博 士 ( 工 学 ) 勝 山 幸 三
学 位 論 文 題 名
高 エ 不ル ギ ー X 線 CT を 利用 した照射 後試験技 術の 開発と高速炉燃料の照射挙動評価
学位論文内容の要旨
材料の形状変化測定、欠陥観 察をどの非破壊試験は、構造物の健全性確認や寿命評価において重 要 である。原子カの分野におい ても、多くの構造物、材料について数々の方法で非破壊試験が行わ れ 、原子カ施設の安全性向上に 貢献している。
これまで、原子炉で照射し、 高い放射能強度を有する燃料集合体内での変形測定と内部観察を目 的 と した 非破 壊透過試験方法として、X線 や中性子を線源としたラジ オグラフィが実施されてき た 。これらは、透過画像による 内部構造物の変形の有無等の観察を目的としており、集合体横断面 に おける燃料ピンの配置状況等 の観察はできをい。
医 学的 検査 の重要を手段のーっとして 開発されてきたX線CT (Computer Tomography)技術は、
複 数 方向 の透 過X線データを計算機で処理 することにより横断面にお ける断層画像を得ることが で きる。この手法により、従来 の単純を透過法に比ベ、人体内の異常組織の位置、大きさ、形状等 の 情報を詳細に把握でき、医学 的検査法は飛躍的に進歩し た。
本 研究 では 、このX線CT技術を照射済燃 料集合体の非破壊試験に適 用して、新しい照射後試験 技 術を確立した。本技術開発に よって初めて燃料集合体の 横断面CT画像を得るとともに、これを 利 用して集合体内における燃料 ピンの変位挙動や燃料ベレットの中心空孔の形成挙動といった高速 炉 燃料特有の照射挙動をはじめ て明らかにした。
本論文は以下の5章から構成 されている。第1章では、研 究の背景として高速炉燃料の研究開発 や 照射後試験の現状について述 べるとともに、高速炉燃料の照射挙動を把握するうえでの課題と研 究 目的を示した。
第2章で は 、X線CTを 利 用し た非 破壊に よる照射後試験技術の確立 について述べる。実際に照 射 した燃料集合体に本技術を適 用し、得られた横断面CT画 像の性能等について確認した。本研究 で は 、高 工ネ ルギーX線をパルス状に試験 体に照射し、それと同期し た検出システムを採用する こ とにより、試験体からの極め て強いy線放射の影響を軽減 し、高燃焼度まで照射した燃料集合体 で 鮮明を横断面CT画像を得るこ とに世界ではじめて成功し た。この画像により、これまで破壊試 験 でしか得られをかったデータ を非破壊試験で取得可能にをり、作業効率の向上と放射性廃棄物の 発 生量の低減化にも貢献できる ことを確認した。
第3章で は 、X線CT装 置 を高 速実 験炉「 常陽」で照射した燃料集合 体に適用し、得られた横断 ―83−
面CT画像 から集合体の形状や燃料ピン の配置状況を定量的に測定 する手法を確立するとともに、
高速炉燃 料の照射挙動について考察した。その結果、集合体の最外周に装荷された燃料ピンのラッ パ管側( 外側)への変位挙動やワイヤピッチに沿った局所的を曲がり挙動をはじめて把握するてと ができた 。さらに、最外周に装荷され た燃料ピンの曲がり挙動を 計算コードにより予測し、CTに よる実測 値と比較した結果、ワイヤピ ッチに沿った局所的を曲が り等の傾向が両者でほば一致し た 。 こ れ に よ り 実 測 で き を い 燃 料 ピ ン の 曲 が り 挙 動 を 予 測 で き る 可 能 性 も 示 唆 さ れ た。
第4章で は、X線CT装 置に て取 得 した 照射 済燃 料 集合 体の 横断 面CT画 像か ら、燃料ベレット に形成さ れた中心空孔の大きさを測定する手法を確立するとともに、中心空孔の形成に及ばす製造 条件等の 影響を評価した。その結果、実際に照射した燃料集合体では、中心空孔は炉心中心側に近 い燃料ベ レットで大きくをる傾向を確認した。さらに、中心空孔の形成に及ばす製造条件等の影響 について 詳細に検討した結果、線出カとスミヤ密度の両者で整理した場合には、中心空孔径との相 関関係が 見出されることが確認された。本技術の確立により、集合体に装荷されている全ての燃料 ベレット についてデータ取得が可能とをった。これにより、これまで破壊試験で取得してきた手法 と比べる とデータ数が格段に増えるだけでなく、中心空孔形成に及ばす製造条件等の影響を精度良 く把握す ることが可能と教り、中心空孔の形成挙動を把握するうえで大きを進歩がもたらされた。
第5章 で は 、 本 研 究 で 得 ら れ た 成 果 を 総 括 す る と と も に 、 今 後 の 展 望 等 を 示 し た 。 本研究で は、これまで不可能視され ていたX線CT技術を照射済燃 料・材料の非破壊試験に応用 して、照 射した燃料集合体の鮮明を横 断面画像や三次元画像をえ ることに世界ではじめて成功し た。これ により、これまで確認できをかった照射済燃料集合体内での燃料ピンの配置状況等が実験 的に測定 でき、BDI (Bundle Duct Interaction)挙動評価等に有カをデータ取得が可能とをった。さ らに、燃 料ベレット内の中心空孔の大きさも把握することができ、これまで破壊試験で実施してき た観察の 多くが非破壊試験で実施可能 とをった。
以上 、本 研 究に より 高速 炉燃 料 の高 性能 化・ 高 燃焼度化を図る 上で極めて有用顔X線CTによ る非破壊 照射後試験技術を確立することに成功した。この新技術は、高速炉燃料開発のみをらず、
「もんじ ゅ」燃料集合体等への適用を 期待できる。
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学位論文審査の要旨
学 位 論 文 題 名
高エ ネ ル ギー X 線 CT を 利用した 照射後試 験技術の 開発と高速炉燃料の照射挙動評価
構成材料中の形状変化測定、欠陥観察をどの非破壊試験は、構造物の健全性確認や寿命評価にお い て重要である。原子カの分野においても、多くの構造物、材料について数々の方法で非破壊試験 が 行われ、原子力施設の安全 性向上に貢献している。
これまで、原子炉で照射し、高い放射能強度を有する燃料集合体内での変形、内部観察を目的と し た非破壊透過試験方法とし て、X線や中性子を線源としたラジオグラフアが実施されてきた。こ れ らは、透過画像による内部構造物の顕著を変形の有無等の観察を目的としており、集合体横断面 に おける燃料要素の配置状況等の観察はできをい。医学的検査の重要を手段のーつとして開発され て き たX線CT (Computer Tomography)技術 は、 複 数方 向の 透過X線 デー タを計算機で処理す る こ とにより横断面における断層画像を得ることができる。この手法により、従来の単純な透過法に 比 ベ、人体内の異常組織の位置、大きさ、形状等の情報をより詳細に把握でき、医学的検査法は飛 躍 的に進歩した。
本研究では、このX線CT技術 を照射済燃料集合体の非破 壊試験に適用し、新しい照射 後試験技 術 を確立した。さらに、本技 術開発によって初めて取得し た燃料集合体の横断面CT画像を利用し て 集合体内における燃料要素の変位挙動や燃料ベレットの中心空孔の形成挙動といった高速炉燃料 特 有の照射挙動を始めて明ら かにした。
本論文は全5章で構成されて おり、各章の概要は以下の 通りである。第1章では、研究の背景と し て高速炉燃料の研究開発や照射後試験の現状について述べるとともに、高速炉燃料の照射挙動を 把 握するうえでの課題と研究 目的を示している。
第2章で は 、X線CTを利用した非破 壊による照射後試験技術を 確立するとともに、実際に照 射 し た燃料集合体に本技術を適 用し、得られた横断面CT画像 の性能等について確認した。本技術開 発 において、著者はy線の影響 を排除するため、高工ネル ギーX線をパルス状に試験体に照射する こ と等を培った放射線取扱い業務の経験から提案した。これらの提案を取り入れた装置を製作メー カ ーにおいて設計・製作し、 試験体からの強度のy線放射の影響を受けずに、高燃焼度まで照射し た 燃料集合体で鮮明な横断面CT画像を得ることに世界で始 めて成功した。この画像により、これ ま で破壊試験でしか得られをかったデータをも非破壊試験で取得可能にをり、作業効率の向上、放 射 性廃棄物の発生の低減化に も貢献できることを確認した 。
―85一
知 郎
治
一
正 洋
重
藤 津
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佐 島
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授 授
授
教 教
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査 査
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主 副
副
第3章で は 、X線CT装置 を 高 速 実験 炉「 常陽」で 照射し た燃料 集合体 に適用 し、得 られた 横断 面CT画像 から集 合体の 形状や 燃料要素の配置状況を定量的に測定する手法を確立するとともに、
高速炉燃料の照射挙動について考察した。その結果、集合体の最外周に装荷された燃料要素のラッ パ管側(外側)への変位挙動やワイヤピッチに沿った局所的を曲がり挙動をはじめて把握すること ができ た。さ らに、最 外周に 装荷された燃料要素の曲がり挙動を計算コードにより予測し、CTに よる実 測値と 比較した 結果、 ワイヤピッチに沿った局所的な曲がり等の傾向が両者でほば一致し た 。 こ れ に よ り 実 測 で き を い 燃 料 要 素 の 曲 が り 挙動 を 予 測 でき る 可 能 性も 示 唆 さ れた 。 第4章 で は 、X線CT装 置 にて 取 得 した照 射済燃 料集合 体の横断 面CT画 像から、 燃料ベ レット に形成された中心空孔の大きさを測定する手法を確立するとともに、中心空孔の形成に及ばす製造 条件等の影響を評価した。その結果、実際に照射した燃料集合体では中心空孔は炉心中心側に近い 燃料ベレットで大きくをる傾向が確認された。さらに、中心空孔の形成に及ばす製造条件等の影響 について詳細に検討した結果、線出カとスミヤ密度の両者で整理した場合には、中心空孔径との相 関関係が見出されることが確認された。本技術の確立により、集合体に装荷されている全ての燃料 ベレットについてデータ取得が可能とをった。これにより、これまで破壊試験で取得してきた手法 と比べるとデータ数が格段に増えるだけでをく、中心空孔形成に及ばす製造条件等の影響を精度良 く把握することが可能とをり、中心空孔の形成挙動を把握するうえで大きを進歩がもたらされた。
第5章では、本研究で得られた成果を総括している。
これを 要する に著者 は、y線 の影響 を排除す るため のパル ス状X線 検出シ ステム等を導入する をどし て、こ れまで不 可能視 されて いたX線CT技術を 照射済燃料等の非破壊試験に応用すること を可能とした。これにより、照射した燃料集合体の鮮明を横断面画像や三次元画像の取得に世界で 始めて成功している。さらに、著者は、高速実験炉.「常陽」で照射した集合体の測定を行い、燃料 要素の配置状況や燃料ベレット内の中心空孔の大きさ等を実験的に示すことにより、はじめて高速 炉燃料の照射挙動を明らかにしている。これらの研究成果には高く評価できる新規性が含まれてお り、原子力工学に貢献するところ大をるものがある。よって著者は、北海道大学博士(工学)の学位 を授与される資格があるものと認める。
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