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博 士 ( 医 学 ) 放 生 憲 博

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Academic year: 2021

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博 士 ( 医 学 ) 放 生 憲 博

     学位論文題名

A BiomechanicalandHiStologiCalEValuationof aBioreSOrbableLumbarInterbodyFuSionCage

(生体内吸収性腰椎椎体問固定ケージの生体力学的組織学的研究)

学 位 論 文 内容 の 要 旨

【はじ めに】後 方進入 椎体問固定術(以下PLIF)は,その良好な短期成績から広く普及 している.しかし,その長期成績には不明な点も多い.チタンをはじめとした金属製のケ ージはその剛性の高さ故,除負荷による骨形成への影響やケージの沈下が懸念される.ま た,ケージ内の骨癒合状況がレントゲンで確認できないという欠点もある.一方,カーボ ンファイバ製ーケージ(以下CFC)はレントゲン透過性であるが,カーボン粉末がもたら す問題 も指摘さ れてい る,さらに,金属製ケージもCFCも生体活性がなく,ケージその ものは周囲の骨と化学的に結合することはない.1996年,未焼結のハイドロキシアバタイ トとポリL乳酸を化合し特殊な鍛造製法により作成される高強度で生体活性と生体内吸収 性 を有 す る 材料(F‑u‑HA/PLLA)が 開発され た.F‑u‑HA/PLLAを用 いた脊椎 椎体間固 定 ケージに関する生体外実験ではその優れた生体力学的特徴が証明された.本生体内実験の 目 的は こ のF‑u‑HA/PLLAケ ージ を 従 来法 で あ る 自家 腸 骨 移植 ( 以 下AIB)やCFCと比 較して,レントゲン学的,生体力学的,組織学的にその椎問癒合能を評価することである.

【方法 】成羊25頭 にチタ ン製椎弓根スクリューシステムによる内固定を併用した1椎間

(L2/3)の後方進入腰椎椎体問固定術を施行した.椎体問に移植したインプラントにより

AIB群(n二ニ7),CFC群(n二二ニ9),F‑u‑HA/PLLAケージ群(nニニ‑9)の3群に分けた.3種類 とも外径は同一とし,そのうち2種類のケージ内には局所から採取した自家海綿骨を粉砕 して充填した,全頭術後120日で屠殺し,腰椎を摘出した.併用した内固定金属を抜去し た後, 冠状断CTを 撮影し た.3次元的 に骨癒合 状態を評 価でき るように 冠状断CT像を 用しゝたスコア(CT fusion score)を考案し,ケージ内とその周囲の骨癒合状況を詳細に評 価した ,次にpure moment負荷による固定椎間の角度可動域を測定した.さらに組織学 的評価を行った.脱灰標本と非脱灰標本により骨癒合状況,インプラント界面,炎症細胞 の有無などを詳細に観察した.

【結果 】圧潰, 脱転し たF‑u‑HA/PLLAケージは なかっ た.平均CT fusion scoreはAIB 群33.3,CFC群35.0,F‑u‑HA/PLLAケー ジ 群33.6であ り,3群問に 統計学的 有意差 は なかった, pure moment負荷下における固定椎間可動域についても3群間に統計学的有意 差は無かった,椎間可動域とCT fusion scoreは強い相関関係にあった.脱灰標本におけ る 組織 学 的 評価 に お いてCFCとF‑u‑HA/PLLAケー ジ周囲 に炎症細 胞は認 めなかっ た,

F‑u‑HA/PLLAケ ージは 周囲の骨 と直接 に介在組 織なし に接触していたのに対し,CFCは 非炎症 性の厚い 線維性 組織に覆われていた.非脱灰標本においてF‑u‑HA/PLLAケージの 表面に骨稜の侵入している部分を認めた.

【考察 】F‑u‑HA/PLLAは生体活性生体内吸収性であり,生体活性セラミックと高分子ポ リマーの化合物としては最高のカ学的強度を持つ.これらの特徴からこの材料の脊柱用イ

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ンプラントヘの応用が期待されてきた,既に 行われている椎体問固定用F‑u‑HA/PLLAケ ージの生体外におけるカ学試験においてF‑u‑HA/PLLAケージは圧縮・疲労試験の両方で 広く 臨床 利用 され てい るCFCを凌 ぐこ とが 示さ れた .本 生体 内実験でF‑u‑HA/PLLAケ ージは脊柱という生体力学的に高負荷の条件 下においてもF‑u‑HA/PLLAケージは圧潰,

脱転しなしゝことが分かった.また,CT fusion scoreを用いたレントゲン学的評価におい てF‑u‑HA/PLLAケー ジはAIBやCFCと同 等 の椎 問癒 合能 を持 つこ とが 示さ れた .固 定 椎 問 の可 動 域の 計測 によ り, 生体 力学 的に もF‑u‑HA/PLLAケー ジはAIBやCFCと同 等 の椎問癒合能を持つことが示された,組織学 的評価においてCFCは非炎症性の厚い線維 性組織に覆われていたのに対し,F‑u‑HA/PLLAケージは周囲の骨と直接に介在組織なし に接触しており,さらに注目すべきはそのケージの表面に骨稜の侵入を認めたことである.

こ れ はF‑u‑HA/PLLAの 強 い 骨 伝 導 能 を 示 唆 す る も の と 考 え ら れ た .

【結論】F‑u‑HA/PLLAケージの椎体間固定用インプラントとしての可能性が立証された.

F‑u‑HA/PLLAケー ジを用いた椎体間固定はレントゲン学的,生体力学的,組織学的に骨 癒合 が確 認され,その椎間癒合能はAIBやCFCと同 等あるいはそれを超えるものであっ た.また,周囲の骨組織と介在組織なしに接し,炎症反応を伴わずに緩徐に吸収され骨組 織に置換される点において既存のCFCに勝ると考えられた.

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学位論文審査の要旨

     学位論文題名

    A Biomechanical and Histological Evaluation of   a Bioresorbable Lumbar Interbody Fusion Cage    (生体内吸収性腰椎椎体間固定ケージの生体力学的組織学的研究)

  学位論文は高強度生体活性生体内吸収性材料による脊椎椎体間固定ケージの生体内実験 に 関するも のであ る.後方 進入腰椎椎体間固定術(以下PLIF)は,その良好な短期成績 から広く普及しているが,金属ケージは高剛性であり,除負荷による骨萎縮やケージの沈 下 が懸念される,カーボンファイバーケージ(以下CFC)は炭素粉末の問題が指摘されて い る.さら に,金 属製ケー ジもCFCも生体活性がなく,周囲の骨と化学結合することは な い ,1996年 , 未 焼 結 の ハ イド ロ キ シ アバ タ イ ト(HA)と ポ リL乳 酸(PLLA)を 化 合 し 特殊な鍛 造製法 により作 成される高強度生体活性生体内吸収性材料(F‑u‑HA/PLLA)が 開 発された .F‑u‑HA/PLLAは生体活性セラミックと高分子ポリマーの化合物としては最 高 のカ学的 強度を 持つ.本 実験の目的はこのF‑u‑HA/PLLAケージを従来法である自家腸 骨 移植(以 下AIB)やCFCと比較 して, レントゲ ン学的 ,生体力 学的,組 織学的 にその 椎 問 癒 合能 を 評 価す る こ とで あ る .成 羊25頭 に1椎間(L2/3)のPLIFを施行 した.椎 体間に移植したインプラントによりAIB群(n:ニ7),CFC群(nニニ9),F‑u‑HA/PLLAケー ジ群(n:ニニ9)の3群に分けた,3種類とも外径は同一とし,そのうち2種類のケージ内に は局所から採取した自家海綿骨を粉砕して充填した.全頭術後120日で屠殺し,腰椎を摘 出した,3次元的に骨癒合状態を評価できるように冠状断CT像を用いたスコア(CT fusion score)を考案し,ケージ内とその周囲の骨癒合状況を詳細に評価した.次にpure moment 負 荷による 固定椎 間可動域(ROM)を測定した.さらに組織学的評価を行った,圧潰,脱 転 したF‑u‑HA/PLLAケージ はなか った,平 均CT fusion scoreは3群間に統 計学的有意 差 はなかっ た.ROMについ ても3群間に 統計学的 有意差はなかった,組織学的評価にお

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安 岩

授 授

教 教

査 査

主 副

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いてF‑u‑HA/PLLAケー ジは周囲 の骨と介在組織なしに直接接触し,ケージ表面に骨稜の 侵入を認めたのに対し,CFCは非炎症性の厚い線維性組織に覆われていた.本生体内実験 でF‑u‑HA/PLLAケージ は脊柱と いう生体力学的に高負荷の条件下においても圧潰,脱転 しない ことが確 認された .また,レントゲン学的,生体力学的にF‑u‑HA}PLLAケージは AIBやCFCと同 等の椎間 癒合能 を持つこ とが示 された. 組織学 的評価で はF‑u‑HAIPLLA ケージ の高い生 体活性が 証明された.これらの結果よりF‑u‑HA/PLLAケージの椎体間固 定用インプラントとしての可能性が立証された.

  学 位 論文 公 開 発 表で は 、副査の 岩永敏 彦教授か らFーu‑HA/PLLAの 化学的 組成につ いて の 質 問が あ り , 申請 者 は 未焼 結 のHAとPLLAを 化合 し 特 殊な 鍛 造 製 法に よ り作 成され る材料で あると回 答した 。さらにF‑u‑HA/PLLAケ ージの 表面に骨 組織の 侵入を 認めたことの意義について質問があり,申請者は強い骨伝導能を示唆すると回答した。

最後に 生体活性 ケージの 周囲に も部分的 に線維 性組織が介在することについての質問 があり ,申請者 は微細運 動によ り生じる 線維性 組織の可能性を述ベ,材料特性として の生体 活性はCFCと比較 して検 討するぺ きであ ると回答 した. 次いで主 査の安田 和則 教授よ り椎体問 固定の骨 癒合様 式につい ての質 問があり,申請者はケージ内の骨癒合 が完成 した後ケ ージ外の 骨癒合 が起こる と回答 した。さらに,生体活性材料の吸収期 間につ いての質 問があり ,申請者はIshiiらの家兎大腿骨内に埋入した同材料の長期観 察研究 を引用し ,本ケー ジが完 全に吸収 される には長期の時間を要すると回答した.

最後 に 副 査の 三 浪 明 男教 授 よ りHAとPLLAの化 合 比 とそ の カ 学強 度 , 吸 収速 度 につ いての 質問があ り,申請 者は化 合比でそ れらの 材料特性が変化することを回答し,本 実験 に 用 いら れ て い る材 料は質 量比40% のHAを含有 するも のである とも回答 した。

さらに,最終的に骨に置換されることが本ケージの目的であるのかという質問があり,

申請者 はケージ の第一の 目的は 安全・確 実な椎 体問癒合であり,その後に骨に置換さ れるこ とは生体 力学的側 面や臨 床使用に おける 合併症の減少等において有益であると 回答した.

  この論文は,高強度生体活性生体内吸収性材料を用いた椎体問固定用ケージの最初の生 体内実験であり,椎体問固定用ケージのみならず脊椎インプラントヘの臨床応用にっなが る重要な研究である点で高く評価され,今後臨床応用される可能性が高いことを考慮する にあたり,長期観察実験などさらなる研究が期待される,

  審査員一同は,これらの成果を高く評価し,大学院課程における研鑽や取得単位なども 併せ申 請者が博 士(医学 )の学 位を受け るのに 充分な資格を有するものと判定した.

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