9. 資料編
9.10.2 FIT と木質バイオマス
(1) 買取価格について
先述したように、バイオマスは再生可能エネルギー源とされており、そ れには木質バイオマスも含まれています。
木質バイオマスをエネルギー源とした電気の買取価格を表 9-20 に示し ます。未利用木材由来のものが
33.60
円/kWh(税込)、一般木材由来のものが
25.20
円/kWh(税込)、リサイクル木材由来のものが13.65
円/kWh(税込)と、未利用木材由来のものが最も高い価格となっています。
これは、再生可能エネルギー電気の買取価格が、再生可能エネルギー発 電設備の設備設置や運転・維持に要する費用のほか、燃料調達に要する費 用等を考慮して決められているためです。木質バイオマスの調達費用は、
山間部からの材の収集・運搬を含んでおり、FIT を活用した林業活性化が 期待されます
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表 9-20 発電に使用する木材の種類と電力の買取価格
調達区分 該当する主な木質バイオマス IRR (税前)
電力 買取価格
(税抜)
電力 買取価格
(税抜)
電力 買取期間 未利用木材 ・間伐材
・対象森林から伐採された木材 8% 32 円 33.06 円
20 年 一般木材 ・製材等残材(由来の証明がされたもの)
・その他由来の証明が可能な木材
4%
24 円 25.20 円 リサイクル木材 ・建設資材廃棄物
・その他の木質バイオマス 13 円 13.65 円 出典:環境省「バイオマス発電(木材などの種類と調達価格)」2012.7
http://www.env.go.jp/jishin/rmp/conf/06/mat05.pdf
注:
①
IRR
(internal rate of return)とは投資評価の一指標で、NPV(Net Present Value)をゼロにする割引率のことです。適正な利潤の指標として使われ ます。② 該当する主な木質バイオマスの定義は、表 9-21で説明します。
③ 未利用木材および一般木材の該当する主な木質バイオマスは、林野庁「発 電利用に供する木質バイオマスの証明のためのガイドライン」(2012年
6
月)に準拠した分別管理・証明を行う必要があります。その説明は、「9.10.2(2)」で行います。
表 9-21 調達区分別にみた木質バイオマスの定義 調達
区分
該当する
木質バイオマス 定義
未 利 用 木材
間伐材
うっ閉した立木間の競争が生じ始めた森林において、次の範囲内で行われる伐 採により発生する木材
・材積に係る伐採率が 35%以下であること
・伐採年度から起算し、おおむね 5 年後には確実に再度うっ閉すること
※うっ閉する前の森林において、目的樹種の成長を阻害する樹木等を除去し目 的樹種の健全な成長を図るために行う伐採(これを除伐という)を含む。
対象森林から 伐採・生産される木材
以下の森林から適切に伐採・生産される材
・森林経営計画の対象森林
・保安林及び保安施設地区
・国有林野施業実施計画・公有林野等官行造林施業計画の対象森林
一 般木 材
製材等残材 木材の加工時等に発生する端材、おがくず、樹皮等の残材 その他由来の
証明が可能な木材 製材等残材以外の木材であって由来の証明が可能なもの リサイクル木材 未利用木材、一般木材に該当しない木材
(建設資材廃棄物、その他の木質バイオマス)
出典:林野庁「発電利用に供する木質バイオマスの証明のためのガイドライン」2012.6 http://www.rinya.maff.go.jp/j/riyou/biomass/pdf/hatudenriyougaidorain.pdf
環境省「バイオマス発電(木材などの種類と調達価格)」2012.7 http://www.env.go.jp/jishin/rmp/conf/06/mat05.pdf
注:輸入した木質バイオマスや果樹剪定枝、庭木の伐採木、ダムの流木などはその他由来の証明が可能な 木材に該当します。
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(2) 発電事業を行うために必要な手続きおよび事業実施体制
昨今、FIT が施行されたことによって、再生可能エネルギー源による発電 事業を検討する事業体・団体が増えています。
木質バイオマス発電を行うには、安定した木質バイオマスの確保が重要で す。また、電気の売買を目的とし、一般木材や未利用木材を使って発電を行 う際は、その木材の調達区分を明らかにする必要があります。調達区分を明 らかにできなかった場合、未利用木材由来の電気や一般木材由来の電気は、
リサイクル木材由来の電気の買取価格
13.65
円/kWh(税込)で売買されるこ ととなります。そのため、未利用材および一般木材由来の電気を売買するためには、伐採 および加工・流通、発電の段階で燃料の由来の証明と、その根拠が明確にわ かるような体制を構築しなくてはなりません。かつ、それらを証明する資料 を作成・保管する必要があります。
以下、各々の段階で必要な手続きおよび事業実施体制について述べていき ます。
①伐採段階 (a) 未利用木材
森林で木を伐採・搬出するためには、その森林の区分によって必要な手続 きが異なります。森林経営計画を策定した森林で木を伐採するためには、各 地域の市町村長に伐採届を提出する必要があります。国有林・公有林・保安 林は関係機関から伐採許可を る必要があります。また、その伐採した木材 を販売するために森林所有者等と売買契約を締結する必要があります。また、
そのような木材であることを証明するために「発電利用に供する木質バイオ マスの証明のためのガイドライン」において記されているような証明書を作 成し、販売先に提供する必要もあります。
木材が再生可能エネルギー源である以上、そのエネルギー源を供給する森 林では持続可能な経営を行わなくてはなりません。適切な間伐・主伐後の植 林、保育も忘れてはいけません。
(b) 一般木材
原木の流通・加工を行うものは、受け入れた原木が間伐材等由来の木材で あること、又は、未利用木材以外および建設資材廃棄物以外の木質バイオマ ス(第三者認証の森林から られた木材、ダム流木や果樹剪定枝など由来が 明確である木材)であることを証明する必要があります。
そのため、「発電利用に供する木質バイオマスの証明のためのガイドライ ン」で記されているような証明書を作成し、製材業者や加工業者に提供しな くてはなりません。
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②流通・加工段階(製材段階も含む)
木質バイオマス発電に使う燃料の供給には、木質バイオマスを供給する事 業者の団体等から、木質バイオマス発電に使う燃料を供給する事業者として 認定してもらう必要があります。なお、木質バイオマスを供給する事業者の 団体等は、木質バイオマスの証明に関する自主行動規範を策定しなくてはな りません。
木質バイオマスを供給する事業者の団体等から、認定を受けて木質バイオ マスの加工・流通を行う事業者は、自らが行う全過程を通じて、証明書が交 付されている未利用木材や一般木材、リサイクル木材各々が混ざらないよう に分別管理を行う必要があります。
また、木材の販売先に対して証明書を交付する必要もあります。加えて、
どの木材をどれくらい仕入れ、どれくらい販売したのか、現在手元にどれく らい残っているのかを管理する必要もあります。
これらの証明書や木材の管理に係る書類などは、木質バイオマス発電に関 連する書類は
5
年間保存しなくてはなりません。③発電段階
FIT
に基づいて発電・販売する事業者は、経済産業大臣から設備認定を受 ける必要があります。そのためには、発電に最適な設備のほか電気事業者に供給する電気量の特 適正な計量が可能な構造の検討やメンテナンス体制の確保、さらに年
1
回は 設備に要した費用や、運転費用の内訳を提出する義務も果たさなくてはなり ません。加えて、木質バイオマスの場合は他の産業と競合しないような燃料確保体 制を構築すること、毎月
1
回は燃料のバイオマスの比率を正確に算定するこ とも求められています。125
表 9-22 事業実施に必要な手続き
実施段階 実施のために必要な手続き 申請先
・森林経営計画の策定 農林水産大臣、都道府県知事、市町村長
・伐採届の提出 各地域の市町村長
保安林および保安施設地区の対象森林 ・保安林伐採許可(間伐含む) 各地域の地域振興局 国有林野施業実施計画の対象森林 ・森林管理署等との売買契約の締結 各地域の森林管理局 公有林野等官行造林施業計画の対象森林
・森林認証制度の取得 第三者機関
・伐採届の提出(民有林) 各地域の市町村長 剪定枝,流木など ・証明書類の作成,提出 木材供給先へ書類を提出
・自主行動規範の策定 -
・発電利用に供する木質バイオマスの 証明に係る事業者認定
木質バイオマスを供給する事業者の団体等
・自主行動規範の策定 -
・設備認定 各地域の経済産業局
・接続契約の締結 電気事業者
発電段階 再生可能エネルギー発電事業者 木質バイオマスを供給する事業者の団体等
実施主体
加工・流通に係る事業者 流通・加工
段階 伐採段階
森林経営計画策定した対象森林 林業
事業体
(未利用木材)
(一般木材) その他の森林:第三者認証の森など
出典:林野庁「発電利用に供する木質バイオマスの証明のためのガイドライン」2012.6 http://www.rinya.maff.go.jp/j/riyou/biomass/pdf/hatudenriyougaidorain.pdf
環境省「バイオマス発電(木材などの種類と調達価格)」2012.7 http://www.env.go.jp/jishin/rmp/conf/06/mat05.pdf
資源エネルギー庁新エネルギー対策課「再生可能エネルギーの固定買取価格制度について」2012.7 注:
① 各種手続きおよび契約を行う際に申請先に伝える必要のある情報・提出書類の詳細については、上記の出所に記した資料をご参照ください。
また、資源エネルギー庁 http://www.enecho.meti.go.jp/saiene/kaitori/nintei_setsubi.html には発電事業者が設備認定の申請時に提出する書類の様式があります。
② 福島県木材流通機構は、木質バイオマスを供給する事業者の団体等に該当します。