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博 士 ( 工 学 ) 井 上 和 弘 学 位 論 文 題 名

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博 士 ( 工 学 ) 井 上 和 弘

学 位 論 文 題 名

電 磁 波 問 題 の 有 限 要 素 法 解 析 に お け る ス プ リ ア ス 解 の 除 去 法 に 関 す る 研 究

学 位 論 文 内 容 の 要 旨

  

今日の情報通信需 要の爆発的な増大に伴い,新 しい通信システム構築のための研究が基 礎と応用の両面から 広範囲にわたって展開されて おり,こうした情報通信の分野において も解析・設計支援ツ ールとしての有限要素法に対 する関心と期待が高まってきている.特 に.システムを構成 する各種マイクロ波デバイス や光デバイスの高性能化,多機能化,微 細化ならびに集積化 に見られるように,これらの デバイスの,より精密な解析,設計が要 求されるようになっ ており,電磁波動場の高精度 な解析がデバイス設計上不可欠になりつ っある.

  

ところで,電磁波 工学の分野における有限要素 法の応用に関する研究は,1960年代後半 から特に70年以降に なって本格的に開始され,様 々な問題への応用が試みられてきた.な かでも2次元電 磁波導波路の伝搬特性を求 める問題(導波路問題とよぷ )への応用に関す る研究が間断なく続 けられており,マイクロ波, ミリ波ならびに光波帯における各種の導 波路に適用さ れ,特に,電界あるいは磁界 の3成分を用いた有限要素法 は,電磁波導波路 の有カな数値解析法 のーっとして定着しつっある 感さえある.しかしながら,このような 電磁波導波路の有限 要素法解析においては,多く の場合,スブリアス解とよばれる非物理 的な解が発生し,こ れが有限要素法を利用する際 の大きな障害になっており,このため,

こうしたスプリアス 解を抑圧あるいは除去するた めの方法の開発が急務となっている,ま た,導波路問題は, いわゆる固有値問題のーっで あるが,共振器の固有周波数を求める問 題(共振器問題とよ ぶ)もこの固有値問題に属す る.このような共振器問題に代表される

3

次 元電 磁波 問題 の 有限 要素法解析は,一 般に,電界あるいは磁界の

3

成分による変分表 現式を基にして行わ れるが,この変分表現式を用 いて固有値問題を解くと,前述したよう にスブリアス解が発 生するので,共振器問題にお いても,このスプリアス解を抑圧,除去 するための検討が必 要になっている.さらに,い まーっの固有値問題として.伝搬方向に 周期的な構造を有す る導波路の伝搬特性を求める 問題(周期構造導波路問題とよぷ)があ るが,この実 用的にも重要な3次元周期構 造導波路問題への有限要素法 の応用は,これま でほとんど試みられ ておらず,そのうえ,やはル スプリアス解が発生するので,何らかの 対策が必要である.

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(2)

  本論文は,こうした状況のもとで,電界あるいは磁界の3成分を用いた電磁波問題の有 限要素法解析において問題となるスブリアス解の抑圧・除去法の開発に関する研究成果を まとめたものである.まず,任意形状の3次元共振器問題および3次元周期構造導波路問 題に対する有限要素法解析の定式化を行い,スプリアス解対策法として2次元導波路問題 において開発されてきたペナルティ法.横磁界法,リダクション法などを拡張して用いる とともに.エッジ要素の導入を試みている.っぎに,軸対称3次元共振器問題および軸対 称3次元周期構造導波路問題に対しては,スブリアス解対策法としてぺナルティ法を用い た定式化を行い,円筒座標系で表現された変分表現式に由来する特異点を含む要素積分の 評価には,Hammerらの数値積分公式に基づく数値積分を用いることを提案している,さら に,2次元導波路問題に対しては.エッジ要素を導入することによってスプリアス解を除 去するとともに,周波数を与えて伝搬定数を直接固有値として求めることを可能としてい る.また.エッジ要素を用いることにより.これまで困難とされていた金属くさびによる 電磁界の特異性を考慮することも可能になっている.以下に.本論文の概要を示す.

  第1章 で は , 本 論 文 の 背 景 , 目 的 , お よ び 構 成 に つ い て 述 べ て い る .   第2章では,任意形状の3次元共振器問題と3次元周期構造導波路問題に対する有限要 素法解析の定式化を行っている.まず,共振器問題が周期構造導波路問題の特別な場合と して取扱うことができることを示している.っぎに,四面体要素を用いた有限要素表示式 を導出し,スプリアス解の抑圧・除去法として,ベナルティ法.横磁界法.リダクション 法を導入している.さらに.直方体エッジ要素を導入した場合の有限要素表示式も導出し ている,エッジ要素を用いることによって,これまで解析が困難であった金属くさびによ る電磁界の特異性があるような問題に対しても,その解析が可能になっている.具体的な 数値計算例において,有限要素法によって得られた真の解ならびにスプリアス解のふるま いを詳細に検討し,厳密解あるいは他の解析法による結果との比較を行い.ここで提案し た解析法の妥当性,およびそれぞれのスプリアス解対策法ならびにエッジ要素の有効性に ついて検討している.

  第3章では,軸対称3次元共振器問題と軸対称3次元周期構造導波路問題に対する有限 要素法解析の定式化を行っている.ここでは,スプリアス解の抑圧・除去法として,ベナ ルティ法を導入しており,軸対称三角形要素を用いた有限要素表示式を導出している.ま た,円筒座標系で表現された変分表現式に由来する特異点を含む要素積分の評価法として 3種類の方法を考案し,TEoLmモードを対象としたスカラ波解析における数値計算例を 通して,各方法の有効性について詳細に検討している.さらに,ハイブリッドモードに対 する数値計算例において,真の解ならびにスプリアス解のふるまいを詳細に検討し,他の 解析法による結果との比較を行い,ここで提案した解析法の妥当性.およびべナルティ法 ならびにHammerらの数値積分公式に基づく数値積分の有効性について検討している.

(3)

  第4章では,2次元導波路問題に対して,エッジ要素を用いた有限要素表示式を導出 し,スブリアス解を除去するとともに.周波数を与えて伝搬定数を直接固有値として求め ることを可能としている.ところで,ストリップ線路のような金属くさびが存在する導波 路では,金属くさびの頂点で電磁界横成分が特異性を示し,くさびの頂点に計算に必要な 節点が配置される通常のラグランジュ三角形要素を用いた有限要素法では,この特異性を 考慮することが困難であり,正しい解が得られない,これに対して,エッジ要素ではくさ びの頂点に節点が配置されないので,界の特異性をうまく回避することができる,数値計 算例として,マイク口ストリップ線路ならびに各種の光導波路に対して本手法を適用し,

他の解析法による結果との比較を行い,本手法の妥当性,有効性について検討している.

  第5章では,本研究で得られた成果の総括を行っている.

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学位論文審査の要旨

    学位論文題名

電磁波問題の有限要素法解析におけるスプリアス解の除去法に関する研究

  今日の情報通信需要の爆発的な増大に伴い,新しい通信システム構築のための研究が基 礎と応用の両面から広範囲にわたって展開されており,こうした情報通信の分野において も,システムを構成する各種マイクロ波デバイスや光デバイスの高性能化.多機能化,微 細化ならびに集積化の要請から,これらのデバイスの,高精度解析・設計支援ツールとし ての有限要素法に対する関心と期待が高まってきている,さて,電磁波工学の分野におい ては,これまで2次元電磁波導波路の伝搬特性を求める問題(導波路問題とよぷ)への有 限要素法の応用に関する研究が間断なく続けられており.特に.電界あるいは磁界の3成 分を用いた有限要素法は,マイクロ波.ミリ波ならびに光波帯における各種の導波路の有 カな数値解析法のーっとして定着しつっある感さえある.しかしながら,このような電磁 波導波路の有限要素法解析においては,スプリアス解とよばれる非物理的な解が発生し,

このため,こうしたスブリアス解を抑圧あるいは除去するための方法の開発が急務となっ ている.また.導波路問題は,いわゆる固有値問題のーっであるが,共振器の固有周波数 を求める問題(共振器問題とよぶ)もこの固有値問題に属する.このような共振器問題に 代表される3次元電磁波問題の有限要素法解析もやはり,電界あるいは磁界の3成分によ る変分表現式を基にして行われるので,スプリアス解が発生し,共振器問題においても,

このスプリアス解を抑圧,除去するための検討が必要になっている.さらに,いまーっの 固有値問題として,伝搬方向に周期的な構造を有する導波路の伝搬特性を求める問題(周 期構造導波路問題とよぶ)があるが,この実用的にも重要な3次元周期構造導波路問題へ の有限要素法の応用は,これまでほとんど試みられておらず.そのうえ,やはルスプリア ス解の発生が考えられるので.何らかの対策が必要である.

  本論文は,こうした状況のもとで,電界あるいは磁界の3成分を用いた電磁波問題の有 限要素法解析において問題となるスプリアス解の抑圧・除去法の開発に関する研究成果を

彦 郎

正 精

一 信

柴 藤

井 井

伊 深

授 授

授 授

教 教

教 教

査 査

査 査

主 副

副 副

(5)

まとめた ものであり,5章からなって いる,

  第1竃 で は , 本 論 文 の 背 景 , 目 的 , お よ び 構 成 に っ い て 述 べ て い る .   第2章で は. 任意 形状の3次元電磁波固有値問題に対す る有限要素法解析の定式化 とし て,四面 体要素を用いた有限要素表 示式を導出し,スプリアス解の抑圧・除去法として,

ベナルテ ィ法.横磁界法.リダクシ ョン法を導入している.さらに,直方体エッジ要素を 導入した 場合の有限要素表示式も導 出している,具体的な数値計算例において.真の解な らびにス プリアス解のふるまいを詳 細に検討し,厳密解あるいは他の解析法による結果と の比較を 行い,ここで提案した解析 法の妥当性,およびそれぞれのスプリアス解対策法な らびにエ ッジ要素の有効性について 検討している.

  第3章で は, 軸対 称3次元 電磁波固有値問題に対する有 限要素法解析の定式化を行 って いる,ス プリアス解の抑圧・除去法 として,ベナルティ法を導入してぉり,軸対称三角形 要素を用 いた有限要素表示式を導出 している.また.特異点を含む要素積分の評価法とし て3種 類の 方法 を考 案 し.TEoエmモ ード を 対象としたス カラ波解析における数値計 算例 を通して ,各方法の有効性について 詳細に検討している.さらに,ハイブリッドモードに 対する数 値計算例において,真の解 ならびにスプリアス解のふるまいを詳細に検討し,他 の解析法 による結果との比較を行い ,ここで提案した解析法の妥当性,およびべナルティ 法 なら びにHammerらの数値 積分公式に基づく数値積分の 有効性について検討してい る,

  第4章で は,2次 元導 波路 問 題に 対し て, エッ ジ 要素 を用 いた 有限 要素表示式を 導出 し,スプ リアス解を除去するととも に,周波数を与えて伝搬定数を直接固有値として求め ることを 可能としてし、る,金属くさびが存在する導波路では.金属くさびの頂点で電磁界 横成分が 特異性を示すが.エッジ要 素ではくさびの頂点に節点が配置されないので,界の 特異性を うまく回避することができ る.数値計算例として,マイク口ス卜リップ線路なら びに各種 の光導波路に対して本手法 を適用し,他の解析法による結果との比較を行い.本 手法の妥 当性,有効性について検討 している.

  第5章 では.本研究で得られた成果 の総括を行っている.

  以上の ように本論文は,電磁波問 題の有限要素法解析におけるスプリアス解を抑圧,除 去するた めの方法論にっいて多方面 から検討し,スプリアス解の問題にーっの解決策を提 供 し た も の で , 電 磁 波 工 学 . お よ び 通 信 工 学 の 進 歩 に 寄 与 す る と こ ろ が 大 き い .   よ っ て , 著 者 は , 博 士 ( 工 学 ) の 学 位 を 授 与 さ れ る 資 格 あ る も の と 認 め る ,

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