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博士(工学)辻 寧英 学位論文題名

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Academic year: 2021

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     博士(工学)辻   寧英 学位論文題名

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光 ビ ー ム 伝 搬 解 析 ソ フ ト ウ エ ア 開 発 の た め の 基 礎 的 研 究

学位論文内容の要旨

  光導波路を基盤とした集積ホトニクス技術が近年著しく進展し,実用化レベルに達した集 積光デバイスも数多く報告されている.今後,光デバイスの集積化がさらに進み,いわゆる光 集積回路 (光IC)として,各種の光デバイスを一体集積化する段階においては,LSIや超LSI の開 発 にCADが不 可 欠 と なっ て い る よう に, 光ICの 開発にも ,やは りCADは 不可欠な も のになると考えられる.

  ところ で,光ICにおける配線の役割を担っているのは光導波路であるが,LSIにおける電 気配線の場合と違って,光信号は配線内に完全には閉じ込められていない.また,光ICでは 光信号の制御に利用される材料の性質にも,電気光学効果,音響光学効果,磁気光学効果,熱 光学効果,非線形光学効果など,様々なものがある,このため,光CADの開発にあたっては,

まず,光lCの基幹部品である光導波路や導波形光デバイスの解析・設計ツールを開発,整備 し,その高信頼化を図ることが先決である.

  さて,こうした光導波路の伝送特性を評価するための解析フェーズは多岐に渡るが,主と して,伝搬方向に構造が変化しない直線導波路の固有伝送モードの実効屈折率と界分布を調 べる導波モード解析と,伝搬方向に構造が変化する場合も含めて,光波が光導波路中をどの ように伝搬していくかを調べるピーム伝搬解析とに大別される.前者については,光波帯に おける導波路技術の研究が開始された1960年代後半から様々な解析法が開発され,残された 問題は多々あるが,現在,導波モード解析のための方法論としては,ほぽ出揃った感がある.

ー方,後者については,光フんイバの低損失化が実現し,その後,光導波路を駆使した集積光 デバイスの高性能化,多機能化に関する研究が本格化した1980年代からその需要が急速に高 まった. 特に,1978年にFeit,とFleckに よって 考案さ れたビーム伝搬法(BPM)は,こうし たビーム伝搬解析に極めて有効であり,様々な集積光デバイスの解析,設計に広く利用されて きた.BPMでは,通常,微小区HUにおける光ビームの伝搬過程を,均質媒質中を伝搬すると きに受ける回折の効釆と,導波路構造に付随した屈折率分布による位相回転の効果とに分離 する(スプリットステップアルゴリズム).このうち,回折の効果を高速フーリエ変換(FFT) を 用 い て 効 率 良 く 処 理 す るBPMがFFT‑BPMで あ る . しか し な が ら, こ のFFT‑BPMを 屈 折率差の火きな導波路や偏波依存性の強い導波路に適用することは,一般に困雛である.こ のため, こうしたスプリットステップアルゴリズムを必ずしも必要としないBPM.具体的に は差 分 法 (FDM)を用 い たFD;B[ Mや 有 限 要 素法(FEM)を用 い たFE‑BPMが 種々考 案され てき′1特に,FE‑BP¥fは屈折 率差の大きな導波路や偏波依存性の強い導波路にも適用でき るとぃう 点で,FFT‑BP^ヽIに比べて優れている.また,FE‑BPMには,要求される計算精度 に合わせて要素次数や要素数を任意に選択することができたり,不均一グリッドを用い,これ らを伝搬方向にアダプテイプに更新することにより計算精度を劣化させることなく計算の効 率化 を 図 る こと がで きると ぃった ,FFT‑BPMやFD‑BPMにはな い特徴 もある .しか しなが ら,FE‑BP^〜{の利用は,現状では,プレーナ形(2次元)等方性光導波路におけるTEモード 伝搬の場合に限られており,また,ピーム伝搬解析の基本式として近軸式が用いられているた

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めに,その適用は,導波路の傾斜角が十分小さい場合に限られる.また,チャネル形(3次元)

光導 波路に応 用する ための 検討は ほとんど行われていない,FE‑BPMには前述したような特 徴があることから,TMモード伝搬の場合も含めて,異方性光導波路解析や広角ピーム伝搬解 析,さらには3次元光導波路解析にも適用することが可能になれば,その利用価値は一層高ま るものと期待されている.

  本論 文は, こうし た状況の もとで ,光ピーム伝搬解析のためのFE‑BPMの高性能化に関す る研究をまとめたものである.以下に,本論文の概要を示す..

  第2章で は ,2次 元 等方 性 光 導 波路 解 析 の ため のFE‑BPMの定式化 を,TEモード伝 搬,

TMモー ド伝搬 の両方 を対象と して統 ー的に行っている.ピーム伝搬解析のための基本式に は,近軸式の他に,広角ピーム伝搬解析に対応可能なパデ式,ヘルムホルツ方程式も用いて おり,要素には,1次要素,およぴ2次要素を用いている.有限要素グリッドは,光の強度分 布に応じて各伝搬ステップごとにアダプテイブに更新するアルゴリズムを採用するとともに,

解析領域端からのスプリアス反射防止のために透明境界条件(TBC)を採用している.さらに,

有限要素行列のパンド性とスパース性とを考慮した高速計算アルゴリズムの開発も合わせて 行っている.具体的に,ベンチマークテスト用の傾斜直線導波路のビーム伝搬解析を実施し,

計算 精度,計 算効率 の観点 から, 他の様々なBPMとの比較,検討を行い,特に2次要素を用 いたバデ式に基づく広角FE‑BPMがピーム伝搬解析に極めて有効であることを実証している,

  第3章 では, 第2章で得られた成果を基にして,任意の異方性媒質からなる2次元光導波路 解析 のための 広角FE‑BPMの定式化を行っている.また,異方性光導波路解析のためのTBC, およ ぴTE,TMモ ード間 のモー ド変換 が起こる場合にも対応可能な高速計算アルゴリズムも 新た に開発し ている .さら に,こ こで開発したFE‑BPMを用いて非相反性を有する磁気光学 導波路のビーム伝搬解析を初めて行い,これらの非相反光デバイスの動作特性にを明らかに している.

  第4章 では,3次元光 導波路 解析の ための広 角FE‑BPMの 定式化 を,ス カラー 波近似 に基 づぃて行っている.曲線境界も含めた任意の導波路断面形状に対応するため,要素にはアイソ バラ メトリッ ク三角 形2次要 素を用 いてい る.ま た,3次 元光導波路解析用のTBCも新たに 開発している,具体的に,ベンチマークテスト用のりプ形光導波路のガウスビーム励振問題,

Y分岐 リプ導 波路の分 岐部に おける 放射問 題を取 り上げ ,ここ で開発 した3次 元FE‑BPMの 妥当 性,有効 性を確 認して いる. さらに ,光ICの 立体化 に有望 とされ ているARR.OW導波 路に代表されるりーキ一導波路の解析,設計にも,こうしたビーム伝搬解析が有効に利用でき ることを初めて叨らかにしている.

  第5章 では,FE‑BPMをソルバーとして用いた光ビーム伝搬解析ソフトウエアのプロトタイ プの 開発を行 っている.こうした光CADでは,ソルバーの高速性,高信頼性に加えて,ユー ザインターフェースが璽要な役割を担っている.ここでは,Xウインドー上での動作を念頭に おき,マウス,およぴキーボ―ド操作によって,導波路形状定義,パラメー夕入カから数値結 果 の 可 視 化 ま で を 対 話 形 式 で 一 貫 し て 行 え る 解 析 環 境 を 実 現 し て い る .   第6章では,本論文で得られた結論をまとめている.

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学位論文審査の要旨

学 位 論 文 題 名

光ビーム 伝搬解 析ソフト ウエア 開発のための基礎的研究

  光導波路を基盤とした集積ホトニクス技術が近年著しく進展し,実用化レベルに達した集 積光デバイスも数多く報告されている.今後,光デバイスの集積化がさらに進み,いわゆる光 集積 回路(光IC)として,各種の光デバイスを一体集積化する段階においては,LSIや超LSI の 開 発にCADが 不 可欠 と な っ てい る よ う に,光ICの開発 にも, やはりCADは不可 欠なも のになると考えられる.

  さて,こうした光導波路の伝送特性を評価するための解析フェーズは多岐に渡るが,現実的 な伝 搬方向に構造が変化する場合の光ビーム伝搬解析には,ピーム伝搬法(BPM)が極めて有 効であり,様々な集積光デバイスの解析,設計に広く利用されてきた.BPVIは界の横方向の 離 散 化の 方 法 に より , 高 速 フー リ エ 変 換(FFT)を 用い たFFT‑BPM, 差分法(FDM)を用い たFD‑BPM, 有 限 要 素 法(FEM)を 用 い たFE‑BPMに 大 別 さ れ る が , 特 に ,FE‑BPMは 屈 折率 差の大 きな導 波路や 偏波依 存性の強 い導波 路にも 適用できるとぃう点で,FFT‑BPMに 比べ て優れ ている .また ,FE‑BPMには,要求される計算精度に合わせて要素次数や要素数 を任意に選択することができたり,不均一グリッドを用い,これらを伝搬方向にアダプテイプ に更新することにより計算精度を劣化させることなく計算の効率化を図ることができるとぃっ た ,FFT‑BPMやFD‑BPMに は な い 特 徴 も あ る . し た が っ て ,FE‑BPAIをTMモ ー ド 伝搬 の場合も含めて,興方性光導波路解析や広角ピーム伝搬解析,さらには3次元光導波路解析に も 適 用す る こ と が可 能 に な れば , そ の 利用 価値は一 層高ま るもの と期待 されて いる.

  本論文は,こうした状況のもとで,光ビーム伝搬解析のためのFE‑BPMの高性fjヒ化に閲す る研究の成果をまとめたものである.以下に,本論文の研究成果を各章ごとにとりまとめる.

  第2章で は ,2次 元 等 方性 光 導 波 路解 析 のため のFE‑BPMの 定式化 を,TEモ ード伝 搬,

T¥Iモード伝搬の両方を対象として初めて統一的に行っている.ビーム伝搬解析のための基本 式には.近軸式の他に,広角ビーム伝搬解析に対応可能なバデ式,ヘルムホルツ方程式も用い ており,要素には,1次要素,および2次要素を用いている.有限要素グリッドは,光の強度 分布に応じて各伝搬ステップごとにアダプテイプに更新するアルゴリズムを採用するととも に, 解析領域端からのスプリアス反射防止のために透明境界条件(TBC)を採用している.さ らに,有限要素行列のパンド性とスパース性とを考慮した高速計算アルゴリズムの開発も合 わせて行っている.具体的に,ベンチマークテスト用の傾斜直線導波路のビーム伝搬解析を実 施し ,計算 精度, 計算効 率の観 点から,他の様々なBPMとの比較,検討を行い,特に2次要 素を 用いた パデ式 に基づ く広角FE‑BPMがビーム伝搬解析に極めて有効であることを実証し

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則 彦

次 孝

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ている.

  第3章 では,第2章で得られた成果を基にして,任意の異方性媒質からなる2次元光導波路 解析の ための 広角FE‑BPMの定式化を行っている.また,異方性光導波路解析のためのTBC, およびTE,TMモ ード間の モード 変換が 起こる場合にも対応可能な高速計算アルゴリズムも 新たに 開発し ている .さら に,こ こで開発したFE‑BPMを用いて非相反性を有する磁気光学 導波路のピーム伝搬解析を初めて行い,これらの非相反光デバイスの動作特性を明らかにし ている.

  第4章 では,3次元光導 波路解 析のた めの広 角FE‑BPMの 定式化 を,スカ ラー波 近似に基 づぃて行っている.曲線境界も含めた任意の導波路断面形状に対応するため,要素にはアイソ

′くラ メトリ ック三角形2次要素を用いている,また,3次元光導波路解析用のTBCも新たに 開発している,具体的に,ベンチマークテスト用のりブ形光導波路のガウスビーム励振問題,

Y分岐リ プ導波 路の分 岐部に おける 放射問 題を取 り上げ, ここで 開発し た3次元FE‑BPMの 妥 当性 , 有 効 性を 確 認 してい る.さ らに, 光ICの立 体化に 有望と されて いるARROW導 波 路に代表されるりーキー導渡路の解析,設計にも,こうしたビーム伝搬解析が有効に利用でき ることを初めて明らかにしている.

  第5章 では,FE‑BPMをソル バーと して用 いた光 ピーム 伝搬解析ソフトウエアのプロトタ イプの開発を行っている.ここでは,Xウインドー上での動作を念頭におき,マウス,および キーボード操作によって,導波路形状定義,バラメー夕入カから数値結果の可視化までを対話 形式で一貫して行える解析環境を実現している.

  第6章では,本研究で得られた成果の総括を行っている.

  これを要するに著者は,導波形集積光デバイスの解析,設計に必須のビーム伝搬法の高性能 化を実現するとともに,光ピーム伝搬解析ソフトウエア開発ならびに光導波路中の光ビーム 伝搬現象に関する有益な新知見を得たものであり,光・波動エレクトロニクスに対して貢献す るところ大なるものがある.

  よって 著者は ,北海 道大学 博士( 工学) の学位 を授与 される資 格ある ものと 認める.

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参照

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