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新幹線高架橋の調整桁沓座修繕工事の施工について 

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Academic year: 2022

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キーワード:新幹線、高架橋、沓座修繕、無収縮モルタル、計画徐行

連  絡  先:〒330-0853  さいたま市大宮区錦町630  東日本旅客鉄道㈱  大宮土木技術センター  TEL048-643-5799

新幹線高架橋の調整桁沓座修繕工事の施工について 

東日本旅客鉄道㈱   正会員  ○白澤隆浩、北嶋 徹、関  禎幸 東鉄工業㈱      正会員   牧田教一、磯 教行、谷脇伸二  

1.はじめに 

  新幹線の調整桁の支承部において、構造物の検査時 に列車通過時1〜1.5mmのあおりの発生を確認した。あ おりは支承部の沈下による3点支持が原因と考えられ、

このあおりの解消を図るため、桁を所定の高さまでこ う上するとともに、既設の沓座を取壊し復旧する工事 を施工した。当該箇所は、桁の直下に水路が位置して おり、水路と橋脚の間の1.2mの間に約220tの荷重を受 ける仮受架台を設置する必要があった。また、新幹線 の高速運転を継続しつつ、かつ土木部門ではこれまで の施工例が極めて少ない計画徐行をも駆使しながら施 工を行った。ここでは、当該工事の施工について報告 する。

2.修繕方法の考え方 

  現況のレール面を基準として桁の高さを測定し、こ う上量の検討を行った結果、支承部で右側15mm、左側 7mmのこう上が必要であることが分かった。

  図2に施工フローを、図3に修繕工事の概要を示す。

上述のこう上量に加え、桁が馴染むまでの沈下量を考 慮して 1〜2mm 上げ越しすることとした。桁をこう上 し仮受架台へ荷重を完全に移行した後、既存の沓座の 取り壊しを行なう。こう上後の所定の位置で沓座モル タルを打設し、十分な強度発現後、荷重を沓へ戻した 後にあおり量を計測するなど桁の監視を行うことを計 画した。

 

 

3.施工概要 

①修繕する側の桁の荷重を仮受架台で受けることから、

地盤の所要地耐力を得る必要があるため、現状地盤

仮受箇所 

図-3.  工事施工概要  図-1.  沓座修繕工事の施工環境 

※桁こう上量の検討

  ※徐行手配

立坑埋め戻し 片付け 落橋防止工復旧

桁受架台撤去 軌道整正・軌道監視

軌道整正・軌道監視

桁こう上・桁の仮受 沓座取り壊し

沓座構築 桁仮受台撤去

2次掘削 基礎コンクリート打設

桁受架台組立 既設落橋防止工一部取り壊し

  ※フーチングから下面を掘削 線路外作業

線路内作業

現場調査 現場調査

準備工

1次掘削  ※作業ヤード仮囲い設置・土ならし

※ライナープレート仮土留併用で   フーチング天端まで掘削

図-2.  施工フロー  土木学会第64回年次学術講演会(平成21年9月)

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Ⅳ‑216

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図-4.  仮受架台設置状況 のボーリング調

査を行った。そ の結果を基に、

既存の地盤を掘 削し、用水路の 側壁とフーチン グの間の掘削部 にコンクリート 基礎を構築し、

その天端及びフ ーチングの天端 上に、仮受架台 を仮設すること とした。仮設主 材は施工中の地

震対策を踏まえ、倒壊防止等を考慮して山留(H-500×

500)を使用した。

②沓座撤去に支障する既設落橋防止工を一部取壊し、

レール直角方向への桁移動防止対策として、山留材 を仮受架台に事前に設置した。

③仮受け当夜、当該線のレール締結装置及び軌道パッ トを外し、レールをフリーの状態にして油圧ジャッ キ(150t 2台)を用いて桁のこう上を行い、ジャッキ アップ後、鉄板を挟み込み高さ調整を行ないながら、

仮受架台へ荷重を全て移行させた。仮受け位置は桁 の構造上、支持点を桁端部から1.8mの位置に設定し た。

④仮受架台への荷重移行に伴い、桁や仮受架台におい て、列車通過時に異常が発生した場合の安全対策を 考慮し、2日間の110km/hの計画徐行を行い、桁や仮 受架台を監視した。また、レベルによる桁高さ測定 と、金尺によるあおり量の測定を一定の間隔で監 視・計測した。

⑤既設の沓座撤去は、狭隘な箇所であるため、ウォー タージェット工法により取り壊しを行った。その際、

水の飛散防止を講じ、溜まった排水は中和・濁水処 理を行ないPH7程度になるよう管理した。

⑥撤去完了後、復旧する沓座モルタルの型枠を組み、

無収縮モルタルを打設する際、水和反応によるクラ ック防止のため、金網を設置した。なお、今回打設 した沓座モルタルは、仮受架台ですべての荷重を受 けているため、初列車通過時の列車荷重や振動等に 対する強度発現の制約はなく、従って①初期強度発 現が遅く流動性に優れ、②強度発現後の硬化速度が 速いプレミックスタイプのグラウト材を選定した。

なお、列車通過時の振動を打設後のバイブレータ効 果として活用するとともに、温度管理と湿潤状態を 維持する等の冬期対策を講じた。

⑦桁の復旧は、油圧ジャッキにより桁を 1〜2mm こう 上させ、高さ調整用の鉄板を撤去し、沓へ荷重を戻 した。また、レベルによる桁高さ測定と、ダイヤル ゲージによるあおり測定を実施し、今回の施工の前 後におけるあおり量の比較を行なった。

⑧測定の結果、あおり量が小さい値に収まったため、

仮受架台の撤去及び立坑の埋め戻しを行なった。

 

4.おわりに 

モルタル打設後、沓座周りにクラックは発生しなか った。また、施工前は1〜1.5mmのあおり量が発生して いたが、施工後にダイヤルゲージを用いて計測を行な ったところ、仮受架台撤去後 2〜3日は0.2〜0.5mm程 度のあおり量が認められた。しかし、桁等が所定の位 置に馴染んだ4日目以降は0.1mm以下のあおり量とな り、目視では確認できない程度まで小さくなっている ことが分かった。また、施工後 1 週間後に測定したマ ヤ車による動的変位についても異常のない値となった。

  今回、列車の運転保安、既設構造物、また周辺環境 に影響を与えることなく、無事に施工を完了すること ができた。この実績を基に、今後の施工へと反映させ ていきたいと考えている。

図-5.  沓座取壊し状況 

図-6.  施工後の沓座  土木学会第64回年次学術講演会(平成21年9月)

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参照

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