高 齢 ゲ ー ト ボ ー ル 愛 好 者 の 体 力 特 性 宮 口 和 義*出 村 慎 一**宮 口 尚 義**
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(2) 263. 高 齢 ゲー トボ ー ル愛 好 者 の 体 力 特性. 者 が こ の ス ポ ー ツを愛 好 す る理 由 と して,ル. ール. が 簡 単 で,体 力差 や 運 動 経 験 が それ 程 関 係 しな い こ とが あげ られ る.ま た,ゲ. ー トボ ー ル の 持 つ頭. 脳 的 プ レーや チ ー ム プ レー な どのお も しろ さが 高. B.ア. ンケ ー ト調 査. G愛 好者 及 び 一般 高 齢 者 の,活 動 状 況 や 体 力 ・ 運 動 ・健 康 に対 す る現 状 の 自己評 価,あ. るい は欲. 求 の 諸 相 な ど を検討 す るた めに,被 検 者 に あ らか. 齢 者 に 受 け た た め と も考 え られ る8》.し か し な が. じめ ア ンケ ー ト方 式 に よ る意 識調 査 を行 った.調. ら,そ れ 程 強 い運 動 強 度 を必要 と しな い た め に,. 査 内 容 は以 下 の通 りで あ る.(1)ゲ ー トボ ー ルの実. 健 康 ・体 力づ く り運 動 と して 疑問 が 投 げ か け られ. 施 程 度(週 何 回,何 時 間)(2)過 去 の 運 動 経 験(3)体. て い るの が 現状 で あ る1).. 力 の 自信 の程 度(4)健康 状 態 に つ いて の 愁 訴. そ こで 本 研究 で は,高. 齢 者 層 にお い て 極 め て普. C.体. 力 テ ス ト項 目及 び 方 法. 及 率 の 高 い ゲ ー トボ ー ル を取 り上 げ,ゲ ー トボ ー ル愛 好 者 と 日頃 ほ と ん ど運 動 を行 って い な い高 齢. 国 内的 に も統 一 され た 見 解 が な く,高 齢 者 の 体. 者 の体 力面 に 関す る特 徴 を比較 ・検 討 す る こ とに. 力 ・運 動 能 力に 関 す る研 究 報 告 も少 な い14〜16).一. よっ て,ゲ. 部 で は,青 少 年用 や 壮 年 用 の テ ス ト項 目が 用 い ら. ー トボ ー ル の 体 力面 に及 ぼ す 影 響 につ. い て 明 ら かにす る ことを 目的とた た. II .方 A.被. は,測 定 が 困難 で あ った り,危 険 な 場 合 が 見 受 け. 法. られ る19).そ こで 今 回 は 体 力要 素 の 中 で も比 較 的 安 全 で,且 つ 容 易 に測 定 で き,し か も妥 当 性 ・信. 被 検 者 は,K市. 104名. れ て い るが,運 動機 能 の 低 下 してい る 高 齢 者 に. 検者. (以 下G愛. 性21名,女. 在 住 の 高 齢 ゲー トボ ー ル 愛 好 者. 好 者 と よ ぶ)男. と,運. 性68名,女. 性36名 の 計. 動 を ほ と ん ど 行 って い な い 健 康 な 男 性52名 の 計73名,総. 年 齢 別 内 訳 は 表1に. 計177名 で あ っ た.. 示 す 通 りで あ る.ゲ. ー トボ ー. ル の 経 験 年 数 は 男 女 と も に ほ と ん どの 者(92.2%) が3年. 以 上 の ゲ ー トボ ー ル 経 験 を 有 して い た.. 60歳 以 上 の 高齢 者 を 被 検 者 と して 選 択 した が, 各年 齢 段 階 別標 本 数 の 関 係 上,体 力デ ー タ の平 均 値 の 差 異 の検定 につ い て は,65歳 以 上80歳 未 満 の 高 齢 者 のみ の デ ー タ を 利 用 して解 析 を行 った. 表1被. 高 齢 者 の体 力測 定 方 法 につ い ては,国 際 的 に も,. 検者 の性別,年 齢段階別内訳. 頼 性 の高 い次 の テ ス ト項 目 を選 択 した.な. お,高. 齢 者 で あ るた め,測 定 の 実 施 に 当た って は,安 全 性 に 十 分 な配 慮 を行 い,被 検 者 には あ らか じめ, 実 施 困 難 と判 断 した 項 目は 実 施 しな い よ うに説 明 が な され た. 1)形 態:身 長,体. 重,皮 脂厚(上 腕 背 部)及. び,姿 勢 をみ るた め 背 面 傾 斜 角 を選 択 した.背 面 傾 斜 角 の測 定 に は脊 柱 側 彎 症 計測 器(ス ー タ)を 用 いた . 2)筋. コ リオ メ. 力及 び 瞬発 筋 力:静 的筋 力,瞬 発 筋 力 を. そ れ ぞれ 代表 す る握 力,垂 直跳 び を選 択 した.垂 直 跳 び の テ ス ト方 法 に 関 して は,ジ ャ ン プ メ ー タ ー を使 用 して,転 倒 しな い よ うに補 助 者 を横 に つ け て測 定 を行 った. 3)敏 捷 性:反 応 時 間 及 び 反 復速 度 を み る もの と して,そ れ ぞ れ全 身 反 応 時 間 とタ ッ ピ ン グ を選 択 した.反 応 時 間 は全 身 反 応 測定 器 を利 用 して, 光 刺 激 に よる跳 躍 反 応 時 間 を測定 した.測. 定 は5. 回行 い,最 大 値 と最 小 値 を除 き3回 の 平 均 値 を求 め た.ま. た タ ッピ ン グは,タ. ッピ ン グ測 定 器 を利. 用 して10秒 間 の 実施 回 数 を測 定 した.2回 G愛 好 者:ゲ. ー トポ ー ル愛 好 者,一 般:一 般 高 齢者. 注:体 力 デ ー タの平 均 値 の差 異 の 検定(二 要 因 分 散 分 析)は―― 枠 内 で 行 われ た.. 実施 し. て 回 数 の 多 い方 を採 用 した. 4)平 衡性:閉 眼 片 足 立 ちは,高 齢 者 に と って 非 常 に 困 難 で且 つ,個. 人 差 が表 れ な い15).よ って,.
(3) 264. 宮 口,出. 開 眼 片足 立 ち(最 高2分 間)を 選択 した. 5)柔 軟 性:長 座 体 前 屈,及 び体 捻 転 の2項. 村,宮. 口. 数 の 者 が 少 な くと も週3日,平 目. 均2時 間 以上,3. 年 間 は ゲ ー トボ ー ル を 継続 して 行 って い る こ とか. を採 用 した.長 座 体 前 屈 は距 離 法 で 測 定 を 行 っ. ら,ゲ ー トボ ー ル 実 施 が身 体 に何 らか の 影 響 を及. た.脚. ぼ して い ると推 測 さ れ る.. を20度 に 開 い た 長 座 の姿 勢 か ら腰 関 節 をで. 2.過 去 の 運 動 経 験. き るだ け前 屈 させ,両 手 を十 分 に伸 ば し,足 裏 の 位 置 か ら伸 ば し うる程 度 を測 定 した.体 捻 転 は角 度 法 に よ って測 定 を行 った.360度. に 分 割 され た. 測 定 シ ー ト上 に,両 足 を 揃 えて 立 ち,鎖. の垂 れ 下. 表2は 過去 の 運 動 経 験 に つ いてG愛 好 者 と一 般 高 齢 者 を比較 した もの で あ る.両 群 間 の度 数 の差 異 の 検 定 結果,男 性 に お い ては1%水. 準 で 両群 間. が った 測定 用 の棒 を両 肩 に乗 せ,両 肘 と両 手 に抱. に 有 意 な差異 が 認 め られ,G愛. え 固定 す る.静 か に胴 体 を捻 り,身 体 正 中面 か ら. 験 を有 す る者 が 多 か った.し か し,女 性 につ いて は 有 意 な差 異は 認 め られ ず,む. 捻 れ る最 大範 囲 を測 定 した. III .結 A.ア. 図1の 「週5日. しろ一 般 高齢 者 の. 方 が 運 動 経験 を有 す る者 が 多 い傾 向が み られ た.. 果 及 び考 察. ゲ ー トボー ル の特 徴 は,高 度 な 技 術 や 特 殊 な ル ー ル を必 要 と しな い だ け で な く,高 い 体 力水 準 も. ン ケ ー ト調 査 の 結 果. 1.ゲ. 好者の方が運動経. 必 要 と しな い点 に あ る8).従 って.一 般 に 男性 に. ー トボ ー ル の 実 施 状 況 ゲ ー トボ ー ル の 実 施 程 度 か ら,男. 女共. 比 べ 体 力の劣 る女 性 で も,ま た 球 技 経 験 の な い者. 以 上 」 の 実 施 が 最 も 多 く,「 週3〜4日. 以. で も ゲ ー トボ ー ル に 参 加 す るこ とが 可 能 と考 え ら. 上 」 と を 合 計 す る と 男 性 は84.9%,女. 性 は74.2%. れ る.. で あ っ た. 表2過. 1日 平 均 の ゲ ー トボ ー ル実施 時 間(図2)は,男 女 と も 「2〜3時. 去 の ス ポ ー ツ(競技)経 験(%). 間 」 が 最 も多 く(約38%),3時. 間 以 上 は 男 性 は47.0%,女. 性 は34.4%と. 全 体に男. 性 の 方 が 長 く実 施 す る者 が 多 い傾 向が み ら れ た が,統 計 的 に 有 意 な 差 異 は 認 め られ な か った. 経 験 年 数 を考 慮 す る と,本 研究 の 被 検 者 の 大 多. 図1ゲ. 図2ゲ. G愛. 好 者:ゲ. n=人. 数,男. ー トボ ー ル 愛 好 者,一 性P<0.01,女. 般:一. 般 高 齢者. 性 有意 差 な し. ー トボ ー ルの 実施 程 度. ー トボ ール の 一 日平均 の実 施 時 間. 図3ゲ ー トボ ー ル愛 好 者 と一 般高 齢者 の 体 力 状 態 の 自己 認識 の 比 較.
(4) 265. 高 齢 ゲ ー トボ ール愛 好 者 の体 力特 性 「や や あ る」 の 合 計)は,男. 3.体 力状 態 の 自己 認 識 図3の 体 力 状 態 の 自己 認 識 に関 す る結 果 か ら, 男 女 共,G愛. 好者 と 一般 高齢 者 との体 力 の 自己 認. 対 して,同 45.4%に. 一 般 高 齢 者 は57.8%,女 対 して,同. よ っ て,全. し,体 力が あ る と評 価 し た 者(「 非 常 に あ る」 と. い る 傾 向 が み られ た.こ. 表3群. G:ゲ **:P<0. .01.. 体 と してG愛. 般:一. 般 高 齢 者,〓:平. 均 値,S.. D.:標. 性G愛. 好者 の あ った.. 好 者 の 方 が 高 く評 価 して の 点 に つ い て は 金 崎5)も. 康 状 態 に つ い て の 愁 訴. 別 ・年 齢 別 の 平 均 値 の 差 異 の検 定(二 要 因分 散分 析)結 果(男. ー トボ ー ル 愛 好 者,一. 好 者 の67 .1%に. 一般 高 齢 者 は32.7%で. 識 の 傾 向 に有 意 な 差 異 は 認 め られ な か った.し か. 図4健. 性G愛. 性). 準 偏 差,*:P<0.05,.
(5) 266. 宮 口,出. 表4群. G:ゲ **:P<0. 村,宮. 口. 別 ・年齢 別 の 平 均 値 の 差 異の 検定(二 要 因 分 散分 析)結 果(女. ー ト ボ ー ル 愛 好 者,一. 般:一. 般 高 齢 者,〓:平. 均 値,S.D.:標. 性). 準 偏 差,*:P<0.05,. .01.. 同 様 な結 果 を報 告 して お り,ア ンケ ー ト上 か らは G愛 好 者 は 一般 高 齢 者 に比 べ,自 己 の 体 力 に 自信 を持 っ てい る もの と推 察 され る.. 差 異 の検 定(二 要 因 分 散 分析)を,体. 力測 定 項 目 ご. と に 行 った 結果 で あ る. 両 群 間 の平均 値 に 有 意 な差異 が 認 め ら れ た の. 4.健 康状 態 に つ い て の愁 訴. は,男. 図4は 健 康状 態 に 関 す る愁 訴 の状 況 を,G愛. 好. 性 では垂 直 跳 び と長 座体 前 屈 の2項. り,女 性 では 身 長 と タ ッピ ングの2項. 者 と一 般 高 齢者 につ い て,特 徴的 だ った もの を男. た.こ. 女 別 に 示 して あ る.男 性 に お い ては,統. の ことか ら,男 性 にお いて はG愛. 目で あ 目で あ っ. 好者が 一. 計的に有. 般 高 齢 者 に比べ て,瞬 発 筋 力,柔 軟 性 が 優 れ て い. 意 な 差 異 は認 め られ な か った が,女 性 に お い て. る と考 え られ る.一 方,女 性 にお い て はG愛 好者. は,「 痛 み な どで 歩 行 に 不 自由 を感 じ る」 の 項 目. は 敏 捷 性(反 復 速 度 一 小 筋 運動)が 優 れ て い る と考. に有 意 差が 認 め られ た.し か し,女 性 に 関 して は 「よ く頭 痛 が す る」 をは じめ と して,全 般 的 に一. え られ る.統 計 的 に 有 意 な差 異 は認 め られ なか っ. 般 高 齢 者 よ りも,G愛. 特 に 高 齢 に な るほ どG愛 好者 の方 が 一 般 高 齢 者 に. 好 者 の方 が,逆 に 健 康 状 態. に つ い て の愁 訴 が 多 くみ られ る傾 向が あ り注 目さ れ る.. た が,男 性 で は 握 力,女 性 で は体 捻 転 に お いて, 比 べ て 優 れ る傾 向 が み られた. 加 藤 た ち6)は 高 齢G愛. B.体. 力測 定結 果. 行 って いな い人 々 を 対 象 に体 力測 定(握. 1.年 齢 段階 別 に み たG愛 好者 と一 般 高齢 者 の体 力比 較 表3,表4は. 力 ・腕 立. 伏 臥 腕 屈 伸 ・立 幅 跳 び ・伏 臥上体 そ ら し ・閉 眼 片 足 立 ち ・反復 横跳 び)を 行 い1対 象 群 間 に有 意 差. 好者. が 認 め られた の は,男. 女 共 に立幅 跳 び の み で あ っ. び年 齢段 階 別 平 均値 の. た と報 告 してい る.今. 回の測 定 に お い て も,立 幅. 男 女 別 に,今. と 一般 高 齢者 の 対象 別,及. 好者 と,ス ポ ー ツを全 く. 回測 定 したG愛.
(6) 高 齢 ゲー トボ ール愛 好者 の 体 力 特 性. 跳 び と同 様,瞬. 発筋 力 を 代表 す る垂 直跳 び に 有 意. 差 が 認 め られ た こ とは,ゲ. 267. (起立筋)を 鍛 え てい る もの と思わ れ る.し た が っ. ー トボ ール実施 が 脚 筋. て,一 般 高 齢 者 はG愛 好 者 に比 べ,全 体 的 に 座 位. 力 に与 え る効 果 を裏 付 け て い る もの と 考 え ら れ. 姿勢 を と っ て い る時間 が 長 い た め,老 人 性 円 背 の. る.. 程度 が 大 き く,結 果的 に身 長 差 とな って現 れ た の. 女 性 に お い て,身 長 で 両 群 間 に 有 意 な差 異 が 認. では な い か と推察 され る.今. 回の測 定 で は 円 背 の. め られ た わ け で あ るが,ゲ ー トボ ー ルの性 格 上,. 指標 で あ る背 柱 前湾 度 の 測 定 は 行わ な か っ た た め. 身 長 が ゲ ー ムの 勝 敗 に あ ま り影 響 しな い こ と を 考. に,前 述 した こ とは実 証 で きな いが,本 測 定 現 場. え る と興 味 深 い.ア. にお い て はG愛 好者 よ りも 一 般 高齢者 に,よ. ンケ ー ト調 査 の 結果 で は,女. 性 の 場合,過. 去 に 運動 経 験 を有 す る者 の割 合 が 低. く,ま たG愛. 好 者 と一 般 高齢 者 の,両 群 間 の体 重. り多. くの老 人 性 円 背 を観 察 す る こ とがで きた. 林2,は ゲ ー トボ ール とい う低 強 度(高 齢 者 で は. 及 び 皮脂 厚 に 有 意 な差 異が 認 め られ なか った こ と. 最 高心 拍 数 が118±15.8と. を考 え合 わ せ る と,立 位 姿 勢 に 問 題 が あ るの で は. で あ る)の 運 動 で も骨 塩 量 に 有 効 な作 用 を及 ぼ す. な い か と思 わ れ る.す なわ ち 女 性(特 に非 運 動 者). こ とを報 告 し て い る.ま た,老 人 ホ ー ムの 住 人. 許 容 心 拍数 の55〜65%. は 男性 に比 べ て,老 人性 円背(背 まが り)が進 行 し. 141人 の 調 査 では散 歩 の 習 慣 を有 す る人 は,骨. や す い の で は な いか と考 え られ る.こ の こ とは,. 縮 度,円. 女 性 一般 高齢 者 に お いて の み 側 彎 症 の指 標 で あ る. てい る.. 背 面 傾斜 角 で,年 齢間 に 有 意 な 差 異 が認 め られ た. 高 強度 の 運 動 が高 齢 者 の 骨 ・関節 に対 して ス ポ ーツ障 害 を 惹 起 させ る可 能 性 を持 つ こと を考 え る. こ とに よ って も裏 付け られ て い る. 高齢 に な れ ば,椎 骨 の 骨 成 分 が 変 化 し,脆 くな り,椎 体 の変 形 が 発生 し,老 人 性 円 背の傾 向 が み. 萎. 背 の 程 度 が有 意 に 少 な か った とも報 告 し. と,ゲ ー トボ ール程 度 の 低 強 度 の運 動の 方 が,骨,. られ るこ とは 一 般 に知 られ て い る4).こ れ らの 原. 関節 の機 能 に 関 しては む しろ 有 用か と思 わ れ る. この点 に つ い て は,今 後 検 討 す べ き課 題 で あ ろ. 因 は,背 筋,腹 筋 の弱 化や 椎 間 板,椎 間 関節 の 変. う. 2.G愛. 性,拘 縮 に よ る もの と報 告 さ れ て い る18).ま た, 北 川7)は,加. 齢 に よる骨 の 粗 鬆 化 の程 度 には 男 女. 差 が あ り,女 性 の方 が顕 著 で あ る と報 告 し て い る.. 好者 と一 般 高 齢 者 の加齢 に よ る体 力. の推移 表5,表6はG愛. 好 者 及 び 一 般 高齢者 の体 力 測. 定項 目の 年 齢 との相関 係 数 及 び 回 帰係数 を示 した. G愛 好者 は 歩 いて 移動 し(ア. ンケ ー ト上 か ら も. もので あ る.体 力測定 値 と年 齢 との間 に有 意 な 負. 女 性 の 交通 手 段 は 歩行 が 第1位. で あ った),長 時. の相 関 が 多 く認 め られ る.こ の こ とは,加 齢 に 伴. 間 立 って い る こ と を考 え る と,か な り腹 筋 ・背 筋. い体 力 が 低 下 して い くこ と を 示 してい る と考 え ら. 表5ゲ. ー トボ ー ル 愛 好者 と一般 高 齢 者 の体 力測定 項 目 ご との,年 齢 との 相 関 係数. 及 び 回帰 係 数1)の 比 較(男. G愛. 好 者:ゲ. 垂 直 跳,タ. ー トボ ー ル 愛 好 者,一. 般:一. 性). 般 高 齢 者,1)回. ッ ピ ン グ,体 力 総 合 点 の 相 関 係 数 に,ま. 帰 係 数:y=〓x+b,*:P<0. .05,**:P<0.01.. た タ ッ ピ ン グ の 回 帰 係 数 に 両 群 に 有 意 な 差 異 が 認 め ら れ た..
(7) 268. 宮 口,出. 村,宮. 口. 表6ゲ ー トボ ー ル 愛 好 者 と一 般高 齢 者 の 体 力 測定 項 目 ご との,年 齢 との相 関 係 数 及 び 回帰 係 数 の 比 較(女 性). G愛 好 者:ゲ. ー ト ボ ー ル愛 好 者,一. 般:一. 般 高 齢 者,*:P<0.05,**:P<0.01.. 大 きな幅が あ り,老 化 の進 行 を 標 準 よ り遅 らせ る. れ る.. 男性 の場 合,G愛. 好者,一 般 高 齢 者 の両 者 と も. ほ とん どの 項 目 に つ いて有 意 な 相 関 が 認 め ら れ る.特 に,一 般 高 齢者 の垂 直跳 び,タ 体 力総 合点(握. ッピ ング,. 力 ・垂 直跳 ・タ ッ ピ ング ・全 身 反. こ とは十分 に 可 能 で あ る との 意 見 が あ る17).本 研 究 の 結果 に お い て,G愛. 好 者 の 年 齢 と各測 定 値 と. の相 関係 数 が,一 般 高 齢者 の そ れ よ り全 般に 低 い 傾 向に あ った こ とは,高 齢 者 に お け るゲ ー トボ ー. 応 時間 ・開 眼 片 足 立 ち ・長座 体 前 屈 ・体捻 転 の 各. ル実 施は,加 齢 に伴 う体 力変 化 を 遅 らせ,ま た 阻. Tス コアの和)と. 止 す る点 に お い て 効 果が あ るの で は な いか と推 測. 年 齢 との相 関 係 数(絶 対 値)はG. 愛 好者 のそ れ を 有 意 に大 き く上 回 って い る.従 っ. され た.. 好 者 に 比 ベ て一 般高 齢 者 の 場 合,こ れ ら. 身 体機 能 の 低 下 か ら,老 化 に よ る器 質的 な変 化. の テ ス トに よ っ て 測 定 され る能 力 の 加 齢 変 化は 顕. は止 む を得 な い に して も,疼 痛 な どの障 害 の発 生. て,G愛. 著 で あ り,逆 にG愛. 好者 の体 力 の 加 齢 変 化 は一 般. を抑 制 し うる手 段 と しては,身 体 的 に適 度 な運 動. 高 齢者 の そ れ に 比 べ 小 さ く,い わ ゆ る抑 制 され て. 刺 激 を漸 進 的 に 与 え,本 来 の 運 動 機 能 を回復,向. い るので は な い か と考 え られ る.. 上,維 持 させ る こ とが重 要 で あ る と報 告 され て い. そ こで,こ の 傾 向 を よ り明瞭 に 示 す た め に,両. る4).そ の意 味 か ら も,ゲ ー トボ ー ル実 施が,高. 群 の体 力 の 加 齢 変 化 傾 向に直 線 を あ て は め,そ の. 齢 者の体 力 レベ ル を賦 活化 し,機 能 水 準 を 保 持. 直 線 の勾配(傾 き)の 差,い わゆ る 回帰 係数 の差 の. し,さ らに 向 上 させ る可能 性 が あ る ことは,運 動. 検 定 を行 った.そ. 器 官 の障 害 発 生 の 防 止 の上 で 重 要 な役 割 を果 た す. 5%水. の結 果,タッ. ピ ング に お い て. 準 で 有 意 な 差 異 が認 め られ た.こ. ら,一 般 高 齢 者 はG愛 好者 に比 べ,加. の こ とか. で あ ろ うと考 え られ る.. 齢 に伴 い 神. I V.要. 約. 経 一 筋 の反 応 時 間 は延 長す る もの と推 察 され る. 女 性 の場 合,一. 般 高齢者 に お い て,全 身 反 応 時. ゲ ー トボ ー ル愛 好者(104名)と. 日頃 ほ とん ど運. 間 を除 く他 の 項 目全 てに有 意 な 相 関 が 認 め られ た. 動 を行 って い な い高 齢 者(73名)を 対 象 に,健 康 ・. が,G愛. 体 力に関 す る意 識 調査 と共 に,体. 好 者 に お い ては タ ッ ピ ン グに の み有 意 な. 相 関が 認 め られ た.従 って,一 般 高 齢 者 は加 齢 に 伴 う体 力低 下 の 傾 向が顕 著 で あ ろ う と 推 察 さ れ る.こ れ に対 して,G愛. 好者 の 場 合,こ の年 齢 範. 力 テ ス トを行 い. 次 の よ うな結 果 を 得た. 1.G愛. 好 者 は 大多 数 の者 が 少 な く と も 週3. 日,平 均2時 間 以 上 ゲ ー トボ ー ル を実 施 し て お. 齢 に伴 う体. り,ア ンケ ー ト上 か らは一 般 高 齢 者 に比べ,自 己. 力低 下 の遅 延 が 生 じて い るので は な い か と推 察 さ. の体 力に 自信 を 持 ってい る傾 向 が み られ た.過 去. れ る.. の運動 経 験 に つ い て は,男 性 の 場 合,G愛 好 者 が 一 般 高齢 者 に 比 べ て運 動経 験 を有 す る者 が多 か っ. 囲 に おい て は タ ッピ ン グを除 け ば,加. 生 理 的年 齢 に は 各 年齢段 階 で,個. 人 間 に かな り.
(8) 269. 高 齢 ゲ ー トボー ル愛 好 者 の体 力特 性. た が,女 性 の 場合,む. た 中 高 年 の運 動 能 力 に 関す る研 究.体 育 学 研究,16,. しろ一 般 高齢 者 の 方 が 運動. 49‑59,. 経 験 を 有 す る者 が 多 い 傾 向 がみ られ た. 2.年 齢 段 階別 にG愛. 好者 と一般 高 齢 者 の体 力. を比 較 した ところ,男 性 で は垂 直跳,長 に,女. 5). 金 崎 良 三(1983):梶. テ ー シ ョ ン.体. 好者 程,体. 6). 力 的 に 一般 高齢 者 を上 回 って. 加 藤 孝 司,古 宏,林. 藤 高 良,稲. 志 行,常. 一 考 察 .日 7). こ と は,立 位姿勢 の 違 い に よる もの と 判 断 さ れ た.す. な わ ち,一 般 高 齢 者 の方 がG愛. 好者 に比. べ,老. 人 性 円背が 進 行 しや す いの で は な い か と推. 4.年. 8). 齢 と各体 力 測 定 項 目及び体 力 総 合 得点 と. の 相 関 係 数 か ら,男 性 の 場 合,一 般 高 齢 者 の垂 直 跳 び,タ. 10). 般高. 齢 者 の 方 がG愛 好者 に 比 べ,体 力の加 齢 低 下 が顕. 11). 12). 好者 の 場 合,こ. タ ッ ピ ン グを除 け ば,加. の年齢 範 囲 に お い て は. 藤 孝 晴(1985):高. 朝 倉 書 店,東. 京,121‑175.. 宮 下 充 正,武. 藤 芳 照(1986):高 京,87‑126. 博(1973):都. 齢 者 と ス ポ ー ツ.東. 名 取 礼 二,倉. 田. 市生 活 者 の運 動能 力. 中 高 年 者 の 運 動 能 力 を 中 心 と し て.体. 岡 田 信 子(1969):高. 小 野 三 嗣,森. 沢. 年 者 の 運 動 能 の 一 解 析.体. 下 芳 郎,山. 本 直 道,石. 山 芳 江,倉. 田. 淳 一(1989):高. 科 会CIRCULAR, 15). 柴 田. 数.体. 博(1987):高. 木 村 み さ か,平 武 利,木. 2). 林 害.体. 3). 野 貴 順(1983):ゲ. 泰 史(1989):高. ー トポ ー ル の 心 拍 18). 齢 者 の ス ポ ー ツ,そ. の 効 用 と障. 9‑14.. 齢 者 の 体 力 測 定 と そ の 評 価.体. 川 和 文,奥. 谷 輝 夫,藤. 野. 田 大 祐,永. 直,小. 飯 塚 鉄 雄,永. 田. 晟,磯. 川 正 教(1971):形. 態 別 にみ. 田 慶 喜,森. 田 久 紀(1989):体. 本 力. 博(1984):中. 力 科 学,38,175‑185.. 芝 山 秀 太 郎,江. 橋. と ス ポ ー ツ,現. 代 体 育 ・ス ポ ー ツ大 系 第10巻. 高 年 の 健 康 ・体 力. 体 力 と ス ポ ー ツ.講. 談 社,東. 豊 田. 代 保 健 体 育 学 大 系8,運. 章(1976):現. 大 修 館 書 店,東 19). 力 科 学,38,8‑9.. 力 科 学,22,63‑70.. 診 断 バ ッ テ リー テ ス トか ら み た 高 齢 者 の 体 力 測 定 値. 献. 力 科 学,11,72‑76.. 久 走 鍛練. 育 の 科 学,37,658‑661. 16). 17). 青 木 純 一 郎,吉. 力科. 本 体 育学 会 測 定 評 価 専 門分. No.50,. の 分 布 お よ び 年 齢 と の 関 連.体. 1). 力科. 齢 者 の 体 力 テ ス ト評 価 の 基 準 値. 作 成 に つ い て(試 案).日. (受付 平成元年11月15日). 文. 力. 井 令 三(1970):. 博(1973):持. 中 高 年 者 の 体 力 に 関 す る 研 究.体. お い て 効 果 が あ るの で は な い か と推測 され た.. 考. 育 の科. 齢 者 の 運 動 と体 力.. 京 大 学 出 版 会,東. 14). 実 施 は,身 体 を鍛 え る とい うよ りも,加 齢 に伴 う. 参. 田充. 桂(1984):. 化 と 基 礎 的 身 体 組 成.体. 小 林 寛 道,近. 小 野 三 嗣,福. が 生 じて い るので は な い か と推察 され た.. 老 化 の 進 行 を標 準 よ り遅 らせ,ま た阻 止 す る点 に. 沢. 本 体 育 学 会 第35回 大 会 号,P582.. 薫(1987):老. 13). 齢 に 伴 う体 力 低 下 の遅 延. 以 上 の 結 果 よ り,高 齢 者 に おけ る ゲ ー トボ ー ル. 誠 之 介,池. 万 福,森. 学,18(3,4)53‑71.. は タ ッ ピ ングにの み 有 意 な 相 関が 認 め られ た.従 っ て,G愛. 垣 安 二,畑. 田 泰 弘,呉. 都 会 地 中 高 年 者 体 力 現 状 の 一 断 面 に つ い て.体. 齢 者 に お い て,全 身 反 応 時 間 を除 く他 の 項 目全 て 好者 に お い て. 京,. 学,18,47‑52.. 著 で あ る こ とが 推 察 さ れ た.女 性 の 場 合,一 般 高 に有 意 な 相 関が 認 め られ た が,G愛. ょ うせ い,東. 科 学,22,148‑156.. を有 意 に 大 き く上 回 っ て い た.回 帰 係 数 に つ いて ッ ピン グに 有 意 な 差 異 が認 め られ一. 北川. の 特 性,―. ッピ ング,体 力 総 合点 がG愛 好 者 のそ れ. も,タ. 健 康 と ス ポ ー ツの. 学,37,653‑657.. 9). 察 され た.. 原 太郎 監 修. ゲ ー トボ ー ル が 高 齢 者 の 体 力 に 及 ぼ す 影 響 に 関 す る. た. 性 にお い て 両 群 間 に身 長差 が 認 め られ た. 育 の 科 学,37,674‑681.. 171‑183,. お り,加 齢 に伴 う体 力 低 下 の遅 延傾 向 が 示 唆 され 3.女. 齢 者 の ス ポ ー ツ障 害 と リハビ リ. 構 図(高 齢 化 社 会 と ス ポ ー ツ).ぎ. 好 者 の 方 が 一般 高齢 者 に 比 べ よい. 成 績 で あ った.そ の 他 の 測 定項 目に 関 して も,高 齢 なG愛. 市 川 宣 恭(1987):高. 座体前屈. 性 に おい て は タ ッピ ン グに お い て 有 意 差 が. 認 め られ,G愛. 4). 辻. 健康 ・. 京,133‑150. 動 医 学.. 京,93‑95.. 博 明(1987):高. と 施 設 入 所 者―.体. 齢 者 の 体 力 レベ ル―一 育 の 科 学,37,662‑665.. 般高齢者.
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