博士(医学)寺井 格 学位論文題名
Human Serum lVIannose Binding Protein(lVIBP):
Development of an Enzyme‑ Linked Immunosorbent Assay(ELISA)and Determination of Levels in Serum from 1085 Normal Japanese and in Some Body Fluids.
(ヒト血清マンノ―ス結合蛋白(MBP ):酵素抗体法(ELISA ) の開発と日本人正常血清1085 例ならびに他の体液の測定)
学位論文内容の要旨
I緒 言
マ ン ノー ス 結 合 蛋白(MBP)は、 マ ンノー ス、N‑ア セチル グルコ サミン に特異 的に結合 するC型 レクチ ン で あ る 。 ヒト のMBPは32kDaの ホ モオ リ ゴ マ ーの9‑18量 体 で 、分 子 形 態 は補 体 成 分Clqと構 造 が 類 似 してい る。補 体の古 典経路 を活性化 したり 、それ 自身が オプソ ニンとして働き、またC3bを介してオプ ソ ニン作 用を発 揮し異 物排除 に働く。 近年、感染症を反復する小児でオプソニン不全があるとぃわれ、そ の 小 児 の 血清MBP値 が 低い こ と が 示さ れ た 。 このMBP低 値 は遺 伝 子 変 異に 基 づ く もの で変 異遺伝 子を homoあ る い はheteroに 持っもの は正常 値より も低値 を示す ため、MBP低値に 関して は常染 色体優 性遺伝 と さ れ て いる。MBPは生 体防御に おいて 重要な 役割を 担うこ とが示 されて いるが 、その作 用機序 や生理 的 役 割 に つい て は ま だ不 明 な 点 が多 い 。 我 々は ヒ トMBPを精 製し 、抗ヒ トMBP抗体 を作製 してELISA法 を 確立し 、各種 検体のMBP値を測 定した 。
H方 法
1.ヒト血清からのMBP精製
D‑mannoseをSepharose 6Bに化学的に結合し、mannose‑affinity columnを作製した。Caイオン存在下で血清 をcolumnに 通し、 十分洗 浄後、ED1丶A加緩 衝液で結合蛋白を溶出した。溶出液に再びCaイオンを加え、生 じた沈澱(主にserumamyloidPcomponent[SAP]からなる)を除去後、上清を次いで無処理のSepぬ・0艶−6B columnに通 し、洗 浄後、m孤n0恥加 緩衝液 で蛋白を溶出した。このレペルでの精製ではロ2‐マクログロプ リンが混在するため、さらに溶出蛋白をF謎tproteinliquidchromatographysystem(FPLC)でSupefo鷆6カラム お よびMonoQカラ ム を 用 いて 精 製 し た。 精製し た蛋白は 還元剤 下のSDS‐PAGE上、32kDの単一 バンド を 示した。
2.抗MBP抗血清の作製
精製MBPをFreund complete adjuvantと共にウサギの膝蓋窩リンパ節に直接免疫し、polyclonal抗体を作製し た。この抗体はそのままでは血清のa2−マクログロブリンとも反応するため、正常ヒト血清で吸収し、MBP特異
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抗血清とした。Monoclonal抗体は精製MBPをmouseに 免疫し作製した。
3. 酵素 免疫 測定 法(ELISA)
ELISAは ポリ クロ ーナ ル の抗MBP抗体 をマ イク ロプ レ ート に固 定化 し 、こ れにサンプルを添 加、つい で 固相 化抗 体 に結 合し たMBPを ピオ チン 化 した モノ クロ ーナ ル のMBP抗 体お よぴアピジン化ペ ルオキダ ー ゼ で 検 出 す る サ ン ド イ ッ チ 法 に よ り 行 っ た 。 ス タ ン ダ ー ド は 精 製 MBPを 用 い た 。
4. 対 象
各 種 体 液 : 尿12、 髄 液19、 腹 水34、 胸 水12例 で 、 腹 水 と 胸 水 は ほぼ 全 例が 癌性 であ る。
健 常者 血清:3歳から100歳まで の健康診断で得られた日本人 健常人血清、計1085例を用 いた。
IH結果
MBP測定 用のELISAはMBPのO.lng/mlから30ng/mlまで直線性 がみられ、変動係数(CV) は測定問変動 9.6ゲ。お よぴ日差変動3.6ゲ。であっ た。
各種 体液 と正常血清のMBP値を比 較した。尿と髄液は血清の約1/100〜1000で、胸水や腹 水では血液成 分の混在の 程度により血清の値に近いも のもあった。
健常 者血 清1085例の濃度分布をみ ると、0.07から6.4Fg/mlまで幅広く分布しているが 、比較的低値 に多く集まっており対数正規型の分布傾向がみられた。算術平均(土標準偏差)で表すと1,72(士1.14)、
幾何平均は1.37、中央値は1139〃g/mlであった。
各年齢別 に算術平均と標準偏差を表す と、平均値は小児期から成 人に達するまで加齢とともに減少する 傾 向が みら れた 。0−19歳 の未 成年 者と20―100歳の 成 人のMBP平均 値を 比較 する と、未成 年者(2.30 士1.30戸g/ml) の 方 が 成 人 (1.56土1.04Fg/ml) よ り 高 く 、 明 ら か な 有 意 差 が み ら れ た 。 未成年者 と成人とに分けて分布をみる と、未成年者は二峰性分布 となり、成人では、対数正規型分布を 示 した 。ニ 峰性 分 布か ら対 数正 規 型分布への移行は20歳代まで 加齢とともに進行し、30歳 代以降からは 対数正規型 の分布であった。
IV考 察
今回 開 発し たMBP測 定用 のELISA法で は、MBPのO.lng/mlから30ng/mlまで 直線 性 がみられ ,変動係数
( CV) は 測 定 間 変 動 お よ ぴ 日 差 変 動 と も に10ゲ 。 以 下 で 、 定 量 性 は 優 れ て い た 。 各種 体 液と 対照 に示 し た健 常成 人血 清と 比 較す ると 尿や 髄液 中にはMBPはほとんど検出さ れず、また 癌 性腹 水 で血 液が 混じ る と検 出さ れる こと か ら、MBPは血 液以 外にはほとんど存在しないも のと考えら れた 。
健常 者 血清 のMBP平均値を他の研究 者の結果と比べてみると、Superらの値より約10倍高く 、E鵐kowitZ ら の値 よ り約10倍 低か っ たが 、RIAで 測定 した 川嵜 ら の値 とほ ぽ同じであり、後にSuperとEZekowiには 以前 の報告の誤りを認めたことよ り、我々の測定値は正確で あると考えた。
MBPの正常平均値は年齢によっ て大きく変わる。一生のうち 、最も高値を示すのは若年期(3ー9歳)で、
年 齢と 共 に減 少し 、30歳 以降 でほ ぼ一 定と な る。 子供 のMBP値 が成人よりも高い理由として は、感染防 御 機構 の 個体 発生 から み て、 原始 的免 疫系 の ーっ とし てMBPが 生体防御の第一線で活躍する ことが考え られ る。これが若年者におけるニ 峰性分布の高値群を反映し ている可能性がある。二峰性 の低値群の方は MBP遺 伝子 変異 のhom0ある いはheter0が多数含まれるものと考え られる。MBPの正常平均値は1.4−2.4 Fg/mlと 年齢 によ って 大 きく 変わ る。 今後 、 各種 疾患 でMBP値 の高低を論ずる際には年齢構 成を考慮し なけ れぱならない。
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学位論文審査の要旨
学 位 論 文 題 名