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博士(医学)姜 貞憲 学位論文題名

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Academic year: 2021

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     博士(医学)姜   貞憲 学位論文題名

Prevention of spontaneous hepatocellular carclnomaln     LECratswithhereditaryhepatitis

    bytheadministrationofD− penici11amine.     ( D― penic川 amine投 与 に よ る , 遺 伝 性 肝 炎 発 症     LECラ ッ ト の 自 然 発 症 肝 癌 の 予 防 )

    学位論文内容の要旨     【緒言

  Long‑Evans Cinnamon(LEC)ラットは生後4ー5カ月齢 で重篤な急 性肝 炎を自然発症し約半数の個体が死亡する。生存し得た個体で肝 炎は慢性Iイ匕‐し胆管線維症を合併し、生後1年以上経過すると原発性 肝癌 が発生する。慢性肝炎を経 て肝癌が発生するLECラット肝障害 の自 然経過はヒト肝発癌の臨床経過に類似し、ヒト肝発癌の機序を 研究 する上で有用な動物モデルと考えられる。申請者らは既に、LE Cラット肝炎が常染色体劣性遺伝形式を取り、ヒトWilson病類似の銅 代謝 異常に起因する事を明らか にした。今回申請者らは、LECラッ トの慢性肝炎が肝発癌に何らかの影響を及ぼしている可能性を考え、

LECラットに対し銅キレート剤であるD―penicillamine(DPA)を長期 間投 与することにより、慢性肝炎が抑制されるか否か、もし慢性肝 炎が 抑制されたなら、肝発癌がどのような影響を受けるか等を検討 した。

    II材料と方法 1.実験動物

  LECラットは北海道大学実験生物センターでLo ng‑Evansラットか ら分離され系統維持されているものを用いた。

2.D ‑penicilla mine長期投与

  肝炎 発症 前 であ る11週齢の 雌雄LECラ ットに対し、DPA投与群に は脱イオン蒸留水を用い調整したDPA100mガ体重kg/日相当量を、対 照群 には脱イオン蒸留水のみを約70週齢まで連日自由飲水の方法で 投与した。

3.血清生化学検査と血清銅の測定

  実験開始 時と16、28、44週齢及び実験終了時70週齢の各時点で頚 静脈から採血し血清G01等肝機能検査及び血清銅の測定を各々UV法、

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原子吸光法にてifった。

4.肝病理組織及び免疫紅L織化学的検奄

  44週齢時で両群 各6顛、70週齢時に はIdi群全個体を犠糾:死さ・せ肝臓 を 摘 出 し た 。 肝 臓 は10% ホ ル マ リ ン 固 定 し ノく ラ フイ ン 包埋 後 ヘマ 卜 キ シ リ ン ― エ オ ジ ン 染 色 を 施 行 し 、 光 学 顕 微 鏡 で 観 察 し た 。 ま た 、 抗ラッ卜兎Placental  Glu tathione  S‑Tra nsferase(GST‑P)抗体を月jレヽ、

ABC法により44週齢しECラッ卜肝の免疫染色を行った。

5.LECラッ卜肝oh8dGの測定

  13週 齢 LECラ ッ 卜 を 用 いDPA投 与 群 と 対 照 群 をL記 と 同 様 に 設 定 し 、17週 齢 時 屠 殺 し た 。 摘 出 し た 肝 か ら お0出 し たDNAを 加 熱 酵 素 処 理後electrometricalde tection法により8‑h ydroxy‑deo xygu anosine(oh8 dG)を測定した。

6.統計学的解析方法

  統 計 学 的 有意 差 はカ イ二 乗 検定 反 びStudent.sr‐検 定 で評 価 した 。     川 結 果

1. 肝 炎 に 対 す るDPAの 効 果

  LECラ ッ 卜 対 照 群 で は15週 齢 か ら33週 齢 ま で の 期 間 に 雌 雄 合 計37 頭 中22頭 で 顕 性 黄 疸 が 観 察 さ れ た 。 … ・ 方 、DPA投 与 群 で は 観 察 期 間 中 1例 の 黄 疸 も 認 め な か っ た 。 対 照 群 の 血 清GOT、GPT及 び 血 清 銅 濃 度 は16週 齢 で 著 明 な 上 昇 を 示 し 、 そ の 後 も11週 齢 時 に 比 べ 高 値 を 維 持 し た 。 一 方 、DPA投 与 群 で は 実 験 期 間 中 血 清tra nsamInase及 び血 清 銅 濃 度 の 上 昇 を 認 め な か っ た 。 病 理 組 織 学 的 検 討 で は 、44週 齢 対 照 群 ( 雌 雄 合 計6頭 ) の 全 て に 慢 性 肝 炎 の 所 見 を 認 め た が 、DPA投 与 群 で は 全 例 で 正 常 な 肝 組 織 像 で あ っ た 。

2. 肝 前 癌 病 変 に 対 す るDPAの 効 果

  44週 齢 対 照 群 肝 で は 過 形 成 病 変 が 認 め ら れ 、 免 疫 染 色 で はGST‐P 陽 性fociが 多 数 認 め ら れ た 。 一 方 、 同 週 齢DPA投 与 群 で は 肝 過 形 成 病 変 を 全 く 認 め ず 、 肝 GST‑P陽 性 fociも 認 め ら れ な か っ た 。 3. 肝 発 癌 に 対 す るDPAの 効 果

  70週 齢 対 照 群15頭 の 肝 は 全 て の 肝 葉 が 著 明 に 腫 大 し15頭 中11頭 で 肝 腫 瘤 が 、 ま た 、 全 例 に 胆 管 線 維 症 に よ る 乳 白 色 調 の 病 変 が 存 在 し た 。 し か し 、D PA投 与 群 で は 肝 藁 の 腫 脹 は 認 め ず 肝 腫 瘤 の 形 成 、 胆 管 線 維 症 の 所 見 は 肉 眼 的 に は 観 察 さ れ な か っ た 。 病 理 組 織 学的 に は、

対 照 群11頭 の 肝 腫 瘤11病 変Lp9病変 に 肝細 胞 癌カ く 認め られ 、 その 他 に 慢 性 肝 炎 、 胆 管 線 維 症 及 び 多 数 の 肝 過 形 成 性 結 節 の 所 兇 を 認 め た 。 一 方 、DPA投 与 群 で は 仝 て のHヤ 糾 織 標 本 でd: 常 な 小 築 構 築 が 維 持 さ

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れ‐肝過形成性病変、肝細胞癌は認めなかった。

4.肝oh8dG産生に対するDPAの効果

  肝 組織DNAのoh8dG/lぴdGは 対照群 では 雄で6.40‑‑0.85、雌では6.8 0+1‑ 03であったの対し、DPA投与群では各々3.38+0. 32、2.80 ‑0.42で あり、後者で有意に減少していた。

    IV考察

  申 請 者 ら は 、LECラ ッ 卜 にDPAを 長期 間 投 与 し 、 銅代 謝 異 常 に 起 因 す る 慢性 肝 炎 と 肝 発癌 が どのよ うな影 響を 受ける かを観 察した 。   肉 眼 的黄 疽 の 発 症 率、 血 清 生 化 学 及び 肝 病 理 組 織所 見 か ら 、DPA の長 期投 与によ りLECラッ トの急 性及 び慢性 肝炎が 完全に 抑制され、

さ ら に は肝 発 癌 も 予 防さ れ ること が明か とな った。 これら の実験 事 実 は 、 持続 す る 肝 炎 がLECラ ッ 卜 肝 発癌 に 重 要 な 役割 を 果 し てい る ことを強く示唆するものである。

  申 請 者ら は 既 にLECラッ 卜 肝 細 胞 に銅 が 高 濃 度 で蓄 積 し て いる 事 を報告したが、銅イオンの存在下で肝にoxygen radicalsが産生され、

劇 症 肝 炎の 原 因 と な って い る可能 性が考 えら れる。 さらに 急性肝 炎 後 も 、 これ ら が 肝 細 胞DNAに 持 続 的 損傷 を 与 え 肝 発癌 に 関 与 して い る 可 能 性が あ る 。DNA中のoh8dG量 はDNAに 対 す るoxydativest ress の 指 標 とさ れ て お り 、しECラッ卜 では急 性肝 炎時期 に増加 するこ と が 報 告 さ れ て い る 。DPA投 与 群 の 肝 でDNA中 のoh8dG産 生 が 著 明 に 抑制 され た事実 は、肝におけるoxygen radicalsの産生がDPA投与によ り抑 制さ れる事 を示しており、LECラッ卜の肝炎と肝発癌過程にoxy ‑ gen radicalsが 関 与 し て い る 可 能 性 を 示 唆 す る も の で あ る 。   LECラ ッ 卜 肝 発 癌 で は 、1年 以 上 持続 す る 慢 性 肝 炎が 先 行 す る こ とが 特徴 的であ り、このことはヒト肝癌の多くが、ウイルス性肝炎、

原 発 性 胆汁 性 肝 硬 変 症等 そ の背景 疾患は 異な るもの の、肝 細胞障 害 と 再 生 が持 続 的 に 反 復さ れ る過程 で発症 する 事実と 類似し ている 。 LECラ ッ トに お ぃ て 慢 性肝 炎 が 抑 制 され れ ば 肝 発 癌も 予 防 可 能で あ った 事実 は、肝 発癌と慢性肝炎の関連性を強く示唆するものである。

    V結語

1.しECラッ卜の急性及び慢性肝炎はD―penicillamine( DPA)の連日経口 投与により完全に抑制された。

2.同様に肝前癌病変及び肝癌の発生もDPAの長期投与により完全に抑 制された。

3.DPAは、 銅代謝 を改善 する ことにより、oxygen radicalsによるDNA 損傷の指標である肝組織oh8dG産生を抑制した。

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学 位 論 文 審 査 の 要 旨

学位論文題名

Prevention of‑spo ntaneous hepato cellular carcinoma in  LEC rats with hereditaヴhepatitis by the administration ofD−penicillamine.

    (D− penicillamine投 与 に よ る 、 遺 伝 性 肝 炎 発 症     LECラットの自然発症肝癌の予防)

  Long―Evans Cinnamon(LEC)ラッ ト は、 肝 に: おける銅 代謝異常を 病 因 と し て 生 後4 ‑‑5力月 齢 で重 篤 な急 性 肝炎 を自 然 発症 し 、1年 以 上 生 存 し 得 た 個 体で は 原発 性 肝癌 が 発生 する 。 長期 の 慢性 肝 炎を 経 て 肝 癌 が 発 生 す るLECラ ッ ト の 自 然 経 過 は ヒ ト 肝 発 癌の 臨 床経 過 に 類 似し 、 肝発 癌機 序を研究する 上で有用な動物 モデルと考え られる。

今 回 、 申 請 者 ら は 、LECラ ッ ト の 慢 性 肝 炎 が 肝 発 癌 に影 響 を与 え て い る可 能 性を 考 え、 銅 キレ ―ト 剤 であ るD−penicillamine(DPA)を長 期 間投 与 する こと により、急性 および慢性肝炎 が抑制される か否か、

さ ら に 肝 発 癌 が ど の よ う な 影 響 を 受 け る か を 検 討 し た 。   実 験 で は 、 北 海道 大学 実 験生 物 セン タ ーか ら供 給 され た 肝炎 発 症

   

(5)

前 の11週 齢LECラ ッ ト を 用 い 、DPA投 与 群 (DPAlOOmg/体 重kg/

日)、対照群(脱 イオン蒸留水のみを投与)を設定し約70週齢まで 連日 経口 投 与し た。 実 験開始時 と16、28、44及び70週齢の各時点 で採血し肝機能検 査、血清銅の測定を行った。44、70週齢時には肝 病理組織及び免疫 組織染色を行った 。また、活性酸素 の肝DNAに対 する影響を検討す る目的で、酸化ス トレスによる組織DNA損傷の指 標である8―Hydroxy−deoxy Guanosine (oh8dG)の測定を行った。

13週齢LECラットを 用いDPA投与群と対照群を上記と同様に設定し、

17週齢時に摘出した肝のoh8dGを測定した。

  DPA投 与実 験期 間 中、 対照 群 では 、37頭中22頭 で 顕性 黄疸 が観 察さ れ、 血 清GOT、GPT及 び血清銅濃度は16週齢で 著明に上昇し、

その 後も 高 値を 維持 し た。ー方 、DPA投与群で は観察期間中1例の 黄疸も認めず、実験期間中血清transamin ase及び血清銅濃度の上昇 を認めなかった。 病理組織学的検討では、44週齢対照群の全てに慢 性肝炎像の他に過 形成病変が認められ、免疫組織染色ではGST−P陽 性fo ciが多数認め られた。ー方、44週齢DPA投与群は全例で正常な 肝組織像を示し、肝過形成病変及び肝GST−P陽性fo c.Ifま認められな かった。また、70週齢 時の肝病理組織像 では、対照群15頭中9頭に 肝細胞癌が認めら れた。DPA群で は全ての肝組織標本 で小葉構築が 維持され、肝過形 成性病変、肝細胞癌は認めなかった。17週齢肝組 織DNAのoh8dG/105dGは 、DPA投 与 群 で は 対 照 群 に 比 ベ 有 意 に 減 少していた。

  以 上の 実験 結 果か らDPAの長期 投与によりLECラ ットの急性及び 慢性肝炎が完全に 抑制され、さらには肝発癌も予防されることが明 かと なっ た 。LECラ ッ卜 肝発 癌では、1年 以上持続する慢性 肝炎が 先行することが特 徴的であり、このことはヒト肝癌の多くが、ウイ ルス性肝炎、原発性胆汁性肝硬変症等その背景疾患は異なるものの、

肝細胞障害と再生 が持続的に反復される過程で発症する事実と類似 している。LECラットにおいて慢 性肝炎が抑制されれ ば肝発癌も予

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防可能であった事実は、肝発癌と慢性肝炎の関連性を強く示唆する ものである。

  申請 者ら は既にLECラット 肝細胞に銅が高濃度で蓄積している事 を報告したが、銅イオンの存在下で肝にoxygen radicalsが産生され、

劇症肝炎の原因となっている可能性が考えられる。さらに急性肝炎 後も、 これ らが肝 細胞DNAに 持続的損傷を与え肝発癌に関与してい る 可 能 性 が あ る 。DNA中 のoh8dG量 はDNAに 対 す るoxydative stressの指 標とさ れてお り、LECラットでは急性肝炎時期に増加す る こと が 報 告 さ れて い る 。DPA投与 群 の 肝でDNA中 のoh8dG産生が 著明に抑制された事実は、肝におけるoxygen radicalsの産生がDPA 投与に より 抑制さ れる事 を示し ており、LECラットの肝炎と肝癌発 生過程にoxygen radicalsが関与している可能性を示唆するものであ る。

  口頭 発表 に際し 、葛巻 教授、 宮崎(勝)教授から、DPA投与によ るLECラ ッ ト の肝 細 胞 に お ける 癌 遺 伝 子 発現 へ の 影 響 、oxyg en radicalsを抑制しないキレート剤を投与した場合の肝発癌への影響、

DPA投 与終了 後さら に観 察を続 けた際 の肝発 癌率、DPA投与 による 腎毒性 の有 無、DPAの 鉄に対 するキレート作用の有無等の質問があ ったが、申請者はそれらに対し適切な応答をなし得た。また、葛巻 教 授、宮 崎(勝 )両教 授の 個別審 査を受 け、合 格と 判定さ れた。

  本研究は、LECラッ卜の肝発癌にOxygen radicalsが関与しており、

長期間に及ぶ肝細胞壊死と肝再生過程が発癌過程に重要な影響を及 ぼしていることを示している。これらの成果は、ヒト肝発癌過程の 研究に有用な示唆を与えるものと考えられる。また、本研究は数名 の研究者による共同研究であり、英文共著論文としてHep atology誌 に掲載されたが、申請者は常に主たる研究者として本研究を推進し た 。 よ っ て 、 博 士 ( 医 学 )の 学 位 に 相 当 する も の と 判 定し た 。

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