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泥土圧シールドのチャンバーを模擬した塑性流動数値解析

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Academic year: 2022

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泥土圧シールドのチャンバーを模擬した塑性流動数値解析

(株)安藤・間 技術研究所 正会員 ○西村 毅,野間康孝 土木事業本部 正会員 粥川幸司,新原圭祐

1.はじめに

近年,シールドトンネルは大深度化,大断面化する傾向にあり,これに対応するために多くの技術開発が実 施されている.このうち経済性を高める方策として,シールド工事の使用電力量に占める割合が大きいカッタ ー電力の低減が考えられる.そのため,本研究では,泥土圧シールドのチャンバー内の土砂性状の改変や,攪 拌方法の改良等を行い,これらの改良効果を定量的に把握するために模型実験および数値解析を実施した.模 型実験では,チャンバーとカッターを模擬した模型に,流動特性の異なる土砂を注入し,回転トルクを与えた 時のチャンバー内の圧力やせん断力等の計測を行った.数値解析では,3次元の個別要素法を用いて模型実験 のシミュレーションを行い,計測結果を再現する入力パラメータの同定を試みた.本稿では,個別要素法を用 いた数値解析結果について述べる.

2.解析モデル

数値解析に用いた個別要素法は,不連続体解析手法の一つであり,接触・分離するブロックや粒状体の挙動 を表現するのに適した手法である.それぞれの要素は,隣接する要素との位置関係によりバネやダッシュポッ トを介して力が作用し,その結果作成される運動方程式を時間ごとに解いて,次の時間の要素位置を求めてい くものである.なお,今回用いた解析コードは,ITASCA 社の PFC3D であり,粒状体要素を用いた3次元の個 別要素法である.

図-1 に,作成したモデルを示す.このモデルはチャンバーを水平に置いた模型実験をシミュレートしたも のであり,その大きさはφ600mm×高さ 300mm である.これにカッターを模擬したスポーク(一文字型)と,攪 拌翼(4 本)を設置している.さらに,バルクヘッドに相当する面に固定翼(2 本)を設置している.この容器内 に土粒子を充填した後に,攪拌翼と一体となったスポークを 1rpm の速度で回転させることにより,土粒子の 攪拌状態を解析した.

表-1 に解析で使用した物性値を示す.側壁,底面,攪拌翼,固定翼は剛な境界条件として十分大きなバネ 定数を与えた.土粒子の物性については,事前に実施した泥土のスランプ試験のシミュレーション結果から同 定した数値を用いている.

図-1 流動実験解析モデル

キーワード シールド,泥土,チャンバー,塑性流動,数値解析,個別要素法

連絡先 〒305-0822 茨城県つくば市苅間 515-1 (株)安藤・間 技術研究所 土木研究部 TEL029-858-8813

スポーク 90°

600mm

300mm

固定翼

スキンプレート バルクヘッド

攪拌翼

土粒子

土木学会第69回年次学術講演会(平成26年9月)

‑1273‑

Ⅵ‑637

(2)

実験で用いた土砂材料は 5 号珪砂であり,その 粒径は 0.1~1.0mm であるが,この粒径でモデル 化した場合,要素数が膨大となり計算が不可能で ある.そのため,今回は実用的な計算時間から判 断してφ15mm の粒子とした.

3.解析結果

図-2 にスポークのトルクの実験結果と解析結 果を示す.実験結果は 30 回転させたデータを同

じグラフ上に示している.発生トルクの大きさは 800~1,200N・m 程度で変化している.また,特徴的なことは,

スポークの周回にともなうトルクの最大値が,スポーク,攪拌翼が固定翼に近づいた時ではなく,固定翼と 90°ずれた位置の 135°付近にある時に発生していることである.解析結果は,回転数を増やしてもトルクの 変動は同じ軌跡をたどるため 5 回転分のデータを示している.解析では発生トルクの大きさは 600~800N・m とやや実験結果より低い数値となったが,同様のトルク変化の傾向となり,135°~150°にピークが存在する 実験結果を再現している.

図-3 にバルクヘッドに相当する底面の圧力分布を示す.圧力の変化は,実験ではスポークが圧力計位置を 通過した後の圧力増分は緩やかで,次のスポークが接近する直前から急激に上昇するのに対して,解析ではほ ぼ一様な増加傾向を示していることが異なっている.ただし,最大値,最小値はほぼ同程度の数値となってお り,解析により実験結果をある程度再現していると考えられる.

4.おわりに

今回,個別要素法による数値解析を実施し,チャンバーを模擬した模型実験を再現することを試みた.その 結果,トルクや圧力の発生状況をある程度再現することが可能であり,個別要素法がシールドチャンバー内の 土粒子の挙動の解析に有効な手法であることが確認された.今後は,流動特性の異なる土砂に対する粒径を含 む適切なパラメータの設定方法などの検討を進める予定である.

(a)実験結果 (b)解析結果 (c)固定翼位置 図-2 スポークの発生トルクの比較

(a)実験結果 (b)解析結果 (c)圧力計位置 図-3 底面圧力の比較

区 分 項 目 単位 数値

側壁・底面・

攪拌機器

接線・法線方向ばね定数 N/m 1×10100

摩擦係数 - 0

粘着力 N 0

土粒子

密度 kg/m3 2,650 接線・法線方向ばね定数 N/m 1×104

摩擦係数 - 1.192

粘着力 N 0

粒径 mm 15 表-1 解析物性値

90°

180°

270°

45°

スポーク 固定翼

90°

180°

270°

圧力計

30°

10°

土木学会第69回年次学術講演会(平成26年9月)

‑1274‑

Ⅵ‑637

参照

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