4. 木質バイオマス燃料の生産工程
4.1 未利用間伐材・林地残材からの木質バイオマス燃料生産
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残材を燃料として利活用することに期待が高まっています。
図 4-2 林地残材の部位別イメージ
林地残材の発生場所は集材方式によって大きく異なります(図 4-3)。
林地残材の収集が最も容易な手法は全木集材です。この場合、土場にて集中 的に発生する端材、末木・枝条等(土場残材)をグラップル等でトラックに積み込 んで搬出するなど、用材とともに収集することで効率的な林地残材の搬出を行 うことができます。
図 4-3 集材方法と残材の集積場所
【出典】平成20年度 北海道 林地残材の効率的な集荷システムづくりモデル事業成果報告書 切捨丸太 端材 末木枝条
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4.1.2 加工及び運搬工程
現在、枝払い・造材を一台で行うことのできるプロセッサをはじめとした、
高性能林業機械による集約的な作業システムの導入が進められています。プロ セッサを用いる場合、全木集材が基本的な集材システムとなり、造材作業を一 箇所の土場において行うため、末木・枝条などの林地残材が特定の場所に大量 に集積されるため、一定量の木質バイオマスを確保・活用しやすい状態になっ ています。
また、主伐や間伐等森林整備によって林地残材が大量に発生することから、
これらを燃料として活用することが可能です。
燃料として利用するため、林地からバイオマスプラント等の施設まで輸送す る場合、用材に比べ、重量当たりの材積が大きい末木・枝条等を丸太と同様に 収集・運搬するとコストが高くなります。また、これまでバイオマス収集・運 搬に用いられてきた作業システムでは、丸太と形質が大きく異なる林地残材を 取り扱うには効率が悪く、低コスト化を阻害する大きな要因となっています。
森林に広く・薄く存在しているバイオマスの収集・運搬コストは、採算性の面 で非常に厳しい状況にあり、バイオマスへのニーズが高まりつつあるにも関わ らず供給体制の整備が十分に進んでいません。
森林から発生する木質バイオマスは、丸太、末木、枝条、曲がり材、根元部 等、形状が多様です。輸送にはそれぞれの特性に見合った、効率の高い手法を 選択します。図 4-4 に示すように、末木枝条や大枝等の木質部位は単位重量当 たりの体積が大きくなるため、後述するチップ化等により輸送時の容積減容化 を図ります。これに対して、丸太の場合は密度が高いため、チップ化するとか えって容積が増し、輸送時の効率が低下します。
図 4-4 森林系バイオマス資源の輸送に係るイメージ図
【出典】A. Timperi” 1st. Nordic - Japan Forum” Nagano(2000)
枝条 梢端 チップ 丸太
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以下、運搬時の効率を上げるために行われる破砕(チップ化)と実証段階にある 結束(バンドル化)、また県内において行われているバケットを使った運搬につい て述べます。
(1) 破砕(チップ化)
木質バイオマスの燃料化において最も一般的な方法です。チップは比較的容 易に製造が可能であり、製造コストが安価であるという長所があります。また、
林地残材のうち、特に嵩高い枝葉の容積を減少させ、輸送効率を高めるために も有効です。①未利用間伐材・林地残材由来の木質バイオマスだけでなく、② 製材工場等残材、③建設廃材の場合でも適宜行なわれます。
また、チップは製紙用・ボード用・燃料用等に用いられますが、それぞれの 用途に応じて規格(サイズ等)が異なりますii。
チップは含水率や形状が不均一であるため,それを利用する機器はその燃焼 炉内においてチップを乾燥できるように大型化していたり、温度や圧力に関し て制御システムを適用していたりします。そのため設置スペースは大きく、設 備投資も高額になってしまうため、チップを利用したエネルギー設備は工場や 発電所等での利用が中心となります。
(2) 結束(バンドル化)およびバケットを使った運搬
林地残材のうち、枝葉についてはここ最近の技術開発によって、結束(バンド ル化)という解決法も海外では行われています。結束は、特殊な機械(バンドリン グ・マシン)が必要となる反面、輸送がチップ運搬専用車に限定されないため、
一般の木材運搬トラックを汎用的に活用できるだけでなく、容積密度が高いた め輸送コストを低減できます。また、バンドル化された枝葉は土場などの屋外 での保管が可能であり、チップのように含水率の管理が不要なため、チップに 比べて保管コストが低減されます。
ただし、バンドル化装置の導入は、利用先へのチップ化装置の導入が前提で、
バンドル化装置の高い稼働率を維持する需要が必要となります。国内において も未利用間伐材等の木質バイオマスを収集するための機械として小型のバンド リング・マシンが開発・実証されており、今後は、技術とコスト、適した条件 を十分に考慮・検討することが必要です
。
ii燃料用チップの規格については、平成24年12月12日に沢辺攻岩手大名誉教授により「燃料用木質チップの品質規 格について(試案)」が発表された。
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図 4-5 北欧で稼働中のバンドリング・マシン(左)と日本製小型バンドリング・マシン(右)
【出典】平成19年度 独立行政法人 森林総合研究所 公開講演会 講演要旨集 林業バイオマスの収集・運搬の低コスト化 陣川 雅樹(林業工学研究領域 チーム長)
また、国有林の一部においては、根本部(ドンコロ)等をバケットに詰め込んだ ものを、フォワーダやトラックの荷台などに載せて運搬が行われています。
この方法は、素材生産業者が土場において造材する際に発生するドンコロな どの副産物をその場でバケットに詰め込み、運搬業者が各土場から回収を行う というもので、素材生産業者が運搬業者に合わせて作業を中断する必要がなく、
バケットを使うことで今まで運搬が難しかったドンコロを効率良く運搬するこ とが可能となります。
実際に、いわき市では、バケットを活用してチップ材になるドンコロの収集 が行われています。バケットの作成費はサイズ:縦
2m×横 1.2m×深さ 1.3m
で 約8
万円、7tトラックなら4
箱のバケットを積載することが可能で、4 箱のバ ケットを使って5~6t運ぶことが可能です。
図 4-6 遠野興産株式会社によるバケットを使ったタンコロ材の集材、搬出
【出典】中野光「間伐未利用材のチップ・ペレット化による多目的利活用事業」
『木質資源利用ニュービジネス創出モデル実証事業 平成21年度成果報告会資料』より
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4.1.3 乾燥工程
チップ化されたバイオマス燃料は、一般的に木質バイオマスの発生過程(図
4-1)
の初期段階に発生したものほど含水率が高い傾向があります。間伐材・林地残材>製材工場等残材>建設廃材・解体材
の順で含水率は低くなる傾向にあり、湿量基準(ウエットベース※水分率とも言いま す)でいうと最大
65%から最小 15%程度まで幅があります。
※含水率の表し方には、乾量基準含水率(ドライベース)、湿量基準含水率(ウエット ベース)の2通りあります(詳細は9.5木材の含水率を参照)。
一方、受け入れ側においては、燃焼装置の種類や規模、システムによって含水 率の許容範囲が異なり、一般に装置の出力が大型化すれば対応可能な含水率も 高くなります。海外製の高含水率燃料に対応するボイラーは、湿量基準含水率
65%の燃料も受け入れが可能ですが、通常は最大でも 50~60%で、含水率は燃
料の発熱量に関係し、ボイラー効率にも影響するため、乾燥により、可能な限り含水 率を低くすることが必要です。これまでのところ、林地残材や間伐材の木質バイオマ ス燃料としての利用は限定的であったため、乾燥の事例は極めて少ないです。