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WGM誘電体準円板共振器の共振特性に関する研究

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Academic year: 2021

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(1)

宇都宮大学教育学部紀要

第64号 第2部 別刷

平成26年(2014)3月

WGM誘電体準円板共振器の共振特性に関する研究

松 原 真 理

菊 池 貴 大

苫米地 義 郎

(2)

dielectric semi - disk resonator

(3)

51

We propose a whispering gallery mode (WGM) dielectric semi- disk resonator for improving excitation efficiency. The form of this resonator has a short strait portion near an external circuit and look like a track for a athletics field. In this paper, we present measurements of the resonance frequency and Q value by using various form resonator. As a result of that, we find Q value of a part of the semi-disk is higher than a disk resonator.

1. まえがき

 現在,携帯電話や地上デジタル放送などの通信に使用されている周波数は,主に3GHz~30GHz のマイクロ波帯である(1).しかし,電波は無限ではないため周波数帯域の枯渇化(2)が生じてしま い,電波障害などの様々な問題が起きる.そこで,現在使用されているマイクロ波帯よりも高い帯 域である30GHz~300GHzのミリ波帯の利用が期待されている.  ミリ波は,簡易無線や高速無線LAN,自動車レーダーの他,マンションやアパートのテレビ共 同受信システムとしての利用が期待されている(3).このシステムは,屋上にミリ波送信機を設置 し,各部屋のベランダの受信機で電波を受信し地上デジタルやBS・CSを視聴することができる. このように,ミリ波を利用した通信技術は,今後増えていくと思われる.  ミリ波帯での通信システムの構築には,周波数フィルタの開発が必要である.しかし,マイクロ 波帯で用いられている共振器は,定在波共振を利用した遮蔽金属をもつ構造である.これを高い周 波数であるミリ波帯に用いると損失が大きくなる.そこでミリ波の通信を実現するために研究され ているのが,ウィスパリングギャラリーモード(以下WGモード)という進行波共振を利用した共 振器である.  WGモードは共振器の周に沿って進行する電磁波が,一周して戻ってきた時の位相差が2πの整 数倍になった時に共振するモードのことを言う.共振器内の電磁エネルギーは周付近の狭い部分 に蓄えられ,周波数が高くなるほど共振器外へのエネルギーの漏れは小さくなる.このようにWG モードは微小な領域にエネルギーを効率よく閉じ込めることができるので,光ファイバ(4)や全光型 マイクロサイズデバイス(5)など様々な分野でも研究されている.しかし,このエネルギーを内部に 閉じ込めてしまうという特徴は,共振器を励振したり,エネルギーを取り出しにくいというデメ リットがある.共振器の励振効率を良くするためには様々な方法があるが,共振器と導波路の結合 部を長くすると良い.今回,円板を変形させて道波路との結合部を長くした共振器を提案する.こ *¹ 宇都宮大学  *² 宇都宮大学教育学研究科

WGM誘電体準円板共振器の共振特性に関する研究

Research on the resonance characteristic of a WG Mode

dielectric semi - disk resonator

松原 真理

*1

, 菊池 貴大

*2

, 苫米地 義郎

*1

(4)

の共振器の共振特性を実験的に求めたので報告する.

2. 準円板共振器について

 これまで本研究室において,円板共振器と道波路の結合部を長くし励振効率が向上するかどうか を確かめる研究を行ってきた(6).本研究では,図1のような陸上のトラック型のような誘電体準円 板共振器を提案する.これは,導波路と共振器の結合部を平行して長くすることにより,励振効率 が良くなることが期待される. 図1 本研究におけるWGモード準円板共振器  今回,この共振器を用いて,共振周波数の測定と負荷Q値及び無負荷Q値の測定を行った.測定 諸元を表1に示す.測定には,6種類の共振器を用いた.厚さと半径を一定とし,直線部の長さを 0~15mmまで3mmずつ変化させ,道波路と共振器の間隔dも0.5~4.0mmまで0.5mmずつ変化さ せた.なお,今回はWGEモードについて行った. 表1 共振器の測定諸元

材質

四フッ化エチレン

サイズ

[mm]

厚さ

6

半径R

44

直線部L

0,3,6,9,12,15

周の長さ

282.46~306.46

比誘電率

2.05

3. 共振周波数の測定

 共振周波数の測定回路と測定装置の写真を図2に示す.発振器から出力された電磁波は,増幅器 によって増幅され,励振用導波路を通る.そこで励振された電磁エネルギーが共振器内に蓄えられ 検出用導波路に移る.その後,ネットワークアナライザーの入力端へ入り,アナライザ表示部で共 振波形が表示される.パソコンのエクセルにこのデータを取り込みグラフにすることで,アナライ ザ表示部で表示された共振波形と同じものがパソコン内で表示可能となる.

(5)

53  まず,円板共振器(L=0)の共振波形の一部を図3に示す.図中縦軸が透過電力[dB],横軸 が周波数[GHz]である.透過電力が高くなっている周波数が共振周波数である.周波数が高くな ると共振周波数の間隔が若干狭くなり,共振波形が鋭くなるということも分かった. 図2 測定回路及び測定装置 図3 共振波形 -40 -35 -30 -25 -20 -15 -10 -5 0 [d B ] [GHz]

(6)

 次に,間隔dを一定とし直線部Lの長さを変化させたときの共振波形を測定した.縦軸が透過電 力[dB],横軸が周波数[GHz]である.その結果の一部を図4に示す.円板よりもL=3mmと 6mmの方が透過電力のピークが高くなることも分かった.透過電力とは,エネルギーの乗り移り の程度であり,透過電力のピークが高いほど乗り移りが良いことになる.よって,準円板の方がエ ネルギーがより多く乗り移っているため円板よりも良いと考える. なお,直線部L=12mm以上の 時は円板よりも透過電力が低くなった. 図4 直線部Lを変化させたときの共振波形(d=2mm)  次に,直線部Lの長さを一定とし間隔dを変化させたときの共振波形の比較を行った.その結果 の一部を図5に示す.この結果は,直線部L=3mmの場合である.間隔dを変化させても共振周波 数は変化せず,間隔dが広くなるにつれて透過電力が下がることが分かり,直線部Lを変えた全て の共振器において同様の結果が得られた.間隔dが1mm未満と4.5mm以上においては出力波形が 乱れてしまった.よって,本研究の準円板共振器では,間隔d=1~4mmが適していると判断し た. 図5 間隔dを変化させたときの共振波形(L=3mm) -45 -40 -35 -30 -25 -20 -15 -10 -5 0 30 31 32 33 34 35 36 [d B ] [GHz] L=0 L=3 L=6 -60 -50 -40 -30 -20 -10 0 30 31 32 33 34 35 36 [d B ] [GHz] d=1 d=2 d=3

(7)

55

4. Q値の測定

 Q値とは,誘電体円板共振器の性能の良し悪しを判断する材料の1つである.共振器固有のQ値 が無負荷Q値,共振器を励振するために用いられる外部回路の特性を含んだQが負荷Q値である. Q値が高い方が共振器として適している.図6は,共振波形の一部分である.波形から,f0~f2を求 めそれぞれの算出式(7)~(9)に代入することでQ値を求めることができる. 図6 共振波形(共振周波数)  各共振器における間隔dを変化させたときの負荷Q値,無負荷Q値の測定を行った.また,共振 周波数の測定結果より直線部L=0~9mmの準円板共振器についてのみ測定を行った.  まず,負荷Q値の比較の結果を図7に示す.縦軸が負荷Q値,横軸が間隔d[mm]である.図より, 円板共振器よりも準円板共振器の方が高い負荷Q値を示していた.間隔ごとに見ると,間隔dが1 mmと1.5mmで直線部L=9mmの準円板,間隔dが2mmと2.5mmで直線部L=6mmの準円板,間隔 dが3mm~4mmで直線部L=3mmの準円板が高い負荷Q値を示すことが分かった.よって,間隔 dが広くなるにつれて直線部Lが長い準円板共振器の方が高い負荷Q値を示すことが分かった. 図7 円板共振器と準円板共振器の負荷Q値の比較 500 1000 1500 2000 2500 3000 1 1.5 2 2.5 3 3.5 4 Q [mm] 3mm 6mm 9mm Q 7 Q 8 9 1 2 0 l

f

f

f

Q =

a

Q

Q

=

l

1

0 20

10

IL

a =

f1 f0 f2

(8)

 次に,無負荷Q値の結果を示す.無負荷Q値も同様に,準円板共振器の方が高い値を示していた. 間隔ごとに見ると,間隔dが1mmで直線部L=9mmの準円板,間隔dが1.5mm~2.5mmで直線部L= 6mmの準円板,間隔dが3mm~4mmで直線部L=3mmの準円板が高い無負荷Q値を示すことが 分かった.また,負荷Q値と同様に間隔dが広くなるにつれて直線部の長さは短い準円板共振器が 高い無負荷Q値を示すことが分かった. 図8 円板共振器と準円板共振器の無負荷Q値の比較  それぞれのQ値の結果から,直線部Lが3~9mmの準円板共振器は共振器として有効であり, L=3.0[mm]の準円板共振器は,d=3.0~4.0[mm] L=6.0[mm]の準円板共振器は,d=2.0~2.5[mm] L=9.0[mm]の準円板共振器は,d=1.0~1.5[mm] でそれぞれ適していると判断した.

5. まとめ

 本論文では,励振効率を良くするために誘電体準円板共振器を提案した.その最適形状や道波路 の配置場所を決定するための設計指針を得るため,共振周波数の測定及びQ値の測定した.その結 果,準円板のほうが円板よりも高いQ値が得られた.今後の予定としては,電磁会分布の測定を行 い共振次数の比較などを行う.その結果から,準円板共振器の最適な共振器の形状や道波路の配置 場所を考察していく.

6. 参考文献

(1)総務省 電波利用ホームページ:http://www.soumu.go.jp/ (2)NICT 独立行政法人 情報通信研究機構:http://www.nict.go.jp/ (2012) (3)受信サービス株式会社:http://www.jushin-s.co.jp/60ghz.html (2009) (4)荒井氏他:“半径5mmでの曲げ損失を低減した光ファイバの光学特性”,2011 Vol.1 フジクラ   技報 第120号 (5)山口氏:“ウィスパリング・ギャラリー・モードを介した線形ならびに非線形マイクロ微小球 500 1000 1500 2000 2500 3000 3500 1 1.5 2 2.5 3 3.5 4 Q [mm] 3mm 6mm 9mm

(9)

57

  による全光型マイクロデバイスの開発”,Annual Report No.25 2011

(6)安野剛史:“結合部の長さを考慮した誘電体円板共振器の共振特性の実験的解析”,宇都宮大学   教育学部学校教育教員養成課程教科教育コース技術教育専攻 (2011)

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参照

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