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米 国 従 業 員 持 株 制 度 の 理 論 と 政 策 ー ル イ ス ・ オ ー ・ ケ ル ソ ー よ り ー ( 4 )

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(1)

-——---·

[研究ノート〗

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米 国 従 業 員 持 株 制 度 の 理 論 と 政 策 ー ル イ ス ・ オ ー ・ ケ ル ソ ー よ り ー ( 4 )

市 J I   I  兼

はしがき 二 理 論 の 部

1 基本概念(以上8巻3号) 2 政治的民主主義と経済 3 セーの法則の再検討

4 民主資本主義(以上8巻 4号) 5 経済史

政策の部 1 序論

2 伝統的な金融方法(以上9巻2号) 3 民主的な金融方法

4 資本主義を民主化する 8つの金融手段(以上本号)

5 民主的かつ商業的な資本信用保険 6 株式会社の民主化

7 税制

四 批 判 と 反 批 判 の 部 五 む す び

/¥ 

‑ 1 ‑ ‑ 3 ‑488 (香法'89)

(2)

米国従業員持株制度の理論と政策ールイス・オー・ケルソーより一(4)(市川)

0 七

3 民主的な金融方法

①  金融概論

資 本 の 形 成 と 獲 得 の 論 理 は 1つ の 言 葉 に 要 約 で き る 。 そ れ は 自 己 金 融 能 力 (self

financeability)である。もし資本手段がしばしばその形成費用を上回って払い戻さなか ったとすれば,産業革命のあらゆる段階は,それに先立つ道具時代と同じく,関係する 人々の生活水準を低下させてきたであろう。生活財の余裕が乏しかった工業化前の世界

(l) 

では,そのことはもっぱら死滅を意味したであろう。

営利企業が,土地,構築物,機械または無形資本への投資を決定する前には,通常次 の3点が問題となる。

1 . これらの資産はその前払い費用(自己資本投資)を合理的な期間(好況時の経験 則によれば3ないし 4年)内に払い戻すのに十分な純収入(netearnings)を生み出し,

かつ適切な保守,減価償却および定期的な更新(これらのすべては純利潤(netprofits)  を決定する前に,粗収入 (grossearnings)  から控除される)のために十分な資金を 稼ぐであろうか。

2 . 予想される純利潤報酬は他の事業機会と比べて有利であろうか。

3. 予想される純所得 (netincome)は残る債務を割賦償還し,かつ所有者にとって 満足すべき率の純所得を生み出し続けるであろうか。

これらの判断をすることは,会社経営陣または独立の企業家の責任である。その根拠は,

経験,信頼できるアドバイス,およびすべての関係ある資料の金融的分析である。この 未来予測が正しいと証明される確率が企業家リスク,採算リスク,事業リスクおよび資 本信用リスクと様々に呼ばれる。経営陣の腕は,人間に可能な限りこのリスクを最小に

(2) 

することにある。

資本資産は,良く経営された企業においては,その獲得費用を支払うのに十分な収入 を生み出し,さらに,不確定の期間,その所有者に満足すべき純利潤を与え続ける,と いう能力を有する。金融とは,それが資本資産に関するものである場合には,資本資産 のこの特徴的な能力を獲得者の利益のために活用すべくなされた芙約上の取決めに与え られた名前である。この特徴はすべての種類の事業家や企業家に不可欠のものであり,

効果において,それは新資本の形成に一種のバース・コントロールを課し,資本手段獲 得にさいしての誤りを減らす。もし,予期された資本獲得者または資金提供者が問題の 資産は合理的な期間内にその購入費を支払う収益をあげないであろうと判断すれば,企 業家はそれを獲得しないだろうし,予期された貸手は必要な資金を貸付けないであろう。

これらの問題についての判断の誤りに対する罰はよく知られているように高価なもので あり,それは正当である。経営陣の最も基本的な機能の 1つは前以て正確に新投資の採

9 ‑ 3 ‑487 (香法'89) ‑ 2 ‑

(3)

(3) 

算性を判定することである。

最初の費用を回復する周期の長さ,および資本が最初の獲得費用に等しい純収益を生 み出すのに必要な,その後に続く期間の長さは, もちろん,生産と消費の行われる経済 環境によって様々である。もし,資本手段の収益が資本所有者の手に入る前に,所得税 がその一部を取去るとすれば,資本費用を回復する周期はより長くなるであろう。もし,

米国その他の市場経済国の経済政策(サープライ・サイドの経済政策)のように,国の 経済政策が資本財の生産を特に奨励し,かつ,消費者収入をしだいに減じつつある労働 の価値とますます成長しつつある福祉とにゆだねるとすれば,その場合,費用回復周期 はずっと長くなるであろう。消費者需要が,ビジネス・エンジンの燃料であり,資本形 成の,資産獲得の,そして一般的には経済成長の触媒である。人々の需要と欲望に応じ て財貨とサービスの生産が増加しかつ人々の稼ぐ能力が生産の拡大と同時に増大する場 合にのみ,自由市場経済における健全な経済成長は達成できる。

伝統的な金融技術の問題は,それが企業の生産力と少数の富者の稼ぐ能力の拡大にの み向けられていることである。労働に稼ぎを完全に依存している多数の消費者の稼ぐ能 力を支え増大することは,政府または政府の支援する所得再分配と偶然にゆだねられて

(4) 

いる。

②  見えない経済構造

経済は単に目に見える工場,事務所,機械と設備,送電線網,牧場と草を食う牛,石 油やガスの貯蔵タンク,鉄道,船,荷を積み降ろしする埠頭,および国民総生産を増や す財貨とサービスを生産するその他無数の資本手段のような物質的な物のみからなるの ではない。土地,コンクリート,ガラスおよび鋼鉄等の目に見える構造の背後には,契 約関係から成り立つ目に見えない構造がある。これは企業家,投資銀行家,会社弁護士,

労働組合指導者,および原材料その他の物質的な資本の所有者たちの勢力範囲である。

彼らは経済制度の設計者である。彼らは,見える経済において労働作業者と資本作業者 を財貨とサービスの生産に結びつける,相互的な義務や責任や制限と共に権利や権限や 特権のこまかな網を編む人々であり,そしてその過程において生産への彼らの個人的な 寄与を基準として各々の受取る収入の分け前を決定する人々である。見えない構造は時 期的には見える構造に先立つ。なぜならば富の生産に参加する人々は,それに彼らが拠 出しなければならないものとその報酬としてそれから受取るものを知らない限り,企業

(5) 

への関与を拒否するであろう。

工業化された市場経済のたいていの欠点はその見えない構造の欠点に由来する。もし その構造が見える経済においてある家族または個人を特定の生産過程につながないとす れば,そのばあい,それは,事実上,これらの人々を合法的な経済的参加から排除する。

0 六

― ‑

3 ‑ 9 ‑ 3‑486 (香法'89)

(4)

米国従業員持株制度の理論と政策ールイス・オー・ケルソーより一(4)(市川)

彼らは労働作業者または資本作業者として生産過程から自動的に収入の分け前を受取る 権利を与えられない。彼らは合法的な生産への投入以外の他の何物か,つまり福祉かま

たはおそらく何らかの違法活動から彼らの消費を引き出さねばならないであろう。

もし, (1)富を生産することなしに, (2)市場価値の増大する何物かを所有することなし に,または(3狂意の贈り物の受益者であることなしに,是認された経済作用によって富 を獲得することが可能であるとすれば,見えない構造の組織そのものに欠点がある。そ れは生産と消費に従事する個々人の間で正当な勘定を保つよう設計されていないのであ って,詐欺や窃盗を助長するよう設計されている。見えない部門は富を生産しないが,

もしそれに欠点があるとすれば,富を生産しない者が富を獲得するということが可能と なるし,しばしばそういうことが起りうる。

見えない構造の設計は財貨とサービスの生産者としての労働作業者と資本作業者から なりたつ人々と,財貨とサービスの消費者としての同じ個々人およびその依存者との間 の等価関係を反映しなければならない。市場経済の完全民主化に責任ある者は,たえず 次のように問わねばならない。競争市場内で活動している,あらゆる所帯の労働作業者 と資本作業者は,自ら選んだ合理的なライフ・スタイルを成り立たせる財貨とサービス を得るために必要な収入を稼ぐことができるか。もしそうでないとすれば,何がなされ うるか。たいていの場合,その答えは,経済的に能力不足の者による資本信用の利用方 法を改善せよ,ということになるであろう。

生産の問題を解決すること,つまり,どのような程度のものであれ,政策形成者が全 体として満足すべきものと考えるレベルの産出高を達成することだけでは十分でない。

各々の家族がその費やす貨幣をいかにして入手するかという問題も解決されねばならな い。歴史を見ると,西側の工業化された経済はこの問題を偶然にゆだねてきた。財貨と サービスの生産が絶えず労働集約的なものから資本集約的なものに変っているので,消 資者の収入源も同じように変らねばならない,ということを認識しなかったので,我々

(6) 

は生産と消費の循環を完了させることができなかった。

資本信用リスクの保険を貯蓄に頼る金融方法は経済的には自滅的である。なぜならば,

それは事業から顧客を,顧客から豊かさを,そして経済から消費者需要を奪い取る。

消費者は資本作業者にならねばならないのであって,それには同時金融(simulfinanc‑ ing)が必要である。これは,会社のため資産を獲得するそれぞれの支出が同時に,金融

的に能力不足の消費者のために等しい価値の資本所有を獲得できるし,獲得すべきであ る,という考えである。もしこの両目的が同一の投資によって同時に達成されれば,そ の場合,自由市場経済における経済活動のために,想像もできなかったような新たな効 率性が達成される。

9 ‑ 3 ‑485 (香法'89) 4‑

(5)

かくして,正当な収入は生産への参加によって稼がねばならない,という市場経済の 論理それ自体が,事業のための資本取引に金融すると共に,資本所有からの収入を財貨 とサービスの消費に用いる人々による資本所有獲得のために信用を与える, という種類

(7) 

の資本信用を要求する。

③  資本主義を民主化する金融手段

今日の経済において,米国での資本を所有しない家族による資本の獲得は,連邦政府 が資本所有を経済的に購入可能なものにすることをその責務として認識し,公式に二要 素国民経済政策 (two‑factornational economic policy)を採用することと共に始まる。

既に高度に工業化している経済において,資本不足の人々を経済的に民主化する,政 府の手段は資本信用である。資本信用は十分に強力であって,私有財産制自由市場民主 主義の枠内でその仕事を達成できる。さらに言えば,資本信用は,これまでの工業化の 主なエンジンであったと共に,それは,資本過剰と資本不足の両立しがたい 2つの階級

を作り,維持してきた主な原因でもあった。

従業員持株制度は正しく設計され,正しく用いられるならば,会社の信用を利用して 会社そのものの成長と資産獲得に資金を提供すると同時に,会社の本来の株主である従 業員が会社の株式を購入し,その代価を彼らの労働の賃金からではなく,彼らの新たに 獲得した資本の賃金から支払うことを可能にする,資本信用である。以下に述べる金融

(8) 

方法はいずれも従業員持株制度のこの論理を基礎としている。

資本不足の住民を全体として資本作業者にする仕事は,私的部門である会社の従業員 だけでは終らない。もしその仕事が会社の従業員だけで終るならば,それは,会社の従 業員と同じ権利と熱望を有する数百万の人々,つまり政府や非営利団体で働いている 人々,専門活動や芸術活動を遂行する人々,学問や知的追求に従事する人々,および老 人や虚弱者を排除するだろう。今日では最後の人々は彼らを支える重荷を消費者と納税 者に負わす以外の選択をほとんど有しないが,しかし彼らは彼ら自身の資本によって支

えられるし,支えられるべきである。

その仕事は私的に所有されている経済分野の資本資産のみに限られない。土地,建築 物,機械,無形資本のいずれであれ,またその現在の所有形態がどのようなものであれ,

すべての資本資産は,その性質上,分割された持分において私的に所有可能であり,そ の主な利用者や受益者が代価を支払う効用やサービスをもっている。すべての資本資産 は私的所有が助長する保全,保護,関心および更新に値する。それらの私有化から生じ

(9) 

る収入が生活を支える資本の経済構造に寄与するであろう。

④  従業員持株制度の効果

従業員持株制度は死につつある会社を復興し,死んだ会社をよみがえらせさえした。

0 四

‑ 5 ‑ 9 ‑ 3 ‑484 (香法'89)

(6)

米国従業員持株制度の理論と政策ールイス・オー・ケルソーよりー(4)(市川)

それは会社内部の助っ人として役立ち,会社の主な持分の所有をその本来の株主である 人々つまり従業員に移すことによって,会社が起りえた破滅的な乗っ取りの試みを撃退 することを可能にした。それは,成功せる会社の従業員が初めは労働作業者として,そ れから徐々に労働作業者であると同時に資本作業者に変り,さらに,退職後は資本作業 者であり続けることによって,終身雇用を達成することを可能にした。従業員持株制度 の中には,民主化された資本主義の理論である二要素経済論を十分に尊重して設計され 運営されているものもあるが,しかし,正しく設計され設置されながら,後に,経営陣 の貪欲や労働組合の傲慢や経営陣・労働者間の対決姿勢の是正失敗によって,改悪され るものもある。経済力民主化の原理と哲学に献身する会社において,従業員持株制度に 精通している投資銀行家によって注意深く組織され設賞された従業員持株制度は完全に

(IO) 

成功してきた。

続けているけれども,

それゆえ,従業員持株制度は多くの分野の専門家や官僚の反対と闘ってきたし,闘い それが議会,メディア,および社会全般に支持者を得てきたこと は驚くにはあたらない。決して 2度と働く機会をもたないであろうとおそれていた人々 が,単なる従業員としてでなく,従業員所有者として工場または事務所を再開するとき,

彼らや彼らの家族と共に共同体全体が歓喜する。襲撃的なコングロマリットや病的資本 の操縦者にまさに売却されようとしていた会社の経営者と一般従業員が,彼らの銀行預 金や給料を減らすことなく,会社を購入することによって彼ら自身を解放し,その後そ れを成功的に運営するのを,従業員持株制度が可能にするとき,多数の者の生活がより

(11) 

良いものに変る。現在ではこのような出来事はありふれたものになっている。

資本主義経済が民主化されると,事業の拡大や獲得に金融する資本費用が現在の水準

1 0

より低くなるであろうし,欠点のある国民経済政策によって設けられた障害が除去され それゆえ,今日の従業員持株制度は民主化された資本主義経済において従 業員持株制度金融事業があげるであろう成果の一部を示唆するにすぎない。成功してい る従業員持株制度さえ,数年遡って従業員持株制度が使われていたとすれば,経済がは るかに健全となりもっともっと繁栄していたであろう,

にすぎない。過去半世紀間の大量の所得再分配は不必要であっただろう。技術進歩は現 在の状態より数十年先に進んでいたであろう。社会の攻撃が単に貧困の結果でなく,貧

(12) 

困の原因に向けられていたであろうがゆえに,貧困は克服されていたであろう。

財貨とサービスのより多くの消費を必要とし欲している人々が経済の正常な運行過程 において制度的に稼ぐ能力を獲得するとき,財貨とサービスの生産は前例のない水準に まで上昇するであろう。財貨とサービスの品質と技巧は,消費者購買力の慢性的な不足 によって課されていた制約から自由となり,以前の高い水準に復帰するであろう。競争 るであろう。

ということをほのめかしている

9 ‑3‑483 (香法'89) ‑ 6 

(7)

(13) 

が活発になるだろう。貨幣の購買力は年々安定し続けるであろう。

4 資本主義を民主化する 8つの金融手段

①  金融手段の概観

ケ ル ソ ー 達 が 米 国 経 済 を 改 造 す る た め に 開 発 し た 金 融 手 段 は , そ の 所 有 者 構 成 員 (owership constituencies)の選択基準によって 4つに種類分けできる。

第1の種類は,機能によって,株主構成員を選出する。つまり対象となる株主が当該 会社に対する機能関係のゆえに選出される。従業員持株制度の対象となる構成員は現在 および将来の会社従業員である。さらに,会社の年金制度がたまたま以前の従業員に割 増し給付を与えている場合には,議会が法律を若干修正すれば,彼らも含められよう。

従業員持株制度の変形の1つは,合同持株制度 (MutualStock Ownership Plan―~略

称 MUSOP)であり,これは,多くの場合,関連する事業に従事している諸会社からな る,小さい企業集団のためのものである。機能を基準とする第3の金融機構は消費者持 株制度 (ConsumerStock Ownership Plan-—略称 CSOP) である。これは社会主義 的な消費者協同組合の資本主義的な改作であり,消費者の支援に応じて消費者の株式所 有を生み出す。これらの3つの機能を基礎とする金融手段については②において論じる。

一般持株制度 (GeneralStock Ownership Plan-—略称 GSOP) については,その 特殊性のゆえに,特に③において論じる。これは,法の平等保護および特権と免責の平 等という憲法上の保障条項の下で,特定地域内の,政治的に選出されたすべての有資格 者を株主構成員に含めるためのものである。

④において 3種類の金融技術を論じる。これらはいずれも,再び憲法上の保障条項の 下で,法律によって経済的に能力不足の消費者を確認し,彼らの株式所有を助成する。

この3つとは,個別資本所有制度(IndividualCapital Ownership Plan-—略称 ICOP), 商業資本所有制度 (CommercialCapital Ownership Plan-―—略称 COMCOP) および 公的資本所有制度 (PublicCaptal Ownership Plan-—略称 PUBCOP) である。これ らの金融方法の重要な特徴は,功績,職人芸,精励,技術上の成功,優秀,あるいはい まだ自動化されていない特に困難なまたは不愉快な仕事のような,特殊な属性のある経 済行為をやる気にさせ,確保し,あるいはそれに報いるため,議会によって用いられる,

という点にある。言い換えると,この3つは,経済的に生産不足の人々の自立の権利を

(14) 

満たすだけでなく,公の政策を遂行するためにも用いられることができる。

⑤ に お い て 住 居 資 本 所 有 制 度 (Residential Capital  Ownership  Plan-—略称

RECOP)について述べる。ほとんどすべての家族が家を,良い家を必要とし,欲してい る。しかし,家は混じった性質をもつ。家は明らかに資本手段である。なぜならば,も し健全に設計され,良く建築されるならば,家は数十年間にわたってその所有者に居住

‑ 7 ‑ 9 ‑ 3‑482 (香法'89)

(8)

米国従業員持株制度の理論と政策ールイス・オー・ケルソーより一ー(4)(市川)

サービスを与えることができる。だが,家の生み出す居住サービスは通常所有家族によ ってのみ消費され,現金収入を生まない特殊なサービスであるので,家は消費財に似た

(15) 

性質も帯びている。

これら 8つの方法はいずれも資本金融手段である。すなわち,それは新資本の形成か または既存資本資産の獲得かあるいはその両方に金融する手段である。だが一方,それ は,同時に,もしそれがなければ経済的に能力不足の消費者の資本によって稼ぐ能力を 引き上げる。各々の手段は,その金融過程そのものによって,国民経済政策によって定 められた優先順位に従って,様々な階層の種々の個人のために,資本所有を積極的に作 り出す。現在の時点では,これらのうち従業員持株制度のみが立法府の合理的で健全な 支持を得ており,実業界でかなりの数の利用を見ている。

今のところ,少なくとも,これら 8つの手段は,米国経済を民主化し,その後それを 私有財産制自由市場の論理に基づいて運営するのに必要な十分な広がりと柔軟性を,企 業,個人および政府に与えるように思われる。各々の方法は,それらを必要とする特殊 な状況に合わせて改造されることができる。本当に,従業員持株制度については既にそ の変種がいくつか利用されている。同じ基本原理と目的に基づく全く新たな方法が経験

(16) 

の深まりにつれて発明されるかも知れない。

②  従業員持株制度,合同持株制度および消費者持株制度 (1)  従業員持株制度 (ESOP)

基本的な従業員持株制度がどのように機能するかを,第3図が示している。

第3図従業員持株制度(17)

← 一 現 金

従業員持株制度信託発行手形の支払保証

従業員

9 ‑ 3 ‑481 (香法'89) ‑ 8 ‑

(9)

公開会社であれ,閉鎖会社であれ,会社が工場を建設するか取得することによって,

資本施設(もし必要ならば,労働力も)を増やすことを決定したと想定する。採算性分 析は,生産物またはサービスが20パーセント増えても市場で売却して利益を得ることが できることを示している。その分析はその拡張が新しい資産を取得し運転資本を増やす ために必要とする資金額も示す。経営陣と株主が,「あなたがたの株主権を保護しながら,

従業員の稼ぐ能力を引上げ,ょ・くなし遂げる従業員のすべてに終身雇用の機会を提供す るように,あなたがたの事業を導びきなさい」という,民主資本主義のメッセージを受 入れる。これが会社の本当の機能である。技術が財貨とサービスの生産をますますより 容易にするにつれて,従業員が,絶えず減少する作業に対してより多くの賃金を要求す

ることなしに,より良い生活を亨受できるであろう,と期待することは正当である。

経営陣が(自らのイニシアテイプによってかまたは労働組合の要求によって)第3図 に示されているような従業員持株制度金融計画を実行するため従業員持株制度に経験の

(18) 

あるマーチャント・バンカーを麗うことを決定する。

この目的のため用いられる金融技術としての従業員持株制度にはいくつかの重要な特 徴がある。

1 . ローンは,伝統的金融でのように,直接会社に対してなされるのではなく,適当 な連邦税法および州税法によって非課税とされている従業員を構成員とする信託として 適格である従業員持株制度信託に対してなされる。そのような信託は通常会社の全従業 員を含む。信託において設計された計算式によれば,従業員持株制度金融によって取得 した株式における従業員の相対的な持分は,各々の金融を支払うのに要する期間の間に 従業員が使用者から受取った年間報酬に比例する。通常, 3ないし 5人からなる委員会 が取締役会によって任命され,信託を管理する。一般の従業員が 1人ないし複数そのメ

ンバーになってもよい。

2 . 従業員持株制度委員会は,借人金でもって,会社から新発行株を,その時の公正 な市場価格で,もしその株が公開市場では十分に取引されていなくて市場価格を有しな いとすれば,財務・労働両省の適当な規則の下で専門の鑑定人によって決定された公正 な価格で,購入する。

3. 信託は貸手に借入金のため約束手形を与える。その手形は株式の質入れによって 担保されることもされないこともある。もし株式の質入れによって担保されているとす れば,それぞれの分割返済額に応じる量の株式が定期的に質入れから解除されるよう設 計される。その解除された株式は各々の加入者口座に割り当てられるかまたは受給権付 与表(vestingschedule)に従って仮りに割り当てられる。会社はローンの返済を保証し,

この目的のため信託に適当な支払をする。もちろん,そのローンは,債務が会社自身の

00 

‑ 9 ‑ 9 ‑ 3 ‑480 (香法'89)

(10)

米国従業員持株制度の理論と政策ールイス・オー・ケルソーより一(4)(市川)

直接の責任であったとすれば,会社と貸手との間に同意されえたであろうような,あら ゆる方法で担保されることができる。

4 . 従業員持株制度金融について設計し,会社と制度受託者に助言する投資銀行家の 腕の見せ所は,同制度の購入する株式が代表する資産の生み出す課税前の収益によって 借入金の元利を割賦償還し,同制度が従業員株主に配当を始める前に,他の株主の資産 が一時的な希釈化から速やかに回復するように,すべての貸借条件を組み立てることで

嘉 。

5 . 会社が課税前のドルでローンの元利を返済し,同時金融の便益を享受できるので,

銀行は従業員持株制度金融により有利な条件を与え始めている。同時金融は獲得資本が あげなければならない収益負担を減少する。というのは,ひとつには,従業員持株制度 は課税前の会社収益を利用できるし,また同制度によって購入した従業員持株のための 支払いに用いた金額だけ,使用者と従業員の両方にとって社会保障税を節約する。付け 加えて,同制度によって,従業員は株式に投資するが,その同じ投資によって会社は資 産を購入し税金を節約するし,従業員は所得税を繰り延べる。そのうえ,同制度によっ て,会社は,使用者にとって直接には利益にならないし,従業員にとってはもしあると してもわずかな利益を稼ぐだけの,年金制度や利益分配制度のための,低い利回りの既 発行証券を購入する負担を免れることができる。最後に,同制度によれば,従業員は退 職または離職にさいして信託から受取る資産の価値が当該株式のため信託によって支払

(20) 

われた額を超える範囲についてキャピタル・ゲィン課税に服すればよい。

6. 従業員持株制度獲得株式の価値に関する従業員の所得税はすべて,制度がその株 式に支払った時から従業員が退職または使用者から離職する時まで,繰り延べられる。

かくして,会社が正しく設計された従業員持株制度を通じてその従業員に所有される程 度に応じて,かつ従業員持株制度が会社の成長に金融するため用いられる程度に応じて,

会社とその従業員は,資本目的のための会社収益の利用において,伝統的な内部金融の 場合よりも数倍の効率性を達成できる。

貸手は別の理由から従業員持株制度金融ローンを特に好む。つまり,従業員が従業員 持株制度の論理とそれが従業員の利益のためいかに機能するかを理解したうえで,従業 員が使用者の事業に所有者持分を取得すると,従業員の労働意欲が高まる。議会は, 1984 年従業員持株法 (TheEmployee Stock Ownership Act of 1984)において,従業員持

九 九

株制度へのローンから得た利子について,銀行が支払う所得税を50パーセント減じるこ とによって,同制度金融をさらに促進した。連邦準備銀行が同制度信託発行手形を割引 いて現金化し,資本信用を商業的に保険することによって金融を促進するとき,ローン はより一層容易になるであろう。

9 ‑‑3 ‑479 (香法'89) ‑ 1 0 ‑

(11)

会社が良い利潤をあげ,それが続くと期待でき,そして,会社が,連邦と州の法人所 得税を合わせて,これに社会保障税の使用者負担分も含めて,約50パーセントの課税区 分にあるとすれば,従業員持株制度金融は,会社に直接なされたローンよりも 2倍安全 でありかつ 2倍容易に割賦償還できる。というのは,それは課税後の資金からでなく,

課税前の収益から返済できる。これらの考慮すべき事柄のゆえに,担保と利子について の契約上の要求が,同金融においては他の種類のローンよりもずっと好意的になるであ ろう。より低い課税区分にある会社については, もちろん,税制上の利益はより小さく なる。その場合でさえも,同時金融の利益は大きいであろう。さらに言えば,会社が自

らの成長に同時的かつ自動的に金融するとき,会社は従業員の資本によって嫁ぐ能力を 強化し,彼らに終身雇用の道を開く。商業的な貸手はこれらの考慮すべき事柄に敏感に 反応するであろう。これらの事柄は貸金事業にとってきわめて菫要である。もし敏感な

(21) 

反応がない場合には,管轄当局はそれを促進できる立場にある。

7 . 会社は,信託がその債務を割賦償還するのに十分な額を信託に定期的に支払うこ

(22) 

とを貸手に保証する。法律によって定められた限度内において,そのような支払は法人 所得税を課されない。かくして貸手は,会社がローンの返済を支援するという一般的信 用に付け加えてローンが課税前のドルで返済されるという安全性をもつ。もし,民主化 された資本主義の原理を遵守して,金融協定が設計され,金融を組み立てるため投資銀 行家の技能が発揮されておれば,信託保有の株式が代表する資産持分の稼ぐ課税前の会 社収入は,通常,従業員持株制度債務の期間内に融資債務の支払を完了するであろう。

かくして,普通には,既存株主の資産持分が経済的に希釈することはなかろう。同制度 金融が同制度についての投資銀行の基準に適合する場合には,もしそのような希釈が生 じるとしても,それはほんの一時的,つまり 1, 2年であって,その後では拡張は一般

(23) 

にすべての株主を豊かにするであろう。

現行の法人所得税法と当り前になっている株主財産権の弱化の下では,融資期間中の 同制度信託への会社による支払は,取締役や所得税を徴収する政府が従業員でない株主 の所有する株式について私有財産権を認めているよりは,従業員株主が受益的に所有す る株式について私有財産権を,はるかに高い程度において認めている。現行の法人税法 と会社配当政策の下では,一度,同制度融資の支払が完了すると,大部分の会社株式が 同制度を通じて従業員によって所有されていない限り,同制度加入者は,彼らの投資(特 定プロックの株式)について,他の株主と同じく賃金の一部のみ(配当)を受取るだろ う。なんといっても,ある種類の株式のそれぞれは同ーなのであり,それゆえ,同じ配 当を与えられる。

経済の金融慣行が民主化された資本主義の概念に適合し始めるにつれて,資本の全賃

九 八

‑ 11  ‑ 9 ‑ 3 ‑478 (香法'89)

(12)

米国従業員持株制度の理論と政策ールイス・オー・ケルソーより一 (4) (市川)

金がすべての株主に支払われるであろう。そして,その後,新資本の形成は,主として,

そしてついには完全に, 1つまたは複数の二要素金融方法に関連して用いられる,比較

(24) 

的費用の低い,商業的に保険された資本信用によって,金融されるであろう。

8. かくして会社によって支払われた株式は,その年度に使用者会社から加入者に支 払われた報酬に比例して,定期的に加入者口座に割当てられる。かくして従業員は,彼 らの過去の貯蓄からの支出も給料からの控除もなしに,かつ仲立料その他の負担なしに,

それぞれの株式ブロックが信託によって購入された時に確定した価格で,数年にわたっ て価値の増大した株式を取得できる。かくして支払われた株式の価値は,同制度保有株 式の代表する資産が稼いだ収入から苦労なく購入され,各々の従業員の難なく発生した

「貯蓄」となる。これは,会社金融の一般理論,つまり資本はその生み出す収入によって 購入される,に適合する。しかし,従業員持株制度の革新性は,それがこの論理をすべ

(25) 

ての従業員に広げる点にある。

9. 金融が完了しローンが返済されるにつれて,株式の受益的所有が従業員に移る。

その場合,従業員は,資本の貸手によって課された一時的な条件または従業員持株制度 信託の条件を満たすために,同制度が従業員の黙従を特に定めていない限り,その株式 の議決権を有する。高度障害または退職のいずれであれ麗用の終了時に,受給権規定に 服しながら,従業員が累積されたポートフォリオを現物かまたは現金で最終的に引出す のを認めるよう,信託を設計することもできる。しかしながら,支払が終って従業員の 口座に割当てられた株式の配当収入はその従業員のための購入された株式の支払にあて られるかまたは従業員加入者に彼らの資本の賃金としてただちに分配されるよう,同制 度および信託を設計することが望ましい。

同制度において従業員のため保有されている株式の配当は, 1984年従業員持株法のお かげで,課税前のドルで支払うことができる。かくして,配当が同制度を通じて支払わ れる場合には,資本の賃金は,労働の賃金と同じ課税控除性を有する。

資本の全賃金を受取る株主の財産権が認められるにつれて,従業員はその持株から彼 の収入の大きなそして増大する部分を得るであろう。退職後の彼の生活の快適さと保障 は,この源泉からの,あるいはその後の多様化を考えると,当初この方法で獲得された

(2~)

資本からの,収入によって主として引き受けられるであろっ。

10. 一度,使用者会社株式が従業員持株制度によって購入され支払われると,そのポ

ートフォリオは,もし同制度委員会が望むならば,会社株式を売却し他の適当な投資を 購入することによって,多様化されることができる。これは所得課税を引き起すことな しにできる。多様化に賛成または反対する論拠は場合によって様々である。制度証書 (plan documents)は多様化を授権するよう作成することができる。

9 ‑ 3 ‑477 (香法'89) ‑12‑

(13)

疑いもなく,議会または管轄当局は,一度,従業員のポートフォリオが十分に大きく なって彼の終身雇用に適切に貢献できるようになったとすれば,制度受託者がそのポー

トフォリオを多様化できるよう,その権限を改善できる。しかし終身雇用が主たる目的 であることを誰もが考慮すべきである。

しかしながら,会社が同制度によって全面的にまたは大部分従業員所有である場合に は,同制度と会社は,より頻繁に,従業員が退職または雇用を終了したとき,同制度金 融株式の内部的な株式市場として機能する。このことが,従業員が主として資本作業者 になるにつれて,彼のポートフォリオが多様化するのを助ける。これはまた,同制度が 従業員の世代交替に応じて会社の所有権を回転させること,および経営陣が伝統的にし ているように自己の後継者を選出することを可能にする。

従業員は使用者会社株式の本来の株主である。一度,同制度が設立されると,会社の 資本成長のすべてではないにしても大部分が同制度を通じて金融されるべきである。こ れのなされる程度は個別の状況によって異なるであろう。その程度はまた,個々の会社 が他の構成員 (constituencies)を利用するため用いる,他の二要素金融方法の利用可能

(27) 

性によっても異なる。

(2)  合同持株制度 (MUSOP)

余りにも小さい会社は,入念に準備された従業員持株制度の必要とする専門職を雇う 費用および管理費用を支払うことができない。会社の従業員数や規模がその費用を正当 化できるほど十分に大きくない。このことは,従業員持株制度金融が,良く経営され成 功している会社において,規模のいかんにかかわりなく,商業的に保険された資本信用 と連邦準備銀行の割引による現金化によって遂行され,これらの会社および従業員がコ ストの低い信用を利用できる場合でさえも,真実でありうる。

そのような場合や,おそらく他の多くの場合に,合同持株制度を設立し利用するため には,立法による認可が望まれる。中規模企業の場合でさえも,合同持株制度は,同時 金融の利点を失うことなく,手続を簡単にし,費用を引き下げ,投資を多様化し,かつ 株主が売却を希望する場合に株式買戻のための内部的な株式市場機能を強化するため,

魅力的でありうる。

合同持株制度は,会社の成長資金や運転資本を調達するために低い費用で頼りになる 資本信用を必要としている諸会社にとって,相互的に機能するよう設計されるであろう。

同制度は,会社の従業員のために,自社株や類似会社株も含めた,株式ポートフォリオ

(28) 

を効率的に多様化する手段としても役立つであろう。

一度,商業的に保険された資本信用が利用できるようになると,合同持株制度は連邦 準備銀行の割引適格を有する貸付機関からローンを借り入れるであろう。その資金は,

九 六

‑13 ‑ 9 ‑ 3 ‑476 (香法'89)

(14)

九 I 

米国従業員持株制度の理論と政策ールイス・オー・ケルソーより一(4)(市川)

同制度金融会社各々が新たに発行する株式に個々に投資されるであろう。従業員持株制 度に使用されているのと同じ原理を用いて,それぞれの会社のローンの支払が完了する

につれて,合同持株制度保有株式のそれに相当する価値が会社の従業員に割当てられる であろう。

か く し て , 合 同 持 株 制 度 は 複 数 の 会 社 の 従 業 員 の た め の 一 種 の 複 合 構 成 員 信 託 (super‑constituency trust)となるであろう。それは,会社それ自身にとって効率的な資 金調達手段であると同時に,これらの会社の従業員には分散投資のミューチュアル・フ ァンドを提供するであろう。同制度は,たぶん,加入会社の負担する手数料 (service charge)からその運営費を支払う収入を稼ぐであろう。加入会社が会社利潤のすべてを 同制度に規則的に支払うようになると,次には,同制度がその株主に配当を支払うこと

となろう。

合同持株制度は,加入会社およびその各々の従業員の必要に応じて,局地的,地方的,

または全国的でさえありうる。同制度信託の各々の管理陣は通常加入会社の経営陣から

(29) 

選出されるだろう。

合同持株制度の構想と運営方法が第4図において示されている。

4図合同持株制度(30)

各加入会社の別々の保証

貸付団体

! J   /  , / , ,   ¥ ¥ , ; ; ~

我・ 部 と 再

9

の保百l

↑ 

I  I /む ~{:\

,~ 百・分散再保険

(CDRC) 

' 

 

* 、 .+  . . ' +  

合同持株制度第 1号会社 ば}悶芯芯'.~➔In涵る爺箪;-~1

I

連邦準備銀行

(3)  消費者持株制度 (CSOP)

消費者持株制度は社会主義に由来する生産者協同組合の資本主義における相当物であ る。今までのところ,設立された同制度はたった 1つであるが,その成功は驚異的であ る。それは,カルフォルニア小卜1フレスノに本店のある ValleyNitrogen Producers, Inc., 

9‑3‑475 (香法'89) ‑14‑

(15)

という名の化学肥料会社である。同制度を利用しての同社の設立と資金調達は1957年か ら1963年にかけて起きた。同社によって農民株主が2つの新しい化学肥料工場を購入し た。両工場は速やかにそれ自体の購入費を支払った。その後,結果的には,農民株主は 生産費とほとんど変らない価格で大量の化学肥料を購入できることとなった。というの は,利潤が配当として株主に支払われた。肥料価格を半分以下にまで切下げた農民所有 企業との競争に激怒した寡占が議会を説得して税法を変えさせたので,同制度は最初の ものが最後のものであろう。しかしながら,議会が取り去ったものを,議会は,反省し

(31) 

て,回復することを決定してよい。

消費者持株制度は,独占的ないし寡占的な消費者関係を有するかまたは毎年大量の財 貨やサービスを購入するかなりの数の安定した消費者を有する,公益事業その他の事業 会社の消費者に資本所有をもたらすことを意図している。

1 . 会社の消費者各人の口座をもつ構成員信託が,指名された銀行または信託会社か 当該会社自身によって設立される。

2. 銀行,公益事業会社,保険会社またはその他の適当な会社は,法律によって,同

(32) 

制度を支援する条件として,そのサービスまたは生産物の(法人でない)個人消費者に,

会社の10年間の,移動平均によって計画した資本投資を(会社の財貨やサービスの彼ら による購入予測に比例して)引受けることを要求する権限を与えられるだろう。この資 本投資計画は,会社が従業員持株制度その他の民主資本主義的な金融方法によって資金 調達するものを除いて,資本の形成と獲得および運転資本に必要と見積られたすべての ものを含むであろう。会社は時々の金融上の必要から顧客に引受を申出るが,顧客がそ の引受に応じてなす支払総額は,配当をあてることによって引受に支払うことができる ようにするための資金繰りに合わされるであろう。方法は消費者の生産物購入量の過大

(33) 

または過少見積りに合わせて引受を調幣するよう設計できる。

3 . 消費者の引受に支払うための資金は,銀行,保険会社そしておそらく貯蓄貸付組 合も含む連合体によって,供給されるであろう。

4. 各々の消費者が引受ける株式数は,会社が公に提供しているサービスや生産物の,

各々による購入予想額に比例して決定されるであろう。それぞれの引受は,もし会社の 配当がかくして購入された株式によって代表される資本の賃金全部もしくはほぼ全部よ

りなるとすれば,配当だけで支払われるであろう。

5. 消費者持株制度金融が,連邦準備銀行の割引によって現金化される,商業的な資 本信用保険を利用できるようになると,ただちに,同制度金融会社は,法律によって,

その株主に持分割合に応じて稼ぎを全部支払うこと,およびその将来の拡大と運転資本 に必要な資金を同制度と従業員持株制度への株式売却によって調達することを,要求さ

九 四

‑ 1 5 ‑ 9 ‑‑3 ‑474 (香法'89)

(16)

米国従業員持株制度の理論と政策ールイス・オー・ケルソーより一(4)(市川)

れるべきである。配当は,従業員持株制度の場合と同様に,州レベルでも連邦レベルで

(34) 

も会社によって課税控除可能とされるべきである。

6. 会社金融の貸手は,従業員持株制度と消費者持株制度の借入れ手形を直接連邦準 備銀行で.同銀行の運営費を基礎として算出された小さい割引率で,現金化できるだろ

う。

一度,適切な会社の消費者持株制度金融が商業的な資本信用保険を利用できるよ うになると,借手つまり同制度信託にとっての実質的な利子率は,

ローンを保険するための保険料および連邦準備銀行の割引料を含め 7. 

ローンをするため必 要となる銀行報酬,

て, 4パーセントを超えないと推測される。

8. 支払の完了していない株式についての配当はその買手にとって非課税とされるべ きである。 これは従業員持株制度の論理である。 しかしながら,支払の完了した株式に ついての配当は消費者にとって課税所得となるだろう。 その配当は消費者が会社から購 入したサービスの費用を相殺する (引下げる) という効果をもつだろう。

9. かくして,公益事業その他の適切な会社は,従業員持株制度と消費者持株制度を 組み合せることによって,生産費を引下げることができるだろう。従業員と消費者の稼 ぐ力は資本作業者収入の上昇によって強化されるだろう。従業員は,段々に少なくなる 作業に対する報酬としてますます多くの賃金を要求することを控えるであろう。消費者 の稼ぐ力は一般的に拡大するであろうが,特に消費者持株制度金融会社の生産物とサー

(35) 

ビスを購入する力が大きくなるであろう。

5図 消費者持株制度(36)

規制を受ける公益 事業その他の適切 な会社

連邦準備銀行

株式引受人である消費者各人のためのエスクローに購入株式を発行する︒

課税前の純利益から株式のため全額支払う︒

9‑3‑473 (香法'89)

消費者持株制度会社の顧客 個人顧客が会社の課税前の 配当からのみ支払われる

(償還請求権のない)手形を 購入する。

商業的な資本 信用保険引受 人

危険と保険料

の一部の譲渡• 再保険

資本分散再保 険公社(CDRC) 

‑16‑

(17)

第5図は消費者持株制度の設計と運用を示している。もちろん,誰もが消費者である。

しかし,同制度金融が実用的であるためには,その加入者は長期の,恒常的な顧客であ るべきである。さらに,消費者はその収入のかなりの部分でもって供給企業から生産物 またはサービスを購入することを必要とするべきである。というのは,消費者の獲得す る株式量は,その購入量に関係する。

独占もしくは独占近似状態を享受し,規制を受けている公益事業の場合には,論理と 公正さの両方が消費者持株制度金融技術の利用を強制する。今日事情がそうであるょう に,消費者は伝統的な公益事業資本の拡張すべての費用を支払わざるをえない。しかし,

消費者は公益事業の資本所有を獲得しない。彼らは公益事業の不在株主のための資本所 有に金融するだけである。かくして,伝統的な公益事業金融は,既に豊かな所有者をよ り豊かにする。彼らはその資本を働らかせて選択の余地をもたない消費者にサービスを 供給している。だが,伝統的な公益事業金融は,これら消費者の収入を稼ぐ能力には何 も付け加えない。この慣行は違法であると共に差別的である。それは,とりわけ,米国 修正憲法第14条に違反する良い例である。なぜならば,同条は,法律の,本件に即して

(37) 

言えば,資本信用の利用を支配する法律の,平等保護を保障している。

カルフォルニアの農業用化学品の,消費者持株制度を利用した生産者である, Valley Nitrogen Producers, Inc. の成功は,その州規模の広がりをもつ株主団体の各々によって 獲得された株式保有が彼ら個々の肥料需要に比例していたという事実に由来する。当初

から非常に多額の配当が支払われ,後にはこれが株主の肥料費用を著しく減じた。

消費者持株制度の基本原理はいたるところに広く適用できる。米国では,事実上すべ ての銀行,保険会社,および公益事業会社が理想的な候補である。小売業の連鎖組織で ある, Sears, Roebuck & CO.,  Montgomery Ward, Saks Fifth  Avenue, Dayton‑ Hudson Corporation, Standard Oil Company, Alcoa, Mobil, Safeway, Great Atlantic  and Pacific Tea Companyや,多様な食品の製造業者である,PillsburyMills, Standard 

(38) 

Brands, Beatrice Foodsもそうである。

③  一般持株制度 (GSOP) (1)  意義

一般持株制度は,法律が特にこれを認めた種類の事業に資金を供給する過程において,

広い範囲の資本不足の個々人に資本信用を与える方法である。活動範囲が全国的かまた は地方的である場合には,連邦法が同制度を認可できるし,活動範囲が地方的,州規模,

または 1ないし複数の自治体である場合には,連邦法と州法の両方が認可できる。特定 のもしくは特定種類の同制度による金融に適格であるか否かは,居住地域その他の関連 を基準として決まる。

‑ 1 7 ‑ 9 ‑ 3 ‑472 (香法'89)

(18)

米国従業員持株制度の理論と政策ールイス・オー・ケイソーより一ー(4)(市川)

同制度は,たとえば,大きなガス,石油または石炭の輸送線が通過している州の経済 的に能力不足の市民すべてがそれらの所有に預かるために,または,同制度からの配当 が増えるにつれて社会保障給付を減らすという転嫁方式の下で,該当州の社会保障受領 者がそれらの所有に預かるために,用いられよう。また同制度は,郵便事業のような,

公有の生産施設を私有化して,特定種類の経済的に能力不足の消費者に所有させるため に用いられよう。同制度による株式獲得に適格である他の人々としては,未成年の子供 達を扶養する失業中の親,肉体的または精神的に障害のある人々,技術にとって代わら れた作業者,および退役軍人が考えられよう。同制度の各々は,株主構成員のために,

商業的に保険された資本信用金融によって,生産的資産を獲得し,所有し運用するため

(39) 

組織された私的な会社であるだろう。

(2)  アラスカ一般持株会社の実験

1978年の連邦の一般持株会社法とこれに関連するアラスカ州法(提案されたが立法化 されなかった)は,一般持株制度概念の先駆的な実験であった。アラスカ一般持株会社

(40) 

(Alaskan General Stock Ownership Corporation-—以下 AGSOC と略す)は連邦法

によって認可されたが,しかし活動することはなかった。なぜならば,アラスカ州がそ れに関連する必要な朴

I

法を立法化できなかった。しかしながら,これは,一般持株制度 がまさに実行されようとしていた場合であるので, AGSOC提案を同制度の基本原理の

(41) 

lつの適用例として見ることができる。

私 的 ま た は 公 的 な 貸 手

6図 AGSOCが BPPipeline, Inc. から TransAlaska Pipeline  Service Co. (TAPS)持分を購入する(42)

TAPS持分入手のため生

アラスカ一般持株会社 じた債務の補償 (5)

喜正巳~仇~-

Pipeline, 

AGSoc

債務を

s q  

信準に必い

的険行現も業保銀るし

商用備よず ア '

引受けた債務部分につき AGSOCによる支払に保証を与える

BP Pipeline,  Inc.  と長期,

短期の債権者

第6図は AGSOC計画の概要図である(以下の各段落に付けられている数字は同図の

9‑3‑471 (香法'89) ‑ 1 8 ‑

(19)

中の()付数字に対応している)。

1 . まずAGSOCが取引に必要な現金を支払う。 AGSOCへのローン(下記9を参照)

がAGSOCにBP.Pipeline, Inc. への支払に必要な現金,AGSOCによる資産取得に必要

(43) 

な現金および運転資本に必要な資金を供給する。

2. 次に述べることは 1つの試案である。 AGSOCが運用資産または純資産価値ある ものを取得する前に, AGSOC株が有資格者のために AGSOC信託およびエスクロ一部 門に発行される。その結果,ェスクローヘの最初の発行は,未確定の将来の価値の取得 にすぎないので,株主にとって課税所得を生じる出来事とはならない。株式の発行に先 立って,米国財務省は規則によってこのことを明確にするよう求められる。AGSOCによ って発行される全株式は,その購入時に住民である各個人のために設立されたエスクロ ーにおいて保有される。「住民」は州法によって定義される。価値ある資産を AGSOCが 獲得するにつれて,株主によって受益的にまたは直接に所有される株式が価値を獲得す る。エスクローの条件はAGSOCの付属定款またはこれに従って制定された規則によっ て定められる。最初に発行された株式のエスクローは,少なくとも,内国歳入法典第6 編によって定められた 5年の譲渡禁止期間の満了まで,未成年の株主のためにはアラス

か)小1法の定める成年(現在19歳)に達するまで,そして株主がエスクローからの株式の 解放に関する合理的な AGSOC規則を満たすまで,存続する。それを十分詳細に展開で きるのはAGSOC取締役会のみであるが,ェスクローから最終的に解放された株式につ いては,AGSOCが個人間での株式譲渡を促進すると想定することは合理的である。もち ろん,計画目的のため,資格ある住民をどのように決めるかは,政治的問題である。連 邦一般持株会社法の特徴は, AGSOCの機能がクローズド・エンド型投資基金と非常によ

(44) 

く似ている点にある。

3. この概要図は, AGSOCがTAPSにおける BPPiplne, Inc. の持分全部を購入す る,と想定している。この売手が TAPSにおける持分15.8パーセントよりはむしろ12.5 パーセントの売却を望んでいるという証拠があった。取締役会が購入量を12.5パーセン

トにするかまたはそれより大きくするかを決定するさいには,その結果生じる AGSOC の輸送容量におけるアラスカ石油の持分の関係,他者のための輸送の経済状態およびそ の結果生じる AGSOCのマーケティング上の問題を含めた,多くの考慮が必要である。

4. 仮見積りでは, BPPipline, Inc. は持分全部を売却するが,他のTAPS持分所有 者はその優先権を行使しないであろう,と想定している。おそらく,この数字は,交渉 や取引完了日によって,調整されるだろう。

5. この見積りの下で, AGSOCは, BPPipline, Inc. の未払いの負債12億12百万ドル を引受ることに同意する。

九 〇

‑ 1 9 ‑ 9 ‑ 3 ‑470 (香法'89)

(20)

米国従業員持株制度の理論と政策ールイス・オー・ケイソーより一(4)(市川)

6.  AGSOCは,売手が TAPS持分を取得するに際して売手に生じた債務のうち未払 いのものの支払を引受る。

7. 平行線図は,アラスカ州の住民で資格あるもの全体を表している。その適格性は アラスカ小M法が決定する。各々の住民は, AGSOCの規則や付属定款によって AGSOC の中に設けられた,ェスクロー制度に各人のエスクローロ座を有する。

8.  AGSOCは AGSOCに最初に貸付けれた資金およびその後折々に貸付けれた資

(45) 

金の返済を貸手に直接保証する。

9. 貸手はまず組織作り,幹部採用および事業開始に必要な資金を,運用資産獲得の ための資金や当初の運転資本のための資金と共に, AGSOCに貸し出す。この図は,アラ スカ州がアラスカ一般持株会社法およびその他の適用法によって定められた限度内で債 務に保証を与えるので,または,州の油田使用料から数十億ドルを得ているアラスカ永 久基金 (AlaskaPermanent Fund)から適当な信用保険を得るので,最低利子率で借入 れできると,想定している。この提案では,アラスカ州が,住民株主の議決に基づいて,

資金の25パーセントまでを保証する計画になっているが,もちろん,全債務を支えるの は AGSOCの一般的信用である。もし商業的な資本信用保険が利用可能であり,連邦準 備銀行の割引による現金化が可能であるとすれば,州または州基金による保証ないし保 険は必要ないであろう。

10.  連邦一般持株会社法は, AGSOCの税引前利益の90パーセントを株主に配当とし て支払うことを要求した。その場合,会社によって AGSOCの信託およびエスクロ一部

(46) 

門に支払われた配当は, AGSOC債務の元利の支払いに用いられるであろう。

(3)  一般持株会社株式の市場性と売買価格

連邦法の明文の規定によって,一般持株会社株式を所有できるのは個人のみであり,

かついかなる個人も同株を10株より多く獲得することを認められていなかったので,従 来の米国の公開株式市場のような賭場という意味での,株式のための公開市場はおそら く発達しないであろう。しかしながら,連邦法が課した 5年の譲渡禁止期間中でさえも,

株主の死や州外への移住によって,同株を売買する必要が生じる。

その必要が生じたとき,売手は資格ある住民を買手として見つけ出すか,または,売 手の代理人もしくは資格のある株式ブローカーが買手を見つけ出すまで,その株式は,

一時的に,構成員信託の一般エスクローロ座に移されるかまたは正当に任命された外部

の移転エスクロー機関に移される。

ケルソー達は,その提案した AGSOCのための設計において,最初の 5年の制限期間 内に, AGSOC株の保持を望まない移住者のなす売却はその時現在の帳簿価値でなされ るよう,勧告した。この 5年の間,会社は売却を申出られた株式の優先先買権(theright 

9 ‑3 ‑469 (香法'89) ‑ 20‑

(21)

of first  refusal)を有することとなろう。付け加えて,連邦法が,この5年の間,一般 持株会社株式を質,抵当その他の負担に服せしめることを禁止していた。

5年の譲渡制限期間が満了し,株主が成年に達した時,一般持株会社株式のために純

(47) 

粋な投資家(投機家でなく)市場が生じるであろう。

一般持株会社はその純収益の少なくとも90パーセントを配当として毎年支払うことを 要求されているので,連邦法は同社株主に高度の私有財産権を与えた。これは,私有財 産の特質と尊厳の程度において,法が伝統的に労働賃金に与えてきたと同じものを同社 株の資本賃金に与えた。もし利益をあげるならば,配当が定期的に支払われ,収入源と

して信頼できるようになるだろう。株主が株式を投機的な偶然の授かりものどしてでは なく,永久的な収入源を彼らに与える資本作業者雇用として見るのを促がすよう,積極 的に良く構想された教育およびコミュニケーション・プログラムが制度化されるであろ

う。

一般持株会社株は四半期ごとに評価され,その評価は直ちにすべての株主に知らされ るであろう。それゆえ,おそらく,独立の専門的な鑑定人による評価が自由な投資家市 場でのAGSOC株の取引価格に影響するであろう。そのような市場においては,買手の

(48) 

投資的利益が支配し,投機的利益は助長されないであろう。

(4)  一般持株会社の経営

私的な営利会社として,一般持株会社はその取締役会によって経営されるであろう。

取締役には得られる限り最高の専門経営者が雇われるであろう。各々の一般持株会社は,

最初は全体として設立州の全住民によって所有されているので,それは,設立州ないし その機関から様々な方法での金融的支援を受けるであろう。もし州議会が授権するなら ば,それは,開業資金のためのローンまたはそのコーンの保証を受けることができ,組 織を作り,専門経営陣を雇い,取締役の報酬を支払い,生産的資産の獲得または建設の ため交渉し,金融について交渉できることとなろう。そのような金融は,もし正しく授 権されるならば,州によってなされうるし,あるいは州ないし州機関の保証によってな されうるであろう。民主資本主義原理に適合する金融が商業的な資本信用保険を利用で きるようになると,一般持株会社は,それに適格である最初の種類の会社となるであろ

ぅ 。

民主化された資本主義経済においては,市場独占とならない限り,また個人の資本保 有が制限の原理に反しない限り,特定の一般持株会社が獲得できる資産の量を制限すべ

(49) 

きでない。

④  個別資本所有制度,商業資本所有制度および公的資本所有制度 (1)  個別資本所有制度 (ICOP)

\   J J  

‑ 2 1 ‑ 9 ‑3‑468 (香法'89)

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