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首都高速道路における鋼橋脚隅角部の疲労損傷対策

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Academic year: 2022

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首都高速道路における鋼橋脚隅角部の疲労損傷対策

首都高速道路公団  正会員 ○下里 哲弘  首都高速道路技術センター 正会員  町田 文孝     首都高速道路公団   正会員  時田 英夫   東京工業大学        フェロー  三木 千壽

1.はじめに  

構造物定期点検において、鋼製橋脚の隅角部に塗膜われと 錆汁が発見された。塗膜を剥離して磁粉探傷試験を行った結 果、写真

-1

のき裂損傷が発見された。その後、き裂の進展が あったことからストップホールで緊急対策を行なった。1)こ の結果を受け、首都高速道路の隅角部を有する鋼製橋脚 2011 基に対して磁粉探傷試験による臨時点検を実施し、566 基にき 裂状の損傷が確認された。また、橋脚のリダンダンシーを考慮し、亀 裂が長く早急に対策が必要と判断した

16

基については、ベン ト設置、あて板補強(写真

-2

)等の応急対策を行なった。本 論文では、首都公団で実施している疲労損傷対策について述べる。 

2.原因究明のための詳細調査  

損傷の原因究明のために、溶接状態調査(超音波探傷試験、

マクロ試験)、応力頻度計測、表面研削、および板組み調査(マ クロ試験、図面調査、模型作成)を実施した。図‑1 に示すよう な模型を板組み毎に作成した結果、隅角部コーナーの3溶接が交 差する部分に不完全な溶込み(以下、Δゾーン)が製作上発生す ることが判明した2)。また、そのΔゾーンと亀裂位置がほとんど の亀裂で一致していた。更に、Δゾーンの位置は、図‑2 のよう なせん断遅れによる大きな応力集中が作用する。これらが疲労損 傷の発生主原因である。3) 

             

3.補強方法 

 図‑3 に標準的な当板補強構造を示す。補強の目的は隅角部の応力集中を低減し十分な疲労耐久性を得るこ とである。その応力低減効果は、FEM 解析の結果、当板の突出長(a)と横梁ウェブ高さ(Dw)の比に相関が あり、a/Dw が 0.3〜0.35 程度あれば疲労耐久性の大幅な改善となる応力低減率 50%程度得られる。このこと は、補強後の応力測定でも同様な結果であった。補強構造には、摩擦高力ボルトより大きいせん断力が設計上 許容でき、補強材と母材との隙間があっても適用可能で、更に地震などの大きな力がボルトに作用した場合で も滑りなどの不安定挙動が生じない等の理由で打込み式の支圧ボルト(B10T)を適用した。 

キーワード 鋼橋脚隅角部、疲労き裂、Δゾーン、せん断遅れ、補強補修 

連絡先 〒100−8930 東京都千代田区霞が関 1−4−1 首都高速道路公団保全施設部保全技術課 ℡03−3539−9484     

0 5 1 0 1 5 2 0 2 5 3 0

0 500 1000 15 00 20 00

フラン ジ幅(mm)

strain(μ)

上フラン ジ内 面 上フラン ジ外 面

損傷発生箇所

写真‐1 疲労き裂損傷

写真‐2 当板補強

Δゾーン

図‐1 板組み模型 図‐2 隅角部の応力集中 土木学会第58回年次学術講演会(平成15年9月)

‑863‑

I‑432

(2)

4.きれつ補修方法 

 疲労損傷対策の基本は疲労き裂の除去である。その後の処理は 完全溶込み溶接で補修することが望ましい。しかし、疲労損傷が 発生している橋脚は 1975 年以前が多く、その時代の鋼材は Z 絞 り値が低い。更に隅角部の拘束度は非常に高いため、隅角部の十 字継手を溶接補修する場合、はさみ板にラメラテアを誘発する可 能性が高い。4)従って、首都公団では、図‑4 に示す疲労損傷の 発生源であるΔゾーンの除去を基本としている。亀裂の除去範囲 が大きくなる場合は、ストップホールの併用で対策する考えであ る。現在、これらの最終形状、大きさ、および除去後の露呈する ルート部の処置について疲労試験等で検討中である。写真‑3 は 標準的な板組みであるフランジがウェブに挟まれている(W‑W タ イプ)場合のきれつ除去の一例を示す。図は亀裂を除去しΔゾー ンのルート部近傍まで削り込んだ状況である。写真‑4 はフラン ジが横梁ウェブ上の載っている板組み(W‑F)の場合のき裂除去 の一例を示す。このケースは、ウェブ側から疲労き裂発生源をφ 100 の大コアで完全除去したものであり、今後は、き裂除去後の 露呈したルート部の疲労照査および断面欠損を補うためのフラ ンジ側の補強材を設置する予定である。 

5.あとがき  

 鋼橋脚隅角部に発生した疲労損傷の対策について述べた。これ らの対策において重要なことは、きれつの発生原因の究明のため の照査を十分行ない、確実に亀裂の起点・亀裂の先端を処理する ことである。また、補修対策に溶接補修を採用する場合には、鋼 材が溶接に耐えられるかの検討とΔゾーン部の FP 溶接補修が可 能であるか十分検討することが必要である。以上のことを十分検 討し、現在、補強補修を実施中である。 

                 

参考文献   

1)森河、下里、三木、市川:箱断面柱を有する鋼製橋脚に発生した疲労損傷の調査と応急対策、土木学会論文集 2002.4 

2)三木ほか:データベース:鋼製橋脚隅角部の板組構成と疲労損傷モード、土木学会論文集(投稿中) 

3)三木、市川、坂本、田辺、時田、下里:鋼製箱形断面ラーメン橋脚隅角部の疲労特性、土木学会論文集 2002.7  4)柳沼ほか       :既設構造物の鋼材の年代的な特徴とその溶接性について、第 57 回土木学会年講、2002.9 

図‐4 き裂補修 ストップホール Δゾーン除去 図‐3 当板補強構造

突出長(a)

写真‐3 Δゾーンの除去

(W-W板組み:途中経過)

写真‐4 き裂除去状況(W-F板組み)

土木学会第58回年次学術講演会(平成15年9月)

‑864‑

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参照

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