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博士(医学)寺井 格 学位論文題名

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Academic year: 2021

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     博士(医学)寺井   格 学位論文題名

  Human Serum lVIannose Binding Protein(lVIBP):

Development of an Enzyme‑ Linked Immunosorbent Assay(ELISA)and Determination of Levels in Serum from 1085 Normal Japanese and in Some Body Fluids.

(ヒト血清マンノ―ス結合蛋白(MBP ):酵素抗体法(ELISA )    の開発と日本人正常血清1085 例ならびに他の体液の測定)

学位論文内容の要旨

I緒 言

  マ ン ノー ス 結 合 蛋白(MBP)は、 マ ンノー ス、N‑ア セチル グルコ サミン に特異 的に結合 するC型 レクチ ン で あ る 。 ヒト のMBPは32kDaの ホ モオ リ ゴ マ ーの9‑18量 体 で 、分 子 形 態 は補 体 成 分Clqと構 造 が 類 似 してい る。補 体の古 典経路 を活性化 したり 、それ 自身が オプソ ニンとして働き、またC3bを介してオプ ソ ニン作 用を発 揮し異 物排除 に働く。 近年、感染症を反復する小児でオプソニン不全があるとぃわれ、そ の 小 児 の 血清MBP値 が 低い こ と が 示さ れ た 。 このMBP低 値 は遺 伝 子 変 異に 基 づ く もの で変 異遺伝 子を homoあ る い はheteroに 持っもの は正常 値より も低値 を示す ため、MBP低値に 関して は常染 色体優 性遺伝 と さ れ て いる。MBPは生 体防御に おいて 重要な 役割を 担うこ とが示 されて いるが 、その作 用機序 や生理 的 役 割 に つい て は ま だ不 明 な 点 が多 い 。 我 々は ヒ トMBPを精 製し 、抗ヒ トMBP抗体 を作製 してELISA法 を 確立し 、各種 検体のMBP値を測 定した 。

H方 法

  1.ヒト血清からのMBP精製

  D‑mannoseをSepharose 6Bに化学的に結合し、mannose‑affinity columnを作製した。Caイオン存在下で血清 をcolumnに 通し、 十分洗 浄後、ED1丶A加緩 衝液で結合蛋白を溶出した。溶出液に再びCaイオンを加え、生 じた沈澱(主にserumamyloidPcomponent[SAP]からなる)を除去後、上清を次いで無処理のSepぬ・0艶−6B columnに通 し、洗 浄後、m孤n0恥加 緩衝液 で蛋白を溶出した。このレペルでの精製ではロ2‐マクログロプ リンが混在するため、さらに溶出蛋白をF謎tproteinliquidchromatographysystem(FPLC)でSupefo鷆6カラム お よびMonoQカラ ム を 用 いて 精 製 し た。 精製し た蛋白は 還元剤 下のSDS‐PAGE上、32kDの単一 バンド を 示した。

  2.抗MBP抗血清の作製

  精製MBPをFreund complete adjuvantと共にウサギの膝蓋窩リンパ節に直接免疫し、polyclonal抗体を作製し た。この抗体はそのままでは血清のa2−マクログロブリンとも反応するため、正常ヒト血清で吸収し、MBP特異

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抗血清とした。Monoclonal抗体は精製MBPをmouseに 免疫し作製した。

  3. 酵素 免疫 測定 法(ELISA)

  ELISAは ポリ クロ ーナ ル の抗MBP抗体 をマ イク ロプ レ ート に固 定化 し 、こ れにサンプルを添 加、つい で 固相 化抗 体 に結 合し たMBPを ピオ チン 化 した モノ クロ ーナ ル のMBP抗 体お よぴアピジン化ペ ルオキダ ー ゼ で 検 出 す る サ ン ド イ ッ チ 法 に よ り 行 っ た 。 ス タ ン ダ ー ド は 精 製 MBPを 用 い た 。

4. 対 象

各 種 体 液 : 尿12、 髄 液19、 腹 水34、 胸 水12例 で 、 腹 水 と 胸 水 は ほぼ 全 例が 癌性 であ る。

健 常者 血清:3歳から100歳まで の健康診断で得られた日本人 健常人血清、計1085例を用 いた。

IH結果

  MBP測定 用のELISAはMBPのO.lng/mlから30ng/mlまで直線性 がみられ、変動係数(CV) は測定問変動 9.6ゲ。お よぴ日差変動3.6ゲ。であっ た。

  各種 体液 と正常血清のMBP値を比 較した。尿と髄液は血清の約1/100〜1000で、胸水や腹 水では血液成 分の混在の 程度により血清の値に近いも のもあった。

  健常 者血 清1085例の濃度分布をみ ると、0.07から6.4Fg/mlまで幅広く分布しているが 、比較的低値 に多く集まっており対数正規型の分布傾向がみられた。算術平均(土標準偏差)で表すと1,72(士1.14)、

幾何平均は1.37、中央値は1139〃g/mlであった。

  各年齢別 に算術平均と標準偏差を表す と、平均値は小児期から成 人に達するまで加齢とともに減少する 傾 向が みら れた 。0−19歳 の未 成年 者と20―100歳の 成 人のMBP平均 値を 比較 する と、未成 年者(2.30 士1.30戸g/ml) の 方 が 成 人 (1.56土1.04Fg/ml) よ り 高 く 、 明 ら か な 有 意 差 が み ら れ た 。   未成年者 と成人とに分けて分布をみる と、未成年者は二峰性分布 となり、成人では、対数正規型分布を 示 した 。ニ 峰性 分 布か ら対 数正 規 型分布への移行は20歳代まで 加齢とともに進行し、30歳 代以降からは 対数正規型 の分布であった。

IV考 察

  今回 開 発し たMBP測 定用 のELISA法で は、MBPのO.lng/mlから30ng/mlまで 直線 性 がみられ ,変動係数

( CV) は 測 定 間 変 動 お よ ぴ 日 差 変 動 と も に10ゲ 。 以 下 で 、 定 量 性 は 優 れ て い た 。   各種 体 液と 対照 に示 し た健 常成 人血 清と 比 較す ると 尿や 髄液 中にはMBPはほとんど検出さ れず、また 癌 性腹 水 で血 液が 混じ る と検 出さ れる こと か ら、MBPは血 液以 外にはほとんど存在しないも のと考えら れた 。

  健常 者 血清 のMBP平均値を他の研究 者の結果と比べてみると、Superらの値より約10倍高く 、E鵐kowitZ ら の値 よ り約10倍 低か っ たが 、RIAで 測定 した 川嵜 ら の値 とほ ぽ同じであり、後にSuperとEZekowiには 以前 の報告の誤りを認めたことよ り、我々の測定値は正確で あると考えた。

  MBPの正常平均値は年齢によっ て大きく変わる。一生のうち 、最も高値を示すのは若年期(3ー9歳)で、

年 齢と 共 に減 少し 、30歳 以降 でほ ぼ一 定と な る。 子供 のMBP値 が成人よりも高い理由として は、感染防 御 機構 の 個体 発生 から み て、 原始 的免 疫系 の ーっ とし てMBPが 生体防御の第一線で活躍する ことが考え られ る。これが若年者におけるニ 峰性分布の高値群を反映し ている可能性がある。二峰性 の低値群の方は MBP遺 伝子 変異 のhom0ある いはheter0が多数含まれるものと考え られる。MBPの正常平均値は1.4−2.4 Fg/mlと 年齢 によ って 大 きく 変わ る。 今後 、 各種 疾患 でMBP値 の高低を論ずる際には年齢構 成を考慮し なけ れぱならない。

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(3)

学位論文審査の要旨

学 位 論 文 題 名

  Human Serum IVIannose Binding Protein(MBP):

Development of an Enzyme‑ Linked Immunosorbent Assay(ELISA)and Determination of Levels in Serum from 1085 Normal Japanese and in Some Body Fluids.

( ヒ ト 血 清 マ ン ノ ー ス 結 合 蛋 白 ( MBP) : 酵 素 抗 体 法 ( ELISA )    の 開 発 と 日 本 人 正 常 血 清 1085 例 な ら び に 他 の 体 液 の 測 定 )

マ ン ノ ー ス 結 合 蛋 白 (MBP) は 、 マ ン ノ ー ス 、 N‑ ア セ チ ル グ ル コサ ミ ン に 特 異的 に結 合 する 動物レ クチ ンで 、ヒ トの MBP は32kDa のホモオリゴマーの9 〜18 量体で、分子形態 は 補体 成分Clq と 構造 が類 似し てい る.この分子は補体の古典経路を活性化したり、そ れ 自身 がオプ ソニ ンと して 働き 、ま たC32 を介してオプソニン作用を発揮し、異物排除 に 関わ る原始的な生体防御のーっとされているが、その作用機序や生理的役割について は まだ 不明な 点が 多い .本 研究 はヒ トMBP を精 製し 、抗 ヒト MBP 抗体を作製して免疫学 的 測定 法(ELISA) を確 立し 、各 種検 体のMBP 値 なら びに 正常 ヒト 血清における値と年齢 変 化を しらべ 、そ の臨 床的 意義 を検 討し たも ので ある ・

   [ 方 法 ] ヒ ト 血 清 か らの MBP 精製 はD‑mannose を Sepharose 6B に化 学的に 結合 した mannose‑afflnitycolumn 、ゲル濾過法およびイオン交換法で行った.精製した蛋白は還元 剤下のSDS ―PAGE 上,32kD の単一バンドを示した.

polyclonal およ びmonoclon 甜 抗MBP 抗体 は精 製MBP を用いウサギおよびマウスに免疫し 作製した.

ELISA は polyclon 甜 の 抗 MBP 抗 体 を 固 相 化 し 、 二 次 抗 体 と し て ビ オ チ ン 標 識 抗 MBP monoclonm 抗 体を 用い 、ア ビジ ン標 識ペ ルオ キシ ダー ゼで 検出 するサ ンド イッ チ法で 行った.スタンダードは精製MBP を用いた・

[対 象] 体液 :尿 12 例, 髄液 19 例 ,腹 水34 例,胸水12 例と健常者血清(3 歳から100 彦

夫 紀

隆 知

林 池

小 小

授 授

教 教

査 査

主 副

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歳までの日本人健常人血清 1085 例)および新生児期(日令O :61 例と日令5 :51 例)を測 定した.

   [結果]

(1 )本測定法はMBP の O.lng/ml から30ng/ml まで直線性がみられ,測定間変動および日差 変動係数(CV) は何れも 10 %以下で良好であった.

(2)MBP は尿と髄液は血清の約11100 〜1000 であり、胸水や腹水では血液成分の混在で検 出可能となることから、血清以外にはほとんど存在しない物質であると推定した.

(3) 健常者血清の濃度分布は0.07 から 6.4pg/ml まで幅広く、低値に多く集まる対数正 規型の分布を示した.算術平均(土標準偏差)は1.72( 土1.14) であったが、年齢別平均 値は小児期から成人に達するまで加齢とともに減少した.このことより、 MBP は主に小 児期に活躍する物質であると推定した。

(4) 生下時からの変化は日令0 で既に約1 メ g/ml を示すが、日令 2 から急激に上昇し、日令 5 には生涯最高値に達することから、MBP は胎生期に既にその産生準備があり、出生と と も に 外 界 の 変 化 に 対 応 し て 産 生 が 起 こ る 防 御 因 子 で あ る と 推 定 し た ・

本研究では原始的免疫系のーつである MBP ー補体系に関してヒトにおける変化とその 意義について検討するため、ヒト血清MBP を精製し、その抗体を作製、ついでそれによる サンドイッチ酵素免疫測定法 (ELISA) を開発した.本法はMBP 値がO.lng/ml 〜30ng/ml ま で直線陸を示し、測定感度および変動係数(測定間ならびに日差)が優れていた.

   この方法により、健常ヒト血清における値と年齢変化、各種体液における値、新生児 期の変化などを検索し、この分子は主として血液中に存在するもので、他の体液中には 通常存在しないこと、この分子は胎生期にすでにある程度作られており、生後5 日以内 に生涯の最高値に達し、その後加齢とともに減少する性格の物質であることが明らかに なった.この現象は、個体発生上、高等な感染防御機構に属する抗体の出現と対比的な 動態である.このことからMBP は出生後、白ら抗体を産生するまでの期間、感染防御因 子として働くことに存在意義があるものと推測された.

   以上、本研究はMBP をヒト血清から精製、その測定法を開発し、これを用いて新生児

から高齢者に至るまでの血清 MBP 値の測定およびその年齢別正常値、年齢的変化を検討

したこと、またこの結果、ヒトに於けるMBP の存在意義は出生後、自ら抗体を産生する

までの期間、血液内で最初に働く原始的防御因子であることを推測したもので、論文内

容 は オ リ ジ ナ リ テ イ が あ り 、 博 士 ( 医 学 ) に 値 す る と 判 定 し た .

参照

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