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日本皮膚科学会雑誌第128巻第5号

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(1)

4 次元で理解する表皮の恒常性を維持するしくみ

久保亮治 (慶應義塾大学医学部皮膚科) 我々の身体の表面は,角化重層 平上皮である表皮により覆われてい る.表皮を構成するケラチノサイトは,基底層でのみ分裂増殖し,分化 して基底層を離れた細胞は,有棘層,顆粒層を経て,最終的に角化し, 最後は垢となって剥がれ落ちていく.この過程において,顆粒層でただ 一度だけ,周りの細胞との間にタイトジャンクションによるバリアを 形成する.タイトジャンクションバリアの外側では,細胞と細胞との隙 間を角質細胞間脂質や様々な抗菌ペプチド,プロテアーゼ,プロテアー ゼインヒビターなどが埋め尽くすと共に,細胞自体が角化することに よって,頑丈な角質のバリアが形成される.日々,細胞が新陳代謝して 入れ替わっていく中で,角質のバリアとタイトジャンクションのバリ アは常に一定に保たれ続けている.表皮がダイナミックに変化しなが らも一定の構造を保ち続けるしくみを,4 次元的に理解する.

P-2

エクリン汗腺の構造と動態観察による発汗制御メカニズ

ムの解明

室田浩之1) ,谷 佐起1) ,山賀康右1) ,小野慧美1) ,田村 淳2) ,菊田順一3) , 近江雅人4) ,月田早智子2) ,石井 優3) ,関口清俊5) ,片山一朗1) (大阪大学医学系研究科皮膚科1),大阪大学医学系研究科分子生体情報学2),大阪大学 医学系研究科免疫細胞生物学研究室3),大阪大学医学系研究科保健学専攻医用光 学4) ,大阪大学タンパク質研究所マトリクソーム科学(ニッピ)寄附研究部門5) ) 発汗の異常は様々な皮膚疾患の病態に関わる.発汗異常のメカニズムを解明す るためにはエクリン汗腺の構造と機能を合わせて評価する必要がある.私たち

はin vivo ,in vitro における汗腺の構造と動態を観察してきた.エクリン汗腺

は分泌部と導管部で構成され,分泌部周囲は神経と毛細血管が独特の分布様式 を示す.エクリン汗腺の動態観察ではアセチルコリンに伴い分泌部の活動が確 認できる.汗腺周囲の血流は一過性に増加したのち発汗とともに急速に減少す ることは,汗の由来が血液で,発汗に血流の自律神経調節が関わる可能性を示 唆している.エクリン汗腺は表皮と連続する管状上皮であり,特有の上皮バリ ア機構を有する.汗腺器官内腔の上皮細胞間バリアを形成する claudin-3 の密 着構造は種を超えて保存されていた.本ポスターでは上述した内容を中心に汗 腺研究の成果を供覧し,発汗と皮膚疾患の関わりについて考察する.

P-3

表面プラズモン共鳴イメージングセンサを利用した即時

型アレルギー診断法

柳瀬雄輝,川口智子,石井 香,秀 道広 (広島大学大学院医歯薬保健学研究科皮膚科学) 即時型アレルギー疾患に罹患する患者は年々増加傾向にあり,原因と なるアレルゲンをより低侵襲的・迅速・正確に同定するための新しい 診断法が求められている.これまで我々は,金薄膜表面の細胞由来屈折 率分布を可視化可能な表面プラズモン共鳴イメージング(SPRI)セン サを独自に開発し,マスト細胞やヒト好塩基球をはじめとする個々の 細胞応答を無標識・リアルタイムに可視化することに成功した.本発 表では,SPRI センサと患者血液から好塩基球を分離・搬送・刺激可能 なマイクロ流体チップを組み合わせ,分離した好塩基球のアレルゲン 刺激応答を 1 枚の検査チップ上で検出可能なアレルギー診断法を紹介 する.また,新鮮な血液が得られない場合の代替法として,マルチウェ ル型 SPRI センサとヒト IgE 受容体発現細胞株を組み合わせること で,好塩基球・肥満細胞を活性化し得る IgE 抗体の有無を,超微量保 存血清から判定できるアレルギー診断法も紹介する.

アトピー性皮膚炎患者の皮膚内神経 3 次元構造の可視

化と表皮内神経線維の定量

傳田澄美子1) ,堤 も絵1) ,北畑裕之2) ,熊本淳一3) ,後藤真紀子1) , 山 研志4) ,相場節也4) ,長山雅晴3) ,傳田光洋1) (資生堂グローバルイノベーションセンター1),千葉大学大学院理学研 究院2) ,北海道大学電子科学研究所3) ,東北大学病院4) ) アトピー性皮膚炎(AD)患者の痒みの原因として,皮膚内の神経線維の増 加や表皮ケラチノサイトと神経の相互作用が示唆されている.本研究では, 健常者および AD 患者の背部皮膚の神経線維と基底膜を免疫染色し,2 光 子顕微鏡で 3 次元構造を観察した.厚さ 100 ミクロンの皮膚切片を用いて, 皮膚断面からスライス撮影した表皮内神経線維を 2 次元画像にして定量し た.また,1 立方 mm 大の皮膚片を用いて角層側からスライス撮影し,神経 線維の 3 次元画像を構築し定量した.表皮内の神経線維 1 本当たりの長さ は健常者よりも AD のほうが長いが,表皮内の神経線維の密度は AD で有 意に低かった.AD の真皮では太い神経線維が観察されたが,基底膜を通過 した線維の数は AD で低かった.また,表皮直下の毛細血管は AD におい て長く曲がりくねった特徴的な構造が観察された.我々の結果は,AD の痒 みの原因は必ずしも神経密度の増加ではないことを示唆している.

P-5

界面活性剤の皮膚残留性と

in vitro

経皮試験に関する

研究

渡邉幸夫1) ,東 直行2) ,小野田崇宏1) ,平野陽子1) ,塩谷和音1) , 松本 恵1) ,上田豊甫1) (明星大学理工学部生命科学・化学系生体物質送達学1) ,日本医科大学 多摩永山病院皮膚科2) 近年,皮膚への刺激の少ない洗浄剤への関心が高まっている.洗浄剤に よる皮膚刺激性は,洗浄剤が皮脂膜を過度に破壊し,皮膚バリア機能の 低下に界面活性成分が皮膚に残留することなどにより引き起こされて いると考えられる.本研究では,市場に流通している洗浄剤に広く用い られているアニオン界面活性剤を用いて,皮膚残留性について評価を 行った.アニオン界面活性剤として,親水基にカルボン酸を有するラウ リン酸 K,硫酸を有するラウリル硫酸 Na,酸化エチレンを付加重合さ せた硫酸を有するラウレス硫酸 Na をそれぞれ用いた.残留性は,in vitro 用拡散セルプレートのラボスキンに塗布した後,500 mL の水を 用いて洗浄を行い,FTIR!ATR 法によって評価した.その結果,ラウ リル硫酸 Na とラウレス硫酸 Na には皮膚残留性が認められたが,ラウ リン酸 K は皮膚残留性が認められなかった.

P-6(O14-5)

IL!25 と IL!33 は

Il1rn

!/!

マウスに生じた乾癬様皮膚炎を

抑制する

沼田貴史1,2),吉崎隆道2),山口幸子2),原田和俊1),大久保ゆかり1) 須藤カツ子3) ,坪井良治1) ,中江 進2) (東京医科大学皮膚科学分野1) ,東京大学医科学研究所システム疾患モ デル研究センターシステムズバイオロジー研究分野2) ,東京医科大学 動物実験センター3) 【目的】尋常性乾癬の病変部では IL!25 と IL!33 の発現が亢進するが,その詳細な 機序は不明である.【方法】乾癬様皮膚炎を自然発症する IL!1 receptor antago-nist deficient(Il1rn!/!)マウスを利用した.Il1rn!/!マウスと,Il25!/!Il1rn!/!マウス

および,Il33!/!Il1rn!/!マウスの耳介皮膚を比較し,IL!25 と IL!33 が乾癬様皮膚炎

に与える影響を評価した.【結果】Il1rn!/!マウスの耳介皮膚ではTnfa ,Il1b ,Il

12 ,Il17a ,Il22 ,Il23 と,Il33 の mRNA レベルが wild!type マウスと比較して

上昇し,FACS 解析では浸潤する免疫細胞数が増加した.Il25!/!Il1rn!/!マウスお

よびIl33!/!Il1rn!/!マウスの耳介皮膚ではIl1rn!/!マウスと比較してIl22 と Il23

の mRNA レベルが上昇し,病理像解析ではより強い表皮の肥厚がみられた.【結

論】IL!25 と IL!33 は Il1rn!/!マウスの耳介皮膚に生じた尋常性乾癬様皮膚炎での

(2)

P-7

混合植物エキスによる加齢に伴う表皮菲薄化の抑制アプ

ローチ

岩野英生1) ,森山麻里子2) ,陳 玉倩3) ,呂 梨萍3) ,沈 柏村3) , 森山博由2) ,澤木茂豊1) (株式会社テクノーブルライフサイエンス総合研究所1),近畿大学薬学 総合研究所先端バイオ医薬研究室2) ,JOURDENESS International Group Co., Ltd.3) ) ヒト皮膚の加齢による形態的な変化のひとつに,表皮の菲薄化が挙げられる.ま た加齢により表皮細胞の分裂速度が低下する事も報告されており,両者には密 接な関係があると考えられる.今回我々は,ヒト表皮三次元構築モデルを用いて 混合植物エキスの表皮層の厚さに与える影響を調べたところ,混合植物エキス 添加により,表皮層が有意に厚く構成されることが判明した.さらに免疫染色に て表皮基底細胞の増殖マーカー(Ki67)や未分化マーカー(p63)の発現の程度 を調べると混合植物エキス添加により発現亢進の傾向が確認された.これらの 結果により,本混合植物エキスは,表皮細胞の増殖性,未分化性を維持すること ができ,表皮層を厚く維持できる効果を持つことが判明した.よって本混合植物 エキスをスキンケア剤に配合する事により,加齢による表皮細胞の分裂低下を 抑制し,老徴の一つである表皮菲薄化を抑制出来る可能性が示された.

P-8(O14-1)

Lactococcus lactis

JCM 5805 経口投与による皮膚免疫

賦活化および黄色ブドウ球菌感染予防効果

亮平1) ,藤井敏雄1) ,谷澤かみゆ1) ,山田小百合1) ,松岡悠美2) , 金内 理1) (キリン株式会社R&D本部健康技術研究所1) ,千葉大学医学部皮膚 科2)

【背景】我々はLactococcus lactis JCM 5805(プラズマ乳酸菌)が Plasmacy-toid 樹状細胞を活性化し,抗ウイルス作用を示す効果を見出した.本試験では プラズマ乳酸菌の皮膚免疫への影響を調べた.【方法】BALB/C マウスに対し て,プラズマ乳酸菌を 1 mg/日の容量で 2 週間混 投与し,Staphylococcus aureus MW2に対する皮膚の感染防御作用および免疫系に与える影響を解析 した.【結果・考察】S. aureus の経表皮感染実験において,プラズマ乳酸菌群 で感染部位のS. aureus の増殖が抑制され,病理組織では表皮肥厚などの項 目で皮膚炎の改善を認めた.さらに,皮膚所属リンパ節(SLN)の樹状細胞 (DC)活性化や皮膚の Tj 遺伝子(Cldn1,Zo1 )や AMP 遺伝子(Defb1,S 100a8 )の発現亢進を確認した.以上の結果から,プラズマ乳酸菌は SLN の DC を活性化し,皮膚のバリア機能や抗菌作用を増強することで,S. aureus への感染防御および皮膚炎を軽減する効果を有することが示唆された.

P-9

Lactococcus lactis

JCM 5805 含有食品摂取が健常な成

人皮膚へ及ぼす効果

藤井敏雄1),藤友 崇2) 亮平1),加藤悠希子1),澤井典子2) 松岡悠美3) ,植松 智4) ,金内 理1) (キリン株式会社健康技術研究所1) ,DeNAライフサイエンス2) ,千葉 大学医学部皮膚科3) ,千葉大学大学院医学研究院・医学部粘膜免疫 学4) 【方法】健常な 30∼60 歳の男女 70 名を募集し,プラセボ対照二重盲検並行群間 比較試験を実施した.被験者はLactococcus lactis JCM 5805(プラズマ乳酸菌) 約 1000 億個含有カプセル,または対照カプセルを 8 週間経口摂取した.【結 果・考察】肌細菌叢解析の結果,占有率が摂取前後で有意に変化した菌種数は, プラズマ群が対照群より約 1/10 と少なくなっていた.また,主要菌種である Staphylococcus epidermidi s が,対照群において低下する傾向がみられる一方, プラズマ群では摂取期間前後で維持された.毛根遺伝子発現解析の結果,プラ ズマ群では摂取前後でタイトジャンクション遺伝子CLDN1 ,CLDN12 ,ZO1 , 抗菌性ペプチド遺伝子BD3 が有意に増加し,また,TGFB1 が有意に発現低下 した.以上からプラズマ乳酸菌摂取が,健常人の皮膚における恒常性を維持す る効果があること,皮膚の遺伝子発現に作用することが示唆された.

P-10

温度・湿度変化による Caspase14 の揺らぎが角化状態

を悪化させる

宮井雅史,村田大知,益子あかね (資生堂グローバルイノベーションセンター) 肌は,温度や湿度などの外部環境の変化にさらされており,バリア機能 や保湿機能に大きな影響を与えている.実際に日本のように季節変化 があるような場所では,季節性の肌荒れが生じやすいことがわかって おり,空調の効いた室内では肌が荒れやすい人も多い.私たちは,表皮 モデルを用いた温度,湿度条件を変化させた実験を行い,変動する遺伝 子をマイクロアレイ解析で探索した.この中から,Caspase14 に着目し た.Caspase14 は,温度が低下すると発現量が低下し,温度が上昇する と発現量が増加した.また,Filaggrin,Calpain!Iも変動因子として見 出した.これらの因子は,過去の私たちの研究結果から肌の保湿能に重 要な NMF 産生と脱核・バリア機能形成に重要な因子群として報告し ている.これらの結果は,温度や湿度といった外部環境変化は,Cas-pase14 の発現量を不安定化させ,NMF 産生と脱核を乱すことで,肌状 態を悪化させる可能性があることを示唆している.

P-11(O14-2)

環状ホスファチジン酸によるヒト正常皮膚リンパ管内皮

細胞の管腔形成促進機構

奥山勝揮,水野晃治,佐藤 隆 (東京薬科大学大学院薬学研究科生化学教室) 【目的】現在,リンパ浮腫に対する有効な治療法は確立されておらず, リンパ管形成促進因子の探索が求められている.本研究では,ガン浸潤 抑制作用などの多彩な生物活性を有する脂質メディエーターの環状ホ スファチジン酸(cPA)に着目し,リンパ管形成に対する cPA の作用 を検討した.【方法】正常ヒト皮膚リンパ管内皮細胞(HDLEC)及びリ ゾホスファチジン酸(LPA)受容体をノックダウンした細胞をコラー ゲンゲル上に播種し,cPA 含有または不含コラーゲンゲル内で培養 し,管腔形成を継時的に観察した.【結果】HDLEC において,cPA 処理群では対照群と比して管腔形成の促進が認められた.また, HDLEC において LPA6 をノックダウンしたところ,cPA により増強 する管腔形成が抑制された.【考察】HDLEC において cPA は LPA6 を介してその管腔形成を促進するものと示唆される.本研究成果より, cPA がリンパ浮腫の改善に繋がるものと期待される.

P-12

脂肪酸結合タンパク質 FABP5 の過剰発現による炎症と

尋常性ざ瘡の関係性

枝亜希子,桜井哲人,松熊祥子 ((株)ファンケル総合研究所) FABP5 は生体に存在する脂肪酸結合タンパク質で,皮膚では角化や 増殖,分化の亢進等に関わり,アレルギー性皮膚炎や乾癬で高発現する ことが知られている.我々は,角層のタンパク質から皮膚の特長を示す バイオマーカーの研究を進める中,尋常性ざ瘡の重症度に応じて角層 の FABP5 が高いことを認めた.FAPB5 は,脂肪酸が多い脂腺細胞で は,分化とともに増加することが知られているが,皮脂由来の炎症と FABP5 の関係性を示す研究はない.そこで,表皮角化細胞に対して脂 肪酸の添加とともに LPS 刺激を与え,FABP5 の発現量を評価した結 果,濃度依存的に FABP5 の過剰発現が確認された.また,炎症の指標 となるペルオキシソーム増殖剤活性化受容体 PPAR 等の増加が認め られた.このことから,FABP5 は,皮脂過多と炎症惹起により発現が 増加し,尋常性ざ瘡の重症化に寄与していることが示唆された.

(3)

メチルパラベンの感覚刺激における皮膚での代謝活性の

役割

二ノ宮理恵1) ,西島貴史1) ,坂口 斉1) ,近藤靖児2) ,青島正浩3) , 戸倉新樹3) (花王株式会社安全性科学研究所1),近藤皮膚科クリニック2),浜松医 科大学医学部皮膚科3) ) 【目的】メチルパラベン(MP)は広い抗菌スペクトルを有する優れた防 腐剤として様々な医薬品や化粧品に配合されているが,感覚刺激を誘 発することが知られている.MP の感覚刺激の発現には感覚神経受容体 TRPA1 の関与などが示唆されているが,皮膚での代謝との関連性は明 らかではない.そこで MP の感覚刺激と皮膚代謝の関連性を明らかに するために検討を行った.【結果】MP とその代謝物パラヒドロキシ安息 香酸(PHBA)の感覚刺激をスティンギング試験により比較したとこ ろ,MP に比べて PHBA の感覚刺激は極めて弱かった.また,MP は TRPA1 を活性化したが,PHBA は活性化しなかった.さらに MP に感 覚刺激を感じる敏感肌と感じない健常肌の代謝活性を比較したとこ ろ,敏感肌群の約半数では MP 代謝能が低下していた.【考察】皮膚に おける MP 代謝能の低下が感覚刺激発現の一因であると示唆された.

P-14

アトピー性皮膚炎のデータ駆動型研究を推進する臨床マ

ルチモーダルデータ収集管理システムの構築

崎晃一1) ,川崎 洋1,2) ,川上英良1,2) ,桜田一洋1) ,角田達彦1) , 海老原全2) ,天谷雅行2) (理化学研究所科学技術ハブ推進本部医科学イノベーションハブ推進 プログラム1),慶應義塾大学医学部皮膚科学教室2) アトピー性皮膚炎(AD)は多因子疾患であり,患者ごとに複雑で多様な病態 を呈する.近年,AD 病態の理解を深めるために,多角的且つ大量に臨床デー タを収集し統合解析するデータ駆動型研究が求められている.しかし,現状 のデータ収集管理工程は研究者の手動による作業が多く,大量データ解析を 阻んでいる.今回我々は慶應義塾大学病院内に,電子カルテデータの抽出・ 加工・転送自動化パイプラインを構築した.このパイプラインはデータを解 析に適した形に整形する機能と,同一患者に付与された複数の研究用 ID を 一つの匿名化 ID に自動変換する機能を有する.これにより,のべ 14,265 人・91 項目・約 50 万件のデータが短時間で処理され,人的負担の軽減や, データの再現性と品質の向上が得られた.加えて,患者試料の分析から得ら れたオミクスデータ等を付加して統合管理する仕組みを構築した.本システ ムは,AD のデータ駆動型研究を推進する上で重要な基盤となる.

P-15

アトピー性皮膚炎モデルマウスにおける抗コリン薬の

治療効果解析

久保田芳樹,長澤輝明,武蔵弥菜,志村七子,山口葉子 (株式会社ナノエッグ医薬品研究開発部) アトピー性皮膚炎(Atopic Dermatitis:AD)は増悪と寛解を繰り返す 難治性の疾患であり,病因には様々な原因が提唱されている.中でも, 皮膚バリア機能の崩壊が増悪因子として指摘されており,皮膚の恒常 性異常が疾患に深く関与していることが推測される.AD 患者では皮 膚内のアセチルコリン(Acetylcholine:ACh)濃度が高いことが報告 されている.ACh は自律神経だけでなく,リンパ球や表皮ケラチノサ イトでも産生されており,ケラチノサイトにおいては分化に関与して いることが知られている.そこで我々は,ACh の病態への関与を解析 するため,ダニ抗原誘発 AD モデルマウス(NC/Nga)を用いて,抗コ リン薬の治療効果の解析を行った.その結果,ニコチン型あるいはムス カリン型共に抗コリン薬は治療効果を示した.以上から,抗コリン薬は AD 治療薬の候補となることが期待される.

アトピー性皮膚炎角層中で検出されるスフィンゴ脂質の

病態への関与

志村七子,長澤輝明,久保田芳樹,武蔵弥菜,田中一則,山口葉子 (株式会社ナノエッグ医薬品研究開発部) アトピー性皮膚炎(AD)患者の角層では,スフィンゴ脂質の一種であ る Sphingosylphosphorylcholine(SPC)が増加していることが知られ ているが,その理由は不明であった.AD 患者の皮膚内では,神経伝達 物質 Acetylcholine(ACh)も増加していることから,我々は両者の関 連性を検討した.ACh は Acetylcholinesterase(AChE)により分解さ れるが,ACh の AChE 結合部位の構造は SPC 分子中にも存在するこ とから,SPC は AChE に直接作用し ACh 代謝に影響を及ぼしている 可能性を考えた.Ellman s assay において,SPC は一定濃度以上で指数 関数的に AChE 活性を可逆的に阻害した.以上の結果から,AD 患者 皮膚内で観察される高い ACh 濃度は,SPC による AChE 活性阻害が 一つの要因と示唆された.

P-17

敏感肌患者のための新しいスキンケア素材

長澤輝明,菊地晶子,三宅章彦,久保田芳樹,河村公雄,山口葉子 (株式会社ナノエッグ医薬品研究開発部) 皮膚のバリア機能は角質細胞とその隙間を埋めている細胞間脂質,そ して最外層を覆っている皮脂から構成されている.敏感肌ではバリア 機能が低下し外部からの刺激に対して過敏な状態になっているため, 界面活性剤,アルコール,防腐剤,色素や香料などに暴露されることで 強い炎症になることが想定される.一般にバリア機能改善のために,細 胞間脂質の一成分であるセラミドや保湿成分を界面活性剤で乳化し補 充する方法が主流である.我々は細胞間脂質と皮脂の構成成分を単独 ではなく,健常な皮膚の組成比に近づけて混合し,細胞間脂質本体,皮 脂本体として構成して塗布することが有効と考えた.また,細胞培養培 地もケラチノサイトの増殖を促し,バリア機能改善を助けるのではな いかと予想した.本研究では化粧料に用いる界面活性剤やアルコール, 防腐剤等を含まない組成で作製した疑似細胞間脂質,疑似皮脂及び細 胞培地の皮膚への効果を検討したので報告する.

P-18

加水分解卵殻膜は抗線維化的な III 型コラーゲンとデコ

リンに富む弾性のある真皮乳頭層を与える

跡見順子1),清水美穂1),藤田恵理1),佐野将英1),栗本大嗣1) 山澤 開1) ,跡見友章2) ,村上義彦3) ,吉村浩太郎4) ,長谷部由紀夫5) (東京農工大学工学府材料健康科学寄附講座1) ,帝京科学大学医療科学 部理学療法学科2) ,東京農工大学工学府応用化学専攻3) ,自治医科大学 形成外科4),株式会社アルマード5) 老化の最初の徴候は顔の皮膚に現れ,それは寿命や慢性疾患と相関するが 重要視されていない.健康な若い皮膚は,真皮は III 型コラーゲンとデコリ ンが豊富な真皮乳頭を形成する.これまで人工ポリマーに可溶化卵殻膜を 結合したディッユで培養したヒト皮膚線維芽細胞(HDF)では,III 型コラー ゲン,デコリン,MMP2 等の若い真皮乳頭層を促進する遺伝子を誘導し,ヘ アレスマウス背部皮膚への塗布は同じ遺伝子セットを誘導し,ヒトの顔の しわと腕の弾力性を改善することを見出した.皮膚若返り機序が不明の III 型コラーゲンの特性を in vitro で評価したところ,III 型コラーゲン:I 型コ ラーゲン比が 20:80 のゲルが最も高い弾性(p<0.05)を示し,HDF におい て高いミトコンドリア活性と,III 型コラーゲン発現を示した.アジアで受け 継がれた「生活の知恵」は,健康寿命延伸への健康戦略を提供する.

(4)

P-19(O14-6)

小児アトピー性皮膚炎予防関連因子に関する疫学研究

久保良美1) ,金澤伸雄1) ,稲葉 豊1) ,三木田直哉1) ,古川福実2) , 神人正寿1) ,吉原重美3) ,福田啓伸3) ,カマルゴ カルロス4) (和歌山県立医科大学皮膚科1),高槻赤十字病院2),獨協医科大学小児 科3) ,ハーバード大学医学部4) ) 【目的】2010 年に児童を対象としたアンケート調査で,乳児期の「噛み与 え」による唾液接触が,児童のアトピー性皮膚炎リスクを低下させる可能 性が示唆された(久保良美 他:日本予防医学会雑誌,2015).そこで更に, 大規模アンケート調査を実施し,乳児期の噛み与えや他の因子とアトピー 性皮膚炎発症の関連性を調べ,そのメカニズムの解明と,新しい予防法の 開発に繋げることを目的とする.【方法】石川県の小中学生 1718 名とその 保護者を対象とするアンケート調査を実施する.ISAAC 調査票によりア トピー性皮膚炎を判定し,乳児期の噛み与え,妊娠期からの生活習慣,環 境などとの関連を調査,解析する.【結果】解析の結果,アトピー性皮膚炎 症状と噛み与え,妊娠期のストレス,授乳状況,口腔衛生知識の間に有意 な関連性を認めた.【考察】妊娠期や乳児期のこれらの因子を更に詳しく調 べることにより, 小児のアトピー性皮膚炎の発症予防へ繋がると考える.

P-20

当科における過去 5 年間の転移性皮膚悪性腫瘍の臨床

的検討

神崎綾乃,原田和俊,入澤亮吉,神田泰洋,白井浩平,加藤雄一郎, 新井 崇,前賢一郎,坪井良治 (東京医科大学病院皮膚科) 転移性皮膚悪性腫瘍は,原発腫瘍が進行していることが多いため一般 的に予後不良である.転移性皮膚悪性腫瘍に対しては生検以外に手術 適応となることは少なく,原疾患に対する化学療法や転移巣に対する 放射線療法などが一般的に行われている.しかし,転移性皮膚悪性腫瘍 による疼痛や腫瘍からの出血,滲出液,悪臭などが問題となり,患者や 家族の QOL は低下することが多い.そのため当科では患者の症状緩 和を目的として,切除可能な転移性皮膚悪性腫瘍は積極的に切除する 方針をとっている.本発言では 2013 年から 2017 年までの 5 年間に当 科で外科的切除を行った転移性皮膚悪性腫瘍 38 件(33 症例)について まとめた.原発巣の癌種は,悪性黒色腫 7 例,肺癌 5 例,乳癌 5 例,有 棘細胞癌 4 例,食道癌 4 例,尿路上皮癌 2 例,腎細胞癌 2 例,肝細胞癌 1 例,前立腺癌 1 例などであった.腫瘍の大きさ,切除後の生存期間に ついても検討した.

P-21(O14-3)

蕁麻疹の QOL 調査票の日本語版確立の試み

岡本真由美,森桶 聡,入福令子,田中暁生,亀頭晶子,齋藤 怜, 横林ひとみ,秀 道広 (広島大学皮膚科) 蕁麻疹の臨床経過が長期に及ぶと,繰り返す瘙痒,膨疹により患者の生 活の質(Quality of Life:QOL)はしばしば著しく低下する.そのよう な症例では QOL 低下状況もふまえた緻密な治療計画の策定が望まれ るが,診察時には症状が出現していない場合も多く,短時間の外来診察 のみをもって患者の QOL 障害の程度を正確に把握することは容易で はない.近年,海外の診療ガイドラインにおいて,患者の QOL 障害を 客観的かつ簡便に把握する質問票として Chronic Urticaria Quality of Life Questionnaire(CU!Q2oL)が推奨されるようになった.今回我々 は,CU!Q2oL を原著者の許諾を得て日本語に翻訳し,検討・微修正を 加えた上で逆翻訳をおこない,原著者と最終調整し日本語暫定版を作 成した.現在,日本人患者に試用し,その信頼性と妥当性の検証を行っ ている.

P-22

皮膚科疾患に対する,High speed art scanner(高速芸術

用スキャナ)の有用性の検討

加藤恒平,沢田泰之,竹下八菜,高橋道央,山本亜美,天野真希, 角希里子,山崎まりな (東京都立墨東病院) 皮膚科の診断において,目視が非常に重要である.しかし,その場で全 てを解決することは難しく,実際には症例検討や臨床経過を追うため, 病変を写真に残し診療に活用している.そのため,実臨床に近い画像を 撮影することが求められる.しかし,人体,病変共に平坦でなく,カメ ラでピントが万遍なく合った,立体的な画像を撮影することは難しい. 一方,近年,絵画などをデジタル保存するために,High speed art scan-ner(高速芸術用スキャナ)を用い,精密且つ立体的な画像が撮影され ている.人体,皮膚病変においても,High speed art scanner により, 従来のカメラよりも実際に近い色で立体的に撮影できることを確認 し,症例を提示する.実物に近い画像が保存できることで,医療従事者 の学習がはかどり,診断能力向上に寄与しえる.更には,施設を超えた 情報共有が即時に可能となり,カンファレンスによる症例検討,遠隔医 療への利用も期待できる.

P-23

白色円形領域型 dermatophytoma のダーモスコピー

所見

福山國太郎 (関西労災病院皮膚科) Dermatophytoma は 1998 年に Roberts によって報告された爪白癬症 の難治型である.臨床像は白色円形あるいは線状の領域であり,直接鏡 検では菌糸あるいは胞子の菌塊が確認される.後に線状型に楔形が含 まれるようになり,線状を帯状と表現する報告も出ている.内服,外用 抗真菌薬ともに治療抵抗性であり,化学的あるいは物理的デブリドマ ンが有効であるとされている.爪白癬に対するダーモスコピー所見は spike,longitudinal striation などが報告され,外傷性爪甲剥離症との感 受性,特異性の違い示されている.白色円形領域型 dermatophytoma 2 例 3 病変に対してダーモスコピーを施行し既報告の爪白癬ダーモス コピー所見とは異なる「近位側に山脈様の辺縁」が観察できた.今後, 特異性が確認できれば,爪甲の研削など治療の工夫が必要な患者を鑑 別できる可能性があると考えた.

P-24(O14-4)

皮膚筋炎患者の筋炎と間質性肺炎の評価における FDG!

PET の有用性について

藤原千紗子1),茂木精一郎1),原健一郎2), 口徹也3),平澤裕美3) 小平明果3) ,朝永博康3) ,対馬義人3) ,石渕裕久1) ,石川 治1) (群馬大学大学院医学系研究科皮膚科学1) ,群馬大学大学院医学系研究 科呼吸器・アレルギー内科2) ,群馬大学大学院医学系研究科放射線診 断核医学3) 皮膚筋炎患者では,筋炎や間質性肺炎の有無や程度,悪性腫瘍の有無を確認するこ とが治療や予後を考える上で重要であり,診断後早期に MRI や CT によって全身 の評価を行うことが望ましい.本研究では,筋炎や間質性肺炎の有無・重症度の評 価における FDG!PET の有用性を明らかにすることを目的とした.当院通院中の 皮膚筋炎患者 21 例において,悪性腫瘍の検索で行われた FDG!PET/CT の SU-Vmax 値を用いて,CT の間質性肺炎と MRI の筋炎との相関を調べた.その結果, 肺の HRCT スコアと SUVmax 値の間には有意な正の相関関係がみられた(r= 0.565,p<0.0001).筋炎に関しては,13 例では MRI で確認された筋炎部位に一致 して FDG の集積がみられ,3 例では MRI で筋炎が指摘されなかったが,FDG の集積がみられた.皮膚筋炎患者において,FDG!PET 検査は,悪性腫瘍の検索だ けではなく,間質性肺炎と筋炎の有無・重症度の評価に有用と考えた.

(5)

ダーモスコピーで均一青色色素沈着を示したが青色母斑

ではなかった 6 症例

皆川 茜1) ,代田志保1) ,佐野 佑1) ,三宅知美1) ,高沢裕子1,2) , 古賀弘志1) ,木庭幸子1) ,奥山隆平1) (信州大学皮膚科1),北アルプス医療センターあづみ病院皮膚科2) 均一青色色素沈着は青色母斑に特徴的なダーモスコピー所見だが,他 の疾患でも時に観察されるので供覧する.症例 1:72 才女性.腹部の 7.5 ミリ脂漏性角化症.病変内にはメラニン沈着とともにメラノサイト が増加していた.症例 2:50 才男性.背部の 6 ミリ aneurysmal fibrous histiocytoma.病変内には出血やシデロファージが多数観察された.症 例 3:83 才男性.眉間の 4.2 ミリメラノーマ皮膚転移.メラニンを含む 腫瘍細胞が真皮で結節状に増加していた.症例 4:19 才女性.上腕の 3.6 ミリ石灰化上皮腫.症例 5:13 才女性.大 の 3.4 ミリ石灰化上皮 腫.2 症例ともメラニンを含む陰影細胞が観察された.症例 6:67 才女 性.示指後爪郭の 9.6 ミリ pencil!core granuloma.異物肉芽腫の周囲に はグラファイトが沈着していた.メラニンやヘモジデリンなどの色素 を含む結節性病変では均一青色色素沈着を示す可能性がある.

P-26

表在性皮膚脂肪腫性母斑における超音波検査所見の特徴

中山純里1) ,渡邉恒夫1) ,松野寛子1) ,高田彩永1) ,篠田貢一1) , 野久 謙1) ,伊藤弘康1) ,清島 満1) ,水谷陽子2) ,清島真理子2) (岐阜大学医学部附属病院検査部1) ,岐阜大学医学部附属病院皮膚 科2) 【はじめに】表在性皮膚脂肪腫性母斑(NLCS)は,真皮内で異所性の成熟脂肪細胞 の増殖を特徴とする過誤腫性病変である.今回,8 例の NLCS について超音波検査 (US)所見の特徴を検討したので報告する. 【対象】2009 年∼2017 年に術前 US を施行し,病理検査で NLCS と診断された 8 例. 【US 所見】8 例中 6 例は形状整で境界不明瞭な低∼高エコーの腫瘤であり,後方エ コーについては全例が消失または減弱であった.これは境界明瞭で後方エコー不変 を示す脂肪腫の US 所見とは異なった. 【病理所見】腫瘤内は膠原線維束に割り込むように増殖した成熟脂肪細胞が見られ, 皮下脂肪組織内に皮膚付属器の混在がみられる症例が多かった.これらの病理学的 所見が US による境界不明瞭や後方エコーの消失・減弱に反映されると考えられ た. 【結語】NLCS 8 例の US 所見について脂肪腫との相違点を中心にまとめた.

P-27

肌毛細血管の数密度の画像処理による認識方法の検討

永山勝也,小川真也 (九州工業大学情報工学部) 【目的】微小循環による健康状態の指標として,毛細血管の数密度が考 えられる.例えば糖尿病・高血圧や動脈硬化による毛細血管の減少,肌 の健康状態と毛細血管数の関連性など,血管数密度の正確な評価は重 要である.【課題】マイクロスコープで取得した画像から,従来の目視 による手動認識では,測定者により数がばらつき,また労力の問題が あった.一方自動化するには,気泡や色素などを誤認識したり,血管部 を多めにあるいは少な目にカウントするなど,自動化は困難であった. 【方法と結果】血管を最初に自動カウントして,誤認識した分は手動で 修正が出来る半自動方式を検討した.まず気泡や色素沈着部分はマス ク処理を行い,次に血管の誤認識は足したり減らしたり画面上で修正 操作可能とした.以上により測定の労力を低減しかつ正確な手法を試 行できた.本手法は,様々な疾病やその処置の評価,更に肌の健康状態 への評価へも,将来適用が期待される.

Bowen 病と鑑別を要する脂漏性角化症のダーモスコ

ピー所見

貞安杏奈1) ,渡邉荘子1) ,石崎純子1) ,田中 勝1) ,藤林真理子2) , 伊東慶悟3) ,安齋眞一3) (東京女子医科大学東医療センター皮膚科1),同病理診断科2),日本医 科大学武蔵小杉病院皮膚病理診断室3) ) 脂漏性角化症の典型的ダー モ ス コ ピ ー 所 見 は,multiple milia!like cysts や comedo!like openings である.一方,Bowen 病でみられる ダーモスコピー所見は whitish network や glomerular vessels,white scale などである.これらの所見が見られない場合,しばしば両者は臨 床およびダーモスコピーで鑑別が難しい.当科において Bowen 病と 鑑別を要した脂漏性角化症は病理組織学的に hyperkeratotic type, clonal type,irritated type の 3 型であり,acanthotic type はなかった. Hyperkeratotic type の脂漏性角化症では,ダーモスコピーで辺縁に glomerular vessel がみられるとき Bowen 病と鑑別を要する.Clonal type では淡褐色の背景に褐色の globules と glomerular vessel が目立 つと,Bowen 病が疑われる.Irritated type では,glomerular vessels などの多彩な血管構造がみられるときに Bowen 病と鑑別を要する.

P-29

基底細胞癌の臨床像とダーモスコピー像における色・か

たちの特徴について

生長久仁子,安藤純実,坂井浩志 (大阪警察病院皮膚科) 青色母斑,刺青のように,真皮内に黒色の色素を有する病変は「青色」 を呈する.この「青色」は,色相,彩度,明度の指標で表すと比較的彩 度が低く比較的明度が高い橙色である.このような色調を呈するのは, 周辺組織の透過度が低く,そのような周辺皮膚組織を透見して黒色の 色素を観察しているためであると考えている.一方,基底細胞癌におい て真皮内の黒色の胞巣は明瞭な「黒色」を呈する.この「黒色」は比較 的彩度が低く比較的明度が低い橙色である.このような色調を呈する のは,周辺組織の透過度が高く,周辺皮膚組織からあまり影響を受けず に色素を観察しているためであると考えられる.基底細胞癌の間質は 透過度が高いため真皮内胞巣,樹枝状血管の色調,輪郭が明瞭に観察さ れると考えた.

P-30

かゆみと掻破の組織変化:表皮損傷から 孔性皮膚症

まで

今山修平 (今山修平クリニック&ラボ) かゆみは重要な症状であり,それがもたらす掻破は物理的に組織を損傷 する.にもかかわらず病理教書にはほとんど記載がない.そこで掻破が もたらす組織変化を検討したところ, 1)表皮内に留まる掻破では露出細胞が乾燥して凝固壊死に陥るが,近傍 の細胞も外力負荷を受けて異角化/個角化/棘融解すなわち分化の中断/ 加速がみられ,その後の増殖加速を反映して有棘細胞の大小不同/多核 化と局所的な角化亢進すなわちマウンドがみられた. 2)真皮が露出する掻破では,血漿による被覆と共に大量の好中球が遊走 して損傷細胞/異物/菌が処理され,乾燥凝固した痂皮下の湿潤環境で表 皮が再伸長した. 3)さらに掻破が反復すると,凝固物が爪でそぎ落されて膠原線維束が毛 羽立ち,それを 回した再生表皮を 孔 perforation する像を呈した. 掻破が惹起する組織変化は,角層再構築(による露出部被覆)を最優先 した修復機転と考えると理解しやすい.

(6)

P-31

親水性ポリマーによる微小塞栓症の臨床病理学的検討

佐々木健太1) ,中川智絵1) ,飯沼 晋1) ,菅野恭子1) ,本間 大1) , 山本明美1) ,木谷祐也2) (旭川医科大学皮膚科学講座1),旭川医科大学循環器内科2) 84 歳,男性.大動脈弁狭窄症に対して当院循環器内科,心臓外科で経 カテーテル的大動脈弁植え込み術を施行された.術後 2 日目から乏尿, 腎機能の急激な悪化を認め,血液透析を施行された.同時期に両足趾か ら足底にかけて多発する点状紫斑が出現したため,コレステロール結 晶塞栓症を疑われ当科を初診した.組織では真皮内の血管内に淡い好 塩基性の異物を認め,カテーテルデバイスの親水性ポリマーコーティ ングによる微小塞栓症と診断した. 親水性ポリマーによる微小塞栓症は近年血管内カテーテル治療後のま れな合併症として各科領域から報告されている.皮膚だけでなく他臓 器の塞栓症の原因としても注目されている.血管内カテーテル治療後 に点状紫斑やリベドが出現した場合にコレステロール結晶塞栓症との 鑑別が重要である.

P-32

陰部症状のある乾癬患者を対象としたイキセキズマブ

国外第 3b 相無作為化プラセボ対照二重盲検試験

板倉仁枝1) ,Caitriona Ryan2) ,Alan Menter3) ,Lyn Guenther4) ,Andrew Blauvelt5) , Robert Bissonnette6) ,Fan Yang1) ,Alison Bleakman1)

(Eli Lilly & Co.1),St. Vincent s Univ HP2),Menter Institute3),Guenther Research Centre4),Oregon Med Center5),Innovaderm Research6)

局面型皮疹を有する乾癬患者のうち陰部に症状のある患者を対象に,イキセキズマ ブ(IXE)の有効性,安全性を検討した.被験者 149 例に対し二重盲検導入期間(12 週間)に,初回 IXE160mg を投与後 IXE80mg を 2 週に 1 回(Q2W)投与,又は PBO を Q2W 投与した.主要評価項目である 12 週時 sPGA!Genitalia(0,1)達成率は IXE 群 73% で,PBO 群 8% に対し有意に高かった.12 週時の陰部痒みの指標である gen!itch NRS 達成率及び性的活動頻度の指標である SFQ!item 2(0,1)達成率も, IXE 群は PBO 群に対し有意に高かった.これらの指標では,1 週又は 2 週時から PBO 群に対し IXE 群で有意に高かった.12 週までの有害事象の頻度は IXE 群 56%,PBO 群 45%,死亡例はなく,重篤な有害事象は IXE 群にみられなかった. IXEQ2W 投与は,PBO と比べ主要評価項目を含む有効性指標において有意な効果 を示し,その効果は早期から認められた.安全性は,これまでの IXE 第 3 相試験の 結果と同様であった.

P-33

ヘパリン類似物質外用泡状スプレーの外来薬物治療に

おける使用状況の実態調査

米良真理 (日本調剤株式会社教育情報部) [目的]外用剤の後発医薬品使用促進には患者の使用感は無視できな い.ヘパリン類似物質には先発薬・後発薬含め多様な剤形が存在する. それらの使用感にどのような違いがあるか,2016.12 に新たに発売され た新剤形の外用泡状スプレーに着目し,他剤形との使用感等を比較し た.[方法]2017.10!12 に日本調剤の薬局を利用した患者でヘパリン類 似物質外用泡状スプレーを継続使用中の患者を対象にアンケート調査 を行った.[結果]アンケートは 107 名から回収した(回収率 43.0%: 2017.11.9 時点).別の医薬品を使用していた患者 73 名のうち,76.4% (55 名/72 名)が「使用感等が異なる」と回答した.また,全体のうち 94.3%(99 名/106 名)が「今後も継続して使用したい」と回答した. [考察]外用剤の使用感は個人差が大きいが,各剤形の特徴を踏まえて 個々の患者背景に応じた剤形を選択することも重要ではないだろう か.現在アンケートを継続実施中であり当日は最終結果を報告する.

P-34

カルシポトリオール/ベタメタゾンジプロピオン酸エス

テル配合ゲル剤の国内第 III 相臨床試験

中川秀己1) ,江藤隆史2) (東京慈恵会医科大学1) ,東京逓信病院2) ) 配合外用薬の登場により,尋常性乾癬の治療選択肢の幅が広がった.し かし,被髪頭部では,塗りづらさやべたつき感などの使用感が悪いため 外用アドヒアランスが低下し,十分な治療効果が得られないと考えら れている.そのため,カルシポトリオールとベタメタゾンジプロピオン 酸エステルを主成分とする新規の配合ゲル剤(Cal/BDP ゲル)が開発 された.今回,日本人尋常性乾癬患者を対象に Cal/BDP ゲルと Cal/ BDP 軟膏の有効性と安全性を比較するため, 多施設共同,無作為化, 非盲検,並行群間比較,第 III 相臨床試験を実施した.患者を無作為に Cal/BDP ゲル群(101 例)および Cal/BDP 軟膏群(105 例)に割り付 け,頭部と体部の 2 つの部位で標的病変を選び,各治験薬を 1 日 1 回 4 週間連続塗布した.標的病変に対する 4 週時の全般改善度(主要評価 項目)および被験者による使用感(塗りやすさ・べたつき感)等につい て評価したので,その結果について報告する.

P-35(O10-7)

日本人乾癬患者を対象としたイキセキズマブ(IXE)の

臨床試験(UNCOVER!J):休薬及び再投与の評価

梅澤慶紀1) ,板倉仁枝2) ,森崎洋二2) ,明石直嗣2) , Hany ElMaraghy3) ,佐伯秀久4) (東京慈恵会医科大学1) ,日本イーライリリー株式会社2)

,Eli Lilly and Company3),日本医科大学4) 【目的】日本人乾癬患者を対象に IXE の休薬・再投与時における経過と再投与の 有効性を評価した.【方法】単群非盲検試験である UNCOVER!J の 78 例中,IXE 投与開始 52 週後に PASI75 を達成していた 70 例に 52!100 週まで休薬を行い, 休薬期に再燃(≦PASI50)した被験者に IXE80mg を 4 週に 1 回最長 192 週まで 再投与した.【結果】52 週時,76 週時(休薬 24 週後),100 週時(休薬 48 週後) の,PASI75 達成率(NRI,以下同様)は 100%,26%,7%,PASI90 達成率は 87%, 11%,3%,PASI100 達成率は 53%,0%,0% であった.休薬期での再燃率は 87%, 再燃までの期間(中央値)は 143 日であった.再燃後,再投与 12 週以内での PASI 75 は 85%,PASI90 は 68%,PASI100 は 25% であった.有害事象,重篤な有害 事象の頻度は休薬期で 56%,4%,再投与期で 90%,13% であった.死亡例は認 めなかった.【結論】休薬した被験者で約半数の患者が休薬後 4!5 ヶ月目に再燃を 認めた.再燃後も IXE 再投与により 12 週以内で皮疹の改善を認めた.

P-36

TNF 阻害薬治療歴がある乾癬性関節炎患者でのイキセ

キズマブ海外第 3 相試験(SPIRIT!P2,24 週)

中條 航1),森田明理2),岡田正人3),板倉仁枝1),森崎洋二1) Lisa Kerr4) ,David H Adams4) ,Catherine L Shuler4) ,Chin H Lee4) (日本イーライリリー株式会社1) ,名古屋市立大学大学院2) ,聖路加国 際病院3)

,Eli Lilly and Company4)

【目的】TNF 阻害薬で効果不十分(TNF!IR)又は不耐性の乾癬性関節炎(PsA)

患者でイキセキズマブ(IXE)の有効性及び安全性をプラセボ(PBO)と比較する.

【方法】PBO 対照二重盲検期間(24 週間):PsA 患者 363 例を PBO,IXE 80 mg

(初回投与 160 mg)2 週間隔投与(Q2W)及び 4 週間隔投与(Q4W)に無作為化 し,ACR20 達成率(24 週時,主要評価項目),PASI75/90/100 改善率を評価した.

【成績】各 IXE 群で PBO 群と比べ 24 週時の ACR20 達成率(Q4W,53.3%;Q2

W,48.0%;PBO,19.5%)及び PASI75/90/100 改善率(Q4W,55.9/44.1/35.3%; Q2W,60.3/50.0/27.9%;PBO,14.9/11.9/4.5%)は有意に高かった.有害事象及び 重篤な有害事象の発現割合に各 IXE 群と PBO 群で顕著な差はなかった.

【結論】生物学的製剤治療歴がない PsA 患者(SPIRIT!P1 試験)と同様,TNF!IR

の PsA 患者への IXE 投与で臨床的意義のある疾患の改善が認められた.IXE 群 で予期しない安全性上の所見は認められなかった.

(7)

抗フラクタルカイン抗体のアトピー性皮膚炎マウスモデ

ルにおける治療効果

石井直人,中谷智哉,西岡恵理,小川嘉奈,今井俊夫 (株式会社カン研究所) ヒト化抗フラクタルカイン(FKN)モノクローナル抗体である E6011 は,単球やマクロファージ,リンパ球等の炎症組織への接着と移行を阻 害する抗体医薬であり,関節リウマチ,クローン病,原発性胆汁性胆管 炎を対象に臨床第 2 相及び 1/2 相試験が進行中である.本研究では,マ ウス皮膚炎モデルを用いて抗 FKN 抗体のアトピー性皮膚炎適応可能 性を検証した.オキサゾロン溶液若しくはダニ抗原含有軟膏を NC/ Nga マウスに連続的に塗布することでアトピー様皮膚炎を誘導した ところ,皮疹部において CX3CR1 陽性のリンパ球やマクロファージの 浸潤が認められた.抗マウス FKN 抗体を治療的に投与することで,皮 膚炎重症度のみならず,経皮水分蒸散量を指標にした皮膚バリア機能 の悪化に対して顕著な改善効果が認められた.以上の結果から,抗 FKN 抗体が新規メカニズムによるアトピー性皮膚炎治療薬として期 待される.

P-38(O10-8)

当科におけるニューモシスチス肺炎予防に ST 合剤を

投与した症例の有害事象に関する検討

西川絢子,加藤 威,寺村和也,藤本徳毅,田中俊宏 (滋賀医科大学皮膚科) ニューモシスチス肺炎(PCP)は,AIDS,悪性腫瘍などの基礎疾患や, 免疫抑制剤やステロイドの投与を背景に発症する,生存率 40∼70% の 重篤な疾患である.PCP に対しては Sulfamethoxazole Trimethoprim (ST)合剤の予防効果が報告されており,皮膚科領域でもステロイド内 服や免疫抑制剤の投与が長期にわたって必要となる症例に頻用されて いるが,有害事象を生じることも多い.注意を要する有害事象の 1 つと して顆粒球減少や血小板減少などの血液障害があり,同剤のインタ ビューフォームでは顆粒球減少の頻度は 0.1%,血小板減少は 0.01% と報告されているが,実際の臨床で見られる頻度はそれよりも多い様 に思われる.そこで今回我々は,当科において 2010 年 7 月から 2017 年 10 月までの期間に ST 合剤を PCP の予防に投与した症例に関し て,血液異常を含めた有害事象を生じた頻度等に検討を行った.

P-39(O10-3)

薬剤血管外漏出に対するステロイド局注療法,及びその

クリティカルパスの有効性と問題点の検討

牧野公治1),山本春風2),榮 達智2),冨永啓史3),福本佐百合3) (熊本医療センター皮膚科1) ,熊本医療センター腫瘍内科2) ,熊本医療 センター看護部3) ) 当院は救命救急センターも有する地域がん診療連携拠点病院であるた め,抗癌剤のみならず昇圧剤など血管外漏出すると重大な皮膚損傷を 来す薬剤の使用頻度が多い.発生時は皮膚科診察結果ないし医療安全 管理マニュアルに沿って対応するが,特に休日・夜間や主治医の経験 が浅い場合などは不十分な対応により重症化する危険もはらむ.そこ で 2012 年 10 月から血管外漏出クリティカルパスを稼動させた.すな わち漏出部位に「リンデロンⓇ 注 4mg+キシロカインⓇ 注 1%2ml+生食 2ml」を速やかに局注し,デルモベートⓇ軟膏 1 日 2 回塗布と生食湿布 1 日 3 回交換を継続しながら経過を見るという一連の手順を一括オー ダーできるようにした.またアントラサイクリン系抗悪性腫瘍剤の血 管外漏出治療剤サビーンⓇ の保険適応に伴い,適用条件の改訂も行っ た.2017 年 10 月までにパスを適応した約 800 例について,有効性や問 題点を検討した.

当科におけるアプレミラスト導入症例の治療効果と

QOL の検討

高橋 文,阿部名美子,飛田璃恵,松本由香,平野宏文,小林知子, 坪井良治,大久保ゆかり (東京医科大学皮膚科学分野) 新規経口薬のアプレミラストは,免疫系細胞のホスホジエステラーゼ (PDE)4 の活性を抑制することで細胞内 cAMP を上昇させ,多くの炎 症性サイトカインの分泌を抑制するとされており,既存薬で効果不十 分であった患者にも効果が期待される.東京医科大学病院皮膚科にお いて,2017 年 10 月末までにアプレミラストを導入した症例は 34 例で あった.男女比は 2.5:1,平均年齢 57 歳(34!83 歳),尋常性乾癬 27 例,関節症性乾癬 7 例であった.今回,皮疹の重症度(PASI スコア), DLQI,Skindex16,GHQ28 を用いた QOL 評価,VAS を用いた痒みや 疼痛評価により治療前後の臨床的検討を行った.開始時の PASI スコ アの平均値は 6.1,2 ヶ月後 4.8 であったが PASI50 を達成した症例は 6 例あった.開始時の DLQI の平均値は 5.6,2 ヶ月後に 2.7 まで改善し た.副作用で中止した症例は 1 例であった.前治療の種類や併用治療に よる臨床効果の差異についても検討し報告する.

P-41

顔の皺治療における OnabotulinumtoxinA の安全性と

忍容性

Jean Carruthers1) ,Mitchell F Brin2) ,Koen De Boulle3) ,Steven Liew4) , Alexander Rivikin5) ,Yan Wu6) ,Irina Yushmanova2) ,Terry I Boodhoo2) , Kathy Zhuang2),Elisabeth Lee2)

(University of British Columbia, Canada1),Allergan plc, USA2),Aalst Dermatology Clinic, Belgium3)

,Private Practice, Australia4)

,Private Practice, USA5)

,Peking Uni-versity First Hospital, China6)

) 目的:目尻の皺(CFL)および CFL+眉間の皺(GL)に投与した onabotulinumtoxinA (ONA)を評価した. 方法:ONA の 15 試験(N=3946)の安全性データを統合した.無作為化二重盲検プラ セボ対照(DB)の 11 試験(n=3338)において,2394 人に GL(n=665),CFL(n= 1324),CFL+GL(n=405)に ONA を投与した. 結果:DB 試験の被験者は白人(59.9%),アジア人(33.6%)および女性(85.1%)であっ た.DB 試験における有害事象の全発現率は,ONA 群とプラセボ群は同程度であり (41.2%,37.1%),北米またはヨーロッパ(47.6%,41.5%)より,アジアの試験(28.0%, 26.3%)の方が低かった.ONA 群とプラセボ群の重篤な有害事象の発現率は,CFL の場合(各々 1.4%,1.5%)も,CFL+GL の場合(2.7% vs 2.3%)も同程度であった. 考察:本解析により,顔の皺治療のための ONA の安全性と忍容性が確認された.

P-42(O10-4)

中等症から重症の局面型乾癬を対象 Risankizumab 第 3

相試験(IMMhance)の有効性・安全性成績

五十嵐敦之1),A. Blauvelt2),K. A. Papp3),M. Gooderham3)

R. G. Langley3) ,C. Leonardi3),J.!P. Lacour4) ,S. Philipp5) , S. Tyring2) ,M. Bukhalo2) ,J. J. Wu2) ,J. Bagel2) ,E. H. Frankel2) , D. Pariser2) ,M. Flack2) ,J. Scherer2) ,Z. Geng2) ,Y. Gu2) , A. Camez5),E. H. Z. Thompson2)

(NTT東日本関東病院皮膚科1) ,米国2) ,カナダ3) ,フランス4) ,ドイ ツ5) ) インターロイキン!23(IL!23)は乾癬の病態に重要なサイトカインである.ヒト化 IgG1 モノクロナール抗体 Risankizumab(RZB)は,IL!23 p19 に特異的に結合し IL!23 を阻害する.本試験は 16 週のプラセボ対照期間とその後のランダム化治療 中止と RZB 再投与期間からなる.主要評価項目は投与 16 週の PASI90 と PGA 0/ 1 である.日本人 14 例を含む 507 例が体重(100kg 未満 vs100kg 超)および TNF 阻害薬使用経験による層別ランダム化(4:1)で,RZB(150mg)またはプラセボ を投与(0,4 週)した.被験者背景(平均)は,年齢:49.2 歳,体重:92.0kg,男 性:70.2%,乾癬性関節炎の既往:34.7%,TNF 阻害薬使用経験 36.5%,PASI: 20.2,BSA:26.1% であった.学会にて投与後 16 週までの成績を発表する.

(8)

P-43(O10-1)

日本人の成人アトピー性皮膚炎患者を対象とした JTE!

052 軟膏(Janus kinase 阻害剤)の第 II 相試験

根本 治1) ,中川秀己2) ,五十嵐敦之3) ,海野敬修4) ,永田 健4) (廣仁会札幌皮膚科クリニック1) ,東京慈恵会医科大学皮膚科学講 座2),NTT東日本関東病院皮膚科3),日本たばこ産業株式会社医薬事 業部4) ) 中等症又は重症の日本人成人アトピー性皮膚炎患者 327 例を対象に,プラセ ボを対照としたランダム割付評価者盲検群間比較法により,JTE!052 軟膏を 1 日 2 回 4 週間皮膚塗布した際の有効性及び安全性を検討した.また参照群 としてタクロリムス軟膏 0.1% 群を非盲検下で設定した.主要評価項目であ る最終評価時の m!EASI スコア変化率(LS Mean)は JTE!052 軟膏 0.25%, 0.5%,1% 及び 3% 群でそれぞれ−41.7%,−57.1%,−54.9% 及び−72.9% であり,プラセボ群の−12.2% に比し有意に低下した(p<0.001:全群).タ クロリムス群での m!EASI スコア変化率(Mean)は−62.0% だった.また JTE!052 群では他の有効性評価項目においても有意な改善が認められた. JTE!052 群の有害事象発現率はプラセボ群と同程度で,JTE!052 群で発現頻 度が最も高い有害事象は鼻咽頭炎(3.4%)だった.以上,JTE!052 軟膏がア トピー性皮膚炎に対する新たな外用治療選択肢となる可能性が示唆された.

P-44

局面型乾癬患者を対象としたグセルクマブ(GUS)国内

第 3 相臨床試験における部分集団解析

森田明理1) ,宮代昌彦2) ,杉浦由加子2) ,小林久謹2) ,岡崎正晃2) , 日川2) ,後藤良祐2) (名古屋市立大学大学院医学研究科1) ,ヤンセンファーマ株式会社2) ) 【方法】中等症から重症の日本人乾癬患者 192 例を GUS 50mg 群(n= 65),GUS 100mg 群(n=63),プラセボ群(n=64)に無作為に割り付け た.いずれの群も 0,4,12 週時の 3 回の投与後,16 週時の PASI90 達成率及び IGA スコア 0 又は 1 の達成率を評価した(主要評価項目). また,種々の部分集団において GUS が一貫して有効性を示すか否かを 検討するため,あらかじめ定められたベースライン時の人口統計学的 特性(年齢,性別,体重),疾患特性(PsA の有無,罹病期間,重症度), 前治療別に主要評価項目の部分集団解析を実施した.

【結果】GUS 投与群はプラセボ群に比較して PASI90 達成率及び IGA 0/1 達成率は有意に高かった.また,ベースライン時の重症度,PsA 合併の有無,生物学的製剤既治療の有無などいずれの部分集団におい ても, GUS 投与群はプラセボ群に比し一貫して高い有効性を示した. 【結論】GUS はいずれの部分集団においても有用性が示唆された.

P-45

Famciclovir の再発性単純疱疹患者に対する早期短期治

療の有用性についての第 III 相臨床試験

安元慎一郎1),加藤俊之2),福田博章2),川島 眞3) (安元ひふ科クリニック1) ,マルホ株式会社2) ,東京女子医科大学皮膚 科3) ) 再発型単純疱疹治療の第一選択は経口抗ウイルス薬であり,海外では再発の前 駆症状発現後,直ちに経口抗ウイルス薬を服用する早期短期治療が標準となっ ているが,本邦では早期短期治療は確立していない. 今回,直近 1 年間で 3 回以上の再発歴を有する単純疱疹(口唇・性器ヘルペス) 患者を対象に,Famciclovir を 1 回 1000mg(250mg 錠×4),1 日 2 回 1 日間投 与する早期短期治療の有用性を検討した. 結果,病変部位が治癒するまでの時間の中央値は,Famciclovir 群 4.7 日,プラ セボ群 5.7 日であり,プラセボ群に対する本剤のハザード比(95% 信頼区間)お よび p 値は,1.33(1.08∼1.64),p=0.008 であった.副作用発現率は,Famci-clovir 群 5.3%,プラセボ群 1.5% であり,重篤な副作用は認められなかった. Famciclovir の早期短期治療は,プラセボと比較し治癒までの日数を有意に短 縮したことから,本邦においても再発型単純疱疹の新たな治療選択肢となり得 ると考えられた.

P-46

アトピー性皮膚炎における患者と医師の治療選択の優先

順位に関する検討

大久保ゆかり1) ,藤田浩之2) ,有馬和彦2) ,S. Fifer3) ,出宮スウェン2) (東京医科大学皮膚科1) ,サノフィ株式会社2) ,CaPPRe3) ) 【背景】アトピー性皮膚炎(AD)の標準治療は保湿剤およびステロイ ドやタクロリムス外用が広く普及しているが,治療のゴールおよび治 療選択の優先順位は患者により異なり,また医師の認識と必ずしも一 致するとは限らない. 【目的・方法】中等症∼重症の AD 患者 300 名および AD 患者を治療 する医師 100 名を対象にウェブ調査を実施し,患者と医師それぞれの 治療選択において重視する項目の得失評価を行った.さらに人口統計 および治療情報も定量的調査により収集し,潜在クラスモデル(Latent Class Model:LCM)を用いてデータを分析し,治療選択の違いを明ら かにした. 【結果・考察】本研究は,AD の治療選択時に患者および医師が示すそ れぞれの優先順位を検討した初めての調査である.結果を基に患者の 希望を正しく理解することは,AD 患者の治療アドヒアランスおよび 治療成績の向上に寄与すると期待される.

P-47(O4-5)

低フルエンスピコ秒レーザー治療によって肝斑は増悪す

る可能性がある

西健一郎 ( 西形成外科) 【目的】Q スイッチ YAG レーザーを比較的低フルエンスで頻回に照射 する治療をレーザートーニング(LT)と呼び,肝斑に有効と流行する に至ったが,この方法は治療を繰り返している間は色調軽減効果があ るものの治療を止めると高率に再発し,肝斑増悪や難治性白斑形成の 危険があることが明らかになった.最近では,ピコ秒レーザーにより美 容治療を受けた患者に LT と同様の副作用例が増えている.同法の危 険性を考察したい.【方法】2015 年 11 月から 2017 年 11 月の間に当院 で美容目的の低フルエンスピコ秒レーザー治療を受けた患者の中から 肝斑増悪した患者を調べた.【結果】同期間に 213 人(のべ 875 回)の 治療を行ったが,そのうち少なくとも 11 人に肝斑の増悪を認めた.【考 察】演者は,肝斑があればなるべくピコ秒レーザーを照射しないように しているにも関わらず多くの肝斑増悪例を出してしまった.肝斑患者 に積極的に照射した場合の危険性は非常に高いと考えられる.

P-48(O4-6)

乳房外パジェット病へのドセタキセル無効例における

パクリタキセル投与についての検討

加藤めぐみ,乗松雄大,西牧美幸,永井幸司郎,吉野公二 (がん・感染症センター都立駒込病院皮膚腫瘍科) 【目的】進行期乳房外パジェット病に対する化学療法は未だ確立されて おらず,薬剤の選択については各施設の判断によるところが大きい.本 邦の多施設後ろ向き研究では 1st line としてドセタキセルの有効性が 報告されているが,2nd line 以降の薬剤について検討されたものがな い.今回,当科で 2nd line としてパクリタキセルを使用した症例を検討 した.【方法】2008 年 1 月∼2017 年 12 月までに当施設で経験したドセ タキセル無効例にパクリタキセルを使用した症例を後方視的に検討し た.【結果】ドセタキセルを 1st line で 20 例,2nd line でパクリタキセ ルを 8 例に使用.パクリタキセルの治療効果は SD2 例,PD5 例,判定 困難 1 例であり,パクリタキセル投与中の全生存期間は 239 日であっ た.【結論】ドセタキセルからのタキサンスイッチの効果は不明であっ たが,ある一定の効果が得られており,有事外事象も軽度であった.

参照

関連したドキュメント

4) American Diabetes Association : Diabetes Care 43(Suppl. 1):

  ︐.      1      一

10) Takaya Y, et al : Impact of cardiac rehabilitation on renal function in patients with and without chronic kidney disease after acute myocardial infarction. Circ J 78 :

38) Comi G, et al : European/Canadian multicenter, double-blind, randomized, placebo-controlled study of the effects of glatiramer acetate on magnetic resonance imaging-measured

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