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博士(医学)堤 豊 学位論文題名

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Academic year: 2021

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(1)

     博士(医学)堤   豊 学位論文題名

造血幹細胞移植後の末梢血細胞亜分画のキメリズム およびT cell receptor repertoire 解析の臨床応用

学位論文内容の要旨

[緒言]近年、造血幹細胞移植の普及とともに造血器腫瘍をはじめとする様々な疾患 に治癒を望める可能性が出てきている。一方で拒絶や生着不全、再発、移植片対宿主 病(GVHD) など 未だ解決さ れない移植 後の合併も 多い。これ らを客観的に判定し予 知する方法のーっとして移植後のドナーとレシピエントの

microsateuite

を応用したキ メリズムの解析や、GVHD 等の免疫反応の解析にT 一

ceureceptor

(TCR 冫repertoire の 解析 が有用であ る。しかし キメリズム の解析につ いては

polymerasech

むnreacdon

(PCR 冫を用いるため、その定量性に問題があり、TCRrepertoire の解析については、

T

リンパ球の細分化が必要と考えられる。本研究では、キメリズム解析に用いるプライ マーの定量催の検討とその応用およびT リンバ球をさらに細分化して

TCRrepertoire

を 解析する有用性について検討した。

[ 方 法]

1

. 健常 人 より 全 血を 採 取し 単 核球 を 分離 し 、抽 出 した

DNA

3/100

5/100

10/100

30/100

50/100

の比率で混合しmicrosateuite を用いてPCR を行っ た。これらをキャピラリー電気泳動システムを用いて解析し定量性を検討した。2 .

1994

2000

に当科および関連病院で造血幹細胞移植を受け

30

症例を用いて移植前後の 様々な因子とキヌリズムで統計的有意差を検討した。3 .一度生着後、汎血球減少を呈 した移植後の症例より単核球を分離し、DNA 、心岨を抽出.し、PCR およびR1 、.―PCR を 用い てキメリズ ムおよび恥

RrepertO

e

ロchamsubfamiues (VB )の解析を行い、そ の発症幾序について検討した。

[結果]1 .今回用いたmicrosateuite での解析では3 %までの混合キヌラを検出可能で

あっ た。定量性の検討についてはA 田

BP2

とD6S89 の定量性が優れていた。2 .解析率

につ いては

A

BP2

HGH

が優れ ており、非血縁者間移植での解析率が血縁者間移植

の解析率より良好であった。

3

.今回検討した30 症例では急性

GVHD

の合併症例に完全

キメラが多い傾向を認めた。これらを他の移植前後の因子と共に統計的解析を加える

と、

30

歳未満、非照射前処置、再発もしくは生着不全症例、非急性GVHD 症例に統計

学的有意差をもって、混合キメラが多い傾向を示した。4 .移植後汎血球減少を呈した

症例のCD3 陽性細胞群に混合キメラを認めた。TCRrepertoire の解析を行ったところ全

経 過 中で

VB2

VB15

が突出し たピークを 持つことが 分かった。 このためこ れらを

CD4

CD8

陽性細胞に磁気ピーズを用いて分離し、キメリズムと

TCRrepertoire

につい

て検討した。その結果VB15 の突出したピークはCD8 陽性細胞においてレシピエントの

(2)

キメリズムの比率と合致した。

[考察]1994 年頃よりmicroSateuite を応用しキメリズム解析で移植後の再発の予知が 可能か検討されてはいるが、移植後のキメリズムが再発や拒絶を示唆するのか未だ一 定の見解が得られていない。実際、末梢血単核球とT 細胞のキメリズムが一致せず、拒 絶をより反映したのはT 細胞であったり、B 細胞系のりンバ性自血病ではCD19 陽性細 胞が再発を示唆する可能性が報告されている。当科でも

PCR

法を用いて移植後のキヌ リズムの解析を施行したが、これを定量的に判定することは容易ではなかった。しか し、近年キャピラリー電気泳動法の応用で、キメリズムの解析が短時間でかつ視覚的 に捕らえることが可能となった。そこでキャピラリー電気泳動法を用いて4 種類の

microsateuite

の解析率および定量性について検討し、各々のmicrosateuite の特徴を把 握しこれを臨床応用可能なシステムに確立した。

  

次に、これを用いて同種造血幹細胞移植後30 症例の解析を行い様々な移植前後の因 子と混合キメラとの関連について解析した。第一に放射線照射前処置を用いた場合に 完全キメラが多い傾向があった。照射前処置を用いて完全キメラを認めた症例は10Gy 以上の全身照射を施行されていた。第二に急性GVHD を認めた症例に完全キメラが多 い傾向を認めた。

  

同種骨髄移植は30 歳未満の症例でより安全に施行可能であり、30 歳以上と以下でキ メリズムに差があるかを検討したところ、30 歳未満の症例でより混合キメラが多い傾 向を認めた。さらに30 歳以上の症例で混合キヌラを認めた場合は多くの症例が再発や 生着不全を発症するのに対し、

30

歳未満では混合キメラであっても必ずしも生着不全 や再発症例を認めなかった。これは若年者では免疫寛容が成立しやすいためと考えら れ、

30

歳以上では予後不良因子と考えられる混合キメラが若年者では必ずしも予後不 良因子とならないと考えられる。実際、今回の解析では急性GvHD が30 歳以上に多く 認められ、30 歳以上の症例では免疫寛容が成立しにくいことを裏付けるものと考えら れた。

  

一方、移植後のTCRrepertoire の変化について様々な報告があり、従来より我々は 移植後の合併症特に生着不全と考えられる一連の疾患群が同一の発症機序によるもの か否かの検討を行ってきた。早期の生着不全は早急にキメリズムがレシピエント由来 となることを確認している。今回提示した症例は混合キメラが持続しただけでなく、

混合 キメ ラを 示し た細胞群が主に

CD3

陽性細胞群であったことが特徴である。TCR

repertoire

の解析では、全経過中でクロナリテイを認めたVB2 と汎血球減少を認めてか らクロナリティを認めたVB15 を確認した。VB2 に関してはドナーも全く同一のクロナ リティを認めたためドナー、レシピエント共に共通の抗原を認識していると考えられ た。一方VB15 に関しては汎血球減少を認めてからクロナリティを認めたのみならず、

クロナリティを認めた細胞群がCD8 陽性細胞群であり、その細胞群の占める割合いが

CD8

におけるレシピエントの由来の細胞群が占める割合いと一致していた。これは今

まで生着不全と考えられた一連の疾患群の中に生着しているものの、特定の細胞群の

免疫反応にて造血が阻害されている疾患群が存在していることを示している。キメリ

ズムにTCRrepertoire の解析を加えることでより客観的な判断と多彩な治療方針が検討

できると考えられた。

(3)

[ 結 語 ] キ メ リ ズ ムの 解 析は 特 に30歳 以上 の 症 例で の 予 後判 定 に重 要 で あり 、TCR repertoireの解析 が移植後 の合併症 の治療について有益な診断材料のーつであると考え     亠

られた 。

(4)

学位論文審査の要旨

学 位 論 文 題 名

造血幹細胞移植後の末梢血細胞亜分画のキメリズム およびT cell receptor repertoire 解析の臨床応用

近 年 、 造 血 幹 細 胞 移 植 の 発 達 は 目 覚 ま し い も の が あ る が 、 生 着 不 全 や 、 移 植 片 対 宿 主 病(GVHD)な ど 未 だ 解 決 さ れ な い 問 題 も 多 い 。 こ れ ら を 客 観 的 に 判 定 し 予 知 す る 方 法 の ー っ と し て 移 植 後 の キ ヌ リ ズ ム の 解 析 や 、 ′F‑cellreceptor (TCR) repertoireの 解 析 が 有 用 で あ る 。 本 研 究 で は 、 キ メ リ ズ ム 解 析 に 用 い る プ ラ イ マ ー の 定 量 性 の 検 討 と 、TCR repertoireの 解 析 の 臨 床 応 用 を 目 的 と し た 。 方 法 と し て 、1. 抽 出 し たDNAを 適 当 な 比 率 で 混 合 しmicrosatelliteを 用 い てPCRを 行 い 、 キ ャ ピ ラ リ ー 電 気 泳 動 シ ス テ ム を 用 い て 解 析 し 定 量 性 を 検 討 し た 。2. 造 血 幹 細 胞 移 植 を 受 け た30症 例 を 用 い て 移 植 前 後 の 様 々 な 因 子 と キ ヌ リ ズ ム で 統 計 的 有 意 差 を 検 討 し た 。3. 生 着 不 全 症 例 よ り 単 核 球 を 分 離 し 、DNARNAを 抽 出 し 、 キ ヌ リ ズ ム お よ ぴI'CR repertoirechain subfamiliesVB)の 解 析 を 行 い 、 そ の 発 症 機 序 に つ い て 検 討 し た 。 そ の 結 果 、1. 今 回 用 い たmicrosatelliteでの 解析 では3% ま で の 混 合 キ メ ラ を 検 出 可 能 で あ り 、 定 量 性 お よ び 解 析 率 に つ い て 優 れ る も の が 存 在 し た 。2.今 回 検 討 し た30症 例 で は30歳 未 満 、 非 照 射 前 処 置 、 再 発 も し く は 生 着 不 全 症 例 、 非 急 性GVHD症 例 に 統 計 学 的 有 意 差 を も っ て 、 混 合 キ メ ラ が 多 い 傾 向 を 示 し た 。3.生 着 不 全 症 例 のCD3陽 性 細 胞 群 に 混 合 キ ヌ ラ を 認 め 、TCR repertoireの 解 析 を 行 っ た と こ ろ 、VB15の 突 出 し た ピ ー ク はCD8陽 性 細 胞 に お い て レ シ ピ エ ン ト の キ メ リ ズ ム の 比 率 と 合 致 し た 。

  キ メ リ ズ ム の 解 析 は 特 に30歳 以 上 の 症 例 で の 予 後 判 定 に 重 要 で あ り 、TCR repertoireの 解 析 が 移 植 後 の 合 併 症 の 治 療 に つ い て 有 益 な 診 断 材 料 の ー つ で あ る と 考 え ら れ た 。

  口 頭 発 表 で は 副 査 今 村 教 授 か ら 年 齢 と キ メ リ ズ ム 関 連 お よ びprimerの 実 用 性 に つ い て 質 問 が あ っ た 。 申 請 者 は キ メ リ ズ ム のprimerは 最 低4種 類 必 要 で あ り 同 時 に3種 類 のmicrosatelliteを 解 析 す る 方 法 な ど も あ る が 定 量 性 の 問 題 が あ り 採 用 し な か っ た こ と 、 年 齢 と キ メ リ ズ ム の 関 連 は 年 齢 と 胸 腺 に 関 連 が あ り 成 人 の 胸 腺 が 若 年 者 に 比 し て 退 化 し て い る た め 前 処 置 な ど で 胸 腺 の 機 能 が 低 下 し 免 疫 寛 容 が 成 立 し に く い が た め の 表 裏 一 体 の 結 果 で あ る こ と を 現 在 ま で の キ メ リ ズ ム 解 析 例 お よ び 他 の 報 告 を 引 用 し て 説 明 し た 。 次 い で 副 査 武 蔵教 授か ら′r一ceUレ バ ート リ

正 雅

(5)

ーと

TBI

およぴF‑cell レバートリー

VB15

と生着不全についての質問があった。申 請者は他の報告でのT 、―cell レバートリーの回復より

CD4

陽性細胞群でのレバート リーの回復がおくれるであろうことを説明し、生着不全については本症例では

CD8

陽性かつ

VB15

細 胞群での結果であったが、CD4 の症例もあり疾患毎の差が ある可能性があり、さらなる検討が必要と考えられると述べた。最後に主査浅香 教授より移植ソースでのキメリズムの経過の違いとT ―cell レバートリーによる

GVHD

の予測について質問があった。申請者は移植ソースでは他の報告からも現 在までの解析結果からも末梢血幹細胞移植症例でのドナータイプ完全キメラヘの 移行が他の移植ソースよりも早いと説明し、T‑cell レバートリーでは移植された りン バ球とレシ ピエントに残存するりンバ球のため急性GVHD を予測すること は難しいが、慢性

GVHD

の予測および治療に対する反応性や免疫抑制剤減量のタ イミングを予測可能であり現在投稿中であると述べた。

本研究は、移植後の合併症を多角的に捕らえられることを可能とした点で高く評

価 さ れ 、 今 後 造 血 幹 細 胞 移 植 へ の さ ら な る 応 用 が 期 待 さ れ る 。

  

審査員一同は、これらの成果を高く評価し、大学院課程における研鑽や取得単

位なども併せ申請者が博士(医学)の学位を受けるのに充分な資格を有するものと

判定した。

参照

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