モントリオールプロセスに基づく試算(潜在賦存量) 本県の森林の成長量は、2,910 千㎥/年です(H22 年度)。 また、森林成長量を基準に算出した燃料用木質バイオマスの賦存量(潜 在賦存量)は、枝葉を除いた材積で917 千㎥/年です(H22 年度)。 国際的な取り決めにより、持続可能な森林経営のためには森林の年間成 長量を超えない範囲で伐採を行うことが基本とされています。 [解説] エネルギー利用を含む持続可能な森林経営には、我が国を含む欧州以外の 温帯や亜寒帯林の基準・指標を定めたモントリオール・プロセスに基づき、 森林の年間成長量を超えない範囲で伐採を行うことが基本とされています。 本県の森林成長量は、2,910 千㎥/年で(H22 年度)、この数量を超えての利 用を続けると森林資源量は徐々に減少し、持続可能な森林経営が成立しなく なります。 また、成長量のうち、すでに製材用材や合板用材、チップ用材等として利 用されている森林資源があり、新たに森林資源をエネルギー利用する際、既 存の用途との競合を回避する必要があります。 そこで、森林成長量から既存用途での利用量を差し引き、燃料用木質バイ オマスとして利用できる資源量(潜在賦存量)を算出した結果、燃料用木質 バイオマスとして利用できる量は(潜在賦存量)は、全幹材積で917 千㎥(全 乾重量435 千 t)、枝葉を含めた全木材積では 1,555 千㎥(全乾重量 696 千 t) と推計されました。試算の条件を表 2-6 に示します。

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13 表 2-6 潜在賦存量の試算条件 項目 摘要 成長量データ ○平成23 年福島県森林・林業統計書(平成 22 年度データ) 拡大係数 ○針葉樹拡大係数 1.23 ○広葉樹拡大係数 1.32 (日本国温室効果ガスインベントリ報告書(2008)によるスギ 及びクヌギ25 年生以上の幹材積に対する拡大係数を用いた) 成長量のうち利用率※ ○90% 容積密度 ○針葉樹:0.314 ○広葉樹:0.668 (日本国温室効果ガスインベントリ報告書(2012)によるスギ 及びクヌギの値を用いた) 燃料用材の算出方法 ○[成長量]×0.9 - [チップ材の利用量(※1)] -[用材不適木の 利用量(※2)] ※1 [素材生産量]×[チップ材の利用 合] チップ材の利用 合(幹材積)は、針葉樹 20%、広葉樹 91% ※2 [素材生産量]×[用材不適用木の利用 合] 用材不適用木(幹材積)の利用 合は、針葉樹 10%、広葉樹 7% なお、針葉樹については、木材需給実績による用途別 合(製 材用材 67.7%、合板用材 8.6%、チップ用材 17.1%、その他 6.6%)および林業事業体へのアンケート結果を踏まえ設定し た。広葉樹については、用途別の素材生産量の 合を使用した (建築用材3%、チップ用材 91%、用材不適木 7%)。 ※林業先進国であるスウェーデンでは成長量に対して約90%の木材生産を実施しており(梶山恵司 (2009)、欧州との比較でみた森林経営の課題について)、また、災害等による森林資源の消費も 考えられることから、この数値を引用した。

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14 2.3.2 福島県再生可能エネルギー推進ビジョンによる試算(賦存量) 本県の燃料用木質バイオマスの賦存量(平成22 年)は、製材加工残渣 で110 千 t/年で、林地残材で 736 千㎥/年です。 製材加工残渣は、震災前までほぼ全量が利用されていましたが、現在は、 バークは放射性物質の影響により引き取り手がなく、その多くが工場に滞 留している状況にあります。 [解説] 福島県再生可能エネルギービジョンに基づく賦存量を製材加工残渣、林地 残材の賦存量を統計データ(平成22 年)から算出し、それぞれ、110 千 t/年、 736 千㎥/年でした。 林地残材および製材残渣の賦存量の計算式は以下のとおりです。 【林地残材】=【①伐採材積】-【②素材生産量】 ※単位は㎥/年。㎥から t への換算は 0.5t/㎥を使用。 ※【①伐採材積】=【③主伐材積(立木)】+【間伐材積(立木,(国有林+民有林))】 ※【③主伐材積(立木)】=【④主伐材利用量(丸太)】÷【主伐材歩留まり】 ※【④主伐材利用量(丸太)】=【②素材生産量】-【国有林収入間伐】-【民有林利用間伐】 【製材残渣】=【製材用材入荷量】-【製材品出荷量】 図 2-6 林地残材賦存量および製材工場残渣賦存量の計算 表 2-7 林地残材賦存量および製材工場残渣賦存量の計算(H22) (㎥) (t) 中通り 78,250 382,914 191,457 県北地域 6,250 57,586 28,793 県中地域 12,750 194,238 97,119 県南地域 59,250 131,090 65,545 会津 4,500 169,680 84,840 会津地域 2,750 80,550 40,275 南会津地域 1,750 89,130 44,565 浜通り 27,250 183,426 91,713 相双地域 7,000 47,718 23,859 いわき地域 20,250 135,708 67,854 県全体 110,000 736,020 368,010 地域 製材加工残渣(t) 林地残材 バークについては、放射性物質が付着している地域もあることから、取引 が停滞し、工場に滞留している状況が見られます。製材工場やチップ工場、 原木市場におけるバーク等の滞留状況を調査した結果、平成 24 年 11 月末時

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15 点で、県内約6 の事業所でバークの滞留が見られ、約 53,000 トンが滞留・保 管されています。 2.3.3 木質バイオマスの利用可能量 素材生産に伴い発生する林地残材の利用可能量(平成 21 年)は、146 千㎥/年、枝葉を含めると 343 千㎥/年です。 平成25 年度から、森林整備と放射性物質の低減を一体的に実施する森 林再生事業が始まる予定です。本事業により発生する利用可能量は 500 千㎥/年が見込まれます。 [解説] 素材生産量(平成21 年)に県内の素材生産業者へのヒアリング調査により られた林地残材の 合(18.5%、表 2-8。A~C 材、その他のイメージにつ いては図 2-7 を参照。)を乗じて、木質バイオマスの利用可能量を算出しまし た(表 2-9)。また、発生する枝葉の量についても係数を乗じて算出しました。 いわき地域で最も多く、素材生産量が多いことが影響しています。 今後、本県においては、森林再生に取り組まなければならない状況を考慮 し、枝葉を含めた数値についても算定しました。林地残材のうち、どの部位 までを利用できるかによっても、その量が変わります。 表 2-8 素材生産事業における利用率・未利用率 利用/未利用率 利用率 A 材 60.7% B 材 6.8% C 材 13.4% その他 0.5% 未利用率 林地残材(枝葉除く) 18.5% ※平成24 年度 木質バイオマスプラント整備可能性調査より

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16 図 2-7 A 材、B 材、C 材、その他のイメージ図 表 2-9 方部別の燃料用木質バイオマス利用可能量 (千㎥/年) 素材生産量 ①利用可能量 (林地残材) ②枝葉 ①+② 県北 64 12 17 28 県中 175 32 47 79 県南 153 28 36 65 会津 67 12 20 32 南会津 33 6 9 15 相双 83 15 21 36 いわき 212 39 49 88 合計 787 146 199 343 また、県においては、平成25 年度から森林再生事業を予定しており、針葉 樹では間伐を、広葉樹では更新伐により合計75,600ha の森林整備を予定して います。 図 2-8 に示す条件により、事業実施によって燃料用材として見込まれる材 積(平成32 年度、5,000ha/年、枝葉含む)を算出し、素材生産により発生が 見込まれる燃料用材の量と足し合わせ(利用可能量)、表 2-10 に示しました。 その結果、843 千㎥/年の燃料用材(枝葉含む)の発生が見込まれます。 また、代表的な因子を踏まえて、計算ツールにより森林の空間線量別に該 当する森林面積、資源量等を算出できるようにしました(詳細は「3.1.2 木質 バイオマス資源量のシミュレーション」を参照)。

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17 ○針葉樹 ・樹幹:500 ㎥/ha(林分材積:スギ 45 年)×30%(間伐率)×90%(利用率)=135 ㎥/ha ※樹幹のうち、32.5%を燃料用材として利用する。 ・枝葉:135 ㎥/ha(樹幹)×23%≒30 ㎥/ha ○広葉樹 ・樹幹:141 ㎥/ha(林分材積:コナラ・クヌギ 40 年)×75%(伐採率)×90%(利用率) =95 ㎥/ha ※樹幹すべてを燃料用材として利用する。 ・枝葉:95 ㎥/ha(樹幹)×30%≒29 ㎥/ha 図 2-8 計算条件 表 2-10 素材生産および森林再生事業で見込まれる燃料用材 成長量 (千㎥/年) A:利用可能量 (千㎥/年) (素材生産量ベース) B:利用可能量 (千㎥/年) (森林再生事業(H32)) A+B (千㎥) 県北 241 28 106 134 県中 544 79 118 198 県南 317 65 60 124 会津 593 32 37 69 南会津 330 15 12 28 相双 455 36 88 125 いわき 433 88 79 168 合計 2,910 343 500 843 さらに、平成23 年度に実施した調査では、推定で 447.1 千トン(乾燥重量 で 414.8 千トン)の木質系震災廃棄物が発生していると考えられ、震災復興 に向けて、木質系震災廃棄物のエネルギーとしての活用についても、検討す る必要があります。

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表 2-11 福島県内の木質系震災廃棄物の推定量(被災した住宅の廃木材)

【出典】平成23 年度 木質系震災廃棄物等の活用可能性調査(福島県域調査(4号契約))報告書(平成 24 年3 月)、p5

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19 2.4 木質バイオマス燃料の生産・供給・利用状況 県内のチップ製造工場数は、43 工場(うち専業 11、チップを生産し ている製材工場は33 工場)であり、専業工場への調査により られたチ ップ出荷量(平成23 年)は 608 千㎥/年(素材換算)、現状の最大チップ 加工能力は 893 千㎥/年(素材換算)、チップ製造余力は 285 千㎥/年(素 材換算)です。 チップ加工設備の稼働率を上げることで、さらに生産量を伸ばすこと ができます。 [解説] 木質チップを例として、県内チップ工場のチップ出荷量、最大生産能力、生 産余剰能力を表 2-12、図 2-9 に示しました。現状では木質チップの過半が製紙 用チップとして出荷されており(調査結果では67%)、チップの出荷量はいわき 地域が最も多いことがわかりました。 一方、県南地域では既存設備のチップ製造余力が比較的多いことから、近隣 での燃料向け木質バイオマスの追加的な需要に対して比較的対応しやすい地域 であると考えられます。 なお、現状、チッパーの稼働率が高い事業者によれば、既存の需要先へのチ ップ供給を行いながら、新規の需要に対応することは困難であり、新規の設備 増強もしくは交代制の勤務体系を導入する等の対策が必要になる可能性があり ます。反面、交代制の勤務体系を導入する際には、しっかりとした騒音対策が 必要となります。 表 2-12 各地域におけるチップ工場のチップ生産能力(素材換算量) (千㎥/年) チップ出荷量 (H23年) 最大加工能力 ※1 最大加工能力 (3交代制※2) チップ製造余力 ※3 チップ製造余力 (3交代制※2) 県北 49 70 211 21 162 県中 61 64 193 3 132 県南 40 220 661 180 621 会津 93 105 316 13 223 南会津 41 52 155 10 114 相双 24 62 185 38 162 いわき 300 320 960 20 660 合計 608 893 2,680 285 2,073 ※1 チップ生産量(H23年)÷稼働率 ※2 現状、日中のみの運転だが、参考値として3交代制で運転した時の生産能力を把握するため、     最大加工能力を3倍し算出した。 ※3 最大加工能力×(1-稼働率(チップ製造機械)) ※4 最大加工能力-チップ生産量(H23)

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20 図 2-9 各地域におけるチップ工場のチップ生産能力 0 200 400 600 800 1,000 1,200 県北 県中 県南 会津 南会津 相双 いわき ( 千㎥/年) チップ出荷量 (H23年) 最大加工能力 ※1 最大加工能力 (3交代制※2) チップ製造余力 ※3 チップ製造余力 (3交代制※2)

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3. 木質バイオマスの供給

木質バイオマスの安定供給体制を構築するためには、林業の振興を推し進め る必要があります。また、燃料用木質バイオマスを活用した施設の事業化を今 後促進するために前提となる事項や必要な施策等について以下にまとめました。 3.1 燃料用木質バイオマスの供給量 3.1.1 木質バイオマス資源のポテンシャルについて 発電施設等、大規模な木質バイオマス利用施設の整備計画に際しては、 地域における燃料供給の可能性について調査(地域の木質バイオマス資源 のポテンシャルを把握・認識)する必要があります。なお、実際に利用施 設において必要となる燃料を調達する際には、関係事業者と直接協議して 必要量を確保します。 [解説] 木質バイオマス利用施設の計画時には、地域別の木質バイオマス資源のポテ ンシャルを把握し、対象となる地域の成長量を超えないことを原則とします(参 照 2.3.1 項)。また、他用途との競合を避けるためにも、木質バイオマスとして 対象とする低質材や林地残材の利用可能量を把握しておくことが重要です。 実際に利用施設で必要となる燃料を調達する際は、低質材や林地残材を供給 できる素材生産業者や木質バイオマス燃料供給事業者の有無が関わってきます ので、関係事業者と直接協議して、必要量を確保します。 表 3-1 方部別の資源量 蓄積量 成長量 賦存量 利用可能量※ 県北 18,026 241 58 134 県中 35,355 544 194 198 県南 23,189 317 131 124 会津 35,643 593 81 69 南会津 26,873 330 89 28 相双 22,521 455 48 125 いわき 25,173 433 136 168 合計 186,780 2,910 736 843 ※素材生産および森林再生事業(5,000ha/年の森林整備(H32 年度)を想定)で 見込まれる燃料用材(枝葉含む)の利用可能量。

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22 3.1.2 木質バイオマス資源量のシミュレーション 作成した木質バイオマス資源量のシミュレーションツールを用いて、地 域の条件を設定し、資源量、利用可能量、木質バイオマスの調達コスト等 の目安を知ることができます。 設定条件のうち、下記項目が利用可能量に大きく影響を及ぼします。 ・燃料用材の 合 立木のうち、燃料用材として利用する 合が大きくなれば、利用可能 量も大きくなります。 ・蓄積量 収穫予想表、林分材積表から設定した数値ですが、森林の管理状況等 によって、数量が変動します。 [解説] 地域の木質バイオマスの利用可能性を把握するためのツールとして、本県の 森林簿データを用いて、森林や作業システムにおける諸条件(対象エリア、空 間線量、A~D 材の搬出 合、傾斜角等)を加味し、木質バイオマス資源量を算 出するシミュレーションツール(以下、「ツール」とします)を作成しました。 このツールを活用することにより、市町村、方部、流域単位で該当する空間 線量の森林面積、燃料用材の資源量を把握することができ、地域に賦存する木 質バイオマスの量を把握することができます(図 3-3)。また、目安として、搬 出コストの推計式等を用いて林班ごとの調達コストを算出し、それよりも安価 であれば、調達可能量として計上することができるようになっています。 参考までにツールを用いて試算した燃料用材の資源量と試算した資源量に基 づく木質バイオマス発電施設の規模(kw 数)を表 3-2 に示しました。これに よれば、資源的には枝葉を考慮しない場合、県内で約216,000kW 分の発電が可 能です。 なお、計算ツールでは、理想的な森林整備を行うことを前提に燃料用材が発 生することを想定しており、間伐や主伐がなされずに森林が放置されたままで は、過大評価となってしまうことに注意が必要です。

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25 図 3-3 計算結果(県南地域の例②) 表 3-2 【参考】ツールで試算した燃料用材の資源量と 該当する資源量相当の木質バイオマス発電施設の出力 針葉樹 広葉樹 針葉樹 広葉樹 県北 149,995 94,916 105,073 39,878 389,862 23,206 県中 282,047 121,045 174,330 32,069 609,491 36,279 県南 158,825 60,756 130,854 16,948 367,383 21,868 会津 218,267 261,384 139,605 135,965 755,222 44,954 南会津 133,271 193,652 49,024 200,832 576,780 34,332 相双 207,479 63,849 224,000 27,772 523,101 31,137 いわき 209,366 58,134 128,308 16,944 412,751 24,569 合計 1,359,250 853,736 951,195 470,408 3,634,590 216,345 発電出力 (kW) 燃料用材の資源量(㎥/年、枝葉含まず) 民有林 国有林 合計 ※燃料用材の 合は針葉樹1 回目間伐で 70%、2 回目間伐、主伐では 32.4%と し、広葉樹については100%とした。

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26 3.2 素材生産力増強と持続可能な森林経営 森林由来の燃料用木質バイオマスの利用量を大幅に増やしていくには、将来 的に材の需要や供給能力、素材生産効率を飛躍的に向上させる必要があります。 特に、大規模な木質バイオマス利用設備を計画するにあたっては、生産性の向 上や素材生産事業の規模拡大が必要です。 そのためには、ソフト(担い手育成を含めた林業従事者数の増員、施業集約 化等)とハード(インフラ整備(路網・高性能林業機械等)、素材生産システム) 両面を強化していくことが重要です。 3.2.1 高性能林業機械の導入による生産性の向上 (1) 地域に適した素材生産における作業システムの検討 各地域の森林の状況・地形・地質に合わせて、車両系・架線系の適切な 選択を行い、施業方法・作業システムを検討します。 [解説] 大規模な木質バイオマス利用設備の新設は、該当地域における木材の新規需 要になることから、素材生産力およびチップ生産能力の増強による燃料用木質 バイオマスの供給力の向上が必要となります。 なお、再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT 制度)における木質バ イオマスの調達価格は、5,000kW の発電規模を基準として算出されています。 グリーン発電会津(5,000kW)の燃料用木質バイオマスの年間需要は、84,000 ㎥/年とされています。これは、会津地域における年間の素材生産量(67,000 ㎥ /年、H21 年)の約 1.3 倍に相当します。このことから、大規模な木質バイオマ スエネルギー利用施設への木質燃料の安定供給のためには、地域における生産 性の向上と素材生産事業の規模拡大が必要となります。 また、効率的な林業経営の為には、生産性の向上が不可欠であることから県 内でも高性能林業機械の整備が進められています。 具体的な導入事例としては、ハーベスタによる伐木・造材を始め、グラップ ル付きフォワーダによる集材の作業効率の向上など、従来の施業システムとは 大きく変わった車両系作業システムがあります。また、架線系作業システムも、 移動速度が早いリモコン式搬器や荷上力の大きいタワーヤーダでの集材なども みられるようになってきました。 また、県内には傾斜35°を超える急峻地や、地質上地盤が脆く、作業道開設 が難しいケースもあることから、地形・地質に合った作業システムを構築する 必要があります。

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27 表 3-3 路網整備の考え方について 区分 作業 システム 最大到達距離(m) 作業システムの例 基幹路網 から 細部路網 から 伐採 木寄せ・集材 枝払い・ 玉切り 運搬 緩傾斜地 (0~15°) 車両系 150~200 30~75 ハーベスタ グラップル (ウインチ) プロセッサ フォワーダ トラック 中傾斜地 (15~30°) 車両系 200~300 40~100 ハーベスタ チェーンソー グラップル ウインチ プロセッサ フォワーダ トラック 架線系 100~300 チェーンソー スイングヤーダ (タワーヤーダ) プロセッサ フォワーダ トラック 急傾斜地 (30~35°) 車両系 300~500 50~125 チェーンソー グラップル ウインチ プロセッサ フォワーダ トラック 架線系 150~500 チェーンソー スイングヤーダ タワーヤーダ プロセッサ フォワーダ トラック 急峻地 (35°~) 架線系 500~1500 500~1500 チェーンソー タワーヤーダ プロセッサ トラック この表は、林業機械の進歩・発展や社会経済的条件に応じて調整されるものである。 【出典】路網整備の考え方について、林野庁 平成23 年 3 月 (検討委員会最終とりまとめより抜粋) [参考] ・燃料利用のための集材方法(全木集材) 燃料用材を低コストで効率的に集める集材方法として、全木集材(図 3-4)を行い、土 場で一括して造材・仕分けし、枝葉は大量に溜まった所でバンドル化して収集したり、チ ップ化する方法があります。特に皆伐現場などで、搬出量が大量である場合には、燃料用 材も低コストで収集しやすいと言えます。ただし、搬出距離が長くフォワーダを使用する 場合などは、短幹集材が主流となるので枝葉を収集しようとするとコストが上がってしま います。燃料用材の搬出には、施業地毎に支出(人件費や燃料費等)と収入(材の販売費) を想定し、採算性の分岐を意識しながら収集の可否を判断する必要があります。 また、既往の研究によればチップ化により 2 倍量の林地残材を輸送可能であるケースが 示されていますi。なお、土場でチップ化を行う場合は、大型車や自走式チッパーの進入が 可能で、チッパーの回送経費を含めても、原木輸送より経済性を確保できる燃料用材の量 とそれに応じた土場の確保が必要です。

i G. Andersson, A. Asikainen, R. Björheden, P. Hall, J. Hudson, R. Jirjis, D.Mead, J. Nurmi and G. Weetman(2002)Production of Forest Energy,“J.Richardson, R.Bjorheden, P.Hakkila, A.T.Lowe and C.T.Smitheds,Bioenergy from sustainable Forestry, Kluwer Academic Press”

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28 図 3-4 集材方法の区分と残材発生 【出典】生物資源,第 3 巻第 2 号 ・「森林・林業再生プラン実践事業」による取組 高知県の香美(かみ)、物部(ものべ)両森林組合では、これまで 11 か所の団地(約 6 千 ha) で施業集約化を行い、間伐に取り組んでいます。この地域は、35 度以上の急傾斜地が約 4 を占める地形であることから、「森林・林業再生プラン実践事業」では、タワーヤーダと 高性能搬器の導入、これらによる作業システムを念頭においた路網整備・搬出間伐に取り 組み、生産性の検証を行っています。 同事業では、10 路線、13km の路網整備を実施するとともに、(1)短距離では林業用トラ クタに取り付けたウインチ(トラクタはタワーヤーダの牽引にも使用)、(2)中距離ではオー ストリア製のタワーヤーダと搬器、(3)長距離では集材機と荷揚げ用ウインチを内蔵した高 性能搬器というように、集材距離に応じて複数のシステムを組み合わせ、従来のシステム も含めて118ha で搬出間伐を行いました。 タワーヤーダを使った作業システムの一つの事例の結果をみると、間伐の生産性は7.6 ㎥ /人日(全国平均 3.6 ㎥/人日)、生産コストは 6,470 円/㎥(全国平均 8,763 円/㎥)であり、 同事業では、架線の架設及び撤去の時間の短縮、プログラムによる搬器の自動運転、荷揚 げ速度の上昇による生産性や安全性等の向上について検証が進められています。 全木集材 全幹集材 短幹集材

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29 図 3-5 ウインチを内蔵した高性能搬器 【出典】林野庁ウェブページ http://www.rinya.maff.go.jp/j/kikaku/hakusyo/23hakusyo_h/all/a46_01b.html (2) 高性能林業機械の導入による生産性の向上 ・大量の燃料用木質バイオマスを安定的に供給するには、高性能林業機械 の導入等により、生産性の向上が必要です。 ・高性能林業機械による生産性の向上には、各素材生産事業者が林地毎の 目標を持ち、機械の稼働率を上げる事を中心に展開を行う必要がありま す。 [解説] 生産性の向上を図る為には、高性能林業機械等による森林施業の機械化が不 可欠です。高性能林業機械の導入を進めることで、労働安全衛生の確保、労働 強度が軽減されます。そこに加えて、施業の効率化を進めるには、いかに高性 能林業機械の稼働率を高められるかが重要になることから、高性能林業機械の 稼働率を指標の一つとし、各林地における生産性の把握、作業の振り返り、フ ィードバックを行うなど作業システムをよく検討しておく必要があります。 参考として、県内の高性能林業機械保有台数の状況を図 3-6 に示しました。 これによると突出して保有台数が多いのは県南地域です。 なお、「福島県農林水産業振興計画」では、東日本大震災からの復興需要に対 応した建築材料や再生可能エネルギー源としての木質バイオマス等県産材の需 要拡大と安定供給が求められていることを踏まえ、平成32 年度までに高性能林 業機械を現行の190 台から 283 台以上にすることを目標としています。

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30 図 3-6 方部別の高性能林業機械保有台数(平成 22 年 3 月 31 日現在) ※林業振興課調べ [参考] 農林水産省:高性能林業機械化促進基本方針より引用 <作業地分散型> ①緩傾斜地タイプ(傾斜20 度未満) フェラースキッダ、ハーベスタ等による伐採に対して、フォワーダによる 運材を組み合わせることで、作業員3~4 人で生産量 27~36m3/日を目標と します。 ②急傾斜地タイプ(傾斜20 度以上) 小型フェラースキッダ等による伐採を基本とし、タワーヤーダ等の運材及 びプロセッサによる造材などを組合せることで、作業員 3~4 人で 16.5~ 22m3/日程度を目標とします。 <作業地集中型> ①緩傾斜地タイプ(傾斜20 度未満) ハーベスタ、フェラーバンチャ等による伐採とグラップルによる集積、集 材距離と出材量に対応したスキッダ、無人フォワーダ等による運材の組合 せにより、作業員3~4人で生産量 30~40m3/日程度を目標とします ②急傾斜地タイプ(傾斜20 度以上) 急傾斜地用ハーベスタ、急傾斜地用フェラーバンチャ等による伐採と集材 距離に対応した能力のタワーヤーダや分岐式モノレールによる運材及びプ ロセッサ等による造材の組合せにより、作業員3~4人で1日当たり生産 量 22.5~30m3/日程度を目標とします。 0 10 20 30 40 50 60 70 80 高 性 能 林 業 機 械 の 保 有 台 数 ( 台 ) その他 ハーベスタ スイングヤーダ タワーヤーダ スキッダ フォワーダ プロセッサ フェラバンチャーフェラーバンチャー

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31 3.2.2 施業の集約化 ・燃料用木質バイオマスを安定的に供給するためには、大面積・低コスト の施業を安定的に行うことが必須です。 ・そのためには、施業の集約化を行う事が必要です。 [解説] 森林所有者の大半は 1ha 未満の森林所有者であり、大規模な木質バイオマス 利用施設へ安定供給を図るためには、近場の林地を一括管理し施業も一括で行 える集約化施業を実施することが有効です。 また、燃料用材は、建築用材や合板用材と比較して低価格となりやすいため、 輸送コストが採算性に大きく影響します。事前に大きな施業地等を中心として 林地の団地化を行う事で、各施業時にコストを下げる事ができ、更に経年管理 のコストを下げる事も出来る集約化施業を実施します。森林施業プランナーな どを利用し、提案型集約化施業を行っていきます。 [参考] 提案型集約化施業の概要を以下に示します。 図 3-7 提案型集約化施業の概要 【出典】提案型集約化施業 ポータルサイト http://www.shuuyakuka.com/about/index/

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32 3.2.3 路網整備の加速化 ・高性能林業機械の活用には路網の整備が不可欠です。 ・林業専用道・森林作業道等の路網の高密度化により木材の効率的な運搬 が可能となります。 [解説] 集約化施業を行った林地において、木材の効率的な運搬を行うためには、10 t以上のトラックが通行できる林道や森林施業のための林業専用道の整備が重 要となります。低価格な材の運搬には、大型輸送を行う事でコスト上昇を抑え ることが可能です。路網整備の目安は、車両系は作業ポイントからの最遠集材 距離が 200m 程度、架線系は最遠集材距離が 300m以下となるように作設しま す。また、傾斜、水路、土質に注意し、排水処理・切土高等に注意して施工す る事が必要です。 [参考] 図 3-8 今後の路網整備における路網区分及び役割について

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33 表 3-4 地形傾斜・作業システムに対応する目標路網密度の目安 (m/ha) 区分 作業システ 基幹路網 細部路網 路網密 度 林道 林業専用 小計 森林作業 緩傾斜地 (0~15°) 車両系 15~20 20~30 35~50 65~200 100~250 中傾斜地 (15~ 30°) 車両系 15~20 10~20 25~40 50~160 75~200 架線系 0~35 25~75 急傾斜地 (30~ 35°) 車両系 15~20 0~5 15~25 45~125 60~150 架線系 0~25 15~50 急峻地 (35°~) 架線系 5~15 ― 5~15 ― 5~15 【出典】路網整備の考え方について、林野庁 平成23 年 3 月 (検討委員会最終とおりまとめより抜粋) 3.2.4 担い手の確保・育成 大規模利用施設への燃料用材の供給において、地域の素材生産に係る担 い手がこれまで以上に必要となる場合があります。 そのため、林業就業者の就労条件の改善と林業事業体の経営基盤の強 化、林業就業者育成研修による技術の修 が重要です。 [解説] 林業の新規就業者を確保するためには、高性能林業機械の導入による労働負 荷の軽減や福利厚生の充実、林業就業者の労働安全対策など、就労条件の改善 を図ることと、安定雇用に向け、施業の集約化などにより生産性の向上を図る など、林業事業体等の経営基盤を強化することが必要です。 また、新規就業者を対象とした研修や基幹的な林業労働者を対象とした専門 的研修、高性能林業機械のオペレータ養成研修などにより技術を修 する事が 重要です。

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[参考] 森林・林業再生プランにおける実行プログラム(人材育成に係る部分を抜粋)

【出典】「森林・林業の再生に向けた改革の姿」

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35 3.2.5 再造林の推進 ・大規模利用施設への安定的な木材供給のため、森林経営計画の樹立を推 進します。 ・経済林は法正林化を目指して再造林を行います。 ・非経済林は天然林(二次林)への移行施業を行います。 [解説] 県内においては、20 年生以下の森林資源が少ない状況です。安定的な木材の 供給を行うためには、各林齢での森林蓄積を一定以上にする必要があり、燃料 の安定供給のためには県内全域ないしは、特定の範囲内での法正林化を目指す 必要があります。団地化を推進する事により、法正林化が可能となります。法 正林化する場所は、森林経営計画樹立時の経済林にて行い、非経済林は、天然 林(二次林)への移行を行うこととし、県内での森林資源管理の際には、経済 林・非経済林の区分を持って森林を分ける事とします。 また、法正林化する場所も、可能な限り自然に配慮する形とし、輪伐方式の 採用などを検討します。 [参考 1]目標とする森林の状態(林野庁) 表 3-5 森林の有する多面的機能の発揮に関する目標 平成22 年 目標とする森林の状態 ( 参 考 )指 向 す る 森林の状態 平成27 年 平成32 年 平成42 年 森林面積(万 ha) 育成単層林 育成複層林 天然生林 合 計 1,030 100 1,380 2,510 1,030 120 1,360 2,510 1,020 140 1,350 2,510 1,000 200 1,310 2,510 660 680 1,170 2,510 総蓄積(百万 m3) ha 当たり蓄積(m3/ha) 4,690 187 4,930 196 5,200 207 5,380 214 5,450 217 総成長量(百万 m3/年) ha 当たり成長量(m3/ha 年) 74 2.9 68 2.7 61 2.4 55 2.2 54 2.1 【出典】森林・林業基本計画(平成23 年 7 月林野庁)

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36 表 3-6 森林の区分別の内訳 育成単層林 木材等生産機能の発揮が特に期待されるなど育成単層林として整備される森林 公益的機能の一層の発揮のため自然条件等を踏まえて育成複層林に誘導される森林 公益的機能の発揮のため伐採が強度に規制されているなど天然生林に誘導される森林 (万 ha) 660 350 20 天然生林 主に天然力により健全性が確保され公益的機能の発揮のため天然生林として維持される森林 各種機能の発揮のため継続的な育成管理により育成複層林に誘導される森林 (万 ha) 1,150 230 【出典】森林・林業基本計画(平成23 年 7 月林野庁) [参考 2] 再造林コストの低減化に向けての取り組み 再造林を推進するためには、現状、政策的な支援と再造林コストの低減化が 必要です。欧州では、コスト低減化の方策として、地ごしらえや下刈等の作業 の機械化の研究が進められていますが、現状、国内では普及していません。そ の理由として、他の車両系高性能機械と同様に、地形への対応が課題のひとつ として挙げられます。今後普及させる方法として、スーパーロングリーチグラ ップルに地ごしらえ植栽ユニットや下刈ユニット機能を付加し、作業道からの 機械による作業を可能とする等、国内の状況に合ったシステムを導入していく ことが重要です。以下に機械化育林のシステムイメージを示します。 図 3-9 機械化育林のシステムイメージ 【出典】仁多見俊夫氏資料(東京大学大学院農学生命科学研究科准教授)

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37 3.3 放射性物質への対応 東京電力福島第一原子力発電所の事故により、森林においても平時を超える 放射線量が検出され、森林施業にも影響が及んでいます。 本項では、森林・林業の分野における放射性物質の影響や対応についてまと めました。県内においては、放射性物質が付着した木材を木質バイオマスとし て利用するための対応を検討しつつ、木質バイオマスの安定供給を図る必要が あります。 3.3.1 森林の放射性物質による汚染への対応 【現状】 ・本県の森林面積のうち約半分が、放射性物質による汚染によって追加被 ばく線量の基準、年間 1mSv(空間線量率 0.23μSv/h に相当)を超え ています。 ・森林の空間線量率は徐々に低下していますが、森林の再生には森林内に おける放射性物質の低減させることが必要です。 【対応】 ・生活圏内の森林除染については、平成 23 年 12 月 5 日で県から出され た「福島県農林地等除染基本方針(森林編)」を参照・遵守します。 ・森林内の放射性物質の動態については、時間の経過とともに変化するこ とが予想されます。継続的に実施・公開される調査結果を確認するだけ ではなく、自ら作業場所における空間線量率を計測し、状況を把握しま す。 [解説] 県で取りまとめた「森林の放射性物質による汚染状況調査(中間報告、平成 24 年 12 月)」において、現状でも、県内の森林面積のうち、約 50%が 0.23μ Sv/h 以上であり(図 3-11)、震災当初と比較し、空間線量率は低下しているも のの、森林の再生のためには森林整備などによる森林内の放射性物質の低減化 が必要です。 なお、生活圏内の森林除染については、平成23 年 9 月に原子力災害対策本部 より示された「森林の除染の適切な方法等の公表について※」の中で、以下の 目標に即した空間線量率の引き下げを除染の基本方針とし、暫定的に、住居等 近隣の森林における除染を最優先に行い、住民の被ばく線量の低減を図ること とされています。 ※ http://www.kantei.go.jp/jp/singi/genshiryoku/dai21/21_09_gensai.pdf

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38 また、福島県から「福島県農林地等除染基本方針(森林編)(平成23 年 12 月 5 日)」(http://wwwcms.pref.fukushima.jp/download/1/231205sinrin.pdf)が公 表されています。本方針は、県内において実施される森林等の除染に関して、 県の基本的な考え方をまとめたものであり、市町村の除染実施計画策定と除染 の実施にあたっての目安として位置づけています。これは、市町村が除染実施 計画に基づき国有林の除染を求めるにあたっての目安になるものです。 [参考 1] 国有林における除染の取り組み 国有林を管轄する関東森林管理局では、放射性物質の除染を円滑に実施する ことを目的とし、平成24 年 4 月に林野庁関東森林管理局の組織として森林放射 性物質汚染対策センター(以下、「国有林除染センター」という。)を設置しま した。 (http://www.rinya.maff.go.jp/kanto/seibi/jyosennnikannsurutorikumi.html) 国有地についても市町村が立てる除染実施計画に沿って除染事業を行うこと となり、国有林除染センターは、特措法に基づき汚染状況重点調査地域(※) として指定された市町村において、当該市町村と連携を図りながら、森林にお ける除染事業を実施します(図 3-10)。 ※汚染状況重点調査地域: 平均的な放射線量率が0.23μSv/h 以上の地域を含む市町村を、地域内の事故由来放射 性物質による環境の汚染の状況について重点的に調査測定をすることが必要な地域と して、指定するもの。 図 3-10 森林放射性物質汚染対策センターと市町村の連携図 [参考 2] 森林の除染技術に関する取り組み 福島県林業研究センターでは森林の除染技術に関する試験を行っています (図 3-12)。

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図 3-11 福島県の森林の汚染状況

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40 図 3-12 福島県林業研究センターにおける除染実証事業 【出典】内閣府原子力被災者生活支援チーム、(独)日本原子力研究開発機構等 (平成24 年 4 月)、平成 23 年度「除染技術実証試験事業」の結果概要 http://www.aec.go.jp/jicst/NC/iinkai/teirei/siryo2012/siryo12/siryo1-3.pdf 【出典】福島県(平成24 年 12 月)、森林の放射性物質による汚染状況調査(中間報告)について

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41 3.3.2 森林での作業時における対応 【現状】 ・警戒区域および計画的避難区域や、新たに指定された帰還困難区域及び 居住制限区域においては、除染等業務やなど、特別の場合を除き、森林 内の作業が行えません。 ・2.5μSv/h を超える地域においては、できる限り森林内の作業は行わな いことが求められます。 【対応】 ・やむを ず2.5μSv/h を超える森林等で作業を行う場合は、関係するガ イドライン等に準じ、適正に線量管理を行い、可能な限り被ばく線量の 低減を図ります。 [解説] 作業場所での空間線量が2.5μSv/h を超える場合、除染電離則上の線量管理 等が必要となり、素材生産事業が制限されている地域もあります。 林野庁では、「森林内等の作業における放射線障害防止対策に関する留意事項 等について(Q&A)」を作成しています。この中で、警戒区域及び計画的避難区 域や、帰還困難区域及び居住制限区域は、被ばく線量を低減する観点により長 時間の立入り等が制限されていることから、除染等業務や公益を目的とした一 時的な立入りなど、特別の場合を除き、森林内の作業についても行わないこと としています。また、厚生労働省により策定されたガイドライン(※)に準じ て、森林施業等についても2.5μSv/h を超える地域においてはできる限り作業 は行わないことが求められています。なお、やむを ず2.5μSv/h を超える森 林等で作業を行う場合は、これらのガイドラインに定められた事項を遵守の上、 図 3-13 を参照し、作業を行うようにします。 ※「除染等業務に従事する労働者の放射線障害防止のためのガイドライン」(以下「除 染等業務ガイドライン」という。)および「特定線量下業務に従事する労働者の放射線 障害防止のためのガイドライン」(以下「特定線量下業務ガイドライン」という。)のこ と。

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図 3-13 除染特別地域等で作業を行う場合のフロー図

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43 [参考] 林野庁では、アカマツ・落葉樹混交林、スギ定性間伐区にて部位別の放射性 セシウムの分布 合に関する調査結果を公開しています(図 3-14)。ともに、 落葉落枝や土壌に多く分布している一方で、辺材及び心材は低い値となってい ます。なお、スギでは、葉、枝への分布が比較的多くなっています。また、県 の調査では、空間線量率と木材の放射性セシウム濃度の関係は、空間線量率が 高いほど材の放射性セシウム濃度が高くなる傾向が確認されています(図 3-15)。 ただし、林野庁の試算(※)によれば、アカマツの幹材部分で測定された放 射性セシウム濃度の最大値497Bq/kg(乾燥重量)の木材で作った居室内での人 体への追加被ばく量でも年間0.012mSv となり、国内での自然放射線による年 間被ばく量1.5mSv と比較しても著しく小さく、人体への影響はほとんどない という結果が られています。 ※(参考)木材で囲まれた居室を想定した場合の試算結果 http://www.rinya.maff.go.jp/j/mokusan/sinsai/pdf/120821-1.pdf

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図 3-15 辺材(地上 1m)と空間線量率の関係

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4. 木質バイオマス燃料の生産工程

日本国内において活用されている主な木質バイオマスは、その発生過程によ り、林業由来の林地残材や木材産業の副産物である製材工場残材、建設廃材に 分類することができます(図 4-1)。 以下、これらの木質バイオマス発生過程ごとに燃料用チップの生産工程を説 明します。 保育 主伐 製材加工 建築 解体 間伐材 林地残材 製材工場等残材 建設廃材 建設廃材 図 4-1 木質バイオマスの発生過程と発生箇所のイメージ 4.1 未利用間伐材・林地残材からの木質バイオマス燃料生産 ・林地残材は、集材方法によって発生する残材と集積場所が異なります。 ・発生した残材の種類によってはトラックで運搬する前に破砕を行う必要があ ります。 ・広範囲に少量ずつ分散している林地残材を効率的に確保するため、伐採方法 や搬出、運搬の仕組みについて検討を行います。 ・林地残材・間伐材などは乾燥を行う必要があります。 4.1.1 伐採・集材および搬出工程 林業の現場で発生する木質バイオマスには、主伐や利用間伐による木材収集 の際に発生する端材、末木・枝条、用材として利用できない曲がり材や短尺材、 根元部(タンコロ・ドンコロなどと呼ばれる)、伐根、間伐による切捨丸太等があ ります。これらを総称して林地残材(図 4-2 における未利用木質資源)と呼び ます。 林地残材は現状では森林に残置され、国内の賦存量約 800 万 t に対してほと んどが未利用です(平成 23 年度森林・林業白書)。この膨大な資源である林地 森林 用材 製材品 家屋

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47 残材を燃料として利活用することに期待が高まっています。 図 4-2 林地残材の部位別イメージ 林地残材の発生場所は集材方式によって大きく異なります(図 4-3)。 林地残材の収集が最も容易な手法は全木集材です。この場合、土場にて集中 的に発生する端材、末木・枝条等(土場残材)をグラップル等でトラックに積み込 んで搬出するなど、用材とともに収集することで効率的な林地残材の搬出を行 うことができます。 図 4-3 集材方法と残材の集積場所 【出典】平成20 年度 北海道 林地残材の効率的な集荷システムづくりモデル事業成果報告書 切捨丸太 端材 末木枝条

図 2-4  市町村別の素材生産量
表 2-11  福島県内の木質系震災廃棄物の推定量(被災した住宅の廃木材)
図 3-2  計算結果(県南地域の例①)
図 3-11  福島県の森林の汚染状況
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