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博士(農学)

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Academic year: 2021

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博士(農学)Jumpen Onthong      学位 論文題 名

Mechanisms of Tropical Plants to Tolerate to Low     Available Phosphorus Soils

     ( 低 リ ン 土 壌 に お け る 熱 帯 植 物 の 耐 性 機 構 )

学 位 論 文内 容 の 要 旨

   作物の生育には窒素、リン、カりが多量要素として必須である。リン資源はこの ままの使用で行くと約50‑‑‑200 年で枯渇すると試算されており、世界的にりンの有 効利用は重要な研究課題となっている。

   熱帯には酸性土壌が広く分布し、とくにアルミニュウム過剰毒性により、多くの 作物は正常に生育することができない。また、酸性土壌では、リンを施与してもア ルミニュウムや鉄と結合して不溶化するため、多くの作物でこれら難溶性リンの可 溶化が重要な課題となっている。ー方、この様な酸性土壌においても多くの植物が 自生しており、これらの植物種はなんらかの適応機構を獲得していると考えられる。

そこで本研究では、熱帯の酸性土壌、とくに低リン土壌において、熱帯の植物が難 溶性リンを可溶化している機構について解明した。得られた結果の概要は以下のと おりである。

1 .土壌の特性

  1 )使用したKohong (Kh) 、Hat Yai (Hy) 、Ban Thon (Bh) 土壌は有効態リンが2

〜4  mg kg‑1 と極めて低かった。不可給態リンの内、有機態リンが48 ―71 %と多く、

ついでAl 態リン(Al‑P) 、 Fe 態リン(Fe‑P) が 1 ー14 %と多く、Ca 態リン(Ca‑P) は0‑5 % と少なかった。

  2 )  Hy の表層土とBh の下層土に、クエン酸とシュウ酸を添加したところ、難溶性 の無機態および有機態リンが可溶化された。したがって、根から有機酸が分泌され ると、難溶性リンが可溶化されることが分かった。

2 . リ ン 欠 除 お よ び ア ル ミ ニ ュ ウ ム 施 与 に よ る 根 か ら の 分 泌 物 の 誘 導

   各種熱帯植物を、完全培養液、リン欠除培養液、アルミニュウム施与培養液、リ

ン欠除・アルミニュウム施与培養液で生育させ、根からの各種分泌物について調査

した。

(2)

  1) リ ン 欠 乏 処 理 で 、 根 / 地 上 部 比 が 大 き く な り 、 リ ン 利 用 効 率 がAcacia mangium, Brachiaria ruziziensis, Melaleuca cajuputi, Panicum maximum,j)ロれfc黼rらpe門Jl.5砂fD 粥n所e ん ロmロ ぬ で5‐10倍 に 高 ま っ た 。 こ れ ら の 植 物 は 低 リ ン 耐 性 が 強 く 、 リ ン の り サ イ ク ル 機能に優れていた。

  2) 酸 性 フ オ ス フ ァ タ ー ゼ は 土 壌 中 の 有 機 態 リ ン を 無 機 化 す る 。 根 か ら の 酸 性 フ ォ ス フ ァ タ ー ゼ の 分 泌 は り ン 欠 除 に よ りS轟 ロmロ ぬ で 著 し く 促 進 さ れ 、 ま た り ン 欠 除 お よ び ア ル ミ ニ ュ ウ ム 施 与 処 理 に か か わ ら ずB. ′ 蛇 捌e恥 趣P.m鉞 洳H鵬P. ′ 印e恥 ら PHe′ロrぬp轟ロSe〇め妣Sイ,mロngfHm イn口餾rめH腕〇CCfden紜心Hとレピロ6朋Jme恥週AtC可叩H灯 で多かった。

  3) シ ュ ウ 酸 の 分 泌 は 、 リ ン 欠 除 で イ . 〇ccf出nぬ た で 著 し く 促 進 さ れ 、 リ ン 栄 養 に か か わ ら ずAmロngfH朋 、Mc町 りHぬ で 多 か っ た 、 。 ク エ ン 酸 十 リ ン ゴ 酸 は 、 リ ン 栄 養 に かかわらずイ.朋ロngfH朋 で恒常的に分泌していた。

  4) 酸 性 土 壌 で は ア ル ミ ニ ュ ウ ム が 可 溶 化 す る 結 果 、 リ ン と 結 合 し て 難 溶 性 リ ン 酸 ア ル ミ ニ ュ ウ ム と な り 、 リ ン が 不 可 給 化 す る た め 、 ア ル ミ ニ ュ ウ ム も り ン 欠 乏 の シ グ ナ ル と な る 可 能 性 が 考 え ら れ る 。 し か し 、 ア ル ミ ニ ュ ウ ム 処 理 で 、 根 か ら の 有 機 酸 分 泌 が 促 進 さ れ た の は イ 朋 曲 むpmめfの ク エ ン 酸 十 リ ン ゴ 酸 と 、 ″ .6′ ロ 立ffe恥 む の シ ユウ酸のみで、リン欠除と の相互関係も認められなか った。

3 . 根圏 での 難溶 性リ ンの 可溶 化機構

   植物根 と土 壌を 遮根 布( 根を 通さ ない が水 は移 動す る)で分離し、根からの分泌 物が根圏土壌(根に接した土壌)にどのような影響をおよぼすかについて検討した。

  1 ) イ. mangium 、M. cajuputi では可給態リンの多いHy 土壌で可給態リンの少いBh 土壌 より生 育が 良く 、A occidentale では種子のりン含有率が高いために、Bh 土壌で もよ く生育 した 。ま た、 根圏 土壌 を酸 性化 させ たが 、酸 性化 によるりンの可溶化は ほとんど認められなかった。

  2 )イ. occidentale はシュウ酸を多量に分泌し、Al‑P や有機態リンが可溶化された。

しか し、こ の植 物は 種子 のり ン含 有率 が高 いた めに 幼植 物の 生育には貯蔵リンのみ で 十分 で あ り、 土壌 P の 吸収は あま り多 くな かっ た。 した がっ て、 いっ たん 可溶 化 し た根 圏 域 に お け る り ン は 、 再 度 Al‑P (Bh 土壌 )、 Fe‑P (Hy 土壌 )と して 不溶 化 し、この画分のりンが高まった。

  3 ) A mangium は多 量の クエ ン酸 十リンゴ酸と少量のシュウ酸を分泌し、おもにFe‑

P を可溶化した。

  4 )  M. cajuputi は 少 量 の シ ュウ 酸 を 分 泌 し 、 Al‑P を わ ず か に が 可 溶化 した 。

4 . 結論

(3)

   熱帯の低リン土壌において、熱帯の植物は根から有機酸を分泌して難溶性リンを

可溶化して利用(吸収)する機構を持つことが明らかとなった。とくに、有機酸の

種類と分泌量により、いずれの形態のりンが可溶化されるかについて解明した。こ

れらの知見は、熱帯の植物を改良し、熱帯土壌において生産性を向上させる方策を

確定するのに貢献すると期待される。

(4)

学位論文審査の要旨 主査

副査 副査 副査

教授 教授 助教授 助教授

山口 波多野 大崎 中原

淳一 隆介     満     治

     学位論文題名

Mechanisms of Tropical Plants to Tolerate to Low     Available Phosphorus Soils

(低リン土壌における熱帯植物の耐性機構)

   本論文は、図 12 、表 13 、引用文献 82 を含む総頁数106 の英文論文であり、別に参 考論文 1 編が添えられている。

本研究は、熱帯の植物が土壌中の難溶性リンを可溶化する機構について解明するこ とを目標として実施したものである。得られた結果の概要は以下のとおりである。

1 ,土壌の特性と有機酸によるりンの可給化

  1 )使用したKohong (Kh) 、Hat Yai (Hy) 、 Ban Thon(Bh) 土壌は有効態リンが2‑

4 mg kg‑1 と極めて低かった。不可給態リンのうち、有機態リンが48 ―71 %と多く、

ついで心 態リン、 Fe 態 リンが 1 − 14 %と多く 、 Ca 態リンは 0‑5 %と少なかった。

  2 ) Hy の表層土とBh の下層土に、クエン酸とシュウ酸を添加したところ、難溶性 の無機態および有機態リンが可溶化された。したがって、根から有機酸が分泌される と、難溶性リンが可溶化される。

2 . リ ン 欠 除 お よ び ア ル ミ ニ ュ ウ ム 添 加 に よ る 根 か ら の 分 泌 物 の 誘 導    各種熱帯植物を、完全培養液、リン欠除培養液、アルミニュウム添加培養液、リン 欠除・アルミニュウム添加培養液で生育させ、根からの各種分泌物について調査した

  1) リ ン 欠 乏 処 理 で 、 根 / 地 上 部 比 が 大 き く な り 、 リ ン 利 用 効 率 が イcacia mangium, Brachiaria ruziziensis, Melaleuca caLアH芯A覗fa 所mロ薯珊み鯲,勵Zfの 開r印と恥みS砂ぬゞロ冗め甜 舷 脚 ぬ で5‐10倍 に 高 ま っ た 。 こ れ ら の 植 物 は 低 リ ン 耐 性 が 強 く 、 リ ン の り サ イ ク ル 機 能に優れていた。

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  2) 酸 性 フ オ ス フ ァ 夕 一 ゼ は 土 壌 中 の 有 機 態 リ ン を 無 機 化 す る 。 根 か ら の 酸 性 フ ォ ス フ ァ タ ― ゼ の 分 泌 は り ン 欠 除 に よ りS. hamataで 著 し く 促 進 さ れ 、 ま た り ン 欠 除 お よ び ア ル ミ ニ ュ ウ ム 添 加 処 理 に か か わ ら ずA ruziziensis,Pma:cimum,Prepensz;

Pueraria phaseoloides,イ.mangium, AnacarめMm〇CCZdを凡舩旭日・eVeロろrロJ甜ぬ凡J紅M.C町りM轟で 多かった。

  3) シ ュ ウ 酸 の 分 泌 は 、 リ ン 欠 除 に よ り メ . 〇ccfdenな ぬ で 著 し く 促 進 さ れ 、 リ ン 栄 養 に か か わ ら ずAm覦gfHm、Mcづ りHガ で 多 か っ た 。 イ . m覦 呂fMmは り ン 栄 養 に か か わ らずクエン酸十リンゴ酸を恒常的に分泌していた。

  4) 酸 性 土 壌 で は ア ル ミ ニ ュ ウ ム が 可 溶 化 す る 結 果 、 リ ン と 結 合 し て 難 溶 性 リ ン 酸 ア ル ミ ニ ュ ウ ム と な り 、 リ ン が 不 可 給 化 す る た め 、 ア ル ミ ニ ュ ウ ム も り ン 欠 乏 の シ グ ナ ル と な る 可 能 性 が 考 え ら れ る 。 し か し 、 ア ル ミ ニ ュ ウ ム 処 理 で 、 根 か ら の 有 機 酸 分 泌 が 促進 さ れ た のは イmcんむpfれめfによ る ク エ ン酸 十 リ ン ゴ酸 と 、 ″ .ろ ′ 甜f館e恥 む によ る シュウ酸のみで、リン欠除との相互関係も認められなかった。

3 .根圏での難溶性リンの可溶化機構

   植物根と土壌を遮根布(根を通さないが水は移動する)で分離し、根からの分泌物 が 根圏 土壌 (根 に接 した 土壌 )に どの よう な影 響をお よぼすかについて検討した。

  1 ) A mcmgium 、 M. cajuputi で は可 給態 リン の多 いHy 土壌 で可 給態 リンの 少い Bh 土壌より生育が良く、イ.occidentale では種子のりン含有率が高いために、Bh 土壌で・も よ く生育した。また、根圏土壌を酸性化させたが、酸性化によるりンの可溶化はほと んど認められなかった。

  2 )イ, occidentale はAl‑P や有機態リンを可溶化した。しかし、この植物は種子のり ン 含有 率が 高い ため に幼植 物の 生育には貯蔵リンのみで十分であり、土壌P の吸収は あまり多くなかった。したがって、いったん可溶化した根圏域におけるりンは、.再度 Al‑P (Bh 土 壌 ) 、 Fe‑P (Hy 土 壌 ) と して 不溶 化し 、こ の画 分の りン が高ま った 。   3 )A mangium はおもにFe‑P を可溶化した。

  4 ) M. cajuputi はAl ーP をわずかにが可溶化した。

   以上のように、本研究は、熱帯の低リン土壌に適応した熱帯植物は根から酸性フォ

ス ファ ター ゼや 有機酸 を分 泌し て難 溶性 リン を可 溶化 する機構を持つことを明らか

にした。これらの知見は学術的に高く評価されると同時に、熱帯の酸性化した低リン

土壌に適応するように植物を改良し、かつ熱帯土壌を持続的に維持するのに貢献する

ものである。よって審査員一同は、Jumpen Onthong が博士(農学)の学位を受けるの

に 十分 な資 格を 有する もの と認 めた 。

参照

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