• 検索結果がありません。

博士(獣医学)辻 尚利 学位論文題名

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "博士(獣医学)辻 尚利 学位論文題名"

Copied!
6
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

     博士(獣医学)辻   尚利 学位論文題名

ベ ネ ズ エ ラ 糞 線 虫の 自 由 生 活期 幼 虫 か ら 寄 生 期 幼 虫 へ の 発 育 に 関す る 研 究

学 位 論 文 内容 の 要 旨

  Rattus属のげっ歯類を自然宿主とするべネズェラ糞線虫は,ヒト及 び家畜を宿主とする糞線虫のモデル寄生虫として用いられている.本 虫の宿主への感染は,自由生活期である感染幼虫の経皮的侵入によって 成立する.経皮感染の前後で幼虫を取り巻く環境は,土壌中の外的環境 から宿主体内の内的環境に変化する.しかし,自由生活期の幼虫は 相当なストレス状態に曝されているにも関わらず,なんら損傷も受 けずに2つの環境に巧みに適応して発育し,感染後は寄生期の幼虫 として体内を移行し,最終的に小腸に寄生する.著者は,ベネズェラ 葵線虫の経皮感染時における自由生活期幼虫から寄生期幼虫への発 育過程に焦点をあて.その発育機構を明らかにすることを目的に実 験を計画レた,

  はじめに,現在のラットを用いたぺネズェラ糞線虫の実験室内維持 では,2〜3週で次の宿主に継代する必要があり繁雑であるため,スナ ネズミを用いたべネズェラ糞線虫の長期継代法について検討した.次 に,自由生活期幼虫及び,感染ラットから寄生期幼虫及び成虫を回収 し,発育期の差異による虫体構成蛋白質に´っいて検討した.また,

    一

自由生活期幼虫から寄生期幼虫への発育における生化学的機構を明 らかにする一環として,感染幼虫を移行幼虫に発育させるin  vi tro の培養系確立を試みた.さらに,この培養系を用いて,発育に関与 する 蛋白質 及びそれを規定する遺伝子の発現について解析した.

  第I章では,スナネズミにおけるべネズエラ糞線虫の長期感染に

(2)

ついて調ぺ|スナネズミを用いての長期継代法について検討した,

その結果,感染スナネズミでは,成虫の長期持続寄生が成立し,そ の寄生期間は感染後450日以上に及んだ.また,寄生期間中,糞便 内の虫卵数は減少するすることなく安定した値を維持し,その値は 投与感染幼虫数に依存することが確認された,これらのことから,

ラットの代替宿主としてスナネズミを用いることにより効翠のよい 継代及び自由生活期幼虫を大量かつ短期間に準備することが可能と なった.

  第II章では,発育期の差異における生化学的性状を明らかにする一 環として,二次元電気泳動を用いて自由生活期幼虫,肺寄生期幼虫及 び成虫の構成蛋白質にっいて検討した.その結果,自由生活期幼虫は13 個の特異的スポットを有し,肺寄生期幼虫及び成虫と明らかに区別さ れた.これに対して肺寄生期幼虫及び成虫はわずか6スポットを除い てほぼ同一なパ夕―ンであった.これらのことから,虫体を構成する 蛋白質は自由生活期の虫体と寄生期の虫体では大きく異なることが分 かった.

  第m章.では,自由生活期から寄生期への発育における生化学的機 構を解明するために,宿主を用いず,に自由生活期の幼虫を寄生期に まで発育させるjnレj troの培養系確立を試みた,温度25℃において 虫卵から発育した自由生活期幼虫tま,培養温度を37℃に変化させる ことによって,その形態は宿主から回収した移行幼虫の形態にまで 変化することが確認された.また,形態変化の認められた幼虫と感 染ラットから回収した移行幼虫の構成蛋白質及び抗原性について,

二次元電気泳動及び感染ラット血清を用いたウエスタンプ口ット法 によって検討したところ.両者のスポットパターン及び主要抗原は ほぼ同一であった.これらのことから,自由生活期幼虫を温度37℃ の環境下で培養することによって,虫体は寄生期幼虫へと発育する こ と が 確 綛 さ れ , 1ぬ レ i troの 培 養 系 を 確 立 し 得 た .   第IV章では,感染時の虫体発育に関与する蛋白質を明らかにする ため,第】II章で確立したjロレi troの培養系を用いて自由生活期幼虫 をS35メチオニンで代謝標識し,二次元電気泳動によって蛋白質を

(3)

分離した後,オートラジオグラフイーを実施した.その結果,自由 生活期の幼虫が寄生期へと形態変化する間に分子量70 kilodalron( kDa)の蛋白質の産生増大及び2つの複合体よりなる16〜22kDaの蛋白 質の産 生が確認された,これらの蛋白質は,熱ショック蛋白質(

HSP)70に対するモノクローナル抗体を用いたウエ.スタンプ口ット 法及ぴパルスチェイス法を用いた解析から,HSP70及び低分子畳領域 HSPの関連蛋白質であることが示された,これらのことから感染時 の 虫 体 発 育 に は HSPが 深 く 関 与 す る こ と が 示 唆 さ れ た ・   第V章では,感染時の虫体発育機構を遺伝子レペルで解明するた め.産生の増大が確認されたHSP70関連蛋白質を規定する遺伝子の 性状につL、て検討した.温度37℃で培養した自由生活期幼虫のmRNA より,ラムダZAP riベクターを用いてcDN.Aライブラリーを作製した その結果.これまでに報告されている喃乳動物のHSP70遺伝子との 間で70%以上の相同性を示す全長1705basepair(bp)のクローン(

pSH70−1)を 得た.pSH70ー1の塩 基配列 から推 定される3通りの アミノ酸配列の内の1っは,すでに報告されている各種生物の恒常 型HSP70との間に85%以上の高い相同性を示した.サザンブ口ット法 による解析からpSH70‐1は.ゲノ厶上に単一コピ―で存在すること が分かった.また,/‐一ザンブロット法による解析から,pSH70−1 の反応する3.2kbのmRNAの発現畳は,虫体が発育する間に増加する ことが示された.これらのことから,ベネズエラ糞線虫のHSP70関 迎遺伝子は,感染時の虫体発育に深く関与する遺伝子であることが 示唆された.

  以上5章の成績から,スナネズミをぺネズェラ糞線虫の宿主とし 用いることによって効率のよい継代法が確立され.また,自由生活 期と寄生期の幼虫における構成蛋白質の変化は,発育環境によるも のと推察された.さらに,自由生活期の幼虫を寄生期の虫体に発育 させるjnレjfr〇の培養系の確立によって,感染時の虫体発育にHSP が重要 な役割 りを果 たして いるこ とが示 唆され た.なかでもHSP 70につ いては遺伝子レベルでも発現が認められ,環境への適応及 び形態 変化の誘導が遺伝子によって規定され,複雑な生活環を営

(4)

む上で予めプ口グラムされていることを示唆した.

(5)

学 位論文審査の要旨 主 査

  

教 授

  

神 谷 正 男 副 査

  

教 授

  

小 沼

  

操 副 査

  

教 授

  

渡 邉 智 正 副査   助教授   奥   祐三郎

学 位 論 文 題 名

ベネ ズェラ糞線虫の自由生活期幼虫から 寄 生期幼 虫への発育に関する研究

  土壌 伝 播性 の糞線虫には,外界の自由生活期と宿主寄生期の2っの発育期が存在する.

宿 主へ の 感染 は皮 膚よ り侵 入す る第3期幼 虫(L3) によ って 成立 し,その後は体内を移 行 し寄 生 部位 である小腸内で第4期幼虫 から成虫にまで発育する,本研究は,この一連の 発 育過 程 にお いてL3が どの よう にし て異 なった環境に適応し発育するのか,感染時の虫 体発 育過程に焦点をあて,ヒト及び家畜に寄生する糞線虫類 のモデル寄生虫であるべネズ エラ 糞線虫を用いてその発育機構にっいて検討したものであ る.

  ベ ネズェラ糞線虫の実験室における継代は,通常ラットを 用いて行れている.しかし,

継 代方 法 が繁 雑で .自 由生 活期L3を 多数 入手する方法は確立されていなぃ,申請者は代 替宿 主を用いた継代方法の改良を試み,スナネズミにおける 成虫の長期寄生現象を利用し た 長期 継 代法 を確 立し た. そこ で, 一度 に多数の自由生活期L3を準備できるようになっ たこ とから,各発育期における虫体構成蛋白質を調べた.そ の結果,自由生活期と寄生期 の虫 体では大きく異なることを明らかにし,この差異は虫体 を取り巻く環境に依存するも のと 推察した.

  自由 生 活期L3の 好適 発育 温度 は25℃で ある.申請者は自由生活期L3の培養温度に注目 し ,introの培養系確立を試みた.こ れによって,培養を宿主の体温である370Cで実施 す るこ と によ って ,寄 生期L3の 形態 的特 徴を有した虫体に変化し,加えて,構成蛋白質 及び 抗原性の面からも充分に目的を果たした培養系の確立に 成功した,また,発育が温度 変 化に よ って 認められたことから熟ショック蛋白質(HSP)の産生が形態変化に関与する も のと 想 定さ れた .そ こで ,培 養温 度37℃で自由生活期L3が産生する蛋白質及び遺伝子 の発 現にっいてさらに検討を行った.

  自由 生 活期L3の 形態 が寄 生期 へと 変化 する過程で,分子量70kDaの恒常型HSP70の産生 増大 及び分子量16〜22kDa付近の 低分子量領域蛋白質のあらたな産生が確認された.また,

自 由生 活 期L3よりHSP70関連遺伝子を単 離することによって,本遺伝子が形態変化にとも なっ て発現する遺伝子のひとっと考えられ,感染時の虫体発 育にス卜レス蛋白質のひとつ であ るHSP70が重要な役割を果た していることが示唆された・

  以上 , 感染 時の虫体発育を再現したin灯troの培養系によって,感染時における虫体の 生化 学的機構の一端が明らかにされた.これらの成果は,一 連の発育過程における環境ヘ

(6)

の適応及び形態変化の誘導が遺伝子によって規定され,複雑な生活環を営む上で予めプロ グラムされていることを,糞線虫属の線虫で初めて明らかにしたもので宿主ー寄生虫相互 関係を理解する上で重要な知見であった.また,モデル寄生虫としてのべネズェラ糞線虫 の有用性をさらに高めたものであり,糞線虫属線虫の生物学的機能解析の進展に寄与する ところが大きぃ.審査員一同は,辻尚利氏が博士(獣医学)の学位を受けるのに充分な 資格を有するものと認める,

参照

関連したドキュメント

4 . O 歳獣の生存率や成長は、個体群動態やメスジカの繁殖成功のほか、0 歳獣自身

   僧帽弁逆流モデル犬において,ANP およびBNP の血漿濃度は非代償性心不全群に

非常に多 くの化学物質 が環境中に存在 している現在、同定困難な未知の化学物質 も含 めた環境影響 を評価する場 合、生息環境の 違いによって 、CYP

その結果、ワクチンを接種したCD8 ゛T 細胞欠損鶏における強毒MDV

   第 6 章 人の 0:8 菌 感染 症の 散 発流 行が みら れた青森県 津軽地方 において、 1992 年の 11 月、1993 年の6 月と8

その 症状の程度により検討した 。RA は実験的に mBSA の投与によっ て 容 易に誘導可能で あり、その発症の背景には 、宿主の MHC クラ

  

aggressive な ATL では、 pX が発現 できない 状態に なってい ること が多いと いう報告を引 用 し、 こ の 腫瘍 の場 合も、p16 と ARF の発現 がなくな った状 態では、 増殖の ための