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博 士 ( 農 学 ) 吉 岡 啓 子

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Academic year: 2021

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博 士 ( 農 学 ) 吉 岡 啓 子

学 位 論 文 題 名

形 質 転 換 に よ る キ ュ ウ リ モ ザ イ ク ウ イ ル ス 抵抗 性 メ 口 ン の 作 出 と 利 用 に関 する 研 究

学 位 論 文 内 容 の要 旨

    本 研 究 は メ 口 ン (Cucumis meloL. ) 栽 培 に 多 大 な 被 害 を も た ら す キ ュ ウ リ モ ザ イ ク ウ イ ル ス (CMV) の 防 除 を 目 的 と し て 、 CMV外 被 夕 ン パ ク 質 遺 伝 子 を 導 入 し た 形 質 転 換 メ ロ ン を 作 出 し 、 そ のCMV抵 抗 性 に つ い て 検 討 し た も の で あ る 。 研 究 内 容 は1. メ ロ ン の 形 質 転 換 法 の 確 立 、 2.CMV外 被 タ ン パ ク 質 遺 伝 子 の メ ロ ン へ の 導 入 、 3.CM V外 被 タ ン パ ク 質 遺 伝 子 導 入 メ 口 ン のCMV抵 抗 性 検 定 、 な ら び に 4 CMV外 被 タ ン パ ク 質 遺 伝 子 導 入 メ 卩 ン の 後 代 の 特 性 調 査 の4事 項 に 要 約 さ れ る。

1  メ ロ ン の 形 質 転 換 法 の 確 立

1) メ 口 ン の カ ナ マ イ シ ン 感 受 性

  形 質 転 換 体 を 選 抜 す る た め に カ ナ マ イ シ ン 耐 性 を 指 標 と し て 用 い る の で 、 メ 口 ン の カ ナ マ イ シ ン 感 受 性 に つ い て 調 査 し た 。 感 受 性 は 、 培 養 部 位 、 培 養 法 、 品 種 等 に 左 右 さ れ る と 考 え ら れ た の で 、 種 子 の 発 芽 時 、 苗 条 原 基 か ら の シ ュ ー ト 再 生u寺 、 完 熟 種 子 胚 軸 部 か ら の 不 定 胚 誘 導 時 、 完 熟 種 子 子 葉 部 か ら の 不 定 芽 誘 導 時 の 4っ の 状 態 に お け る 6 種 の カ ナ マ イ シ ン 感 受 性 に つ い て 調 査 し た 結 果 、 品 種 問 で 多 少 の 差 異 は 認 め ら れ た も の の 不 定 胚 誘 導 時 を 除 く 全 て の 場 合 に お い て カ ナ マ イ シ ン10 0mg/l以 上 の 添 加 区 で 生 長 が 抑 制 さ れ る こ と を 明 ら か に し た 。

2) 形 質 転 換 に 適 し た 植 物 体 再 生 系 の検 討

  3っ の 安 定 し た 植 物 体 再 生 系 、 す な わ ち 苗 条 原 基 に よ る 再 生 系 、 不 定 胚 に よ る再 生 系 、 不定 芽に よる 再生 系を 用い てAgrobacteriunz tumefaciens     648

(2)

を 利 用 し た 形 質 転 換 を 試 み 、 形 質 転 換 に 最 も 適 し た 植 物 体 再 生 系 の 検 討 を 行 っ た 。 そ の 結 果 、 全 て の 植 物 体 再 生 系 で 形 質 転 換 体 を 得 る こ と が で き た が 、O再 生 率 の 高 さ 、 ◎ キ メ ラ 個 体 の 出 現 頻 度 の 低 さ 、 ◎ 形 質 転 換 処 理 の 簡 便 さ の3つ の 事 項 を 考 慮 す る と 不 定 芽 培 養 系 が 最 も 形 質転 換に適 して いる こと を確認 した 。

2.  CMV外被 タンパ ク質 遺伝 子の メ口ン ヘの 導入

  不 定 芽 培 養 系 を 利 用 し た 形 質 転 換 の 諸 条 件 を 検 討 す る と と も に 、C MV外 被タン ハク 質遺 伝子 導入メ ロン の作 出を試 みた 。

(1)不 定芽 培養系 を利 用し た形 質転換 の諸 条件 の検 討

  不 定 芽 培 養 系 を 利 用 し た 形 質 転 換 で の 前 培 養 の 効 果 、 な ら び に Agrobacterium tumefaczensとの 共存培 養時 における糖類の効果を検討したと こ ろ 、 生 長 調 節 物 質 を 含 ま な いMS培 地 で の2日 問 の 前 培 養 に 続 い て ス ク ロ ー ス3% の 培 地 で の 共 存 培 養 を 行 う こ と に よ り 最 も 効 率 的 に カ ナ マ イ シ ン 耐 性 シ ュ ー ト を 誘 導 で き る こ と が わ か っ た 。 ま た 、 カ ナ マ イ シ ン に よ る 選 抜 法 を 検 討 し た 結 果 、 O第1次 選 抜 : シ ュ ー ト 再 生 用 培 地 十 カ ナ マ イ シ ン50mg/1、 ◎ 第2次 選 抜 : シ ュ ー ト 伸 長 用 培 地 十 カ ナ マ イ シ ン100mg/1、 ◎ 第3次 選 抜 : 発 根 用 培 地 十 カ ナ マ イ シ ン75〜100 mg/1の 順 で3段 階 の 選 抜 を 行 う と 最 も 効 率 的 に 形 質 転 換 体 を 選 抜 で き るこ とが明 らか にな った 。

(2)CMV外被タンパク質遺伝子の導入

    CMV一 丶7系 の 外 被 夕 ン パ ウ 賀 遺 伝 子cDNA、 及 び カ ナ マ イ シ ン 耐,性遺伝子をコードした植物発現用ベクターを構築し、上記のミ・む条件 を 考 慮 し て 形 質 転 換 を 行 っ た : 作 出 し た カ ナ マ イ シ ン 耐 性 個 体 か ら PolYmerase Chain Reaction法を用いて外被夕ンノくク質遺伝子を検出し、

そ れ ら が 形 質 転 換 体 であ る こ と を 確 認 し た 。 ま た、Dot→immunobnding Assav法 を 用 い て 外 被 夕 ン パ ク 質 を 検 出 し 、 導 人し た 外 来 遺 伝 子 が 発 現していることを確認した:

3.  CM\ ′ 外 被 夕 ン パ ク 質 遺 伝 子 導 入 メ ロ ン のCM\ 抵 抗 睦 按 定   純化CVヽ′1門g/mlを接繊した場合、j髟゛質転換体で病徴発現の抑;li4

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が 観 察 さ れ 、CVV抵 抗 性 を 育 す る こ と を確 認 し た 。CMV濃 度 を10 ルg/mlに高めた場合も非形質転換体に比ベ病徴発現が避延した。形質 転換 体のCMV抵抗性 の程度 を、― 般市 販品穏 やウイ ルス病抵抗生品 種の育種母本のそれと比較した結果、形質転換体と高いウイルス抵抗 性を 有す る品穏 ミータンカン のみで病徴の発現が抑制された。

このことから、形質転換体のもっウイルス病抵抗性が実用的利用に耐 えうるものであることが示唆された。

4.  CMV外 被 夕 ン パ ク 質 遺 伝 子 導 人 メ ロ ン の 後 代 の 特 性   作出した形質転換体の自殖及び交雑後代を作出し、その特性、特に CMV抵抗性を中心に調査した。

(1)自殖後代の特性

    形質転換メロンの自殖後代を作出し外来遺伝子の確認を行った結果

、導入した遺伝子を検出し、これが次代ヘ遺伝したことを確認した。

遺 伝 子 の検 出 比 は 、 ほぼ3:1に一 致し 、導入 した遺 伝子は1コ ピー であるか、あるいは染色体の1か所に挿入されたことが示唆された。

これら後代の形態、開花特性などを調査した結果、゛非形質転換体の自 殖後代と著しい差異のないものであった。また、これら後代に純化C MV 2IL g/mlを接種した結果、非形質転換体の自殖後代に比べて病徴 発現 の遅 延及び 抑制が 観察さ れ、形 質転 換体自 殖後代がCMV抵抗性 をもつことを確認した。また、CMV抵抗性は親系統により左右され、

同一系統内でも個体間に差異が認められた。

( 2)形質転換体交雑後代の特性調査

  形質転換体当代およびその自殖後代と一般市販品種およびウイルス 病抵抗性品種との交雑後代を作出しその特性を調査した。形態、開花 特性などは形質転換体との交雑後代は非形質転換体との交雑後代と著 しい差異のないものであった。彫質転換体との交雛後代の外来遺f云ナ の確認を行った結果、これを検出し交雑後代へ遺伝したことを確認し

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た。検出比はほぼ1:1に一致し、供試した形質転換体自殖後代の外 来越伝子は、当代と剛様1コピーであるかあるいは染色体の1か所に 挿入されたこと.が示唆された。

  これら交雑後代に純化CMV 2,u g/mlを接種した結果、非形質転換 体との交雑後代やもとの品種に比べて病徴発現の遅延及び抑制が観察 さ れ 、 形 質 転 換 体 交 雑 後 代 の CMV抵 抗 性 を 確 認 し た 。   以上のように、本研究では、CMV外被夕ンパク質遺伝子導入メ口 ンならびにその自殖および交雑後代を作出して、それらがウイルス抵 抗性を有することおよび形態・開花特性などにつしヽて変化がないこと を明らかにした。これらの結果は、メ口ンにおける形質転換法を確立 するとともに外被夕ンパク質遺伝子の導入によルウイルス病抵抗性品 種の育成が可能であることを実証したのみならず、今後のメロン栽培 に大きく貢献するものと考えられる。

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学位論文審査の要旨

     学位論文 題名

形質 転換によ るキュ ウリモザ イクウ イルス抵 抗性.

メ口ンの作出と利用に関する研究

  本論 文は,7章およぴ緒言,摘要,弓|用文献からなり,図58,表24 を 含 む2闘 頁 の 和 文 論 文 で , 別 に 参 考 諭 文7編 が 添え ら れて いる 。   メロ ン(Cucumis melo L.)栽培において多大な被害をもたらすキュ ウ リ モ ザ イ ク ウ イ ル ス (CMV) の 防 除 を 目 的 と し て,CMV外被 夕 ン バ ク 質遺 伝 子を導入し た形質転換メ ロンを作出し ,そのCMV抵抗性に つ い て 検 討 し て お り , 内 容 は 次 の よ う に 要 約 さ れ る 。 1.メロンの形質転換法の確立

(1)メロンのカナマイシン感受性

  種子の発芽時,苗条原基からのシュート再生時,完熟種子胚軸部から の不定胚誘導時,完熟種子子葉部からの不定芽誘導時におけるカナマイ シ ン感受性について調査した結果,カナマイシン50〜100mg/lを培地に 添加すると生長か適度に抑制され,この濃度で形質転換体を選抜するの カs適切であることを見出した。

(2)形質転換に適したキ直物体再生系の検索

  苗条原基による再生系,不定胚による再生系,不定芽による再生系を 用いてAgrDろ甜飽ガ。鰄  ぬ胤旺zcた総を利用した形質転換を試み,全ての 植物体再生系で形質転換体を得ることができたが,@再生率の高さ,◎

キメラ佃体の出現頻度の低さ,◎形質転換処理の簡便さなどの点から不 隆郎

夫夫       俊郁 哲 田下 村上 原木 木三 授授 授授 敦教 教教 査査 査査 主副 副副

(6)

定 芽 培 養 系 が 最 も 形 質 転 換 に 適 し て い る こヒ が 明ら か にな った 。     を

2.CMV外被夕ンバク質遺伝子のメ口ンへの導入

  不 定芽培養系を 利用した形質転 換の諸条件を検討するとともに,CM V外 被 夕 ン ノ ヾ ク 質 遺 伝 子 導 入 メ ロ ン の 作 出 を 試 み た 。

( 1) 不 定 芽 培 養 系 を 利 用 し た 形 質 転 換 に お け る 諸 条 件 の 検 討   不定芽培養系を利用した形質転換における前培養の効果並びにAgro一 bacteriurn  tume廊む総との共存培養時における糖類の効果を検討した と ころ,生 長調節物質無添 加のMS培地で2日間 前培養を行っ た後スク 口 ース3%を含む培地で共存培養を行うことにより,最も効率的にカナ マイシン耐性シュートを誘導できることがわかった。また,カナマイシ ン による選抜を行い,◎第1次選抜:シュート形成培地十カナマイシン 50mg/1,◎第2次選抜:シユート伸長培地十カナマイシン100mg/l,◎第 3次選抜:発根 培地十カナマ イシン75〜100mg/l,の順で3段 階の選抜 を 行 う と 最 も 効 率 的 に 形 質 転 換 体 が 選 扱 でき る こと を 見出 した 。

(2)CMV外被.夕ンバク質遺伝子の導入

  CMV―Y系 の 外 被 夕 ン バ ク 質 遺 伝 子cDNA, お よ び カ ナ マ イ シ ン 耐性遺伝子をコードした植物発現用ベクターを構築し,形質転換を行っ たところ,作出したカナマイシン耐性個体から外被夕ンバク質遺伝子が 検出され,それらが形質転換体であること,および導入した外来遺伝子 が発現していることを確認した。

3.CMV外 被 夕 ン バ ク 質 遺 伝 子 導 入 メ ロ ン のCMV抵 抗 性 検 定   純 化CMVl弘g/mlを 接 種し た とこ ろ,形質 転換体で病徴発 現が抑制 さ れ,CMV抵抗性 を有すること を確認した。ま た,一般市販 品種およ びウイルス抵抗性品種と比較して,形質転換体では高いウイルス抵抗性 が認められ,形質転換体のもっウイルス抵抗性が実用的利用に耐え得る ものであることが示唆された。

4. CMV外 被 夕 ン バ ク 質 遺 伝 子 導 入 メ 口 ン の 後 代 の 特 性

(1)自殖後代の特性

  形質転換メロンの自殖後代を作出し,導入した遺伝子を確認して,こ れが次代ヘ遺伝したことを明らかにするとともに,これら後代の形態,

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開花特性などを調査した結果,非形質転換体の自殖後代と著しい差異の ない も の で あっ た。ま た, これら 後代 に純化CMV2ルg/mlを接 種した ところ,非形質転換体の自殖後代に比べて病徴発現の遅延および抑制が みら れ , 形 質 転 換 体 自殖 後 代 かCMV抵 抗 性 を もつ ことを 確認 した。

  (2)形質転換体交雑後代の特性調査

  形質転換体当代およぴその自殖後代と一般品種およぴウイルス病抵抗 性品種との交雑後代を作出しその特性を調査した。すなわち,形質転換 体との交雑後代の外来遺伝子を検出し交雑後代ヘ遺伝したことを確認す ると と も に ,こ れらの 交雑 後代に 純化CMV2弘g/mlを接種 した 結果,

非形質転換体との交雑後代および元.の品種に比べて病徴発現の遅延およ ぴ抑制 がみ られ, 形質 転換体 交雑 後代がCMV抵抗性を有することが明 らかになった。また,形態,開花特性などについては,形質転換体との 交雑後代は,非形質転換体との交雑後代と比較して著しい差異のないも のであることを確認した。

  以上のように,本研究は,メロンにおける形質転換法を確立するとと もに,ウイルス病抵抗性品種の作出が可能であることを実証しており,

今 後 の メ ロ ン 栽 培 に 大 き く 寄 与 す る も の と 考 え ら れ る 。   よっ て審 査員一同は,最終試験の結果と合わせて,本諭文の提出者 吉岡啓子は博士(農学)の学位を受けるのに十分な資格があるものと認 定した。

参照

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