• 検索結果がありません。

鋼床版トラフリブの取替えによる補修の局部的な応力性状の確認

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2022

シェア "鋼床版トラフリブの取替えによる補修の局部的な応力性状の確認"

Copied!
2
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

鋼床版トラフリブの取替えによる補修の局部的な応力性状の確認

(財)首都高速道路技術センター 正会員○齋 藤 豪 首 都 高 速 道 路(株)正会員 中野 博文 首 都 高 速 道 路(株)正会員 北島 基彦

1.目的

近年,トラフリブ形式の鋼床版橋において,デッキプレートとトラフリブとの溶接部に発生したき裂損傷に対す る補修として,き裂先端に進展防止と観察孔を兼ねたスカラップを設けた後,き裂長がある一定以上ある場合は損 傷したトラフリブを開断面リブに取り替える補修方法を実施している.これまで実橋においてトラフリブ取替え前 後における応力計測を実施し,補修効果および応力性状の確認を行っている1).しかし,トラフリブ取替えの境界 部において,スカラップ形状の一部と既設トラフリブのルート部が露出した状態であるため,疲労上問題となる可 能性が考えられた.また,ボルト接合継手を採用しているため,既設トラフリブ側の添接板による剛性変化部に応 力集中が懸念された.

そこで,今回,トラフリブ取替え境界部のスカラップ近傍の局部的な応力性状と,添接板設置部の応力性状につ いて,実橋において応力計測を実施した.

2.損傷概要と補修内容

今回,計測を実施したトラフリブの断面図を図-1に示す.図-2のとおりR側溶接線にビードを貫通する疲労き裂 が発生したため応急処置として,溶接部き裂端部および分岐部にスカラップを,リブ母材き裂端部にはストップホ ールを施工した.この損傷部を撤去し新しいリブに取り替える補修(図-3)を行った.取替え境界部では,始点側 ではルートが露出したスカラップ(以後 SCA という),終点側ではリブ母材部に切断用の貫通孔(以後 SCB という)

を設けて切断した.

3.計測内容と結果

一般交通車両の通行に伴い発生する応力を一定時間測定し,最大振幅となる波形を用いてR側リブ直上に輪が載 荷される際の発生応力を求めた.この方法で以下の計測を行った.

キーワード 鋼床版,トラフリブ,疲労き裂,補修,応力計測

連絡先 〒105-0001 東京都港区虎ノ門 3 丁目 10-11 (財)首都高速道路技術センター TEL03-3578-5751

撤去部

リブ取替え範囲

取替え境界部 R側面 取替え境界部

車両進行方向

始点側 終点側

SCA SCB

図-1 計測した橋梁の断面図 図-2 リブ取替え前の損傷と応急処置の状況

     き  裂      切断線      貫通孔      ストップホール      スカラップ

図-3 リブ取替え後の形状 計測対象リブ

R側

L側

L側 始点側より R側

始点側 終点側

取替え境界部 R側面 取替え境界部

新設リブ

既設リブ 既設リブ

SCA SCB

添接板端部 添接板端部

  図-8 添接板端部

土木学会第64回年次学術講演会(平成21年9月)

‑281‑

Ⅰ‑141

(2)

溶接ビード

着色部:実測値 色抜き:外挿値 単  位:MPa

ルート露出箇所 デッキPL

SCA SCB

図-4 SCA と SCB の形状(図-3 の拡大)

図-5 橋軸方向鉛直応力分布

図-6 鉛直方向鉛直応力分布

図-7 SCA 孔壁の応力分布

図-8 添接板端部の応力分布(図-3 の拡大)

-25 -20 -15 -10

Deck15㎜ Deck25㎜

(MPa)

発 生 応  Deck15㎜ Deck25㎜

一般部 測定点

-18.5 -21.8 -15.6 -15.0

-21.7 -19.7 -21.7 -14.6

孔壁 5㎜離れ 孔壁15㎜離れ 単位:MPa

-18.5 -21.8 -15.6 -15.0

-21.7 -19.7 -21.7 -14.6

Deck15㎜離れ Deck25㎜離れ 単位:MPa

(1)スカラップ形状の違いによるリブ外表面の応力分布 取替え境界部に設けた SCA と SCB の形状の違い(図-4)に よるトラフリブ外表面の鉛直応力の分布の違いを確認 した.橋軸方向の分布として整理したものを図-5に,鉛直方 向の分布として整理したものを図-6 に示す.図-5 よりデッ キ 15 ㎜離れでは SCA,SCB ともに開口部の応力集中により孔 壁に近い方が応力は高く,また大きさ,勾配はほぼ同じであ る.SCA デッキ 25mm 離れではスカラップの開口がないため応 力分布に勾配はない.

図-6より SCA 孔壁 5mm,15mm 離れ,SCB 孔壁 15mm 離れは,

デッキ 15mm 離れの方が溶接継手の影響により応力が高い.

これに対し SCB 孔壁 5mm 離れでは,デッキ 15mm,25mm 離れ とも同じ大きさである.これは,スカラップ開口部近傍で板 曲げが生じているためと考えられる.その場合 SCA は溶接部 に開口部があり,SCB に比べ溶接部に対する板曲げの影響が 大きいと推察される.SCA の外表面の応力分布からもルート 部付近では,より大きな面外応力が生じていると考えられる.

(2)ルート露出スカラップ SCA の内面の応力状態

SCA 孔壁に 5 点測定点(デッキ下面から 4,6,8,10,12mm)

を設け鉛直応力の程度と分布を確認した(図-7).設置位置 は面外曲げ応力の影響が最も小さいと考えられる板厚中央 とした.また,孔壁の応力分布からルート部の面内応力を算 出した.算定には一般的な指数回帰式(Y=bmx)を用いた.

孔壁ではルートに近づく程,面内応力が高くなることがわか る.

(3)添接板設置部の影響

新設リブと既設リブは添接板により接合されている.この 添接板設置端部では,リブ剛性の急変により応力集中が生じ ると考えられる.この部位に生じる鉛直方向応力の分布と一 般部の応力を比較した.

添接板端部の輪載荷時の発生応力を図-8 に示す.デッキ 25mm 離れのラインでは,添接板端部の応力に大きな差は認め られない.また,添接板端部近傍ではデッキ 15mm 離れにお いて剛性の変化による応力の増加が確認された.

4.まとめ

・ルートが露出したスカラップ部は,ルート近傍で面外曲げ 応力,面内応力ともに高くなる傾向がある.

・添接板端部では,剛性の急変による大きな応力集中は認め られない.

参考文献 1)斎藤ら, 鋼床版トラフリブの取替えによる補修の効果と応力性状の確認第 63 回土木学会年次学術 講演会概要集,2008.9

土木学会第64回年次学術講演会(平成21年9月)

‑282‑

Ⅰ‑141

参照

関連したドキュメント

図-7および図-8に疲労き裂の状態を示す.ハンチ無し試験体は, 1.7 万回 時に引張側フランジの端部でき裂が発見され, 13 万回時でき裂長が 50mm

ンバーの管理値とした.  また, 上ラテラルは仮 組み立て時に取り付け,輸送時も断面形状を保持

図.1 に腐食状況を調査するために加工した試験体の大きさを示す.試験体は図.2 に示す撤去された橋梁の

解析結果として図-3 に最大主応力分布図の一例を 示す.本研究では,図-3 に示す溶接ルートに発生す る最大主応力の最大値 σroot と溶接止端に発生する最.. Effective Notch Stress

図5に八坂橋 A2 の伸縮装置の WP 観察写真を示 す.WP に亀裂発生が確認されたが,この亀裂は WP.. WP

図-7 は盛土高さの 2/3 付近に斜タイ材を取付けた CaseYの計測結果である.この場合,斜タイ材より上側が 勾配基準面より前面に大きく変位している.図-8 及び図-10

図-4 にアーチクラウン端部(9010 要素)におけるねじりと曲げ の相関曲線と断面力経路を, 図-5 にアーチリブのイベント到達状

3.解析結果 図-6