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: 扁
, -―_-_-_-_-ー-_-_-_-_―—―-―-―-――-_-_-_―—―—―_-_――論 : 説
1996 年アメリカの上院議員選挙
ネブラスカ小卜
1の事例から
神 i エ 伸 介
目 I 概 観
II 1996年 の ネ プ ラ ス カ 州 上 院 選 挙 1. ネ ブ ラ ス カ 州 の 政 治 的 特 徴
2. 記事データに見るネブラスカ小M上 院 選 挙 (1) 争点報道の特徴(総獄分析)
(2) 争点報道の特徴(時系列分析)
III ヘーゲル派の保守化・党派化とネルソンの無党派主義 1. ヘーゲル派の保守化・党派化
(1) 中 絶 問 題 (2) 次 期 知 事 問 題 (3) 減 税 問 題
2. ネ ル ソ ン の 無 党 派 主 義 ll) 反 ワ シ ン ト ン
(2) 無 党 派 主 義 3. 候 補 者 対 立
(1) ネ ガ テ イ プ ア ド (2) テ レ ビ 討 論 要 約 と 結 論
次
録
l 2 3 4 5 6 I V 註
付 変 数 の 説 明 公 的 集 団 利 益 集 団 候 補 者 争 点
対 象 公 職 な ど ニュース・ソース
九 六
‑105‑ 17‑2 ‑328 (香法'97)
1996年アメリカの上院議員選挙(神江)
I 概 観
1996年には,米国で大統領選挙・議会選挙などの総選挙が実施された。大 統 領 選 挙 で は , ク リ ン ト ン 大 統 領 の 再 選 , 上 下 両 院 と も 共 和 党 多 数 派 の 再 形成という選挙前の分割政府の構図が継続した。
同じ時,ネブラスカ小卜1でも選挙が行われた。ネ小卜1の 選 挙 で 最 も 注 目 さ れ た選挙は,現職
J
・エクソン (3期 18年)の引退によって空席 openseatと なった同小M
の 上 院 議 席 で あ る 。 出 馬 し た の は , オ マ ハ の 無 名 実 業 家 C ・ヘ ーゲル(共和),}州検事総長D
・ステンバーグ(共和),現職知事B
・ネル ソン(民主)であった。第一戦は, 5月 14日の予備選挙であった。ネルソ ンは対立候補者なし,共和党がヘーゲル対ステンバーグでヘーゲルの当選 となった。各種裁判記事などで地元のメディアに登場して圧倒的な知名度 を誇ってきた小1,1検 事 総 長 を , オ マ ハ の 無 名 実 業 家 が 破 っ た と い う の は , 一 つのドラマであった。ヘーゲルは 95年 末 か ら こ っ こ っ と キ ャ ン ペ イ ン を 開 始し,潤沢な選挙資金を用意し, 2月 中 旬 か ら ア ド を 流 し つ づ け つ つ , 知 名 度 の 不 足 が ポ ルで 指摘 され なが らも 終盤 で逆 転し 共和 党の 候補 者とな っ¥1/
たわけである。
図 表 1 予 選 結 果 (5月14日投票, リ ン カ ー ン ・ ジ ャ ー ナ ル ス タ ー 紙 ( 以 下 ジ ャ
¥l!
紙と呼ぶ))
上 院 共 和 党
民 主 党
ヘーゲル ステンバーグ ネルソン
100,083 59,881 無 競 争
大 統 領 63% ドール
37 ブキャナン クリントン
115,958 15,676 72.133
77%
10 89
予 選 で 選 挙 資 金 を 使 う こ と の な か っ た ネ ル ソ ン に 対 し て 本 選 挙 で も 圧 倒
(3)
的な劣勢からスタートしたヘーゲルは,再び逆転勝利を勝ち取った。
九 五
図 表2 本 選 挙 結 果 (11月5日 投 票 , ジ ャ 紙 , こ の 時 点 で は す べ て の 投 票 区 の 開 票 は終わっていない)
上 院 % 大 統 領 % 下 院 第 1 % 下 院 第2 % 下 院 第3 %
共 和 ヘ ー 236,022 56ドール 315,636 53ピ ロ イ 27,565 67ク リ ス テ ン 50,617 57パ レ ッ 22,625 73
ゲ ル タ ー セン ト
民 主 ネ ル 179,853 42ク リ ン 202,702 34ク ー ム 13,686 33デ イ ピ ス 35,826 40ウ ェ プ 8,276 27
ソ ン トm ン ス タ ー
!C
17‑2 ‑327 (香法'97) 106
本論では, 96年のネ小
! ' I
上院選挙の展開過程を,ネ小卜1の外で展開される選挙との比較においてフォ 図 表3 ローすることを目的とする。その際のデータとし
ネ プ ラ ス カ 大 統 領 選 挙 等 党 派 得 票 率
, " "
,
ては, 96年 2
月
12日から 11月5日までのジャ紙 のすべての該当記事(地方選挙,下院選挙を除く)クリッピングの内容分析を利用する。分析単位は 段落,分析カテゴリーは段落行数,登場候補者(好 意,非好意, 1段 落 3名までの複数コード),言及 争点(賛否, 1段 落 2争点),言及公職種(以下行 論 で は 上 院 選 挙 報 道 と 非 上 院 選 挙 報 道 を 比 較 の 基
" ¥
本とする),であった。コードの詳細は「付録 1」
を参照されたい。なお必要に応じて, 1980年から 95年までのネ小
M
民 調 査 と ICPSRの NESのデータを利用する。
II 1996
年 の ネ ブ ラ ス カ 州 上 院 選 挙
1 . ネ プ ラ ス カ 州 の 政 治 的 特 徴
ネ小Mの政治的伝統は無党派主義にある。ネ小卜1の 議会は一院制でかつ無党派制選挙で選出される。
世 紀 末 の 人 民 党 運 動 に 影 響 さ れ た 民 主 党 の 強 い 時 代を経験した後,
J
小I
は革新主義時代を迎え,ジョージ・ノリスの影響の下に小卜
l
政の効率化などを目 指 し , 二 院 制 を 廃 止 す る と と も に 無 党 派 制 の 選 挙(;))
を採用した(1934)。その後,
1
小l
の政治勢力自体は 強く共和党化していったが,小M
知 事 , 連 邦 上 院 議 員 な ど は 民 主 党 が と る と い う 党 派 的 に は ね じ れ た 結 果 が 生 じ て き た 。 こ れ ば 州 独 特 な 無 党 派 主 義 の 伝統によるものと見られてきた。大 統 領 知 事 年 共 民 他 共 民 1920 63 31 6 54 46
43 57 25 55 45 50 50 2 57 43 49 51 3 47 53
1934 48 52
1936 40 56 3 44 56
1938 48 52
1940 56 42 1 61 39 75 :c
1 76 24 66 34 2 60 40 55 45 1 61 39 60 40 1 57 43 50 50 1 48 52 48 52 1964 47 52 1 40 60
1966 62 38
1968 59 32 9 1922
1924 46 29 1926 1928 62 36 1930 1932 35 62
194'.: 1944 58 41 1946 1948 53 45 1950 1952 68 31 1954 1956 65 34 1958 1960 61 38 1962
1970 45 55
1972 69 29 3
1974 37 63
1976 58 37 5
1978 56 44
1980 64 26 10 1982 49 51 1984 68 28 4
1986 53 47
1988 59 38 3
1990 49 50
1992 47 29 24
1994 26 73
1996 53 34 11
* 出 典 : Nebraska Department of Economic Development, Nebraska
~tat1st1ca1 Handt>ook, 1991. など
*知事は66年 か ら4年 任 期 制
運 邦 上 下 院 第 下 院 第 下 院 算 院 1区 2区 3区 年 共 民 共 民 共 民 共 民 1984 48 52
1986 42 57 1988 1990 41 59
1992 45 55 60 40 49 51 72 28 1994 63 37 50 49 79 21 1996 56 42 67 33 57 40 73 27
九 四
―‑107 ‑ 17 2 326 (香法'97)
1996年 ア メ リ カ 0)上院議員選挙(神江)
図 表 4 州 民 の 政 党 支 持 ( % )
共 和 党 全 米 民 主 党 全 米 無 党 派 全 米 選 好 無 全 米 1980 38 22 33 41 22 24 7 12
1981 46 32 18 4
1982 39 24 31 44 27 22 3
,
1983 45 34 19 3
1984 41 27 32 37 21 25 6 11
1985 45 33 18 5
1986 41 25 36 40 20 25 3
,
1987 40 32 26 2
1988 36 28 25 35 36 31 3 6
1989 42 34 23 1
1990 38 25 36 39 25 29 2 8
1991 42 31 23 3
1992 40 25 33 35 26 32 2 7
1993 40 32 25 3
1994 42 31 29 32 27 32 3 3
1995 41 30 25 4
出典: NASIS, NES
ネ小卜1の党派地図の観点でいうと,政党支持では,ネブラスカ大学リンカ ーン校社会学科の調在
>IASIS
による図表 1に 見 る よ う に , 共 和 党 の 圧 倒 的な多数派状況が継続してきた。これは全米の状況と対照的である。全米 では約 10%の差をもって民主党優位であった。大統領選挙得票率でも,図 表 3に示すように 1940年以来民主党が共和党を上回ったのは 64年のジコンソンの時に一度だけという共和党優勢の状況が続いてきた。ネ小卜1の政党 支持の状況は,表によるとここ 15年間の政党支持の分布の推移では, 1988 年 一 時 無 所 属 が 急 増 し 再 び 20% 台 に 戻 っ た 変 化 を 除 い て 安 定 し た 状 況 が 続いてきた。小変動を除いて基本的には共和党が 40%前後,民主党が 30
%
前 後 , 無 所 属 が 20%台というように,共和党が 10%を超えて多数派である。),1,1民の政党支持保有者が常に 70%を超えているということ自体,全米 標準に比較して相当党派的雰囲気を持った選挙人であるといえる。このこ
九
とが大統領選挙や下院選挙での共和党支配をもたらしてきたといえるが,―
逆にいうと党派より個人が重視される全小1,1規模選挙では民主党にもチャン スがあったともいえる。イデオロギーにかんして小1,1民 の 保 革 意 識 を 聞 い た 調 査 で は 進 歩 派 が 20
17~2~325 (香法'97) ~108
図 表5 州 民 の 政 党 支 持 と イ デ オ ロ ギ ー ( % )
民 主 党 無 党 派 共 和 党
進 保 中 進 保 中 進 保 中
歩 米 守 米 道 米 歩 米 守 米 道 米 歩 米 守 米 道 米 1989 27 28 44 16 34 48 7 61 31 1990 30 36 23 25 46 39 19 26 33 36 46 38
,
9 59 61 31 30 1991 31 23 44 21 34 44 11 56 33 1992 26 36 27 22 4 7 41 19 26 29 37 51 37 13 11 50 61 37 28 1993 27 26 46 17 32 50 11 50 39 1994 30 46 24 20 45 34 21 24 30 40 47 36 8 6 54 78 37 16 1995 30 22 47 20 29 48,
56 34% 弱 , 保 守 派 が 40% 弱 , 中 道 派 が40%強と,ネ州では保守派が進歩派の 約 2倍の勢力を持っている。更に,政党支持層の中のイデオロギー分布を 見ると,図表 5にみるように,民主党支持層の約半分弱が中道派, 30%弱 が進歩派で保守派が更に 10%弱以下,無所属層の約半分が中道派,保守派 が 30%, 進 歩 派 が 20%, 共 和 党 支 持 層 の 50%以上が保守派, 30%強が中 道派, 10%弱が進歩派,という構成である。民主党支持層は全米標準と比 べても進歩派が相当少ない。最近の変化として民主党層において 92年から 進歩派の進出が若干生じており,共和党層に保守派の進出が顕著であると いう傾向がみられる。共和党の保守化の強まりにより共和党勢力のイデオ ロギー的・党派的攻撃の土壌が生まれつつあるということであろう。とい うのは,図表 6に見るようにネ州民の一般的経済満足は非常に強く,かつ 何れかの党派にその受け止めが偏っているわけではないので,偏りの強い イデオロギー上の政党支持層にお
図 表 6 政 党 支 持 と 経 済 満 足 ける変化が選挙に反映したことが
民 主 党 共 和 党 無 党 派 予想されたわけである。
1987 77 74 68
1988 64 58 52 他方,連邦政府は民主党議会多
1989 80 73 67
数派支配状況が続いてき, 92年 か
1990 78 69 66
1991 73 70 63 ら民主党大統領共和党議会という
1992 78 71 70
1993 80 75 72 分割政府であった。共和党州とし
1994 81 74 75
1995 80 74 73 ては,全般的な政治不信状況に加
‑109‑ 17‑2 ‑324 (香法'97)
九
1996年 ア メ リ カ の 上 院 議 員 選 挙 ( 神 江 )
えて,党派状況の相違が反ホワイトハウス・反民主党という雰囲気を持つ ことも当然の成り行きであった。
. . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
予想される仮説としては,ネ小卜
l
で は , 依 然 と し て 共 和 党 多 数 派 状 況 は 継. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
続 し て い る 一 方 , 共 和 党 の イ デ オ ロ ギ ー 的 保 守 化 が 見 ら れ る の で , 上 院 選
. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
挙 に お け る 民 主 党 候 補 者 は 選 挙 に 勝 つ た め に で き る 限 り 無 党 派 に 近 い ス タ
. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
ンスをとり,共和党候補者は強く保守的姿勢を示すであろう, ということ である。
2. (1)
記 事 デ ー タ に 見 る ネ プ ラ ス カ 州 上 院 選 挙 争点報道の特徴(総量分析)
ここでは,対象記事データを 9 ヶ月分総計して上院とそれ以外の 記 事 行 数 を 比 較 す る 。 両 者 の 単 純
な比較は,
に,非上院記事が 5
万
1千行,院 記 事 が 1
万
3千行であった。図 表 7に示されるよう
次 に 図 表 8を見ると,
上
記事中に
図 表 1 上 院 記 事 行 数 1‑2‑1‑1表
非 上 院 関 連 な し 議会(議会選)
知事(知事選)
大統領(選挙)
裁 判 所 選 挙 一 般 連 邦 政 府 副 大 統 領 上 院
上 院 選 挙 記 事 行 数 51201行
12212 2969 140 33481 117 79 1572 631 13290
23.9 % 5.8 0.3 65.4 0.2 0.2 3. 1 1 . 2 100.0
争点(話題に近いものもある) と
して言及された場合をコーディングした結果は, 行 数 に 還 元 し て 約
4 万 8
千 行 に 上 っ たースがある)。
(登場争点のコーディングは 2件 ま で な の で 複 数 該 当 す る ケ そのうち上院選挙ではない公職(公職が特定されていないも のもあるが小卜
I
の外の大統領選挙記事などが主となっている) で 争 点 が 言 及されるケースが約3
万
8千行,の選挙の争点報道として, J州 外 記 事 と 州 記 事 の 割 合 が ほ ぼ 4対 1の 割 合 で 上 院 争 点 記 事 が 約 9千 行 で あ っ た 。 地 方 紙
九 ある。
言及行数の順位という観点でいうと,非上院選挙報道の場合, 党大会,
勝敗, キャンペイン, 競馬・ポル,税金, テレビ討論, 中絶,選挙資金,
副大統領, FBI FILESの 順 で 10位以内に登場する。 ネ小卜[の上院選挙報道
17‑2 ‑323 (香法'97) 110
では,州外の報道との相違でいうと,党大会,中絶,副大統領, FBIFILES が落ち,均衡予算,支持,アド,党派性の争点が 10位以内に入ってくる。
順位の入れ替わりを説明する理由としては,全国行事である党大会は当然 落ち,大統領の指名事項である副大統領も落ち,ホワイトハウスの事件で ある FBIFILES問題も落ちたわけだ。中絶は上院選挙でも 12位程度であ
るのでかなりネ州でも重視されていた。
上院で均衡予算が入ってきた理由は,ネ州で出馬した候補者のタイプに よっているのであろう。実業家出身の候補者として異常なまでも減税を主 張するヘーゲルに対して,現職知事と
して均衡予算に配慮する関心から減税
図 表 8 争 点 別 公 職 別 記 事 行 数 非 上 院 % 上院%
党 大 会 勝 敗
キャンペイン 競馬・ポル 税 金 テレビ討論
中 絶 選 挙 資 金 副 大 統 領 FBI FILES 指 名
ホワイトウォータ 経済(発展)
麻 薬 人 格 第 三 党 スキャンダル 煙 草
社 会 問 題 外 交 均 衡 予 算 福 祉 支持(推薦)
政 党 統 一 人 種
r
ド 家 族 第 一 クリントンの人格 防 衛党 派 性 行 数 計
4 4 2 6 4 5 0 5 0 8 1 0 7 1 5 7 6 7 4 5 6 9 6 2 0 9 4 2 3 7 0 3
.3
゜
1 8 5 4 7 5 4 6 0
0 4 0 1 0 2 0 1 0 1 1 7 1 4 0 0 0 0 0 1 4 0 1 1 0
︐
ー56496~~96439655443211106655302
0 0
7 8
9 7 7 6 6 5 5 4 3 3 3 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 1 1 1 1 1 1 0 0 3 ー7
゜
より均衡予算を強調したネルソンとの 対立がそのまま記事量の違いに現われ たものである。図表 9に見るように均 衡予算については両者がほぽ均等に対 立しあっているのに,税金については ヘーゲルからネルソンに仕掛けるケー スが圧倒的に多かった。
支持(推薦)記事が多いのもネ州上院 選挙の特徴である。非上院記事では 2
%に過ぎないのに,上院記事では
5%
に上る。ヘーゲルの場合,退役軍人集 団からの支持 (5月 11日),小卜1に訪問
図 表9 均 衡 予 算 と 税 金 を め ぐ る 候 補 者 への言及(件数)
均 衡 予 算
ドール 25
クリントン 13 ヘ ー ゲ ル 39
ネルソン 52
税 金 支 持 ( 推 薦)
171 28 52 23 65 34 52 36
九 〇
‑111‑ 17‑2 ‑322 (香法'97)
1996年アメリカの上院議員選挙(神江)
八九
した政治家からの支持(7月 9日),キリスト者連盟またはプロライフ集団 からの支持 (7月 20日, 8月 7日)などが見られる。ネルソンの場合,プ
ロライフ集団からの支持•その撤回 (8 月 5 日),煙草産業からの支持 (8
月 24日),退役軍人からの支持 (10月 24日),土壇場でのケリー,ェクソ ンからの支持 (11月 2日, 4日)などがある。ポ州での上院キャンペイン の激しさを物語っている。
アド問題が,非上院記事では 1.5%に過ぎないのに対して,上院記事で は11%と第 2位である。ネ小
! ' I
では大統領レベルでは共和党一党小M
であるた め,特定地域をねらう最近の効率的な大統領選挙のアドはあまり見られず,上院の激戦を反映したアドが見られた。民主党とステンバーグのヘーゲル に対するアド攻勢が予選期間中と本選挙期間中双方に見られた。ヘーゲル のキャンペイン組織としてはこの種のネガティブアドはやらなかったが,
本選挙期間中にネルソンの知事時代の増税歴を執拗に追求する共和党のア ドがあった(後述)。その他民主党のラジオアドも問題とされた。アド記事 が増えていった理由は,候補者がいつからアドを開始するという宣言をす る記事と,アドに対するポルなどの反応記事,対立候補者による反論記事 など,相乗作用によって増大することによる。
「党派性」記事は,ネルソン派が無党派主義のネ小
M
の政治的伝統に依拠し 共和党一党支配州に食い込もうとし,ヘーゲル派が共和党中央との連携を 求めたという政治的理由によるものである。(2) 争点報道の特徴(時系列分析)
2月のアイオワ小
l
、I
党 員 集 会 か ら 11月 の 投 栗 日 ま で の 全 記 事 行 数 の 週 単 位推移を「図表 10 記事行数の推移」に見てみる(上院・非上院の比率が相 当異なるので2軸グラフにしてある)。図によると,非上院選挙報道では,2月初めの約 1,900行から 4月初めのの 100行まで大きく落ち込み,その 後低いレベルを維持しながら 6月末まで上昇し 7月中旬の一時の落ち込み を見せたあと, 8月期間中は両党大会の合間に若干の落ち込みを見せなが らも 3,000行台の高い水準を維持し, 9月中旬に 1,000行に落ち込んだ後,
17~2~321 (香法'97) ~112~
10月の 3,000行に回復するという様相を見せる (11月は 3日分の記事しか ない)。即ち,全米の選挙報道のトレンドは,必ずしも平坦なものではなく,
注 目 さ れ る キ ャ ン ペ イ ン ・ イ ベ ン ト に 応 じ て 新 聞 の 報 道 が 変 動 し て き た こ とがわかる。期間の初めがアイオワの党員集会から 3月のスーパー・テュ ーズデーの予選イベント, 8月が党大会, 9月以降本選挙期間に主にテレ ビ討論の報道で支配されるという 3つ の 主 要 イ ベ ン ト に し た が っ て き た わ けだ。
対してネ小卜1の上院選挙報道は,図中破線で示してある。 2から 3月中は 100から 300行程度を示して低報道状態が続き, 5月に 900行 台 と 飛 躍 的 に 跳 ね 上 が る 。 そ の 後6月 末 ま で 低 下 を 続 け 7から 8月に入ると 500行 台 に回復する 8月にかけて 200行台まで落ち込み, 9月初めに 700行 , 中 旬 に60行, 10月に 800行と大きなジグザグを示した。
図表 10 記 事 行 数 の 推 移
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週(第38週 は10日間)
上 院 選 挙 報 道 の 変 動 も , 基 本 的 に は キ ャ ン ペ イ ン ・ イ ベ ン ト に し た が っ
函
1000
500
た報道を行ってきたといえる。ネ小
M
の予選の 5月 , 郡 ・ 州 党 大 会 の 6月, テレビ討論の 9月(上院候補者は中旬と末に 2回)に対応した報道の動きで ある。注目される点は, 10月の終盤期を除いて,全米の記事と州の記事が¥
¥
J J
‑113‑ 17‑2 ‑320 (香法'97)
1996年 ア メ リ カ の 上 院 議 員 選 挙 ( 神 江 )
そ の ピ ー ク を 異 に し て い る 点 で あ る 。 上 院 選 挙 以 外 の 報 道 に 焦 点 が 当 て ら れる期間はそれに全力投球し, 上 院 の イ ベ ン ト 時 期 に は そ の 報 道 に 集 中 す そ れ は 単 な る ス ケ ジ ュ ー ル の 違 い を 反 映 し て い る だ け か も 知 ら な い が , 選 挙 人 に は 大 き な 影 響 を も た ら す 。 条 白
. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
トレンドに対しで)、卜1政治の独自性を表明することも可能となるといえる。
るという構図が見られるのである。
これは必ずしも全国と無関係に小卜1の 政 治 議 題 を 設 定 せ よ と い う も の で は な い。国政と小卜1政 と が ず れ を 持 つ と い う こ と は 確 か に 古 く は 革 新 主 義 者 が 主 張したような国政から小卜1政を隔離できるという利点もあるが,
J
小l政にとっ ては.全米で提起された議題を取捨選択し小M
固 有 の 政 治 の 現 状 に 対 応 し た 議題を構築するというプラス面に機能するのである。ここで, 「(1)」の総量分析で見た争点報道量の相違を時系列軸での相違と い う 観 点 で 見 直 し て み よ う 。 文 中 基 本 と な る 表 は 「 図 表 11
あるn
争点報道」で
「独自性」
第一に,
の現れ方のモデルは, 次 の 4つが考えられる。
単 に キ ャ ン ペ イ ン 日 程 が 異 な る た め に 報 道 さ れ る 内 容 は 同 じ だ が時期がずれるものがあることは前述のとおりである。
自性とみる。
これは形式的な独
図表によると, 前 述 の キ ャ ン ペ イ ン ・ イ ベ ン ト を 反 映 し て い る た め に 日 程上の若干のずれを見せながらも,内容的には予選,党大会,本選挙(テレ ビ討論)の三つの山を基本的には見せているものは, 「キャンペイン」, 「選 挙資金」, 「支持」, 「勝敗・ポル」,
挙 中 に 報 告 が 出 る の で そ の 時 期 の 内 容 を め ぐ る 議 論 が 登 場 し た ( ジ ャ 紙 の 報道では上院の場合, 4
月
16日,「アド」 で あ る 。 選 挙 資 金 は 定 期 的 に 選
4 月 30
日, 7月
14日,大統領の場合,10
月
18日, 10月 21日)。\し﹂j
「テレビ討論」は全米のものとかなり相違があるようだ。予選のテレビ討 論は他州のものは報道がなく, ネ小卜1の テ レ ビ 討 論 が 報 道 さ れ た の で 5月ま
で大きな山がある。本選挙のテレビ討論はネ小卜1で も 終 盤 に 行 わ れ 報 道 も 大 き か っ た が , 値 と し て 出 て い な い の は , 段 落 単 位 で 登 場 す る 議 論 は 争 点 と 17‑2 ‑319 (香法'97) 114
図 表 11 争点報道(公職別, 時系列)
週 1‑
5‑
9‑
13‑
17‑
21‑
25‑
29‑
33‑
37‑
計
キャンI¥・イン 選 挙 資 金 支持(推薦)
NonS Snt NonS Snt NonS Snt 582 8 78 43 6 118 28 71 7 59
80 173 135 69 0 289 449 0 61 7 129 19 111 0 39 147 19 230 136 116 179 231 288 109 111 133 11 141 83 117 267 8 352 0 9 875 430 446 75 310 2799 1376 1852 583 774
勝 敗 NonS Snt 0 619 0 396 36 135 70 123 0 34 58 117 134 230 0 211 0 86 116 943 414 2894
競馬・ポル テレビ討論 ア ド
NonS Snt NonS Snt NonS Snt 8 937 5 125 27 116
0 201 7 0 12 0
169 46 87 0 32 16 164 141 28 24 219 116
0 44 0 0 0 0
15 142 7 5 10 0 167 325 40 9 151 98
22 237 0 130 19 79 0 399 92 1607 31 110 21 2 1 51 1 51 1 l O 48 757 2623 417 1911 501 583
0 0 8 5 0 0 5 3 5 2 8 6 7 3 5 7 8 8 1 3 1 1 9
週 1‑
5‑
9‑
13‑
17‑
21‑
25‑
29‑
33‑
37‑
計
クリントンの人格 人 格
NonS Snt NonS Snt
0 0 4
0 0 0
7 0 0
45 0 6
6 0 0
8 0 18 24 0 469 58 0 98 242 12 40 100 4 296 490 16 931
FBI FILES スキャンク"し Non$ Snt NonS Snt 0 0 0 214
0 0 0 0
181 0 0 7
21 0 0 0
0 1183 0 177
0 62 0 6
7 0 0 47
0 13 0 194 10 24 64 10 8 18 7 246 227 1300 71 901
‑ t
夕n
‑s
ォ0
0 0 3 1 9 7 8 6 9 3
ゥ
1 4 1 1 5 2 8
ト
S 3 5 1 0
イ
n 1 り
︒
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0 0 0 0 0 0 0 0 6 6 4 4 1 1
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4 6 0 5 0 9 2 0 7 0 3 1 8 4 5 5 1 7 衛 ︳
n S 1 3
防
N o 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
外 交 NonS Snt 5 19 0 45
0 0
0 51
0 0
0 0
105 0 8 392 0 193 0 111 118 811
0 0 0 0 0 0 2 9 5 0 6 4 5 3 3
ー
週 1‑
5‑
9‑
13‑
17‑
21‑
25‑
29‑
33‑
37‑
計
経済(発農)
Non Snt Non
s s
167 0 357 10 48 36 33 34 0
8 42 187 6 12 253 18 0 188 81 0 825 109 13 392 183 4 161 366 0 86 981 153 2485
税 金 均 衡 予 算 家 族 第 一 福 祉 Snt Non Snt Non Snt Non
s s s
103 12 0 0 17 87 22 11 0 44 18 0 0 0 0 126 7 0 0 220
40 136 178 0 9 86 98 62 0 160 1 35 1 21 1 6 6 0 54 78 86 51 0 228 73 145 14 25 37 45 58 82 12 19 791 685 564 37 788 4
4 0 8 9 6 6 8 2 5 2 1 1 6 7 2 9 9 7 7 1 1 6
社 会 問 題 人 種 Snt Non Snt Non
s s
50 79 292 0 10 10 53 0 0 169 6 0 123 0 0 152 0 144
0 0 78 127 0 26 105 27 41
55 0 0 834 122 591 0
1 0 2 0 9 0 4 7 0 3 2 1 7 5 7
ー
中 絶 Snt Non
s
0 122 0 158 0 180 0 0 0 218 0 288 0 685 0 152 0 98 0 0 0 1901
煙 草 麻 薬
Snt Non Snt Non Snt
s s
0 0 0 0 0 0 0 0 24
0 0 9
74 0 0 104 5 42 241 0 92 424 11 310 20 0 228 13 50 241 876 66 946 0
6 7 0 1 0 2 5 2 0 3 6 3 1 0 3 1 6 1 1 3
3
c c 3 c o o o o o 6
︱
︱
︱
︱
︱
︱
︱ 週 卜 か か 13 17 21 25 29 33 37
計
党 派 性 政 党 統 一 副 大 統 領 党 大 会 指 名 NonS Snt NonS Snt NonS Snt NonS Snt NonS
0 44 170 0 22 0 4 7 0 49 5 0 74 0 253 0 122 0 0 0 12 35 0 0 0 24 0 0 9 81 7 15 71 0 71 0 0 11 34 0 7 140 0 170 12 94
0 13 25 0 169 0 276 0 706 5 63 266 0 693 0 1448 28 342 48 72 22 0 0 0 1442 90 47
0 65 0 0 18 0 0 0 0
0 39 0 0 5 0 0 0 0
78 423 599 22 1371 0 3600 130 1238 t o o o o 2 5 0 0 0 0 1 n 7 9 6 S 2 3
第 三 党 NonS Snt
79 0
272 9
13 0
0 22 39 24
81 0
283 9
105 0
32 0
18 0
902 64
八六
‑115‑ 17‑2‑318 (香法'97)
1996年 ア メ リ カ の 上 院 議 員 選 挙 ( 神 江 )
し て コ ー ド さ れ て い る か ら で あ る 。 大 統 領 で も 基 本 的 に は テ レ ビ 討 論 自 体 の 議 論 は 登 場 争 点 単 位 の コ ー デ ィ ン グ で あ る が , 大 統 領 テ レ ビ 討 論 の 場 合 討 論 の フ ォ ー マ ッ ト , ペ ロ ー な ど の 参 加 者 を め ぐ る 議 論 の 報 道 が 大 き か っ
たのでテレビ討論それ自体として大きい行数が出ている。
このモデルでは,「独自性」にどのような点で寄与するか? 内 容 的 に 同 じ も の な ら た だ の 日 程 の 違 い で し か な い 。 大 統 領 キ ャ ン ペ イ ン に ネ 州 が 先 行する場合(小
H
党大会,上院議員候補者テレビ討論)には,/州独自の関心事(中絶,均衡予算,党派性等)が全国政治に相対的に離れて議題化できる。
後追いのケース(予選等)では,ある争点が全米的に人気があるかどうかの 評価が定まるので,)州の争点としての取捨選択することが可能となる。
第 二 に , 連 邦 政 府 構 造 を 反 映 し た 中 央 地 方 政 府 間 の 余 り 支 持 的 で な い 関係を反映した独自性モデルがある。
これらのうちまった<小
M
外 の 議 論 の 発 展 と 関 係 の な い も の が 大 き く い っ て 3種類ある。その第一は,スキャンダル関係である(「スキャンダル」,「クリントンの人格」,「FBIFILES」, 「ホワイトウォーター」)。これらは 大 統 領 , ホ ワ イ ト ハ ウ ス レ ベ ル で 発 生 し た 問 題 で 共 和 党 が 攻 撃 議 題 と し て きたもので,共和党州としてのネ小卜1で も 当 然 話 題 に な っ て 不 思 議 で な か っ たはずだ。しかし, FBIFILESもホワイトウォーターもネ小
H
の候補者から は殆ど言及がなかった。クリントンの人格については9月 3 0
日に一度だけ ヘーゲルが問題としただけである。終盤に一時ネ小M
で ス キ ャ ン ダ ル が 問 題 と な っ た が , こ れ は ヘ ー ゲ ル の 会 社 設 立 を め ぐ る 疑 惑 に か ん し た も の で ワ シントンとは関係のないものであった。共和党中央(ドール派)は大統領や ホワイトハウスをめぐるスキャンダルを議題にすることに当初失敗した。ドー}レ自身が大統領選挙の議題設定にかんして遠巡があったことや, 15
%
八 減 税 に 焦 点 化 し た 後 も ク リ ン ト ン の 倫 理 問 題 を 議 題 と し た の は テ レ ビ 討 論 五 第二回目でしかなかった。中央の及び腰に加え,ネ小1,1の 候 補 者 自 身 が ワ シ ン ト ン で 生 じ て い る こ と に 目 を む け な い 姿 勢 が 目 立 っ た の で あ る 。 共 和 党 中 央 だ け で は な く 民 主 党 中 央 も 議 会 選 挙 と の 関 連 を 大 統 領 選 挙 で 求 め な い 17 2 317 (香法'97) ~116 ‑‑ことも関係していた。
この政府構造に由来するモデルは,特にネ小卜1の よ う に 停 滞 し た 地 方 の 農 業小
M
に と っ て ワ シ ン ト ン 政 府 に 対 す る 不 信 感 が 共 有 さ れ , 選 挙 政 治 で ば 州 への権限委譲や反ワシントンの声が大きくなっていく要因ともなる。第三に,小卜1の デ モ グ ラ フ ィ ッ ク な 特 性 と の 関 係 で 独 自 性 に 寄 与 す る モ デ ル も あ る 。 人 種 , 煙 草 , 麻 薬 な ど 少 数 派 や 都 市 部 の 問 題 で あ る 社 会 問 題 関 係は議題にならなかった。
第 四 に , 政 党 の 連 邦 構 造 を 反 映 し た 独 自 性 モ デ ル が 考 え ら れ る 。 党 中 央 の行事にはネ小卜[の上院選挙ではほとんど関心がなかった(最大でも 15行)。
中 絶 問 題 で ゆ れ る 共 和 党 , 福 祉 改 革 法 の ク リ ン ト ン の 賛 成 を め ぐ っ て 紛 糾 す る 民 主 党 , で は 党 大 会 時 期 に は 「 政 党 統 一 」 が 議 題 と な っ た 。 副 大 統 領 候補者選定にネ州はまったく関心がなかった。全国党大会の記事ではネ小卜[
出 身 代 議 員 の 行 動 の 報 道 は あ っ た が , 上 院 選 挙 で は 候 補 者 の 党 大 会 で の 資 金 集 め の 記 事 が 見 ら れ た 程 度 で あ る (8
月
16日,ヘーゲル)。量的に見るとまったく関係がないといっていい。
各小卜[の連合体である党中央に対して州の政党はどちらかといえばたとえ 国 政 選 挙 で あ ろ う と 政 治 資 金 の 援 助 な ど を 除 い て 「 冷 め た 」 態 度 を 持 っ て い る と 見 て い い だ ろ う 。 選 挙 人 や 代 議 員 数 の 観 点 で 大 統 領 選 挙 と 党 大 会 に ほとんど影響を与えることができないネ小卜[の政党組織にとって,スキャン ダ ル や 妥 協 の 多 い 党 中 央 に 対 し て は 「 無 党 派 主 義 」 の 姿 勢 を 取 っ て 相 対 的 に独立しておいたほうが利益が多いのかもしれない。
以 上 の 4つのモデルは,小
M
の 選 挙 キ ャ ン ペ イ ン を 独 自 化 す る 要 因 の 議 論 を 提 供 す る も の で あ っ た が , 勿 論 , ラ ベ ル も 大 政 党 の も の を つ け 国 政 選 挙 を戦う上院候補者にとって国と小卜[が全く異質であることは都合が悪い。同 質 的 な も の も あ る 。 コ ン ス タ ン ト に 議 論 さ れ て い る と い う 観 点 で 非 常 に よく 似 て い る 山 は 均 衡 予 算 , 福 祉 で あ る 。 ほ ぽ 完 全 に 一 致 す る と い う の が 外 交 問 題 で あ る 。 む し ろ 上 院 の ほ う が 先 行 す る と い う の が 経 済 問 題 , 税 金 で あ る 。 ま た , 中 央 で は 論 議 が 終 わ り つ つ も , 上 院 で は む し ろ 終 盤 ま で 議 題
八四
‑117‑ 17‑2 ‑316 (香法'97)
1996年アメリカの上院議員選挙(神江)
であった争点は中絶問題であろう。
以上を時系列の争点別推移をまとめてみる。ネ小卜
I
の上院選挙において亨 全米の選挙スケジュールと自小卜1の そ れ と に 応 じ て 若 干 の ズ レ を 持 ち な が らも 歩 調 を 合 わ せ て い る も の が あ る と す れ ば キ ャ ン ペ イ ン 関 係 の も の で あ る と い え る 。 一 方 , 上 院 選 挙 で は ほ と ん ど 関 心 が 寄 せ ら れ な い 争 点 が , ワ シ ン ト ン を め ぐ る ス キ ャ ン ダ ル 関 係 , 党 中 央 が 大 統 領 選 挙 の た め に 打 ち 出 す 政 策 副 大 統 領 選 定 な ど で あ っ た 。 こ れ ら の 大 統 領 キ ャ ン ペ イ ン 独 自 の 動 きにはネ小卜1の 上 院 選 挙 で は 関 心 が な か っ た ( ヘ ー ゲ ル も ド ー ル の 減 税 プ ラ ンは自分のものとは違うといっていた)。また,基礎的にデモグラフィック な 条 件 か ら 全 米 争 点 と 関 係 の な い 争 点 は 当 然 に も 候 補 者 た ち か ら 無 視 さ れ た。
ネ小
M
の上院選挙では,自小M
の 条 件 か ら 中 絶 争 点 を 議 題 化 す る 一 方 で , 税 金 , 均 衡 予 算 な ど 知 事 対 ビ ジ ネ ス マ ン の 争 い に ふ さ わ し い 全 米 争 点 が 極 大 化 さ れ , ワ シ ン ト ン で の 政 争 か ら は 距 離 を 置 く と い う , い わ ば , 大 統 領 選 挙 と 上 院 選 挙 と は 同 時 に 歩 み な が ら 別 個 の 選 挙 で あ る か の よ う に 戦 わ れ たといえる。
I I I ヘ ー ゲ ル 派 の 保 守 化 ・ 党 派 化 と ネ ル ソ ン の 無 党 派 主 義
こ こ ま で 選 挙 に 何 ら か の 公 職 別 の 相 違 が な い か と い う 分 析 を 行 っ て き た 。 前 項 ま で は , 必 ず し も 候 補 者 に 特 定 さ れ た 分 類 で は な い の で , 候 補 者 間の対立構図がよく分からなかった。つぎに候補者別に争点の言及行数(候 補 者 別 の 単 純 争 点 言 及 行 数 は 図 表 12に示した)と,その際に候補者に好意 性 ・ 非 好 意 性 得 点 を つ け た デ ー タ を 分 析 し た い 。 こ の 得 点 は , デ ー タ の コー デ ィ ン グ の 際 , 候 補 者 に そ の 段 落 の 文 脈 に お い て 肯 定 さ れ て い る (2点) 八 の か 否 定 さ れ て い る (0点 ) の か , そ の ど ち ら で も な い (1点 ) の か と い
‑‑ う 好 意 性 得 点 を つ け て お い た も の で あ る 。 肯 定 否 定 の ケ ー ス は , 利 益 集 団 か ら の 支 持 ・ 不 支 持 , 候 補 者 同 士 の 評 価 ・ 批 判 , 段 落 で 言 及 さ れ て い る 話 題 に つ い て 有 利 ・ 不 利 な ど の 様 々 な ケ ー ス を 含 む 。 デ ー タ に 現 れ た バ イ ア 17~2~315 (香法'97) 118