UXデ ザ イ ンの ため の
ユー ザ満 足度 の評価構 造 に関す る研 究
2021年3月
京都女子大学大学院 家政学研 究科 生活環境学専攻
土井 彩容子
Research ontheEvaluationMechanismofUser SatisfactionforUXDesign
March2021
KyotoWomen'sUniversity GraduateSchoolofHomeEconomics,LivingEnvironment
SayokoDoi
Copyright◎2021bySayokoDoi Allrightsreserved
概要
本 研 究 で はユ ー ザ満 足度 の評価 構 造 に 関す る研 究 を行 った.本 研 究 の 目的 はUXデ ザ イ ンを行 う際 のユー ザ満 足度 の 向上 に寄 与す る知 見 を得 る こ とで ある.本 研 究 で扱 うユ ー ザ満 足度 の評 価構 造 とは、大 き く2つ の意 味 を含 む.1つ 目の意 味 は"各 で き ご とに対 す る瞬 間的 な満 足度 の評 価"で あ る.ユ ー ザ に対 して どの よ うなで き ご とが発 生 した場 合,ど の よ うな感 情 が生 起す るの か,そ の 関係 につ いて2つ の調 査 を行 った.2つ の調査 とは,① テ キ ス トデ ー タを用 いた 文脈 的 な視 点 の分析 に よ りそ の特徴 や構 造 を把 握 す る 調査 と②感 覚 に基 づい た感性 的 な視 点 で の分析 か らUXデ ザイ ン時 に参 照 で き る評 価項
目を検 討す る調 査 で あ る.ユ ー ザ満 足度 の評 価構 造 の2つ 目の意 味 は"あ る一連 のエ ピ ソー ドを終 えた時 点 での総 合 的 な満 足度 の評 価"で あ る.ユ ー ザが あ る対象(製 品,シ ス テ ム そ してサ ー ビス)に 対 して総合満 足 度 を評価 す る現象 につ いて2つ の調 査 を行 った.
2つ の調 査 とは③ 時 系列 の満 足度 評価 か らみ た総合 満 足度 に影 響 を与 えて い る要 因 を把 握 す る調 査 と④ ユー ザ が認識 す る満 足 ・不満 足 の決 め手 につ いて使 用 年数 との 関係 を明 らか にす る定性 的 な調 査 で あ る.こ れ ら4つ の調査 を経 て本研 究 で はユー ザ満 足度 の 向 上 に寄与す る知 見 をま とめた.
ヰ』 ワ ー ド'
UX(USθrExρ θriθllee?,UserSatisfaetion,ク グ テ ィ カ ノ〃 ・イ ン シ デ ン み滋 乙灰 就 どo一 ク ・エ ンA"の 顔%/val(Z・ 不 齪 の 次 め 手
Abstract
Thisstudyaimstostudytheevaluationmechanismofusersatisfactionandto o『btainknowledgeonhowtoimproveusersatisfactionwhendesigningfbrUX.Inthis study,theevaluationmechanismofusersatisfactionhastwomainthemes.Thefirst themeisthemomentary‑evaluationofusersatisfaction.Twosurveyswereconducted toexaminetheinterrelationshipsbetweeneventsandemotionsthathaveoccurredin theuserexperience:(1)Thefirstsurveyistograspthecharacteristicsandstructure oftheevaluationstructureofusersatisfactionwithcontextualviewpointsusingtext dataofquestionnaire,whereas(2)thesecondsurveyistoexaminetheevaluation guidelinefbrdesigningfbrUX,whichhasanemotionalviewpointbasedonthe impressionthatuserhasreceived.Thesecondthemeistheoverallevaluationat finishingaseriesofsatisfactionepisodes.Bothsurveyshaverevealedthemechanism ofuser'soverallevaluationsf()rthesubjects(product,system,andservice)thathave beenconducted.Ononehand,fromexaminingamultipleregressionequation,(3)
thefirstsurveyistograspthefactorsthatinfluenceoverallsatisfactionfromthe time‑seriessatisfactionevaluation.Ontheotherhand,(4)thesecondsurveyisto examinetheusers'cognitivedecisionfactorsofsatisfactionanddissatisfaction.
Moreover,therelationshipsbetweenthesedecisionfactorsandtheyearofusewere examined.Thesefbursurveysprovidedfindingsthatcontributetotheimprovement ofusersatisfaction.
Keyvvordsノ
UX6酷 α 疎Pα 蜘oθ,砺 α5盈 譲o血 砿Critieallllctのde・ ・tTeehnique,SixSenses O!乙IXalldTenemo〜fions,〜lhe」Pea」k‑EndRu7e,the刀eciding」FaetorOfSatisfactioll
andDissatisfaction
目次
概要
キ ー グ ー み"ノ
[り[り
Abstract KeymOTds‑e
ρ0ρ0
目次 7
1章 序 論 一UXデ ザ イ ン の た め の ユ ー ザ 満 足 度 の 評 価 構 造 を 研 究 す る 意 義 一...11
1.1.研 究 背 景 1.2.問 題 提 起 1.3.研 究 目 的
1.4.本 研 究 の ア プ ロ ー チ
1.4.1.本 研 究 に ま つ わ る研 究 領 域 1.4.2.本 研 究 に お け る3つ の 方 法
1.4.3.対 象 とす る 製 品 ・サ ー ビ ス の 範 囲
1.4.4.UX白 書 の"時 の 経 過 に ま つ わ るUX"か ら み た 本 研 究 と各 章 の 位 置 づ け 18
∩∠34﹁0﹁0ρ07
1ームー1占‑1占‑1占‑1占41⊥‑1占
1.5.本 論 文 の 構 成 1.6.用 語 の 定 義 1.7.参 考 ・引 用 文 献
Qゾー⊥9自‑⊥94∩∠
2章 ユ ー ザ エ ク ス ペ リ エ ン ス(UX)に つ い て 一 先 行 研 究 の 確 認 一 25
2.1.各 有 識 者 に よ るUXの 定 義 2.2.ヒ トの 欲 求 とUXの 関 係 性 2.3.認 知 的 メ カ ニ ズ ム の 解 明
2.4.UXに 関連す るマー ケ テ ィ ング研 究 と行 動経 済 学研 究
2.5.参 考 ・引 用 文 献
ρOQゾー⊥ρOOO∩∠943003
3章
とと感 情 の関係 の理解
製 品 ・サ ー ビス の利 用経 験 にお け るユー ザ満 足度 の評価 に影 響 を与 え るで き ご
40
景的背目
‑⊥∩
000 ‑⊥∩44
3.3.1.ア ン ケ ー ト 内 容 3.3.2.調 査 協 力 者
3.3.3.調 査 対 象 の 製 品 ・サ ー ビ ス 3.3.4.分 析 方 法
3.4.調 査 結 果 と 考 察
3.4. 1.得 られ た 回 答 に 対 す る カ テ ゴ リ分 類 の 結 果
3.4.2.単 語 の 頻 出 語 か ら み た で き ご と と感 情 の 関 係 に つ い て の 結 果 と 考 察45 (1)単 語 の 上 位 頻 出 語 に 関 す る 結 果 と 考 察45
(2)多 変 量 解 析 を 用 い た で き ご と と感 情 の 関 係 に つ い て の 結 果 と考 察...47 3.4.3.DEMATEL法 を 用 い た で き ご と と感 情 の 構 造 に 関 す る 結 果 と 考 察...50
(1)DEMATEL法 に よ る構 造 図 の 作 成50
(2)各 カ テ ゴ リ のDEMATEL法 に よ る 構 造 図 の 結 果 と 考 察51 (2‑1)ネ ッ トワ ー ク サ ー ビ ス カ テ ゴ リ52
(2‑2)家 電 製 品 カ テ ゴ リ53 (2‑3)生 活 用 品 カ テ ゴ リ
∩∠33344444444
(2‑4)ア ク テ ィ ビ テ ィ カ テ ゴ リ (2‑5)接 客 カ テ ゴ リ
(3)価 値認 識構 造 図 の理解 3.5.総 合 的 考 察
3.6.結 論
3.7.参 考 ・引 用 文 献
4﹁0ρ07Qゾ00[0[0[0[0[0ρ0ρ0
4章 体験 による感覚 と感 情の関係か らみたユーザの満足度向上 に寄与す る評価項 目 の把握62
4/丁/丁
1.背 景 2.目 的 3.調 査 方 法
4.3.1.ア ン ケ ー ト 内 容 4.3.2.調 査 協 力 者
4.3.3.調 査 対 象 の 製 品 ・サ ー ビ ス
4.3.4.分 析 方 法
4.4.調 査 結 果
4.4.
4.4.2.
分 析)の 結 果
4.5.考 察
1.評 価項 目の検討 対 象 となっ た製 品 ・サ ー ビス の結果
評 価項 目検 討 の た めの多変 量解 析(コ レスポ ンデ ンス分 析 、ク ラス ター
68
333344577666666666
4.5.1.ネ ッ トワ ー ク サ ー ビ ス カ テ ゴ リ の 評 価 項 目 の 検 討 4.5.2.家 電 製 品 カ テ ゴ リの 評 価 項 目 の 検 討
4.5.3.生 活 用 品 カ テ ゴ リの 評 価 項 目 の 検 討
001⊥9自ワご7ワご7ー
4.54.カ テ ゴ リ問 の 比 較 考 察
4.55.第3章 で 得 ら れ た 知 見 と の 比 較 考 察 4.6.結 論
4.7.参 考 文 献
344﹁07777ー
5章
影響 を与える要因の把握
スマ ー トフォ ンアプ リを対象 とした 時系列 の満 足度 評価 か らみた総 合満 足 度 に
77
景的査1234査察論背目調・調考結
‑⊥9400●4﹁0ρ07
にU只UにUにU反UにU反U
方 法 3.
3.
3.
3
結 果
ア ンケー ト内容
調査協力者
調 査対 象 とな るスマ ー トフォ ンアプ リ
分析方法
参考 ・引用文 献
8999111567877778888888
6章
関係 の把握
スマ ー トフォ ンアプ リのユー ザ が認 識 す る満 足 ・不満 足 の決 め手 と使用 年 数 の
90
景的査1・23・4
背目調'.'
00000000L2一3aaaaaaa
旅 調
ア ンケー ト内容査協力者
調 査対 象 とな るスマ ー トフォ ンアプ リ
分析方法
(1)満 足 ・不 満 足 の"決 め 手 の 上 位 項 目"の 検 討
(2)満 足 ・不 満 足 の"決 め 手 の 上 位 項 目"と 使 用 年 数 の 関 係 の 検 討 6.4.
6.4.回 答 さ れ た ス マ ー ト フ ォ ン ア プ リの ジ ャ ン ル の 分 類 結 果 6.4.満 足 ・不 満 足 の"決 め 手 の 上 位 項 目"の 検 討 結 果
(1)満 足 の"決 め 手 の 上 位 項 目"に つ い て の 考 察 (2)不 満 足 の"決 め 手 の 上 位 項 目"に つ い て の 考 察
6.4.3.満 足 ・不 満 足 の"決 め 手 の 上 位 項 目"と 使 用 年 数 の 関 係 の 把 握...
調査結果 と考察
12222233333456789999999999999999
(3)ス マー トフォ ンア プ リの ジャ ンル と使 用年 数 の 関係 の結果 と考察(補 足 分析) 102 6.5.総 合 的 考 察
6.6.結 論
6.7.参 考 文 献
107 108 109
7章 総括 111
1777
ま と め
1.1.各 章 の ま と め
1.2.本 研 究 で得 られ た知 見 のま とめ
(1)第3章 よ り得 られ た評 価 の特 徴 に 関す る知 見 の ま とめ
(2)第4章 よ り得 られ たユ ーザ満 足度 の向上 に寄 与す る評 価項 目の ま とめ...118 (3)第5章 よ り得 られ た 時系 列 の満 足度 評 価 か らみ た 総合 満 足度 に影響 を与 え る 要 因 のま とめ11g
112 112 113 113
(4)第6章 よ り得 られ た ユー ザ が認 識 す る満 足 ・不満 足 の決 め手 に関す るま とめ 121 7.2.本 研 究 の 今 後 の 課 題 と展 望
7.3.参 考 文 献
123 124
研究業績
125学術論 文(査 読 あ り) 学術論 文(査 読 な し)
国際会議
国内口頭発表
125 125 125 125
謝辞
126付録
A.3章 で 用 い た ア ン ケ ー ト用 紙 B.4章 で 用 い た ア ン ケ ー ト用 紙 C.5章,6章 で 用 い た ア ン ケ ー ト用 紙 D.6章 で 用 い た ア ン ケ ー ト用 紙 E.3章 価値 認識 構 造 図
ネ ッ トワ ー ク サ ー ビ ス カ テ ゴ リ 家 電 製 品 カ テ ゴ リ
生活 用 品カテ ゴ リ ア ク テ ィ ビ テ ィ カ テ ゴ リ 接 客 カテ ゴ リ
78025770234223333344441⊥‑⊥‑⊥‑⊥‑⊥‑⊥‑⊥‑⊥‑⊥‑⊥‑⊥
1章 序 論
一UXデ ザ イ ンのた めの ユー ザ満 足度 の評 価構 造 を研 究す る意 義 一
1.1.研 究 背 景
UX(UserExperience,以 下UXと 明 記 す る)と は ユ ー ザ が 経 験 す る こ と,つ ま り, ユ ー ザ と製 品,サ ー ビ ス,ブ ラ ン ド,あ る い は 企 業 と の イ ン タ ラ ク シ ョ ン の あ ら ゆ る 側 面 の こ と を 意 味 す る(詳 し い 定 義 に つ い て は1.6節,2.1節 参 照 の こ と).UXは2000年
頃 か ら 注 目 され る よ う に な り,マ ー ケ テ ィ ン グ,サ ー ビ ス デ ザ イ ン,感 性 工 学,Human CenteredDesign(HCD:人 間 中 心 設 計)やInfbrmationandCommunicationTechnology
(ICT:情 報 通 信 技 術)な ど多 く の 分 野 と 関 わ り な が ら発 展 し て き た 分 野 で あ る[1‑3].
UXが 重 要 視 さ れ る よ う に な っ た 背 景 を 確 認 す る.戦 後 の 復 興 の 中 で 大 量 生 産 ・大 量 消 費 に 始 ま り,海 外 か ら の 輸 入 増 加 に 伴 う海 外 の 生 活 様 式 の 浸 透 や モ ダ ニ ズ ム へ の 憧 れ[4], 現 在 に お け る 「自 分 ら し さ 」 へ の 追 求[51な ど,消 費 者 が 自分 た ち の 生 活 を 豊 か に す る た め に 消 費 す る モ ノ ・コ トが 変 化 し,さ ら に は そ の 消 費 の 方 法(選 択 、 消 費,廃 棄,リ デ ザ イ ン,推 奨 な ど)自 体 に 変 化 が 生 じ て い る[6,7].こ の 時 代 の 変 化 に 対 し,B.J.PineII, J.H.Gilmore,[8]そ し て,BerndH.Schmitt[9]ら が 経 験 経 済 や 経 験 マ ー ケ テ ィ ン グ と い
う表 現 を 用 い て 世 間 に"経 験"に 着 目す る こ と の 重 要 性 を 示 し た.加 え て,認 知 工 学 研 究 の 第 一 人 者 で あ るD.ANorman[10]は 「エ モ ー シ ョナ ル ・デ ザ イ ン 」 の 中 で 人 の 脳 の 情 報 処 理 に お け る モ デ ル を 本 能 的 デ ザ イ ン,行 動 的 デ ザ イ ン,内 省 的 デ ザ イ ン の3階 層 か ら な る モ デ ル で 示 し,特 に 内 省 的 デ ザ イ ン(自 己 イ メ ー ジ や 個 人 的 満 足 感,思 い 出 な ど に 関 係 す る も の)の 重 要 性 を 示 唆 し た.
UXに 関 連 し た 国 内 の 活 動 と して,感 性 工 学 の 発 展 が あ る.感 性 を 「商 品 と か 環 境 と い っ た 物 的 対 象 に 対 し て 心 の 中 に 抱 く 感 情 や イ メ ー ジ の あ る ま と ま っ た 心 的 状 態 の こ と [11]」と捉 え た 長 町[11‑13]に よ り,1995年 に 感 性 工 学 と い う研 究 分 野 が 位 置 づ け られ た.
1998年 に は 日本 感 性 工 学 会 が 発 足 し,2016年 に は 「ユ ー ザ ー エ ク ス ペ リエ ン ス と感 性 」 と い うテ ー マ で 学 会 誌[14]が 発 行 されUXと の 関 係 性 に つ い て 論 じ て い る.
経 済 産 業 省 も感 性 に 注 目 し た 活 動 を 行 っ て い る.2007年 か ら2010年 度 ま で を 「感 性 価 値 創 造 イ ヤ ー 」と定 め,感 性 価 値 創 造 の 実 現 に 向 け た 様 々 な 施 策 を 重 点 的 に 行 っ た[15].
国 レベ ル で の 活 動 と し て 感 性 が 注 目 さ れ た 背 景 に は,上 述 の よ う に 我 が 国 の 産 業 社 会 の 成 熟 以 外 に,人 口 減 少 に 伴 う 量 的 需 要 の 減 少,近 隣 諸 国 の 追 撃 な ど の 社 会 構 造 の 変 化 に 直 面 して い る 状 況 で あ る こ と が 理 由 と し て あ げ られ て い る.
こ れ ま で は 新 た な 機 能,性 能,そ し て 品 質 の 良 さ を 消 費 者 に 訴 求 し て 購 入 を 促 進 し て い た.し か し,現 在 で は 発 売(公 開)か ら消 費(廃 棄)ま で の 製 品 ラ イ フ サ イ ク ル が 短 く な り[16],単 純 な 機 能 ・性 能 比 較 で は 消 費 者 は 魅 力 を 感 じ な い よ う に な っ た.次 々 に 新 し い 製 品 や 新 た な 概 念 の サ ー ビ ス が 出 回 り,我 々 は 世 界 中 の あ ら ゆ る モ ノ や コ トを 消 費 で き る よ う に な っ た[17].ま た,ス マ ー トフ ォ ン や タ ブ レ ッ トPCを 開 け ば 企 業 だ け で は な
く,個 人 が,い つ で も,様 々 な情 報 を発信 す る こ とが で き るよ うにな り,我 々 は 自由 に, いつ で も,閲 覧 しフィー ドバ ックす る こ とが で き る時代 とな った[18].
顧 客 ニ ー ズ へ の 注 目 は コ ー ル セ ン タ ー に集 ま る 情 報 の 扱 い を よ り進 展 させ た CustomerExperience3.0[191と い う考 え方 を生 み 出 した.消 費者 調 査 部 門 のみ な らず CEOレ ベ ル で"顧 客 の経 験"を 重視 す る必 要性 を認識 す る よ うに な り[20],CEO直 属 の 部 署 に先行 開発 部 隊 を設 置 し,ユ ー ザ ニー ズ を捉 えたUX戦 略 を立て るべ きで あ る とい う認 識 にまで広 まっ てい る[21].そ して,UXの 浸透,及 び技術 の進 歩 に よ り,製 品 ・サ ー ビス提供者 が"個 人 に向 けた"価 値 提供 が で き る仕 組 み が既 に実行 され てい る[22‑24] .
従 って,製 品 ・サ ー ビス を提 供す る企業 はます ます ユー ザ視 点 で の製 品 ・サー ビス の 開発 及 び提 供 を行 う努力 を しな けれ ば な らない こ とが理 解 で き る.ユ ー ザ がそ の製 品 ・ サ ー ビス を どの よ うに認 知 し,何 を ど う評 価 し,次 の どの よ うな行 動 へ とつ なが って い るの か,時 間軸 のあ るス トー リー(文 脈)で 注視 しな けれ ば な らない.利 用 中 もユー ザ の 気持 ち(評 価)は 刻 々 と変化 す るた め,継 続 して利 用 して も ら うた め には利 用 中 の経験 に も注視 して様 々な仕組 み 作 り(仕 掛 け,工 夫や フ ォ ロー)が 必要 とな る.
1.2.問 題 提 起
現在 におい てUXが 抱 えて い る課 題 を確認 す る.UXが 抱 え る課 題 は,黒 須[2]に よ る 著 書 「UX原 論 」 の2.8節 の タイ トル に表 現 され てい る.そ の タイ トル とは 「混乱 す る UX概 念[2]」 で あ る.つ ま り,UXと い う言葉 が浸 透す る と同時 に,UXを 理 解 す る難 し さが課題 とな っ てい る こ とが わか る.こ の課 題 にはUXが 持 つ2つ の側 面 が影響 して い る と考 え られ る.
(1)時 間軸 にお け るUXの 対 象範 囲 が広 い
UXと い う概念 は,商 品や サ ー ビス をユ ーザ が認知 した時 点 か ら,使 用 を 中止 し廃 棄 し た時 点,さ らに はだれ か に勧 め る行 為やSNSに 評 価 結果 をア ップ ロー ドす る行為 な ど, その製 品 とユ ー ザ との 間 に と りま く全 てのや りと りが"ユ ー ザ経験"の 範 囲 とな る.全 てのや りと りを時 間軸 で捉 え よ うとす る と,調 査 の対象 期 間 は長期 にわ た り膨 大 な情報 量 の 中か ら求 め る真 実 を突 き止 めな けれ ばな らな い こ とにな る.従 って,UXに 取 り組 む 研 究者 や企 業 関係 者 は、目的 に沿 って対 象範 囲(期 間,製 品 な ど)を 定 め る こ とが で き る 調 査 や 分 析 の ス キル が 必 要 と され る.
(2)得 られ た成 果 が個別 解 にな りや す い
UXは そ の名 の通 り"経 験"に 焦 点 を当て た分野 であ り,つ ま りは"文 脈"に 依 存 して い る.し た が って,得 られ た調 査結 果 を他 の製 品 ・サ ー ビス にそ の まま適 応 す るこ とが 難 しい と考 え られ る.同 業種 で あれ ば 「ユー ザ を満 足 させ るた め に実施 す べ き こ と」 と して あ る程 度 は参照 で きるか も しれ ない が,現 状 で は実施 したプ ロセ スや 手 法 を参 照す るま で に とどま ってお り,結 局 は各社 で 自社 製 品 に対 して同様 の調 査 が行 われ,な か な か分 野 の垣 根 を超 えた"知 見 の体 系化"に は至 っ てい ない.こ の よ うな背 景 か らも"ユ ー ザ が満 足 す る"と い う現 象 を人 間の認 知 的 メカ ニ ズ ム と して解 明 しよ うとい う研 究 が な かな か進展 しな い現 状 が理解 で き る.
誤 解 の無 い よ うに明記 して お くが,UXに 関す るいず れ の 取 り組 み は各 社 に とって有 益 な活 動 にな って い るはず で あ り,必 ず ユ ーザ の満 足度 向上や 企 業 の存続 に大 き な影 響 を与 えて い る と考 えてい る.ま た,2002年 に ノーベ ル経 済 学賞 を受 賞 した認 知 心理 学者 のKahneman[25]は 著書 「ダニエル ・カ ーネ マ ン心理 と経 済 を語 る」 で次 の よ うに述べ てい る.
左主翻 夕灘 宕〆こぱ 注 彦 ナベ きこ 、とが た ぐさ、んあ る ものの,〜齪 〆こつo、でのβ8申 苦灘 定 を受/カVτ ノzば 樫 済学 にンtきな影 響 を与え る 所 砦盤が あ る ∠251ノ
つ ま り,UXに 関す る各種 取 り組 み は人 の経験 に焦 点 を当て た主観 的 な評価 と言 え、上 述 した主観 的デ ー タの扱 い方,ま たUXの 難 点 を踏 ま えた上 で,研 究対 象,範 囲 そ して 活 用場 面 を明確 にす れ ば,実 現 場 で活 用 で き る知 見 や方 法 を得 る こ とが で き る重 要 な活 動 で あ る とい うこ とであ る.
1.3.研 究 目 的
本 研 究 で はUXデ ザイ ンに よるユー ザ満 足度 の向上 に寄 与す る知 見 を得 るた めに,ユ ー ザ満 足度 の評価 構 造 を明 らか にす るこ とを研 究 の 目的 とす る.本 研 究 で扱 うユ ー ザ満 足度 の評価構 造 とは 、大 き く2つ の意味 を含 む.
(1)各 で き ご と に対 す る瞬 間 的 な満 足 度 の評 価
ユー ザ に対 して発 生 したで き ご と と感 情 の生 起 との 関係 につ いて2つ の調 査 を行 った.
① テキス トデータを用いた文脈的な視 点の分析 によ りカテ ゴリ毎の評価 の特徴や構造 を把握す る調査
② ヒ トの感覚 に基づいた感性的な視 点での分析 か らUXデ ザイ ン時に参照できる評価 項 目をカテゴ リ毎に検討す る調査
(2)あ る一連 の エ ピソー ドを終 えた 時点 で の総 合 的 な満 足 度 の評価
ユ ーザ が あ る対 象(製 品,シ ス テ ムそ してサ ー ビス)に 対 して総 合満 足 度 を評価 す る 現象 につ いて2つ の調査 を行 った.
① 時系列 の満 足度評価か らみた総合満足度(総 合評価)に 影響 を与 えてい る要因 を把 握す る調査
② ユ ー ザ が認 識 す る満 足 ・不 満 足 の決 め手 につ い て使 用年 数 との 関係 を明 らか にす る 定性 的な調 査
上述 した4つ の調 査 で得 られ た結 果 をユ ー ザ満 足 度 の 向上 に寄 与す る知 見 と してま と めた.こ れ ら調 査 で得 られ た成 果 は,ユ ー ザ にモ ノや コ トを提 供す る提供 者側(マ ー ケ ッターやエ ンジ ニア,デ ザ イナ ー,販 売 者 な ど)に とって,参 照 しや す い有効 的 な知 見 と して 共有 す るこ とを 目指 した.本 活 動 を通 して,複 雑 化 す るユ ー ザ満 足度 の評 価 構 造 を 明 らか に し,ユ ー ザ満 足度 の 向上 に貢 献 したい と考 え る.
1.4.本 研 究 の ア プ ロ ー チ
ユー ザ満 足度 の評 価構 造 を調 査す る際 のア プ ロー チ につ いて,以 下 に研 究 の対象 領域, 本研 究 で用 い た3つ の方 法,そ して,対 象 とす る製 品 ・サー ビスの範 囲 を説 明す る.
1.4.1.本 研 究 に ま つ わ る 研 究 領 域
本 研 究 で関係 して い る研 究領 域 につ い て,図1‑1に そ のイ メー ジを示 す.認 知 心理 学, 消費 者 行動 論,行 動 経 済学 を基礎 と して,応 用 的 なUX評 価,UXデ ザ イ ン を本研 究 と関 わ る研 究 領 域 と して い る.こ れ ら研 究 領 域 は構 造 化 され て お り,一 番 下 の 階 層 に は 基 礎 的研 究 が位 置 づ け られ てお り,そ の応 用 と して,ユ ー ザ調 査,さ らにそ の実 践 的活 動 と
UX デ ザ イ ン
UX評 価
一ユ ー ザ ・ リ サ ー チ ー
認知 心理学
消費者 行動論
行動 経済学
図1‑1本 研究 に まつわ る研究領 域 の イ メー ジ
1.4.2.本 研 究 に お け る3つ の 方 法
以 下 に本研 究 で用 い た3つ の方 法 を記載 す る.
(1)印 象 を与 えた事象 を収集 す る
1.2.節の 「(1)時 間軸 にお け るUXの 対象 範 囲 が広 い」 へ の対 応策 と して,本 調査(3 章 か ら6章)は い ずれ も"決 定的 な で き ご と"に 着 目す るユ ーザ調 査手 法 の ク リテ ィカ ル ・イ ン シデ ン ト法[26‑28](CIT:CriticalIncidentTechnique)の 考 え方 を基 に行 われ てい る.詳 し くは6.1.節 で述 べ るが,多 くの時系 列 に 関す る調査 手 法 で は得 られ るデ ー タ量 が膨大 で あ り,優 先的 に確認 す べ き情報 の選 択 が難 しい とい う課 題 が あ る.
本 調 査 で は満 足 したエ ピソー ドを回顧 的 に振 り返 り,よ り印 象 的 な事象 を収 集 して, 収集 デ ー タの簡 略化,及 び 有用 な事象 を収 集 す る調 査 自体 の効 率化 を 目指 した。 これ に よ り,調 査 協力 者,及 び調 査 実施者 の負担 を軽 減 し,よ り効 率 的な調 査 の実 現 を図 った.
(2)ユ ー ザ満 足度 の評 価構 造 を"瞬 間的評 価"と"総 合 的評価"の 視 点 か ら捉 え る
UX白 書[29]で はUXの 時 間 軸 の 考 え 方 と して,利 用 前 の 「予 期 的UX」,利 用 中 の 「一
時 的UX」,利 用後 の 「エ ピソー ド的UX」,利 用 時 間全体 の 「累積 的UX」 を提 示 して い る.1.2.節 の 「(1)時 間軸 にお け るUXの 対 象範 囲が広 い」へ の対応 策 と して,本 調 査 で は あ るで き ご とが発 生 した 際 に生 起す る感 情 とい う関係 を"瞬 間 的評 価"と 捉 え,満 足 した エ ピソー ドにつ い て 内省 す る際 に検討 され る(あ る一 定 の経験 を経 て,そ の対 象 を 評価 す る際の)満 足感 に関す る評価 を"総 合 的評 価"と 捉 え研 究 を行 った.
時 間軸 にお ける2つ の枠 組 み で調 査 を実 施す る方 法 は,ブ ラ ックボ ックス で複 雑 な思 考 を伴 うユ ー ザ満足 度 の評価 メカ ニ ズム を明 らか にす るた め に有 効 で あ る と考 えた.
(3)満 足度 を評価す る対象 をカテ ゴ リ単位の視点で調査す る
1.2.節の 「(2)得 られ た成果 が個 別 解 に な りや す い」 へ の対応 策 として,本 研 究 で は 調査 対 象 をカ テ ゴ リや ジ ャ ンル(カ テ ゴ リ,ジ ャ ンル の定 義 は1.6節 で明記 す る)単 位 で 定義 し,幅 広 い調査 対象 か らカテ ゴ リ(ジ ャンル)の 特徴 を明 らかに した.各 調 査 の対象 製 品 ・サ ー ビス は1.4.3節 に明記 す る.カ テ ゴ リ単位 の視 点 でユ ー ザ満足 度 を捉 える メ リ
ッ トは,カ テ ゴ リや ジ ャンル 間 の違 い が明確 にな り,調 査 で得 られ た知 見 の理解 促進 に つ な が る と考 えた.
1.4.3.対 象 と す る 製 品 ・サ ー ビ ス の 範 囲
本 研 究 で は各調 査 の 目的 の違 い か ら対象 とす る製 品 ・サ ー ビス が異 な って い る.以 下 に各 章 の調 査対 象 と した製 品 ・サー ビス を明記 す る.
(1)第3章 の 対 象 製 品 ・サ ー ビ ス
① ネ ッ トワー クサー ビスカテ ゴ リ
② 家 電製 品 カテ ゴ リ
③ 生 活用 品 カテ ゴ リ
④ ア クテ ィ ビテ ィカテ ゴ リ
⑤ 接 客 カテ ゴ リ
第3章 で は幅広 い製 品 ・サ ー ビス か らユ ー ザ満 足 度 の評価 の特徴 を捉 え るた めに上記 の5つ の カ テ ゴ リを調 査 対 象 と した.各 カ テ ゴ リの 定 義 や 対 象 例 は3.4.1.節 に記 載 して い る.
(2)第4章 の 対 象 製 品 ・サ ー ビ ス
① ネ ッ トワー クサー ビスカテ ゴ リ
② 家 電製 品 カテ ゴ リ
③ 生 活用 品 カテ ゴ リ
第3章 の結果 を受 け,第4章 で は上記 の3つ のカテ ゴ リにお け るユ ーザ満 足度 向上 に 寄 与す る評価 項 目を検討 した.各 カテ ゴ リの定義 や 対象 例 は4.3.3.節 に記載 してい る.
(3)第5章,第6章 の 対 象 製 品 ・サ ー ビ ス
① ス マ ー トフ ォ ン ア プ リケ ー シ ョ ン ソ フ ト ウ ェ ア(以 下 ス マ ー トフ ォ ン ア プ リ と 明 記 す る)
ミ ク ロ 的 視 点 の 調 査 と な っ た 第5章,第6章 は ネ ッ ト ワ ー ク サ ー ビ ス カ テ ゴ リ の ス マ ー トフ ォ ン ア プ リ に 限 定 し て 調 査 を 行 っ た .た だ し,第6章 は 調 査 対 象 と し た ス マ ー ト フ ォ ン ア プ リ の コ ン テ ン ツ の 内 容(種 類)毎 に"ジ ャ ン ル"と い う単 位 で デ ー タ を 分 類 し分 析 を 行 っ た.ジ ャ ン ル の 詳 し い 説 明 は6.4.1.節 に 記 載 して い る.
1.4.4.UX白 書 の"時 の経過 にま つわ るUX"か らみ た本 研 究 と各章 の位 置 づ け
UX白 書 はUXの 期 間 を4種 類 で 説 明 し て い る[29].(詳 し く は2.1.節 参 照 の こ と)
(1)一 時的UX:イ ン タラ クシ ョンの 中に感 じる感 情 の特 定 の変化 (2)エ ピ ソー ド的UX:あ る特 定 の利用 エ ピ ソー ドに関す る評価 (3)累 積 的UX:特 定 の シス テ ム を しば ら くの期 間利 用 した後 の見方
(4)予 期 的UX:ユ ー ザー に とっての初 めての利 用 よ りも前 の期 間,あ るい は上 述 の3 つ のUXの 期 間 よ りも以 前 の こ と
この4種 類 のUXの 期 間 と本 研 究 にお け る各 章(各 調 査)の 位 置 づ け表1‑1に 示 す.
第3章,第4章 は あ るで き ご とに対 して生起 す る感 情 の関係 に関す る調査 のた め,該 当す るUXの 期 間 は 一 時 的UXに 該 当す る と考 え た.
第5章 は一連 の満 足 した エ ピソー ドの 中で総合 満 足度(利 用 対象 を100点 満 点 で評 価 した もの)に 影 響 を与 えた要 因 を検 討 した た め,該 当す るUXの 期 間 はエ ピ ソー ド的UX
と考 えた.
第6章 は満 足 したエ ピソー ドにつ いて,満 足 した"決 め手"を 調 査 した こ とか ら,該 当す るUXの 期 間 は累積 的UXで あ る と考 えた.
表1‑1各 調査(各 章)とUXの 期 間 との位 置 づ け
本研究の調査
UXの 期 間第3章:で き ごとと感 情の関係 の把握 第4章:UX評 価指標 の検討
第5章:時 系列 にお ける総合満 足度 に影響 を与え る要 因の把握 第6章:ユ ーザが認識 す る満 足 ・不満足 の決 め手 と使 用年数 と の関係 の把握
(1)一 時 的UX
(1)一 時 的UX
(2)エ ピ ソ ー ド的UX
(3)累 積 的UX
1.5.本 論 文 の 構 成
本 論 文 は以 下 の7章 か ら構 成 され る.
第1章 で は本研 究 の背景 としてUXの 必 要 性 とUXが 持 っ課題 を示 した 上 で,本 研 究 の 目的や アプ ロー チ を述べ る.
第2章 で は序 論 と して,本 研 究 の研 究対象 とな るUXに つ いて,そ の定義 や 関連 す る 先行 研 究 を示す.
第3章 で はユ ーザ が満 足 したエ ピ ソー ドにつ いて,発 生 したで き ご とと生 起 した感 情 の関係 か らユ ー ザ満 足度 の評 価 に影 響 を与 え る要 因 を把 握 す る.ア ンケ ー ト調 査 に よ り 得 られ た満 足 のエ ピ ソー ドの テ キス トデ ー タ を多変 量解 析(コ レス ポ ンデ ンス分 析 、 ク ラス ター分 析)やDEMATEL法 を用 いて 可視化 す る.
第4章 で は体験 か ら生 まれ る感 覚 と感 情 の関係 か ら,ユ ーザ の満 足 度 向上 に寄 与す る 評価 項 目を検 討 す る.ユ ー ザ が満 足 した経 験 の 中で発 生 した で き ご とを先 行研 究 の成 果 物 で あ る"UX感 覚"に 当て はめ,感 覚 と感 情 の 関係 につ い て多変 量解 析(コ レス ポ ンデ
製 品 ・サ ー ビス設計 のた めの評価 項 目を検討 す る.
第5章 で は スマー トフォ ンアプ リを対象 と した時 系列 の満 足 度評 価 か らみ たユ ー ザ の 総合 満 足度 に影 響 を与 える要 因 を把 握す る.Kahnemanの 提 唱す る ピー ク ・エ ン ドの法 則 が モ ノや シ ステ ムの満 足度 評 価 へ の適応 の妥 当性 の確 認 と共 に,ピ ー ク ・エ ン ドの法 則 以外 の総 合満 足度 に寄与 す る要 因 を特定 す る.
第6章 で はスマ ー トフォ ンアプ リについ て,ユ ー ザ が認 知 す る"満 足 の決 め手"と"不 満 足 の決 め手(一 番 の不満 点)"に つい て調査 を行 い,満 足 ・不満 足 の"決 め手"と ス マ ー トフ ォ ンア プ リの使 用 年数 との関係 か ら時間 の経過 に伴 う評 価 内容 の変 化 を把 握 す る.
第7章 で は本研 究 の結 論 につ い て ま とめて述 べ てい る.
本 論 文 の構 成 を図示 した もの を次 項 の 図1‑2に 示 す.
(目的1)
時系 列 に基 づ いた
瞬間的な評価
3章
2章
ユ ー ザ満 足 度 の評 価 に
藷 論 議 ごとと
※ 日 本 感 性 工 学 会 論 文 誌fVol.18No.3, pp159‑169,2019
(目的2)
ある一連の経験(エ ピソー ド)を 終えた時点での
総 合 的 な 満 足 度 の 評 価
ス マ ー トフ ォ ン ア プ リを対 象 と した
5章 耀 鍵麟 霧 譲 因 の把握
体験による感 覚と感情の
立 関係 からみ たユーザの
4早 満足餉 上に寄与する評価囎 の把握
※ 人 間 生 活 工 学,Vol.21No.1,pp33‑38,2020
ス マ ー トフ ォ ン ア プ リの
6章 蕪 蟹灘 漁 講 の
[7章]一 …
図1‑2本 論文 の構 成 図
1.6.用 語 の 定 義
(1)ユ ー ザ エ ク ス ペ リ エ ン ス(UserExperience)
ユ ー ザ が 経 験 す る こ と,つ ま り,ユ ー ザ と製 品,サ ー ビ ス,ブ ラ ン ド,あ る い は 企 業 と の イ ン タ ラ ク シ ョ ン の あ ら ゆ る側 面 の こ と.
こ の 定 義 はISO9241‑210[30],UXPA(UserExperienceProfessionalsAssociation)
[31],Nielsen‑NormanGroup[32],Hassenzah1&Tractinsky[33],UX白 書[29]等 を 参 考 に 検 討 し た.
(2)UXデ ザ イ ン(UXDesign)
製 品 ・サー ビス な どを設 計す る際 のユ ーザ 調査 の段 階か ら目的 とす るユー ザ の体験 を 構 築す るた めの あ らゆ るデ ザイ ン活 動 の こ と.
この定義 は黒 須[2]や 安藤[3]ら の考 えを参 考 に検 討 した.
(3)満 足 度
「シ ス テ ム,製 品 又 は サ ー ビ ス の 利 用 に 起 因 す る,ユ ー ザ の ニ ー ズ 及 び 期 待 が 満 た さ れ て い る 程 度 に 関 す る,ユ ー ザ の 身 体 的,認 知 的 及 び 感 情 的 な 受 け 止 め 方(注1:満 足 は, 実 際 に 利 用 し た 結 果(ユ ー ザ エ ク ス ペ リ エ ン ス の 一 部)が,ユ ー ザ の ニ ー ズ と期 待 を 満 た す 度 合 い を 含 む).」
こ の 定 義 はISO9241‑210[30]:2019(JISZ8530:2020)を 採 用 し て い る.
(4)ユ ーザ満 足度 の評 価構 造
上述 の満 足 度 につ い て,ユ ーザ の評 価(ユ ー ザが認 識 す る良 し悪 しの判 断や 受 け る印 象評 価 を含 む)の こ と.本 研 究 で扱 うユ ー ザの評 価 には"各 で き ご とに対 す る瞬 間的 な 満 足度 の評価"と"あ る一連 のエ ピ ソー ドを終 えた時点 で の総合 的 な満 足度 の評価"の2 っ の 意 味 を 持 つ も の とす る.
(5)満 足 ・不 満足 の決 め手
ユー ザ が製 品 ・サ ー ビス を評価 す る際 の,「 満足 」 あ るいは 「不満 足 」 を最 終 的 に決 定 す べ き根拠 とな る こ と.不 満 足 の決 め手 は,一 番 の不満 点 と同意 と した.
この定義 は広 辞苑[34]の 「決 め手 ・極 め手 」 の意 味 を参 考 に検討 した.
(6)カ テ ゴ リ
製 品 ・サ ー ビ ス の 範 疇(最 も 一 般 的 な 基 本 概 念 の 基 本 形 式)の こ と を い う.本 論 文 で 明 記 さ れ て い る5つ の 製 品 ・サ ー ビ ス カ テ ゴ リ(ネ ッ トワ ー ク サ ー ビ ス カ テ ゴ リ,家 電 製 品 カ テ ゴ リ,生 活 用 品 カ テ ゴ リ,ア ク テ ィ ビ テ ィ カ テ ゴ リ,接 客 カ テ ゴ リ)の 各 定 義 は 3.4.1.節 を 参 照 の こ と.
(7)ジ ヤ ン ル
部 門.種 類 の こ と.本 論 文 で 使 用 し て い る ジ ャ ン ル と は ス マ ー トフ ォ ン ア プ リ 内 で 分 類 され た 各 部 門(コ ン テ ン ツ 内 容)を 意 味 して い る.ス マ ー トフ ォ ン ア プ リの ジ ャ ン ル の 分 類 は6.4.1.節 の 表6‑2を 参 照 の こ と.
(8)タ ッ チ ポ イ ン ト
製 品,シ ステ ム,サ ー ビス とユー ザ が触れ る点 の こ とを指 す.ま た,物 理 的 に触 れ る行 為 だ けで な く,認 知 的 な行 為(認 知す る,思 い 出す,等)も 含 む もの とす る.
こ の 定 義 は ユ ー ザ ー ・ジ ャ ー ニ ー ・マ ッ プ[271を 参 考 に 検 討 し た.
1.7.参 考 ・引 用 文 献
[1]山 岡 俊 樹:デ ザ イ ン3.0の 教 科 書,海 文 堂 出 版,pp1‑17,2018.
[2]黒 須 正 明:UX原 論 ユ ー ザ ビ リ テ ィ か らUXへ,近 代 科 学 社,pp38‑65,pp204‑254, 2020.
[3]安 藤 昌 也:UXデ ザ イ ン の 教 科 書,丸 善 出 版,pp2‑20,2016.
[4]山 岡 俊 樹:サ ー ビ ス デ ザ イ ン フ レ ー ム ワ ー ク と 事 例 で 学 ぶ サ ー ビ ス 構 築,共 立 出 版,
pp2‑12,2016.
[5]箱 田 裕 司,他:認 知 心 理 学CognitivePsychology:Brain,ModelingandEvidence, 有 斐 閣,pp305‑306,2010・2012.
[6]今 井 秀 之:デ ー タ ・マ ー ケ テ ィ ン グ 時 代 の ブ ラ ン デ ィ ン グ,創 成 社,pp1‑11,2020.
[7]青 木 幸 弘:消 費 者 行 動 の 知 識,日 本 経 済 新 聞 出 版 社,pp27‑37,2010・2011.
[8]PineH,B.JosephandJamesH.Gilmore:TheExperienceEconomy:Wbrkis Theatre&EveryBusinessastage,HarvardBusinessSchoolPress,1999.
(岡 本 慶 一,小 高 尚 了 訳:経 験 経 済 脱 コ モ デ ィ テ ィ 化 の マ ー ケ テ ィ ン グ 戦 略 一,ダ イ ヤ モ ン ド社,pp2‑51,2005・2011)
[9]Schmitt,BerndH.:ExperienceMarketing:HowtoGetCustomerstoSense, Fee1,Think,Act,andRelatetoY()urCompanyandBrands,FreePress,1999.
(嶋 村 和 恵,広 瀬 盛 一 訳:経 験 価 値 マ ー ケ テ ィ ン グ ー消 費 者 が 「何 か 」 を 感 じ る フ.ラ ス α の 魅 力 一、 ダ イ ヤ モ ン ド社 、pp31‑52、2000)
[10]D.A.Norman:EMOTIONALDESIGNWhyWeLove(orHate)EverydayThings、
BasicBooks,2004.
(岡 本 明,安 村 通 晃,他 訳:エ モ ー シ ョ ナ ル ・デ ザ イ ン 微 笑 を 誘 う モ ノ た ち の た め に,新 曜 社,pp3‑17,pp45‑79,pp133‑154,2004.2014.)
[11]黒 須 正 明:HCDラ イ ブ ラ リ ー 第1巻 人 間 中 心 設 計 の 基 本,近 代 科 学 社,pp38‑49, pp52‑64,2013.
[12]長 町 三 生:感 性 工 学 と 新 製 品 開 発,日 本 経 営 工 学 会 誌,VOL.41No.4B,ppB66‑B71, 1990.
[13]長 町 三 生:感 性 工 学 と そ の 動 向,社 会 法 人 電 子 情 報 通 信 学 会,信 学 技 報,pp168‑
169,2000.
[14]特 集 「ユ ー ザ ー エ ク ス ペ リ エ ン ス と 感 性 」,感 性 工 学,Vol.14,No.2,2016.
[15]経 済 産 業 省,感 性 価 値 創 造 イ ニ シ ア テ ィ ブ ー第 四 の 価 値 軸 の 提 案 一, https:〃www.nopa.or.jp/copc/pdilkansei‑gaiyou.pdf,2007.(2021/02/06閲 覧)
[16]Makadok,Richard:CanFirst‑MoverandEarly‑MoverAdvantagesbeSustained inanIndustrywithLowBarrierstoEntry/lmitation,StrategicManagementJourna1, Vb1.19,No.7,pp683‑696,1998.
[17]恩 蔵 直 人:コ モ デ ィ テ ィ 化 市 場 の マ ー ケ テ ィ ン グ 論 理,有 斐 閣,pp2‑4,pp109‑136, 2007・2012.
[18]Prahalad,C.KandVenkatatramRamaswamy:Co‑optingCustomerCompetence, HarvardBusinessReview,Jan.‑Feb.,pp79‑87,2000.
ビ ュ ー一一,11月 号,pp116‑128,2000)
[19]JohnA.Goodman:CustomerExperience3.OHigh‑profitStrategiesintheAge ofTechnoService,2014.
[20]JaimeLevy:UXStrategyHowtoDeviseInnovativeDigitalProductsThatPeople Want,0'ReillyMediaInc.,2015.
(長 尾 高 弘 訳:UX戦 略 ユ ー ザ ー 体 験 か ら 考 え る プ ロ ダ ク ト作 り,2016)
[21]吉 武 良 治,柴 田 英 喜:ユ ー ザ エ ク ス ペ リ エ ン ス デ ザ イ ン の 実 践,情 報 処 理Vol.54, No.1,pp26‑31,2013.
[22]岩 田 昭 男:ネ ッ ト か ら リ ア ル へ020の 衝 撃 決 済,マ ー ケ テ ィ ン グ,消 費 行 動 … す べ て が 変 わ る!,阪 急 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン ズ,pp2‑5,2013 .
[231朝 永 久 見 雄:セ ブ ン&ア イHLDGS9兆 円 企 業 の 秘 密 正 解 最 強 オ ム ニ チ ャ ネ ル へ の 挑 戦,日 本 経 済 新 聞 出 版 社,pp11‑66,2013.
[24]平 野 健 二:こ れ か ら のDgS・ 薬 局 で は た ら く 君 た ち に 伝 え た い こ と,ニ ュ ー ・フ ォ ー マ ッ ト研 究 所
,pp98‑123,2011.
[25]DanielKahneman:ダ ニ エ ル ・カ ー ネ マ ン 心 理 と 経 済 を 語 る,楽 工 社,p214, 2011.
[26]John・C・Flanagan:TheCriticalIncidentTechnique,PsychologicalBulletin5, pp327‑358,1954.
[27]BellaMartin,BruceHanington:Research&DesignMethodIndex一 リ サ ー チ デ ザ イ ン,新 ・100の 法 則 一,Bnn新 社,pp44‑47,pp50‑51,pp196‑197,2013.
[28]黒 須 正 明,高 橋 透 明:ユ ー ザ 調 査 法,一 般 財 団 法 人 放 送 大 学 教 育 振 興 会,pp88‑103, 2016.
[29]Roto,V.,Law,E.,Vermeeren,A.,Hoonhout,J.:Userexperiencewhitepaper
‑bringingclarifytotheconceptofuserexperience .http:〃www.allaboutux.org/files/UX‑
WhitePaper.pdf,2011.(hcdvalue訳:UX白 書 ユ ー ザ エ ク ス ペ リ エ ン ス の 概 念 を 明 確 に す る,hcdvalue,http:〃site.hcdvalue.org/docs,pp1‑20,2011.)
[30]ISO9241‑210:2019,Ergonomicsofhuman‑systeminteraction‑Part210:
Human‑centreddesignforinteractivesystems,2019.(JISZ8530:2020人 間 工 学 一 イ ン タ ラ ク テ ィ ブ シ ス テ ム の 人 間 中 心 設 計,2020)
[31]UXPAINTERNATIONALCONFERENCE:https:〃uxpa2019.org/(2019/11/29) [32]NielsenNormanGroupHP:https:〃www.nngroup.com/(2019/11/29)
[33]Hassenzahl,M.,Tractinsky,N.:UserExperience‑AResearchAgenda,Behavior
&InformationTechnology25(2),pp91‑97,2006.
[34]新 村 出 編:広 辞 苑 第 五 版 普 通 版,岩 波 書 店,1998.
2章
ユ ー ザ エ ク ス ペ リ エ ン ス(UX)に つ い て
一先行研 究 の確 認 一
2.1.各 有 識 者 に よ るUXの 定 義
以 下 にモ ノづ く りにお け るUXの 定義 につ い て,各 研 究者 や 企 業 が示 して い る内容 を 紹介 し,認 知 され るべ きUXの 本 質 を理解 す る.
(1)ISO9241‑210[1]
「製 品や シス テ ムや サ ー ビス を利 用 した とき,お よび/また は その利 用 を予測 した時 に 生 じる人 々の知 覚や 反応 の こ と
注1:UXと は,利 用 の 前,最 中,そ の 後 に 生 じ る ユ ー ザ ー の 感 情,信 念,嗜 好,知 覚,生 理 学 的 ・心 理 学 的 な 反 応,行 動 や 達 成 感 な ど の す べ て を 含 む.
注2:UXは,ブ ラ ン ドイ メー ジ,知 覚,機 能,シ ステ ム性 能,対 話行 動や 対話 シス テ ム の補助機 能,以 前 の経 験 か ら生 じるユ ーザ ー の 内的 ・身 体 的状態,態 度,技 能や 性 格,お よび利 用 状況 の結 果 で あ る.
注3:ユ ー ザー の個 人的 目標 とい う観 点 か ら考 えた 時 には,ユ ー ザ ビ リテ ィは典型 的 にUXに 結 びつ い た知覚 や感 情 的側 面 を含 む.ユ ー ザ ビ リテ ィの評 価 基準 はUXの 諸側 面 を評 価す るの に用 い る こ とがで き る.」
1999年 に 人 間 中 心 設 計 プ ロ セ ス の 国 際 規 格ISO13407が 発 行 され,正 式 な タ イ ト ル 「イ ン タ ラ ク テ ィ ブ シ ス テ ム の 人 間 中 心 設 計 プ ロ セ ス 」 か ら も わ か る よ う に,コ ン
ピ ュ ー タ シ ス テ ム を 使 い や す い も の に す る た め の デ ザ イ ン プ ロ セ ス を 規 定 し た も の で あ っ た.対 し て,2010年 に 改 定 さ れ たISO9241‑210は ユ ー ザ ビ リテ ィ だ け で な く, ア ク セ シ ビ リ テ ィ,ユ ー ザ エ ク ス ペ リ エ ン ス,サ ス テ ィ ナ ビ リ テ ィ とい っ た 概 念 が 追 加 さ れ た 規 格 へ と変 化 し て い る[2,3].
(2)UXPA(UserExperienceProfessionalsAssociation)[4,5]
「ユ ーザ ー の全体 的 な知覚 の構 成 要素 とな る製 品や サ ー ビスや 企業 とユ ー ザー との イ ン タ ラ ク シ ョン の あ らゆ る側 面 の こ と.UXデ ザ イ ン は,レ イ ア ウ トや 視 覚 デ ザ イ ン,テ キス ト,ブ ラン ド,音 響,イ ン タラ クシ ョン とい った要 素 を含 む イ ンタ フェー ス の あ らゆ る構 成 要 素 に関係 してい る.」
(3)Nielsen‑NormanGroup[4,6]
「企 業や サ ー ビスや製 品 とのエ ン ドユー ザー のイ ンタ ラク シ ョンのす べ ての側 面 の こ と.典 型 的なUXに まず必 要 な こ とは,顧 客 の ニー ズ につ い て誇 張 な しに的確 に適 合 さ せ る こ とで あ る.次 に,所 有や保 有 を した くな る よ うな製 品 を作 るた めの 単純 さや簡 潔 さが必 要 で あ る.真 のUXは,単 に顧 客 が欲 しい とい うモ ノ を与 えた り,チ ェ ック リス トで検 証 で き るよ うな特徴 を提 供 した りす る こ とで はな く,そ れ 以 上 の こ とで あ る.企 業 が 高品質 のUXを 達成す るた め には,エ ン ジニア リングや マー ケテ ィン グ,グ ラフ ィ
ックデ ザイ ン,工 業 デ ザイ ン,イ ンタ フェー スデザ イ ンな どの多様 な取 り組 み を連続 的 に結 合 してお くこ とが必要 で あ る.」
(4)Hassenzah1&Tractinsky[4,7]
「ユ ー ザー の 内的状 態(体 質 的素 因,期 待,欲 求,動 機 付 け,気 分 な ど),デ ザ イ ン され た システ ム の特 性(例 えば複 雑 さ,目 的,ユ ー ザ ビ リテ ィ,機 能 性 な ど),イ ンタ ラ クシ ョンが発 生す る状況(も しくは環 境)(つ ま り組 織 的/社会 的セ ッテ ィン グ,活 動 の有 意 味度,利 用 の 自発 性 な ど)に よ る結果 」
(5)UX白 書[8]
UX白 書 で は,現 象 と してのUXを 以 下の よ うに示 して い る.「 経験 とい う概 念 は, 人 間 と しての存 在 に伴 っ てい ます.一 般 的 に経 験 で は,個 人 的 に出会 った り,受 け止 め た り,体 感 す るすべ ての もの を対象 と してい ます.し か し,UXは 『一般 的 な意 味 にお け る経 験』 とは異 な り,シ ステ ム(注2)と 出会 うこ と(注1)に 由来す る経 験 を明確 に示 して い る.
・UXは 一般 的 な概念 と しての経 験 の一 部 です .UXは システ ム を通 じた経 験 で あ るた め,よ り限定 的 です
・UXは システ ム との 出会 い を含 み ます .積 極 的利 用,個 人 的利 用 だ けで な く,例 えば 他者 が システ ム を利 用 す るの を観 察 す るな ど,よ り受動 的 に システ ム と関 わ る こ とも含 み ます
・UXは あ る個 人 に固有 の もの です
・UXは 過去 の経 験 とそれ に基づ く期 待 に影 響 され ます
・UXは 社会 的
注1:利 用 しなが ら,相 互 作用 を しなが ら,ま た受動 的 に向 き合 い な が ら
注2:「 シ ステ ム」 は,個 人 がUIを 通 して対話 す る,独 立 した また は組 み 合 わ され た形 態 の製 品 ・サ ー ビス ・お よび人 工物 を指 す[8]」
UX白 書 はUXの 期 間 につ いて 図2‑1,図2‑2に 示す よ うに,イ ンタ ラ クシ ョンの 中 に感 じる感 情 の特 定 の変化(一 時 的UX),あ る特 定 の利 用 エ ピ ソー ドに 関す る評 価
(エ ピ ソー ド的UX),特 定 の システ ム を しば ら くの期 間利 用 した後 の見方(累 積 的 UX)で 表 してお り,予 期 的UXと は,ユ ー ザー に とっ ての初 めての利 用 よ りも前 の期 間,あ るい は上述 の3つ のUXの 期 間 よ りも以 前 の こ とと してい る.
つ ま り,ユ ーザ ー が実際 に利 用 した経 験 は,UXの 中心 にな るが,そ れ で はUXに 関 連す るすべ て の要 素 をカバ ー して い る とはい えな い とい う考 えで,人 は最初 の 出会 い を 果 たす 以前 に形 成 され る利 用前 の期 待 か ら,間 接 的 な経 験 を得 る こ と,同 様 に,利 用 し た後 に行 う振 り返 り,ま たは そ の人 の中 の評 価 の変化 を経 て,間 接 的 な経験 は拡 張 され てい く と して い る.
他 のシス テムや ブ
ラ ン ドに 関す る経 験 畢
新 しいシステムに ⇒ 関する情報 ■レ
新し 脇 螂 → ■ 1誘⇒■
馨 ⇒■
難1⇒■
で
勢 ⇒ 玄 五 一
一 時 的UX エ ピ ソ ー ド的UX
累積的UX
ゆ
↓喘
図2‑1利 用 と非利 用 の期 間 か らな る時の経 過 につ れ たUX[8]
い つ:利 用 前 利用 中 利用後 利用 時間全 体
な にを:予 期 的UX‑〉 一 時 的UX‑〉 エ ピソー ド的UX→ 累 積 的UX
どのよ うに:体 験を想像 する 体験 する ある体験を 多種多様な利用期間を
L一 す る θ
図2‑2ユ ーザ エ ク スペ リエ ンス の期 間,期間 に関す るユ ー ザエ クスペ リエ ンス の種類 を説 明す るた めの用語,異 な る期 間で 生 じる内在 的 なプ ロセ ス[8]
本 章 で紹 介 した定義 以外 にAllAboutUXで は様 々なUXの 評価 手法 を含 め,UXに 関 す る情 報 が掲載 され てい る[9].人 々がUXを 共通認 識 し,同 じ道 を進 むた めのサ ポー ト
と して,創 設 され てい る.し か し,各 々 の定義 は主 に2010年 頃 の もの が多 く,つ ま り, 10年 前 がUXの 定義 につ い て最 も多 く議 論 され た時期 で あ るこ とが わか る[3].
2.2.ヒ トの 欲 求 とUXの 関 係 性
ヒ トの要 求 に はマ ズ ロー の要 求5段 階説 が有名 で あ る[10].こ のマ ズ ロー の要求5段 階説 と併せ て考 察 され たUXを 説 明す る.
山岡 は機 能優 先 で あ った20世 紀 のモ ノづ く りに対 し現代 で は価値 中心 時代 に入 って い る と し(図2‑3),表2‑1に 示 す よ うにマ ズ ロー の要 求5段 階節 と重 ね て議論 して い る.
山岡 に よれ ば,第 二次 世界 大戦 後 はマ ズ ロー の要求5段 階説 の再 下位 層 で ある生理 的要 求や 安 全 の要 求 が求 め られ,20世 紀後 半 に な る と我 々の暮 らしが安 定 した こ とに よ り所 属 と愛 の要 求(社 会 的要 求)や 承認 の要求 が求 め られ る時代 に変化 した.21世 紀 にな る とユ ーザ の生 活 レベ ル が さ らに 向上 し,価 値 そ の もの の存在 を問 うよ うに な った と して い る[11].SNSの 隆盛 はま さに承 認 の要 求 の表れ と考 え られ る.
マ ズ ロー の要 求 の最 上段 で あ る 自己実現 の要求 は何 に表れ てい るのか.そ れ はモ ノ ・ サ ー ビス のカ ス タマイ ズ化,個 性 化,さ らに言 うな ら意 味性 で あ る.こ の個性 化,意 味性 をモ ノや サー ビス に与 えるた め には個 人 の文脈 が ます ます 重要 にな って くる と考 え られ る.
194519902005
‑一 一 一
機…能 中 心 時代
一
人間中心時代一
価値中心時代
図2‑3戦 後 の デ ザ イ ン の 変 遷[11]
表2‑1デ ザ イ ン1.0,2.0,3.0[11]
デ ザ イ ン1.0 デ ザ イ ン2.0 デ ザ イ ン3.0
年代 1945年 一1990年 頃 1990年 〜2005年 頃 2005年 頃 〜 現 在 主 テ ー マ 技 術 中 心 の デ ザ イ ン 人 間 中 心 の デ ザ イ ン 価 値 中 心 の デ ザ イ ン
価値 機能価 値 人間中心価値
本 質的価値 社会 的価値 精神 的価値 マ ズ ロ ー の
要 求5段 階 説
生理 的要 求 安全 の要 求
所属 と愛 の要 求
承認 噂 厳)の要求 自 己実 現 の要 求
基 本思想 効率 の追 求 心 の和 み の追 求
感動 の追求 デ ザ イ ン
ベ ク トル
冷 た い デ ザ イ ン
〔シ ンプ ル,禁 欲 的,象 徴 性,モ ダ ン)
温 か い デ ザ イ ン (脱効 率,自 然 回 帰,
脱 モ ダ ン)
デ ザ イ ン対 象 ミ ク ロ
(モ ノ,オ ブ ジ ェ ク ト単 体)
マ ク ロ (コ ト,シ ス テ ム)
自 己 実 現 と し て の 個 性 化 は,AaronAら に よ っ てHedonomics[12]と い う考 え 方 で 既 に 表 現 され て い る(図2‑4).Hedonomicsは マ ズ ロ ー の 考 え に 基 づ い て お り,安 全 性,機 能 や 使 い や す さ と併 せ て,イ ン タ ラ ク シ ョ ン に お け る 喜 び を 促 進 させ る こ と を 目 標 と して お り,さ ら に 最 終 目標 と し て,個 人 に 合 わ せ た カ ス タ マ イ ズ 化 に よ っ て,ユ ー ザ の 要 求 を 完 全 に 満 た す こ と が で き る と さ れ て い る.
Hedonは ギ リ シ ャ 語 でjoy,pleasureを 意 味 す る.ユ ー ザ の 文 脈 を加 味 し な け れ ば 実 現 さ れ な い 個 性 化 ・意 味 性 が 世 の 中 の モ ノ(サ ー ビ ス)づ く り に お い て,UXが 注 目
され る よ う に な っ た 最 大 の 理 由 と考 え る.
lndividuation tPersonolPertz]Ctlon〕
PI已臼三urヨblεikperi∈ǹ已 {F開lmcMonOtPl已 卍湖r帥
Usability
〔Prto"t)i「ofPt創ference)
Functionality (Promulg]tlonofPr。 〔ess)
S且fety (Preventl〔 〕nofP邑1n)
Hedonomi〔s
Ergor幽 ⑪mi〔s
図2‑4Hedonomics[12]
2.3.認 知 的 メ カ ニ ズ ム の 解 明
1990年 代 にパ ソ コンが世 の 中に登場 し社 会 は一 変す る.こ の頃 よ りヒ トの情報 処 理 に 関す る研 究 が盛 んにお こなわれ る よ うに な り認知 工学,認 知 心理 学 が発 展す る.
佐 伯 は接 面(イ ン タ フェー ス)に つ い て,第 一 接 面 と第 二接 面 とい う二つ の接 面 が あ る と主張 して い る(図2‑5).そ の二 つ の接 面 とは,「 第 一 の接 面 は,そ の システ ム に操作 を加 え,シ ステ ム をコ ン トロー ルす る,操 作 者 との接 面 で あ る.第 二 の接 面 は,そ の シス テ ム が作 用 を及 ぼ し,ま た,シ ステ ム が作用 を受 けて い る外 界 との接 面 で あ る」 と して い る[13].つ ま り,第一 接 面 は人 とシステ ム が接 す る,所 謂 ユ ー ザイ ンタ フェー スで あ り, 第 二接 面 は機 械 と環 境(外 界)と のイ ンタ フェー ス と言 え る.
道具・機械の世界 第一一接面
第一接面
黒須 は著 書 「UX原 論 」 で この二つ の接 面 を説 明す る中で,「 システ ム を利 用 して外界 に影 響 を及 ぼ して い るユー ザ の認 知 プ ロセ ス を考 慮 す るな ら,第 一接 面 と第 二接 面 の対 応 こそ重 要 で あ る.特 に大 規模 システ ム にお い て は,第 二接 面 にお け る状 態 が把 握 しづ らくな って しま う点 が問題 で あ る」 とし,「人 間工 学的 な第 一接 面 の研 究 は必 須条 件 で あ るが,む しろ第 二接 面 との関係 性 に 関す る認 知 工学 的 な研 究 が さ らに重要 だ 」 と述 べ て い る[2].
認 知 工学研 究 の第 一 人者 で あ るDA.Normanは 何 か を達成 した い と思 い ゴール を設 定 し行 動 をす る行 為 につ い て 「行 為 の7段 階モ デル 」 を提 唱 して い る(図2‑6).そ して, 7段 階 につ い て 「本能 的 」,「行 動 的」,「内省 的」とい う処理 レベル が あ る こ とを提案 した.
なお,DANormanは ユ ーザ ビ リテ ィの発 展 に貢 献 して きた人 物 で あ るが,既 に1990年 代後 半 にはユ ーザ ビ リテ ィだ けで満 足 が得 られ るのだ ろ うか,と い う疑 問 を抱 き,UXに つ い て 「製 品 に関 して,そ れ が どの よ うに見 え,学 習 され,使 用 され るか,と い うユ ーザ のイ ンタ ラク シ ョンのす べ て の側 面 を扱 う.こ れ には,使 いや す さ と,最 も重要 な こ と
と して,製 品 が満 たすべ きニー ズ とが含 まれ る.」 と明記 して い る[2,14].そ して,そ の 重 要性 の認識 か ら,2004年 に内省 的な人 間 の認知 に焦点 を当て た 「エモ ー シ ョナル ・デ ザ イ ン」を刊行 して い る[15].し か し,そ の 内容 はデザ イ ン時 に検 討 すべ き範 囲が どこま で含 まれ るか とい う方 向性 を示 して い る もので,具 体 的 な情動 の認 知構 造 が示 され て い る もので はな か った.
ゴ ー ル
フ ラ ン
比較
図2‑6DANormanの 「行 為 の7段 階 モ デ ル 」 と 内 省 活 動[14]
山 岡[16‑18]の 研 究 で は,人 と対 象(人,シ ス テ ム,環 境)と のや り と り,UXに よ る感 覚,そ して感 情 の各項 目か らな る関係 図 で示 して い る.こ の 関係 図は調 査協 力者51名 に 対 して実施 され た,感 動 した体 験 のエ ピソー ドにつ い て のア ンケ ー ト調 査 か ら抽 出 され
た(図2‑7).利 用 した製 品 ・サー ビス を限定せ ず に調査 を行 った た め,汎 用 性 の 高い項 目 とな ってい る.ま た,近 年 では この研 究 を発展 させ て"物 語"に 注 視 した構 造 を示 して い る(図2‑8)[191.こ れ らの 関係 は絶 対 的 な もので は ない もの の,一 つ のサー ビスデ ザ イ ン設 計 時の 見方 と して参 照す る よ う提 案 して い る.
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図2‑7
UXCeよ る 感 覚
o非日欄
㎜ の感覚
ゆ 灘 灘 闘ゆ
軸憧れ の感覚
⑲五感 むら縛 着盛寛
感情
⑪喜孟
㎝L、 卍を持o
㎝ く
田澗足す石 O愛 らLい
⑲憧れ筍 醐 榑す̀
⑪心地よざ
@■ 白い 唖噸動 す愚
UXの や り取 りか ら感 情 まで[19]
製 品 の三属 性 ス トー リー
騨
UXに よる感 覚驚 く<≡ 欝
灘く1:::::乏 霧:1
歴史のストーリー<謙
…《 藤
蹄 のストーリー<
親 し弄
魅力性
非 日常性