• 検索結果がありません。

博 士 ( 農 学 ) 岸 野 恵 理 子

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "博 士 ( 農 学 ) 岸 野 恵 理 子"

Copied!
6
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

博 士 ( 農 学 ) 岸 野 恵 理 子

学 位 論 文 題 名

消 化 吸 収 を 制 御 す る 機 能 性 食 品 素 材の      基 礎 的 ・ 実 用 的 研 究

学 位 論 文 内 容 の 要 旨

  食事として摂取した栄養成分を効率よく吸収あるいは吸収阻害するシステム、すなわち消化吸 収の制御に着目した。消化吸収の制御機能を有する食品あるいは食品成分の有効性と安全性を、ヒ ト試験まで科学的に検証し商品化することで、人々の健康増進に寄与することを目的とし、本論文 では消化吸収を制御する2つの機能成分に着目した。ひとっはSalacia reticulaぬ水抽出物であ り、古く からスリ ランカで 糖尿病に対して民間療法に用いられてきた素材である。すでに&

re ticulaぬ水抽出物の食後血糖上昇抑制作用に関して報告がをされていたが、物性(味、臭い、溶 解性)に問題があり、食品として普及していなかった。そこでこれらの物性をサイクロデキストリ ンにて改善し、コタラヒムェキス末(S. reticulaぬaqueous extract and cyclodextrin;SRCD) およびコタラヒム顆粒(Kothalahimbutu granule;KTG)を開発した。SRCDは血糖上昇抑制作用を 有する機能性食品開発における素材として、KTGは直接経口摂取可能な食品として位置づけた。

  もうひとっは乳果オリゴ糖(ラクトスクロース;lactosucrose)であり、すでに「おなかの調 子を整える」特定保健用食品の関与成分として認められている物質である。ラクトスクロースの腸 管カルシウム(Ca)吸収促進作用にっいて研究を重ね、動物およびヒトでの腸管Ca吸収促進作用 を明らかにした。

1)む汀troおよびむ汀voにおける基礎研究

  原料となるS reticulaぬ原木のa―グルコシダーゼ阻害活性を確認した。&reticulaぬ原木か ら有効成分を抽出し、サイクロデキストリンと混合することで調製したSRCDおよびKTGについて、

一般成分分析およぴ機能成分分析を行った。& reticulaぬ水抽出物の血糖上昇抑制作用に関する 有効成分は、チオ糖スルホニウム硫酸分子内塩構造を有するsalacinolとkotalanol、そして13 員環の13ーmembered ring thiocyclitol(13ーMRT)である。しかしながらこれらの標準品は市販さ れていないため、& reticulaぬ水抽出液からsalacinolを分取してsalacinol標準品を得た。こ の 標準品を 用いてKTG中 のsalacinol含量をLC/MS/MSにて測定した。次にむガむりにてSRCDお よびKTGの各種消化酵素阻害作用について検討したところ、いずれもa−グルコシダーゼ(スクラ ーゼ、マルターゼ、イソマルターゼ)を阻害することが確認され、& reticulaぬ水抽出物の機能 性 を 生 か し 、 か つ 物 性 を 改 善 し た 食 品 素 材 が 開 発 さ れ 、 以 後 の 試 験 に 供 し た 。   ラットとマウスを用いてSRCDおよぴKTGの血糖上昇抑制作用を検証した結果、SRCDのスクロー ス、可溶性デンプン、可溶性デンプンスクロース混合物負荷に対する血糖上昇抑制作用を確認した。

(2)

また、KTGのグルコースおよびマルトース負荷に対する血糖上昇抑制作用も確認した。

2)ヒトにおけるSRCDの有効性、最適用量および安全性

  まず素材であるSRCDの有効性および最適用量をヒトにて検証した。健常者10名に対し、スクロ ース負荷におけるSRCDの血糖上昇抑制作用を検証した結果、SRCDは300 mg摂取からスクロース負 荷後の血糖上昇を有意に抑制することを確認した。さらに有効量の約30倍量でも低血糖症状を示 さないこと、約20倍量まで摂取しても腹部症状は軽微であることから、食後の高血糖を安全に抑 える機能性食品素材であること証明した。

3)ヒトにおけるKTGの有効性、長期摂取時の有効性および安全陸、過量摂取時における安全性   KTGは300 mgのSRCDと500 mgのa―サイクロデキストリンを含む、1包800 mgとして設計され た。血糖上昇抑制作用を有する特定保健用食品許可申請のためには、KTGの有効性、安全性、過量 摂取における安全性(副次作用の有無)を検討しなくてはならない。健常者19名に対するプラセ ボ対照群無しの単盲検試験ならびに健常者14名に対するプラセボ対照群っき二重盲検無作為化ク ロスオーバー試験にて、KTGの血糖上昇抑制作用を確認した。境界型糖尿病患者6名と軽症2型糖 尿病患者10名の計16名に対し、KTGの12週間連続摂取試験を行った。摂取量は常用量である毎食 時1包(1日3包)とした。その結果、摂取期間中の空腹時血糖値の低下およびへモグロビンAlc の低下が確認された。また、重大な有害事象は観察されなかった。さらに常用量、常用量2倍量お よぴ常用量4倍量を7日間摂取させる過量摂取試験を行った結果、血液検査、尿検査、腹部症状な どに異常値の発生ならびに重大な有害事象は確認きれなかった。これらの結果からKTG常用量にお け るヒトで の有効性 を確証し 、KTGは安全 性の高い機能性食品であることを明らかにした。

4)SRCDの抗肥満作用、抗糖尿病肥満作用

SRCDの高脂肪液体飼料負荷後の血中トリグリセリド上昇抑制作用を確認した。む汀troの評価 ではりパーゼ阻害は認められなかったことからりパーセ阻害以外のメカニズムの存在を示唆した。

また、高脂肪飼料にて肥満を誘導する2つの試験系、―っはマウスに高脂肪食飼料を自由摂取させ 肥満を誘導する系、もうーっは過食かつエネルギー不足とならないように高脂肪食飼料を一定量ラ ットに与える系において、体重増加およぴ内臓脂肪蓄積の抑制という抗肥満作用が確認できた。さ らに糖尿病肥満モデルであるWistar fattyラットにSRCDを投与したところ、体重増加抑制傾向、

内臓脂肪蓄積低下とともに、病態発症に伴う経時的な総コレステロールおよびインスリン濃度上昇 が抑制された。これらの結果から、SRCDがメタボリック症候群向けの機能性食品になり得る可能性 を示した。また、SRCDを投与したラットでは盲腸重量およぴ割合が増加し、SRCDが盲腸発酵に影 響を与えている可能性を見いだした。

5)ラクトスクロースの腸管Ca吸収促進作用

成長期ラットにラクトスクロース5%添加飼料を自由摂取させ、一般的な出納試験とともにアイ ソトープ4℃aを用いてラクトスクロースの腸管Ca吸収について検討した結果、アイソトープ評価 法においてラクトスクロースの腸管Ca吸収促進作用を示した。健常男性を対象として、ラクトス クロースの単回摂取における腸管Ca吸収促進作用を検討したところ、ラクトスクロースとCa同時 摂取後の尿中Ca排泄量がプラセボよりも有意に高値であり、健常男性においてラクトスクロース

‑ 149

(3)

の腸管Ca吸収促進作用を示した。さらにラクトスクロースを含む市販品であるラクトスクロース 顆粒品にっいて、健常男性を対象に腸管Ca吸収促進を評価したところ、単回摂取時よりも2週間 の連日摂取後でラクトスクロース顆粒品の腸管Ca吸収促進作用が示された。本論文で得た知見と これまで得られていた知見をあわせ、ラクトスクロースは性別を問わずに腸管Ca吸収を促進する ことを示した。さらに「乳果オリゴ糖を主成分とし、腸内のビフィズス菌を適正に増やして、おな かの調子を良好に保っとともに、カルシウムの吸収を促進する甘味料」特定保健用食品表示許可を 取得した。

150

(4)

学位論文審査の要旨

学 位 論 文 題 名

消化吸収を制御する機能性食品素材の      基礎的・実用的研究

  本 論文 は 、200頁 か らな る 和 論文 で あり 、 図40と 表55を 含み 、 参 考論 文9編 が添 え ら れている。

  メタボリックシンドローム、糖尿病、骨粗しょう症の増加がかねてから危惧されている。

これらの 発症にほ 食生活が 関与して いること から、食 事として摂取した栄養成分を効率よ く吸収促 進あるい は吸収阻 害する、 すなわち 消化吸収 を制御する機能性食品を開発し人々 に 利 用 して も ら うこ と で、 こ れ らの 疾 病発 症 リ スク の 低減 に っ なが る と 考え ら れる 。   著 者 は 、 消 化 吸 収 を 制 御 す る2っ の成 分 を 用い て 本 研究 に 着手 し た 。1っはSalacia reticulata水抽出物であり、古くからスリランカで糖尿病.に対して民間療法に用いられてき た素材である。すでにS. reticulata水抽出物の食後血糖上昇抑制作用に関して報告がなされ ていたが、まず、& reticulata水抽出物の物性(味、臭い、溶解性)の不具合をサイクロデ キストリンにて改善し、コタラヒムェキス末(S.reticulata aqueous extract and cyclodextrin; SRCD)お よび コ タ ラヒ ム 顆粒(Kothalahimbutu granule; KrG)を開発し 、これら の食後血 糖上 昇抑制作 用ならび に安全性 、そして 新機能の 探索を行っ た。もう1っは乳果 オリゴ糖

(ラクト スクロー ス)であ り、すで に「おな かの調子 を整える」特定保健用食品の関与成 分と し て 認め ら れ てい る 物質 で ある。ラ クトスク ロースの腸 管カルシ ウム(Ca)吸収 促進 作用 に っ いて は こ れま で 報告 が なかった ため動物 およびヒト での腸管Ca吸収促進 作用を 検討した。

  これらにっいて、以下のような結果を得ている。

1‑)血vitroおよ びin vivot三担泣 歪基礎丑 究

  SRCDお よ びKTGの 一 般成 分 分 析お よ び 機能 成 分分 析 を 行っ た。&reticulata水 抽出液 からsalacinolを 分取してsalacinol標準品を 得たのち 、KTG中のsalacinol含量をLC/MS/MS に て 測 定し た 。 次に めvitroに てSRCDお よ びKTGの 各 種消 化 酵素 阻 害 作用 に つ いて 検 討

博蔵 和       行 博       野 井 原浅 松 授授 授 教教 教 査査 査 主副 副

(5)

した とこ ろ、 いず れもaーグルコシダーゼ(スクラーゼ、マルターゼ、イソマルターゼ)を 阻害するこ.とが確認された。S. reticulata水抽出物の血糖上昇抑制作用に関する有効成分は、

チ オ 糖 ス ル ホ ニウ ム硫 酸分 子内 塩構 造を 有す るsalacinolとkotalanol、そ して13員 環の 13―membered ring thiocyclitol (13−MRT)であるが、SRCDおよびKTGののーグルコシダーゼ 阻害 作用 はsalacinolの寄与 が大 きい こと が推 測さ れた 。ラ ット とマ ウス を用いてSRCDお よびKTGの食後血糖上昇抑制作用を確認した。

2‑)竺ヒt三韮泣るSRCD担よびKTGQ査効性韮よ埜安全: rlt

  ま ずSRCDお よ ぴKTGの ス ク ロ ー ス 負 荷 に 対 す る 血 糖 上 昇 抑制 作 用 を 健 常 人 に て 検 証 し た 。 次 にKTGの 長期 摂取 時に おけ る有効 性な らび に安 全性 を境 界型 糖尿 病患 者と 軽症2 型糖 尿病 患者 にて 検討 した とこ ろ、 摂取 期間 中の空腹時血糖値の低下およぴへモグロビン Alcの低 下が 確認 され た。重 大た 有害 事象 は観 察さ れな かっ た。 さら に過 量摂取試験(常 用 量 、 常 用 量2倍 量お よぴ 常用 量4倍 量) を健 常人 にて 行っ た結 果、血 液検 査、 尿検 査、

腹部 症状 など に異 常値 の発 生な らび に重 大な 有害事象は確認されなかった。これらの結果 か らSRCDお よ びKTGの ヒ ト で の 有 効 性 を 確 証 し 、KTGは 安 全性 の 高 い 機 能 性 食 品 で あ ることを明らかにした。

墨)  SRCD cD抗B巴満佐周ユ拡粧屋痘ロ巴満佐届

  SRCDの 高 脂 肪液 体飼 料負 荷後 の血 中ト リグ リセ リド 上昇 抑制 作用を ラッ トに て確 認し た。 マウ スお よび ラッ トに て食 事誘 導性 肥満 に対する抗肥満作用を確認した。先行研究で はS. reticulata水抽出物の食事誘導性肥満に対する効果は明確ではなかったが、本研究にて 内臓 脂肪 蓄積 抑制 作用 を明 確に 示す こと が出 来た。さらに遺伝性糖尿病肥満モデルである Wistar fattyラッ トに て病 態発 症遅 延作 用を 確認した。これらの結果から、SRCDがメタボ リ ッ ク 症 候 群 向け の機 能性 食品 にな り得 る可 能性 を示 した 。ま た、SRCDを 投与 した ラッ ト で は 盲 腸 重 量お よび 体重 に占 める 割合 が増 加し 、SRCDが 盲腸 発酵に 影響 を与 えて いる 可能性を見いだした。

4)乏2ヒ冬2里三冬c腸箜Ca吸躯促進佐日

  ア イ ソ ト ー プ4SCaを 用い た出 納評 価法 にお いて ラク トス クロ ースの 腸管Ca吸 収促 進作 用を 成長 期ラ ット で示 した 。次 に健 常男 性に てラクトスクロース単回摂取における腸管Ca 吸 収 促 進 作 用 を 尿 中Ca排 泄量 に て 評 価 し 、 高 純 度 品 な ら び に 市 販 品 ( 純 度55%)で 腸管 Ca吸収促進作用を示した。本研究で得た知見とこれまでの知見をあわせ、ラクトスクロ,ー スは 性別 を問 わず に腸 管Ca吸収 を促 進す るこ とを示し、「乳果オリゴ糖を主成分とし、腸 内の ビフ ィズ ス菌 を適 正に 増や して 、お なか の調子を良好に保っとともに、カルシウムの 吸収を促進する甘味料」特定保健用食品表示許可を取得した。

  本論文は、S. reticz.tlata水抽出物を有効活用した機能性食品を開発し、食後血糖上昇抑制 作 用お よぴ 安全 性を基 礎研究から臨床研究で示し、動物実験にて抗肥満作用を示した。ま た 、ラ クト スク ロース の腸 管Ca吸収 促進 作用 を示 すこ とが 出来 た。 本研 究によ り、SRCD とKTGに 消化 吸 収 機 能 の 制御が ある こと を証 明し 、ま たラ クト スク ロー スを 機能 性食品

(6)

として市場に送り出す基礎を築いた点は、高く評価できる。

  よっ て、 審査 員一同は、岸野恵理子が博士(農学)の学位を受けるのに十分を資格を有 す るも のと 認め た。

参照

関連したドキュメント

   第5 章では 、中 性子 回折 実験 によ るHg ‐Rb 合金 液体 の構 造解析について述べた。実験に より得られた構造因子から、Rb

     次にBOX 結合タンパク質のcDNA クローニング、抗体生成などの目的のために胚

   特許 菌株4 種類(D‑6 、 Y 、NCIB12289 およ びSD‑521 株)が生産するプロテアーゼ (E‑1 、 LP‑Ya 、 NP‑1 およ びSD − 521 )の諸 性質を検 討した結 果、推

     すなわち、デコリン 過剰発現による筋細胞増殖・分化促進は筋細胞増殖,分化阻害因

   本 研究 は台 木植 物お よび 輪作 体系に おけ るト ウモ ロコシの土壌病害抵抗性を 化学 的に 論じ 、セ オブ ロキ シド による 抗菌 物質 の生 成について研究したもので

マはエネルギー摂取量の最大化の戦略を取り,ウシは採食時間の短縮化の戦略を取ることが示唆さ

  

   また、高温処理を行う煮取り油中には、トランス酸やDHA およびEPA 由来の共役 不 飽 和 脂 肪酸 の 存 在が 示唆さ れて いる 。共 役型の DHA ある いは