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博士(工学)胡 忱 学位論文題名

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Academic year: 2021

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     博士(工学)胡   忱 学位論文題名

衛星放送受信アンテナシステムの長期連続測定に関する研究 学 位 論 文 内 容 の 要 旨

  本論文は,衛星放送受信アンテナシステムの連続測定法,および,それを用いた長期に渡る 測定結果をまとめたものである.

  従来,気象条件による電波伝搬特性の変化が多く研究されてきたが,気象条件がアンテナシ ステムにどのような影響を与えるかについての研究は少なかった.衛星放送受信アンテナシステ ムは通常屋外に設置されるため,様々な気象条件にさらされることになる.降雨や降雪によルアン テナ表面に雨や雪が付着すると受信アンテナシステムの性能が劣化することは一般に避けられ ない,衛星放送の高品質受信のためには,気象条件による性能劣化が発生しない,あるいは発 生しにくい,より優れた受信アンテナシステムが望ましい.

  受信アンテナシステムの性能はアンテナ利得Gとシステム雑音温度Tの比であるG/Tにより評 価される,衛星放送受信アンテナシステムのG/T測定を長期間に渡って続けると,気象条件によ る影響を明白に把握することができる,従って,気象条件に影響されずに高品質に受信できる衛 星放送受信アンテナシステムの開発に資することになる.このように,衛星放送受信アンテナシス テムのG/T長期連続測定に関する研究は重要である.

  本論文では,まず,衛星 放送受信アンテナシステムを長期に渡って連続的に測定するため のG/T連続測定方法に関して検討した.次に,それを用いて長期間に渡って得られた測定結果 にっいて論じた.

  以下,本論文によって得られた結果,およぴ,考察を各章に分けて要約し,その意義を述べ る.

  第1章では,本論文の背景ならびに概要を述べた.

  第2章では,アンテナシステムの性能の良さを表す指数G/Tの直接測定方法にっいて述べた,

まず,G/T直接測定法の概念 を説明し,実用的なG/T直接測定法の測定原理を明らかにした.

続いて,受信点での大地お よび周囲の建造物による反射波に影響されず,測定誤差の少ない 衛星放送波によるG/T直接測 定方法を論じた,同測定法 は,受信した衛星放送波の変調成分 を打消して無変調波に変換し,狭帯域バンドパスフアルタを通すことによりCN比を大きくし,微弱 な信号も測定することを可能とする.また,同測定法では,被測定アンテナの受信電カの絶対値 を測定する代りに,参照アンテナと呼ばれる補助アンテナで受信した参照信号の電カとの相対 値を測定することにより, 衛星放送波の電界強度が衛星の姿勢変動や大気中の伝搬定数の変 動によって時間的に変化する場合にもG/Tの直接測定を高精度で行うことができる.最後に,室 内に設置された通常の衛星 放送受信アンテナを利得基準アンテナとして用いる場合の較正法 について論じた.

  第3章では,G/Tの連続測 定方法に関して検討した.主 として,G/Tの連続測定を実現する ための重要な手段である雑音電力推定法について論じた.この雑音電力推定方法は,まず,受 信アンテナシステムの出カスペクトルにおいて,衛星放送信号が存在しない周波数帯域での雑

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音 電 カ ス ベ ク ト ル に 最 小 自 乗 近 似 法を 適 用し ,衛 星 放送 受信 帯 域内 の雑 音 電カ の第 一 近似 を 求 める .次 に ,そ の近 似 誤差 を補 正 することに より,衛星放送信号 帯域における雑音 電カを高い 精 度で 推定 す るも ので あ る. この 補 正値は受信 アンテナシステムの 雑音電カスペクト ルの周波数 依存性に より得られるもの であるので,それに っいて,受信アン テナシステムの雑 音電カスペクト ル の実 験デ ー タに 基づ い て検 討し た ,雑 音電 カ スペ クト ル の周 波数 依 存性 は長 い期 間に渡って 変動しな ぃこと,および, アンテナ方向,気象 条件,温度の変化 などの測定条件に よらないことが 分 かっ た. ま た, 雑音 電 カス ペク ト ルの 周波 数 依存 性は 主 に受 信ア ン テナ シス テム の給電系損 失 とコ ンバ ー タ利 得が 周 波数 に依 存 することに 起因すると指摘した .本章ではまた, 任意の時点 で 受信 アン テ ナシ ステ ム 雑音 電カ ス ペク トル の 周波 数依 存 性を 考察 す るた めの 有効 な手法とし て ,疑 似食 実 験を 提案 し た. これ は ,衛星放送 受信アンテナシステ ムの雑音電カスペ クトルを乱 すことな く衛星放送波を遮 蔽することにより受 信アンテナシステ ムの出カスペクト ルを測定して,

そ の 周 波 数 依 存 性 を 求 め る 実 験 で ある . 衛星 放送 波 の遮 蔽材 料 にっ いて 検 討し ,疑 似 食を 実 現 す る た め に は ア ル ミ 板 に 電 波 吸 収 材 を 貼 り 付 け た 電 波 遮 蔽 体 構 造 が 良 い こ とを 述 べた .   第4章 では ,G/T連続 測 定シ ステ ム につ いて 具 体的 にハ ー ドウ ェア と ソフ トウ ェア の面から述 べ た,G/T連 続測 定 シス テム の ハー ドウ ェ アは 測定 系 と制 御系から なる.測定系につ いては|ア ン テナ 利得 測 定お よび 雑 音電 力測 定 のた めの 測 定器 ,信 号 の変 換, 増 幅を 行う 装置 ,給電源な ど を述 べた . その 中で 最 も重 要な 測 定装 置は 参 照信 号同 時 表示 装置 で ある .こ れに より衛星放 送 波 に よ るG/Tの 直 接測 定が 実 現で きる , 制御 系は , 複数 の被 測 定受 信ア ン テナ シス テ ムの 選 択 , 測 定 条 件 の設 定, お よび ,測 定 デー タの 収 集な どを 自 動的 に行 う 装置 であ る ,G/T連続 測 定システ ムのソフトウェア については,主にア ンテナ利得に関す る測定,雑音電カ に関する測定,

お よび ,周 囲 環境 に関 す る測 定に 分 けて それ ぞ れの 手順 を 説明した.これ らの手順により,G/T 連続測定 システムのハード ウェアを自動的に操 作することができる.これらのハードウェアとソフト ウェアに より,G/Tの連続測定が実現 できた.

  第5章では,セン ターフイードパラボラアンテナシステム,オフセットパラボラアンテナシステム,

お よび ,平 面 アン テナ シ ステ ムに 対 して ,G/T連続 測 定法 の適用結 果を述べた,降雨 ,降雪,お よ び, 太陽 雑 音は 衛星 放 送受 信ア ン テナ シス テ ムの 性能 に どの よう に 影響 する かに ついて実際 の 測定 結果 に 基づ いて 検 討し た. 被 測定 受信 ア ンテ ナシ ス テム の気 象 条件 によ る長 期特性を比 較 す る た め に ,降 雨期 間 ,降 雪期 間 に分 けて , 各受 信ア ン テナ シス テ ムのG/Tの 測定 結 果を 時 間累積分 布率としてまとめ た,これを用いて, アンテナ,コンバ ータなど構造が異 なる受信アンテ ナ シス テム の 間で 比較 を 行い ,気 象 条件 に対 し て良 い性 能 を示 す受 信 アン テナ につ い述べた,

本 研究 の結 論 から ,開 口 が小 さい オ フセットパ ラボラアンテナが気 象条件の影響を受 けにくいこ と が明 らか に なっ た. コ ンバ ータ の 雑音 指数(NF)を 低く す るこ とに よ り, 小さ い開 口で所要の G/Tが 得 られ る. このような小 型のオフセッ卜パ ラボラアンテナが着 雪,降雨による劣 化を受けに くいと言 える,

  第6章では,結論 を述ベ,論文全体 の成果を要約した .

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学 位 論 文 審 査 の 要 旨

学 位 論 文 題 名

衛星放送受信アンテナシステムの長期連続測定に関する研究

  現在,衛星放送は広く普及しており,各種の受信アンテナシステムの開発が行われている.

  これ ま で に, 衛 星 から の 電 波伝 搬に対 する気 象条件の 影響に ついては 多く研 究され てき たが,気 象条件 がアンテ ナシステ ムにど のような 影響を 与えるかについての報告は 少 な い. 衛 星 放送 受 信 アン テ ナ システ ムは通 常屋外に 設置さ れるため ,様々な 気象条 件に さらされ ること になる. 降雨や降 雪によ ルアンテ ナ表面 に雨や雪が付着すると受信 ア ン テナ シ ス テム の 性 能が 劣 化 するこ とは一 般に避け られな い.衛星 放送の高 品質受 信の ためには ,気象 条件によ る性能劣 化が発 生しない ,ある いは発生しにくい,より優 れた受信アンテナシステムが望ましい.

  受信 ア ン テナ シ ス テム の 性 能は ア ン テナ 利 得Gと シ ス テ ム雑 音温度Tの比で あるG/T に よ り評 価 さ れる . 衛 星放 送 受 信ア ン テ ナシ ス テ ムのG/T測定 を長期間 に渡っ て続け ると ,気象条 件によ る影響を 把握する ことが できる. 従って ,気象条件に影響されずに 受信 できる衛 星放送受信アンテナシステムの開発に資することになる.このように,衛星 放 送 受 信 ア ン テ ナ シ ス テ ム の G/T長 期 連 続 測 定 に 関 す る 研 究 は 重 要 で あ る .   本 論 文 は, 衛 星 放送 受 信 アン テ ナ シス テ ム を長 期 に 渡っ て 連 続 的に 測 定 する た め のG/T連 続 測定 方 法 とそ れ を 用い た 測 定結 果 に つい て 論 じ たも のであり ,主要 な成果 は以下のように要約される.

  (1) G/Tの 連 続 測 定 を 行 う た め に は 衛星 放 送 帯域 内 の 雑 音電 カ を 求め な け れば な     ら ない , し かし , そ の帯 域 内 には 衛 星 放送 信 号 が常 時 存 在 し, 雑 音 電カ を 直 接     測 定 する こ と がで き な い. 本 論文で は帯域内 の雑音電 力推定 法を提案 してい る,

    こ の 方法 で は ,ま ず , 受信 ア ンテナ システム の出カス ペクト ルにおい て,衛 星放     送 信 号 が 存 在 し な い 周 波 数 帯 域 で の 雑 音 電 カ ス ペ ク ト ル に最 小 自 乗近 似 法 を     適 用し , 衛 星放 送 受 信帯 域 内 の雑 音 電 カの 第 一 近似 を 求 め る, 次 に ,そ の 近 似     誤 差を 補 正 する こ と によ り , 衛星 放 送 信号 帯 域 にお け る 雑 音電 カ を 高い 精 度 で

彦 則

孝 一

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    推 定す るも のである.この補正値は受信アンテナシ ステムの雑音電カスベクトル     の 周波 数依 存性により得られるものであるので,そ れについて,受信アンテナシ   ステ ムの 雑音 電カ スペ ク卜 ルの 実験 デ ータ に基 づぃ て検 討し た. 雑音電カスペク     トルの周波数依 存性は長い期間に渡って変動しないこと,および,アンテナ方向,

  気象 条件 ,温 度の 変化 など の測 定条 件 によ らな いこ とが 分か った .また,雑音電   カ ス ペ ク 卜 ル の 周 波 数 依 存 性 は 主 に 受 信ア ンテ ナ シス テム の給 電系 損失 とコ ン   バー タ利 得が 周波 数に 依存 する こと に 起因 する と指 摘し た, さら に,任意の時点   で 受 信 ア ン テ ナ シ ス テ ム 雑 音 電 カ ス ペ クト ルの 周 波数 依存 性を 考察 する ため の   有効 な手 法と して ,疑 似食 実験 を提 案 した .こ れは ,衛 星放 送受 信アンテナシス   テム の雑 音電 カスペクトルを乱すことなく衛星放送波 を遮蔽することにより受信ア     ンテナシステ、 ムの出カスペクトルを測定して,その周波数依存性を求める実験で   あ る . 衛 星 放 送 波 の 遮 蔽 材 料 に つ い て 検討 し, 疑 似食 を実 現す るた めに はア ル     ミ板に電波吸収 材を貼り付けた構造が良いことを明らかにした.次に,このような   雑 音 電 力 推 定 法 を 用 い たG/Tの 長 期 連 続 測 定 シ ス テ ム の 構 成 を 詳 細 に論 じた . (2)上述の測定法を用いてセンターフイードパラ ボラアンテナシステム,オフセットパ     ラ ボラ アン テナ シス テム ,お よび , 平面アンテナシステムについてのG/T連続測   定 結 果 を 明 確 に し た , す な わ ち , 降 雨 ,降 雪は 衛 星放 送受 信ア ンテ ナシ ステ ム   の 性 能 に ど の よ う に 影 響 す る か に つ い て実 際の 測 定結 果に 基づ いて 検討 した .   被 測 定 受 信 ア ン テ ナ シ ス テ ム の 気 象 条 件に よる 長 期特 性を 比較 する ため に, 降     雨 期 間 , 降雪 期間 に 分け て, 各受 信ア ンテ ナシ ステ ムのG/Tの 測定 結果 を時 間     累 積分 布率 としてまとめた.これを用いて,構造が 異なる受信アンテナシステム   の 間 で 比 較 を 行 い , 良 好 な 性 能 を 示 す 受信 アン テ ナに つい て述 べた .本 研究 の     結 諭か ら, 開口が小さいオフセットパラポラアンテ ナが気象条件の影響を受けに     くいことが明ら かになった,コンバータの雑音指数(NF)を低くすることにより,小     さぃ開口で所要 のG/Tが得られる.このよう な小型のオフセットパラボラアンテナ   が降雨,着雪によ る劣化を受けにくいと言える.

  こ れを 要す るに ,著 者は 衛星 放送 受 信ア ンテ ナシ ステ ムの 長期 測定 法の開発を行う とと もに それ を用 いた気象条件の影響を明らかにするなど,アンテナ 計測技術に関して 有益な新知見を得たものであり,アンテナ工学の進歩に貢献するところ大なるものがある.

  よ って ,著 者は 北海道大学博士(工学)の学位を授与される資格あ るものと認める.

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