5. 木質バイオマスエネルギーの利用
5.3 導入を検討する際の基本的な考え方
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率やかさ密度が異なってきます。そのため,計画時には、それら使用する木質 燃料を考慮した上で、必要となる敷地面積を算出します。
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図 5-6 木質バイオマスのエネルギー変換効率(例)
したがって、木質バイオマスのエネルギー利用に当たっては熱利用又は熱電 併給が効率的であり、また、コスト面においても熱利用の優位性が既往の研究 により示されています(表 5-6)。
表 5-6 木質バイオマスエネルギー利用の採算性比較結果
※ガス化発電と蒸気発電のネットの発電効率はそれぞれ17%、25%と設定。
※投資回収年数(=投資額(補助金除く)/単年度収支)が10年以内の場合○、単年度のキャッシュフローは黒字の時
△、赤字の時×
【出典】久保山裕史(平成24年7月)、第18回木材利用システム研究会資料(再生可能エネルギーの固 定価格買取制度)
以上のことから、木質バイオマス発電利用を進める場合、燃焼によって発生 する熱の利用についても検討することが重要です。
燃料の有するエネルギー量に対する各技術で有効に利用できるエネル ギー利用の 合で、数値はいずれも概数です。
Manomet Center for Conservation Sciences(2010) Biomass Sustainability and Carbon Policy Study. NCl-2010-03: 129.より
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熱利用の用途は様々であり、地域における熱利用需要を把握することが重要 です(表 5-7)。
なお、熱電併給については、配管延長等の設備コストや売熱単価より事業採 算性を考慮し導入の検討を行います。
木質バイオマスエネルギーの利用用途や需要を踏まえた上で、燃料の調達条 件を勘案し、実現可能で事業性のある方式を選択します。
表 5-7 各熱利用施設における熱利用の特徴
利用
先 用途 利用温度(℃) 熱源温度
範囲(℃) 備考
水産
陸上養殖 水温20~30 45~20 季節的に需要大 水産加工 水温10~30 30~10 季節的に需要大
冷房・低温水槽 水温5~8 80以上 二重効用吸収式冷凍用 175℃以上、季節的 に需要大
農林 畜産
施設園芸暖房 室温10~25 40以上 季節的に需要大 土壌加温 土温15~20 40以上 季節的に需要大 灌水加温 水温15~20 40~20 季節的に需要大
冷室温・低温貯蔵 温度5~8 80以上 二重効用吸収式冷凍用 175℃以上、季節的 に需要大
畜舎暖房 室温10~25 40以上 季節的に需要大 農産物乾燥 空気温70以上 90以上 季節的に需要大 木材乾燥 空気温80以上 100以上 年間を通じて需要大
工 業
合板加工・木材加工 温度80以上 100以上 年間を通じて需要大 容器殺菌・乾燥 温度80~100 90以上 年間を通じて需要大 食品加工 温度100~200 120以上 年間を通じて需要大
発酵 温度20~50 60~30 季節的に需要大
冷房・冷却 温度5~8 80以上 二重効用吸収式冷凍用 175℃以上、季節的 に需要大
プロセス用途 温度100以上 120以上 年間を通じて需要大 観光
・
レ ジ ャ ー
熱帯植物温室 室温20~25 40以上 季節的に需要大 温水施設 水温45 60以上 年間を通じて需要大 温水プール・水族館 水温20~30 60~40 年間を通じて需要大 民生 融雪(埋設式) 水温40 75~35 季節的に需要大
融雪(散水式) 水温20 40~15 季節的に需要大
共通
給湯 水温50~80 90~70 季節的に需要大
暖房 室温15~25 40以上 季節的に需要大
冷房 温度5~8 80以上 二重効用吸収式冷凍用 175℃以上、季節的 に需要大
【出典】(財)新エネルギー財団(2008)、バイオマス技術ハンドブック-導入と事業化のノウハウ-(p85)を 一部編集
73 (2) 木質燃料と化石燃料のコスト比較
・現時点では、木質燃料は化石燃料よりエネルギーあたりの単価が安価で す。
・木質バイオマスは、種類によってもエネルギー単価が異なります。
・化石燃料のエネルギー単価と比較し、計画施設における投資回収の目途 を把握します。
[解説]
木質燃料と比較されるのが化石燃料です。
現在の化石燃料の価格をエネルギー単価で比較すると、木質バイオマス燃料 のほうが優位となります(図 5-7)。
このため、木質バイオマス燃料および化石燃料の単価、計画施設におけるエ ネルギー使用量、設備費用などの条件から検討し計画を進めます。
図 5-7 化石燃料と木質燃料の熱単価による比較
【出典】久保山裕史(平成22年10月)、日本の森林資源利用とバイオマス熱利用
(3) 木質バイオマスエネルギー利用システムの設備導入経費
木質バイオマスエネルギー利用システムの設備導入経費を把握します。
[解説]
現状、木質バイオマス燃料の利用機器・設備は、化石燃料利用機器と比較し 高額であるため、事業性を検討する際には、設備導入経費を把握しておくこと が重要です。
また、メーカーによって利用機器の性能や規模、価格が異なります。
その他、木質バイオマスボイラーを設置する際は、土地造成費、土木工事費、
建屋建設費、配管工事費等が必要になりますので、計画施設の条件(設備設置 に必要となる面積や建屋の仕様等)から概算費用を求めます。
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表 5-8 木質バイオマス利用機器・設備費の目安
エネルギー
利用形態 利用用途 木質バイオマス
燃料 利用機器 出力 価格帯 備考
熱 家庭用 薪・ペレット ストーブ 5~30kW ~50万円程度 本体価格のみ
熱 家庭用 薪 ボイラー 30kW程度 50万円程度 本体価格のみ
熱 業務用 薪 ボイラー 30~100kW程度 50~500万円程度 本体価格のみ
熱 家庭用 ペレット ボイラー ~50kW程度 ~200万円程度 本体価格のみ
熱 業務用 ペレット ボイラー 30~500kW程度 数百~2,000万円程度 本体価格のみ 熱 業務用 チップ ボイラー 100~1,000kW程度 1,000~5,000万円程度 本体価格のみ 発電 業務用 チップ ボイラー・発電機 数百kW(ガス化発電) 数億円程度 発電設備のみ 発電 業務用 チップ ボイラー・発電機 1,000~2,000kW 10億円~ 発電設備のみ 発電 業務用 チップ ボイラー・発電機 5,000kWクラス 20億円~ 発電設備のみ
※価格帯については本体価格もしくは設備のみの参考値であり、土木工事費、建屋等の建設工事 費、付帯設備費等が別途かかるため、本格的な事業計画の検討を実施される際は、関係事業者か らの見積取 により必要経費を把握します。
(4) 木質燃料と利用に適したシステム
木質バイオマス燃料の種類により、対応する規模や施設での用途(熱利 用・発電)が異なります。
[解説]
使用する木質バイオマス燃料によって、利用に適した規模、利用機器・設 備が異なり、燃料の条件(用途や燃料の調達の可否等)により導入システム を決定します(図 5-8)。一般的にペレットのように、均質に加工された燃料 は小型機器で利用できますが、含水率や形状にバラつきのある木材チップは、
大規模な施設(産業利用や発電など)で利用されています。
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図 5-8 木質バイオマス燃料の形態と規模の適合性
個人住宅
~30kW
学校・病院等 100kW~500kW
施設(中)・中小工場 100kW~1,000kW
100kW 200kW 300kW 500kW 1,000kW 10MW 100MW
集合住宅
~100kW 利用規模
施設(大)・大工場・発電施設 1,000 kW~10MW
大都市レベル 100MW~
チップ(100kW~) ※自動 利用対象
木質 バイオマス エネルギー
10kW ・・・・・・・・・・・
技術的可能
(500kW~1,000kW)
技術的可能
(20kW~100kW)
木くず(500kW~) ※手動・半自動 技術的可能(100kW~)
温泉施設・宿泊施設 150 kW~500kW
薪(まき)
(50kW~100kW)※手動 ペレット(家庭用)
(10kW~50kW)※自動
ペレット(業務用)
(100kW~500kW) ※自動
76 (5) 計画施設での木質燃料の選択方法
木質バイオマス燃料の種類によって、適した利用規模や利用方法があ り、計画施設での利用規模や施設周辺で確保できる燃料等を考慮して適切 な選択を行います。
【薪】 小規模、熱利用向き。(家庭や温泉施設など)
【チップ】中・大規模、熱および発電利用向き。
(温泉施設や工場、発電施設など)
【ペレット】小規模、熱利用向き。(家庭や事務所や温泉施設など)
[解説]
木質バイオマスエネルギーを導入する施設の規模により適した燃料があり、
薪であれば小規模、ペレットは小・中規模、チップは中・大規模な施設に適し ます(図 5-98、表 5-9、表 5-10)。熱利用であればどの種類の木質燃料でも 対応可能ですが、発電についてはチップによる事例が圧倒的に多く、5,000kW 以上の発電出力の発電施設はほとんどで木質チップを燃料としたボイラー蒸気 タービンシステムが導入されています。薪やペレットでも発電事例はあります が、導入事例は非常に少ない状況です。
まずは、導入を検討する施設でのエネルギー利用用途(熱・電力)とエネル ギー使用量を確認し、どの木質燃料であれば、どれくらい使用するかを把握し ます。詳細なエネルギー計算は、専門のコンサルタントか木質バイオマス燃料 利用機器メーカーに相談してください。
事業性が確保できる形で木質バイオマス燃料が安定的に調達できれば、利用 機器の検討を進めます。
[参考]
「再生可能エネルギー先駈けの地アクションプラン」県の「再生可能エネルギー先駈けの地アクションプラン」(平成
25
年2月 策 定)において、木質バイオマス関連情報の収集・提供と産業化支援及び木質バ イオマス関連施設の整備支援について取組むことや2015年度の導入見込み を示しています。この中で、目標達成に向けた木質バイオマス発電施設の整備計画が示されて おり(図 5-10)、木質バイオマス燃料の安定的な確保を含めた供給の持続性に ついて、検討を行なっています。
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表 5-9 木質バイオマス燃料の形態と利用規模の適合性
利用規模 燃料形態
小規模ボイラー
(家庭、小施設等)
20kW~100kW程度
中規模ボイラー
(業務用、事務室や温泉施 設等)
100kW~500kW程度
大規模ボイラー
(業務用、工場や発電施設等)
500kW程度~
薪 ○ △※1 ×
チップ ×※2 ○ ○
ペレット ○ ○ △※3
○:適、△:条件により適もしくは不適、×:不適
※1 薪は自動投入が難しいため、規模が大きくなるとその分人手が必要になり、雇用創出効果は期待でき るが人件費の負担が大きくなる。1基あたり100kW程度の出力しかないため、規模が大きくなると複数 台を連結して設置しなければならず、薪ボイラーや薪を置くためのより広い設置スペースが必要となる。
建屋や敷地費用も大きくなるが、薪を安価に利用できるのであれば可能性はある。
※2 国内ではビニルハウスや家庭レベルの小規模では利用されている事例がほとんどない。
※3 500kW 程度の利用機器が汎用機として最も大きい規模。それ以上となると、複数台を連結しての使
用となる。最近、複数のメーカーから工場向けのペレット蒸気ボイラーの製品化がなされたため、産業 用利用への普及拡大が期待される。国内大規模事例は、石炭火力との混焼事例がある。
表 5-10 燃料の形態と利用機器の適合性
利用機器
燃料形態 温水ボイラー 蒸気ボイラー 吸収式冷温水器
※冷房使用時に必要
薪 △※1 × ×
チップ ○(家庭用は困難) ○ △※2
ペレット ○ ○ ○
○:適、△:条件により適もしくは不適、×:不適
※1 小規模で可。大規模になると不向き(表 5-9の注釈(※1)を参照)。
※2 チップボイラーの配管を吸収式冷温水器に繋げて温水を供給することで冷房することは可能 だが、比較的高温の温水を供給し続けなければ、効率が低下するため、高効率での運転が難しい。
図 5-9 木質バイオマス利用機器・設備のイメージ
薪ボイラー(左:家庭用、右:業務用) チップボイラー(熱利用) 発電施設(5,000kW)