金沢 大学 十 全 医 学 会雑 誌 第9 3巻 第5 号 6 73m6 7日 り9 84う
担が んマ ウス牌 細 胞 の腫 瘍 細 胞 増 殖 抑 制
作
用に およぼす
抗 腫 瘍性
溶 連 菌 製剤
O K −4 3 1 の影響
に つ いて金沢 大 学 医 学 部 薬理 学 講 座
川 尻 博
久 河 西 高 小 正
野 照
村 保 印
敬
く昭和5 9年9 月3 日受 付ン
男 茂 也
一
6 73
抗腫瘍 性連 鎖 球 菌 製 剤の O K−4 31 と O K−4 32 が宿 主 介 在 性の作用 を もつ こと が報 告さ れ ている た め,担が んマ ウ ス牌 細胞の腫 瘍細 胞 増殖 抑制 作用へ のO K−4 3 1 の影 響に つい て検 討し た. エ ー ルリッヒが ん 細 胞を腹 腔 内に移 植し たマ ウスま た は P 3 8 8 白血病 細 胞を皮 下に移 植し たマ ウス に, 移 植2 4時 間後か ら O K−4 31 ま た は生理食 塩 水 くP SI を連 続7 日間, 7 回腹 腔 内に注 射し た. 腫 瘍 細胞 移 植か ら 1 0 日後に, 脾 細 胞を O K −4 31 で処 置し た担が んマウ スくO K−431 脾細 胞うま た は 生 理食 塩 水で処 置し た担が んマ ウスくP S 脾 細胞うよ り採取し, 10%牛 胎 児血清 加ハ ン ク ス掛こ浮遊させた. エ ー ルリッヒが ん細 胞あ るいは P 3 8 8 白 血病細 胞を O K .43 1脾細 胞ま た は P S 脾 細 胞と 1こ1 0 0 の細 胞比で混合し,3 70C に2時 間インキエ ペ ー 卜 し た. インキエペ ー ト後が ん細胞をマ ウス側 腹 部の皮下に移植し た. 脾 細 胞と 混合せずにインキュべ− ト し た が ん細 胞も対照 と して移 植し た. 固型 腫瘍の大き さ を長径 くLうと短 径 くSうで測 定し, 腫瘍の増殖をくい Sけ2 で表示 し た. 移 植4 過後のエ ー ルリッヒが んの大き さ は 次のとおり で あった二O K−43 1 牌 細胞 処理腫 瘍細 胞, 10.0士0.7 m 町 P S 脾細 胞 処理腫 瘍細 胞, 1 3−3士0.7 m m こ対照腫 瘍細 胞, 2 0.0 士0.8 m m . 移 植 1 2 日後の P 38 8白血病細 胞では, そ れ ぞ れ 9−8士0.3 m m , 1 3.8士0.4 m m , 1 1.2士0.3 m m であった. こ の
結果から,O K−4 31脾 細 胞で処理 し た細 胞の固型腰 瘍の大き さ は P S 脾 細 胞で処理 し た細 胞 ま た は対照腫 瘍 細 胞の固型 腫瘍よ り も小さ かった. し た が って,O K.4 3 1 は担が んマウス脾 細胞の腰 瘍細 胞 増殖 抑 制作用 を増 強す ること が明らか になった.
K ey w o rds O K−431, m OuS e Sple en c ell,tum Or gr O Wth inhibito ry a ctivit y
ストレプ ト リ ジンS 産生 酒 遵 薗Su 株が 腫瘍 細 胞を 傷害..破 壊し, その移 植 性を阻 害す ること を Ko sh i.
m u r a ら1 Jは実 証し,O ka m oto ら2 1は同 溶適 菌をペニ シ リンG 加Be r nheim e r
,
s ba s al m ed iu m 中で加温処理 す ることで, ストレプ ト リ ジンS 産 生が消 失し, 抗腫 瘍効 果が増 強し た P じ B.45くO K −43い を開発し た0 さ らに, 0 王く.431 に凍 結 乾 燥な どの処 置を行な うことに よってO K.4323 1が製剤 化さ れ るに至った. O K−431 お よ び O K −4 32 製剤の抗腫瘍 効果 は, 腰 瘍細 胞 傷 害の直
接作用のほか
, 宿主介在 作用にも よ ること が Saku r ai
ら4りこよって示唆さ れ, や がて, O K .4 3 2 は抗腫瘍 性 製 剤と して臨 床 的に用いら れ るに至った. これ と共に,
宿主介 在作用 あ るいは免疫 賦 活 剤と し ての研 究も盛ん に行な わ jL, マ クロ ファ ー ジ5 プ6 1, 各 種リン パ球7や
n atu r alk ille r細 胞の賦 清 化8 J, およ び インタ ー フ ェロ
ン誘 起作用9−1 2 1な どについ て多くの成 果が 発表さ れて
る. しかし, 免疫 賦 活の作用機構な どに つtlては ま だ 不 明の点が多い ことから,本 論文では,O K−43 1 の担が んマ ウ ス脾 細 胞に対す る 影響に つ いて検 討を行なっ た.
A b bre viat io n s 二F B S,fetal bo vin e s e ru m , K E, K l inishe Einheit, P S ,physiologic al s alin e.
ti7−l 川 尻 一河 野 . 西い 高トい小 久保
. 汗榔
材料およ び方法 工. 実験 動物
実 験には,d d Y マウス, D B A,
J2 マ ウ ス およ び B D Fl
マウス の雌, 6 了−8 遇令を 用いた.
工工. がん細胞浮遊液の調製
エ ー ルリッヒが ん細 胞 腹腔 内 移植1 0 日目の d d Y マ ウスよ り が ん細 胞を採 取し,
ハン ク ス液くpH 7.2I にて 3 回温L灘 溶く1 0 0 0rpm , 7 分 間I 後, 10 %牛 胎 児血清 加ハ ン ク ス液 げB S ハ ン ク ス掛 に浮遊させて, 1 X l O6細 胞ノmlの細 胞 浮遊 液を作 製し た.
D B A12 マウスで継 代 培 養し た P 3 8 8 白 血 病 細 胞に
っ いても同様にし て 5 X lO5細 胞ノ皿1 の細 胞 浮 遊 液を 作 製し た.
工I王. O K−431 の作成
O K−431 は O ka moto らの方 法2 Iによって作 製し た. す な わ ち, 教 室 保存の溶 連 菌Su 株 くA T C C 2 1 0 6 0,Su
壱削 を普 通ブ イヨ ン1 00 ml くpH 7.21 で3 70C,2 0 時 間 培養し, 菌 体を冷生 理食塩 水で 2 回洗 溜し た弓乳 洗 源 菌 体を 5 ml のBe r nheim e r
,
早 ba s al m ed iu m 亡マ ル トー ス67 5 m g,2 %硫 酸マグ ネシウム. 7 水塩1 2n −1,
2 0%リン酸−カ リ ウムく水 酸 化ナ ト リ ウムでpR 7.0に
調 勤 6 ml, 蒸 溜水6 6 mりに浮遊す る. こ の薗 浮 遊 液 5 mlに2 Xl O5Uハ.2 5 mlペ ニ シリンG 生 理食 塩 水1
ml を加えて,3 アC 2 0 分 乳 続いて 貯 C 3 0 分 間の加 温 処置を行なっ て O K .431 を作 製し た. こ のO K−431 の
薗 畳は 5 0 K EImlくK Eこ菌畳の単位で,1 K E は乾 燥菌 0.1 m g に相 当す るI で あった. O K−43 1 は低 温 下に保 存し, 1週 間 以 内に実 験に用いた. 実 験 使用時には 2 K Eノmlに稀 釈し て 用いた.
I V. 牌 細胞 浮 遊液の調製
エ ー ルリッ ヒが ん細 胞 浮遊 破 く7 X lO6細 胞ノmlうを 40 匹のd d Y マ ウス腹 腔 内に0.51 nl ずつ移 植し たの ち, マ ウスを 20 匹ずつ2群に分け た. 1群のマ ウス に は, が ん細 胞 移植2 4 時 間後から O K −4 3 1 を 1 K Eノ頭ノ 日,連 続7 日間腹 腔 内投 与し,これ を O K−431 投与 群と し た. 他の1群には, 同じ く移 植24 時 間後から 生 理食 塩水を 0.5 mll 頭ノ日, 連 続7 日間 投 与し, これ を P S
投与 群と し た. ま た, P 3 3 8白 血病 細 胞 く1 X lO7細胞ノ
mll を 2 0 匹のB D Fl マウス皮 下に0.5 ml ずつ移 植し たのち, マウスを 1 0 匹ずつ 2 群にわ け, 同 様の処 置を 行ない, そ れ ぞ れ,O K −4 3 1 投与 群およ び P S 投与 群と し た.が ん細 胞 移植 後10 日目に各 群のマウスよ り脾 臓 を摘 出し,これ をシ ャ ー レ上でハサミを 用いて細切 し,
細 挫 組織をハ ン ク ス液に浮 遊さ せ て渡 拝後ガ ー ゼでろ 過し た. ろ液の細 胞 浮遊 液を遠心く1 5 0 0rpm ,10分 間1 し た の ち, 沈漆を 0.8 3%塩 化アン モ ニ ウム液に浮 遊さ
せ室温 下で 7 分間 静 置して赤血球を溶血 させ て除い
た. つ いで, こ の処置 細 胞をハ ン ク ス液で3 回 洗催し たのち, F B S ハ ン ク ス液に浮 遊させて1 X lO8細 胞ノ
n ll, 5 x lO7細 胞ノml ま た は 3 X lO7細胞ノ王mlの各細 胞 浮遊 液を作 製し た.
V . 牌 細胞によるin
.viv o 中和試 験
担が んマ ウ ス肺 細 胞について, エ ー ルリッ ヒが ん細 胞あ るい は P 3 8 8 白血病 細 胞に対す る増 殖 抑 制 作用 を, W i王I n の方法用によ り調べた. す な わ ち, 腫瘍 細胞 と肺 細 胞の混合比1こ1 くj O にし たエ ー ルリッヒが ん細 胞 浮 遊 液く1 Xl O6細胞ノmり 5 ml と脾 細 胞 浮遊 液く1 x
l O8細 胞ノmlう 5 ml の混合 液, 細 胞混合比 を1ニ3 0 にし たエ ー ルリッヒが ん細 胞 浮 遊 液く1 X lO6細 胞ハnl1 5 ml と脾紺 胞 浮遊 液く3 X lO7細胞ノml1 51111の混合 粗 相 胞混合比 を1こ1 0 0 にし た P 3 8 8 白血病 細 胞 浮 遊 液
く5 Xl O5細 胞ノm り1 0 ml と脾 細 胞 浮遊 液 く5 X lO7細 胞ノmり10 ml の各混合 液を作 製し,3 7PC に2時 間振 返 し な が ら インキエペ ー 卜 し た, ついで遠心洗 備 後, ハ
ンクス液に再 浮遊さ せ, 5 X lO6腫 瘍細 胞ノml の浮遊 液 を作 製し, こ の腫 瘍 細胞と肺 細胞の混液0.2 mi を d d Y ま た は B D Flマ ウス の側 腹 部 皮 下に移 植し, 腰 痛の増 殖を4週 間あ るいは12 日間観 察し た.腫 瘍の大き さ は 長 径 くL m ml と短 径 くS m ml の平 均 値 くくL +Sユノ2
m mユで表示 し た.
成 績
エ ー ルリッ ヒが ん細 胞 移 植10 日目のマ ウスよ り脾 臓 摘 出を行っ た際, O K−43 1投 与 群の マウス には腹 水
の貯留はみと め ら れ なかっ た が, P S 投 与 群のマ ウス には著 明な腹 水の貯 留がみと め ら れ た.
エ ー ルリッ ヒが ん細 胞と脾 細 胞を 1こ3 0 の混合比に 混 じ て処理 し た が ん細 胞を移植して 4 週間その増 殖を 観 察し た成 績は表1 に示 し た如くであ る. す な わ ち,
牌 細 胞で 処 理せずにが ん細 胞く対照 が ん細 胞1 の みを 接 種し たマウスで は, 腫瘍 径は 日時の経過 と共に増 大 し, 特に3 退 か ら4 過に かけ て増 大は著 明で20.0士 0.8 m m を 示 し た. これに対し,O K,4 3 1投 与群マウス
脾細 胞お よ び P S 投 与群マ ウス脾 細 胞で処理 し た が ん 細 胞の増 殖は時 間と共に直線 的に増大し た が, 対照 が ん細胞の増 殖に比 し て 小 さか った. ま た,O K,431投与 群およ び P S 投与 群マ ウス脾 細 胞 処理 が ん細 胞 間に お
いて は, 両が ん細 胞の増 殖 度は ほ と ん ど同じ で, 4過 後の腫瘍の大き さ は13.0士0 .7 m m と 1 3 .5士0.71T 皿 であ り, 両が ん細 胞 間には差はみと め ら れ なかった.
これに対し,が ん細 胞と脾細 胞を1ニ10 0 の混 合比で混 しこ処理 し た が ん細 胞の増 殖は表2 に示 し た如くであ る. 対照 が ん細月払 O K−43 1 投 与 群な ら びにP S 授与 群