九州大学学術情報リポジトリ
Kyushu University Institutional Repository
初期たわみを有する補強長方形板の自由振動特性に 関する研究
有冨, 正男
https://doi.org/10.11501/3088186
出版情報:Kyushu University, 1991, 博士(工学), 論文博士 バージョン:
権利関係:
多宮4 主主 亨ミ忌失ブゴミ去
4.1 緒 言
第2章では, smeared out 法により直交補強板を等価な直交異方性板に置き換 え, 初期たわみを有する補強長方形板の非線形曲げ振動の基礎式を導出し, 第3 章でこの基礎式に基づき, Galerkin 法を用いて周辺固定補強長方形板の自由振 動特性を解析するためのモード方程式を誘導した. 本章では, 理論解析と同時に 行った線形振動実験と非線形振動実験の方法について述べる.
ところで, 補強板の曲げ振動に関する実験的研究は既にいくつか報告されてい る. 例えば ,Hoppmannら46・47)は全周辺が単純支持された一方向補強板の曲げ振動 実験を行い, 補強板を等価な直交異方性板に置き換えて求めた固有振動数の近似 式の妥当性を検討している. また, OlsonとHazel134)は1本および2本のリプで 補強された正方形板の振動モードをレーザ ・ ホログラフィで測定し, 同時にその 時の固有振動数を計測して有限要素法による結果と比較し,Bapu Raoら35)は1本 の補強材を有する斜交片持板の振動モードをホログラフィ干渉法で測定している.
さらに, 斎藤と山口6)は粘弾性ばりが板の振動減衰特性に及ぼす影響を, 実験と 伝達マトリックス法による解析により明らかにしており, 道本ら26・44}は一方向
の面のみ曲率を有する補強曲面板をアクリル樹脂で製作して固有振動数と振動形 を測定し, Rayleigh - Ri tz法および有限帯板法による計算結果と比較している.
しかしながら, 初期たわみの大きさが補強板の線形固有振動数と固有振動モード に及ぼす影響や, 初期たわみを有する補強板の固有振動数の振幅依存性を調査し た実験的研究はほとんど見当たらない.
本研究ではまず, エッチング加工で製作した補強正方形平板を理論解析で用い た初期たわみ曲面をもっ金型に挟んで電気炉内で加熱し, 浅い曲面を有する補強 板試験片を製作した. 次にスピーカによる音響加振法で線形振動実験を行い, 固 有振動数の測定を行うと共に, レーザ ・ ホログラフィの時間平均法による振動モ ードの測定を行い, 理論解析の妥当性を検討した. また同じ音響加振実験で, 基 本振動数と試験片中央点の振動変位を測定し, 固有振動数の振幅依存性を調査し
- 62 -
た.
本章では, この実験に用いた試験片, 装置, および測定方法全般について述べ る.
- 63 -
4.2 試験片
また表中に薄板 試験片を製作したタフピッチ銅板の材料定数を表4.1に示す.
まず試験片取付枠の全周辺国 補強板の実験に先立って,
として示した試験片は,
なお,
試 定の境界条件が実現できているかの検証実験にのみ用いた平板である.
αx b =150 mm
x150 mmの正方形である.
験片の外形寸法はすべて
試験片の材料定数
試験片の種類
h =0.6
8mm 縦弾性係数 126
E GPa ポアソン上じγ 密pg/cm3
度 簿 板h=
1.
0mm 115
0 .338. 9
6
両面対称補強板116
片面補強板 111 0.2 9
表4. 1
両面対称補強板
両面対称補強板の試験片は図4.1のように厚さH
=1.0 mmの銅板をフォトエツ
4.2.1
Ws
o d
Ws
H阿川町凶17 アLPJ
一方向有Iì強板 試験片外形(両国対称補強板)
、、E,,、b,,目、、
二方向補強板
4 .1
図
(
a)
- 64 -
チングにより腐食させ, 非補強部の厚 さhがo . 35 mmの二方向補強板とo . 37 mmの一 方向補強板を製作した. これら図4 .1 の補強板にsmeared out法を適用すれば,
補強材と非補強板との質量比pや伸び剛性比αs ,αr,αsr, 曲げ剛性比βs ,βrお よびねじり剛性比βsrは式(3.5)と式( 3. 8)より
_ Wshs Wrhr V
cγp = 2(一一一+ 一一一) 一 一一ι
dsh drh h
a bWshs wrhr
as = 2(トγ2)一一一 , αr=2(1- y 2) 一一一
dsh drh
(4 .1)
Wshs wrhr
αsr
-一一一一一, αrs -
ー一一一一,
dsh drh
hs hs
βs-α5 {3 + 6(一一)+ 4 (一一)2
}
h h
hr hr
βr-αr {3
+ 6(一一) + 4(一)2},
h h
、、』J r-r Tυ一AU + s-s J一d ,,,、、
3一日
一一
r s β
で与えられる. ただし, pの中のVsrはx軸に平行な補強材とy軸に平行な補強 材とが交差する部分の補強材体積であり, βsrの中のJ 5, J rは板両面の補強材l 組のねじり定数である. 補強材本数nは表4.2に示すように5,10,1 5,20,3 0 本 と異 なるが, 式(4.1)で計算した伸び剛性比αs,αr と曲げ剛性比βs,βrが それぞれ
表 4.2 両面対称補強板試験片の寸法
二 方向 補 強 板 一 方向 補 強 板
イ申ひ測'↑生比
α
s, ar 0.75 0.9
幽明rH位七βs,βr
9 10
手ドネïtfì針反厚さ h
(mm) 0.35 0.37
補強体本数
n
(本)5 10 15 20 30 5 10 15 20 30
補強材間隔ds, d r(mm) 30.0 15.0 10.0 7.5 5.0 30.0 15.0 10.0 7.5 5.0
補強制高 Ws, Wr(mm) 14.0 7.0 4.6 3.5 2.3 18.0 9.0 6.0 4.5 3.0
補強樹高さ hs,hr
(mm) 0.32 0.31
rhu no
一定値となるように補強材寸法を設定した. その設計寸法を表4.2に示すが, 所 定の厚さhを精度良くエッチングすることは非常に難しく, 製作した試験片は表 示の寸法に対して幾分ばらついたものとなった. 付録vnの付表5と付表6に, 測 定寸法を式(4.1)に代入して計算した試験片の各剛性比が示してある.
ところで, タフピッチ銅板は冷間圧延加工により製作されているため残留ひず みが生じている. そこで, 試験片を2500Cの電気炉内で80分間加熱したのち約6�
10時間炉内冷却して焼鈍を行い, 残留ひずみを取り除いた. また, 試験片の初期 たわみは金型や木型 によって圧造する 方法81・82)もあるが, spring backのため
あまり正確な形状が得られない. そこで本研究では, 焼鈍後の試験片を理論解析 で用いた初期たわみ形状ご, つまり
B 27rx 2πy
ご=ー(1-cos一一一 )(1-cos -一二一)
4
a b(4.2)
の曲面をもっ金型に挟み, 電気炉内で2500C まで加熱して一定時間保持したのち 徐冷することで初期たわみを与えた. このとき, 加熱時間を調整することで最大 初期たわみ量Bの大きさを種々変えることができた.
初期たわみ形状は三次元測定機を用いて計測した. 測定は, 振動実験で用いる 試験片取付枠に試験片を挟んでボルトで締め付け, 板の中央点o 1 を基準として 図4.2に示すX1, Y 1およびX 1, Y 1の4方向について行った. 例として, X軸
とy軸方向に各1 5本の補強材をもっ二方向補強板と, X軸方向に5本の補強材 をもっ一 方向補強板それぞれの初期たわみ形状の測定結果を図4.3の(a)図と(b )
図に示す. 図中の実線は式(4.2)で仮定した曲面の(X1,Y1 )および(X1,Yl)方 向の初期たわみ形状を表し, 丸印は測定結果である. これらの図からわかるよう に, いず れの試験片もすべて式(4.2)の曲面に近い初期たわみ形状が得られた.
各試験片の最大初期たわみの値が付録vnの付表5と付表6に剛性比と共に示しで ある. な お, 初期たわみのない場合の試験片は, 平らな金型に挟んで初期たわみ を与えた場合と同じ熱処理を行い, その初期不整を取り除いた.
- 66 -
X1 / 一一争X
一一歩X1 /
/4
叫ん一一一一
。[
、
Y1
-lvud
ll・-vUJ
一一一-7 X1
11ふvts
初期たわみの測定方向 4 .2
図
補強材のねじり剛性 4.2 .2
smearded out法により等価な直交異方性板に置き換え
図4.1の直交補強板を
例えば, 大 る際, 補強材のねじり剛性をどのように算定するかが問題となる.
富15)は補強材l本の図心まわりのねじり剛性を単純に加え合わせた
(4.3) hs3 Ws Ws
GJs=2G . f (一一)
3 hs
片面補強板の補強材ねじり剛性をねじりの中心が補強板 の中立面であることを考慮して求めており,
また川上12)は を用い,
これを両面対称補強板に適用すると
hs3 Ws Wt> h
+h,;
?[ . f (一一)+ (一一一一 ) hs WsJ
3 hヌ 2
GJs=2G
(4.4)
- 67 -
Xl, Y, mm -75 -50
-45-30
-15 015 30
�60 75
- .、"" I � -
� 0.6+ _,.A5
K、J_.2f. �
a 了す"CT - 一一0Eq Xldirection
.(4
.2)
1.8ム ー 'ー・
と . Yldirection
汀7汀7
Xl
JYl mm
-105 -90 -75 -50
-45-30 -15
015 30
4560 75 90 105
。
- Eq.(4.2)
o
X,dlrection
•
Y1 d i r e c t i
0n
( a )二方向補強板( B = 1 . 47 mm, B = 4 . 39, n = 15本)
X1, Y1
mm-75 -50
-45-30 -15
015 30
4560 75
十... ー1 ・� -
1弘、 0.6+ ___.6 -
司、ムー2.J.��ベ�- . =1'
.... - 一一Eq.(4.2)0Xldlrection
1.8ム ー ・
ξ . Yldirection
mm
X1,九mm
-105 -90 -75 -60
-45-30 -15
015 30
4560 75 90 105
一一Eq.(4.2)
o
Xl dlrection
•
Y1
d i re c
ti
0n
( b )一方向補強板( B = 1. 38 mm, B = 3.68, n = 5本) 図 4.3 両面対称補強板の初期たわみ形状
- 68 -
が考えられる. しかしながら, 本研究では補強材 がインティグラルスチフナーで あることを考慮して
(h+2hs)3 ws Ws h3 w.. W"
GJs =G
[ .f ( )
一一一
一二 .f
(一二) ]3 h +2 hs 3 h
(4.5)
なるねじり剛性を考えた. ただし, これらの式中の関数f(λs) は
192 1 1 nπλs
f ( λs ) = 1一一一・一-L - tanh一一一一 , (n=1,3,5…)
π5 λs n5 2
(4.6)
で与えられる が83}, 表4.2 に示す寸法をもっ補強板試験片では, 各式中の変数の 値 が
Ws/hs �7 .2, Ws/h �6.6 Ws/(h+2hs )�2.3
(4.7)
となるので, 本報では関数f(λs) を
192 1 f(λs)キ1一一一・一一
π5 λs (4.8)
で近似し, 補強材のねじり剛性を
(h +2 hs)3ws 192 h+2hs h 3ws 192 h
G J s今G[
(1一一一・ )一 一一一(1一一一・一一)]
3 π5 Ws 3 π5 Ws
(4.9)
で算定した. そこでいま, 補強材本数が1 0本と 20本の初期たわみのない補強板試 験片を例に取って, 式(4.9) , および式(4.8)の f(λs)を式(4.4)に代入したねじ
り剛性をそれぞれ計算し, さらにそれらの値を用いて式(3 .47)をm,n=1,2,3の9
QU 内hu
表 4.3 ねじり剛性比と線形固有振動数(B = 0 mm ) 補謝ホ本数と 実験値 式(4.4)による計算値 式(4.9)による計算値
補強材の種類 fex Hz βsr fth Hz βsr fth Hz
10
二方向補強板213.2 5.5 194.7 16.6 214.2
本 一方向補強板
192.0 3.4 172.9 10.4 189.8 20
二方向補強板207.5 6.2 189.5 16.5 205.7
本一方向補強板192.1 3.2
173.09.3 188.0
項モード近似で計算した線形固有振動数の理論値を実験結果と比較したものが表 4.3である. この結果から, 式 ( 4. 9)で計算するほうが実験値に近く, 適切であ るものと思われる. したがって, 本研究ではねじり剛性G J sは式 ( 4. 9 )で計 算す ることにした.
4.2.3
片面補強板片面補強板の試験片は, 厚さH = O. 7mm のタフピッチ銅板を両面対称補強板の
o.回ロロ回目.
0ロロロロロo ロロロロロロ0 0ロロロロ00 0ロロロロロロ 0ロロロロ00
a c・D ICJ ICJ CI・
IJ
aJ
v
u
H H
ro
ds
H
( a )二方向補強板 ( b )一方向補強板 図 4 .4 試験片外形(片面補強板)
- 70 -
表 4.4 片面補強板試験片の寸法
二方向補強板 一方向補強板 伸び剛f生比αs(αr
) 0.46 0.29 0.58 0.38
曲げ岡u1t:位じβs(βr)
3.6 2.8 3.9 3.2
補掛ホ本数 n(本)
10 20 10 20 10 20 1 0 20
補強材間隔ds(rnm)15 7.5 15 7.5 15 7.5 1 5
補5鮒幅ws(rnm) 6.4 3.2 4.0 2.0 8.0 4.0 5.2
補強材高さ hs(rnm)
0.38 0.38
手補強版厚さh(rnm)
0.32 0.32
場合と同様にエッチング加工して, 図4.4に示すような二 方 向 補強板と一 方 向補 強板を製作した. 試験片寸法は表4.4に示すそれぞれ二通りの伸び剛性比と曲げ
剛性比の一定値を設定し, 補強 材本数が1 0本と2 0本の合計4種類の試験片を 製作した. また, 図4.4のような片面補強板では,質量比pや伸 び剛性比αs ,αr , αsr ,αrs , 曲げ剛性比βs,βr,ねじり剛性比βsrおよび無次元連成剛性γs ,γr , γsr,γ12,γ21は
_
w..h.. Wrhγ V sr p = (ーι=+ーι.=.:.)
一一一一
dsh drh hαb
Wshs Wrhr
αs= (1- y2)
一一一, αr= (1- y2)一一一
dsh drh
1 wshs 1 wrhr αsr
-一一 一一一一一, αrs
-一一・一一一一一2 dsh 2 drh
hs hs 2
Cs hs
Cs
ム=αs
[
{3+6(一一)+ 4(一)}
-1 2ー(1+一一一一) ]h h h h h
hr hr 2
Cr hr
Cr
βr-αr [
{3+6(一一)+4(一一.) }
-12ー(1 +一一一) ]h h h h h
‘,ょ円l
r- r J一d +
人一心ftk
nμ s r
一一 3一ドγ'
2 一一 n〆u vh
一丸 γq'ι
一一 1ょ nL vh
一じCs , es Cs ._ Cr er C
y
s = 12
{一一αs(一一一)},
γr = 12 {一一αr (二
一二こ)}h h h ' - . . - �
h
-- � ,h h
、‘,d
c → h
白山一
h
r α
nLh 一 h
h 一 h
α
nLじ一h
+
戸山一h
rJB皿、nhu
- - r
γ(4.10)
で与えられる. ここで,Js, es, Cs
は(h + hs)3Ws 192 h+hs hs
2Js三千[ ( 1一 ーで・ ) + (一一Cs) (hs+ h )WsJ
る7r "J
Ws 2 h 3ws .
192h
- [一一一 (1一一・一一)+ C s2. h Ws ]
3 π5
Ws(4.11)
h + hs h + hs
es= ,
Cs =ー一・2 2 l+hds/(Wshs )
h + hr h + hr
er= ,
Cr =一一・2 2 1+ h dr/(wrhr )
である. また, 図4.5は補強材本数が共に20本の二方向補強板と一方向補強板の
初期たわみ形状を三次元変位測定機で計測した結果であるが, 片面補強板の試験 片もすべて両面対称補強板の場合と同様に式(4.2)の曲面に近い初期たわみ形状 が得られていることがわかる. なお, 図中の実線と丸印は 4.2.1節で図4.3につ いて述べたとおりである. また, 付録VIIの付表7と付表8に片面補強板試験片の 各剛性比と最大初期たわみの値が示しであるが, 製作した試験片は設計寸法に対 してやはり幾分ぱらついたものとなった.
n,心円,,
Xl) Y,
mmー75 -60 -.(.5 -30 -15 0 15 30 .(.5 60 75
一一Eq.(4.2)
o
Xldlrectfon
・ y,directfon
X" Y,
mm-105 -90 -75 -60 -.(.5 -30 -15 0 15 30 .(.5 60 75 90 105
...
7 0
. 。一一Eq.(4.2)
o
X,dlrectfon
•
Yldirectfon
( a )二方向補強板( B = 1 . 03 rnrn, B = 3 . 30, n = 20本)
X',Y7
mm -75 -60 -45 -30 -15 0 15 30 .(.5 60 75τ) � . 。、てv 二、、、、 . ・_ I I I • •... 突...-0 �治「M
υ ト .
0.4.↑ ノイ υ
。�.8↓ ノイロ ーEq.(4.2)
��ず "u
0X7 dlrectfon
1.2 ム ・
と
汀7m. y,directfon
-105 -90 -75 -60 -4.5 -30 -15 0
X,) y,
mm15 30 45 60 75 90 105
一-
Eq.(4.2)
o
X,dlrection
•
Yldirectlo n
( b )一方向補強板( B = 0 . 98 rnrn, B = 2 . 9 5, n = 20本)
図 4 .5 片面補強板の初期たわみ形状
qυ 円l
4.3 試験片取付枠
試験片取付枠は, 大きさが 250mm角で厚さが20mmの2枚の欽板のそれぞれの中 心部に150mm角の関口部を設け, 試験片接触面を研磨仕上げして製作した. 図4.6 に試験片取付枠の写真を示す. 実験の際には, 試験片を取付枠に挟んで16本のボ ルトに7.84Nm (80kgf'm)の一定トルクを均等にかけて締め付けた .
この試験片取付枠が全周辺固定の境界条件を満足していること を確認するため に, 板厚hが約O.68 mmと1.0 mmの二種類のタフピッチ銅板で製作した正方形薄板 の基本振動に対する実験を行った . 図4.7 は初期たわみのない薄板(平板)の振 動モードであり, (a) 図のh= 0.68 mm, (b) 図のh= O. 94 mmの両者ともに乱れの ない対称なモードが得られている. また同じ薄板の線形固有振動数の値を調べて みると, 実験値fex は両者とも式(3.47)で m,n=1,2,3までとった9項モード近似 による理論結果fth と非常によく一致している. これらのことより, 試験片取付 枠で挟まれた試験片は全周辺固定の境界条件を十分満足しているものといえる.
また図4.8は,薄板の板中心点の初期たわみBに対する線形固有振動数ωの変化 を無次元化して示したもので, 破線と実線はそれぞれ9項モード近似で式(3.47) より求めた面内可動周辺と面内不動周辺の理論曲線である. この図をみると, 線 形固有振動数の実験値は初期たわみが大きくなるにつれて, 面内不動周辺の理論 曲線に沿って高くなっており,しかも実験値のばらつきは非常に少ない.した がっ て, 今回の振動実験は面内不動周辺の境界条件に近い状態にあるものといえる.
河,
.,司・・
?・、・
図 4.6 試 験 片 取 付 枠
ー74 -
ノイ、、e F・1v • • •• •• 1嗣
イ 'f'j
く
;( _" く.、.. �, ,l....
•
,..(j
fex= 198.0 Hz fth= 199.8 Hz
( a) h
= 0 . 68 mmf ex = 261 .3 H z f tb = 263.5 H z
( b) h
= 0 . 9 4 mm 図 4.7 初期たわみのない薄板(平板)の振動モード100
Theory
E
Jコ 一一一一--Movable Immovà bl e 75 Experiment
。 h
==0.68 mm3
11(> h ==
1.0 mm13 50 � /。
・' ー「一
ー ー25
0 1 2
B==B/h
図 4.8 薄板の線形角振動数ωと初期たわみBの関係
只U円l
4.4 線形援動実験
初期たわみを有する補強板の振動モードは, 補強材配置や初期たわみの大きさ によって異なったものとなる. したがって, それらが線形固有振動数に及ぼす影 響を実験により調査する場合, 各振動数に対応する振動モードを確実に把握する ことが必要となる. そこで本節では, 振動モードと線形固有振動数の測定方法お よび測定手順について述べる.
4.4.1 固有援動モードの測定方法84)
本実験では, 補強板の振動モードをレーザ・ ホログラフイ干渉法を用いて測定 する. ホログラフィの原理については, すでに多くの解説や専門書があるので,
ここでは本実験に関する基本的事項を簡単に述べる. 図4.9は拡散反射物体の場 合の原理図で, レーザからのコヒーレント光(単色性, 可干渉性, 指向性および 集束性が優れた光)を二つに分け, 一方を物体で反射する物体光, 他方を平面鏡 で反射する参照光とし, これらを合わせて写真乾板に露光する. これを現像, 定 着したものをホログラムと呼ぶが, このホログラムには, 乾板の置かれた位置に 関する物体光の振幅と位相の情報が, 参照光との干渉じまのコントラストとして 記録される. この場合, 露光量を適当にとれば, ホログラムの振幅透過率は記録 された合成光の強度に比例する. このホログラムを元の位置におき, 参照光で照
Beam splitter
辺
氏e
n 氏 ρ』・司A r p- nu FL ci 山t JU白 vdιし
Object be細
Mirror
Hologram
図 4.9 ホログラムの撮影
- 76 -
射すればホログラム上の干渉じまは参照光を回折し, 元の位置に虚像として物体 像が再生される. これがホログラフィの原理で, 一つの物体光波面の記録ができ るのみでなく, 物体上の一点、の波面がホログラムの全面にわたって記録され, ま た多くの波面の多重記録も可能である.
このようなホログラムによって再生された波面は位相関係を完全に再現するの で, 再生された波面を用いる干渉測定が可能となる. これがホログラフイ干渉法 で, 従来の方法では困難であった3次元の組面物体について, 時間の異なる波面 間の干渉(時間分割干渉)や多くの波面間の干渉(多重干渉)が可能である. ま た, 基準波面を用いずに物体光波面間の干渉を利用するので, 光学系の収差など が影響しないという大きな利点、もあり, ホログラフィ応用の大きな分野を占めて いる. この中でContinuous
wave(
C W)レーザを用いる方法のーっとして, 振動 モードの測定に用いた時間平均法がある.時間平均法は正弦振動している物体を振動周期より十分長い時間露光してホロ グラムを作る方法であって, 振動中のすべての状態の波面が記録され, これらの 時間平均に対応した波面が再生される.
いま, 物体上の任意の点が図4.10の変位ベクトルdの方向に振幅a, 角振動数 ωで振動しているとし, 振動方向とe 1, e 2をなす方向で照明, 観測を行えば,
Incoming beam
Ref!ected beam
Deformed state
Initial state
図 4 .1 0 物体の変形と物体光
ー77 -
時刻tでの物体光は
Uo=Ao exp[ i
たγ
. acos(ωt )J (4.12)
と表される. ただし, i, たおよびγは
i=イコ ,
k= 2π/λ
γ= cos
e 1 +cos
e 2であり, λは光の波長を表す. 再生される物体光波面は露光時間Tの時間平均を とれば
IT
u
��O I [
e x p[ iたγ・αC
0 S(ωt ) J]
d t=AoJoCたγα) (4.13)
となる. ここで, )0は第1種0次のB essel関数である. したがって, 干渉じま の強度分布は
1. 2
1. 0
�
O. 8〉
�
-- O. 6
r叫←・3。
O. � O. 2
O. 0
6
kYa
10 12 14 16
図 4 . 1 1 時間平均法の特性関数, ) 0 (たγα)
- 78 -
f'LlAol -J
02(た7a)
で与えられ, 振動数, 位相には無関係に10の極値と零点のところで明暗のしまと なり, これから振幅が求められる. この場合, 図4.11に示すように振幅について は等間隔のしまとはならず, また高次のしまのコントラストが急速に低下するが,
図4.7の測定例からわかるようにノーダル ・ ラインの部分できわめて明るく, モ ードの検出は容易である.
次に実験技術について簡単にふれておく. ま ず, 光源に用いられるレーザの最 も代表的なものは ,出力が10"-"50m W程度のH e- Neレーザ(波長λ= 632.8 nm) であるが, 本実験ではこれより高出力のArレーザ(514.5 nm , 2W)を使用した.
感光材料としては, 解像度が2000本/mm のAgfa-Gevaert社製のScientia乾板,
Scientia-10E56を使用した.
本実験における光学系の概略を図4.12に示す. 使用しているCWレーザの場合 は露光時間が5"-"10秒と比較的長いので, 外部の振動, 空気の揺動など外部のじ
Mirror Beam spritter Mirror
Fi!
ter
(Reference beam)
Ar-las
e
rMirror
Hologram図 4. 1 2 光学系の配置
QU 円,e
ょう乱の防止が必要である. このため, 図4.12に示した光学系の全体をエアー ・ ダンパを介して設置した防振台上に配置した. また, 物体光と参照光の光路差を 可干渉距離以下(Arレーザでは50 cm程度)にし,それらの強度比を約1 : 4にと った.
4.4 .2 線形固有振動数の測定方法
加振方法はスピーカによる音響加振法を採用した. 口径120 mmのスピーカに直
径10mmの先端関口をもっホーン型ノズルを取り付け, 音圧による加振領域をモー ドごとに異なるノーダルラインの位置を避けるために, 板の最大振幅点に限定し た. 共振点は, 加振用のスピーカ端子電圧と試験片に接着した圧電素子の応答出 力電圧とでリサージユ図形を描かせて検出した85) なお, 発振器は振動数の変動 がきわめて少ないディジタル・シンセサイザ一方式によるものを用いた.
実験は次の手順で行った. まず, 試験片を挟んだ試験片取付枠を防振台上の支 持台の上に垂直に設置した. 次に, スピーカによる音響加振を行い, 加振振動数 を次第に上げてゆき, レーザ ・ ホログラフィの時間平均法で固有振動モードを確 認しながら, それぞれのモードの線形固有振動数を測定した.
- 80 -
4.5 非線形振動実験
図4.13と図4.14には, それぞれ非線形振動実験の装置の概略図と測定ブロック ダイヤグラムが示しである. 実験は基本振動に対してのみ行い, 実験要領は次の とおりである. まず試験片①を挟んだ取付枠②を, 4個の支持台③上に水平に設 置してクランプ④で固定した. このとき , 支持台③はそれ自体が振動しないよう に重量のあるもので製作した. 次に, 発振器からの正弦波をパワーアンプで増幅 して口径160 rnrnのスピーカ⑤に入力し, その 音響出力をホーン型ノズルで集中さ せて試験片の中央部を音響加振し, 試験片中央点の振動変位を測定範囲:!: 1 mm
(出力電圧は:!: 10Vが対応する)の非接触型変位計⑤で測定した. ところで, 初 期たわみを有する板の非線形振動は, 振幅の 増加につれ て固有振動数が高くなる hardening spring typeと低下する softening spring typeの二通りがある.実 験では, 音響出力を一定に保ち, 加振振動数を変化させて共振点を求めたが, そ の際, 図4.15に示す ように振幅が最大振幅点に到達せずにジャンプすることを避 けるため, hardening spring typeの試験片に対しては加振振動数を増加させて いった場合に, softening spring typeの試験片では減少させていった場合に,
それぞれ振動変位が極大を示すときの振動数を固有振動数とした86) 同時にこの
図 4 .13 非線形振動実験の装置
- 81 -
Nonω山ct displacement meter
Rosette Piezoelectric-crystal
e lement おcil loscope
BilX)l釘卯wer
I I
Wide fun ction su pply/
amplifierI I
synthesizer図 4 .1 4 測定プロックダイヤグラム
Pcl
〈ω宮お右足
Excitation fr伺uenα ωf
( a) hardening spring type
P cl
〈ω宮お右足
Excitation
frequency ωf
図 4 .1 5 跳躍現象と振動履歴
(b )
soft enig s pring type- 82 -
ときの振動変位はデジタルメモリに読み込ませてパーソナルコンビュータで処理 して計測した.
併せて, 両面対称補強板に対しては, 周辺近傍の断面力を次の手順で測定した.
まず, 試験片の周辺近傍の両面に板中央面に関して対称にロゼツトゲージを接着 し, 両面のゲージを直列に結線して曲げによるひずみを消去し, x方向とy方向
の引張りと圧縮のひずみ成分ε:,fy のみを検出して, 動ひずみ計で計測した.
次に, そのひずみ量をデジタルメモリに読み込ませ, 補強板の構成方程式(3.9) から得られる
Nc=12(b/h)2[(1+αs)εx+ v ε;]
Nη=12(b/h)2[v ε:+ (1 +αr)ε:J
(4.14)
の関係式を用いてパーソナルコンビュータで無次元断面力に変換した. ここで,
上式中のαs,αr は式(4.1)で与えられる伸び剛性比である.
qυ no
4.6 結 言
本章では, 初期たわみを有する補強長方形板の線形振動実験と 非線形振動実験 に使用した試験片と試験片取付枠, および実験装置を説明し, 固有振動モードを 測定するために用いたレーザ ・ ホログラフィの時間平均法の原理について述べた.
任意の曲面をもっ補強板試験片を多数製作することは容易ではないが, ここで は試験片を理論解析で用いた初期たわみ形状と同じ余弦曲面をもっ金型に挟み,
電気炉内で焼鈍温度まで加熱して一定時間保持したのち徐冷することで, かなり 正確な初期たわみ形状が得られることを述べた. しかも加熱時間を調整すること で, 試験片の最大初期たわみの大きさを種々変えることができた. また, 薄板の 線形振動実験を行って, 試験片取付枠に挟まれた試験片が全周辺固定の面外境界 条件を満足していることを示し, 面内境界条件は不動周辺に近い状態にあること を述べた.
次に非線形振動実験では,初期たわみの値の小さなhardening spring type の 試験片に対しては加振振動数を増加させていった場合に, 初期たわみの大きな softening spring type の試験片では減少させていった場合に, それぞれ振動変 位が極大を示すときの振動数を固有振動数として測定すればよいことを述べた.
一84 -
第三5 主主 存可E百文寸不急ミ字甫ヲ怠t反α〉糸泉汗52主辰霊訪
5
.1 緒 言
初期たわみを有する補強板の振動特性, すなわち固有振動数や固有振動モード は, 補強材と板の剛性比や補強材の配置方法, さらには初期たわみの大きさなど が関係して, 複雑に変化するものと思われる.
ところで, 第2章と第3章ではより一般的な非対称補強板の非線形自由振動に 対する基礎式を誘導し, その振動特性を理論解析するためのモード方程式を求め たが, 補強材が非補強板の中央面に関して対称に配置された両面対称補強板では 曲げと面内伸びの連成がなくなり, 得られた式から補強板の自由振動特性を考察 することが容易となる. そこで本章では, 両面対称補強板の線形振動を取り上げ,
第3章で得られたモード方程式に基づいて数値計算を行うと共に, その検証のた めに行った線形振動の実験結果についても述べる.
まず, 振動変位を9項モードの式で近似し, それに対応する線形振動のモード 方程式を曲げと面内伸びの連成項を含まない連立線形常微分方程式の形で求める.
そして, これらを解いて固有振動モードの等変位曲線を図示し, レーザ ・ ホログ ラフィによる測定結果と比較して理論解析の妥当性を確認すると同時に, 初期た わみの大きさや補強材配置による異方性が固有振動モードに及ぼす影響を明らか にする. 次に, 線形固有振動数の理論値は補強材本数の異なるいずれの補強板の 実験値ともよく一致し,理論解析で用いた sme ared ou t r:去が初期たわみを有する 補強板の自由振動解析では有効な手法となることを述べる. 最後に, 補強材と板 の剛性比や質量比, さらには初期たわみの大きさが線形固有振動数に及ぼす影響 を数値計算により明らかにする.
- 85 -
5.2 両面対称 補強板の補強材パラメータ
図5
. 1のように補強材が板中央面に関して対称に配置された補強板では,これ
まで下添字1と2を付記して区別した補強材の諸量はすべて等しくなる. そこで,
補強材の諸量を改めて
es1= es2= es , erl= er2= er As1 = As2 = As/2, Ar1
=Ar2 = Ar/2
1
s1 =
1s2 =
1s/2,
1r1 =
1r2 =
1r/2 Js1=Js2=Js/2, Jrl=Jr2=Jr/2
Es1 = Es2= Es , Er1 = Er2= Er
Gs1 = Gs2 = Gs , Grl = Gr2 = Gr Ps1= Ps2= Ps, Prl= Pr2= Pr
(5.
1)
とおき, この式(5.1)の関係を式(2.23)に代入すれば, 非補強板の中央面から補強 板断面の中立軸までの距離Cs, C rは
Cs= Cr=
0(5.2)
となる . したがって, 両面対称補強板の中立面は非補強板の中央面と一致し,
。
Z肝》G J 」
ジUハ r1�.\.h
�"図 5 . 1 両面対称補強板
- 86 -
式(3.7)の無次元連成剛性はすべて
γs-γr-γsr -γ12 =γ21 =
0(5.3)
となって, 変形の面内伸び 成分と曲げ成分 の聞の連成が消失することになる. ま た, 無次元伸び 剛性は式(3.7)で与えられ,無次元曲げ剛性と無次元ねじり剛性は 式(3.7)に式(5.2)の関係を代入することにより
A吐「hu
nμ +
噌i一一D つ'ι一咽A
E 一 E
一一nd 一DRUF +
円4--i
qL-'AE 一 E
一一r
Dnμ +
τi 一一S Dと簡単になる. さらに, 式(3.5)の質量比五および式(3.8)の各剛性比は
五=
[ で三
+七?と
-出
/(ph)EsAs ErAr 1 GsAs 1 GrAr
αs- Ellhds , αr- El1hdr , αsr -一一
2Ghds 一一一一一 , αsr
-ーー・一一一一一2Ghdr
E sl
SET 1γ
βs = 1
2, βr=1 2-- - - Ellh3ds . El1h3dr
「:一唱は
・t -3 九
一h (
一G +
「:一、G
・ t -3
-h一'n( 一 G
qu 一一
nuF
(5.5)
と書き換えられ, 式中のAsとArは図5.1に斜線部で示す補強材1組の断面積を 表し, 以下同様にEs1sとEr1rは補強材各1組の板中央面に 関する 曲げ剛性,
GsJsとGrJrは補強材各1組のねじり剛性を表す.
なお, 実験で使用した両面対称補強板試験片の質量比と剛性比は式(4.1 ) で与 えられる.
- 87 -
5.3
固有振動モードに及ぼす初期たわみの影響長方形板の固有振動モードは節線の位置により4つのタイプに分類され, その 対称性を記号でSS, SA, AS, AAのように表す. ただし, Sは板の中心軸 に関して対称なモードを意味し, Aは逆対称なモードを示す. そして, この各モ ードに対応して式(3.25)の振動変位の中のmとnは
S Sモードの場合: (m, n)=(奇数, 奇数) SAモードの場合: (m, n)=(奇数, 偶数) ASモードの場合: (m, n)=(偶数, 奇数) AAモードの場合: (m, n)=(偶数, 偶数)
の整数値をとる. ただしこれ以後, 本論文では補強正方形板(λ=
1
) を取り上 げる. また, 実験結果との比較のため, 数値計算では式(3.25)の振動変位を3 3-
w
(� ,
η,
r) = L: . L: Amn ( r ) Z mn [ X mn ( � ,
η) + kmnXn m( �
,
η) ]
rrFl n=l
(5.6)
の9項モード近似の形で仮定し, この中のkmn は
[
1 ]二方向補強正方形板の場合: k 13 = 1, k31 =- 1
それ以外はkmn=0
[ 2
]一方向補強正方形板の場合: kmn= 0
(5.7)
とおいた. そして, 式(5.6) の振動変位に対応する線形振動のモード方程式 は,
式(3.47)で面内伸びと曲げの連成項を落として
3 3
L: L:
m=l n = l
no
戸hu
一一 nu
、HHHHHHHU
、lsEBEE--ノ 一 八川 n
、もE,
一B nd εJ
J
U h b A
FJE、
+
〆1titil--K
J
一一p ん 必可 一
,..
π一+(
一
+
-唱i +
r r
n
一んq J FHHMMHHHも
n
ワム m
- 88 -
と表される. ただし, bhi Jは付録IIIのhiJに式(5.2)と式(5.3)の関係を代入して 得られる係数である. この式(5.8) は4種類の固有振動モードに対して, それぞ れ未知の時間関数Amn
( T
)に関 する連立常微分方程式を形成し, これらを解くと 線形固有振動数ωmが得られ, 同時にZmに対応する 固有振動モードWmnが次の ように求められる.[AJ S Sモード:
( 1 )二方向補強板(αs-αr, βs-βr)
Wmn = dmnX11 + emn (X13 + X31) + gmnX33
( W mn = W 11 , W 13, W 33 ) W31 = f 31 (X13 - X3t)
( 2 )一方向補強板
Wmn = dmnXll + emnX13 + fmnX31 + gmnX33
(m,n= 1,3) [B ] S Aモード: Wm2= dm2X12+ em2X32, (m =
1,3)
[C ]
A Sモード: W2n = d2nX21 + e2nX23, ( n = 1 ,3 )[D ]
A Aモード: W22 = d 22X22(5.9)
補強板試験片の代表例に対する面内不動周辺の場合の振幅係数dmn, emn,
fmnおよびgmnが表5.1と表5. 2に示しである. また図5.2と図5. 3には,
同じ試験片の等変位曲線の計算結果がレーザ・ ホログラフィによる 振動モードの 測定結果とともに図示しである. ただし計算では, 無次元変位の最大値を1とし,
図5.2(a),(c)および図5.3(a)以外の図では, 実線と破線はそれぞれ 図中 の黒丸で示した最大変位(:t 1 )の:t 0.2,:t 0.4,:t 0.6,:t 0.8 の値の等変位曲線を 示す. これ に対して, 図5.2(a),(c)および図5.3(a)の実線は0.05, 0.2,
0.35, 0.5, 0.65, 0.8, 0.95の等変位曲線を, 図5.2(c)の破線は 一0.1,-0.25,
-0.4,一0.55,一0.7,一0.85 の等変位曲線をそれぞれ表す.
QU no
表5.1 振幅係数(二方向補強板)
B=O, α:5-αr=0.72 B=4.39, αa-α:=0.80 β:5-βr=8.5, β.r=16.3 βs-βr=10.0, β:5r=19.4 子Vrnn
d IDn e rnn gm n d rnn e mn g rnn
Wll 0.2840 0.017 3 0. 0005 0.4344 0. 11 47 0.0218 下113 0.1207 0.2089 0. 0472 0. 0662 0.2050 0.0888 V/33 0.032 9 0.1232 0.4635 0. 0182 0.0764 0.3846
W 12 0.3588 0.03 3 9 一 0.3767 0. 0518 一
W32 0.1258 0.4507 一 0. 1103 0. 43 52 一
E
表5 .2 振幅係数(一方向補強板)
一
B=O, αr-βr=O B=3.68, αr-βr=O
αs=0.91, β冨=10.2, βsr=10.2 αs=0.91, βs=10.0, βsr=10 .8 Wmn
dmn emn f rnn grnn drnn ernn f mn grnn
Wll 0.2959 0.0312 0.0153 0.0006 0.3閃6 0.1716 0.0475 0.0150
W13 0.1035 0.3820 0.0ω7 0.0381 一0.0049 0.3259 ー0.0493 0.0432 W31 0.1281 0.0194 0.4219 0.0633 0.0954 0.0713 0.3678 0.0937
W33 0.0310 0.1262 0.1124 0.4576 0.0234 O.ω67 0.0783 0.4016
W12 0.3525 0.0276 一 一 0.3705 0.0456 一 一
W32 0.1318 0.4658 一 一 0.1154 0.4403 一 一
W21 0.3780 0.0531 一 一 0.3965 0.0716 一 一
W23 0.1092 0.4341 一 一 0.0952 0.4201 一 一
- 90 -
B=O, n二15
Theory Laser Holography )1 ・グ ).., 守 \
...il�-:-�. ) -'-_Å )� �
B=4.39, n=15
Theory Laser Holography Clmmovable edge)
(a)
SS-l(b)
SS-2(c)
SS-3�(③@ @@i@
(⑤)@@) 。。。
@@@ @iO;i@
(d) SS-4
図 5 .2 振動モードに及ぼす初期たわみの影響 (二方向補強板)
噌siQU
(次頁に続く)
B=O, n=15
Theory Laser Holography
B=4.39, n=15
Theory Laser Holography (Immovable edge)
歪三訟 歪三塁
@0画
。旬。
SA-l ( e )
I � 900
内川明
SA-2
(f)
品川昭 @@@ @@⑤
AS-l
(g)
@。 一一一川一一一 @匂団
画。
(。。
AS-2
、lj h
@:@)
。。
AA-l
、、,,,,-l ,,E、、
振動モードに及ぼす初期たわみの影響 (二方向補強板)
5 .2
図
つむQU
B=O, n=15
Theory Laser Holography
長三�
_-ー"・陶工ー二回目�----ーー『ー、ー_,-
-�戸戸二一一-_-..._
f〆/-.:.一一一--こご ... �...,"\
i t \ \ 】 ,1
J
I\ 、、ーーー--_/ノ/"
、 』
司、 町二ごこご二司、-_-.ー --崎山---:_...- ,,'
三ご工---二二-_- G三�
。
。
同図。 。
。
B=3.68, n=5
Theory Laser Holography Clmmovable edge)
Ca) SS-l
〈三2つ
¢三2う
Cb) SS-2
Cc) SS-3
。図。 @@@
@@@
(d) SS-4
図 5 .3 振動モードに及ぼす初期たわみの影響 (一方向補強板)
円ぺU Qυ
(次頁に続く)
B=3.68, n=5
百leory Laser Holography (Immovable凶ge)
B=O, n=15
Theory Laser Holography
歪三訟 恒三訟
I.�
@00 画。画
。。。
(f)
SA-2自川昭 向川昭
@ O いに回 一切
@
(国働倒閣@一
忍 @ 悶悶 命働一 ODO @一匂
画。i eロ 画。
eo
(i)
AA-l振動モードに及ぼす初期たわみの影響 (一方向補強板)
図 5 .3
- 94 -
まず, 固有振動モードに及ぼす初期たわみの影響を考えてみる. 板中心軸に対 称な形の88モードでは, 初期たわみの大きさの影響が基本振動の固有モードに 特に顕著に現れている. すなわち, 補強材が格子状に配置された二方向補強板の 場合には,初期たわみが大きくなると図5.2(a)のように次第に板中心が平らな 振動モードになる. これに対して, 補強材がx軸に平行な方向 (紙面では水平方 向) のみに配置された一方向補強板では, 初期たわみが大きくなるにつれて板中
心近傍の等変位曲線が円から次第に補強材に垂直な方向に細長くなり, B/h::;:
3を越えるとついには図5.3(a) のように最大振幅点が二つに分かれるモード となるが, その対称性は保たれている. また, 図5.3の(a),(b)および(c )図 をみると, 一方向補強板の低次の88モードでは初期たわみが大きくなると, 補 強材が一方向のみに配置されたことによる直交異方性の影響が大きく現れる. こ のことは理論振動モードからも裏付けられている.
また, 図5.2と図5.3のそれぞれ(e )図から(i )図までをみると, 二方向補 強板, 一方向補強板ともに, 逆対称形を伴う場合の振動モードは, 初期たわみの
大きさの影響をほとんど受けないことがわかる.
ところで, 図5.2(c)のB=Oの場合のように二方向補強板の88-3モード では, 計算結果とは幾分異なった振動モードが観察されており, k13 = 1とおい て計算したモードとは別の形の縮退87・88)が生じていることがわかる. しかしな がら, この図5.2(c)の場合を除けば, 測定した固有振動モードと計算結果は非
常によく一致している. なお, 今回の実験では補強材本数が固有振動モードに及 ぼす影響はほとんど認められなかった.
Fhυ nHU
5.4 線形固有振動数に及ぼす初期たわみの影響
線形振動の場合のモード方程式(5.8)をみると, Amnの項の係数は板中心点に おける初期たわみの2乗B
�
:比例して大きくなり, また面内不動周辺(A = 1 ) の場合が面内可動周辺(A = 0 )よりも常に大きな値をとる. したがって, 線形 固有振動数は初期たわみBの値が大きくなるにつれて高くなり, しかも面内不動 周辺の場合が面内可動周辺の場合よりも常に高い値となることが予測される. た だし, 式(5.8)の中の係数1V lJが付録IIIからわかるように, m,n ,i,j=1,3 以外の値のときは常に0となるため, 振動変位を式(5.6) の形で仮定すれば, 逆 対称形を伴う振動モードの場合の線形固有振動数の値は式(3.21)と式(3.23)の面 内境界条件には無関係となることがわかる.図5 .4と図5.5は, 初期たわみによる線形固有振動数の変化を, 縦軸に非 補強板の振動数パラメータで無次元化した振動数ω=ωb2
-J
ph /D ,横軸に最大 初期たわみBを非補強板厚さhで割った無次元初期たわみB=B/hをとって示 したものである. ただし, Dとpは補強材がないと考えたときの非補強板の曲げ 剛性と密度である. また各試験片で剛性比の値は多少異なるが, 理論曲線は代表 値として表4.2 の値を用いて計算している. なお, ねじり剛性比βsrは表4.2 の各寸法を式(4.9)と式(4.1)に代入すると補強材本数nによって多少異なった値 となるが, 平均的な値を採って二方向補強板ではβsr与βs+βr= 18 , 一方向補 強板ではβsr与βs= 10として計算した. また, 図中の破線は式(5.8)を解いて得 られた面内可動周辺の理論曲線, 実線は面内不動周辺の理論曲線であり, 各計算 結果に対応する振動モードの節線様式も一緒に示しである.ところで, これらの図の実験値は幾分ばらつきが見られるが, これは各補強板 試験片で剛性比の値が多少異なるためであり, 補強材本数が線形固有振動数に及 ぼす影響は振動モードの場合と同様にほとんど認められない. また, 線形固有振 動数は初期たわみBの値が大きくなるにつれて高くなり, その増加の度合は振動 モードによって異なり, また実験値は二方向補強板, 一方向補強板の両者とも面 内不動周辺の理論曲線に近い値となる. さらに, 図5.4 の二方向補強板の場合,
ハhunu
4-50
4回
~〉
A SA-2
τー, 口
3
250 1
11
13
5S-3
150
50 0 2 3 4 5 6
B==B/h
600
Kコ
, -...
医500
れJ' _Q
3
11
400
13
300
55-4
マ八口 !:J. 0
AA-l
200 0 2 3 4 5 6
B==B/h
Theory (αs-αr=0.75, βs-βr=9, βs r=18)
・ ・ ・ ・ 巴 Hovable edge, 一一一 lrrunovable edge Experiment (0, 口, .ð., マ, 0 : n = 5, 10, 15, 20, 30)
図 5.4 線形固有振動数ωと初期たわみBの関係 (二方向補強板)
ηI GU
500 bhに除、NA3HG
4-00 300 200 100
。 2 3 4 5 6
500
B=8/h
N lKr」c コ
コ\ •4 0 0 3
11
300
13 200 100
SA-l
。 2 3 4 5 6
B=8/h
Theory
(αr-βr =0, αs=0.9, βs=10, βsr=10)- - - - Hovable edge,
一一一一lmmovable edge Experiment
(0, 口, ð., マ, 0: n=5, 10, 15, 20, 30)図 5 .5 線形固有振動数ωと初期たわみBの関係 (一方向補強板)
- 98 -
SS-3以外のモードでは理論振動数と実験値はよく一致している. これに対し てSS-3モードの場合は前節で述べたように, 実験では計算で仮定した形とは 異なる振動モードが現れたこと, および計算における振動変位の項数が9項と少 なかったため, 振動数の理論値と実験値に差異が生じたものと思われる. 次に,
図5 .5 の一方向補強板の場合, 振動モードの 形状がx軸に平行な2本の節線を もっSS-2とAS-2モードでは理論振動数が実験値に比べて低い値となるが,
線形振動数が初期たわみの大きさによって変化する傾向はよく似たものとなって いる. しかし, これ以外の振動モードでは実験値は理論曲線上にあり, 理論解析 で用いたsmeared out法は今回製作した試験片形状に類似した補強板に対しては 補強材本数に無関係に適用でき, 初期たわみを有する補強板の自由振動解析では 有効な手法となることがわかる.
Gυ nHU
5.5 線形固有振動数に及ぼす質量比と剛性比の影響
実験は, 伸び剛性比αs,αrと曲げ剛性比βs,βrが一定値をもっ同一材質 から なる補強板についてのみ行った. そこでここでは, 数値計算を行って質量比や剛 性比が線形固有振動数に及ぼす影響を検討する. 数値計算例では, 非補強板はポ アソン比V= 0.3の等方性板であるとして
V
Xy= V
YX= V =
0.
3E 11 = E22 =
一一一一一E , 1- v2
E 12 一一一一一
νE
, 1- v2-、、,/
一V
E一+
-句tム
-,,,‘、
一一
-nL
G (5.10)
のもとで計算を行った. また, 補強材の材質は非補強板のそれとは一般に異なる としたが, ポアソン比のみについて補強材がVs今V, Vr三千V の値をもっ等方性 材とした. なお, このようにおくとき,式(5.5)から伸び剛性比αsrとαrsの値は αs, αrによって次のように与えられる.
αs αr
αsr
-子αrs
-子2(1- v2) 2(1- v2)
(5.11)
ところで, 線形振動の場合のモード方程式は 式(5.8)の連立常微分方程式 の形で
与えられ, この式の係数bhuはB=Oとおいて得られる項で, これは初期たわみ のない補強板の線形固有振動数を決定する. そして, その値は付録IIIからわかる ように曲げ剛性比βs,βrとねじり剛性比βsrで決まる. したがって, 式(5.8)の 中のAmnの項の係数は, 曲げ剛性比βs,βrとねじり剛性βsrが大きく質量比pが
小さな値ほど大きくなり, その結果, 線形固有振動数ωは曲げ剛性比βs,βrとね じり剛性比βsrが大きく, 質量比pが小さな補強板ほど高くなるものと思われる.
これらのことを具体的に示したのが図5.6と図5.7で, 図5.6は伸び剛性比 αs = 0.5,質量比p= 0.55の一方向補強正方形板のs s - 1とSA-lモードにつ
いて, 板中心点の初期たわみBに対する線形固有振動数ωの変化を, 曲げ剛性比 βsとねじり剛性比βsrをパラメータとして示したものである. 図5.7は ,伸び剛
- 100 -
,,, 1 0 14-0
LC
1
(ミ� 120
3 13 100
ハU ハU ハU ハU QJ
「/
「D つU
凶Kに同\〉N(~3NG
ハU
160 αr==βr=O
αs =0.5 J戸=0.55 βs=βsr =25 βs=βsr=1 5
80 - -
60
(a) 88-1
βs=βsr =25 βs=βsr=1 5
Movable Immovable
90
0 A斗
lhH //
つυ 一一 nD 一nD
ηノム
(b) 8A-1
図 5
.6線形固有振動数ωと初期たわみBの関係 (曲げ剛性比とねじり剛性比の影響)
- 101 -
5 3 1 9
bhに民\JN(~3日日 αr=βr=O
αs=0.5, ßs==βsr=10
ρ=0.37 ρ=0.55 戸=0.83
70
50 (a)
88-1180
ρ=0.37 3140 ρ=0.55
戸=0.83
11
13 120
� L一一一一---
入=σ/b=1
ー・・・-.回ー・-胆圃・・4回ー-
Movable
Immovable
80 。 2 3 4
B=B/h
( b )
8A-1図5 .7 線形固有振動数ωと初期たわみBの関係 (質量比の影響)
- 102 -
性比αsの値と共に曲げ剛性比βsとねじり剛性比βsrの値を一定とし, 質量比五
をパラメータとした場合の線形固有振動数ωと初期たわみ
E
の関係である. なお , このαs = 0.5でp = 0.55の場合はv = 0. 3の等方性板に同材質の補強材を配置した 補強板に該当する. この二つの図から, 線形固有振動数は曲げ剛性比とねじり剛 性比が大きく, 質量比が小さな補強板ほど高くなることがわかる.次に, 式(5.8)においてB2の掛かった項のなかの1μij , lVijには付録IIIから
わかるように伸び剛性比αs,αrが含まれており, このことは断面力の存在を表す.
したがって, 初期たわみを有する場合には線形振動においても断面力が発生し,線 形固有振動数ωはB2に比例した形で初期たわみのない場合 よりも高くなる .
図5.8はこのことを明瞭にするために, βs= 10,βsr= 10,p= 0.55の一方向補 強正方形板のBに対するωの変化を,イ申び剛性比αs をパラメータにとって図示 したものである. この図をみると線形固有振動数Zの値は, 初期たわみのない場 合にはαs の値とは無関係に一定となり, 初期たわみを有する場合にはBの値が 大きくなるにつれて伸び剛性比αs の大きな補強板ほど高くなることがわかる.
- 103 -
150 αr=β1'=0
||-仁でQ
王| βs=ßST' =1 0, p=O.55
130
11 0 α5=0.50 3 Il
13 90
70
50 (
a)
S S - 1180
160
α5=0.75
3 α=0.33
Il I �5
13 120
一
入=σ/b==1
- ---ー ・ーー
Movable Immovab le
80 。 2 3
B=B/h
( b )
SA-l図5 .8 線形固有振動数ωと初期たわみBの関係 (伸び剛性比の影響)
- 104 -
4
5.6 結 言
本章では, 初期たわみを有する両面対称補強板について, 線形振動実験を行っ て固有振動モードと線形固有振動数を測定し, 解析結果と比較して理論の妥当性 を検証した. また数値計算を行い, 初期たわみの大きさ, 補強材と板の質量比や 剛性比が補強板の線形固有振動数に及ぼす影響を検討した. 得られた結果を要約 すると次のとおりである.
( 1
) 9項モード近似を用いた線形固有振動数と固有振動モードの理論値は,補強材本数に関係なく実験値とよく一致する. したがって, 理論解析で使用した
smeared out法は初期たわみを有する両面対称補強板の自由振動問題に対して有
効な手法である.
( 2
)周辺固定板では, 面内可動周辺よりもむしろ面内不動周辺の方が実際に近い境界条件を実現する.
( 3
)板中心軸に関して逆対称な形を伴うモードでは, 初期たわみの大きさが固有振動モードに及ぼす影響は小さい.
( 4
)補強材配置による直交異方性が固有振動モードに及ぼす影響は, 初期たわみが大きくなると顕著に現れる.
( 5 )線形固有振動数は初期たわみが大きな補強板ほど高くなり, その増加の 度合は振動モードによって異なる.
( 6 )線形固有振動数は, 補強材の質量を板のそれで割った質量比が小さく,
同様な伸び剛性比, 曲げ剛性比およびねじり剛性比が大きな補強板ほど高くなる.
( 7
)線形固有振動数は, 面内不動周辺の場合が面内可動周辺の場合よりも常に高い値となる. ただし, 逆対称な形を伴う振動モードでは, 面内境界条件には 無関係となった.
- 105 -
気雪6書室 存可E百文寸不か手甫ヲ怠�反Q:) 3�三系泉汗22主辰重力
6
.1 緒 言
薄板の非線形曲げ振動問題に関しては, 1956年にH errmann89)が有限変形に関 する von K ármánの式に横方向慣性力を考慮に入れて修正した基礎式を確立して 以来, 多くの研究がなされてきた. 例えば, 種々の境界条件および荷重条件の下 での等方性長方形板の非線形曲げ振動問題がR i tz 法またはG alerkin法で解か れており90一"にさらに初期たわみを考慮した研究95-97)や, 直交異方性板を取 り扱った研究98-101>も見受けられる.
一方 , B erger70)は板の大たわみに対する von K ármánの式が非線形である上 に連成項を含むので, それらの解が複雑となるという困難さを避けるため, 板中 央面のひずみの2次の不変量によるひずみエネルギが1次不変量の2乗によるひ ずみエネルギに比べて無視できる, という仮定に基づいた静的非線形理論の修正 式を提案した. この式は非連成であるため解を求めることが比較的容易であり,
W ah 102) はB erger の手法を板の非線形振動問題に拡張して, 面内が拘束された 長方形板の大振幅振動を解析した . また , この簡単化された基礎式に基づいて R i tz法やG alerkin法を用いて解いた研究103・104)も行われているが, B erger の手法は面内可動周辺の板の非線形振動問題には適用できず, 一般的に使用する 場合にはある制限条件を設ける必要のあることがわかった71.72)
また, 初期たわみを有する薄板の曲げ振動に関する実験的研究は多少行われて いる105-107)が, 大振幅の非線形曲げ振動実験に関する研究107) はほとんど見当 たらない.
本章では, 非補強板の中央面に関して対称に補強された両面対称補強板に対し て, 第3章で得られた非線形自由振動特性を理論解析するためのモード方程式,
および第4章で説明した装置と測定方法で得られた非線形振動の実験結果に基づ いて, まず初期たわみのたわみ曲線 から曲率の減少する方向への振幅が曲率の増 加する方向への振幅よりも常に大きくなることを示す. 次に, 逐次近似法で求め た線形固有振動数に対する非線形固有振動数の比の近似 式は実験値とよく一致し,