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5. 木質バイオマスエネルギーの利用

5.2 木質バイオマスのエネルギー利用方法

5.2.1 チップ燃料

チップは、ボイラーでの直接燃焼(熱利用・発電)や、ガス化コージェネ レーションシステム(ガス化炉で可燃性ガスを発生させてエンジンを起動さ せることで、熱と電気を同時に利用)の燃料になります。

チップは、製造方法によって形状が異なります。そのため、各特性を考慮 しながらチップ形状を選択します。

(1) 木材チップの特性

【切削チップ】

・チッパーに内蔵されたカッターナイフまたはカッターディスクで切削す る

・形状は薄い方形状

・破砕チップと比較すると高価であるが、取り扱いが容易

【破砕チップ】

・破砕機に内蔵されたハンマーで破砕する。もしくは、カッターミルでせ ん断する

・繊維に沿って破砕されているため、形状は細長く不均一である

・燃料供給装置内でチップ同士が咬みあってしまい、炉内で燃料が詰まり やすい。

・切削チップと比較し、初期の乾燥速度が速い。

[解説]

木材チップの形状は、主に破砕機による「破砕チップ」とチッパーによる「切 削チップ」の

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タイプに分類され、それぞれ長所と短所があります。

破砕チップは安価ですが、繊維状であるため燃料供給装置で詰まりが発生し、

システムが停止するケースが見られます。

他方、切削チップは形状が安定していて詰まりは発生しませんが、破砕チッ プと比較し高価です。

その他、「4.3 建設廃材からの木質バイオマス燃料生産」で述べたとおり、建 築廃材を原料とするチップには、防腐剤として使用されてきた

CCA(クロム、銅、

ヒ素の混合薬剤)が含まれているケースがあり、これらの有害物質が含まれてい るものを除き、チップを生産する必要があります。

破砕チップと切削チップの特徴を以下に示します。燃料利用に当たっては、

利用するチップの特性を把握し、適切な燃焼機器を選択する必要があります。

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表 5-3 チップの種類と特徴

破砕チップ (破砕機による) 切削チップ (チッパーによる) 形態

細長い繊維状

薄い方形状 製造方法 【ハンマーミル方式】

ハンマーの打撃による衝撃力で破砕する。

【カッターミル方式】

受刃と切断刃によるせん断力で破砕する。

カッターナイフまたはカッターディスクで切削す る。

主な用途 堆肥原料、マルチング材、吹きつけ材、燃料 製紙パルプ用、木質ボード用原料、燃料

価格※ 6.0~7.0円/kg 14.9~16.5円/kg

利用性 燃料供給装置内でチップ同士が咬みあってし まい、装置内で詰まることがある。そのため、供 給装置に工夫を要する。

また、建設廃材が原料である場合、薬剤処理

(CCA等)している可能性あり、注意が必要。

破砕チップに比較して、取扱いが比較的に容易 である。

※木材チップ市況より、破砕チップはボード類用のチップ価格を、切削チップは製紙用の価格を引用。

なお、現状では、表 5-3 に示したチップは主に製紙原料用や一部ボード用に 使用されていることが多く、燃料用としては、利用材である林地残材系のチッ プの活用が期待されています。

(2) 木材チップの長所および短所

木材チップは、性状(含水率、形状)が一定でないことから、それに対 応できる比較的大規模な施設(工場や発電所等)での利用に適しています。

[解説]

木材チップのメリット、デメリットを以下に示します。

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表 5-4 チップ燃料の特徴

メリット デメリット

○ ペレットよりは比較的容易に製造 できる

○ 他の木質バイオマス燃料より安価

○ 既存の製造事業者が比較的多く、調 達しやすい。

● 含水率が一定でなく、高含水率のもの もある。

● 長尺チップの混入やチップ形状により 燃料供給装置で詰まる場合がある。

● チップサイロや機器が大規模になるこ とが多く、家庭レベルで利用可能な機器 がない。

● チップの状態で長期間露天に晒された 場合、分解や発酵熱による発火の恐れが ある。

(3) チップを燃料とするエネルギー利用機器

・代表的な利用機器としてはチップボイラーがあります。

・チップボイラーは、化石燃料ボイラーと比較し大型で高額です。

・燃焼させる機種により、許容できる含水率が異なることから事前にチッ プを乾燥させる場合は、そのための設備の導入や敷地の確保が必要とな ります。

[解説]

チップの代表的なエネルギー利用機器としては、チップボイラーが挙げられ ます。チップボイラーは、木材チップを直接燃焼させることにより、温水、熱 水、蒸気を使用目的に応じて取り出すことができます。中規模では温浴施設や 温水プール、大規模では木材関連事業者(製紙業等)や木質バイオマス発電所 などで使用されています。

チップボイラーは、化石燃料ボイラーと比較し大型かつ高額なため、事前に 必要となる設置スペースや設備費用の検討が必要です。

また、伐採直後の木質バイオマス原料から製造されたチップは比較的含水率 が高い状態にあります(50%w.b.以上)。現在、国内で利用されているチップボ イラーは、高含水率チップに対応可能なものが増えてきています。含水率によ っては、燃焼効率を上げるためチップ化前に自然乾燥する、もしくはボイラー の排熱で乾燥する等の工程が必要になります。図 5-4 は、㈱グリーン発電会津 のバイオマス発電のシステムを示したものですが、チップを燃料とした熱風発 生装置により事前乾燥を行い、チップの含水率を

35%w.b.まで落とすシステム

になっています。

また、図 5-5 は高知県香南市におけるチップボイラーの導入事例を示したも ので、廃熱をチップ乾燥に利用しています。

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木質バイオマス利用事業者が自ら燃料の事前乾燥を行う場合、規模が大きく なるほど乾燥する燃料の量も増えます。そのため、自然乾燥する場合には敷地 面積が必要となります。

図 5-4 チップボイラーを用いたバイオマス発電システムのイメージ

【出典】㈱グリーン発電会津 会社案内

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ハウス内に温度センサーをつけ、

設定温度以下になるとボイラー稼働 廃熱をチップ乾燥に利用

サイロ ボイラー

廃熱回収システム

排ガス

図 5-5 施設園芸における木質チップボイラーを導入イメージ図

※高知県香南市の事例を参考に作成

[参考]

先述したように、大規模な施設整備を計画する場合、チップ工場もしくは利 用施設(利用施設でチップ化も実施するケース)において需給調整のためスト ックヤードが必要になります。単位面積当たりの貯木量は、県内チップ製造事 業者へのヒアリングから試算により、通路や搬入路を考慮せずに原木を詰めて 置いた状態で最大

10,000

㎥/ha程度となります。

表 5-5 県内のチップ製造事業者へのヒアリング結果

ストックヤードには、通路や作業スペースが必要で、必要面積は、運搬に使 用するトラックのサイズや荷卸しのための作業スペースを考慮して決定します。

また、チップは破砕チップか切削チップかといった形状、枝葉かバークかと いった燃料として使用する部位、針葉樹か広葉樹かといった樹種によって含水

・原木を詰めて置いた状態で 800 ㎡。

・原木は 10 列に並べて配置している。 ※1 列あたり 80~90 ㎥置いている。

・ha あたりの原木ストック量(原木を詰めて置いた状態)

[800~900 ㎥]÷[800 ㎡]=10,000~11,250 ㎥/ha

・原木の積み上げ高さは 3m 程度。フォークリフトで原木の積み上げ・積み下ろしを行 っている。

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率やかさ密度が異なってきます。そのため,計画時には、それら使用する木質 燃料を考慮した上で、必要となる敷地面積を算出します。