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資本コスト概念の再検討

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Academic year: 2021

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(1)

− D

・ デ ュ ラ ン ド 教 授 の 所 説 を 中 心 と し て

序    論

一︑資本コスト概念変更の基鐙

二︑証券評価の問題

三︑資本コストの測定

資本コスト概念の再橡討

八九

(2)

E

設備投資総額の決定︑設備資金調達源泉の選択など企業財務管理の重要諸分野において︑資本コストは不可欠の役

ワ 臼

割を演ずる可かくて多くの論者によって︑資本コストの意義や測定法が検討されてきている叫しかしそこでかんがえ

られている資本コスト概念は︑かならずしもかかる企業財務の重要問題の正しい解決にとって十分なものとはいえな

t"¥ 

たとえば︑社債資本コストについては大低の論者は社債の利回りを︑また普通株資本コストについては配当利回り

U

S B E g

目 玉 ︒

0

s

t Q

をそれぞれかんがえている︒このうち普通株資本もしくはア

l

ニングズ・プライス・レシオ

コストをア

l

ニングズ・プライス・レシオとする見解はともかくとして︑資本支出管理の立場からみれば︑社債と普

通株の資本コストをそれぞれの利回りとかんがえる傾向には疑問の余地がある︒

そのような考え万は換言すればー社債と普通株のそれぞれによる調達資本によって︑たとえばこれを設備投資にも

ちいたばあいかかる設備投資によって︑すくなくともそれぞれの利回りに相当する利益だけはこれを絶対に獲得すべ

きことを意味する︒しかしながら社債のばあい︑その利回りに相当する利益をあげたとしても負債の増加は普通株資

本の負担危険を増大せしめ︑かくて普通株市価は下落する可能性をもっ︒また普通株のばあい︑その配当利回りに相

当する利益をあげたとしても利益の増加割合より株式数の増加割合が大であれば普通株一株あたり利益は低下し︑普

(3)

通株市価は下落する可能性をもっ︒かかる普通株市価の下落は将来の資本調達政策上さげられなければならぬことは

当然であるから︑それぞれの利回りに相当する利益をあげるだけでは十分でない︒したがってそれぞれの利回りをも

って︑社債と株式の資本コストとかんが加えることは適切でないのである︒むしろ資本調達後の普通株市価をすくなく

とも調達以前と同一に維持しうるだけの利益率を︑調達資本のコストとかんがえる方が適切なのである︒本稿はこの

ような資本コスト概念を︑米国マサチユセッツ工科大学の

D

・デュランド教授の論攻によりつつ紹介しようとするも

円 ︒

なお普通株資本コストをア

l

ニングズ・プライス・レシオとする見解について一言しておこう口これはジョウル・

l

ンおよび

R

p

l

ルにみられる見解であるが︑ディ

l

iニングズ・︒フライス・レシオとソ

l

l

ニングズ・プライス・レシオは若干内容を異にしている︒すなわち︑ディ

l

ンのばあいは一株あたり将来利益と新

株発行価格との比率としてかんがえられているのにたいし︑ソiルのばあいは一株あたり現存利益と新株発行価格と

の比率としてかんがえられているからである︒しかし︑ここでつぎのような事実に注意しなければならない︒それは

普通株資本コストをこのようにかんがえることは結局新株発万後の普通株一株あたり利益をすくなくとも発行前と同

4一に維持すべきであるという立場にたつことになるのであるが︑しかし両者とも普通株価値を同一に維持すべきであ

るという立場にたつものでないということである︒普通株の発行による資本調達は株主負担危険を増大せしめないた

め利益さえ同一に維持されれば普通株価値は当然同一に維持されるため︑かかる異なる基本的立場から同一の普通株

資本コスト概念が引き出されているのにすぎないのである︒このことはディ

i

ンもソ

l

ルもともに社債資本コストを

社債利回りとかんがえていることによって証明することができる︒したがってデュランドは︑ディlンおよびソl

とまったく異なった観点から資本コスト概念を導出しているのである︒以下このような観点から出発してデュランド

資本コスト概念の再検討

(4)

の所説を紹介・検討してみようc

ω

資本コストが設備投資総額の決定にさいして有する意義については︑ディ1ンの考え方を紹介したつぎの拙稿を参照︒

﹁資本的支出にかんする投下資本利益率の意義と測定法﹂(経営と経済︑第三九年第二冊第八O

)

( 2 )  

染谷恭次郎稿︑L(産業経理︑第一入巻第一

O

) D

稿

稿

﹁資本調達源泉と資本原価﹂ (イングエストメシト︑昭和三三年入︑九月合併号)︒

()

( )

高瀬荘太郎編︑﹁資本蓄積と会社経営﹂

ωwω

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H c o o

( )

( 3 )  

染谷恭次郎︑同稿︑四一頁︒

河野豊弘︑前掲書︑=二五頁︒たとえばつぎのような算式を掲げておられるD 稿(会計︑第七一巻第四号︑入五頁

) D

NUU2H

出司監1

4 4

鴻才師ゆH

+

O

P

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日 仏 wu

ω

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凶 ロ

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内 回・ ・

同 ︼・ 九

円 ︒

( 4 )  

染谷恭次郎︑同稿︑三九頁D

(5)

占部都美︑同稿︑八六頁口

河野豊弘︑前掲吾︑三二三具︒たとえばつぎのような算式を掲げておられる︒

uu

H H諒出σ

W C H

3

1

44

糊沼

: H l

( 5 )  

染谷恭次部︑同稿︑四O

頁 ︒

稿

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0

・ ロ) 山

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Uω

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E

?

ω

( 6 )  

mW 4E σω

ρ

ω

O

ZO

BP

Zω

ω

OB

r

FωN

なお乙の論文はつぎの論文集に牧録されている︒

叶 } ︼

O

ωg

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Bg

件︒同わ︒弓︒

sz

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HU

FE

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N

Bm

o

B

85

印 む

( 7 )  

いま︑ある会社の既発行株数をn︑現存利益をp︑将来利益をF︑新株発行数を

ω

︑新株発行調達資本の運用によってえ

られる追加利益を町︑新株発行総価格を必とすれば︑デイ1

1ルの普通株資本コストはそれぞれつぎのように表示

することができる︒(ただし新株発行費用は無視する

) D

+h

v

+hv

h v h v h v

かかる資本コスト概念を採用するということは︑すくなくともこれ以上の利益率を調達資本によってあげねばならないと

かんが与えることであるからそれぞれつぎのような関係式をうるD

資本コスト概念の再検討

(6)

+ h V

ー 引 い 町 利 引 ー 八

﹂ 同

l i

i l l

ロ h v

11

11

pl

l

b

炉開

l h v

h v ロ

h v

+ h V

これらはともに総利益の増加割合がすくなくとも株式数の僧加割合以上でなければならないこと︑換言すれば新株発行後

の一株あたり将来もしくは現在利益がすくなくとも発行以前と同一に維持されねばならぬ乙とを意味するD

h v ロ

+ h

v

1

デュランドにおけるこのような一見革新的ともおもわれる資本コスト概念は︑

かれの同様に革新的な企業投資理論 さらにかれのそのような企業投資理論は一層根本的に企業家の行動にかんする特定の経済理論

に根差すものであり︑

に立脚しているのである︒したがって︑デュランドの資本コスト概念を理解するためには︑かれの企業家行動にかん

する経済理論にまで湖らねばならない︒

( 一 )

通常︑企業家の行動をみちびく根本原理は﹁所得の極大化﹂

B m

M

N

Em

この根

本原理から企業家行動の諸領域にかんする経済理論が形成されるのであるが︑デュランドはかかる根本原理を﹁所得

の極大化﹂でなく﹁投資価値﹂

ZS

B

O E g z o

の極大化にもとめるのである︒ここでかれのいう投資価値とは︑

(7)

﹁企業家が将来うる所得の割引価値﹂

唱 ‑

5 0

門戸山ω

8 5

M g

ι g

z o

h

E2

pz

gz

︒ ︒

B

円である︒したがってかれによ

れば︑企業家は所得を極大化するように行動するのではなく︑

行動するのである︒ このような意味での﹁投資価値﹂を極大化するように

かれにおけるこのような企業家行動の基礎理論の変更は︑企業家が自己にとって最も有利な行動を決定しようとす

るばあい従来の所得極大化原理によっては大部分の問題を正しく解決できない乙とにもとづくのである︒一層具体的

にいえば︑選択対象たる各行動が生みだす将来所得が変動するものと期待されるばあいには︑所得極大化原理は選択

原但としてはまったく無意味であるということである︒かれは

ζ

のことをつぎのような仮設例をもちいて説明してい

る︒いま︑ある企業家が自分の事業を二つの方法

A ・ B

によって経営することが可能であるとしよう︒さらに

A

れば永久に毎年六︑

0 0

Bによれば永久に毎年一万ドルの利益をそれぞれあげうることがたしかであるとす

る︒このようなばあいには︑所得極大化原理が十分意味をもってきて当然に

B

を選訳することになる︒しかしいま︑

企業家がもう一つの方法によっても経営が可能であり︑しかもこの方法によれば第一年自に七︑000ドル︑第二年

自に九︑000

そして第三年目以降は毎年一

O

︑五

0

0ドルづつの利益をあげうることがたしかであるとす

る︒このようなばあいには︑所得極大化原理が意味をもつのは

A

B

C

との比較によって

B

C

を選択するばあい

さらに

B

C

のうちいづれを選訳すべきかにさいしてはまったく意味をもたなくなるのである︒

とを示唆するのである︒すなわちこのようなばあい︑ ここでデュランドは︑かかる問題を解決するために所得極大化原理と挟別して投資価値極大化原理に移行すべきこ

B

法と

C

法のそれぞれを採用したばあいのこの企業家の所有す

る企業の投資価値をもとめさらに両者を比較することにより︑かかる投資価値を大ならしめる万の経営方法の採用を

決定すればよいとするのである︒投資価値の決定が可能であるためには割引率またはその他の時間選好の指数宮島民

資本コスト概念の再検討

(8)

i l l

一 ¥ ! '

三 法

一 法

B一C

7 i

高山

nq

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i

1

6 5 7

2 0 3   832 

1 4 4

5 1 4

1 2 5

8 3 2   1 1 1

3 1 4   C  法

1 4 2

5 8 7 ド

J

1 1 1

1 1 1   1 2 5

0 0 0  

ll

i Q U Q d n u 1

︒ 同

ZB

O

288

を決定しなければならないが︑もしかかる指数が決定される

ならばそれによって将来の所得を割引くことにより容易に投資価値を計算すること

‑289 

いま︑任意に四つの割引率をとって︑それぞれの割引率における

B

法と

C

法を採用したばあいのこの企業の投資価値︑および両者の大きさの比較をしめせ

QU  

ば上表のととくなる︒この表によって︑

B

O

パーセントおよびそれ以上の割

9 9

7 1 1  

C

法は九パーセントおよびそれ以下の割

引率においては

B

法より有利である乙とが判定されるのである︒ 引率においては

C

法より有利であり︑

このように︑デュランドは企業家の経済的行動にかんする根本原理を所得極大化

原理から投資価値極大化原理に変更するのであるが︑このような変更は当然に企業

1 0 0

0 0 0  

家行動の諸領域にかんする経済理論にまで波及し︑したがってまた企業投資理論も

修正を蒙ることになるのである︒企業投資理論はつぎのように変更される︒すなわ

ち︑企業家は自己の企業の総利益を極大ならしめるととくに投資量を決定するので

はなく︑自己の企業の投資価値を極大ならしめるととくに投資量を決定する︑と︒

一般の企業投資理論が所得極大化原理を基礎となし企業総利益を極大ならしめる

ように投資総量を決定しようとしていることは︑ディ

l

ンが資本予算の問題に限界原理を適用し︑資本支出の限界単

位について投下資本利益率と資本コストを比較し両者がひとしくなる額まで投資をおこなうべきである︑という基本

A思考をとっていることによっても知ることができる4デュランドは投資量決定問題の解決にさいして︑このような所

それにかわって投資価値極大化原理に基礎をおくアプローチを採用得極大化原理に基礎をおくアプローチを放棄し︑

(9)

いま︑しばらく︑デュランドのこのような投資量決定問題にたいするアプローチの変更が︑

Fhu どのような内容と意味をもつものであるかについて考察してみる乙とにする︒ しようとするのである︒

デュランドは︑まず通常の投資量決定の理論の考察から出発し︑その矛盾を指摘し︑かかる矛盾を克服するものと

して投資価値極大化原理を基礎とする投資量決定の理論をしめす︒所得極大化原理を基礎とする常通の投資量決定理

論は︑資本の限界利益

5 2 m g

ZE

g ‑

が利子率はひとしくなるまで企業の拡張が進行することを指摘

向 ︒

する︒このような理論は第一図によって説明することができるc

総.;JJ

1

1 1

t空除前の

一白一一‑‑~!I.麻利益

f 干、

/1 字~,、、、、

¥、

i l

A.

第一図において︑限界利益曲線は投資量と投資量の限界単位が将来生み

r

す利

員産

益率との関係をしめすものであり︑企業家は牧益性の高い投資項目の順に投資す

るものとかんがえられるから︑投資量の増大につれて下降する曲線としてしめさ

れる︒限界投資がうみだす純益率は︑限界利益山線と利子曲線との間隔によって

しめされるから︑んまで投資したばあいの利子額控除後の総利益は従軸︑利子曲

線︑んを通過する垂線および限界利益曲線によって固まれる面積によってしめさ

1

) 1

れる︒このような面積の大きさを投資量との関係においてしめした曲線が総利益

このような面積としてかんがえられた総利益は限界利益曲線と利子

曲線が交わる額まで投資をおこなったばあいに極大となるから︑総利益曲線は当

然にかかる投資量において頂点に達する︒かくして所得極大化原理を基礎とする投資量決定理論によれば︑投資量は

総利益曲線の頂点に対応する額に決定されることになる︒

さてデュランドはここで︑このような所得極大化原理にもとづく投資量決定の理論は︑つぎのような条件がみたさ

資本コスト概念の再検討

(10)

J ¥

れないかぎり無意味であるとしてこれを批判するのである︒すなわち︑川限界投資の生みだす利益の大︑さきが将来

iの各年度において不変であること︒および

ω

そのような大きさの利益の発生が確実であること吋その理由はこうで

ある︒まず

ω

に関連して説明すれば︑もし限界利益曲線が各限界投資の将来利益の算術平均と投資額との比率をしめ

すようなもので将来利益のタイム・パターンを織り込んでいないならば︑そのような限界利益曲線にもと事ついて計算

された総利益も同様にタイム・パターンを反映せず︑極大総利益も真の極大総利益を反映しないからである︒実は︑

デュランドのかんが担えている限界利益曲線とはかれの行論から推定するとそのようなものなのである︒また

ω

に関連

して説明すれば︑限界利益が利子率にひとしくなるまで企業を拡張し企業の総利益が極大となったとしても︑もしか

かる拡張資金をかりに他人資本によって賄ったばあいには企業所有者たる企業家(株主)は拡張以前にくらべて一層

大きな危険を負担することになり︑このような危険負担の増大はかかる極大総利益の発生の確実性を低下せしめるの

で企業家にとってそのような投資量はもっとも好ましい状態をもたらさないとかんがえられるからで応る︒ところで

このような二つの条件は特定のばあいにおいてのみみたされるにすぎない︒したがって︑所得極大化原理に基礎をお

く投資量決定理論は特定のばあいにしかあてはまらないという欠陥をもっ︒

かくて問題は︑各限界投資が企業家にたいしてうみだす将来利益の変動性の問題と︑ある投資額が企業家にたいし

てもたらす危険性の問題を︑どのように投資量決定理論のなかにとりいれてゆくかということになるわけである︒

乙でデュランドは︑乙の二つの問題をつぎのような方法をもちいることによって一挙に解決しようとするのである︒

すなわち︑拡張前の企業総利益と各投資量が将来においてこれに追加すると予想される総利益の合計を︑企業家が各

投資量によって負担せしめられる危険増加を反映する各割引率によって割引き︑各投資量に対応する企業の投資価値

を算出してゆくという方法である︒

このような方法によってえられる企業の投資価値と投資量との関係をしめ

(11)

す曲線を投資価値曲線とよぷとすれば︑そのような投資価値曲線の頂点に対応する額に投資量が決定されることにな

る︒これがデュランドの投資価値極大化原理に基礎をおく投資量決定の理論である︒これを企業家の立場からいえば

企業家はこのようにしてもとめた企業投資価値を極大ならしめる点に投資量を決定しなければならないことになる︒

(~)

かかる投資価値極大化原理にもとづく投資決定思考が︑企業財務の実際においてはどのようなかたちをと

るかについて︑数字をつかって具体的に説明してみることにするD

いま︑第一表にかかげたような貸借対照表と損益計算書を仮定し︑これらが相互によく知りあっている少数の企業

所有者によって所有されている同族会社の営業状態をしめすものと仮定しよう︒きて︑このような会社が利息四パ

l

セントの社債の発行による一︑

000

万ドルの設備投資計画をもっぱあい︑かかる設備投資が将来毎年八O万ドルの

利益を生みだすものと予想されるばあいには︑このような投資計画は採用されるべきか棄却されるべきか︒設備投資

実施前後の乙の会社の財政状態を検討してみよう︒

まず営業純益は︑予定設備投資のみについても利子額の二倍︑投資後の会社全体については利子額の八倍もあり︑

収益性の点では満足すべき状態にある︒しかし一方︑正味流動資産は︑流動資産合計額一︑四

O

O万ドルから流動負

債合計額六

O

O万ドルを控除して八

O

O万ドルであり︑社債発行総額一︑万ドルをカバーするためには二

000

00

万ドルの不足である︒したがって︑正味流動資産は長期負債をカバーしなければならないという通常の基準をみたさ

ないため︑流動性という点では不十分である︒

ところで投資銀行

E5

B

O

g

W

R

の大きな機能の一つは︑引受依頼証券について徹底的な分析をおこない購

資本コスト概念の再検討

(12)

借 方

金…………・・・………2

. 0 0 0 . 0 0 0 ドル

売掛金…..,・H'"H

. . . . . . . 5 . 0 0 0 . 0 0 0

棚卸資産……‑…....・H…7

. 0 0 0 . 0 0 0

流動資産合計………..,

1 4 . 0 0 0 . 0 0 0  

工場および設備、マイ……

1 6 . 0 0 0 . 0 0 0

ス獄価償却引当金

資産合計....・H・‑…・……・…....・H....H.

. 3 0 . 0 0 0 . 0 0 0 ドル

貸 方

雑負債……‑……・・…・・…・1

. 0 0 0 . 0 0 0 ドル

買 掛 金 ・HH....H....H

. 5 . 0 0 0 . 0 0 0

流動負債合計・・・・・・・・・・・・…

6.000.000

並道株1

. 0 0 0 . 0 0 0

..H..1

5 . 0 0 0 . 0 0 0  

(l

1 5 ドル)

9.000.000 

余金....・H..

24.000.000 

ABC

製造会社の貸借対照表

第 一 表

................

. 3 0 .  0 0 0 .  0 0 0   ドル

ABC

製造会社の損益計算書

売 上 高 . , . ・H..HH..30.000.000

ドル

売上原価…...・H

27.500.000

営業純益…・・...・HHH'"HH......H..2.500.000  配当支払額……‑…....・H・…‑………....・H....

2 . 0 0 0 . 0 0 0

剰余金振替額‑……...・H....H・‑……

5 0 0 . 0 0 0 1

株当り利益….,.・H..H'"H..H.......H...2

. 5

ドノレ

l株当り配当額………..………..,・H....H..H'"H.2

. 0 ドル

︒ ︒

入後売却すべき証券を選択することであるから︑これと同様の分析にもとやついて︑

一 OO

ABC

製造会社の設備投資後予想損益計算書

業 純 益

期………・・・…...・H

. . 2 . 5 0 0 . 0 0 0 ドル

業 純 益

計画投資による見込額…・・…・・

800.000

3.300.000 

利 息 … … … … . . . . ・H・‑……4

0 0 . 0 0 0

益・・・・・…‑…………・・・

2.900.000

ドノレ

配当額(同一配当率) ....H..….

. 2 . 0 0 0 . 0 0 0 ドル

剰余金振替可能額……....・H

. . 9 0 0 . 0 0 0 ドル

ぎりこの会社の証券を引受けようとしないであろう︒すなわち︑社債を連続償還すること︑あるいは正味流動資産が

つぎのような条項を附加しないか

(13)

社債額をカバーしないかぎり配当支払いをおこなわないこと︑という条項である︒かかる条件は︑

ABC

社の株主に

二︑三年聞にわたる配当支払中止の事態をもたらす可能性をもつことになる︒

ABC

社の株主は︑計画中の設備投資の実施によって︑一株あたり利益を二・五ドルから二・九ドルに増加せ

しめうるというプラス面をもっ一万で︑負担すべき危険が増大するというマイナス面をもつにいたる︒このような危

険負担の増大は︑社債の発行予定額が著しく多額であり︑その多額の程度がたとえ予測された利益が実現したとして

も数年間は配当支払いをうけることができずまたもし利益が急速に減退するなら会社全体の財政状態が危険にさらさ

れるほどのものであることをかえりみるなら︑容易に実感しうるものである︒したがってこの会社の株主は︑かかる

設備投資計画の採否を決定するためには︑利益の増加というプラス面と危険負担の増加というマイナス面を綜合的に

考慮する必要にせまられることになる︒したがってまた︑収益性と危険性という二つの要素を一つの数字のうちに綜

合して反映する指標を必要とすることになる︒

ここでデュランドは︑そのような指標として自社株式の投資価値をもちいようとするのである︒すなわち︑設備投

資実施の前後について自社株式の投資価値を見積って︑設備投資実施の結果自社株式の投資価値が増大すると見積ら

れるばあいにはその計画を採用し︑反対に設備投資実施の結果自社株式の投資価値が低下すると見積られるばあいに

はその計画を棄却すべきであるとするのである︒したがって株式投資価値の見積り方法は︑投資計画採否にかんする

判定の成功︑失敗を左右するひとつの重要な問題となってくるのである︒

普通株価値の見積り万法は従来より証券投資論の分野で多くの論者によって追求されてきた難問で様々の万式がし

めされているが︑デュランドは一株あたり当期利益を一定の資本化率

g

ω z g g g

ここで資本化率とは︑利益を割ることにより利益を資本化するためにもちいられるなんらかの数字で採用している︒

資本コスト概念の再検討

(14)

一種の資本還元率である︒その逆数が利益乗数

g E

E

きて資本化率決定法はさておき︑いま

ABC

社普通株の資本化率が負債ゼロのばあい一二・五パーセント(利益乗

そ(川 5

数は八倍)︑

一 ︑

000

万ドルの社債発行によってこれが一五パーセント(利益乗数は六と三分・の一一)に増犬(利益 乗数は減少)すると見積りうるなの

M

︑デュランドは設備投資実施前後の普通株価値を容易に見積りうるとしてその n u  計算法をつぎのようにしめしていもこのような見積りによって︑予定投資の実施により株主所有株式の投資価値は

0

ドルから一九・三三ドルに低下することが判明し︑したがって予定投資による利益

2 . 5 0

ドノレ

8  2 0 . 0 ド l

1

当期営業による

1

株あたり利益…..

利 益 乗 数 … …

1

株 あ た り 投 資 価 値 …

拡 張 後 の 予 想 利 益 … … μ

32

Qd

  F O  

値……・…..…

1 9 . 3 3 ドル

増加は危険負担増加をつぐなわないととが判明するので︑

かかる投資計画は棄却される

乙とになるのである︒

ところで︑設備投資計画実施の前後における普通株利益乗数の見積りが正確であると すれば︑われわれは計画実施後の自社株式投資価値をすくなくとも計画実施前と同一に 維持するためその設備投資によってあげねばならぬ最低利益率を容易に算出することが できる︒すなわち︑いまその計算についてデュランドがおこなうところをしめせば次頁 のごとくである

4この計算により︑

ABC

000

万ドルの設備投資は最低額と

して年々利子額控除後で五

O万ドル(五パーセント)利子額控除前で九O万ドル(九パ

1

セント)の利益をあげる必要をもっ乙とになるわけである︒

かくて︑もし投資計画採否の基準を会社の所得にもとめるなら︑社債利回りに相当す

る四パーセントの利益率がこの設備投資が絶対にあげねばならぬ最低利益率となる︒こ れに反してもし投資計画採否の基準を会社の投資価値にもとめるなら︑株式投資価値を

(15)

20.00

ドノレ

0̲15  3̲00  3

000

000  2

500

000  500

000  400

000  900

000 

9% 

株式の

1

株あたり必要価値

資 本 化 率

1

株 あ た り 必 要 利 益 必 要 利 益

( 1 0 0

万株) 投 資 以 前 の 利 益 必 要 追 加 利 益 利 子 額 利 子 額 控 除 前 の 必 要 利 益 必 要 利 益 率

投資計画実施前と同一に維持するのに必要な利益率九パーセントがこの設備投資

が絶対にあげねばならぬ最低利益率となるのである︒ところでこのような最低利

益率は︑調達資金の政益性がそれ以下となれば資金を調達する意味がなくなる一

つの下限値であるから︑調達資金のコストにあたるものとかんがえることは不当

a乙の点について︑デュランドはつぎのようにのべている︒

お き

即 日

gg

gg

ωll!このばあいの九パーセント

llB

は ︑

﹁必要利益率ZMO 

ある意味で

はこの会社にとり必要資金借入れのコストである︒

それは現金払い原価

s o

ュ 5

5 1 8 ω

ll

株主が実際に

損をしないために新投資によってうみださねばならぬ最低利益率ーーである︒に

がかかる解釈は︑おそらくコストを不当なほど広義に解釈することになるかもし

れない︒それで︑このようにかんがえるかどうかは読者の自由とする︒しかし読者がどちらにきめようと︑昨今経済

学者が投資決定因にあたえる重要性により必要利益率が一つの重要な実在因子

S E 6 2 5 E g t

たることを納

得されるであろう︒もし株主を利するため新投資によりうみ︑にさねばならぬ利益額を探知できれば︑われわれがその

それによってうるところは大きいのである︒﹂本質を資本コストとあるいはなにかほかのものとかんがえようと︑

このように︑デュランドは必要利益率を調達資本にかんする一種の機会原価とかんがえるものの︑しいて資本コス

卜なる名称でよぼうとしない︒乙乙で資本コストの定義が問題となるが︑われわれの研究が財務管理の一環としての

資本コスト概念の再検討 設備投資管理の合理化をねらうものであり過去の経営成果把握のための財務会計上の問題を対象とするものでないこ

一 O

(16)

一 O 四

とから︑デュランドによって﹁必要利益率﹂とよばれるものを資本コストとよんで一向に差支えないとおもう︒実は

l

ルおよびディ

l

ンも普通株調達資本についてこのような

意味をもった必要利益率をはっきりと資本コストとよんでいるからである︒乙の点については序論で検討した︒しか

も︑デュランドの本来的意図がソ!ルおよびディ

l

ンと同一である乙とは︑本稿で紹介︑検討しつつあるかれの論文 デュランドのそれとはその基盤において大分異なるが︑

のタイトルが

z

ω

の ︒

件 ︒

U O

G

ω

g E

g ω

一 叶 円 ︒

ロ 円

ω m

σ

円 ︒

ω

o m ω

己 円

O B

O E ‑ w

っていることからも察知することができる︒なお︑デュランドは︒

U3

25

ω

g ω

昨と対比せしめるべき原価概念は︒己・え・司

2 Z H g ω

仲でなく

0 5

‑ a

出原価︑実際原価)であろう︒

g

以上の考察において︑われわれはつぎの二点を理解したのである︒すなわち︑投資価値極大化原理を基礎とする投

その計画実施前後の企業(ある

w

z g

( 支

資量決定理論にしたがうなら︑

ω

予定中の設備投資計画の採否決定にさいしては︑

いは普通株)投資価値を見積ってこの二つを比較しなければならぬこと︑

ω

設備資金のコストは︑投資計画実施後

の企業(あるいは普通株)投資価値をすくなくとも投資計画実施前のそれと同一に維持するためにその設備投資によ

ってうみださねばならぬ最低の利益率としてかんがえうること︑この二点である︒

いまかかる考え方にもとづ

U

て︑投資価値極大化原理を基礎とする投資量決定理論を再考し図解すれば前掲第一図

は第二図のととく修正される︒第二図も第一図のごとく︑資本の限界利益︑利子率︑総利益のそれぞれを表示する曲

線をふくんでいるDしかし第二図は多くの重要な点で異なっている︒第一に︑図の左端に所有者自身が提供した資産

をしめす斜線部分があり︑これは債権者が追加資産を提供しても不変であると仮定されている︒所有者の資産は利益

をうむから︑総利益曲線は借入資産ゼロの点で相当の高さにある︒

(17)

2

liiJ

w

第二に︑利子曲線は平らでなく上昇している︒その理由は︑もし

企業が多額の借入れをおこなうなら︑追加危険の負担にかんして債

権者をつぐなうために一層高い利子率を支払わねばならないからで

第三に︑図表の最上部に︑総利益を

K

という不変の割合で資本化

したばあいの価値をしめす曲線がえがかれている︒この曲線は││

Fオ有右足{字ト

a

もし企業が借入れをおこなっても危険負担が生じないなら投資価値

をしめすものであるが

il

︑当然総利益が極大に達するのと同じ点

で極大に達する︒

K

倍総利益曲線の若干下方に︑実際の投資価

値があたえられている︒借入金が存在じないばあいには︑投資価値は総利益の

K

倍でありした・がって二つの曲線は一

化されねばならない︒したがって投資価値曲線は︑ 致する︒しかし︑借入金の額とそれにともなう危険の培大につれて︑総利益は順次に高くなる資本化率をもって資本

K倍総利益曲線にそいながらそれから順次下方えむかつて遠ざか

ってゆくことになる︒当然︑投資価値曲線は

K

倍総利益曲線(したがって総利益曲線)よりはやくその極大点に到達

する口乙乙が最適拡張点

5 0

g t g

である︒もし企業の拡張がこの点をこえるならば︑企

業は一一回大きな利益を将来達成しうる可能性をもっ一方で︑拡張の過程で真実損失の危険を負担せしめられることに

なる︒それはすなわち︑株式の投資価値が下落するという乙とである︒

この図表の第四のそして最後の特徴は︑必要利益率をしめす曲線である︒図からもあきらかなように︑乙の曲線は

資本コスト概念の再検討 限界曲線である︒換言すればこの曲線は︑社債でまかなった限界投資が普通株の投資価値を維持するためにあげねば

O

参照

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