工藤恵理奈,松尾敦子,渡邉千夏,城野昌義
(くまもと森都総合病院皮膚科)
症例 1:26 歳男.主訴は 15 年前から続く躯幹・下肢の皮疹.躯幹に毛 孔性角化を伴う紅斑を認め,側胸部・腰臀部・膝窩に鱗屑を伴う苔癬 化局面が散在.病理組織学的には,毛包とその周囲に異形リンパ球が小 型のポートリエ微小膿瘍を呈しながら密に浸潤.免疫染色にて浸潤細 胞は CD3/CD4/CD25 陽性であり,毛嚢向性菌状息肉症と診断.nar-row!band UVB とエキシマライトによる光線療法にて,色素沈着を残 し PR 状態.症例 2:65 歳男.主訴は 3 年前に自覚した右頬の皮疹.右 頬に 22×17 ミリ大の浸潤性紅斑を認めた.病理組織学的には,表皮で は毛嚢部に強い表皮内リンパ球浸潤があり,一部に浸潤リンパ球の集 簇像を認めた.真皮では毛嚢周囲に島嶼状リンパ球浸潤があり,リンパ 濾胞は認めず.免疫染色にて浸潤細胞は CD3/CD4/CD25 陽性であり,
毛嚢向性菌状息肉症と診断.エキシマライトによる光線療法にて略治.
抄 録
ポ ス タ ー演 題 皮膚潰瘍と診断されていた EBV 陽性粘膜皮膚潰瘍型
メトトレキサート関連リンパ増殖性疾患の 1 例
山下千聡,藤田真文,高瀬早和子,西村陽一,太田深雪,八木洋輔,
立花隆夫
(大阪赤十字病院皮膚科)
77 歳,男性.関節リウマチに対して 7 年半のメトトレキサート(MTX)
内服歴あり.初診の 4 ヶ月前に,右手首と右大腿に皮膚潰瘍が出現し た.近医で軟膏処置を継続するも難治であり,当院に紹介受診となっ た.潰瘍辺縁からの生検で,真皮内に CD30,CD15 が陽性の大型の Reed!Sternberg 細胞を認めたことから,ホジキンリンパ腫様のリンパ 増殖性疾患(LPD)の診断に至った.なお,大型細胞は EBV!encoded small RNA!in situ hybridization 陽性であった.全身の PET!CT 検査 で,潰瘍部位の他,縦隔リンパ節に FDG の集積を認めた.MTX 中止 後 1 ヶ月で潰瘍は完全に上皮化,また,CT ではリンパ節の縮小傾向を 確認した.MTX!LPD の臨床亜型である EBV 陽性の粘膜皮膚潰瘍は 予後良好であるとされるが,その他の予後予測因子についても考察を 加える.
P-326
NB!UVB が奏効し Lymphomatoid papulosis との鑑別に 苦慮した CD8,CD30 陽性皮膚 T 細胞リンパ腫の 1 例 徳山道生1),清水知道1),山田貴彦1),倉繁祐太1),中村直哉2), 馬渕智生1),加藤正幸1,3)
(東海大学医学部専門診療学系皮膚科学1),東海大学医学部基盤診療学 系病理診断学2),かとうひふ科医院3))
23 歳男性.18 歳より皮疹が出現し複数の医療機関でステロイドやタクロリム スを外用されるも改善せず,当科紹介となった.右大腿部,左腰部に 15cm 大,紅色小丘疹,びらん,鱗屑,皮膚萎縮を混じた境界比較的明瞭だが不整形,
軽度の浸潤を触れる暗赤色局面があり,周囲に紅色小丘疹を伴っていた.病理 組織学的に表皮から真皮中層に不整形核を有するリンパ球,一部に大型類円形 核を持つ細胞が稠密に浸潤していた.免疫染色で,CD3(+),CD4(!),CD 5(!),CD7(!),CD8(+),CD20(!),CD25(!),CD30(+/!<10%),CD 56(!),CD79a(!),TIA!1(+),ALK(!),EBER(!)で,TCRCβ1 の遺 伝子再構成を認めた.病理組織学的には Type D Lymphomatoid papulosis が 考えられたが臨床像と合致せず,CD8,CD30 陽性皮膚 T 細胞リンパ腫と診断 した.NB!UVB を週 2 回,計 27 回 23.74J/cm2 施行し,改善した.6 か月後の 再生検で interface dermatitis がみられたが,異型細胞は消失していた.
P-327
初診時に単発腫瘤を呈した芽球性形質細胞様樹状細胞腫 瘍の 2 例
村上拓生1),緒方 大1),佐々木庸介1),佐藤詩穂里1),柳澤宏人1), 宮野恭平1),中村晃一郎1),倉持 朗1),新井栄一2),土田哲也1)
(埼玉医科大学皮膚科1),埼玉医科大学国際医療センター病理診断 科2))
症例 1:80 歳女性.初診 6 か月前に右腰部に腫瘤を自覚した.初診時,65
×35mm の暗紫色の腫瘤を呈し,精査の結果,芽球性形質細胞様樹状細胞腫 瘍(Blastic Plasmacytoid Dendritic Cell Neoplasm:BPDCN)と診断した.
診断時に骨髄浸潤疑う所見があったが,化学療法は行わず,腫瘤に対して切 除を行った.以後,経過観察とし,初診 4 か月後に多発皮膚転移,その 2 か月後に白血化を認め,初診 7 か月後に永眠した.症例 2:69 歳男性.初診 2 か月前に慢性骨髄性単球性白血病が疑われ,他院血液内科で精査中に,左 前腕に紅色結節が出現し,増大した.初診時,30×30mm の淡紅色腫瘤を呈 し,皮膚生検行い BPDCN と診断した.化学療法は行わず,腫瘤に対して 現在,放射線治療中である.BPDCN は,臨床的に,様々な皮疹を呈するこ とが知られるが,症例の報告は少ない.今回,単発腫瘤を呈した BPDCN の 2 例を経験したので,その経過と考察を含めて報告する.
原発性皮膚濾胞中心リンパ腫の 1 例
野々垣彰1),林 剛生1),三宅 温1),三井 彩1),野木真一2), 北野雅史3),堀田綾子4),齋藤生朗4),大松華子1)
(国立病院機構相模原病院皮膚科1),国立病院機構相模原病院リウマチ 科2),国立病院機構相模原病院放射線科3),国立病院機構相模原病院病 理診断科4))
78 歳女.初診 5 年前に左鼠径部に皮下腫瘤が出現し,徐々に増大.初 診時,左鼠径部に 3×6cm の弾性硬皮下腫瘤が存在.被覆表皮は常色.
自発・圧痛とも伴わず.B 症状なし.血中 sIL2!R は 549U/ml,LDH は 239IU/l と軽度高値.腫瘤部から生検.表皮直下に grenz zone があ り,真皮上層から脂肪織にかけて,centrocyte,centroblast が結節状,
びまん性に浸潤.免疫染色にて CD3,CD5,CD45RO,bcl!2 は陰性,
CD10,CD20,CD79a,bcl!6 は陽性.皮膚検体を用いてのサザンブロッ ト法にて免疫グロブリン H 鎖 JH の遺伝子再構成を認めた.CT・
PET・上下部消化管内視鏡で節性・他臓器病変を認めず,骨髄・末梢 血に腫瘍細胞を認めなかった.原発性皮膚濾胞中心リンパ腫と診断し,
計 36Gy の放射線照射を施行.腫瘍は縮小傾向.
P-329
ガス壊疽を契機に診断に至った Diffuse large B!cell lymphoma の 1 例
土井春樹1),上原治朗1),高橋憲義1),岩崎剛志1),本間 大1), 山本明美1),畑山真弓2)
(旭川医科大学皮膚科1),旭川医科大学血液内科2))
79 歳女性.既往歴に関節リウマチがあり,MTX6mg/week とプログラ フ 2mg/day を内服していた.初診の 6 日前から左下肢痛,腫脹を自覚 し,悪化したため近医を受診した.左鼠径部の重症軟部組織感染症が疑 われ,当院へ救急搬送された.身体所見,CT 画像からガス壊疽を考え,
同日,緊急でデブリードマンを施行した.その後も複数回のデブリード マン施行を経て患部の感染徴候は改善したが,発熱,CRP 上昇は遷延 し,潰瘍部に易出血性の腫瘤を認めたため,針生検を施行した.その病 理組織学的所見から Diffuse large B!cell lymphoma の診断に至った.
治療は放射線療法,化学療法が著効した.以上,臨床経過,文献的考察 を含め,報告する.
P-330
特異疹を伴ったワルデンストレームマクログロブリン 血症の 1 例
宮田龍臣1),仲 優1),石黒直子1),川島 眞1),田中紀奈2), 田中淳司2)
(東京女子医科大学皮膚科1),東京女子医科大学血液内科2))
62 歳男.初診の 12 年前に IgMκ 型 M 蛋白を認め,ワルデンストレー ムマクログロブリン血症と診断された.造血障害や臓器病変はなく,未 治療で経過観察していた.7 年前から貧血が進行したため,化学療法
(RCD 療法,リツキシマブ維持療法,トレアキシン投与)を行い 3 年前 に部分寛解となった.2 年前から胸部に紅斑が出現し,増数したため当 科を紹介された.初診時,胸・背部に母指頭大までの浸潤の触れる紅褐 色斑が散在していた.Hb 9.8 g/dl と低下,IgM 2187 mg/dl,sIL!2R 7770 U/ml と高値.PET!CT で縦隔,腹腔内,骨盤内,鼠径のリンパ 節の集積亢進を認めた.病理組織像では,真皮血管周囲,脂肪織内にリ ンパ球が稠密に浸潤し,そのほとんどが CD20 陽性 B 細胞で,CD138 陽性の形質細胞も混在していた.以上よりワルデンストレームマクロ グロブリン血症の再燃に伴う特異疹と診断した.CHOP 療法を 6 クー ル行い,軽快傾向にある.
抄 録
ポ ス タ ー演 題
P-331
水疱を呈した ATL の 4 例―急性転化・急性型を示唆す る水疱形成について
渡邉千夏1),工藤恵理奈1),松尾敦子1),城野昌義1),下村泰三2), 鈴島 仁2)
(くまもと森都総合病院皮膚科1),くまもと森都総合病院血液内科2)) 症例 1:46 歳男性.初診 2 週間前から顔面の小水疱で発症.カポジ水痘 様発疹症の診断で加療されたが改善せず,採血・生検で急性型 ATL の診断となった.化学療法→骨髄移植を行ったが再発し,追加の化学療 法中に急性腎不全・尿毒症肺をきたし,全経過 119 週で死亡した.症例 2:57 歳男性.初診 2 年前から多形慢性痒疹としてステロイド外用し ていた. 白血球数の急上昇, HTLV!1 陽性で当院紹介受診. その際,
手掌〜前腕に水疱を認めた.化学療法→骨髄移植を行ったが,慢性 GVHD に対するステロイド加療中に出血性膀胱炎・敗血症性ショッ クをきたし,全経過 66 週で死亡した.慢性型 ATL として経過観察中,
白血球数の急上昇と手足に水疱を呈した 2 症例を追加報告し,文献的 検討も加えて,水疱発症機序,その臨床的意義について考察する.
P-332
IgA 免疫組織化学的染色が診断に有用であった多中心性 キャッスルマン病の 1 例
財部愛菜1),後田優香1),西元順子1),持田耕介1),阿萬 紫2), 盛口清香2),天野正宏1)
(宮崎大学1),宮崎大学病理学講座構造機能病態学分野2))
65 歳男性.初診 5 年前から顔面,胸部,背部に褐色結節を自覚していた.
初診時,体幹と上肢に濃褐色調の約 1cm の結節が散在しており,皮膚 生検を施行し,病理組織学的に真皮内に結節性に形質細胞の浸潤を認 めた.免疫組織化学的染色では形質細胞に CD138,IgG,IgG4 が陽性で,
IgG4/IgG 比は約 40% であり,IgG4 関連疾患を疑った.血液検査では,
IgG,IgG4 が高値で,貧血や CRP,血小板,IL!6 の高値を認めた.造 影 CT では,頸部や鎖骨下,腋窩,縦隔など多数のリンパ節腫大や後腹 膜線維症を認めた.左腋窩リンパ節生検を施行し,リンパ節内にも形質 細胞の浸潤を認め,IgG4/IgG の比は 41.9% で,IgA 陽性細胞を約 12%
認めた.初診時の皮膚生検の病理標本に IgA 免疫組織化学的染色を追 加し,約 20% に陽性であった.以上より多中心性キャッスルマン病と診 断した.IgA 免疫組織化学的染色は多中心性キャッスルマン病と IgG 4 関連疾患の鑑別に有用であり,文献的考察を含めて報告する.
P-333
汎発性環状肉芽腫の経過中に成人 T 細胞性白血病を発 症した 1 例
正百合子1),中村優佑1),佐藤崇興1),後藤瑞生1),竹尾直子1), 岡本 修2),波多野豊1)
(大分大学1),大分市医師会立アルメイダ病院皮膚科2))
71 歳女性.顔面や頚部,上肢に紅色丘疹および局面が生じ,当科を受 診した.皮膚病理組織診断では真皮に変性した膠原線維を取り囲む多 核の組織球を認めた.非典型的な皮膚所見ではあったが,経過中に糖耐 能異常を生じ,汎発性環状肉芽腫(GA)と診断した.リザベン,ミノ マイシン,レクチゾールを内服し,顔面は褐色局面となったが,全身に 浸潤を伴う紅斑,丘疹と壊死組織を伴う潰瘍が多発し,急速に拡大し た.皮膚病理組織診断では真皮に CD3,4,5,25 陽性を示す異型リン パ球が血管周囲性に密に浸潤し,血液検査では末梢血白血球数および 異型リンパ球数上昇,HTLV!1 プロウイルス DNA のモノクローナル な増幅を示し,成人 T 細胞性白血病(ATL)と診断した.THP!COP 療法により,皮疹は徐々に改善を認めた.GA として経過観察中に ATL の特異疹を認め,両者の関連について若干の文献的考察を加えて 述べる.
P-334 (O12-4)
皮膚及び骨病変を有するランゲルハンス細胞組織球症の 3 例
勝見達也1),新熊 悟1),荻根沢真帆子1),河合 亨1),加畑雄大1), 折目真理1),伊藤明子1),阿部理一郎1,2),久保暢大2),今井千速2)
(新潟大学皮膚科1),同小児科2))
症例 1:1 歳 5 カ月,女児.頭部に脂漏性湿疹様皮疹,体幹四肢に紫斑,
丘疹を認めた.採血で貧血,血小板減少があり,CT にて蝶形骨の破壊 像を認めた.症例 2:5 カ月,女児.下腹部や鼠径部に点状紫斑と丘疹 を認めた.CT にて右下顎骨の骨溶解を伴う腫瘤性病変を認めた.症例 3:5 歳,女児.鼠径部と大腿内側に褐色調の紅斑,丘疹を認めた.CT にて第 5 頸椎の圧迫骨折を認めた.いずれの症例も皮膚生検を行い,病 理所見では真皮浅層に核に腎臓型〜コーヒー豆様にくびれを有する組 織球様細胞の浸潤を認めた.免疫染色でこれらの組織球様細胞は CD 1a,S100 ともに陽性であった.電子顕微鏡検査にて組織球様細胞は核 にくびれがあり,テニスラケット様の Birbeck 顆粒を有していた.以上 の所見からいずれの症例も多臓器型のランゲルハンス細胞組織球症と 診断した.化学療法を行ない,症状は改善傾向である.
P-335
MALT リンパ腫と診断した顔の多発皮下腫瘤 白井拓史,面高俊和,木庭幸子,奥山隆平
(信州大学皮膚科)
45 歳,男性.1 年前から右涙腺の腫脹と,右頬部から右頚部にかけて多 発する皮下腫瘤を自覚した.眼や口腔の乾燥症状はなく,抗 SS!A 抗体 や抗 SS!B 抗体は陰性で,血清 IgG4 の上昇もなかった.涙腺の部分切 除生検を行い,病理組織学的には非特異的な慢性涙腺炎の所見であっ た.フローサイトメトリーでは軽鎖制限があったが,IgH 遺伝子再構成 は確認できなかった.その後,B 細胞リンパ腫を疑い,頬部の皮下腫瘤 を開放生検した.病理組織学的にはリンパ球が密に集簇した組織片で,
耳下腺とみられる腺管構造を散見した.免疫染色では,CD20,bcl!2 陽性,CD5,CD10 陰性で,LEL(lymphoepithelial lesion)があった.
また,κ 鎖遺伝子のクロナリティーがあることから,MALT リンパ腫 と診断した.
P-336 (O12-8)
lymphoid variant hypereosinophilic syndrome の 1 例 加藤あずさ1),三宅智子1),中川裕貴1),松三友子1),濱田利久1), 高橋孝秀2),渡辺俊幸2),岩月啓氏1)
(岡山大学病院皮膚科1),岡山大学病院検査部血液検査室2))
70 代男性.3 年前より掻痒,1 年前より四肢に水疱と多形紅斑様皮疹が 出現した.水疱症や薬疹として加療されるも,1 ヶ月前より全身隆起性 環状紅斑と好酸球数 1550/µL 増多を認め当科紹介.組織的には表皮内 に好酸球浸潤と海綿状態を認めた.薬疹,悪性腫瘍,水疱症,寄生虫感 染症を否定し,4 週間以上持続する好酸球増加と皮膚症状,FIP1L1!
PDGFRA 陰 性,TCRγ 再 構 成 を 認 め,lymphocyte!variant hy-pereosinophilic syndrome(L!HES)と診断.副腎皮質ステロイドは,
効果があるが減量で症状再燃.CyA,DDS,MTX は,掻痒・環状紅斑・
結節・水疱など多彩な皮膚症状と 1 万/µL を超える好酸球増多が持 続.DDS と Etoposide 併用は,一定の効果があるも血球減少のため中 止した.FIP1L1!PDGFRA 陰性 HES は副腎皮質ステロイドが第一選 択となる.本症例は治療抵抗性であり,サイトカイン産生抑制目的に稀 ではあるが Etoposide を導入した.