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博 士 ( 農 学 ) 鮫 島 啓 彰

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Academic year: 2021

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博 士 ( 農 学 ) 鮫 島 啓 彰

     学 位 論文 題 名

Root activity and productivity in new plant type of     tropical rice lines

     (熱 帯イネ new plant type 系 統の根 の活性 と生 産性)

学 位 論 文 内 容 の 要 旨

  イネは主要な穀物で あり、その収量の増加は世界の人々への食料供給を確保 するため に 非常 に重 要で ある 。世 界人 口の60X以 上が 生活 する アジ アで はイ ネを 主 食にしてい る地域が多いため、イ ネの収量増加の重要性が特に大きい。作物の収量を増加 する方法 のーつとして、単位土 地面積あたりの収量(収量性)の向上が考えられる。収 量性の向 上 のた めに 、1960年 代か らIR8をは じめ とす る半 矮性 多分 げつ 品種 (近 代 品種)が国 際 イネ 研究 所(IRRI)で 育種 され 、熱 帯ア ジ アの 水田 で10tha‑lの 最大 収 量が可能に なった。最大収量のさ らなる向上を目的に、IRRIにおいて・new plant type (NPT)系統 の 育種 が1980年 代後 半か ら始 まっ た。 しか し 、NPT系 統の 最大 収量 は近 代 品種と同程 度 にと どま って いる 。こ のため、NPT系統の最大収量の向上に関する知見が必要とされ て いる 。NPT系 統 の育 種目 標の 中で 、少 分げ つ性 や1穂粒数の増加など、地上部の草型 については具体的に提 案され、望ましい形質を備えた系統が既に開発されている。一方、

根系についてはvjgorous rootという漠然とした育 種目標が掲げら・れているが、NPT系 統の根系の形態や生理 に関する知見、目指すべき根系の具体案についての報告 は限られ ている。そこで本研究 は、NPT系統の根系の形態的 、生理的な特徴を近代品種と比較し、

最 大 収 量 の 向 上 の た め に 望 ま れ る 根 系 の 形 質 を 提 案 す る こ と を 目 的 と し た 。

1. 根系 の生 育に は 環境的な要因も 影響をおよぼすと考えられる。裁植密度もそのよう な要 因の ーつ であ り、 最適 な栽 植密 度は 多分 げ つ性 の近 代品 種と 少分 げつ 性のNPT系 統で は異 なる 可能 性が ある。そこで、近代品種とNPT系統を複数の栽植密度で栽培し、

最 適 な 裁 植 密 度 を 調 査 し た 。 近 代 品 種 で は25株m・2の 、NPT系 統 で は44.4株nr2 以上の裁植密度で、収量性および乾物生産性が最大 になった。よって、以下の圃場栽培 で は 、 近 代 品 種 に は20X20 cmの 株間 距離 (25株III‑2)、NPT系統 には20x10もし くは isxis cmの株間距離(50または44.4株III‑2)を採用した。

2.群 落ま たは 孤立 条件 下の 個体 を用 いて 、NPT系統の根系の大きさと窒素吸収量を調 査した。NPT系統の根重(gm・2)は生 育期間を通して近代品種よりも大きく推移した。

この 理由 とし て、 根 重/地上 部重 比が 裁植 密度と無関係にNPT系統で大きいことが明ら かに なっ た。 根重 あたりの根長は近代品種とNPT系統の問で有意な差が見られなかった     ―79―

(2)

た め、NPT系統の根長(krri r‑2)も生育を通して近代品種より大きく推移した。しかし、

NPT系統 の 大 きい 根 系 は窒 素 吸 収量 (gNm‑2)の増 加に貢献 しなかっ た。窒 素吸収量 は 近 代 品種とNPT系 統の間で 有意差 が見られ なかった ため、NPT系統 の根重 、根長あ たり の 窒 素 吸 収 量 ( 窒 素 吸 収 活 性 ) が 近 代 品 種よ り も 小さ い こ とが 明 ら かに な っ た。

3・ 代表 的 な 近代 品 種 (4品 種 ) およ びNPT系統(12系統) を用いて 、収量 性、乾物 生 産性と窒素吸収量を調査した。各品種(系統)の収量は4. 88.9(tha‑i)の範囲に入り、

熱 帯 水田 の 最 大収 量 (10tha‑i)の 向上 は達成で きなか った。乾 物生産 量は11502090

(g nr2)の範囲に 、窒素吸収量は13. 826.0(gNDl‑2)の範囲に入った。収量と窒素吸収 量 お よ び 乾 物 生 産 量 と 窒 素 吸 収 量 の 間 に憾 有 意 な正 の 相 関関 係 が 見ら れ た (順 に R2:O.558¨、R2=0. 804¨)。栄養生長期間、生殖生長期間、登熟期間における乾物増加量 と 窒 素増 加量 の問に も有意な 正の相 関関係が 見られ た(順にR2=0. 659"、0. 507"、 0. 767")。1800(gm‑2)以 上の比較 的高い 乾物生産性を示した品種(系統)に共通する 特徴 として 、登熟期間中の乾物増加量と窒素l増加量が大きいことが観察された。これら の品 種(系 統)の根 重は生 育期間を 通して増加していた。したがって、生育後半まで根 への 乾物分 配が続く 品種( 系統)で は、窒素吸収も維持されていると考えられた。この ため 、登熟 期にも地 上部の 乾物生産 に必要な窒素が供給され、乾物生産性および収量性 が向上することが示唆された。

4.根の 活性と地 上部活 性の間に は、養水 分、植 物ホルモ ン、光 合成産物等のやり取り を介 して、 お互いに影響を与えあうroot−shoot interactionが存在すると考えられる。

そこで、熱帯多収性イネの根の活性(窒素吸収活性、能動吸水活性、,呼吸活性)と地上 部 活 性( 相 対 生 長速 度 、RGR)との 関 係を調 査した 。調査に は5回 の圃場 試験で得 られ たデ ータを 用いた。品種(系統)や栽培条件とは無関係に、窒素吸収活性(mgN g‑i root dry weight d‑i)また は能動吸 水活性 (gexudate g‑i root dry weight.12 h‑i)とRGR (mg g‑l d‑i)と の間に は生育期 間を通 して有意な正の相関関係が見られた。すなわち、

熱帯 多収性 イネにお いてroot―shoot interactionが 生育期 間を通し て認められ、地上 部の 活性が 高いとき には根 の活性も 高い必 要があることが推察された。また、窒素吸収 活性 と能動 吸水活性 はroot−shoot interactionにお ける、 想の活性 の指標になると考 え ら れた 。 しかし、 根の呼吸 活性( ロmol02g‑i root dry weight h‑l)とRGRの相関 関 係は生育生育条件の違いで大きく変化した。

5.まと めると、1) 近代品種 と比較し て、NPT系統は 大きい 根系をもっが、その窒素吸 収 活性は低 く、2)窒素 吸収活性 は地上 部活性と 生育期間 を通し て有意な相関関係を持 ち 、3)し たがって 、NPT系統の最 大収量の 向上の ためには 、根の 活性の上 昇、特 に登 熟 期間の根 の活性の維持が重要であり、4)登熟期間にも根重の増加が続く品種(系統)

は 、根の活 性も維持 される 可能性が あり、5)根 の活性の 指標と して、窒素吸収活性お よ び能動吸 水活性の 利用が 、熱帯多 収性イ ネでも有 効であ る。以上 の結果から、NPT系 統 の 根 系につ いて、現 状の問 題点と育 種の際 に目指す べき方向 性が明 らかにな った。

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(3)

学 位 論 文 審 査 の 要 旨 主 査    教 授    大 崎    満 副 査    教 授    荒 木    肇 副 査    助 教 授   信 濃 卓郎 副 査    助 教 授   山 岸 真澄

     学位論文題名

Root activity and productivity in new plant type of     tropical rice lines

     (熱帯イネnew plant type 系統の根の活性と生産性)

  本 論 分は6章 からなり図32、表10、総 頁113からな る英文論 文で、別 に参考論 文3編が付されている。

  イネは主要な穀物であり、その収量の増加は世界の人々への食料供給を確保するため に非常に重要である。イネの最大収量の向上を目的に、国際イネ研究所においてnew plant type (NPT)系統の育種が行われている。しかし、NPT系統の最大収量は近代品 種と同程度にとどまっている。このため、NPT系統の最大収量の向上に関する知見が必 要とされている。NPT系統の育種目標の中にvigorous root systemが含まれているが、

NPT系統の根系の形態や生理に関する知見、目指すべき根系の具体案については不明で ある。そこで本研究では、NPT系統の根系の形態的、生理的な特徴を近代品種と比較し、

最大収量の向上のために望まれる根系の形質を提案した。

1.根系の生育には環境的な要因も影響をおよぽすと考えられる。裁植密度もそのよう な要因のーつであり、最適な栽植密度は多分げっ性の近代品種と少分げつ性のNPT系統 では異なる可能性がある。そこで、近代品種とNPT系統を複数め栽植密度で栽培し、最 適な裁植密度を調査した。近代品種では25株皿12の、NPT系統では44.4株m12以上の 裁植密度で、収量および全乾物重が最大になった。

2.NPT系統の根系の大きさと窒素吸収能を調査した。NPT系統の根重(gm‑2)は生育期 間を通して近代品種よりも大きく推移した。この理由として、根重/地上部重比がNPT 系統で大きいことがあげられた。根重あたりの根長は近代品種とNPT系統の間で有意差 が見られなかったため、NPT系統の根長(km rn‑2)も生育を通して近代品種より大きく 推移した。しかし、NPT系統では単位根重あたりの窒素吸収活性が低いため、大きい根 系 は 必 ず し も 窒 素 蓄 積 量 ( gN IIl‑2)の 増 加 に 貢 献 し な か っ た 。

81 ‑

(4)

3. 代 表 的 な 近 代 品 種 お よ びNPT系 統 を 用 い て 、 収 量 性 、 乾 物 生 産 性 と 窒 素 吸 収 能 の 関 係 を 調 査 し た 。 収 量 と 窒 素 蓄 積 量 お よ び 全 乾物 重 と 窒 素蓄 積 量 の 間に は 有 意 な正 の 相 関 関 係 が見 られた( 順にR2=0. 558"、R2=0. 804 ゛)。 栄養生 長期間 、生殖 生長期 間、登 熟期 間 に お け る 乾 物 生 産 量 と 窒 素 吸 収 量 の 間 に も 有 意 な 正 の 相 関 関 係 が 見 ら れ た ( 順 に R2=0.659・ 、O.507"、0. 767 )。1800(gIII‑2)以上の比較的高い全乾物重を持つ品種(系 統 ) に 共 通 す る 特 徴 と し て 、 登 熟 期 間 中 の 乾物 生 産 量 と窒 素 吸 収 量が 大 き い こと が 観 察 さ れ た 。 こ れ ら の 品 種 ( 系 統 ) の 根 重 は 生 育期 間 を 通 して 増 加 し てい た 。 し たが っ て 、 生 育 後 半 ま で 根 へ の 乾 物 分 配 が 続 く 品 種 ( 系統 ) で は 、窒 素 吸 収 も維 持 さ れ てい る と 考 え ら れ た 。 こ の た め 、 登 熟 期 間 中 に も 地 上 部の 乾 物 生 産に 必 要 な 窒素 が 供 給 され 、 乾 物 生産性および収量性が向上することが示唆された。

4. 根 の 活 性 と 地 上 部 活 性 の 間 に は 、 養 水 分 、 植 物 ホ ル モ ン 、 光 合 成 産 物 等 のや り 取 り を 介 し て 、 お 互 い に影 響 を 与 えあ うroot―shoot interactionが存 在 す る と考 え ら れ る。

そ こ で 、 熱 帯 多 収 イ ネ の 根 の 活 性 ( 窒 素 吸 収活 性 、 能 動吸 水 活 性 、呼 吸 活 性 )と 地 上 部 活 性 ( 相 対 生 長 速 度 、RGR)と の 関 係 を 調 査 し た 。 品 種 ( 系 統 ) や 栽 培 条 件 と は 無 関 係 に 、 窒 素 吸 収 活 性(mgNg‑r root dry weight d‑i)ま た は 能 動 吸 水 活 性 (gexudateg‐l root dry weight 12 h‑l)とRGR (mg g‑l d‑l)と の 間 に は 生 育 期 間 を 通し て 有 意 な正 の 相 関 関 係 が 見 ら れ た 。 す な わ ち 、 窒 素 吸 収 活 性 と 能 動 吸 水 活 性 はroot―shoot interact ionに お け る、 根 の 活 性の 指 標 に なる と 考 え られ た 。 し かし 、 根 の 呼吸 活性( ル mol 02 g‑l root dry weighth―1) とRGRの 相関 関 係 は 生育条 件の違 いで大 きく変 化した。

5. ま と め る と 、1) 近 代 品 種 と 比 較 し て 、NPT系 統 は 大 き い 根 系 を 持 っが 、 そ の 窒素 吸 収 活 性 は 低 く 、2) 窒 素 吸 収 活 性 は 地 上 部 活 性 と 生 育 期 間 を 通 し て 有 意 な 相関 関 係 を 持 ち 、3) し た が っ て 、NPT系 統 の 最 大 収 量 の 向 上 の た め に は 、 根 の 活 性 の 上 昇 、 特 に 登 熟 期 間 の 根 の 活 性の 維 持 が 重要 で あ り 、4)登 熟 期 間 にも 根 重 の 増加 が 続 く 品種 ( 系 統 ) は 、 根 の 活 性 も 維 持 さ れ る 可 能 性 が あ り 、5) 根 の 活 性 の 指 標 と し て 、 窒 素吸 収 活 性 お よ び 能 動 吸 水 活 性 の 利 用 が 、 熱 帯 多 収 性 イ ネ で も 有 効 で あ る 。

以 上 の 研 究 に よ り 、 これ ま で 不 明で あ っ たNPT系 統 の 根 系の 特 徴 と 問題 点 が 初 めて 明 ら か に なっ た 。 こ れら の 知 見 は学 術 的 に 高く 評 価 さ れる と と も に、 熱 帯 多 収イ ネ の最大 収量を 向 上さ せ る た めに 極 め て 有益 な 情 報 を提 供 す る もの で あ る 。よ っ て 審 査員 一 同は, 鮫島啓 彰 が 博 士 ( 農 学 ) の 学 位 を 受 け る に 十 分 な 資 格 を 有 す る も の と 認 め た 。

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%,ホスファチジルイノシトールが6.7 %,ホスファチジルセリンが3.4% ,リゾホスファ チジルコリン h13 .0

3 ー methylbutanal ,   2 ―methylpropanal ,acetaldehyde ,propanethiol