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放射曲線辺を有する扇形板の振動に関する研究 学位論文内容の要旨

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Academic year: 2021

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(1)

博 士 ( 工 学 ) 田 中 克 明

学 位 論 文 題 名

放射曲線辺を有する扇形板の振動に関する研究 学位論文内容の要旨

  今日 の科 学技 術の 進 歩に よっ て, 各種 の機 械は 高速 化・ 高性 能化 の一 途を た どっ てい る .ま た, 省資 源や 省 エネ ルギ ーの 観点 から 軽量 化の 努カ もな され てい る. こ の結 果,

機 械や 構造 物の 振動 騒 音問 題は むレ ろ増 加す る傾 向に あり ,そ のた め, これ ら の動 特性 を 追求 する こと は工 学 的か つ工 業的 に重 要な こと であ る. 本論 文で は, 薄板 理 論に 基づ い て, 放射 曲線 辺を 有 する 片持 扇形 板の 振動 特性 を論 じて いる .こ のよ うな 曲 線辺 を持 つ 扇形 板は .通 信衛 星 のパ ラポ ラア ンテ ナ, 送風 機や 扇風 機の 羽根 ,プ ロペ ラ など ,産 業 界の 各分 野で 広く 用 いら れて いる 構造 要素 であ る. この ため ,こ れら の動 特 性を 論じ て いる 研究 もか なり あ るが ,そ の多くは放 射直線辺を有する扇形板に関するものであり,

支 持条 件も 半径 方向 や 円周 方向 が単 純支 持. ある いは 固定 され た扇 形板 に関 す るも ので あ る. これ に対 して 本 研究 では ,内 半径 が固 定さ れ, 他の すべ ての 辺が 自由 で ある 放射 曲 線辺 を有 する 片持 扇 形板 の振 動特 性を 解析 する .こ のよ うな 境界 条件 を持 つ 扇形 板に は 厳密 解が 存在 しな い ので ,数 値解 析や ,そ の他 の手 法に よっ て近 似解 を求 め なけ れば な らな い. ここ では , 半径 方向 のニ つの 辺が 曲線 辺で ある ため ,変 数変 換を 併 用し たり ッ ツ法 を用 いて 解析 を 行い ,自 由振動と定 常応答に関する数値計算を実施するとともに,

有 限要 素法 によ る結 果 や, 振動 実験 結果 との 比較 を行 うこ とに より ,本 解析 方 法の 妥当 性 を検 証し てい る.

  本 論 文 は 全 6章 で 構 成 さ れ て お り , そ の 概 要 を 以 下 に 述 べ る .   第1章 は 結 諭 で あ り . 本 研 究 の目 的と 意義 ,さ らに これ まで の研 究動 向と 各 章の 概要 を 述べ てい る.

  第2章 で は , 論 文 全 体 を 通 じ て用 いら れて いる 基礎 式を 与え てい る. はじ め に, 放射 曲 線辺 を有 する 扇形 板 の定 義と ,解 析に 用い られ る座 標変 換の ヤコ ビア ンに つ いて 述べ て いる .す なわ ち, 対 称あ るい は非 対称 な放 射曲 線辺 を有 する 片持 扇形 板に つ いて ,そ の 定義 式を 誘導 して い る. さら にこ れら の扇 形板 を単 位の 大き さの 外半 径を 持 ち, 放射 直 線辺 を有 する 扇形 板 に変 換す るため,変 換マトリックスの定式化を行っている.次に,

第4章 と 第5章 で 取 扱 う 変 厚 扇 形 板 とFRP積 層 扇 形 板 の 場 合 と の 比 較 を 可 能 と す る た め ,放 射曲 線辺 を有 す る片 持扇 形板 の自 由振 動と ,力 起振 ,な らび に変 位起 振 され たと き の定 常応 答の 定式 化 を行 なっ てい る・

  第3章 で は , 等 方 性 , 等 厚 で .対 称な 放射 曲線 辺を 有す る片 持扇 形板 と非 対 称な 放射 曲 線辺 を有 する 片持 扇 形板 の自 由振 動と 定常 応答 を解 析し ,以 後の 研究 の比 較 の基 準を 与 え て い る . ま ず . 対 称 な 放 射曲 線辺 を有 する 扇 形板 に関 して ,開 き角 (ロt)の 変化 に とも なう 放射 曲線 辺 の形 状の 変化 の様 子を 明か にし ,そ のと きの 固有 振動 数 を求 める と とも に, 扇形 板の 固 有振 動モ ード を与 えて いる .な お, 直線 辺を 有す る扇 形 板の 固有

(2)

値について,他の研究者の実験値との比較をおこない,本方法の妥当性を検討している.

また.対称で凸形に曲がった放射辺を有する片持扇形板の固定端に,面外調和起振変位 が作用するときの定常応答を求め,内部滅衰比&が小さいときには鋭い応答ピークが 現れるが,&が大きくなると応答ピークは鈍化すること,共振点は観測位置をかえて も変化しないが,反共振点はその位置によって変化すること,さらには定常応答の変位 振幅分布は自由振動モ―ドの節線によって分割された領域内に分布することなどを明ら かにしている.

  一方,非対称な放射曲線辺を有する片持扇形板の自由振動では,固定部の開き角を一 定(ロ=45°)として,先端部の開き角(a3)を変化させたときの扇形板の形状の変化 と,それに伴う固有値の変化を明らかにするとともに,非対称な放射曲線辺を有する扇 形板の振動モードを与えている.また,非対称な扇形板の定常応答では,任意の一点に 調和起振カが作用するときの,駆動点インピーダンスと変位振幅分布を求めている.そ の結果,減衰比刀が小さいとき鋭い応答ピークが現れるが,釘が大きくなると応答ピー クは鈍化すること,曲がり角ゼ3が大きくなると共振振動数は減少すること,起振点

(f|,ケ1)を変えても共振振動数はほとんど変わらないが,反共振点の振動数と変位振 幅分布は,かなり変化すること.また応答変位分布の極大値は固有振動モードの節線に よ っ て 分 割 さ れ る 領 域 の 数 に 対 応 し て 現 れ る こ と な ど を 明 ら か に し た .   第4章では,放射曲線辺を有する変厚片持扇形板について,対称と非対称な形状の扇 形板の自由振動と,面外調和起振変位を受ける場合の定常応答を,リッツ法を用いて解 析を行うとともに,数値計算を行った.このとき,板の曲げこわさを板厚の関数として 取扱うとともに,単位の大きさの外半径を有する扇形板に変換し,変厚扇形板のエネル ギーを評価することによって,運動方程式を誘導した.自由振動では,固定部の開き角,

あるいは,先端部の開き角を変化させたときの形状の変化の様子と,板厚比を変化させ たときの固有振動数の変化を調べた.また,板厚が固定端から自由端へ変化する,対称 と非対称な変厚扇形板の固有振動モードを,等厚の扇形板と対比して示した.次いで・

変厚片持扇形板の固定端に面外調和起振変位が作用するとき,対称,非対称の扇形板に ついて検討した結果,内部減衰比&と板厚が増加すると一般に応答変位は小さくなる こと,変位振幅分布は自由振動モードの節線によって分割される領域内に現れること,

さらに共振点は自由振動の固有値と一致し,反共振点は観測点の位置によって変化する ことなどを明らかにした.

  第5章で は, 軽量,かつ強靭性のために構造要素として広く用いられているFRP積 層扇形板の自由振動について論じている.ここでは,一方向に繊維強化されたラミナに よ って 対称 積層 され た4眉 のCFRP積 眉片 持扇 形板の自由振動を座標変換を併用した りッツ法によって解析を試みるとと・もに,有限要素法,ならびに加振実験と自由振動実 験を行っている.すなわち,標準形の積眉片持扇形板と非対称な放射曲線辺を有する積 眉片持扇形板について,有限要素法による解析では,汎用有限要素法解析ソフトウエア であるNISAIによって,実験では.加振器とレーザ変位計を用いて板の面外変位を計 測して振動モードを求めた.さらに自由振動実験では,FFTを用いて周波数分析を行 った.その結果,固有振動数に関しては,リッツ法と有限要素法による結果は良く一致 した.加振実験と自由振動実験の値は相互に良く一致しているが,計算で求めた値より も低くなる傾向にある.また,振動モードは3者とも良い一致が認められた.以上のこ とより,本解析手法の妥当性を検証することができた・

  第6章 は 本 論 文 の 結 論 で あ り , 各 章 で 得 ら れ た 成 果 を 取 り ま と め て い る .

(3)

学位論文審査の要旨

学位論文題名

放射曲線辺を有する扇形板の振動に関する研究

  

今 日の各種の機械は高速化・高性能化の一途をたどり、また省資源や省エネルギ―の 観点 から軽量化が図られている。この結果、機械や構造物に生ずる振動・騒音問題は増 加 の 傾 向に あ り 、 こ れ ら の 動 特 性 を 追 求す るこ とは 工学 的・ 工業的 に重 要で ある 。

  

本 論文は、薄板理論に基づいて、これらの構成要素である、放射曲線辺を有する片持 扇形 板の振動特性に関する基礎的な研究を行なったものであって、その主要な成果は次 の点に要約される。

  [1]

放射曲線辺を有する扇形板の定義と、これらの扇形板を、単位の外半径を持ち、放 射直 線辺を有する標準形の扇形板に変換するための変換マトリックスの誘導、さらには 放射 曲線辺を有する片持扇形板の自由振動と、カあるいは変位励振されたときの定常応 答の定式化を行ない、以後の解析の基礎となる式を与えた。

  [2]

等方で、一様板厚の、対称な放射曲線辺あるいは非対称な放射曲線辺を有する片持 扇形 板の自由振動と定常応答を、リッツ法を用いて解析し、曲線辺の形状が固有振動数 と振 動形、ならびに応答変位に及ぽす影響について論じた。さらに、標準形の扇形板の 固有 振動数について求めた結果を、他の研究者による数値結果との比較を行ない、用い た解析方法と得られた結果が妥当であることを示した。

  

[3 ]ついで、板厚が半径方向や円周方向に変化するときの、放射曲線辺を有する片持扇 形板の自由振動と板の固定端が面外方向に変位励振されたときの定常応答を、、リッツ法 によ り解析し、扇形板の固有振動数と振動形に及ぽす板厚変化の影響を明らかにすると とも に、板の内部減衰と厚さの変化がその応答に与える影響についても検討し、板の厚 さの変化が扇形板の振動特性に及ぽす影響を明らかにした。

  [4

]さ らに は、一 方向 に繊 維強 化されたFRP 積層片持扇形板の自由振動を座標変換を 併用 したりッツ法を用いて解析するとともに、有限要素法や振動実験の数値との比較・

検討 を行ない、固有振動数に関しては有限要素法による結果と、振動モードについては 両 者 の 結果 と 良 く 一 致 す る こ と を 確 認 し、 本解 析法 の有 用性 ・妥当 性を 検証 した 。

  

こ れを要するに、著者は、放射曲線辺を有する片持扇形板の振動解析法と振動特性を

元 也

   

   

田 田

山 岸

授 授

教 教

査 査

主 副

(4)

論じたものであり、この種の構造要素の振動解析上有益な知見を得ており、機械振動学 の進歩に貢献するところ大なるものがある。

  

よって著者は、北海道大学博士(工学)の学位を授与される資格あるものと認める。

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