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博士(農学)島本学位論文題名

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Academic year: 2021

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     博 士 ( 農 学 ) 島 本 学 位 論 文 題 名

セルロース系カイラル・ネマテイック液晶の超分子構造と 光学的性質を保持した個体材料の調整に関する研究

学位論文内容の要旨

  木 質系 パイ オ マス は、 そ の蓄 積畳 と 再生 産性 か ら、 石油f購纐 と して 、その有用性が再認 識されてい る 。 木材 の主 要 成分 であ る セルロースに関し ては石油闇爺噸tとしての有 用性Iこカnえ、光学 瀏生丶生分 鯏生 丶液晶形成性等の 特徴を有しており、これら特徴を生かした.ネオ料開発・用途開発が必要である。本研 究 は 、 セ ル ロ ー ス の 液 晶 形 成 性 に 着 目し 、セ ル ロー スか ら の新 規材 料 を開 発す る ため に行 わ れた 。   セ ルロース誘導 体の融液あるいは溶 液は、適当な条件 (置換基、濃度お よて鰮度)で液晶を 形成する。

セ ル ロース系液晶 の多くは、巨視的に 不斉な層状構造を 有するカイラル・ ネマテイック相であ る。カイラ ル・ ネマテイック液晶 は、その超分子構 造の周期(ピッチ) および桓廰る与向に対応する波長と回転方向を 有 す る円偏光を選 択的に反射するなど の光に対して特異 な性質を示す。こ のカイラル・ネマテ イック液晶 の 光 学的性質は、 偏光制御、レーザ一 技術、装飾等の分 野で肓用であるが 、カイラル・ネマテ イック液晶 を こ れ ら の 用 途I巧u用 す る に は 、 そ の 光 学 的 性 質 を 保 持 し た 固 体 材 料 に 変 換 す る 必 要 が あ る 。   本 研究では、セルロ ース誘導体の濃厚 溶液が形成するカイ ラル・ネマテイック液晶の固定化、すなわち、

そ の 超 分 子 構 造 と 光 学 的 性 質 を 保 持 し た 固 体 材 料 ( 固 体 液 晶 ) の 調 製 を 検 討 し た 。

1.セルロ ース系液晶の化学 構造と反射強度の関 係

セル ロー ス ゜エ ーテ ル とセ ルロ ー ス・エステルのカイ ラル・ネマティッ ク液晶の円偏光選 択反射性を分 析した結果は、セル ロース・エステル が前者に比べて反 射強度の劣ることを 示した。カイラル ・ネマティ ック 液晶 の 反射 強度 は 、液 晶の 秩 序度と分子の圃陏糊 折が関与すること から、これらパラ メーターを測 定した。その結果丶 セルロース・エス テルの反射強度カ 聾盻るのは固有複屈 折が低いことに起 因すること カ靖破された。この セルロース・エス テルの低い固有複 屈折は、エステル・ カルポニル基の配 向と関係す ると考えられること から、優れた円偏 光選択反射性を有する固体液晶の調製に|ま、セルロース・エーテル を出発物質として使 用する方カ卑霧| であると結論され た。

2キャスト法に よるエチル・セルロ ース液晶の固定化

  置換 度25の エチ ル ・セ ルロ ー ス(EC)は 、 高揮 発性 の ハロ ゲン 化 炭化 水素 を 溶媒 とし て、 カイラル・

ネ マテイック相を形 成することが知ら れている。EC液晶の カイラル・ネマテ イック構造の固定 化を溶媒留 去 法(キャスト法) により検討した。 先ず、カイラル・ネ マテイック液晶の 濃厚溶液薄膜の調 製に関し、

流廼嵜 の剪断カにより分 子の自発配向が乱 されることがないよ うに、(1)希薄等方性溶渤ゝら固体フィル ムを蔀I製し、 (2)これ を適当な蒸気圧の 溶媒蠹g瓦と揺撒させ、カイラル・ネマテイック液晶を形成させ、

( 3) 通 常 の 実 験 室 雰 囲 気‑韈 燦 を 行 う3段 僭 の フ イ ´ レ ム 調 製 方 法 を 考 案 し た 。   液晶 は 溶液 濃度 を 高くする と、反射極大波長 (すナょわちピッ チ)が短くなること が知られている。3

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段備マ翻捲!した 固体フイノレムの選 択反射極大波長は、液晶溶液の濃度対反射極大波長の関係から推定され る波長より著しく 長かった。この結果 はフィルム調製の 乾燥過程において 超分子構造の変化が遅いために、

超分 子構 造 の b埼容 媒 の乾 燥速 度 に追 随で き ない こと を 示唆する。ECの重合度が高い場合 、あるいは、

乾燥 に供 す る液 晶溶液の濃度が低い 場合、得られる固 体フィルムの反射 極大波長は長くなっ た。この結果 は溶 媒留 去 過程 での超分子構造の変 化に関する先の推 測を支持する。以 上のように、キャス ト法によって 得 ら れ る 固 体 フ ィ ル ム の 選 択 反 射 極 大 波 長 は 系 統 邸jに 制 御 出 来 る こ と が 明 ら か と な っ た 。   高 重台 度 のECから 調 製し た固 体 フィルム は高い反射強度を示 した。これは、乾 燥i圖隍で の超分子構造 の変 化が 小 さい 場合、より均一奮カ イラル・ネマティ ック構造が保持さ れることを示す。本 液晶系から調 製し た固 体 フア ルム の 反射 強度 は 最大 理論 値 皈謝 極大 波 長に おい て 、対 自然 光 が50%、 あ るい はカ イ ラル ・ネ マ テイ ック構造と回転方向 の一致する対円偏 光が100% )に及Ijぬかった カI更に高 い反射率の材 料 を 得 る た め に は 、 反 射 極 大 波 長 の 濃 度 依 存 性 が 小 さ い 液 晶 系 を 選 択 す る 必 要 性 を 示 唆 す る 。

3.キャス ト法によるエステ ル化エチル・セル ロース液晶の固定化

  置 換 度25のECの 未 溌換 水酸 基 をア セチ ル 化し たア セ チル ・エ チ ル・ セル 口 ース(AEC)のハ ロ ゲン 化 炭 化 水 素 溶 液 は 、 カ イ ラ ル ・ ネ マ テ イ ッ ク 相 を 形 成 す る こ と カ 洳 ら れ て い る 。   AECのカ イラ ル ・ネ マテ イ ック 相形 成 を調 べた 結 果、ECに 比 ぺて 反射極 大波長の濃度依存 性が菩しく 低いことが分かっ た。また、AEC液晶のキャス ト法による固定化を 検討し、反射極大 波長が短い場合には、

AECは 最大 理論 反 射率 に近 い反射強度 を有する固体フィ ルムを与えることを 示した。更に、固 体フィルム の反射極け油楚長 の帝卿は、アセチル慣換度を変化させるか、アセチル甚に変えてプチリル基を導・スするこ とにより可能であ った。

4キ ャ ス ト 法 に よ る 酢 靉 セ ル ロ ー ス 液 晶 の 固 定 化 と 脱 ア セ チ ル 化 に よ る 光 学 的 性 質 の 変 化   先ず 、酢 酸 セル ロー ス(CA)のギ 酸 溶液 につ い て、 カイラル・ネ マティック相形成 と各液晶の性質を 調 べ た。CAの 置換度を低くする と、カイラル・ネ マテイック構造は、 ピッチ無限大の状 態を経由して、右 巻 き から 左巻 き に変 化し た 。適 切な 置 換度 のCAを 用い たキャスト法 により、可視光領 域波長で反射極大 を 有 する 固体 フイル仏を調鑾け ることが司能であ った。CA液晶から調 製した固体フイル ムを不均一おで脱 ア セチ)rrf日−ることにより 、反射強度ガ潜しく改善された。これらの結果はエステル・カルポニ)l´基の配向 に 起因 するCAの低 い固 有 複屈 折カ 漑 アセ チル 化 によ り増 大 し、 それ に 伴っ て反 射 搬も 改善 し たこと を 示唆する 。

5溶媒重 合法によるアセチル ・エチル・セルロ ース液晶の固定化

  ECとAECから ア クリ ル酸 を 溶媒 とし た カイ ラル ・ ネマ ティ ッ ク相の性状を比較 検討した。その結 果、

AEC系 液晶 は、ECに比 べて 高 い複 屈折 と 高い 反射 強 度を 有す る ことが分かった。 この相違は両液晶 系の 移揖渡の違いによ るものと考えられ る。

  AECの アクリル酸溶液に鼻 冽、線を照射する溶媒重合を詳細に検討した。その結果、溶媒重台がカイラル・

ネマティック液晶 の構造と光学的性 質を保持したまま、 液晶構造を固体材 料に変換する有効 な方法である ことを示した。

  以上の研究によ り、偏光髄闇|等 の種々の分野で確鋩E的に有用なカイラル・ネマティック液晶の超分子構 造と光学謎腦鑽を 保持した固体材料 を調製する基礎的・ 実用氈廊拐劼滞られた。これら用途への適用には、

光 学J慣‑)外 の 藷 性 質 に 関 す る 詳 細 設 計 も 必 要 で あ り 、 今 後 の 研 夢 園 韻 轟 で あ る 。

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学位論文審査の要旨

主査   教授   佐野嘉拓 副査   教授   吉原照彦 副査   助教授   浦木康光

副査   教授   高井光男(北海道大学工学研究科)

学 位 論 文 題 名

セルロース系カイラル・ネマテイック液晶の超分子構造と 光学的性質を保持した個体材料の調整に関する研究

   本論文は図51 、表5 、 122 ベージからなる和文である。

   木質系 パイオマ スは、そ の蓄積量 と再生産 性から、石 油代替資 源として、その有用性 が再認 識されて いる。木 材の主要 成分のー つであるセ ルロース に関して は、現行のバル プ工業 として分 離法が確 立されて おり、石 油系化学製 品の代替 の他に高 度利用を目的と した新 たな用途 提案が必要である。本研究は、セルロース誘導体の液晶形成能に着目し、

新規材料を開発するために行われた。

   セルロ ース誘導 体の多く は、巨視 的に不斉 な層状構造 を有する カイラル・ネマテイツ ク液晶 を形成す ることが 知られて いる。カ イラル・ネ マテイッ ク液晶は 、その超分子構 造の周 期(ピッ チ)およ び回転方 向(ハン デッドネス )に対応 する波長 と回転方向を有 する円偏光を選択的に反射するなどの光に対して特異な性質を示す。カイラル・ネマテイツ ク液晶 を偏光制 御等の分 野に利用 するには 、その光学 的性質を 保持した 固体材料に変換 する必要がある。本研究は、セル口ース誘導体の濃厚溶液が形成するカイラル・ネマテイツ ク液晶 の超分子 構造と光 学的性質 を保持し た固体材料 の調製( 液晶の固 定化)を検討す るために行われた。

1 .セ ルロース系 液晶の反 射強度と 化学構造 の関係

   セル ロ ース 系 液 晶の 化 学構 造 と反 射強度の 関係を検 討した。エ チルセル ロース (EC)

と セル ロ ー スア セ テ ート ブ チレ ー ト (CAB) のカ イ ラ ル・ ネ マ テイッ ク液晶を 比較した

結 果 、 CAB が EC に 比べ て 固有 複 屈 折が 低 く、 反 射 強度 が 劣る こ と を示 し た 。こ の CAB

の低 い固有複屈 折は、エ ステルカ ルポこル 基の配向 と関係す ることから、優れた円偏光

選択 反射性を有 する固体 材料の調 製には、 セル口ー スエーテ ルを出発物質として使用す

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ることが有効であると結諭された。

2 .キャ スト法に よるエチ ルセル口ー ス液晶の 固定化

  EC の 固体 フ ィル ム を ハ口 ゲ ン化 炭化水 素蒸気と 接触させ 、カイラ ル・ネマ テイク液 晶の薄 膜を調製 し、通常 の実験室雰 囲気で乾 燥した。 調製した固体フィルムの円偏光選 択反射 極大波長 は、元の 液晶溶液の 濃度に対 する反射 極大波長の関係から推定される波 長より 著しく長 かった。 この結果は 、フィル ム調製の 乾燥過程において超分子構造の変 化 が、 溶 媒の 乾 燥 過程 の 濃 度変 化に 追随出来 ないこと を意味す る。液晶 溶液の濃度 や EC の分子 量により 固体フィ ルムの反射 極大波長 の制御は 可能であることが示唆された。

   高 分 子 量の EC は 乾 燥 過程 で の超 分子構 造の変化 が少なく 、高い反 射強度の フィルム を与え た。更に 高い反射 強度の材料 を得るに は、反射 極大波長の濃度依存性の小さい液 晶系を 選択する ことが重 要であるこ とを明ら かにした 。

3 . キ ャ ス ト 法 に よ る エ ス テ ル 化 エ チ ル セ ル ロ ー ス 液 晶 の 固 定 化    置 換度 2.5 の EC の 未 置換 水 酸基 を ア セチ ル 化し た アセチル エチルセ ルロース (AEC ) のカイラ ル・ネマテ ィック相 形成を調 べた結果 、反射極大波長の濃度依存性は低いこと が分 か った 。 AEC をク 口 口ホ ル ム に溶 解 し 、キ ャ スト 法 に よる 固 定化 を 検 討し 、 AEC から最大 理論反射率 に近い反 射強度を 有する固 体フィルムの調製法を確立した。また、

アセチル 置換度を変 化させる か、アセ チル基に 代えてプチリル基を導入することにより 固体フィ ルムの反射 極大波長 の制御が 可能であ った。

4 .キ ャスト法 による酢酸 セル口ース液晶の固定化と脱アセチル化による光学的性質の変 化

   置換 度 によ り 酢 酸セ ル ロー ス ( CA) ノ ギ 酸 系の ピ ッチ と ハ ンデッド ネスが変化 する こ と を明 ら かに し た 。ま た 、キ ャスト 法により 、適切な 置換度の CA から可視光 領域波 長 で 反射 極 大を 有 す る固 体 フィ ルムの 調製が可 能であっ た。 CA の固 体フィルム を不均 一 系 で脱 ア セチ ル 化 する こ とに より、 反射強度 が著しく 改善され た。この結 果は、 CA のェ ステルカルポニル基の配向に起因する低い固有複屈折が脱アセチル化により増大し、

それ に伴って 反射強度も 改善され ることを 示唆する 。

5 . 溶 媒 光 重 合 法 に よ る ア セ チ ル エ チ ル セ ル 口 ー ス 液 晶 の 固 定 化

   ア セチ ル エチ ル セ ルロ ー ス(AE) 、を アクリル 酸(溶媒 )に溶解 し、溶媒の 光重合に

よ る固定化 を検討した 。先ず、 EC とAEC のアクリル酸を溶媒としたカイラル・ネマテイツ

ク 相 の性 状 を 比較 検 討 した 結 果、 AEC 系 液晶 は EC 系 よ り高 い 秩 序度、複屈 折と反射 強

度 を 有するこ とが分か った。そ こで、 AEC の アクリル 酸溶液に 紫外線を照 射する溶 媒重

合 を詳細に 検討した。 その結果 、溶媒重 合法がカ イラル・ ネマテイック液晶の構造と光

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学的性質を保持したまま、液晶構造を固体材料に変換する有効な方法であることが示さ れた。

   以上のように、本論文はセルロース系カイラル・ネマテイック液晶の超分子構造と光 学的性質を保持した固体材料の調製方法を確立するものであり、この成果は、学術的・

実用的に高く評価される。よって、審査員一同は島本周が博士(農学)の学位を受ける

に十分な資格を有するものと認めた。

参照

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