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マクロ試験による鋼床版ビード貫通き裂の発生起点に関する検討

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Academic year: 2022

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キーワード:鋼床版,輪荷重走行試験,ビード貫通き裂,発生起点

連絡先:(社)日本橋梁建設協会 鋼床版小委員会 〒105-0003 港区西新橋1-6-11 TEL:03-3507-5225 FAX:03-3507-5235

マクロ試験による鋼床版ビード貫通き裂の発生起点に関する検討

岩手大学 正会員 大西弘志 日本橋梁建設協会 正会員 ○小笠原照夫 平山繁幸 内田大介

井口 進 川畑篤敬

1.はじめに:近年,鋼床版のデッキプレート(以下,デッキ)とUリブ溶接線の溶接ルート部から溶接ビードが 切断される方向に進展するき裂(以下,ビード貫通き裂)が問題となっており,その発生原因の解明が求められて いる.本報では,輪荷重走行試験でビード貫通き裂を再現した試験体からき裂が発生した部分を切り出し,マクロ 試験によりビード貫通き裂の発生起点について検討した結果を報告する.

2.輪荷重走行試験の概要1):ビード貫通き裂の再現を目的として,図-1の実物大試験体を用いた輪荷重走行試験 を実施した.デッキ厚は12mm,Uリブサイズは320×240×6である.デッキとUリブの溶接は,溶込み量をUリ

ブ厚の 20~40%を狙って行った.輪荷重走行試験機の走行範囲

(2m)内でUリブ支間部(以下,一般部)およびUリブ・横リ ブ交差部(以下,交差部)の挙動に着目できるように横リブを配 置した.試験は,ダブルタイヤを想定して,図-1のU3リブとU4 リブのウェブ直上に載荷して行った.載荷荷重は147kNである.

25万回走行時に,横リブとU3リブおよびU4リブの交差部で ビード貫通き裂を確認した(写真-1).その後,U4リブの一般部 においてもビード貫通き裂が確認された.試験終了時の U4 リブ 一般部のき裂長さは734mm,U4リブ交差部のき裂長さは136mm, U3リブ交差部のき裂長さは139mmである(図-1).

3.断面の観察によるき裂発生起点の検討:ビード貫通き裂が発 生したU4リブ一般部,U3リブおよびU4リブの交差部をガス切 断で切り出した.さらに,ビード貫通き裂が確認されなかったも のの,き裂が内在する可能性が考えられたため,U3リブの一般部 も切り出した.試験体から切り出した位置と輪荷重の走行範囲の 関係を図-2に示す.一般部についてはUリブ支間中央から100mm 間隔で,交差部については横リブ R2 のウェブ板厚中心から約

100mm間隔で切断して,グラインダーで研磨した後,断面を観察

した.

一般部においてビード貫通き裂が確認された U4 リブの断面を 写真-2に示す.一般部の溶込み量は,1.05(18%)~2.21mm(37%)

であり,ほぼ当初の狙い通りである.き裂は,断面によって溶接 ルート部のUリブ側から発生しているものと,デッキ側から発生 しているものがあった.Uリブ側から発生したき裂は,溶着金属 断面の薄い箇所を進展し貫通している.一方,デッキ側から発生 したき裂は,デッキ板厚方向に若干進展した後,方向を大きく変 えて溶接ビードを進展し貫通している.き裂が溶接ビードを貫通 している区間の破面を調べると,破面は平坦ではなく,橋軸方向 に沿ってデッキ側から発生するき裂とUリブ側から発生するき裂

図-1 試験体の寸法と走行位置

写真-1 交差部のビード貫通き裂 ビード貫通き裂

R3 R2 R1

U4

U3

U2

U1

391 U4一般部(1779mm) U4交差部(410mm

100

U3一般部(768mm U3交差部(422mm 900

a b c d e f g h i j k l m n o p q r ts uv 載荷範囲

a b c d e f g h i j k l

図-2 切出し位置と走行位置の関係

R3 R2 R1

U4

U3

U2

U1

1553953@570=1710395155

150 2380 1200 150

734 136

139 ビード貫通き裂

輪荷重走行範囲 190 110190

土木学会第67回年次学術講演会(平成24年9月)

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Ⅰ‑295

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が混在していること が確認できた.この ような進展挙動とな るのは,き裂がある 程度の長さまで進展 した後の複雑な変形 挙動が影響している と考えられる.破面 全体をみると,Uリ ブ支間中央から横リ

ブR2側へ約300mmとまとまった区間(i断面~l断面)で平坦と なっており,これらの断面がき裂のほぼ中央に位置することから,

この区間にき裂の発生起点があると推察した.なお,この区間で はき裂は溶接ルート部のデッキ側から発生している.き裂が溶接 ルート部のデッキ側から発生・進展するという傾向は,既報のき 裂損傷橋梁を対象とした FEM 解析で溶接ルート部のデッキ側で 高い応力集中が生じること(図-3)2),および実際にビード貫通 き裂が発生した橋梁での調査結果(写真-3)3)とも一致する.ま た,ビード貫通き裂が確認されなかった U3 リブを切断し,断面 を観察したが,内在き裂は確認できなかった.

横リブR2のウェブ板厚中心での断面を写真-4に示す.交差部 の溶込み量は1.10(18%)~1.99mm(33%)であった.交差部も 一般部と同様,溶接ルート部のデッキ側からき裂が発生している 状況が確認できる.交差部では,溶接ルート部から発生したき裂 がデッキ下面に沿って水平方向へ進展した後,方向を変えて溶接 ビードを進展し貫通しているところが,一般部と異なる点である.

4.まとめ:ビード貫通き裂を再現した試験体からき裂が発生し た箇所を切り出し,マクロ試験を行った.断面を観察した結果,

き裂は溶接ルート部のデッキ側から発生しており,これまでに著 者らの一部が行った FEM 解析および現地調査を裏付ける結果と なった.これらの結果も参考に,再度輪荷重走行試験を実施し,

ビード貫通き裂の発生メカニズムを解明する予定である.

謝辞:本研究で使用した試験体は,道路政策の質の向上に資する 技術研究開発(国土交通省,研究課題名:各種道路橋床版におけ る疲労損傷の非破壊検査システムに関する研究開発,研究代表 者:鎌田敏郎)2007年度~2009年度の中で実施した輪荷重走行試 験で使用した試験体である.ここに記して深謝いたします.

参考文献:1)吉浪ら:輪荷重走行試験による鋼床版の Uリブ溶 接ビード部を貫通するき裂の再現試験,平成22年土木学会関西支 部年次学術講演会概要集,I-27,2010. 2)松下ら:鋼床版ビード

貫通き裂の発生起点に関する解析的検討,土木学会第66回年次学術講演会概要集,I-160,2011. 3)齋藤ら:ビー ド貫通き裂の発生した鋼床版Uリブ溶接部の形状について,土木学会第66回年次学術講演会概要集,I-168,2011.

(a)Uリブ側から発生(g断面) (b)デッキ側から発生(k断面)

写真-2 U4リブ一般部の断面

図-3 ルート部近傍のコンター

写真-4 U3リブ交差部の断面(j断面)

写真-3 現地調査結果 土木学会第67回年次学術講演会(平成24年9月)

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参照

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