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微分積分学入門 この

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Academic year: 2021

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微分積分学入門

このPDFファイルはこれまでの「微分積分学」の講義ノートを加筆・修正したものです.TeXの機能に慣れる ためにいろいろ練習する場も兼ねて作成しています.図やグラフはまだ練習中のため,以前より増えてはいます が説明のためにはまだ十分ではありません.基本的に黒板での説明は図が多めなので,このノートを見れば講義 に出なくてもよいわけではないことに注意してください.

(学生向けの前書き:使用前に必ず読むこと)

講義で使用していた頃から,このテキストの内容全てを扱ったわけではありません.発展事項を自習したい学 生のための資料として作成し始めたので,難易度の高い内容も含まれています.また,自身の備忘録としてさら に数学科向けの内容を加筆したので,全部読むのは結構大変です.そのため,もし私の講義を受けた学生が利用 する場合には,定理の証明などの難しそうなところは飛ばしながら,定義・定理の主張・注意・計算例・応用例を 取捨選択しつつ読み進める方がよいと思います.索引はありませんが,節を細かく分けているので学生が参考に したい部分を探しやすくはしているつもりです.数学科向けに言うと,実数の構成に関する部分以降,つまり上限 定理を認めた後は初等関数の定義以外ほぼ厳密な議論をしています.

微積分が苦手な学生は,まず「計算例」と書かれた節の例題とその解答をしっかり読み込んでください.手を 動かして解答を写してみるのもよいと思います.もし解答が理解できなければ,その前の節に戻って理解してい ない定義や用語・定理や公式がないかを見直してください.定理や公式は覚えているのに,定義を理解していな かったために『問題を見ても何をすればよいかわからなかった』から解けなかったということはよくあります.

例題の解答が理解できた(と思う)場合には,少し間を空けてから解答を隠して例題を解いてみてください.数 学では『解答を読んで理解すること』と『何も見ずに解答を再現できること』には大きなギャップがあります.解 答を読んで納得しても,いざ自力で解答を作成する立場になって初めて「なぜこう考えるのか?」という疑問を 抱いたり,憶えていると思っていたことが実はそうではなかったと気付いたりすることも少なくありません.

苦手な学生は「自分で計算練習しておくように」と言われると,まず例題の解説を読んでからその下の練習問 題に取り組み,答え合わせをしても略解しかないため結局よくわからない・・となりがちです.とにかく完全な解 答がある例題を理解し,何も見ずに解答が再現できるくらい何度も手を動かして取り組むことを繰り返せば,い ずれ計算方法が身につくはずです.

本文中の練習問題の答えは特に用意していないので,各自で考えてください.特に難しい問題は発展問題とし ています.ただ,発展問題のいくつかはそこから後の本文中にヒントまたは答えそのものがあります.

ちなみに月に数回程度数ページずつこっそり更新されます.この下の最終更新日と3ページ目の更新内容には 注意してください.講義で用いていた時より定理の証明や発展的な内容をかなり充実させたので,「微分積分学入 門」というのはタイトル詐欺になりつつあります.本ごとに記号や用語が微妙に違うことがあるので,発展事項 でも講義内容から通して勉強しやすいようにとの配慮からでしたが・・ただ,物理系や工学系で今後必要となる可 能性が高い代表的・有名な例や応用例はそれなりに盛り込んであります.巻末に参考文献を挙げてあるので,より 詳しく学習したい内容についてはそちらを参照してください.

2020.4.22

急遽オンライン講義に対応する必要が出てきました.図書館なども利用できないため,受講生が参考資料とし て自学自習できるように説明を追加する予定です.最初に書いた項目は2009年作成なので,前期の内容(数列の 極限,1変数関数の微分法,多変数関数の微分法)については構成は変更しませんが,これまでの教育経験を生か して少し例題の追加や説明の仕方の変更などあるかもしれません.通常は黒板に図をたくさん描いて説明するの ですが,その部分は動画で補っていきます.

北海道大学 大学院理学研究院 黒田 紘敏 最終更新日:20211016

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(以下は一個人の意見で,学生に無関係な前書きです.2020.4.22

極限については数列の極限・1変数関数の極限・多変数関数の極限すべてについてイプシロン・デルタ論法を用 いて定義し,種々の性質について厳密な証明を与えています.その理由は,数学への理解を深めて実社会の課題 へ応用を考える際に必要となるからです.

2000年前後?からイプシロン・デルタ論法を扱わない微分積分学の参考書が増えてきていました.それらは定 理の証明(広義積分が収束するための十分条件,収束半径に関するダランベールの判定法など)が中途半端な記 述になっているものがほとんどです.無理に厳密さを抜いて平易な言葉で説明を試みた結果,逆に記述が難しく なっているものも見受けられます.確かに高校数学までは『極限値を計算して求めること』がゴールなため,『極 限値とは限りなく近づく値』という理解でも十分です.しかし,ある極限値をとるという性質を基点として理論 展開を始める場合には, どの程度近いのか という定量的な評価が必要となります.また,現在ではプログラム による数値計算分野において,誤差を定量的に評価し記述できる言葉を知っておくことの重要性が増しています.

ただ 限りなく近い と述べても,その基準は主観的で不正確な要素を含みうるため,それを避けるためにもイ プシロン・デルタ論法を採用しました.イプシロン・デルタ論法のような『言葉』を知ることは学生にとって必ず プラスと考えます.大雑把に述べてしまえば『与えられた許容誤差を満足するためには最低何ステップ計算を繰り 返せばよいか』を表すものであり,この論法を理解することは確かに簡単ではありませんが,決して不可能では ないというのが講義経験による私の考えです.過去の講義でも工学部で定期試験に出題した証明問題の正解率は かなりのものでした.

数学以外の理学系や工学系でイプシロン・デルタ論法は不要なのでは主張している教員がたまに見られます.そ の根拠として「理解するのが難しいから」とか「定理の証明に使うだけだから」や「無くても困らない」といった ものが挙げられますが,論点がずれていると思います.イプシロン・デルタ論法を学ぶ目的は,ものごとを説明す る方法の一つ(特に三角不等式などを利用した誤差の見積もりが議論できるようになることなど)を習得するこ とだからです.いくつかの定理の証明を行うことは理解を助けるための手段であって,証明それ自身を記憶するこ とが目的なのではありません.また,この論法のような未知のものに触れることで極限を見つめ直す機会となり,

極限をとることと代入の違いを理解できたという意見もあります.もっとも,数学教員においてもその必要性につ いて『高校で曖昧だった定理が厳密に証明できる』ことのみを前面に出しすぎているケースもあるとは感じます.

上で述べたような極限およびその論法に対する理解の不十分さが,理論物理系や工学系の一部の文献・学術論 文で正しいとは言えない計算(特に極限計算・極限の交換・無限和・広義積分など)が少なからず見られる原因だ と私自身は感じています.以前私の講義を受けた学生から「数学は論理展開がはっきりしていてわかりやすいが,

物理の講義がわからない」と相談を受けました.話を聞いてみると,どうやら物理の講義中の計算がわからず教 員に質問したところ,その教員から満足いく回答を得られなかったらしく,何かと思い聞いてみれば近似計算や極 限まわりの計算が数学的には危ないものでした.例えばテイラー展開は数学者は剰余項をつけますが,物理では

記号すら使わずにすべて=で式をつないでいくことが普通です.誤解を招かないように述べておくと,私はそ のような近似計算が悪いとは思いません.すべて厳密な論理展開だけではなく,さまざまな計算を展開していく ことが新しいものを生み出すのは事実です.ここで問題にしたいのは,いざ学生に「これはイコールではないの では?」などと質問された際に「君の疑問はもっともで,これは本当は近似計算であり必要な次数までを計算し ているだけ」とか「そのような極限操作の交換ができることは仮定している」などと十分に説明できない応用系 の教員です.上記の学生は担当教員から「極限と積分を入れ替えることに何か問題があるのですか?」と答えられ ており,およそ信じられない状況です.おそらく学生の頃から実は近似計算であることやそれは種々の仮定の上で 成り立つ計算という事実を習っていないために,形式的なものに過ぎない計算に疑問を抱かなかったのでしょう.

学生が物理数学の科目のレポート課題の質問に来たときには,その問題の不備の多さに閉口したこともあります.

その際はやはり本質的に間違いを含む解説を向こうでされてしまい,私の講義内できちんと時間を確保して正し い説明をしました.形式的な計算が絶対正しいのではなく,「ここは近似的な計算だから,この極限操作は危ない かもしれないから数学的に理論改良の余地があるのかもしれない」と認識するだけでも応用系の研究者と数学の 研究者の意思疎通が図りやすくなるというのが,私の経験に基づいた意見です.

2010年代後半から,最初から最後まで通してイプシロン・デルタ論法で記述された微分積分の教科書が多く出 版されるようになってきました.説明が分かりやすいものも多く,良い傾向だと思います.また,これまで共同研 究で化学・生物系や工学系,医学系などの多くの方と接点がありましたが,抽象的な議論に基づいた理論展開に

(3)

まだ追加・修正したい内容

 ・第9章(ベクトル値関数の微分,陰関数定理)

 ・第9章(3変数以上の関数の条件付き極値問題)

 ・第10章(重積分の理論部分)

最近の更新履歴(20082020.3までは省略)

助詞など日本語の軽微な誤字脱字などは特に修正を載せないと思います.

2020/5/22 4章初等関数の一部を丁寧に,双曲線関数の性質の誤植を修正

2020/5/25 4章例題3.3に別解も追加

2020/5/31 教科書に合わせてラグランジュの未定乗数法の符号を変更

2020/6/7 ロピタルの定理周辺を計算重視から理論的な方向へ変更

2020/6/14 テイラーの定理の導入を追加,6.7節「関数の増大速度の比較」を独立して追加

2020/6/22 漸近展開の節に説明と例題を大幅に追加

2020/6/27 2変数関数の極限の説明を追加

2020/10/1 6章にイントロの節を追加.積分の講義を担当するのが6年ぶりなので大きく修正していきます

2020/10/2 P204下から9行目に関数f(x)が0以上の値をとるよう修正 2020/10/4 6.3節と6.4節の説明を若干丁寧なものに修正

2020/10/23 6.6節の前半を大きく加筆,広義積分に関する注意を追加

2020/12/6 102,3,5節の体裁を整えて積分順序の変更の説明を追加

2020/12/11 104節の体裁を整えて広義重積分の近似増加列の説明を追加

2021/1/26 参考文献のリストを前に移動

2021/4/19 ロピタルの定理の説明と解答例を省略しない正確なものに変更

2021/5/7 一部の図が抜けていたので修正

2021/6/27 多変数関数の合成関数の微分法を一部丁寧な解答例に修正

2021/9/21 広義積分の収束・発散の判定法の説明をより丁寧なものに更新

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目 次

関連図書 9

1章 序論 12

1 高校で学習した重要事項の復習 . . . . 12

1.1 絶対値 . . . . 12

1.2 和の公式と二項定理 . . . . 13

1.3 部分分数分解 . . . . 15

1.4 ガウス記号 . . . . 18

1.5 有名な不等式 . . . . 19

1.6 集合の記法 . . . . 20

1.7 数学的帰納法 . . . . 24

2 関数 . . . . 25

2.1 関数に関する用語と概念 . . . . 25

2.2 三角関数. . . . 26

2章 実数の集合 29 1 区間と近傍 . . . . 29

2 上限・下限 . . . . 30

3 実数の連続性 . . . . 32

3章 数列の極限 34 1 数列の極限の定義 . . . . 35

1.1 イプシロン・デルタ論法の気持ち . . . . 35

1.2 イプシロン・デルタ論法による極限の定義 . . . . 36

2 数列の極限の性質 . . . . 40

3 数列の極限の計算例 . . . . 50

3.1 等比数列の極限 . . . . 50

3.2 高校で既習である数列の極限の復習 . . . . 51

3.3 漸化式から一般項を求めるのが困難な数列の極限 その1 . . . . 54

3.4 多項式,指数関数,階乗などの増加速度の比較. . . . 56

4 級数 . . . . 58

5 有界な単調数列 . . . . 63

5.1 単調数列の定義 . . . . 63

5.2 有界な単調数列の収束性 . . . . 64

5.3 漸化式から一般項を求めるのが困難な数列の極限 その2 . . . . 67

5.4 区間縮小法 . . . . 73

6 数列に関する発展的内容 . . . . 74

6.1 数列の極限に関するさまざまな公式 . . . . 74

6.2 Bolzano-Weierstrassの定理 . . . . 77

6.3 Cauchy . . . . 79

6.4 実数の連続性再び. . . . 81

(5)

4章 関数の極限 82

1 関数の極限 . . . . 83

1.1 関数の極限の定義. . . . 83

1.2 関数の極限の性質. . . . 85

1.3 高校で既習である関数の極限の復習 . . . . 89

1.4 右極限・左極限 . . . . 90

2 連続関数. . . . 93

2.1 関数の各点における連続性. . . . 93

2.2 連続関数の定義と性質 . . . . 95

2.3 有界閉区間上の連続関数 . . . . 97

2.4 逆関数 . . . . 100

3 初等関数. . . . 101

3.1 指数関数・対数関数 . . . . 101

3.2 三角関数. . . . 103

3.3 逆三角関数 . . . . 105

3.4 双曲線関数 . . . . 108

4 関数の一様連続性 . . . . 110

5 章末問題. . . . 114

5章 微分法 115 1 微分の定義と性質 . . . . 116

1.1 微分係数の定義 . . . . 116

1.2 導関数の定義 . . . . 120

1.3 導関数の性質 . . . . 121

2 初等関数の微分 . . . . 125

2.1 初等関数の微分公式 . . . . 125

2.2 対数微分法 . . . . 128

2.3 パラメータ表示された関数の導関数 . . . . 129

3 具体的な微分の計算例 . . . . 130

3.1 公式を利用した導関数の計算 . . . . 130

3.2 定義に基づいた微分可能性の判定 . . . . 134

3.3 微分法の応用その1:接線の方程式と1次近似計算 . . . . 137

4 高次導関数 . . . . 138

4.1 高次導関数とCn級関数 . . . . 138

4.2 Leibnizの公式 . . . . 141

4.3 n次導関数の計算例 . . . . 143

4.4 漸化式を利用したn次微分係数の計算 . . . . 145

5 平均値の定理とその応用 . . . . 147

5.1 平均値の定理 . . . . 147

5.2 微分法の応用その2:関数の増減と凹凸. . . . 150

5.3 微分法の応用その3Newton. . . . 157

5.4 微分法の応用その4:不定形の極限(l’Hospitalの定理) . . . . 159

5.5 微分法の応用その5:微分法の方程式・不等式への応用 . . . . 169

6 Taylorの定理とその応用 . . . . 173

6.1 Taylorの定理 . . . . 173

6.2 微分法の応用その6:誤差評価付きの近似値の計算 . . . . 179

6.3 漸近展開. . . . 182

6.4 微分法の応用その7:漸近展開を利用した不定形の極限の計算例 . . . . 187

6.5 微分法の応用その8:漸近展開による極大・極小の判定 . . . . 193

6.6 関数のテイラー展開 . . . . 197

(6)

6.7 関数の増大速度の比較 . . . . 203

7 章末問題. . . . 205

6章 積分法 206 1 大学数学における積分論のイントロダクション. . . . 207

2 積分の定義と性質 . . . . 208

2.1 Riemann和による定積分の定義 . . . . 208

2.2 定義に基づいた積分の計算例 . . . . 211

2.3 積分の性質その1 . . . . 214

2.4 積分可能であるための条件. . . . 216

2.5 連続関数の積分 . . . . 222

2.6 積分の性質その2 . . . . 224

3 不定積分と微分積分学の基本公式 . . . . 227

3.1 不定積分と原始関数 . . . . 227

3.2 微分積分学の基本公式 . . . . 232

3.3 部分積分法・置換積分法 . . . . 234

3.4 基本的な不定積分の公式 . . . . 236

4 不定積分・定積分の具体的な計算例 . . . . 238

4.1 不定積分の公式の利用 . . . . 238

4.2 区分求積法 . . . . 243

4.3 定積分と不等式 . . . . 244

4.4 漸化式を用いた積分計算 . . . . 247

5 有理関数の積分 . . . . 250

5.1 有理関数の定義 . . . . 250

5.2 有理関数の積分1(基本編) . . . . 251

5.3 有理関数の積分2(部分分数分解) . . . . 254

5.4 三角関数に関する有理式の積分 . . . . 257

5.5 根号や累乗根を含む関数の積分 . . . . 260

6 広義積分. . . . 264

6.1 広義積分の定義 . . . . 264

6.2 広義積分の計算例. . . . 265

6.3 広義積分に関する注意 . . . . 270

6.4 広義積分の置換積分 . . . . 275

6.5 広義積分の収束・発散の判定法1:比較判定法 . . . . 277

6.6 広義積分の収束・発散の判定法2:被積分関数が非有界の場合の関数の無限大の比較 . . . . 283

6.7 広義積分の収束・発散の判定法3:積分区間が非有界の場合の関数の無限小の比較 . . . . . 288

6.8 広義積分の収束・発散の判定例 . . . . 292

7 ガンマ関数とベータ関数 . . . . 295

7.1 ガンマ関数の定義と性質 . . . . 295

7.2 ベータ関数の定義と性質 . . . . 297

7.3 ガンマ関数・ベータ関数を応用した積分計算 . . . . 300

8 積分法の応用 . . . . 304

8.1 面積 . . . . 304

8.2 曲線の長さ . . . . 306

8.3 面積・曲線の長さの計算例. . . . 308

8.4 回転体の体積と側面積 . . . . 311

9 積分法の発展的応用 . . . . 312

9.1 有名な極限公式 . . . . 312

(7)

9.4 スツルムリウビル型微分方程式の解のなす直交系 . . . . 320

10 章末問題. . . . 327

7章 級数と関数項級数 330 1 級数の収束・発散 . . . . 331

1.1 正項級数の収束・発散の判定法 . . . . 331

1.2 絶対収束と条件収束 . . . . 339

1.3 積級数 . . . . 344

2 関数列 . . . . 346

2.1 各点収束と一様収束 . . . . 346

2.2 一様収束極限関数の性質 . . . . 349

3 関数項級数 . . . . 354

3.1 一様収束. . . . 354

3.2 項別微分・項別積分 . . . . 356

4 整級数 . . . . 359

4.1 収束半径. . . . 359

4.2 項別微分・項別積分 . . . . 364

4.3 初等関数の整級数展開 . . . . 367

4.4 常微分方程式のべき級数解. . . . 371

8章 多変数関数の極限 372 1 ユークリッド空間の位相 . . . . 373

1.1 座標平面の開集合・閉集合. . . . 373

1.2 Rn の開集合・閉集合. . . . 380

2 2変数関数の極限 . . . . 381

2.1 2変数関数の定義とそのグラフ . . . . 381

2.2 2変数関数の極限の定義と性質 . . . . 382

2.3 2変数関数の極限の計算例 . . . . 384

2.4 2変数関数の累次極限 . . . . 388

3 多変数連続関数とその性質 . . . . 390

3.1 2変数関数の各点での連続性 . . . . 390

3.2 2変数関数の連続性 . . . . 391

4 章末問題. . . . 395

9章 偏微分法 396 1 偏微分の定義と計算 . . . . 397

1.1 偏微分可能の定義. . . . 397

1.2 偏微分の計算例 . . . . 399

2 全微分の定義と接平面の方程式 . . . . 403

2.1 全微分可能性と全微分 . . . . 403

2.2 全微分と接平面の計算例 . . . . 408

3 高階偏導関数 . . . . 415

3.1 高階偏導関数の定義 . . . . 415

3.2 高階偏導関数の計算例 . . . . 417

4 合成関数の微分法 . . . . 420

5 Taylorの定理 . . . . 426

6 2変数関数の極値 . . . . 429

6.1 2変数関数の極値の定義 . . . . 429

6.2 2次形式 . . . . 431

6.3 Hesse行列を用いた極大・極小の判定法. . . . 433

(8)

6.4 極値の計算例 . . . . 435

7 陰関数 . . . . 440

7.1 陰関数定理 . . . . 440

7.2 陰関数に関する種々の計算例 . . . . 444

8 条件つき極値問題 . . . . 449

8.1 Lagrangeの未定乗数法の意味と証明 . . . . 449

8.2 条件式が定める図形が有界閉集合である場合の最大値・最小値の計算例 . . . . 456

8.3 条件つき極値問題および非有界閉集合上の最大値・最小値の計算例 . . . . 462

8.4 条件式が特異点をもつ場合の極値問題の計算例. . . . 468

8.5 縁付きヘッセ行列式を用いた条件つき極値の判定法 . . . . 469

8.6 点と直線・点と平面の距離公式 . . . . 473

9 3変数以上の関数の極値 . . . . 475

10 章末問題. . . . 482

10章 重積分 484 1 2重積分の定義と性質. . . . 485

1.1 区間上の2重積分. . . . 485

1.2 区間上の2重積分の計算例. . . . 490

1.3 一般の集合上の2重積分 . . . . 492

1.4 縦線集合上の2重積分の計算例 . . . . 496

1.5 積分順序の変更 . . . . 499

1.6 積分順序の変更を利用した累次積分の計算例 . . . . 500

2 2重積分の変数変換 . . . . 502

2.1 行列式とその幾何学的意味. . . . 502

2.2 ヤコビアン . . . . 503

2.3 変数変換公式 . . . . 506

2.4 極座標変換(円の中心が原点の場合) . . . . 508

2.5 極座標変換の計算例1(円の中心が原点の場合). . . . 509

2.6 極座標変換(円の中心が原点でない場合) . . . . 512

2.7 極座標変換の計算例2(円の中心が原点でない場合) . . . . 513

2.8 一般の変数変換を利用した2重積分の計算例 . . . . 516

3 n重積分 . . . . 521

3.1 3重積分の定義と計算 . . . . 521

3.2 3重積分の変数変換 . . . . 525

3.3 3重積分の計算例 . . . . 528

3.4 球と楕円体の体積. . . . 533

4 広義重積分 . . . . 536

4.1 定符号関数の広義重積分 . . . . 536

4.2 定符号関数の広義重積分の計算例 . . . . 538

4.3 ガンマ関数とベータ関数の関係 . . . . 544

4.4 定符号でない関数の広義2重積分 . . . . 545

5 重積分の応用 . . . . 549

5.1 体積 . . . . 549

5.2 曲面積 . . . . 554

5.3 回転体の側面積 . . . . 559

5.4 図形の重心と回転体の体積. . . . 560

6 積分記号下の微積分 . . . . 565

6.1 被積分関数にパラメータを含む定積分の微分積分 . . . . 565

(9)

関連図書

[1] 足立俊明,数学レクチャーノート入門編1微分積分学I,培風館,1997 [2] 足立俊明,数学レクチャーノート入門編2微分積分学II,培風館,1998

[3] 金子晃,ライブラリ理工新数学T1 数理系のための基礎と応用 微分積分Iー理論を中心にー,サイエンス社,

2000.

[4] 金子晃,ライブラリ理工新数学T2 数理系のための基礎と応用 微分積分II ー理論を中心にー,サイエンス 社,2001.

[5] 宮島静雄,微分積分学I1変数の微分積分ー,共立出版,2003.

[6] 宮島静雄,微分積分学IIー多変数の微分積分ー,共立出版,2003.

[7] 杉浦光夫,基礎数学2 解析入門I,東京大学出版会,1980.

[8] 杉浦光夫,基礎数学3 解析入門II,東京大学出版会,1985.

[9] 笠原晧司,復刊 対話・微分積分学 数学解析へのいざない,現代科学社,2006.

[10] 野村隆昭,微分積分学講義,共立出版,2013.

[11] 鈴木晋一,ライブラリ新数学大系E1集合と位相への入門ーユークリッド空間の位相ー,サイエンス社,2003 [12] 鈴木晋一,ライブラリ演習新数学大系S1理工基礎 演習 集合と位相,サイエンス社,2005

[13] 金子晃,ライブラリ数理・情報系の数学講義-1数理基礎論講義ー論理・集合・位相ー,サイエンス社,2010 [14] 原惟行・松永秀章,イプシロン・デルタ論法 完全攻略,共立出版,2011

[15] 杉浦光夫 他,基礎数学7解析演習,東京大学出版会,1989.

[16] 福田安蔵 他,詳解微積分学演習I,共立出版,1960.

[17] 福田安蔵 他,詳解微積分学演習II,共立出版,1963.

[18] 塹江誠夫,詳説演習微分積分学,培風館,1979.

[19] 寺田文行・坂田ひろし,新版 演習数学ライブラリ 2新版 演習微分積分,サイエンス社,2009.

[20] 金子晃,ライブラリ数理・情報系の数学講義-別巻2 基礎演習 微分積分,サイエンス社,2012.

[21] 千葉逸人,工学部で学ぶ数学 新装版,プレアデス出版,2009.

[22] 新井朝雄,現代ベクトル解析の原理と応用,共立出版,2006.

[23] 笠原晧司,改訂増補 線型代数と固有値問題 ースペクトル分解を中心にー,現代科学社,2004.

[24] 神永正博,「超」入門 微分積分(ブルーバックス),講談社,2012.

[25] 佐々木淳,図解 かけ算とわり算で面白いほどわかる微分積分,ソーテック社,2020.

[26] 川添充・岡本 真彦,思考ツールとしての数学 第2版,共立出版,2021.

(10)

[27] 溝口宣夫 他,理工系の微分・積分,学術図書出版社,1998 [28] 微分・積分の要点と演習,室蘭工業大学数理科学講座,2009.

[29] 数見哲也 他,理工系新課程 微分積分 改訂版,培風館,2011.

[30] 三宅敏恒,入門微分積分,培風館,1992

自分が所有している参考図書を紹介します.

[1]〜[10]

 総合的な微分積分学の教科書で,いずれもイプシロン・デルタ論法に基づいた記述がされています.

[1, 2]は薄い本ながら図も多く説明も丁寧で読みやすくまとまっています.n変数の極値問題や逆関数定

理のみでなく,関数項級数や項別微分・項別積分まで扱っているので,講義内容を発展させた内容を把握す るのに適した本だと思います.

[3, 4]は分かりやすい言葉で新しい概念の導入の説明がされており,講義中の冗談のようなものも交えな

がら印象に残る説明をしているのが特徴です.n変数の極値問題や一様収束性,線積分と面積分に節を割い ており,またMathematicaを用いた計算演習までまで扱っているので,こちらも講義内容を発展させた内 容を把握するのに勧めます.この手の本にしては演習問題の解答が詳しく述べてあり,また著者のHPで誤 植訂正が定期的に更新されているので自習にはかなり適していると言えます.

[5, 6]は多変数関数の全微分をフレシェ微分として捉え,n変数関数の極値問題や複数個の拘束条件下で

のラグランジュの未定乗数法を解説しています.また,実数の構成法を述べたり,多重積分の変数変換の証 明に約20ページを割いて厳密な証明を与えているのも特徴です.ただ,単純な計算例は少ないので,ある 程度理論を理解した学生向きです.

[7, 8]はかなり分厚い本で,これに書いてあることが理解できればもう微分積分で困ることはないという

くらい多くの話題を扱っています.そのため数学科以外の学生は最初からきっちり読むと息切れするかもし れないので,必要な部分を辞典のように使うのも良いかもしれません.

[9]はそのタイトルの通り対話形式の本で,学生が疑問に思うようなことを丁寧に解説しています.口語 体の文章で本質をうまく説明しているので,「講義では誤魔化されたところが気になる」とか「なぜそのよう な概念を定義し,それについて考察するのか知りたい」といった,数学に興味がある学生にはお勧めです.

[10]は新しめの本で手に入れやすく,集合の記法やイプシロン・デルタ論法から説明し1冊にまとめてあ る本で価格的にもお手頃です.特に3変数関数で2個の条件がある場合の条件付き極値問題など陰関数定理 の周辺の記述が特に丁寧です.計算例も結構載っているので,問題集とセットなら1冊でかなりの範囲がカ バーできると思います.ただ,重積分の応用としての体積や曲面積の単元などは手薄です.

[11]〜[14]

 講義ではあまり時間を割けないが,基礎を理解するために必要な内容を補うのに適切な本です.

[11, 12]は実数の構成からRn の開集合・閉集合までを詳しく解説し,さらに発展的な内容として距離空

間・位相空間まで説明してある参考書と演習書です.いずれの練習問題にも解説がついているので,自学自 習するのに適切だと思います.集合論の基礎を厳密に扱い,通常の講義では証明まで扱わない定理(連続関 数に関する中間値の定理や最大値・最小値の定理など)にも正確な証明を与えているので,手元にあると理 解が深まると思います.

[13]も集合論や位相空間について解説してある本です.これらに加えて論理学についても解説されており,

一冊で盛りだくさんの内容を扱っています.とりあえず数学科以外の学生ならばこの一冊があれば大丈夫か もしれません.

[14]はイプシロン・デルタ論法に内容を絞って解説してある本です.多くの具体的な例題について完全な 証明や学生が陥りやすい誤答例を挙げながら解説してあります.イプシロン・デルタ論法は講義を聞いたり

(11)

[15][19]

 総合的な微分積分学の演習書で,多くの計算問題・証明問題を扱っています.

[19]は最近改訂された2色刷りの演習書で見やすいため,解説の内容が丁寧なので何か一冊通して演習し たいなら向いているかもしれません.ただし,2変数関数の極限の部分の内容に重大な誤りを含むので注意 してください.

[20]も最近改訂された2色刷りの演習書で見やすいです.ちょっと重積分の単元が薄いのが難点ですが,

こちらも何か一冊通して演習したい学生に向いています.

[21]〜[23]

 微分積分学に限らず,数学全体あるいは各テーマに沿った,読みやすく有用だと私自身が思う参考書です.

[21]は微分積分や線形代数に限らず,微分方程式やフーリエ・ラプラス変換など工学部で必要となる数学 をまとめたもので,2年以降に学ぶ内容もほぼ網羅されています.自学自習できるよう丁寧に書かれている ので,大学院への進学を考えている人はいずれ読んでみることを勧めます.ただし,1年で習う微分積分は 巻末にまとまってはいますが,すでに理解しているという前提で書かれているので注意してください.

[22]は線形数学の知識と微分積分学の知識をうまく融合してベクトル解析の分野を解説してある本です.

この著者による本はすべて説明が丁寧なのが特徴です.

[23]はタイトルの通り固有値問題とその応用についてかなり詳しく扱っています.この本が読めれば工学 部などの応用系において線形代数で困ることはもうありません.極値問題と実対称行列の関係など応用面の 話題を多く扱っています.

[24]〜[26]

 工学部向けあるいは文系向けに,数学の概念や数学がどのように応用されるかを概説してある参考書です.

もちろん厳密性を犠牲にしている部分はありますが,微分積分に限らず数学全般の考え方とその応用につい て概観できるので,導入としていずれの本も適していると思います.もし数学に苦手意識をもっていたり,

計算はできるけど式の意味は正直よく分かっていないと感じているなどの場合には特にお勧めです.

[27]〜[30]

 これまでの講義で使用した教科書および演習書です.

(12)

1

序論

1

高校で学習した重要事項の復習

1.1 絶対値

定義1.1. (絶対値)

 実数xの絶対値|x|を次で定める.

|x|=

( x (x0)

x (x <0)

絶対値の定義から,実数x, y に対して

|x|0, | −x|=|x|, |x|2=x2, |x| |y|=|xy|, −|x|x|x| などが成り立つことが確かめられる.また,特に重要な性質は次の不等式である.

命題1.2. (三角不等式)

 任意の実数a, b に対して,次の不等式が成り立つ.

|a+b||a|+|b| 証明.  両辺とも0以上であるから,2乗して考えると

(右辺)2(左辺)2= (|a|+|b|)2− |a+b|2

=|a|2+ 2|a| |b|+|b|2(a+b)2

=a2+ 2|ab|+b2(a2+ 2ab+b2)

= 2 |ab| −ab

0 よって,求める不等式が成り立つ.

練習問題1.1.  次の方程式・不等式を解け.

(1) |x+ 2|= 4 (2) |2x5|>3 (3) |3x+ 5|4

(4) |2x+ 1|= 3x (5) |2x4|x (6) |x+ 1|+|2x3|<6

練習問題1.2. (三角不等式)

 任意の実数a, b に対して,次の不等式が成り立つことを示せ.

|a| − |b| a+b (1.1)

(13)

1.2 和の公式と二項定理

ここでは高校数学Bで学習した和の公式と二項定理について述べておく.証明は繰り返さないので,高校の教 科書を参照すること.

命題1.3.  任意の自然数n に対して,次の等式が成り立つ.ただし,r= 1\ とする Xn

k=1

1 =n,

Xn k=1

k= n(n+ 1)

2 ,

Xn k=1

k2= n(n+ 1)(2n+ 1) 6

Xn k=1

k3=

n(n+ 1) 2

2

,

Xn k=1

rk1= rn1 r1

命題1.4. (二項定理)

 実数a, b と自然数n に対して,次の等式が成り立つ.

(a+b)n = Xn k=0

nCkankbk

=nC0an+nC1an1b+nC2an2b2+· · ·+nCn1abn1+nCnbn ここで,nCk = n!

k!(nk)! を二項係数という.ただし

0! = 1, n! =n·(n1)· · · · ·2·1 (n1) である.

注意1.5.  階乗の記号において,0! = 0と勘違いしやすいので注意すること.

二項係数に関しては次の公式が有名である.

命題1.6.  二項係数 nCk について,次が成り立つ.ただし,n2, k1 とする.

(1) knCk =nn1Ck1 (2) n1Ck+n1Ck1=nCk

証明.  二項係数の意味やパスカルの三角形からもわかるが,ここでは直接計算によって示す.

(1) knCk =k· n!

k!(nk)! = n·(n1)!

(k1)!(nk)!

=n· (n1)!

(k1)!{(n1)(k1)}! =nn1Ck1

(2)

n1Ck+n1Ck1= (n1)!

k!(n1k)! + (n1)!

(k1)!(nk)!

= (nk)·(n1)!

k!(nk)! + k·(n1)!

k!(nk)!

= n·(n1)!

k!(nk)!

= n!

k!(nk)! =nCk

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