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戸=0.83

5.6 結 言

本章では, 初期たわみを有する両面対称補強板について, 線形振動実験を行っ て固有振動モードと線形固有振動数を測定し, 解析結果と比較して理論の妥当性 を検証した. また数値計算を行い, 初期たわみの大きさ, 補強材と板の質量比や 剛性比が補強板の線形固有振動数に及ぼす影響を検討した. 得られた結果を要約 すると次のとおりである.

( 1

) 9項モード近似を用いた線形固有振動数と固有振動モードの理論値は,

補強材本数に関係なく実験値とよく一致する. したがって, 理論解析で使用した

smeared out法は初期たわみを有する両面対称補強板の自由振動問題に対して有

効な手法である.

( 2

)周辺固定板では, 面内可動周辺よりもむしろ面内不動周辺の方が実際に

近い境界条件を実現する.

( 3

)板中心軸に関して逆対称な形を伴うモードでは, 初期たわみの大きさが

固有振動モードに及ぼす影響は小さい.

( 4

)補強材配置による直交異方性が固有振動モードに及ぼす影響は, 初期た

わみが大きくなると顕著に現れる.

( 5 )線形固有振動数は初期たわみが大きな補強板ほど高くなり, その増加の 度合は振動モードによって異なる.

( 6 )線形固有振動数は, 補強材の質量を板のそれで割った質量比が小さく,

同様な伸び剛性比, 曲げ剛性比およびねじり剛性比が大きな補強板ほど高くなる.

( 7

)線形固有振動数は, 面内不動周辺の場合が面内可動周辺の場合よりも常

に高い値となる. ただし, 逆対称な形を伴う振動モードでは, 面内境界条件には 無関係となった.

105

-気雪6書室 存可E百文寸不か手甫ヲ怠�反Q:) 3�三系泉汗22主辰重力

6

.1 緒 言

薄板の非線形曲げ振動問題に関しては, 1956年にH errmann89)が有限変形に関 する von K ármánの式に横方向慣性力を考慮に入れて修正した基礎式を確立して 以来, 多くの研究がなされてきた. 例えば, 種々の境界条件および荷重条件の下 での等方性長方形板の非線形曲げ振動問題がR i tz 法またはG alerkin法で解か れており90一"にさらに初期たわみを考慮した研究95-97)や, 直交異方性板を取 り扱った研究98-101>も見受けられる.

一方 , B erger70)は板の大たわみに対する von K ármánの式が非線形である上 に連成項を含むので, それらの解が複雑となるという困難さを避けるため, 板中 央面のひずみの2次の不変量によるひずみエネルギが1次不変量の2乗によるひ ずみエネルギに比べて無視できる, という仮定に基づいた静的非線形理論の修正 式を提案した. この式は非連成であるため解を求めることが比較的容易であり,

W ah 102) はB erger の手法を板の非線形振動問題に拡張して, 面内が拘束された 長方形板の大振幅振動を解析した . また , この簡単化された基礎式に基づいて R i tz法やG alerkin法を用いて解いた研究103・104)も行われているが, B erger の手法は面内可動周辺の板の非線形振動問題には適用できず, 一般的に使用する 場合にはある制限条件を設ける必要のあることがわかった71.72)

また, 初期たわみを有する薄板の曲げ振動に関する実験的研究は多少行われて いる105-107)が, 大振幅の非線形曲げ振動実験に関する研究107) はほとんど見当 たらない.

本章では, 非補強板の中央面に関して対称に補強された両面対称補強板に対し て, 第3章で得られた非線形自由振動特性を理論解析するためのモード方程式,

および第4章で説明した装置と測定方法で得られた非線形振動の実験結果に基づ いて, まず初期たわみのたわみ曲線 から曲率の減少する方向への振幅が曲率の増 加する方向への振幅よりも常に大きくなることを示す. 次に, 逐次近似法で求め た線形固有振動数に対する非線形固有振動数の比の近似 式は実験値とよく一致し,

- 106

-初期たわみを有する補強板の非線形振動問題にも十分適用可能であることを確認 する. また, 板の中心軸に関して逆対称な形を伴うモードの振動は, 常に固有振 動数が振幅の増加につれて高くなるharde ning s p r ing t ype となるが,対称な ssモードの低次振動では初期たわみの値が大きくなると, 固有振動数が振幅の 増加につれて低下する softening spring type の振動が現れることを述べる.さ らに数値計算を行って, 振動数比の振幅依存性は曲げ剛性比とねじり剛性比が大 きな補強板ほど小さくなることを示す.

- 107

-6.2 振動変位

初期たわみを有する補強板の非線形曲げ振動に対するモード方程式は, 一項モ ード近似を用いれば式(3.50)で与えられた. 前章でも述べたように, 両面対称補 強板の場合には曲げと面内伸びの連成がなくなり, 式(3.50)のモード方程式は次 のように簡単となる.

一一 ー一 一-

2

-一守

Amn,ττ+ Vl・Amn+ V2'Am� + V3・Am�=0

ここで

V1=π4{bhmn + (1μmn+ A・1 V mn ) B 2 } / { ( 1 + 五 ) qmn}

V2=π4(2μmn+ A・2V mn ) Z mn B / {( 1 + 五 ) qmn}

V3=π4(3μmn+ A・3Vmn)Z : n/{( 1 + 五 ) qmn}

(6. 1 )

(6.2)

ただし, V1の中のbhmnは付録Wのhmnで, 非補強板の中央面から補強板断面の 中立軸までの距離c s , C rおよび無次元連成剛性γを0とおいた係数である. こ こでいま, とくに初期たわみのない基本振動を考え, 式(6.2)でm=n=l.B=

0, かっk11=0 , Z11=1/4とおけば式(6.1)のモード方程式は, q11=9である ことを考慮すると

l+p 一. ー 1

9ーァAll,τT+ bh 11・All+一(3μ11 + A・3V11) A

J

=0

π� 1 6 (6. l' )

と表される. このとき, 3μ11と3Y 11に含まれる伸び剛性比αsr , αrsとbh11の

中のねじり剛性比βsrを0とおけば, 式(6.1' )は直交異方性の補強板の基本 振動 に対して Prathapら64} が補強材の面内せん断剛性とねじり剛性を無視して求め た周辺固定板の式と一致する. さらに単純化して等方性板とした場合, 式(6.l' ) から得られるモード方程式は八巻77)の周辺固定板の式と一致する.

式(6.1 )のモード方程式は振動変位Aの2乗の項を含んでいるため, 3.7節で も述べたように初期たわみのたわみ線から曲率の増加する方向への振幅A1 と曲

108

-率の減少する方向への振幅A2ではその値が異なったもの になる. このことをわか りやすく説明するために, 初期たわみとこのたわみ線からの振幅を無次元化して

示したものが図3 .1であったが, ここではまず無次元振幅A1= A1/ hとA2=

A2/hの大小関係について考えてみる. ただし,At� 0 ,A2ミ0である.

式(6.1 )のモード方程式は, いわゆるエネルギ積分によって

1

-:- 2

1

-:- 2

1

-:- 3

1 - 4

τAmn,T+7U1・Am�+-:- V2・Am�+-:- V3・Am�= V 2 2 3 4 (6.3)

と変形で きる. ただし, Vは振動系の全エネルギである. Amn = A1とAmn=-A2のときAmnパ=0であるから, 式(6.3)は振幅A1とA2で、表せば

1

-2

1

-3

1 -4 1

-2

1

-3

1 -4

- V lA1 +-v2At +-v3At =-v lA2一一v2A2+-v3A2 = V

2 3 4 2 3 4

となるが, これを書き換えると

-:-2 -:-2,

1 1 ,

--:--2 --:--2..

1 .

-3 -3 (A2-A1) { -U 1+-U3(A2+A1)}= E U2(A2+A:)

2 4

(6.4)

(6.5)

になる. 本式の左辺では係数V3が初期たわみB を含まず, VlにはB2が含まれる.

そして一方の右辺ではその値が振幅A

;

ないしA

h

こ比例して増大し, しかもこの ときの比例係数V2はBに比例して増大する.したがって,Bの増加にともない玄2 とA1の差は増大し, 併せてこの差はA2ないしA1の増加によっても大きくなる.

また, 式(6.5) では各物理量は正の実数を表すので, この式が成立するためには

A1 �三A2あるいはA1/A2;:S 1

(6.6)

でなくてはならない. すなわち,

B

= 0でV2ニOとなるので, A2 = A1が得られ る初期たわみのない場合を除けば, 曲率の減少方向への振幅A2は曲率の増加方向 への振幅Al よりも常に大きいことになる.

- 1 09

-実験では, 加振力の大きさを適当に設定することにより, 振動振幅を変えて板

中央点の振動変位を測定した. その結果の例として, 図6.1 に補強材が格子状 に各5本配置された二方向補強板, 図6.2 に補強材がx軸方向のみに配置され た一方向補強板で測定した, 4種類の振動振幅での振動変位を示す. まず(a )図 の初期たわみのない補強板は振幅の大きさが等しいA1= A2の振動を行っている のに対し, (b)図と(c )図の初期たわみを有する補強板は初期たわみのたわみ線

近傍で安定な周期振動を行い, しかも曲率の減少方向への振幅A2が曲率の増加方 向への振幅A1よりも常に大きくなり, その差は初期たわみBの値が大きくなるほ ど増大している. また, 一方向補強板では振幅が大きくなると補強材の回転運動 により曲げとねじりの連成振動が現れるためか, 振動変位がきれいな正弦波形と はならない場合もあった.

次に, 曲率の減少方向への振幅A2と増加方向への振幅A1の関係をより明確に するために, 振幅A2=A2/hに対するA1/A2 の関係を示したものが図6.3 と図6.4で, 図中のO印は実験の振動波形から読み取った値, 破線と実線は式 (6.4) で計算した面内可動周辺と面内不動周辺の理論曲線である. これらの図に よれば, 常にA1/A2.�三1の関係が成立し, しかも振幅A2の増加につれてA2と A1 の差が増大していくことがわかる. また, 実験値は初期たわみが大きくなる

と理論曲線に比べてA2とA1の差がより大きく現れ, その傾向は図6.4 の一方 向補強板の場合が顕著である. これは, 初期たわみの大きな補強板ほど振幅が増 加するにつれて周辺固定の境界条件を満足し難くなり, しかも一方向補強板では 非補強部が薄い曲面帯板となるため, 理論解析で置き換えた直交補強板に比較し てより一層曲率の減少方向へ振動しやすくなるためと思われる.

- 110

--0.8 E4.6 ニ-0.4 ミー0.2

0

0.2 0.4 0.6 0.8

-0.8 24.6 ニー0.4 ミ-0.2

0

0.2 0.4 0.6

-0.8

� -0.6 (ー0.4

+--'

-0.2

司 0

0.2 0.4 0.6

(

a

) B=O

(b) B=1.95

(c) B=3.70

図 6 .1 板中心点の振動変位(二方向補強板, n = 5本)

111

-15

-0.8

� -0.6 .--

-0.4-→._J

三一0.2

0

0.2 0.4-0.6 0.8

-{).8

E4.6

二一0.4-�

-0.2

0

0.2 0.4-0.6

-0.8

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